JPH06280860A - 玉軸受装置 - Google Patents

玉軸受装置

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JPH06280860A
JPH06280860A JP3013794A JP3013794A JPH06280860A JP H06280860 A JPH06280860 A JP H06280860A JP 3013794 A JP3013794 A JP 3013794A JP 3013794 A JP3013794 A JP 3013794A JP H06280860 A JPH06280860 A JP H06280860A
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ball
ball bearings
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Susumu Takano
晋 高野
Rikuo Kubo
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 スクリューコンプレッサの回転軸2を支承す
る第一、第二の玉軸受5a、6aの耐久性向上を図る。 【構成】 それぞれがアンギュラ型玉軸受である第一、
第二の玉軸受5a、6aを、正面組み合わせで配置す
る。玉軸受装置にはプラスの隙間を設ける。反負荷側で
ある第二の玉軸受6aの接触角を、負荷側である第一の
玉軸受5aの接触角よりも小さくする。第一、第二の玉
軸受5a、6aに組み込む保持器16、16を外輪案内
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明に係る玉軸受装置は、ス
クリューコンプレッサの回転軸を回転自在に支持する為
に利用する。
【0002】
【従来の技術】スクリューコンプレッサの回転軸等、高
速で回転する軸を支承する為、図1に示す様な玉軸受装
置が、従来から使用されている。この玉軸受装置は、ス
クリューコンプレッサを構成するロータ1を固定した回
転軸2の外周面と、ハウジング3の内周面との間に設け
られる。尚、図1で4は、ラジアル方向の荷重Fr を支
承する為のころ軸受である。
【0003】本発明の対象である玉軸受装置は、上記回
転軸2の軸方向(図1の左右方向)に亙るアキシャル荷
重Fa を支承する為のもので、それぞれがアンギュラ型
である第一、第二の玉軸受5、6を組み合わせる事で構
成される。これら第一、第二の玉軸受5、6の接触角α
(後述する図2参照)の方向は、互いに逆方向で、且つ
互いの正面同士を対向させる正面組み合わせ(以下『D
F』とする。)としている。この為、上記回転軸2が図
1の左方に変位しようとする時は、同図で左方の第一の
玉軸受5がアキシャル荷重を支承し、同じく右方に変位
しようとする時は、右方の第二の玉軸受6がアキシャル
荷重を支承して、回転軸2及びロータ1が、ハウジング
3に対し変位する事を防止する。
【0004】尚、アンギュラ型の玉軸受を1対組み合わ
せる事で何れの方向のアキシャル荷重も支承できる様に
する組み合わせの型としては、図1に示した構造とは逆
に、第一、第二の玉軸受の背面同士を対向させて組み合
わせる、所謂背面組み合わせがある。しかしながら、こ
の様な背面組み合わせの構造を採用した場合には、上記
第一、第二の玉軸受の内輪側の作用点の間隔が大きくな
って、回転軸が傾斜する事に対する曲げ剛性が大きくな
る。従って、スクリューコンプレッサの回転軸2の様
に、傾斜が比較的大きくなる部材の支持に上記背面組み
合わせを使用すると、上記作用点部分に過大な面圧が作
用し易くなる。過大な面圧は、異常発熱や玉の転動面並
びに軌道面の疲れ寿命が低下する原因となる為、好まし
くない。従って、本発明の対象となる玉軸受装置は、図
1に示す様なDFである。
【0005】又、この玉軸受装置により支持される回転
軸2には、上記スクリューコンプレッサの使用時に、前
記ロータ1の回転に伴なってほぼ一定方向(図1では右
から左方向へ)のアキシャル荷重Fa が加わる。これ
は、ロータ1に加わる圧力の方向が決まっている為であ
る。尚、図1で7、8は間座、9は抑え金である。
【0006】ところで、上述の様に、それぞれがアンギ
ュラ型である第一、第二の玉軸受5、6をDFで組み合
わせて成る玉軸受装置は、回転軸2が高速で回転した場
合には、必ずしも十分な軸受寿命を得られない。この様
に高速回転に伴って軸受寿命が低下する原因に就いて、
図2により説明する。
【0007】図2は、高速回転で生じる遠心力に基づい
て、第一、第二の玉軸受5、6に加わる力を説明する為
の図である。上記回転軸2(図1)を高速で回転させた
場合、第一、第二の玉軸受5、6を構成する玉11、1
2に遠心力Fc1が加わる。そして、これら第一、第二の
玉軸受5、6を構成する玉11、12は、この遠心力F
c1に基づいて外輪軌道14、14に、Qin1 の力で、接
触角α方向から押し付けられる。そして、これら第一、
第二の玉軸受5、6を構成する玉11、12は、この力
in1 のアキシャル方向の分力Fain1で各外輪軌道1
4、14に、アキシャル方向に亙り押し付けられる。
【0008】そして、この分力によりFain1+Fain1
相当する内部アキシャル荷重が、互いに直列に組み合わ
された第一、第二の玉軸受5、6内で発生し、上記外輪
軌道14、14と玉11、12との接触面圧を増大させ
て、これら第一、第二の玉軸受5、6の疲れ寿命を低下
させてしまう。尚、高速回転時に於ける玉の遠心力を考
慮した玉軸受の疲れ寿命の計算は、1952年7月発行
のTrans. ASME 中に記載された論文である『The Life o
f High-Speed Ball Bearings』に示された理論に基づい
て行える。
【0009】上述の様な原因による寿命低下を防止すべ
く、第一、第二の玉軸受5、6を構成する玉11、12
を、軽量なセラミック材により造ったり、或は玉11、
12として小径のものを使用し、遠心力Fc1を小さくす
る試みもなされている。更には、上記第一、第二の玉軸
受5、6の接触角αを何れも小さくする事で、上記遠心
力Fc1に基づくアキシャル方向の分力Fain1を小さくす
る試みも行なわれている。
【0010】ところが、玉11、12を、縦弾性係数の
大きなセラミック材により造ると、特に外部荷重(例え
ば上記アキシャル荷重Fa )を支承する側の第一の玉軸
受5に於いて、外輪軌道14と玉11との接触面圧が、
軸受鋼製の玉を使用した場合よりも増大する。この結
果、第一の玉軸受5の疲れ寿命が低下し、第一、第二の
玉軸受5、6を組み合わせて成る玉軸受装置全体の疲れ
寿命が低下してしまう。又、玉11、12として小径の
ものを使用したり接触角αを小さくすると、第一、第二
の玉軸受5、6のアキシャル方向の負荷容量(基本動定
格荷重)が小さくなり、やはり疲れ寿命が低下してしま
う。
【0011】即ち、遠心力に基づく摩擦と発熱とを低減
し、上記第一、第二の玉軸受5、6の疲れ寿命を延長す
る為の技術が従来から、各種刊行物に記載されている。
先ず、雑誌『機械設計』の1988年(昭和63年)1
0月号には、玉径を小さくする事、接触角を小さく
する事、セラミック製の玉を使用する等玉の密度を小
さくする事が記載されている。しかしながら、単にこれ
ら〜の技術をDFで組み合わされた玉軸受装置に適
用しただけでは疲れ寿命が低下する事は、上述の通りで
ある。
【0012】一方、『NEW DEPARTURE 』、或は実開昭5
4−12656号公報には、1対のアンギュラ型玉軸受
を接触角の方向を互いに異ならせて組み合わせ、且つ、
負荷側の玉軸受の接触角を反負荷側の玉軸受の接触角よ
りも大きくする技術が記載されている。
【0013】図3〜4は、この様な刊行物に記載された
技術を元に構成した玉軸受装置を示している。この玉軸
受装置の場合には、使用時に外部から回転軸2に加わる
アキシャル荷重Fa を支承する負荷側(図3〜4の左
側)に設けられた、第一の玉軸受5aの接触角α1 より
も、使用時に上記アキシャル荷重Fa を支承しない反負
荷側(図3〜4の右側)に設けられた第二の玉軸受6a
の接触角α2 を小さく(α2 <α1 )している。
【0014】上述の様に、第一の玉軸受5aの接触角α
1 を第二の玉軸受6aの接触角α2よりも大きくする事
で、上記第一の玉軸受5aの負荷容量を十分に確保でき
る。この場合に於いて、上記接触角α1 を、前記従来か
ら一般的に知られた玉軸受装置に組み込まれた第一、第
二の玉軸受5、6の接触角αと同じ(α=α1 )とすれ
ば、遠心力に基づいてこの第一の玉軸受5aに作用する
アキシャル方向分力は、Fain1となる。又、第二の玉軸
受6aに加わるアキシャル方向分力はFain2となる。こ
の場合に於いて、この第二の玉軸受6aの接触角α2
は、上記第一の玉軸受5aの接触角α1 よりも小さい。
この為、上記第二の玉軸受6aに加わるアキシャル方向
分力Fain2は、前記従来装置の第二の玉軸受6に作用す
るアキシャル方向分力Fain1よりも小さく(Fain2<F
ain1)なる。この結果、第一、第二の玉軸受5a、6a
を組み合わせて成る玉軸受装置に発生する、遠心力に基
づく内部アキシャル荷重は、Fain1+Fain2となり、前
記従来装置に生じる内部アキシャル荷重Fain1+Fain1
よりも小さくなる。
【0015】この為、上記第一、第二の玉軸受5a、6
aを構成する玉11、12と外輪軌道14、14との接
触面圧が低下する。そして、第一、第二の玉軸受5a、
6aの転がり疲れ寿命の低下が抑えられ、これら第一、
第二の玉軸受5a、6aを組み合わせて成る玉軸受装置
の寿命低下を抑える事ができる。接触角α2 を小さくし
た第二の玉軸受6aのアキシャル方向の負荷容量は小さ
くなるが、この第二の玉軸受6aは稀に加わる軽荷重を
支承する、一種のバックアップ軸受としての機能しか持
たないので、負荷容量の減少は特に問題とはならない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述の様
な、従前から知られた各刊行物に記載された技術は、何
れも予圧を付与した状態で使用する事を前提に考えられ
たものであった。この為、本発明が対象としている様
な、スクリューコンプレッサ用の玉軸受装置として使用
した場合には、十分な耐久性を得る事ができない。即
ち、オーム社が発行している『軸受の設計』にも記載さ
れている様に、予圧を付与した玉軸受装置は振動を防止
し、剛性を高められる反面、摩擦と温度上昇とが増大
し、疲れ寿命が低下する。又、上記各刊行物に記載され
た技術は、玉を保持する保持器に就いての考慮はなされ
ていない。
【0017】一方、本発明の対象となる玉軸受装置が組
み込まれるスクリューコンプレッサは、超高速(例えば
dmn が70万〜200万mm・r.p.m)で回転する。この
為、玉11、12に予圧付与を行ない、所謂マイナスの
隙間を持った第一 第二の玉軸受5a、6aを使用した
場合には、予圧に基づいてこれら第一、第二の玉軸受5
a、6aの内部アキシャル荷重が増加し、異常発熱や疲
れ寿命の低下の原因となる。又、複数の玉を転動自在に
保持する為の保持器に就いても、その装着状況を工夫し
ない限り、著しい摩耗が発生して十分な耐久性を得られ
ない。本発明の玉軸受装置は、上述の様な事情に鑑みて
発明したものである。
【0018】尚、前述の論文『The Life of High-Speed
Ball Bearings』に示された理論は、本明細書中に記載
した計算寿命を求める場合の基礎となるものである。し
かしながら、この論文中には、玉軸受に予圧を付与せ
ず、プラス隙間を設けた状態で運転する場合の理論は開
示されていない。又、組み合わされた複数の玉軸受の接
触角等の条件を変えて遠心力の影響を減ずる方法も書か
れておらず、勿論、この様な方法による利害とその解決
方法も記載されていない。
【0019】更に、接触角、玉径等が互いに異なる複数
の玉軸受を組み合わせた構造としては、前述した各公報
の他、MRC Bearing Services発行の『PUMPAC The MRC B
earing System 』、John Wiley&Sons,Inc.,発行の『Ro
lling Bearing Analysis』、綿林英一編著の『転がり軸
受の選び方・使い方』等に記載されたものも、従来から
知られている。しかしながら、これら各刊行物に記載さ
れた構造は、本発明の玉軸受装置と用途を異にするもの
である。従って、これら何れの刊行物にも、上述の様な
摩耗、並びにその解決方法に関する記載はない。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の玉軸受装置は、
軸の外周面とハウジングの内周面との間に、それぞれが
アンギュラ型である第一、第二の玉軸受を、互いの接触
角の方向を異ならせて設け、使用時に上記軸とハウジン
グとの間に外部からほぼ一定方向に加わるアキシャル荷
重を、第一の玉軸受により支承するものである。
【0021】特に、本発明の玉軸受装置に於いては、上
記第一、第二の玉軸受はDFで配列されている。又、こ
れら第一、第二の玉軸受にプラスの隙間が付与されてい
る。又、上記第一の玉軸受の接触角よりも第二の玉軸受
の接触角が小さく、上記第一、第二の玉軸受を構成する
玉は保持器により転動自在に保持されている。そして、
これら保持器の外周面の一部はそれぞれ第一、第二の玉
軸受を構成する外輪の内周面の一部に近接する事で、外
輪案内により回転自在に支持されている。
【0022】
【作用】上述の様に構成される本発明の玉軸受装置は、
前述した既知の技術を組み合わせる事で得られる玉軸受
装置と同様に、使用時に外部から加わるアキシャル荷重
を支承する第一の玉軸受の負荷容量が大きい為、十分に
大きなアキシャル荷重を支承できる。又、使用時にこの
アキシャル荷重を支承しない第二の玉軸受は、遠心力に
基づく内部アキシャル荷重の増大を抑える。この為、1
対のアンギュラ型の玉軸受を組み合わせて成る玉軸受装
置全体としての、疲れ寿命の低下を抑える事ができる。
【0023】特に、本発明の玉軸受装置の場合には、第
一、第二の玉軸受がDFで配列されており、しかもプラ
スの隙間を持っている為、この玉軸受装置の運転時にも
予圧が加わる事がなく、予圧に基づく発熱や疲れ寿命の
低下を来す事がない。又、保持器が外輪案内で支持され
ている為、高速回転時にもこの保持器が傾斜しにくく、
この保持器の一部と軌道輪の一部とが強く擦れ合う事が
ない。
【0024】
【実施例】図5は本発明の第一実施例を示している。本
発明の玉軸受装置の場合も、前述の図3〜4に示した玉
軸受装置と同様に、互いに接触角が異なる第一の玉軸受
5aと第二の玉軸受6aとをDFにより組み合わせて、
スクリューコンプレッサを構成する回転軸2の外周面と
ハウジング3の内周面との間に装着している。又、これ
ら第一、第二の玉軸受5a、6aを構成する玉11、1
2にはプラスの隙間を付与している(予圧は付与してい
ない)。又、上記スクリューコンプレッサの回転時に上
記回転軸2には、図5の左方向のアキシャル荷重が加わ
る。従って、上記第一、第二の玉軸受5a、6aのう
ち、第一の玉軸受5aが上記アキシャル荷重に対する負
荷側の玉軸受となり、第二の玉軸受6aがこのアキシャ
ル荷重を支持しない、反負荷側の玉軸受となる。
【0025】本発明の玉軸受装置の場合には、前述の図
4に示した構造の場合と同様に、反負荷側の第二の玉軸
受6aの接触角を、負荷側の第一の玉軸受5aの接触角
よりも小さくしている。第二の玉軸受6aの接触角を小
さくした分だけ、使用時にこの第二の玉軸受6aを構成
する玉12に加わる遠心力に基づいて玉軸受装置の内部
で発生する内部アキシャル荷重が小さくなり、玉軸受装
置の耐久性をより向上させる事ができる。即ち、スクリ
ューコンプレッサの運転時に上記第一、第二の玉軸受5
a、6aに組み込まれた玉11、12は、前述の様に遠
心力に基づいてそれぞれが対向する外輪軌道14、14
に押し付けられる。そして、この押し付け力のうちのア
キシャル方向の分力により、上記第一、第二の玉軸受5
a、6aにより構成される玉軸受装置の内部アキシャル
荷重が増大する。この内部アキシャル荷重は、前述の様
に玉軸受装置の発熱量の増大や疲れ寿命の低下に結び付
く為、できるだけ小さくする必要がある。
【0026】これに対して本実施例の場合には、上記第
二の玉軸受6aの接触角が小さい為、この玉12に加わ
る遠心力に基づいて発生する内部アキシャル荷重を小さ
く抑えられる。従って、内部アキシャル荷重に基づく発
熱の増大や疲れ寿命の低下を軽度に抑える事が可能とな
り、玉軸受装置の耐久性向上を図れる。第二の玉軸受6
aの接触角を小さくする事で、この第二の玉軸受6aの
負荷容量は小さくなるが、第二の玉軸受6aに加わる負
荷は小さいので、実用上十分な耐久性を確保できる。
【0027】又、本発明の玉軸受装置の場合には、第
一、第二の玉軸受5a、6aがDFで配置されており、
しかもプラスの隙間を持っている。従って、これら第
一、第二の玉軸受5a、6aにより構成される玉軸受装
置の運転時に、予圧に基づく発熱や疲れ寿命の低下を来
す事がない。又、回転軸2が僅かに傾いた場合でも、D
Fである事とプラスの隙間を持っている事とで、この傾
きを許容できる。従って、傾きのモーメントによって上
記第一、第二の玉軸受5a、6aの一部に過大な応力が
加わる事がなくなり、やはり、玉軸受装置の耐久性の向
上を図れる。
【0028】例えば、本発明者が内径25mm、外径62
mm、幅17mmのアンギュラ型玉軸受(7305型)を2
個、製作時の測定アキシャル隙間が0.030mmとなる
様にして、DFで組み合わせ、67kgf のアキシャル荷
重を受けつつ、回転数23000r.p.m.で回転する回転
軸に装着した場合に於ける、第一、第二の玉軸受の転が
り疲れ寿命を計算した結果を、下記の第1表に示す。
尚、アキシャル荷重を受ける第一の玉軸受(負荷側軸
受)の接触角は総て30度とし、第二の玉軸受(反負荷
側軸受)の接触角は、15度、30度、40度の3種類
に就いて計算した。
【0029】尚、この計算中、回転軸2の外周面と内輪
10、10の内周面との間の締め代を0.012mm、ハ
ウジング3の内周面と外輪13、13の外周面との間の
締め代を0mm、外輪13、13の温度を80℃、内輪1
0、10の温度を85℃、回転軸2の材質を鋼、ハウジ
ング3の材質を鋳鉄とした。尚、dmn (玉11、12の
ピッチ円の直径dm(mm)と回転数n (r.p.m.)との積)
は約100万となる。又、ラジアル方向の荷重Fr は0
とした。これらの条件は、スクリューコンプレッサ用玉
軸受装置として一般的な条件である。そして、この様な
条件によれば、第一、第二の玉軸受5a、6aに適正な
プラス隙間を付与する事で、dmn が70〜200万、更
にはdmn が80〜300万と言った様な、超高速回転を
連続して行なわせる事が可能となる。
【0030】第1表
【表1】
【0031】又、上記した各条件のうち、回転速度(dm
n )及びラジアル荷重Fr とアキシャル荷重Fa との比
(Fr /Fa )を変えて、これら各要素(dmn 、Fr
a)が玉軸受装置の疲れ寿命に及ぼす影響に就いて計
算したところ、図6に示す様な結果が得られた。尚、こ
の計算の前提条件として、負荷側の第一の玉軸受5aの
接触角は30度、反負荷側の第二の玉軸受6aの接触角
は15度とした。この図6で、X軸は上記ラジアル荷重
r とアキシャル荷重Fa との比(Fr /Fa)を、Y
軸は回転速度(dmn )を、Z軸は前記図1〜2に示した
従来構造の寿命L0 に対する寿命の比(L/L0 )を、
それぞれ表している。この図6の記載から明らかな通
り、本発明の玉軸受装置によれば、回転速度(dmn )が
70〜200万、荷重比(Fr /Fa )が2以下(Fr
≦2Fa )の範囲で顕著な効果を発揮する。
【0032】上述の計算結果から明らかな通り、反負荷
側の第二の玉軸受6aの接触角α2を小さくした玉軸受
装置は、玉12と外輪軌道14及び内輪軌道15との間
に滑りが生じない限り、従来の玉軸受装置に比べて大幅
に寿命が長くなる。但し、上記表並びに図6に記載した
寿命は、反負荷側の第二の玉軸受6aを構成する玉12
の転動面と外輪軌道14及び内輪軌道15との間に滑り
が発生しない場合の数値を示している。この滑りが発生
しない限り、上記反負荷側の第二の玉軸受6aの接触角
α2 を小さくし、且つ第一、第二の玉軸受5a、6aに
プラス隙間を付与する事で、図1〜2に示した従来装置
に比べて大幅な寿命延長を図れる。
【0033】更に、本発明の玉軸受装置の場合には、上
記各玉11、12を保持器16、16により転動自在に
保持している。各保持器16、16は、所謂もみ抜き保
持器と呼ばれるもので、円筒状の主部17、17に玉1
1、12を転動自在に保持する為のポケット18、18
を形成して成る。この様な保持器16、16は、それぞ
れ第一、第二の玉軸受5a、6aを構成する外輪13、
13の内側に、所謂外輪案内で装着している。図示の実
施例の場合には、これら各保持器16、16の軸方向
(図5の左右方向)一端部外周面と、外輪13、13の
内周面片肩部、即ち外輪軌道14、14から外れた部分
とを、微小隙間を介して互いに対向させて、所謂外輪片
肩案内としている。
【0034】この様に、上記各保持器16、16の案内
状態を外輪案内とする理由は、次の通りである。即ち、
玉軸受装置としての一般的な使用状態、即ち、dmn が7
0万以下で、且つ第一、第二の玉軸受5a、6aに予圧
が付与されて、運転時に振動の発生が少ない状態であれ
ば、保持器16、16の案内条件を特に規制する必要は
ない。一方、本発明の対象となる、スクリューコンプレ
ッサに組み込まれる玉軸受装置の場合には、dmn が70
万を上回る超高速領域で、プラスのアキシャル隙間を付
与した状態で運転される。しかも、スクリューコンプレ
ッサ特有のアキシャル荷重の変動により振動が多くな
る。この様な使用状態で、上記各保持器16、16の案
内面の摩耗を抑える為には、この保持器16、16の傾
斜を抑える事ができる外輪案内とする事が必要である。
【0035】これに対して、これら保持器16、16を
転動体案内、或は内輪案内とした場合には、運転時の遠
心力等に基づいて(内輪10及び外輪13に比べて剛性
が低い)保持器16、16の径が弾性的に広がる事に伴
い、案内面の間隔が広がって、十分な案内を行なえなく
なる。この状態でこれら保持器16、16に運転時の振
動が加わると、保持器16、16の表面と相手面とが狭
い面積で接触し、異常摩耗等の不都合の原因となる。外
輪案内とした場合には、遠心力に伴って保持器16、1
6の径が広がる傾向となっても、案内面(保持器16、
16の外周面及び外輪13、13の内周面)の間隔が広
がる事はない。又、この案内面の間には潤滑油が存在す
る為、この案内面同士が直接擦れ合う事はない。従っ
て、保持器16、16を外輪案内とする事で、上記案内
面の異常摩耗を有効に防止できる。特に、図5に示す様
な外輪片肩案内に代えて、図7に示した第二実施例の様
に、外輪両肩案内とすれば、この効果はより確実にな
る。尚、保持器16、16として銅合金製の保持器を使
用すれば、この保持器16、16の強度を高くして、保
持器16、16の損傷防止を有効に図れる。
【0036】次に、図8は本発明の第三実施例として、
スクリューコンプレッサの回転軸2の支持部分のより具
体化した構造を示している。回転軸2の外周面とハウジ
ング3の内周面との間には、このハウジング3内に収納
されたロータ1の側から順に、ラビリンスシール等の非
接触型のシール、或はメカニカルシール等の接触型のシ
ール等のシール装置19と、ラジアル荷重を支承する為
のころ軸受4と、本発明の玉軸受装置を構成する第一の
玉軸受5a及び第二の玉軸受6aとを、互いに直列に配
設している。又、上記ころ軸受4の内輪20と上記第一
の玉軸受5aとの間には間座7を、上記ころ軸受4の外
輪21と上記第一の玉軸受5aの外輪13との間にはノ
ズルリング22を、それぞれ挟持している。
【0037】上記ノズルリング22の両側面内周寄り部
分は、内周縁に向かう程互いに近づく方向に傾斜した、
円錐凹面状の傾斜面としている。そして両傾斜面の円周
方向1個所乃至は複数個所に、ノズル孔23、23を開
口させている。各ノズル孔23、23は、上記傾斜面に
対して垂直方向に形成している。上記傾斜面を設けるの
は、傾斜方向のノズル孔23、23を形成する作業の容
易化を図る為である。従って、これら各ノズル孔23、
23は、直径方向斜め内方に向けて開口している。そし
て、これら各ノズル孔23、23には、上記ハウジング
3及び上記ノズルリング22内に形成した給油通路24
を介して、潤滑油を送り込み自在としている。
【0038】一方、上記第一、第二の玉軸受5a、6a
に組み込まれた保持器16a、16aの軸方向(図8の
左右方向)両端部内周面は、端縁部に向かう程内径が大
きくなる、円錐凹面状の傾斜面としている。従って、上
記各玉軸受5a、6aを構成する内輪10、10の外周
面と上記各保持器16a、16aの内周面との間に存在
する空間の、直径方向(図8の上下方向)に亙る幅寸法
は、開口端部に向かう程大きくなる。この結果、上記ノ
ズル孔23から噴出する潤滑油を、上記第一、第二の玉
軸受5a、6a内に送り込む効率が向上する。従って、
これら各玉軸受5a、6aにより構成される玉軸受装置
が超高速で運転される場合にも、これら各玉軸受5a、
6a内に十分量の潤滑油を取り込む事が可能となる。
【0039】ノズル孔23が開口する方向、並びに上記
各保持器16a、16aの内周面の形状を上述の様にし
た理由は、次の通りである。即ち、本発明の玉軸受装置
は、前述した従来装置に比べて寿命を大幅に延長する事
ができる。従って、従来と同じ大きさで造った場合に要
求寿命を大幅に上回る様な場合には、第一、第二の玉軸
受5a、6aの寸法系列を小さくして、内径を変える事
なく外径を小さくする事ができる。これにより、玉軸受
装置の小型化、低廉化が可能となるが、寸法系列の小さ
な玉軸受は内部空間が狭い。この為、スクリューコンプ
レッサで一般的に行なわれているジェット給油(高速回
転に基づいて軸受の内部に発生する空気の壁を破って、
軸受の内部に潤滑油を送り込む潤滑方法)を行ないにく
くなる。そこで、上述の様なノズル孔23、23の開口
方向と保持器16a、16aの内周面形状とを採用する
事により、上記ジェット給油を可能とする。
【0040】尚、上記ノズル孔23の回転軸2に対する
傾斜角度は、15度程度が最適であるが、10〜20度
の範囲で設定可能である。又、このノズル孔23を有す
る、外輪間座としての機能を兼ね備えたノズルリング2
2は、硬度が HRc56〜66(更に好ましくは HRc60
〜62)の範囲の鋼材により造るのが好ましい。これ
は、スクリューコンプレッサの運転時に生じる特有の振
動により、互いに当接するこのノズルリング22の両側
面と、ころ軸受4及び第一の玉軸受5aの外輪21、1
3の端面とにフレッチング摩耗が発生する事を防止する
為である。第一、第二の玉軸受5a、6aをDFで組み
合わせ、しかも各玉軸受5a、6aにプラスの隙間を設
ける点、保持器16a、16aを外輪案内とする点等
は、前述した第一〜二実施例と同様である。
【0041】尚、本発明の趣旨は、 反負荷側に配置される第二の玉軸受6aの接触角を
小さくする事で、上記第二の玉軸受6a部分で発生する
内部アキシャル荷重の大きさを抑える点 第一、第二の玉軸受5a、6aにプラスの隙間を設
け、予圧に基づく発熱の増大や疲れ寿命の低下を抑える
点 第一、第二の玉軸受5a、6aをDFで配置する事
で、上記プラス隙間の設定との併用で、回転軸2の傾斜
に対する許容限度を高める点 保持器16、16aを外輪案内とする事により、ス
クリューコンプレッサの様に超高速回転し、しかも運転
時に振動が加わる様な場所でも安定した運転を可能にす
る点 にある。これら〜の特徴を備える事により本発明
は、dmn が70万〜200万と言った高速回転で使用さ
れるスクリューコンプレッサの回転軸2の支持を安定し
て行なえ、しかも実用的な耐久性を得られる。
【0042】但し、より高度の耐久性を得る為には、第
一、第二の玉軸受5a、6aの外輪軌道14、14、内
輪軌道15、15の断面形状の曲率半径を工夫する事が
好ましい。即ち、第一、第二の玉軸受5a、6aにプラ
スの隙間を設け、しかも第二の玉軸受6aを無負荷状態
で運転した場合、この第二の玉軸受6aを構成する玉1
2が転動しにくくなって、この第二の玉軸受6a内で、
滑りに基づく著しい摩耗が発生する事が考えられる。そ
こで、第二の玉軸受6aの接触角を小さくする場合に
は、上記第二の玉軸受6aの外輪軌道14の断面形状の
曲率半径re2及び内輪軌道15の断面形状の曲率半径r
i2を、玉12の外径dとの関係で規制する事により、上
記寿命の短縮に結び付く様な滑りの発生を防止する事が
好ましい。
【0043】即ち、第二の玉軸受6aの接触角を小さく
する場合には、図9に示す様に、第二の玉軸受6aを構
成する外輪13の外輪軌道14の断面形状の曲率半径r
e2と、上記第二の玉軸受6aを構成する内輪10の内輪
軌道15の断面形状の曲率半径ri2と、この第二の玉軸
受6aを構成する玉12の外径dとの関係を、 0.53d≦re2≦0.56dであり、且つ 0.505d≦ri2≦0.52d とする。
【0044】上記各軌道14、15の断面形状の曲率半
径re2、ri2を上述の範囲に規制する事により、これら
各軌道14、15と玉12の転動面との滑りを防止でき
る理由に就いて、図9により説明する。この図9の鎖線
は、従来から一般的に知られたアンギュラ型玉軸受の外
輪軌道14aの断面形状を表している。この一般的な玉
軸受の場合、外輪軌道14aの断面形状の曲率半径re2
´は、同図に実線で示した、本実施例に於ける外輪軌道
14の断面形状の曲率半径re2よりも小さい(re2´<
e2)。
【0045】一方、玉12の転動面と上記各軌道14
a、15との間にプラスの隙間を設けた場合には、遠心
力に基づいて玉12が直径方向外方(図9の上方)に変
位する。そしてこの変位に基づいて、上記玉12の転動
面と外輪軌道14aとの接触点Pが、この外輪軌道14
aの外方(内径が大きくなった部分)に移動する。そし
て、上記鎖線で示した従来形状の場合には、この接触点
Pが正規の位置からlだけ変位した時点で、上記玉2と
外輪軌道14aとの接触角が0度になる。この様に接触
角が0度になった状態では、この外輪軌道14aが上記
玉12を内輪軌道15に向けて押圧する力が殆どなくな
る。従って、玉12の転動面と内輪軌道15との接触圧
が殆どなくなり、この玉12は遠心力に基づいて上記外
輪軌道14aに押し付けられたまま、殆ど転動しなくな
る。この結果、この玉12の転動面と内輪軌道15との
間で異常な滑りが発生し、これら転動面及び内輪軌道1
5に著しい摩耗を発生する。
【0046】これに対して、第二の玉軸受6aを構成す
る外輪13内周面の外輪軌道14の断面形状の曲率半径
e2を0.53d〜0.56dと、内輪軌道15の断面
形状の曲率半径ri2(=0.505d〜0.52d)よ
りも大きくする(re2>ri2)と、上述の様な滑りに基
づく著しい摩耗が発生しない。即ち、上記曲率半径re2
を大きくした事に伴い、玉12の接触角が0度になる為
には、上記接触点Pが正規の位置からL(>l)だけ変
位しなければならなくなる。これに対して内輪軌道15
の断面形状の曲率半径ri2は比較的小さい為、上記玉1
2がL分変位する以前に、この玉12の転動面と上記内
輪軌道15とが当接する。この結果、上記玉12が遠心
力に基づいて直径方向外方に変位した場合でも、この玉
12の転動面と外輪軌道14及び内輪軌道15との当接
状態が確保され、且つ、当接部に十分な面圧が作用す
る。従って、上記玉12は玉軸受装置の運転に伴って転
動する。この結果、この玉12の転動面と内輪軌道15
との間に異常な滑りが発生する事を防止できて、前述し
た様な著しい摩耗の発生を確実に防止できる。
【0047】上述の説明から明らかな通り、プラス隙間
を付与して無負荷状態で運転される第二の玉軸受6a
に、著しい摩耗に結び付く様な滑りが発生するのを防止
する為には、内輪軌道15の断面形状の曲率半径ri2
小さく、外輪軌道14の断面形状の曲率半径re2を大き
くすれば良い。但し、軌道面の曲率半径は、玉12の転
動を円滑に行なわせる必要上、玉12の外径dとの関係
で、或る程度以上(0.505d以上)確保する必要が
ある。従って、内輪軌道15の断面形状の曲率半径ri2
も、0.505d以上としなければならない。一方、軌
道面の曲率半径を大きくし過ぎると、当該軌道面と玉1
2の転動面との接触面積が狭くなり、上記第二の玉軸受
6aに負荷が加わった場合、或は遠心力に基づいて玉1
2が外輪軌道14に押し付けられた場合に、当該接触部
に加わる面圧が大きくなり過ぎて、この第二の玉軸受6
aの寿命を短くする原因となる。従って、上記外輪軌道
14の断面形状の曲率半径re2を0.56dを越えて大
きくする事は好ましくない。
【0048】以上の説明から、内輪軌道15の断面形状
の曲率半径ri2は0.505d以上(ri2≧0.505
d)とし、外輪軌道14の断面形状の曲率半径re2
0.56d以下(re2≦0.56d)としなければなら
ない事が解る。更に、上記滑りの発生を防止する為に
は、内輪軌道15の断面形状の曲率半径ri2を外輪軌道
14の断面形状の曲率半径re2よりも十分に小さくする
(ri2<re2)必要がある事は、やはり前述の説明から
明らかである。これらの理由から、第二の玉軸受6aの
接触角を小さくし、しかも滑りに基づく耐久性低下を確
実に防止するのであれば、上記各曲率半径ri2、r
e2を、次の範囲に規制する事が好ましい。
【0049】0.505d≦ri2≦0.52d 0.53d≦re2≦0.56d 更に好ましくは、 0.505d≦ri2<0.51d 0.53d<re2≦0.56d とする。そして、最も好ましい値は、 ri2=0.505d re2=0.54d である。上記各曲率半径ri2、re2をこの様な範囲に規
制する事で、玉12の転動面と内輪軌道15及び外輪軌
道14との当接部の接触面圧を低く抑えつつ、前述した
様な滑りに基づく異常摩耗の発生を防止できる。
【0050】更に、運転時に負荷を受けつつ回転する第
一の玉軸受5aの内輪軌道15及び外輪軌道14の断面
形状の曲率半径を規制する事で、プラス隙間を付与して
無負荷状態で運転される第二の玉軸受6aに滑りが発生
する可能性を、より少なくできる。この理由に就いて図
10により説明する。上記滑りは、第二の玉軸受6aを
構成する玉12が遠心力に基づいて外輪軌道14の大径
側に変位し、しかもこの玉12の転動面と内輪軌道15
との当接圧が零若しくは零に近くなった状態で発生す
る。従って、上記滑りの発生を防止する為には、上記第
二の玉軸受6aを構成する内輪10外周面の内輪軌道1
5が、玉12から離れる方向(図10の左方向)に変位
するのを防止する事が効果がある。一方、この内輪10
は、上記第一の玉軸受5aに加わるアキシャル荷重が大
きい場合には、この第一の玉軸受5aを構成する玉11
の転動面と外輪軌道14及び内輪軌道15との当接部分
の弾性変形に基づいて、図10の左方向に変位する。こ
の事から明らかな通り、負荷状態で運転される第一の玉
軸受5aの弾性変形を少なく抑える事が、無負荷状態で
運転される第二の玉軸受6aの滑り防止に効果がある。
【0051】上記弾性変形を少なく抑える為には、上記
第一の玉軸受5aの外輪軌道14の断面形状の曲率半径
e1と、内輪軌道15の断面形状の曲率半径ri1とを、
この第一の玉軸受5aを構成する玉11の外径d´(本
実施例の場合にはd´=d)の1/2に近づける(但
し、前述した理由で0.505d´以上)事が効果があ
る。但し、上記両曲率半径re1、ri1を何れも上記外径
d´の1/2に近づけると、外輪13の中心軸と内輪1
0の中心軸とが傾斜した場合に、玉11の転動面と外輪
軌道14及び内輪軌道15との接触部分に無理な力が加
わり、上記第一の玉軸受5aが破損し易くなる。前述の
様に、本発明の玉軸受装置が組み込まれるスクリューコ
ンプレッサの場合、上記内輪10を外嵌した回転軸2
(図1、3、5、7、8)が傾斜し易い為、この様な事
態を避けるべく、上記各曲率半径re1、ri1を或る程度
大きくする必要がある。
【0052】そこで、本実施例の場合には、回転軸2の
傾斜により第一の玉軸受5aが破損する事を防止しつ
つ、上記第一の玉軸受5aを構成する内輪10が図10
の左方向に変位する事を防止する為、上記曲率半径
e1、ri1を、次の(1)〜(3)の条件を満たす様に
規制する。 ri1≦re1 −−− (1) ri1≦0.52d´ −−− (2) ri1+re1≧1.03d´ −−− (3)
【0053】上記(1)〜(3)の条件の内、(1)
(2)の条件は、玉12の転動面と内輪軌道15との当
接部の弾性変形を小さくして(当接部の接触面積を広く
して)、内輪10が図10の左方向に変位する事を防止
する為に必要である。又、(3)の条件は、回転軸2が
傾斜した場合に、第一の玉軸受5aに無理な応力が加わ
る事を防止する為に必要である。接触角α2 が小さく、
無負荷状態で運転される第二の玉軸受6aの外輪軌道1
4及び内輪軌道15の断面形状の曲率半径re2、ri2
前述の様に規制するだけでなく、接触角α1 が大きく、
負荷状態で運転される第一の玉軸受5aの断面形状の曲
率半径re1、ri1を上述の様に規制する事で、これら第
一、第二の玉軸受5a、6aを組み合わせて成る玉軸受
装置の寿命を、前記従来の玉軸受装置に比べて大幅に延
長できる。
【0054】尚、玉軸受装置を構成する第一の玉軸受5
aの計算寿命L5aと第二の玉軸受6aの計算寿命L6a
の関係は、3L5a≦L6aとする事が、これら両玉軸受5
a、6aを組み合わせて成る玉軸受装置の計算寿命LT
を確保する面から好ましい。この理由は次の通りであ
る。複数の玉軸受を組み合わせて成る玉軸受装置の計算
寿命は、最も計算寿命が短い玉軸受(短寿命軸受)の計
算寿命と一致するのではなく、これよりも短くなる事、
計算寿命の長い玉軸受(長寿命軸受)の計算寿命に影響
される事、更には長寿命軸受の計算寿命が長くなる程、
玉軸受装置の計算寿命LT が短寿命軸受の計算寿命に近
づく事は、従来から知られている。
【0055】一方、使用時にアキシャル荷重を受ける第
一の玉軸受5aの計算寿命L5aを長くする事は難しい反
面、この様なアキシャル荷重を受けない第二の玉軸受6
aの計算寿命L6aを長くする事は容易である。従って、
本発明の玉軸受装置の場合には、第一の玉軸受5aの計
算寿命L5aを短寿命軸受の計算寿命と考え、第二の玉軸
受6aの計算寿命L6aを長寿命軸受の計算寿命と考える
事ができる。そこで、これら第一、第二の玉軸受5a、
6aの計算寿命L5a、L6aの比(L6a/L5a)と、これ
ら両玉軸受5a、6aを組み合わせて成る玉軸受装置の
計算寿命LT と上記第一の玉軸受5aの計算寿命L5a
の比との関係を示すと、図11の様になる。この図11
は、従来から知られた組み合わせ軸受の計算寿命を求め
る為の計算式に基づいて描いたものである。この図11
から明らかな通り、第二の玉軸受6aの計算寿命L6a
第一の玉軸受5aの計算寿命L5aの3倍以上にすれば、
玉軸受装置の計算寿命LT を第一の玉軸受5aの計算寿
命L5aの80%以上にできる。
【0056】勿論、第二の玉軸受6aの計算寿命L6a
第一の玉軸受5aの計算寿命L5aに比べて大幅に長くす
れば、上記玉軸受装置の計算寿命LT を第一の玉軸受5
aの計算寿命L5aに、より近づける事ができる。但し、
第二の玉軸受6aの計算寿命L6aを第一の玉軸受5aの
計算寿命L5aの3倍を大幅に越えて延長しても、計算寿
命L6aを伸ばす事に要するコストに比べて、それにより
得られる玉軸受装置の計算寿命LT の延長効果は少な
い。従って、全体のコストを考えた場合、第二の玉軸受
6aの計算寿命L6aは、上記第一の玉軸受5aの計算寿
命L5aの3倍を上回る程度にする事が適当である。
【0057】更に、図示は省略したが、反負荷側の第二
の玉軸受を構成する玉の数を、負荷側の第一の玉軸受を
構成する玉の数よりも少なくする事で、上記内部アキシ
ャル荷重を小さくする事もできる。玉の数を減らす事で
負荷容量は小さくなるが、第二の玉軸受に加わる負荷は
小さいので、玉の数を減らした場合でも、実用上十分な
耐久性を確保できる。この様に第二の玉軸受を構成する
玉の数mを第一の玉軸受を構成する玉の数nよりも少な
く(m<n)する場合、上記少ない数mを多い数nの7
0〜80%(m=(0.7〜0.8)n)に規制する事
が好ましい。80%を越える数の玉を組み込んだ場合に
は、内部アキシャル荷重を低減する効果が不十分にな
る。反対に、70%に満たない場合には、隣り合う玉の
間隔が広くなり過ぎて、円滑な回転を妨げてしまう。こ
の様に、反負荷側の第二の玉軸受を構成する玉の数を、
負荷側の第一の玉軸受を構成する玉の数よりも少なくす
る技術は、本発明と組み合わせて実施できる他、本発明
とは独立した形でも実施できる事は明らかである。
【0058】尚、図示の実施例は何れも、1対のアンギ
ュラ型玉軸受をDFで組み合わせた例に就いて示した
が、運転時にアキシャル荷重Fa を支承する第一の玉軸
受を複数個、互いに並列に設け、これら複数個の第一の
玉軸受とアキシャル荷重Fa を支承しない1個の第二の
玉軸受とを、DFで組み合わせる事もできる。
【0059】
【発明の効果】本発明は、以上に述べた通り構成され作
用する為、外部アキシャル荷重に対する負荷容量を十分
に確保しつつ、内部アキシャル荷重の低減を図って、玉
軸受装置の耐久性向上を図れる。しかも、回転軸の傾斜
に対する許容度も大きく、且つ滑りに伴う異常摩耗も確
実に防止できる為、より優れた耐久性を確実に得る事が
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来装置を示す断面図。
【図2】同じく要部断面図。
【図3】既知の刊行物に基づいて考えた玉軸受装置の断
面図。
【図4】同じく要部断面図。
【図5】本発明の第一実施例を示す要部断面図。
【図6】回転速度並びにアキシャル荷重とラジアル荷重
との比が玉軸受装置の寿命に及ぼす影響を示す線図。
【図7】同第二実施例を示す要部断面図。
【図8】同第三実施例を示す断面図。
【図9】第二の玉軸受の断面を、軌道の曲率半径を誇張
して示す断面図。
【図10】反負荷側の玉軸受に滑りが発生する状態を示
す、図4と同様の断面図。
【図11】第一の玉軸受の計算寿命と第二の玉軸受の計
算寿命との比と、これらが組み合わされて成る玉軸受装
置の計算寿命と第一の玉軸受の計算寿命との比との関係
を示す線図。
【符号の説明】
1 ロータ 2 回転軸 3 ハウジング 4 ころ軸受 5、5a 第一の玉軸受 6、6a 第二の玉軸受 7、8 間座 9 抑え金 10 内輪 11、12 玉 13 外輪 14、14a 外輪軌道 15 内輪軌道 16、16a 保持器 17 主部 18 ポケット 19 シール装置 20 内輪 21 外輪 22 ノズルリング 23 ノズル孔 24 給油通路

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸の外周面とハウジングの内周面との間
    に、それぞれがアンギュラ型である第一、第二の玉軸受
    を、互いの接触角の方向を異ならせて設け、使用時に上
    記軸とハウジングとの間に外部からほぼ一定方向に加わ
    るアキシャル荷重を、第一の玉軸受により支承する玉軸
    受装置に於いて、上記第一、第二の玉軸受は正面組み合
    わせで配列されており、これら第一、第二の玉軸受にプ
    ラスの隙間が付与されており、上記第一の玉軸受の接触
    角よりも第二の玉軸受の接触角が小さく、上記第一、第
    二の玉軸受を構成する玉は保持器により転動自在に保持
    されており、これら保持器の外周面の一部はそれぞれ第
    一、第二の玉軸受を構成する外輪の内周面の一部に近接
    する事で、外輪案内により回転自在に支持されている事
    を特徴とする玉軸受装置。
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