JPH06279922A - 超硬工具チッピング性に優れる析出硬化鋼 - Google Patents
超硬工具チッピング性に優れる析出硬化鋼Info
- Publication number
- JPH06279922A JPH06279922A JP8926393A JP8926393A JPH06279922A JP H06279922 A JPH06279922 A JP H06279922A JP 8926393 A JP8926393 A JP 8926393A JP 8926393 A JP8926393 A JP 8926393A JP H06279922 A JPH06279922 A JP H06279922A
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- Japan
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- steel
- precipitation hardening
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 靭性並びに超硬工具チッピング性等に優れる
Hv300前後の析出硬化型鋼を提供する。 【構成】 C:0.05〜0.20%、Si:0.1〜1.
0%、Mn:0.5〜2.0%、Cu:0.5〜1.5%、N
i:1.4〜2.5%、Cr:0.1〜0.8%、Mo:0.1
0〜0.45%及びAl:0.5〜1.0%を含有し、か
つ、Ni/Al>3を満足し、更に3.29×C−0.17
×Si+1.07×Mn+1.27×Cr+2.09×Mo+
0.30×Ni−1.93>1.4を満足し、必要に応じて
更にS<0.25%、Se<0.3%、Te<0.3%、Bi
<0.3%及びCa<0.01%のうちの1種又は2種以
上を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、
ベーナイト単相組織を有することを特徴とする破面遷移
温度が100℃以下の高靭性で、かつ超硬工具チッピン
グ性、鏡面加工性に優れる析出硬化鋼である。特に大型
のプラスチック成形用等の金型用鋼として適している。
Hv300前後の析出硬化型鋼を提供する。 【構成】 C:0.05〜0.20%、Si:0.1〜1.
0%、Mn:0.5〜2.0%、Cu:0.5〜1.5%、N
i:1.4〜2.5%、Cr:0.1〜0.8%、Mo:0.1
0〜0.45%及びAl:0.5〜1.0%を含有し、か
つ、Ni/Al>3を満足し、更に3.29×C−0.17
×Si+1.07×Mn+1.27×Cr+2.09×Mo+
0.30×Ni−1.93>1.4を満足し、必要に応じて
更にS<0.25%、Se<0.3%、Te<0.3%、Bi
<0.3%及びCa<0.01%のうちの1種又は2種以
上を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、
ベーナイト単相組織を有することを特徴とする破面遷移
温度が100℃以下の高靭性で、かつ超硬工具チッピン
グ性、鏡面加工性に優れる析出硬化鋼である。特に大型
のプラスチック成形用等の金型用鋼として適している。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金型用鋼に係り、特にプ
ラスチック金型を主用途とし、また機械構造用鋼として
も適用可能な析出硬化鋼に関する。
ラスチック金型を主用途とし、また機械構造用鋼として
も適用可能な析出硬化鋼に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、プラスチック成形用の金型には、一般にJIS Sx
xやSCM改良鋼が用いられている。特に大型のプラス
チック成形用の金型には高強度が要求されるため、Hv
300前後のSCM材が用いられている。その他、様々
な析出硬化型の金型用鋼が提案されている。
り、プラスチック成形用の金型には、一般にJIS Sx
xやSCM改良鋼が用いられている。特に大型のプラス
チック成形用の金型には高強度が要求されるため、Hv
300前後のSCM材が用いられている。その他、様々
な析出硬化型の金型用鋼が提案されている。
【0003】例えば、特公昭59−37738号に開示
されているものはHRC40前後の硬さを有するもの
で、そのため、過剰の析出物を生成させている。特にN
iAl金属間化合物が硬度上昇に寄与するが、目的とする
Hv300(HRC30)には過剰の析出となり、被削性
に悪影響があると共に経済的でない。更にNi量が多く
なると熱伝導度が低下し、プラスチック射出成形サイク
ルが長くなるという欠点もある。
されているものはHRC40前後の硬さを有するもの
で、そのため、過剰の析出物を生成させている。特にN
iAl金属間化合物が硬度上昇に寄与するが、目的とする
Hv300(HRC30)には過剰の析出となり、被削性
に悪影響があると共に経済的でない。更にNi量が多く
なると熱伝導度が低下し、プラスチック射出成形サイク
ルが長くなるという欠点もある。
【0004】一方、特開昭63−38557号はHv3
00前後の硬さ材料に関する提案ではあるが、Ni、Al
の析出硬化を期待するにはそのNi量(最大1.4%)では
不十分であり、Mo添加により補わなければならず、し
かし、Mo添加は被削性に悪影響があるばかりか、経済
的ではない。
00前後の硬さ材料に関する提案ではあるが、Ni、Al
の析出硬化を期待するにはそのNi量(最大1.4%)では
不十分であり、Mo添加により補わなければならず、し
かし、Mo添加は被削性に悪影響があるばかりか、経済
的ではない。
【0005】かゝる事情に鑑みて、本発明者らは、先に
特開平4−13848号で析出硬化型金型用鋼を提案
し、上記の問題点を解消しているが、耐超硬工具チッピ
ング性に劣るという欠点があることが判明した。また、
靭性、特に破面遷移温度が高温側であるため、金型使用
温度域で、従来のSCM440材の靭性より劣っている
ことも判明した。
特開平4−13848号で析出硬化型金型用鋼を提案
し、上記の問題点を解消しているが、耐超硬工具チッピ
ング性に劣るという欠点があることが判明した。また、
靭性、特に破面遷移温度が高温側であるため、金型使用
温度域で、従来のSCM440材の靭性より劣っている
ことも判明した。
【0006】本発明は、上記提案に係る析出硬化型の金
型用鋼における欠点を解消して、靭性並びに超硬工具チ
ッピング性等に優れるHv300前後の析出硬化型鋼を
提供することを目的とするものである。
型用鋼における欠点を解消して、靭性並びに超硬工具チ
ッピング性等に優れるHv300前後の析出硬化型鋼を
提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明者らは、従来材が持つ欠点である靭性及び超
硬工具チッピング性を改善し、且つ大型プラスチック成
形用の金型に適用できる硬度が得られる材料について鋭
意研究を重ねた結果、特定の成分を調整することによ
り、通常の溶体化処理、時効処理によりベーナイト単相
組織になり、かつHv300レベルを確保し、優れた靭
性と被削性、特に超硬工具チッピング性を改善できるこ
とを見い出し、ここに本発明をなしたものである。
め、本発明者らは、従来材が持つ欠点である靭性及び超
硬工具チッピング性を改善し、且つ大型プラスチック成
形用の金型に適用できる硬度が得られる材料について鋭
意研究を重ねた結果、特定の成分を調整することによ
り、通常の溶体化処理、時効処理によりベーナイト単相
組織になり、かつHv300レベルを確保し、優れた靭
性と被削性、特に超硬工具チッピング性を改善できるこ
とを見い出し、ここに本発明をなしたものである。
【0008】すなわち、本発明は、C:0.05〜0.2
0%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.5〜2.0%、C
u:0.5〜1.5%、Ni:1.4〜2.5%、Cr:0.1
〜0.8%、Mo:0.10〜0.45%及びAl:0.5〜
1.0%を含有し、かつ、Ni/Al>3を満足し、更に
3.29×C−0.17×Si+1.07×Mn+1.27×
Cr+2.09×Mo+0.30×Ni−1.93>1.4を
満足し、必要に応じて更にS<0.25%、Se<0.3
%、Te<0.3%、Bi<0.3%及びCa<0.01%の
うちの1種又は2種以上を含有し、残部がFe及び不可
避的不純物からなり、ベーナイト単相組織を有すること
を特徴とする破面遷移温度が100℃以下の高靭性で、
かつ超硬工具チッピング性、鏡面加工性に優れる析出硬
化鋼を要旨としている。
0%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.5〜2.0%、C
u:0.5〜1.5%、Ni:1.4〜2.5%、Cr:0.1
〜0.8%、Mo:0.10〜0.45%及びAl:0.5〜
1.0%を含有し、かつ、Ni/Al>3を満足し、更に
3.29×C−0.17×Si+1.07×Mn+1.27×
Cr+2.09×Mo+0.30×Ni−1.93>1.4を
満足し、必要に応じて更にS<0.25%、Se<0.3
%、Te<0.3%、Bi<0.3%及びCa<0.01%の
うちの1種又は2種以上を含有し、残部がFe及び不可
避的不純物からなり、ベーナイト単相組織を有すること
を特徴とする破面遷移温度が100℃以下の高靭性で、
かつ超硬工具チッピング性、鏡面加工性に優れる析出硬
化鋼を要旨としている。
【0009】
【0010】以下に本発明を更に詳述する。
【0011】本発明における化学成分の調整は、 低Cにて炭化物の生成を少なくし、最小限のNi、A
l、Cuの析出硬化により、目標とする高硬度改善を達成
すること、 Mo、Crの適量添加により、通常の板厚で板厚中心部
まで均一なベーナイト組織が得られるようにし、C当量
が低下できるように最小限とすること、 Ni/Al比率の規制により、超硬工具の耐チッピン
グ性を向上させると同時に、靭性(破面遷移温度)を大幅
に改善し、更に鏡面加工性の向上を図ること、 C、Si、Mn、Cr、Mo、Niの関係量(焼入れ指数)
を規制することにより、板厚の大きい大型の金型用鋼に
おいても、フェライトの析出を防止してベーナイト単相
組織を確保すること、 の4点を満足するようにしたものである。
l、Cuの析出硬化により、目標とする高硬度改善を達成
すること、 Mo、Crの適量添加により、通常の板厚で板厚中心部
まで均一なベーナイト組織が得られるようにし、C当量
が低下できるように最小限とすること、 Ni/Al比率の規制により、超硬工具の耐チッピン
グ性を向上させると同時に、靭性(破面遷移温度)を大幅
に改善し、更に鏡面加工性の向上を図ること、 C、Si、Mn、Cr、Mo、Niの関係量(焼入れ指数)
を規制することにより、板厚の大きい大型の金型用鋼に
おいても、フェライトの析出を防止してベーナイト単相
組織を確保すること、 の4点を満足するようにしたものである。
【0012】この点に関し、先の提案(特開平4−13
848号)では、上記〜の成分調整思想は開示され
ているものの、〜の思想は記載されていない。
848号)では、上記〜の成分調整思想は開示され
ているものの、〜の思想は記載されていない。
【0013】次に本発明における化学成分の限定理由に
ついて説明する。
ついて説明する。
【0014】C:0.05〜0.20% Cは焼入れ性を向上させ、金型用鋼として必要な硬さを
確保するために、少なくとも0.05%以上を必要とす
る。しかし、必要以上に含有すると炭化物が増加し、ま
た被削性を悪くし、更に、金型に必要な溶接性に影響が
あるため、0.20%を上限とする。
確保するために、少なくとも0.05%以上を必要とす
る。しかし、必要以上に含有すると炭化物が増加し、ま
た被削性を悪くし、更に、金型に必要な溶接性に影響が
あるため、0.20%を上限とする。
【0015】Si:0.1〜1.0% Siは脱酸元素として用いられ、そのためには0.1%以
上を必要とする。しかし、過剰に添加すると靭性を低下
させるため、上限を1.0%に限定する。
上を必要とする。しかし、過剰に添加すると靭性を低下
させるため、上限を1.0%に限定する。
【0016】Mn:0.5〜2.0% Mnは焼入れ性を増し、金型用鋼として必要な硬さを確
保するには必要な元素であり、そのためには0.5%以
上を必要とする。しかし、過剰に添加すると被削性、靭
性を阻害するため、2.0%を上限する。
保するには必要な元素であり、そのためには0.5%以
上を必要とする。しかし、過剰に添加すると被削性、靭
性を阻害するため、2.0%を上限する。
【0017】Cu:0.5〜1.5% Cuは時効処理により析出し、時効後の硬さを確保する
ために必要な元素である。析出硬化には0.5%以上が
必要である。しかし、過剰に添加すると熱間加工性を劣
化させるため、上限を1.5%とする。
ために必要な元素である。析出硬化には0.5%以上が
必要である。しかし、過剰に添加すると熱間加工性を劣
化させるため、上限を1.5%とする。
【0018】Ni:1.4〜2.5% NiはAlと結合して金属間化合物を生成し、硬さを確保
するために必要な元素である。しかし、1.4%以上添
加しなければ十分な硬さが得られない。一方、必要以上
に添加すると被削性に悪影響があるばかりか、材料コス
トを高めるため、上限を2.5%とする。
するために必要な元素である。しかし、1.4%以上添
加しなければ十分な硬さが得られない。一方、必要以上
に添加すると被削性に悪影響があるばかりか、材料コス
トを高めるため、上限を2.5%とする。
【0019】但し、超硬工具の耐ピッチング性に対し、
Ni/Al比が低くなると過剰なAlの影響によりこの特
性が低下する。更にNi/Al比を3.0以上にすること
により、破面遷移温度(靭性)が大幅に改善できる(図1
参照)。したがって、Ni量はNi/Al>3.0を満足
し、且つ硬さを確保するために1.4〜2.5%が必要で
ある。Ni量は2%以上の高めが好ましい。
Ni/Al比が低くなると過剰なAlの影響によりこの特
性が低下する。更にNi/Al比を3.0以上にすること
により、破面遷移温度(靭性)が大幅に改善できる(図1
参照)。したがって、Ni量はNi/Al>3.0を満足
し、且つ硬さを確保するために1.4〜2.5%が必要で
ある。Ni量は2%以上の高めが好ましい。
【0020】Cr:0.1〜0.8% Crは焼入れ性を向上させ、炭化物を生成して硬さを向
上させるのに必要な元素である。また質量効果を軽減さ
せ、均一なベーナイト組織を得るためにも必要である。
しかし、0.1%未満では十分な効果がなく、またCr量
が多くなると被削性に悪影響があるので、Cr量は0.1
〜0.8%の範囲とする。
上させるのに必要な元素である。また質量効果を軽減さ
せ、均一なベーナイト組織を得るためにも必要である。
しかし、0.1%未満では十分な効果がなく、またCr量
が多くなると被削性に悪影響があるので、Cr量は0.1
〜0.8%の範囲とする。
【0021】但し、ベーナイト単相組織を得るために、
3.29×C−0.17×Si+1.07×Mn+1.27×
Cr+2.09×Mo+0.30×Ni−1.93>1.4の
関係を満足することが必要であり、この関係式の左辺の
量は極力高い方が望ましい。この関係式を満足すること
により、特に板厚が700mmの如く大型の金型用鋼にお
いても、フェライトの析出を完全に防止しベーナイト単
相組織が得られる。
3.29×C−0.17×Si+1.07×Mn+1.27×
Cr+2.09×Mo+0.30×Ni−1.93>1.4の
関係を満足することが必要であり、この関係式の左辺の
量は極力高い方が望ましい。この関係式を満足すること
により、特に板厚が700mmの如く大型の金型用鋼にお
いても、フェライトの析出を完全に防止しベーナイト単
相組織が得られる。
【0022】Mo:0.10〜0.45% Moの効果は、Crとほぼ同様であるが、その効果はCr
よりも大きい。しかし、被削性に対しての悪影響も大き
く、また経済的でない。したがって、Cr添加量との兼
ね合いで0.10〜0.45の範囲で添加する必要があ
り、Cr>Moを満足するのが好ましい。0.10%以上
でないとその効果が顕著でなく、また0.45%を超え
ると被削性を阻害する。
よりも大きい。しかし、被削性に対しての悪影響も大き
く、また経済的でない。したがって、Cr添加量との兼
ね合いで0.10〜0.45の範囲で添加する必要があ
り、Cr>Moを満足するのが好ましい。0.10%以上
でないとその効果が顕著でなく、また0.45%を超え
ると被削性を阻害する。
【0023】Al:0.5〜1.0% AlはNiと結合して金属間化合物を生成し、硬さを確保
するために必要な元素である。しかし、0.3%以上添
加しなければ十分な硬さが得られず、一方、必要以上に
添加すると被削性に悪影響があるばかりか介在物が増加
するため、鏡面加工性も低下する。そのため、Ni/Al
>3.0を満足し、かつ上限を1.0%とする。Al量は
0.7%以下の低めが好ましい。
するために必要な元素である。しかし、0.3%以上添
加しなければ十分な硬さが得られず、一方、必要以上に
添加すると被削性に悪影響があるばかりか介在物が増加
するため、鏡面加工性も低下する。そのため、Ni/Al
>3.0を満足し、かつ上限を1.0%とする。Al量は
0.7%以下の低めが好ましい。
【0024】また、本発明では、以上の元素を必須の成
分とするが、以下の元素の1種又は2種以上を必要に応
じて適量で含有させることができる。
分とするが、以下の元素の1種又は2種以上を必要に応
じて適量で含有させることができる。
【0025】すなわち、S、Se、Te、Bi、Caはいず
れも被削性を向上させる元素であり、適量を添加するこ
とにより、その性能を発揮することができる。しかし、
過剰に添加すると介在物の量が多くなりすぎ、鏡面加工
性及びしぼ加工性に悪影響がある。また靭性の低下も大
きくなり、望ましくない。このため、各元素の添加量
は、S<0.25%、Se<0.3%、Te<0.3%、Bi
<0.3%、Ca<0.01%とする。
れも被削性を向上させる元素であり、適量を添加するこ
とにより、その性能を発揮することができる。しかし、
過剰に添加すると介在物の量が多くなりすぎ、鏡面加工
性及びしぼ加工性に悪影響がある。また靭性の低下も大
きくなり、望ましくない。このため、各元素の添加量
は、S<0.25%、Se<0.3%、Te<0.3%、Bi
<0.3%、Ca<0.01%とする。
【0026】次に本発明の実施例を示す。
【0027】
【0028】表1に示す化学成分を有する鋼を通常の溶
製方法にて製造し、約4Sに鍛伸後、900℃に加熱保
持した後、空冷し、その後550℃若しくは575℃で
5時間の時効処理を施した。得られた試料について、硬
さ及び衝撃試験(JIS Z2242)による破面遷移温
度を調べると共に表2に示す条件で被削性を評価した。
それらの結果を表1に併記する。
製方法にて製造し、約4Sに鍛伸後、900℃に加熱保
持した後、空冷し、その後550℃若しくは575℃で
5時間の時効処理を施した。得られた試料について、硬
さ及び衝撃試験(JIS Z2242)による破面遷移温
度を調べると共に表2に示す条件で被削性を評価した。
それらの結果を表1に併記する。
【0029】表1において、No.1〜No.5は本発明鋼
であり、いずれもHv300前後(260〜340)を満
足し、超硬工具エンドミルの切削性(超硬工具チッピン
グ性)も比較鋼に比べて著しく優れており、更に、破面
遷移温度が100℃以下で優れた靭性が得られている。
鏡面加工性も優れている。また、700mm厚さの空冷に
相当する900℃からの冷却速度0.5℃/minにおける
変態挙動の確認においても、フェライトの析出は認めら
れず、ベーナイト単相で目的を達成している。
であり、いずれもHv300前後(260〜340)を満
足し、超硬工具エンドミルの切削性(超硬工具チッピン
グ性)も比較鋼に比べて著しく優れており、更に、破面
遷移温度が100℃以下で優れた靭性が得られている。
鏡面加工性も優れている。また、700mm厚さの空冷に
相当する900℃からの冷却速度0.5℃/minにおける
変態挙動の確認においても、フェライトの析出は認めら
れず、ベーナイト単相で目的を達成している。
【0030】一方、比較鋼No.6〜No.9はいずれもN
i/Al比が低いため、短い切削長さでチッピングを発生
している。特に、No.7は従来切削改善元素として知ら
れているSを0.047%添加しているにもかかわら
ず、比較的に短い切削長さでチッピングしている。
i/Al比が低いため、短い切削長さでチッピングを発生
している。特に、No.7は従来切削改善元素として知ら
れているSを0.047%添加しているにもかかわら
ず、比較的に短い切削長さでチッピングしている。
【0031】比較鋼No.10はNiが過剰の例である
が、前述の熱処理条件では硬さがHv380と高い。そ
のため、熱処理条件を変えてHv315に硬さを調整し
て切削性試験を行ったが、切削性が良好とは言えなかっ
た。比較鋼No.11は一般的に用いられるSCM440
相当材であるが、チッピングは生じないものの、寿命が
短い。比較鋼No.12及びNo.13は(1)式を満足しな
い例であるが、変態挙動の確認でフェライトを生じてい
る。
が、前述の熱処理条件では硬さがHv380と高い。そ
のため、熱処理条件を変えてHv315に硬さを調整し
て切削性試験を行ったが、切削性が良好とは言えなかっ
た。比較鋼No.11は一般的に用いられるSCM440
相当材であるが、チッピングは生じないものの、寿命が
短い。比較鋼No.12及びNo.13は(1)式を満足しな
い例であるが、変態挙動の確認でフェライトを生じてい
る。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
Hv300クラスの硬さで超硬工具チッピング性に優れ
ると共に、靭性(破面遷移温度)及び鏡面加工性に優れる
析出硬化鋼を提供でき、特に大型のプラスチック成形用
等の金型用鋼として適している。また、本発明は、溶接
性や、放電加工後の硬化層が少なく、放電加工速度も優
れているので、広範囲のプラスチック成形用の金型に用
いられるばかりか、機械構造用鋼にも適用できる。
Hv300クラスの硬さで超硬工具チッピング性に優れ
ると共に、靭性(破面遷移温度)及び鏡面加工性に優れる
析出硬化鋼を提供でき、特に大型のプラスチック成形用
等の金型用鋼として適している。また、本発明は、溶接
性や、放電加工後の硬化層が少なく、放電加工速度も優
れているので、広範囲のプラスチック成形用の金型に用
いられるばかりか、機械構造用鋼にも適用できる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年11月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】追加
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】 Ni/Al比と破面遷移温度の関係を示す図で
ある。
ある。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で(以下、同じ)、C:0.05〜
0.20%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.5〜2.0
%、Cu:0.5〜1.5%、Ni:1.4〜2.5%、C
r:0.1〜0.8%、Mo:0.10〜0.45%及びA
l:0.5〜1.0%を含有し、かつ、Ni/Al>3を満
足し、更に3.29×C−0.17×Si+1.07×Mn
+1.27×Cr+2.09×Mo+0.30×Ni−1.9
3>1.4を満足し、残部がFe及び不可避的不純物から
なり、ベーナイト単相組織を有することを特徴とする破
面遷移温度が100℃以下の高靭性で、かつ超硬工具チ
ッピング性、鏡面加工性に優れる析出硬化鋼。 - 【請求項2】 更に、S<0.25%、Se<0.3%、
Te<0.3%、Bi<0.3%及びCa<0.01%のうち
の1種又は2種以上を含有する請求項1に記載の析出硬
化鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8926393A JPH06279922A (ja) | 1993-03-23 | 1993-03-23 | 超硬工具チッピング性に優れる析出硬化鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8926393A JPH06279922A (ja) | 1993-03-23 | 1993-03-23 | 超硬工具チッピング性に優れる析出硬化鋼 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06279922A true JPH06279922A (ja) | 1994-10-04 |
Family
ID=13965874
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8926393A Pending JPH06279922A (ja) | 1993-03-23 | 1993-03-23 | 超硬工具チッピング性に優れる析出硬化鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06279922A (ja) |
Cited By (2)
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- 1993-03-23 JP JP8926393A patent/JPH06279922A/ja active Pending
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