JPH06277469A

JPH06277469A - 膜分離装置

Info

Publication number: JPH06277469A
Application number: JP6840593A
Authority: JP
Inventors: Shigeki Sawada; 繁樹沢田; Kunihiro Iwasaki; 邦博岩崎; Tsutomu Ogose; 勤生越; Nobuhiro Oda; 信博織田
Original assignee: Kurita Water Industries Ltd
Current assignee: Kurita Water Industries Ltd
Priority date: 1993-03-26
Filing date: 1993-03-26
Publication date: 1994-10-04
Anticipated expiration: 2017-06-04
Also published as: JP3289376B2

Abstract

(57)【要約】【目的】分離膜膜面への付着物の堆積を抑制する。【構成】分離膜１には、細長い帯状の不透水部２が多
数、分散状に設けられている。この不透水部は次のよう
にして形成される。膜面に不透水剤を塗付する。熱処理などで膜面を不透過性にする。不透水剤や熱処理などで不透過領域を設けた支持布
の上から製膜する。不透水性の素材を織り込んだり、積層した支持布の
上から製膜する。膜から透過した透過水を流下させるための透水材に
不透過領域を設けることにより、圧力濾過時に膜と透水
材が密着するときにのみ、不透過領域に位置する透水材
と接する膜面に不透過領域を発生させる。【効果】分離膜膜面の付着物堆積が抑制され、フラッ
クスや阻止率を長期間にわたって高く維持することが可
能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は膜分離装置に係り、特に
膜面に付着物が堆積しにくい膜分離装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】カン水や淡水あるいはそれらを浄水処理
した工業用水や水道水などの原水をＲＯ（逆浸透）膜分
離により塩や溶存有機物を除去する方法が知られてい
る。この方法は半導体の製造に使う洗浄用の超純水の製
造プロセスの基本的操作としても多用されている。この
ＲＯ膜分離に使う工業的な膜モジュールとしては、スパ
イラル形や中空糸形のものが使われている。

【０００３】これらの膜モジュールを長期間、安定して
使うには、原水中の成分が膜面に付着しないように原水
を調質する必要がある。即ち、原水中の濁質やコロイド
成分が膜面に付着しゲル状のケーク層が成長するとフラ
ックスを著しく低下させる。また、ケーク層中で溶質が
過剰に濃縮されるために、膜性能が一定であっても見掛
けの阻止率が低下し、透過水質を悪化させるなどの障害
を与える。

【０００４】さらに膜面に成長したケークが原水流路全
体を占めるまで発達すると、ついには原水流路が閉塞し
採水が不可能となる。

【０００５】有効透過領域では膜濾過が進行し、膜で阻
止された物質が膜面近傍に濃縮する。

【０００６】一般に、水酸化アルミニウムや水酸化鉄な
どのコロイド成分は膜面上に強固なゲル状の付着層を形
成する。また、微生物菌体などもコロイド成分と同様な
ゲル状の付着層を形成する。

【０００７】この付着層の成長はコロイド成分の性状と
組成によっても差はあるが、一旦付着すると徐々にその
厚みを増していく。そして、付着層の成長に伴いフラッ
クス（透過水量）は減少する。

【０００８】ＲＯ膜の場合では、この付着層の内部で塩
の濃縮が過剰に進行するために見掛けの脱塩率も低下す
る。また、シリカや炭酸カルシウムが過溶解度以上に濃
縮すると、それらの結晶が析出しスケールを発生させ、
フラックスを減少させる。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】これらの障害を避ける
ためには、前処理として凝集・沈殿（あるいは加圧浮
上）・濾過を組み合わせる操作が一般的であった。

【００１０】しかし、これらの装置は本体のＲＯ膜分離
装置に比して多大な分離面積、即ち広大な敷地を必要と
する欠点があった。

【００１１】比較的清浄な原水に対しては、原水流路の
大きい膜モジュールを用いることによりこのような要求
に対応できる。しかしながら、この場合においても、原
水流路の閉塞に対しては対応できるものの、膜汚染（フ
ァウリング）現象に対しては対応しきれずフラックスの
低下を抑止できない。このため、一定のフラックスを維
持するには薬品による洗浄の頻度を高める必要があっ
た。

【００１２】このようなことから、原水を直接通水して
も、膜汚染（ファウリング）現象の少ない膜分離装置が
望まれている。

【００１３】

【課題を解決するための手段】本発明の膜分離装置は、
分離膜によって原水側と透過水側とが区画されている分
離膜装置において、該分離膜に局部的な不透水部を多数
設けたものである。

【００１４】

【作用】本発明の膜分離装置では、膜面に局部的な不透
水部を多数設けているため、膜面に一面に付着しようと
する付着物が、この不透水部で寸断され、この不透水部
のところで付着物に切れ目が入るようになる。

【００１５】このため、付着物はこの“切れ目”の部分
から膜面より引き剥され易くなり、付着層の成長が抑止
されるようになる。

【００１６】この付着抑止機構をさらに詳細に説明する
と次の通りである。

【００１７】一般に、分離膜膜面への付着層は物理的に
膜面に付着する力と剥離させる力の平衡の上に成り立っ
ている。付着層を膜面から剥離させる力は、クロスフロ
ーや逆洗などの水力学的な剪断力である。一方、付着物
を膜面に付着させておこうとする力は、付着面の面積と
膜と付着物との間の吸着力の積に比例する。

【００１８】本発明に係る膜分離装置の分離膜膜面は、
有効透過領域が不透過領域で断続的に仕切られているの
で、付着物の付着力はこの不透過領域のために小さく寸
断される。このため、小さい水力学的な剪断力によって
付着層が剥離され、付着層が厚く成長することがない。

【００１９】なお、不透過領域は、付着面積を寸断する
ことと、隣り合う付着層の架橋を寸断することにより、
付着層の剥離を容易にする。

【００２０】この付着層の剥離は不定期的に生じ、全体
的には付着層の厚さは、付着層の成長と剥離が平衡する
ところで一定の厚み以下に維持される。付着層は剥離と
成長とを不定期的に繰り返すので、付着層の内部での過
剰濃縮により発生し易いスケールも強固に固化する前に
剥離される。このことにより、フラックスの不可逆的な
低下を抑止し、フラックスを安定維持させる。また、薬
品洗浄時の洗浄剥離効果も高まる。

【００２１】なお、本発明では、間欠停止や逆洗など断
続的な剪断力を加えることにより、付着層の剥離効果を
より一層高めることができる。

【００２２】

【実施例】以下、図面を参照して実施例について説明す
る。第１、２図は平膜型の膜モジュールを備えた膜分離
装置の分離膜膜面の平面図である。

【００２３】第１図の分離膜１には、細長い帯状の不透
水部２が多数、分散状に設けられている。第２図の分離
膜３には、分離膜３の一辺側から他辺側まで延在する長
い細幅状の不透水部４が多数設けられている。この不透
水部４は綾模様状に多数、交叉して設けられている。

【００２４】このような不透水部２、４は、例えば次の
ようにして形成される。

【００２５】膜面に不透水剤を塗付する。熱処理などで膜面を不透過性にする。不透水剤や熱処理などで不透過領域を設けた支持布
の上から製膜する。不透水性の素材を織り込んだり、積層した支持布の
上から製膜する。膜から透過した透過水を流下させるための透水材に
不透過領域を設けることにより、圧力濾過時に膜と透水
材が密着するときにのみ、不透過領域に位置する透水材
と接する膜面に不透過領域を発生させる。

【００２６】第３図はこの不透水部の一例を示す膜面厚
み方向の断面である。

【００２７】第３図（ａ）では、透水性支持布５の上に
分離膜６が重ねられている。この分離膜６に不透水剤７
を塗付するか、熱処理による不透水化部８を設けること
により不透水部が形成されている。第３図（ｂ）では、
支持布５に不透水領域９を設けることにより不透水部が
形成されている。第３図（ｃ）では、支持布５の下側に
多孔質支持板１０が設けられており、この多孔質支持板
１０同志の間に細棒状の不透水材１１を配置することに
より不透水部が形成されている。

【００２８】本発明では、細幅状の帯状ないし線状の不
透水部を設ける場合、この不透水部の幅は０．５〜１０
ｍｍ程度が好適であり、不透水部相互間の間隔（不透水
部長手方向と直交する方向の不透水部間隔）は５〜５０
ｍｍ程度が好適である。

【００２９】この帯状ないし線状の不透水部を有する分
離膜を備えた膜分離装置をクロスフロー濾過で使用する
場合、原水の流れ方向は、不透水部の帯状ないし線状部
の長手方向と交叉（好ましくは４５°〜９０°の交叉角
度）するのが好適である。

【００３０】しかし、デッドエンド濾過や供給水の流れ
方向が一定とならない濾過方式では、有効透過領域が上
記の単位で断続的に交互に繰り返されれば良い。

【００３１】本発明では、不透水部の面積は透過部の面
積の１０％以下となるようにするのが好ましい。なお、
不透水部は、線ないし帯状のほか、散点状に設けても良
い。

【００３２】平膜モジュールとしては、スパイラルやプ
レートアンドフレーム型モジュールにするのがよい。

【００３３】本発明は、平膜状の分離膜のほか、中空糸
分離膜にも適用できる。第６、７図はそのような一例を
示すものであり、中空糸分離膜２０に対し節状（第６
図）又は長手方向に沿って（第７図）不透水部２１、２
２が設けられている。なお、中空糸モジュールの場合、
外圧濾過方式にするのがよい。

【００３４】次に具体的な実施例について説明する。

【００３５】実施例１第４図の如く、大きさが４０ｍｍ×１８０ｍｍであり、
幅７．５ｍｍの不透水部が２本入っているセルロースア
セテート膜を用いた平膜セルによって加圧濾過を行なっ
た。

【００３６】・膜面循環流速：０．５ｍ／ｓ・操作圧力：１０ｋｇｆ／ｃｍ² ・原水：厚木市水・回収率：７５％上記条件にて厚木市水を１８日間連続通水した。このと
き、物理洗浄として、間欠停止（１０分）＋高速フラッ
シング（５分，１ｍ／ｓ）を１日１回行なった。フラッ
クスの経日変化を第５図に示す。

【００３７】比較例１大きさが４０ｍｍ×１００ｍｍであり、不透水部を有し
ていない膜を用いたこと以外は実施例１と同様にして通
水を行なった。フラックスの経日変化を第５図に併せて
示す。

【００３８】第５図より、実施例によると経日的に高い
フラックスが得られることが明らかである。

【００３９】

【発明の効果】以上の通り、本発明によると、分離膜膜
面の付着物堆積が抑制され、フラックスや阻止率を長期
間にわたって高く維持することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例に係る膜分離装置の分離膜膜面の平面図
である。

【図２】別の実施例に係る膜分離装置の分離膜膜面の平
面図である。

【図３】別の実施例に係る膜分離装置の分離膜膜面の断
面図である。

【図４】実施例１で用いた分離膜を示す平面図である。

【図５】実施例１及び比較例１の結果を示すグラフであ
る。

【図６】中空糸分離膜の実施例を示す斜視図である。

【図７】別の中空糸分離膜の実施例を示す斜視図であ
る。

【符号の説明】

１，３分離膜２，４不透水部５支持布

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者織田信博東京都新宿区西新宿３丁目４番７号栗田工業株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】分離膜によって原水側と透過水側とが区
画されている膜分離装置において、該分離膜に局部的な
不透水部を多数設けたことを特徴とする膜分離装置。