JPH0628665U - 温度測定装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 大量の水や水蒸気、スケール粉等の存在する
周辺環境での温度測定誤差の発生を防止する。 【構成】 鋼板の表裏面への冷却水のスプレーゾーンに
おいて、鋼板の下方でかつ搬送テーブルローラ間に、前
面にハニカム状フィルター９を、周囲に高圧空気の噴射
口１０を有する測定ヘッド１１からなるセンサーレヘッ
ド８を配設し、測定ヘッド１１と放射温度計を光ケーブ
ル１２で接続すると共に、高圧空気の噴射口１０に８ｋ
ｇ／ｃｍ²以上の高圧空気供給管１４を接続する。 【効果】 測温誤差を抑制して正確に測定することがで
き、板厚、巻取温度制御等の制御に直接使用できる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、非接触式温度計、例えば放射温度計によるスプレーゾーンでの熱 間圧延材裏面の測温に適した温度測定装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

鋼板の圧延においては、鋼板の温度を正確に測定することは圧延機の操業上の みならず、初期の鋼板の機械的性質を得る上でも重要である。このため、従来か らデスケーリングスタンド、圧延機の前面および後面、あるいはスプレーゾーン 等に温度測定装置を設置している。 しかしながら、スプレーゾーンにおいては、鋼板上面については水のりがあり 、鋼板裏面については、温度測定装置へ冷却水が侵入するため、スプレーゾーン 内では温度測定ができなかった。

【０００３】 特に熱間圧延ラインにおける非接触温度計、例えば放射温度計による温度測定 は、周辺の環境対策が温度計の測定精度を左右する重要なポイントである。しか しながら、スプレーゾーンにおける温度計と測定対象物との間には、冷却水噴射 による流水、水蒸気、金属スケール、金属微粉等が浮遊している。また、測定対 象物表面には、水等が溜まることもある。 これらの浮遊する流水、水蒸気、金属スケール、金属微粉等や測定対象物表面 に溜まった水は、温度測定にとって大きな誤差を生じさせる原因となっている。 一方、温度測定結果は、板厚、巻取り温度等の制御に直接しようするので、温 度測定誤差が発生すると、直接各制御系での誤差となって現れる。 このため、現場における温度測定の環境対策は、種々実施されてきたが、未だ 完全な方法が確立されていないのが現状である。

【０００４】 従来の温度測定装置における環境対策としては、表面に特定の波長に吸収帯を もつ液体が存在する物体の表面温度を放射温度計によって測定するに当って、該 放射温度計と被測定物体との間の光路中に前記液体によるカットフィルターを挿 入し、液体の放射エネルギーの吸収による測定誤差を小さくする方法（特開昭４ ８−４２７８２号公報）、放射温度計を収納するケース部と連通し開放端部に軸 線に対し３０°ないし６０°の広がり角度を有する倒立漏斗状拡径部を有する管 状体と、この管状体開放端部において所定の間隔を隔て巻回する外套管により形 成される高圧層流エア噴出部を有し、この噴出部に連通する外套管と管状体との 空間に開口する高圧エアー供給口と、管状体内方に開口する低圧エアー供給口と を備えた放射温度計用エアーパージ装置（特公昭５７−４６０１１号公報）、圧 延機の前後におけるローラテーブルのローラ間において、該ローラテーブルの下 部に斜下方に向かってのびる架台を設け、本体と温度検出器から成る裏面温度測 定装置を上記架台上に挿入設置した温度測定装置（特開昭５７−１５４３０５号 公報）、鋼板の上表面への冷却水スプレーゾーンにおいて、鋼板の下方でかつ搬 送テーブル間に、上面に透孔を有する防水ボックスを配設し、その防水ボックス 内に透孔の下方位置を避けて側方から透孔を介して鋼板の裏面を睨む温度測定器 を設け、これと前記透孔との間に遮水手段を配設した温度測定装置（特開昭５９ −７４２４０号公報）、ローラテーブルのローラ間下方所要の位置に温度検出器 を外部から位置決め配備可能に、ローラテーブルの一側頂部に該頂部から内側下 方へ斜めに延びる対向一対のガイドレールを支持させた架台を載設し、該架台上 に上記一対のガイドレールに夫々案内されるローラを両側に備えて架台上での移 動自在とした温度測定装置本体の前端に、温度検出器を所定仰角で保持させると 共に後端に牽引昇降装置を連設してなる温度測定装置を係合載設するようにして なる鋼板の裏面温度測定装置（実開昭６１−４１４０９号公報）等が提案されて いる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

上記特開昭４８−４２７８２号公報に開示の方法は、水蒸気が薄く存在しても ある程度有効であるが、ホットランスプレーゾーンの裏面に使用する場合は、ス プレー水が大量にかかるので、全く効果がなくなる。また、特公昭５７−４６０ １１号公報に開示の温度測定装置は、被測定物の上面の測温には有効であるが、 ホットランスプレーゾーンの裏面に使用する場合は、スプレー水が大量にかかる ので、効果がない。さらに、特開昭５７−１５４３０５号公報、実開昭６１−４ １４０９号公報に開示の装置は、いずれも熱間圧延材の裏面温度を測定するため の装置であるが、単にエアーパージするだけでは、水除去能力が不足し、正確に 裏面温度を測定することができない。さらにまた、特開昭５９−７４２４０号公 報に開示の装置は、防水ホックスにより防水効果が得られるが、水蒸気等が被測 定物近傍に存在すると、測定誤差が生じるという問題点がある。

【０００６】 この考案の目的は、大量の水や水蒸気、スケール粉等の存在する周辺環境での 温度測定誤差の発生を防止できる温度測定装置を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案者らは、上記目的を達成すべく鋭意試験研究を行った。その結果、放射 温度計のセンサーヘッドの周囲に８ｋｇ／ｃｍ²以上の高圧空気の噴射口を設け ると共に、センサーヘッドの前面をハニカム状フィルターを設けることによって 、８ｋｇ／ｃｍ²以上の高圧空気がハニカム状フィルターによって整流されて吹 付けられ、大量の水や水蒸気等の存在する悪環境下においても、温度測定誤差が 殆ど発生しないことを究明し、この考案に到達した。

【０００８】 すなわちこの考案は、鋼板の表裏面への冷却水のスプレーゾーンにおいて、鋼 板の下方でかつ搬送テーブルローラ間に、前面にハニカム状フィルターを、周囲 に高圧空気の噴射口を有する測定ヘッドからなるセンサーヘッドを配設し、測定 ヘッドと放射温度計を光ケーブルで接続すると共に、高圧空気の噴射口に８ｋｇ ／ｃｍ²以上の高圧空気供給管を接続したことを特徴とする温度測定装置である 。

【０００９】

【作用】

この考案においては、鋼板の下方でかつ搬送テーブルローラ間に、前面にハニ カム状フィルターを、周囲に高圧空気の噴射口を有するセンサーヘッドを配設し 、センサーヘッドと放射温度計を光ケーブルで接続すると共に、高圧空気の噴射 口に８ｋｇ／ｃｍ²以上の高圧空気供給管を接続したから、センサーヘッドの周 囲からハニカム状フィルターで整流された８ｋｇ／ｃｍ²以上の高圧空気が噴射 され、鋼板裏面に８ｋｇ／ｃｍ²以上の高圧空気が効率よく吹付けられ、スプレ ーヘッダーからの飛散水と水蒸気の充満した悪環境からセンサーヘッドが保護さ れる。

【００１０】 この考案において、高圧空気噴射口からの噴射空気の圧力を８ｋｇ／ｃｍ²以 上としたのは、本考案者らの高圧空気噴射口から鋼板裏面までの距離２００ｍｍ 、高圧空気流量１Ｎｍ³／ｍｉｎ、鋼板搬送速度５００ｍ／ｍｉｎ、鋼板温度６ ５０℃の条件下において、噴射空気の圧力を２〜１４ｋｇ／ｃｍ²間で変化させ て測定した、図４に示す噴射空気の圧力と一定期間の製造鋼板の延べ長さに対す る測温誤差発生長さを示す測温誤差発生頻度との関係を示すグラフからも明らか なとおり、噴射空気の圧力が８ｋｇ／ｃｍ²未満では高圧空気噴射によるスプレ ーヘッダーからの飛散水や水蒸気の排除が十分でなく、測温誤差発生頻度が高く なり、操業データとしてフィードバックできないからである。

【００１１】

【実施例】

実施例１ 以下にこの考案の詳細を実施の一例を示す図１ないし図３に基いて説明する。 図１はこの考案の前面にハニカム状フィルターを、周囲に高圧空気の噴射口を有 するセンサーヘッドの一例を示すもので、（ａ）図は縦断面図、（ｂ）図は（ａ ）図のＡ−Ａ視図、図２はこの考案の前面にハニカム状フィルターを、周囲に高 圧空気の噴射口を有するセンサーヘッドの他の一例を示すもので、（ａ）図は縦 断面図、（ｂ）図は（ａ）図のＢ−Ｂ視図、図３は熱間圧延ラインのホットラン スプレーゾーンの鋼板裏面測温用に設置した場合の設置位置説明図である。

【００１２】 図３において、１〜４は熱間圧延ラインのホットランスプレーゾーンのホット ランテーブルローラー、５は熱間圧延材、６はホットランテーブルローラー１、 ２間に配設した熱間圧延材５冷却用下部ヘッダー、７はホットランテーブルロー ラー３、４間に配設した熱間圧延材５冷却用下部ヘッダー、８はホットランテー ブルローラー２、３間に配設したセンサーヘッドである。なお、熱間圧延材５の 上方には、図示していないが熱間圧延材５冷却用上部ヘッダーが配設されており 、熱間圧延材５はホットランスプレーゾーンを通過する間に所定の温度に冷却さ れるよう構成されている。

【００１３】 センサーヘッド８は、図１に示すとおり、前面にハニカム状フィルター９を、 周囲に高圧空気の噴射口１０を有し、中央にが開孔する測定ヘッド１１は、図示 しない放射温度計と光ファイバー１２を介して接続され、噴射口１０が開孔する 外套１３には８ｋｇ／ｃｍ²以上の高圧空気供給管１４が接続され、噴射口１０ から噴射されハニカム状フィルター９で整流された８ｋｇ／ｃｍ²以上の高圧空 気を熱間圧延材５裏面に吹付け、測定ヘッド１１への熱間圧延材５冷却用下部ヘ ッダー６、７からの飛散水、あるいは熱間圧延材５の冷却により発生した水蒸気 の侵入を防止するよう構成されている。

【００１４】 また、センサーヘッド８は、図２に示すとおり、前面のハニカム状フィルター １９と、周囲に高圧空気の噴射口２０を有し下部に傾斜羽根２１を有する回転部 ２２と、中央に測定ヘッド２３が開孔する固定部２４からなり、測定ヘッド２３ は図示しない放射温度計と光ファイバー２５を介して接続され、固定部２４には ８ｋｇ／ｃｍ²以上の高圧空気供給管２６が接続され、高圧空気供給管２６から 供給される８ｋｇ／ｃｍ²以上の高圧空気によって傾斜羽根２１を介して回転部 ２２が回転しつつ、噴射口２０から噴射されハニカム状フィルター１９で整流さ れた８ｋｇ／ｃｍ²以上の高圧空気を熱間圧延材５裏面に吹付け、測定ヘッド２ ３への熱間圧延材５冷却用下部ヘッダー６、７からの飛散水、あるいは熱間圧延 材５の冷却により発生した水蒸気の侵入を防止するよう構成されている。

【００１５】 上記のとおり構成したから、センサーヘッド８の測定ヘッド１１または２３は 、噴射口１０または２０から噴射されハニカム状フィルター９または１９で整流 された８ｋｇ／ｃｍ²以上の高圧空気が熱間圧延材５裏面に吹付けられ、測温面 への熱間圧延材５冷却用下部ヘッダー６、７からの飛散水、あるいは熱間圧延材 ５の冷却により発生した水蒸気、スケール粉等の侵入が防止される。したがって 、飛散水、水蒸気が多量に存在する悪環境下においても、熱間圧延材５裏面の温 度測定を測温誤差を抑制して正確に測定することができる。

【００１６】 実施例２ 実施例１の図１に示すセンサーヘッドを図３に示す熱間圧延ラインのホットラ ンスプレーゾーンのホットランテーブルローラー裏面に高圧空気噴射口から鋼板 裏面までの距離２００ｍｍで設置し、鋼板搬送速度５００ｍ／ｍｉｎ、鋼板温度 ６５０℃の条件下において、高圧空気噴射圧力１０ｋｇ／ｃｍ²で熱間圧延材裏 面に吹付けつつ、熱間圧延材裏面の温度測定を実施した。その場合における一定 期間の製造鋼板の延べ長さに対する測温誤差発生長さを示す測温誤差発生頻度は 、図５に示すとおりほぼ０％であった。 なお、比較のため、従来例として単に測定ヘッドの周囲空気噴射口から５ｋｇ ／ｃｍ²で熱間圧延材裏面に吹付けつつ、熱間圧延材裏面の温度測定を実施した 。その場合における一定期間の製造鋼板の延べ長さに対する測温誤差発生長さを 示す測温誤差発生頻度は、図５に示すとおりほぼ４０％であった。

【００１７】

【考案の効果】

以上述べたとおり、この考案によれば、飛散水、水蒸気が多量に存在する悪環 境下においても、熱間圧延材裏面の温度測定を測温誤差を抑制して正確に測定す ることができ、板厚、巻取温度制御等の制御に直接使用できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の前面にハニカム状フィルターを、周
囲に高圧空気の噴射口を有するセンサーヘッドの一例を
示すもので、（ａ）図は縦断面図、（ｂ）図は（ａ）図
のＡ−Ａ視図である。熱間圧延ラインのホットランスプ
レーゾーンの鋼板裏面測温用に設置した場合の設置位置
説明図である。

【図２】この考案の前面にハニカム状フィルターを、周
囲に高圧空気の噴射口を有するセンサーヘッドの他の一
例を示すもので、（ａ）図は縦断面図、（ｂ）図は
（ａ）図のＢ−Ｂ視図である。

【図３】この考案の温度測定装置を熱間圧延ラインのホ
ットランスプレーゾーンの鋼板裏面測温用に設置した場
合の設置位置説明図である。

【図４】噴射空気の圧力と測温誤差発生頻度との関係を
示すグラフである。

【図５】実施例２における本考案と従来例との測温誤差
発生頻度との比較を示すグラフである。

【符号の説明】

１、２、３、４ ホットランテーブルローラー ５ 熱間圧延材 ６、７ 冷却用下部ヘッダー ８ センサーヘッド ９、１９ ハニカム状フィルター １０、２０ 噴射口 １１、２３ 測定ヘッド １２、２５ 光ファイバー １３ 外套 １４、２６ 高圧空気供給管 ２１ 傾斜羽根 ２２ 回転部 ２４ 固定部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 鋼板の表裏面への冷却水のスプレーゾー
   ンにおいて、鋼板の下方でかつ搬送テーブルローラ間
   に、前面にハニカム状フィルターを、周囲に高圧空気の
   噴射口を有する測定ヘッドからなるセンサーヘッドを配
   設し、測定ヘッドと放射温度計を光ケーブルで接続する
   と共に、高圧空気の噴射口に８ｋｇ／ｃｍ²以上の高圧
   空気供給管を接続したことを特徴とする温度測定装置。