JPH06285Y2

JPH06285Y2 - スプリングブレーキ装置

Info

Publication number: JPH06285Y2
Application number: JP1988056803U
Authority: JP
Inventors: 博文梶塚; 克寛前田
Original assignee: 三輪精機株式会社
Priority date: 1988-04-27
Filing date: 1988-04-27
Publication date: 1994-01-05
Anticipated expiration: 2003-04-27
Also published as: JPH01161866U

Description

【考案の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本考案は、エアブレーキ系におけるスプリングブレーキ
装置に関し、特に、スプリングの伸長状態における付勢
力によってブレーキ作動状態を作り出すにように構成さ
れているスプリングブレーキ装置において、ブレーキ作
動状態およびその解除状態への移行時におけるエアの給
排気技術の改良に関する。

〔従来の技術〕

一般に、スプリングブレーキ装置は、エアブレーキ系に
あってはブレーキチャンバと組合せて、また、エアオー
バハイドロリックブレーキ系にあっては、ウエッジブレ
ーキと組合せさせて非常ブレーキとして、あるいは、パ
ーキングブレーキとして使用されることが多い。

この種のスプリングブレーキ装置においては、圧縮スプ
リングの伸長状態における付勢力によってブレーキ状態
を作り出し、他方、通常時のスプリングブレーキ非作動
状態は圧力室にエア（圧縮空気）を供給して前記スプリ
ングを短縮することにより作り出すように構成されてい
る。

〔考案が解決しようとする課題〕

このようなスプリングブレーキ装置においては、ブレー
キ作動解除状態からブレーキ作動状態への移行時にスプ
リングが伸長されるのに伴ってブレーキチャンバ内へ外
気が直接吸い込まれるため、外気のダストや水滴等が進
入してしまうおそれがある。

本考案の目的は、外気のダストや水滴等の侵入を防止す
ることができるスプリングブレーキ装置を提供すること
にある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案に係るスプリングブレーキ装置は、中空体に形成
されたスプリングブレーキ装置本体（２）内にはピスト
ン（３）が中空部を大気側チャンバ（６）と、圧力側チ
ャンバ（４）との２室に仕切るように配されて軸心方向
に摺動自在に嵌装されており、圧力側チャンバ（４）に
はエアを給排するための給排気回路が接続される導入口
（５）が開設され、大気側チャンバ（６）には圧縮スプ
リング（１１）が大気側チャンバ（６）の端面とピスト
ン（３）との間にピストン（３）を圧力側チャンバ
（４）の方向に付勢するように介設されており、さら
に、スプリングブレーキ装置本体２には操作部材（９）
が圧力側チャンバ（４）側から本体（２）の中心線上に
沿って挿入されており、操作部材（９）の一端はピスト
ン（３）に固着され、他端はプッシュロッド（１０）に
連動されているスプリングブレーキ装置において、前記大気側チャンバ（６）の大気連通口（７）には逆止
弁（８、８Ａ）が大気側チャンバ（６）から大気への流
通のみを許容するように介設されており、前記ピストン（３）には、設定圧力以下において圧力側
チャンバ（４）のエアが大気側チャンバ（６）への流通
のみを許容する制御弁（２０、２１）が介設されている
ことを特徴とする。

〔作用〕

圧力側チャンバの圧力が低下すると、大気側チャンバに
内装されたスプリングの伸長力により隔壁が圧力側チャ
ンバの方へ押されるため、大気側チャンバが容積を増加
させて行く。圧力側チャンバの圧力が設定値以下になる
と、制御弁により圧力側チャンバのエアが大気側チャン
バへ導入される。したがって、大気側チャンバは外気を
吸い込むことなく、その容積を増加することになる。

他方、圧力側チャンバの圧力が上昇すると、隔壁がスプ
リングの押力に抗して元の方向へ移動されるため、大気
側チャンバが容積を減少させて行く。このとき、制御弁
は設定値以上の圧力下において圧力側チャンバのエアが
大気側チャンバへ流通するのを阻止するため、圧力側チ
ャンバの圧力増加は確保される。そして、大気側チャン
バのエアは大気連通口に介設された逆止弁により大気へ
排出されるため、大気側チャンバは容積を減少して行く
ことができる。

〔実施例〕

第１図は本考案の一実施例であるスプリングブレーキ装
置を示す縦断面図、第２図はその取り付け状態を示す縦
断面図である。

本実施例において、本考案に係るスプリングブレーキ装
置１は略円筒形状の中空体に形成されている本体２を備
えており、本体２内には隔壁としてのピストン３が中空
部を２つのチャンバに仕切るように配されて、軸心方向
に摺動自在に嵌装されている。第１のチャンバ（以下、
圧力側チャンバという。）４は気密状態に構成されて導
入口５を開設されており、導入口５にはエアを給排する
ための給排気回路（図示せず）が接続されている。第２
のチャンバ（以下、大気側チャンバという。）６は開口
７を介して大気に連通されており、開口７には逆止弁８
が大気側チャンバ６内から外部への流通のみを許容する
ように装置されている。本体２にはパイプ形状に形成さ
れた操作部材９が圧力側チャンバ４側から本体２の中心
線上に沿って挿入されており、操作部材９の挿入端はピ
ストン３に固着されている。この操作部材９の突出端は
後述するブレーキ作動装置に、この操作部材９に螺合さ
れたプッシュロッド１０を介して連結されている。

大気側チャンバ６には圧縮スプリング１１が蓄力状態で
チャンバ６の端面とピストン３との間に介設されてお
り、スプリング１１はピストン３を圧力側チャンバ４側
の方向に付勢するように構成されている。

本体２における大気側チャンバ６の端面壁には、略円筒
形状に形成されているガイド１２が操作部材９と略同心
になるように配されて固着されており、ガイド１２の内
周面には雌ねじ１３が刻設されている。操作部材９の中
空部内には、外周に雄ねじ１５を刻設されているロッド
１４が中心線上に配設されており、ロッド１４の雄ねじ
１５はガイド１２の雌ねじ１３に回転、かつ、進退自在
に螺合されている。ロッド１４の操作部材９側端部には
係合部１６が一体的に突設されており、この係合部１６
は操作部材９の大気側チャンバ６側端部に内向きに突設
された係合部材１７に係合するように構成されている。
ロッド１４の他端部は本体２の外部に突出されており、
この突出端部にはスパナ等のような工具（図示せず）を
係合し得るナット１８が螺着されている。ロッド１４に
はピン１９が径方向に挿通されており、このピン１９お
よびナット１８はロッド１４を適当位置において固定し
得るようになっている。

本実施例において、ピストン３には制御弁としての逆止
弁２０が介設されており、この逆止弁２０は予め設定さ
れた圧力以下において、圧力側チャンバ４側から大気側
チャンバ６への方向のみについてのエアの流通を許容す
るように構成されている。

本体２における圧力側チャンバ４の端面壁外面には、ゴ
ム等のような弾性材料により伸縮自在な蛇腹形状に形成
されている防塵カバー２２が設けられており、このカバ
ー２２はその一端部においてチャンバ端面壁の外周に形
成されている環状溝２３に嵌合されている。

第２図はスプリングブレーキ装置１がエアオーバハイド
ロリックブレーキ系のウエッジブレーキ作動装置２４と
組合された場合を示している。

ウエッジブレーキ作動装置２４は、一対のブレーキシュ
ー２５、２５の自由端間に介設されているホイールシリ
ンダ２６と、このホイールシリンダ２６に進退自在にそ
れぞれ嵌挿されているピストン２７、２７と、両ピスト
ン２７の傾斜する端面間にローラ２９、２９を介して挟
挿されているウエッジ２８とを備えており、このウエッ
ジ２８をスプリングブレーキ装置１の操作部材９で押圧
するように構成されている。

次に作用を説明する。

第１図および第２図に示されている状態において、圧力
側チャンバ４にはエアが導入されており、ピストン３は
スプリング１１の付勢力に航して操作部材９を大気側チ
ャンバ６側方向に移動させている。

この操作部材９の移動により、ウエッジ２８はウエッジ
スプリング２８Ａの弾力によりピストン３０を介して操
作部材９側に押圧される。そして、第２図に示されてい
るように、ウエッジブレーキ作動装置２４は非作動状態
に制御され、車両走行時にはこの状態が維持されること
になる。

非常ブレーキ作動、あるいはパーキングブレーキ作動の
ために圧力側チャンバ４のエアが抜かれると、スプリン
グ１１の復元力によりピストン３および操作部材９等は
圧力側チャンバ４側へ移動される。この移動により、ブ
レーキ作動装置２４におけるウエッジ２８はローラ２９
を介して両ピストン２７、２７を押圧して両シュー２
５、２５を押し開き、これらをブレーキドラムに押接さ
せてブレーキ作動状態を作り出す。

スプリングブレーキ装置１の作用は大略前述の通りであ
るが、ブレーキ非作動状態からブレーキ作動状態へのピ
ストン３の移動時、大気側チャンバ６は容積を増加して
行くため、負圧になり大気を強力に吸い込むことにな
る。したがって、従来のように大気側チャンバが外気を
直接的に、かつ、強力に吸い込む構造においては、たと
え、吸入口にフィルタやストレーナを介設した場合であ
っても、外気中の水分や汚染異物が大量に侵入する可能
性がある。

しかし、本実施例においては、ピストンに逆止弁２０
が、大気側チャンバ６の開口７に逆止弁８がそれぞれ介
設されているため、外気が大気側チャンバ６に侵入する
ことはない。

すなわち、ブレーキ非作動状態からブレーキ作動状態へ
のピストン３の移動時、圧力側チャンバ４の圧力が予め
設定された設定値以下になると、逆止弁２０がバルブス
プリング２０ａにより開かれるため、圧力側チャンバ４
のエアが大気側チャンバ６へ流入することになる。この
圧力側チャンバ４からのエアにより、大気側チャンバ６
は外気を強制的に吸い込まずに、容積を増加して行くこ
とが可能になる。

他方、ブレーキ作動状態からブレーキ非作動状態へのピ
ストン３の移動時、大気側チャンバ６は容積を減少し、
圧力側チャンバ４は容積を増加して行く。このとき、エ
アの圧送に伴って、圧力側チャンバ４の圧力が設定値以
上になると、逆止弁２０がバルブスプリング２０ａに抗
して閉じられるため、圧力側チャンバ４のエアが大気側
チャンバ６へ流入することは阻止される。そして、大気
側チャンバ６の容積減少に伴って、大気側チャンバ６の
エアは大気に連通する開口７に介設された逆止弁８によ
り大気中に強制排気されることになる。したがって、こ
の場合にも外気が大気側チャンバ６に侵入することはな
い。

このようにして、本実施例によれば、ブレーキ非作動状
態からブレーキ作動状態への移行時、およびその逆の移
行時のいずれにおいても、外気がチャンバ内に直接的、
かつ、強制的に侵入することがないため、外気中の水分
や汚染異物による錆の発生等のような２次的障害の派生
は未然に防止されることになる。

第３図は本考案の他の実施例を示す縦断面図である。

本実施例２が前記実施例と異なる点は、ピストンに介設
された制御弁２１、および大気に連通する開口７に介設
された逆止弁８Ａの構成がそれぞれ異なる点にある。

すなわち、逆止弁８Ａはゴム等の弾性材料からなるチュ
ーブがその排気口側端部を閉じるように形成されて成
る。

また、制御弁２１はピストン３に開設されている弁室３
１と、弁室３１と圧力側チャンバ４とを連通させるよう
にピストン３に開設されている入口ポート３２と、弁室
３１と大気側チャンバ６と連通させるようにピストン３
に開設されている出口ポート３３と、出口ポート３３の
弁室３１側端部周りに形成されている弁座３４と、弁室
３１内に摺動自在に嵌挿されている制御ピストン３５
と、弁座３４に離着座するように制御ピストン３５に設
けられている弁体部３６と、制御ピストン３５内部に略
Ｔ字形状に開設されている弁通路３７と、弁通路３７の
一端側を開閉するようにピストン３５の胴部に外装され
ている逆止弁３８とを備えている。

ブレーキ非作動状態において、弁室３１の内圧は圧力側
チャンバ４の内圧と略同一になっており、制御ピストン
３５の弁座３４の有効径に加わる圧力によって弁体部３
６が弁座３４に着座され、出口ポート３３が閉じられて
いる。

ブレーキ作動状態への移行時、圧力側チャンバ４の内圧
が設定値以下になると、弁室３１における逆止弁３８の
外周方の圧力により、制御ピストン３５が圧力側チャン
バ４側へ摺動されるため、弁体部３６が弁座３４から離
間され、出口ポート３３が開かれる。これにより、弁室
３１および出口ポート３３を通じて、圧力側チャンバ４
のエアが大気側チャンバ６に供給されるため、大気側チ
ャンバ６は外気を吸入することなく、容積を増加するこ
とができる。

なお、本考案は前記実施例に限定されるものではなく、
その要旨を逸脱しない範囲において、種々変更可能であ
ることはいうまでもない。

例えば、圧力側チャンバのエアの大気側チャンバへの流
通を所定の圧力下においてのみ許容する制御弁として
は、前記実施例に示された構成を使用するに限らず、他
の構成を使用することができる。

また、大気側チャンバのエアを外気に排出させるための
逆止弁としても、前記実施例に示された構成を使用する
に限らず、他の構成を使用することができる。

前記実施例では、ウエッジ式のブレーキ作動装置を使用
した場合につき説明したが、本考案に係るスプリングブ
レーキ装置はエアブレーキ系にあっては、第４図に示さ
れているように、Ｓ字式カム３９を作動するエアブレー
キチャンバと組合せたスプリングブレーキ４０にも使用
することができる。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案によれば、外気がチャンバ
内に直接的に、かつ、強制的に侵入することを防止する
ことができるため、外気中の水分や汚染異物による錆の
発生等に起因するブレーキ系の２次的障害の派生を防止
することができる。

圧力側チャンバのエアを大気側チャンバに導入する制御
弁がピストンに介設されているため、制御弁が飛石等に
よって破損されるのを回避することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例であるスプリングブレーキ装
置を示す縦断面図、第２図はその取り付け状態を示す縦
断面図である。第３図は本考案の他の実施例を示す縦断面図である。第４図は本考案に係るスプリングブレーキ装置の他の適
用例を示す縦断面図である。１…スプリングブレーキ装置、２…本体、３…ピスト
ン、４…圧力側チャンバ、５…エア導入口、６…大気側
チャンバ、７…開口、８…逆止弁、９…操作部材、１０
…プッシュロッド、１１…スプリング、１２…ガイド、
１３…雌ねじ、１４…ロッドホルダ、１５…雄ねじ、１
６…係合部、１７…係合部材、１８…ナット、１９…ピ
ン、２０…逆止弁（制御弁）、２１…制御弁、２２…防
塵カバー、２３…環状溝、２４…ウエッジブレーキ作動
装置、２５…ブレーキシュー、２６…ホイールシリン
ダ、２７…ピストン、２８…ウエッジ、２８Ａ…スプリ
ング、２９…ローラ、３０…ピストン、３１…弁室、３
２…入口ポート、３３…出口ポート、３４…弁座、３５
…制御ピストン、３６…弁体部、３７…弁通路、３８…
排気弁、３９…Ｓ字カム、４０…スプリングブレーキ。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】中空体に形成されたスプリングブレーキ装
置本体（２）内にはピストン（３）が中空部を大気側チ
ャンバ（６）と、圧力側チャンバ（４）との２室に仕切
るように配されて軸心方向に摺動自在に嵌装されてお
り、圧力側チャンバ（４）にはエアを給排するための給
排気回路が接続される導入口（５）が開設され、大気側
チャンバ（６）には圧縮スプリング（１１）が大気側チ
ャンバ（６）の端面とピストン（３）との間にピストン
（３）を圧力側チャンバ（４）の方向に付勢するように
介設されており、さらに、スプリングブレーキ装置本体
（２）には操作部材（９）が圧力側チャンバ（４）側か
ら本体（２）の中心線上に沿って挿入されており、操作
部材（９）の一端はピストン（３）に固着され、他端は
ピッシュロッド（１０）に連動されているスプリングブ
レーキ装置において、前記大気側チャンバ（６）の大気連通口（７）には逆止
弁（８、８Ａ）が大気側チャンバ（６）から大気への流
通のみを許容するように介設されており、前記ピストン（３）には、設定圧力以下において圧力側
チャンバ（４）のエアが大気側チャンバ（６）への流通
のみを許容する制御弁（２０、２１）が介設されている
ことを特徴とするスプリングブレーキ装置。