JPH06276961A - アルギン酸ゲル構造体およびその製造方法 - Google Patents

アルギン酸ゲル構造体およびその製造方法

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JPH06276961A
JPH06276961A JP5073898A JP7389893A JPH06276961A JP H06276961 A JPH06276961 A JP H06276961A JP 5073898 A JP5073898 A JP 5073898A JP 7389893 A JP7389893 A JP 7389893A JP H06276961 A JPH06276961 A JP H06276961A
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gel
polyvalent metal
gel structure
alginic acid
aqueous solution
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JP5073898A
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Yasushige Sagara
康重 相良
Toshiaki Kimura
利昭 木村
Hirotaro Shimizu
博太郎 清水
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Snow Brand Milk Products Co Ltd
Original Assignee
Snow Brand Milk Products Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸塩溶液
に炭酸カルシウム等の難溶性多価金属炭酸塩を分散さ
せ、この分散液をクエン酸等の有機酸水溶液と接触させ
て発生する多価金属イオンによりゲル化させるととも
に、かかる接触により発生する炭酸ガス気泡をゲル中に
封じ込める。 【効果】 難溶性多価金属塩炭酸塩と有機酸との反応に
よってゲル形成のための多価金属イオンと気泡発生のた
めの炭酸ガスを同時に発生させることができるので、ワ
ンパスの簡便な工程でかつ安定的に、水中浮上または浮
遊するに足りるだけゲル構造体中に均一な気泡を内包さ
せることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルギン酸の多価金属
ゲルに関し、特に、ゲル中に炭酸ガス気泡を内包し水中
で浮上または浮遊可能なゲル構造体およびその製造方法
に関する。このゲル構造体はマダイなどタイ類またはサ
ケマス類等の養殖魚の体色調整並びに強化を目的とした
機能性補助飼料用に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】アルギン酸カルシウムゲルを利用したカ
プセル類は従来から広く知られ各分野で利用されてい
る。例えば、アルギン酸ナトリウム水溶液に魚類の成長
に必要な栄養素を加え、急速攪拌しながら液状油を滴下
してエマルジョン化したものを微細孔より加圧噴射し、
二価以上の可溶性金属塩の水溶液に接触硬化させ、これ
を更に加熱する魚類飼料の製造方法(特開昭58ー13
8346号公報)、水産動物に対し誘引性を有する物質
とこの物質を保持する担体とからなり、上記担体が水溶
性アルギン酸塩溶液を多価金属塩溶液と接触させること
によりゲル化させてなる水産動物誘引餌(特開昭53ー
149586号公報)、アルギン酸ナトリウム水溶液
に、魚が好む物質の粉体あるいはエキス分さらには色
素、香料等を混合しその混合物を魚の釣り餌として適す
る形態にした後、カルシウム化合物水溶液を作用させて
皮膜を形成させた釣り餌(特開平3ー280823号公
報)、水溶性二価金属塩及び呈味成分等を含有する液状
物を芯液とし、特定M/G(マンヌロン酸/グルロン
酸)比のアルギン酸アルカリ金属塩水溶液を被膜液と
し、両者を界面反応させてゲル化させ、呈味成分が芯体
となりその表面がアルギン酸二価金属塩ゲルで被覆され
ている呈味成分を内包させたカプセル体(特開平2ー3
5066号公報)等の技術が知られている。
【0003】これらの技術はいずれも基本的に、アルギ
ン酸アルカリ金属塩水溶液と二価以上の金属塩水溶液と
を別々に用意し、それらの一方を芯液、他方を被膜液と
し両者を界面反応させてゲル化させる技術である。芯が
ゲル化していないカプセルを得る場合にはアルギン酸ア
ルカリ金属塩水溶液を被膜液とし、全体をゲル化させる
場合にはアルギン酸アルカリ金属塩水溶液を芯液とすれ
ばよい。いずれの場合も、二価以上の金属塩は水溶性で
あり水溶液中でイオン化しており、アルギン酸アルカリ
金属塩水溶液とは反応時まで混合されることはない。混
合により両者が接触すれば直ちにゲル化反応が生じアル
ギン酸多価金属ゲルが形成されるからである。
【0004】これらのゲル体は、液液接触により直接得
られるのでゲル内に気泡等が包含されることはなく水中
で浮遊させたり水面に浮上させることはできない。
【0005】また、二価金属塩の代わりに酢酸以上の強
い有機酸を用いアルギン酸のゲルを形成する技術もある
(特開昭56ー109556号公報)が、このゲルは二
価金属イオンによるアルギン酸構成単位の架橋反応(配
位結合)によるのもではないため、被膜形成能に劣り極
めて脆弱であり加熱殺菌等ができない。
【0006】ゲル体を浮上または浮遊させる技術として
は、液体とゲル体の比重差を調整するため比重の軽い油
脂類を添加する方法、また、ゲル体に気泡を含有させる
方法として溶液を強制撹件し空気を混入後ゲル化させた
り、溶液中に空気をポンプなどで強制送入後ゲル化させ
る方法(特願平3ー313032号公報)等がある。し
かし、これらの方法では、充分にゲル体を水中で浮遊化
させることが困難であるか、若しくは溶液の粘度変化ま
たはゲル化速度により、気泡の局在化が起こり均一なゲ
ル体を製造することが困難であり、また、ゲル化の工程
とは別に気泡を形成しこれをゲル内に導入するための工
程が必要となり更にゲル化と気泡導入のタイミングを的
確に制御しなければならないという工程上の著しい煩雑
さを招くという問題があった。
【0007】ところで、養殖魚用の飼料においては、散
布した餌が短時間に水中に沈むことは、給餌効率の低
下、水質汚染の点から好ましくない。そこで、長時間浮
上または浮遊する飼料が望まれているが、配合飼料はぺ
レットなどの乾燥品が多く、多孔質構造となっているの
で、水に接触すると吸水膨潤しやがて沈降する欠点があ
る。特に、淡水の養殖施設は、川に隣接した池や浄化殺
菌装置を備えた循環槽が多く、海洋に比べ狭小であり、
また養殖密度が濃いため、水質管理は海洋に比ベいっそ
う厳しく求められるので、飼料を使うことによる水質の
汚染は避けなければならない。
【0008】従って、上述したゲル体を養殖魚用の飼料
として用いても、散布後水中に沈降するため一般の配合
飼料と同様、給餌効率の低下や水質汚染等が問題とな
る。
【0009】特に、マダイ等の赤色養殖魚の体色調整飼
料として、配合飼料に色素を添加した場合は、色素の拡
散防止、摂取効率向上等のため色素をカプセル等に封じ
込めたものが有効であるが、従来のゲル体は水中で沈降
するため色素の効率的な摂取が極めて困難であった。
【0010】尚、体色調整飼料として、カロチノイド系
の色素を多く含む甲殻類(エビ類)、または天然原料か
ら抽出するかまたは化学的に合成したカロチノイド系の
色素を添加した配合飼料がある。これらの効果について
は多くの報告があり、公知の技術として広く実用化され
ている(Canthaxanthin,A Poten
tial New Food color RH,Bu
nell and BBorentein Food
Tech Vol 21,331(1967)、岡本亮
(調理科学、Vol l3、No.2、1980)等、
参照)。
【0011】即ち、従来、アルギン酸ゲルにおいては、
アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸の一価金属塩と乳
酸カルシウム等の水溶性二価金属塩とをそれぞれ水溶液
として別々に用意し、両者を接触させ界面反応させるこ
とによって調製されていたが、このものは液液接触によ
る直接反応であるため、ゲル中に気泡を抱き込ませるこ
とはできず、水中に浮遊するものや浮上するゲル体を得
ることは困難であった。また、物理的に空気を強制的に
ゲル中に導入する方法等では、製造工程の複雑化および
得られるゲル体中の気泡の不均一性等が避けられなかっ
た。従って、養殖魚用の体色調整飼料として色素をこの
ようなゲル中に含有させても沈降してしまうので、給餌
効率の著しい低下および水質汚染等の問題を招いてい
た。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の従来
技術の実情に鑑み、特定の反応によりアルギン酸ゲルの
形成と気泡の発生を同時に行うことを可能とし、ゲル構
造体のゲル中に均一に相当量の気泡を包含させることに
より、水中に沈降せず、浮上または浮遊する難溶性のゲ
ル構造体を構築することを目的とする。
【0013】本発明の他の目的は、かかるゲル構造体に
色素を含有させることにより、給餌効率がよく水質汚染
の少ない体色調整飼料用ゲル構造体とすることである。
【0014】本発明の更に他の目的は、かかるゲル構造
体を、ワンパスの簡便な工程でかつ安定的に製造するこ
とである。
【0015】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成する本
発明は、難溶性多価金属炭酸塩と有機酸との反応により
発生した多価金属イオンとアルギン酸塩によるゲル構造
からなり、該難溶性多価金属炭酸塩と有機酸との反応に
より発生した炭酸ガス気泡が該ゲル構造中に内包されて
いることを特徴とするアルギン酸ゲル構造体である。こ
の難溶性多価金属塩炭酸塩と有機酸との反応によってゲ
ル形成のための多価金属イオンと気泡発生のための炭酸
ガスとを同時に発生させることができるので、ゲル構造
体中に均一な気泡を内包させることができる。
【0016】また、本発明は、ゲル構造体が、水中浮上
または浮遊性であることを特徴とする上記のアルギン酸
ゲル構造体である。上記の反応により気泡をゲル内に導
入するので、水中浮上または浮遊するに足りるだけの充
分な量の気泡を内包させることができる。
【0017】また、本発明は、ゲル構造体が、色素、魚
類誘引物、魚類成長促進物、魚類栄養物のいずれか一つ
以上を含有していることを特徴とする魚類飼料用の上記
アルギン酸ゲル構造体である。上記ゲル構造体は難溶性
であるのでこれに色素等を含有させることにより、好ま
しくは水中浮上または浮遊性である養殖魚用体色調整飼
料とすることができるので、給餌効率を大幅に向上させ
かつ水質汚染を減少させることができる。
【0018】更に、本発明は、アルギン酸塩溶液に難溶
性多価金属炭酸塩を分散させ、この分散液を有機酸水溶
液と接触させて発生する多価金属イオンによりゲル化さ
せるとともに、前記接触により発生する炭酸ガス気泡を
ゲル中に封じ込めることを特徴とするアルギン酸ゲル構
造体の製造方法である。この方法では、気泡を物理的に
強制的にゲル内に導入したり、それを実施するための工
程を別途設けることが不要となり、分散液と有機酸溶液
を接触さるだけの操作でよいので、ワンパスの簡便な工
程でかつ安定的に製造することができる。
【0019】以下、本発明を詳述する。本発明におい
て、難溶性多価金属炭酸塩と有機酸との反応とは、例え
ば、炭酸カルシウムとカルボン酸との反応で示せば、次
のような反応で
【0020】
【化1】 CaCO3 +2RCOOH→Ca+2+2RCOO-1+CO2 ↑+H2 O 難溶性多価金属塩が有機酸の作用で水溶性となり多価金
属イオンが発生するとともに、炭酸ガスが発生する。発
生した多価金属イオンはアルギン酸塩溶液中の該一価金
属イオンと置換しアルギン酸の構成単位であるマンヌロ
ン酸およびグルロン酸に配位して架橋構造を構築し、ア
ルギン酸多価金属ゲルを形成する。一方、炭酸ガスの発
生はかかるゲル形成過程に同調して進行しているので、
ゲルは炭酸ガスを取り込みながら発達していくことにな
り、ゲル中にガス気泡が局在化することなく均一に分散
される。
【0021】従来のゲル形成では、水溶性多価金属塩と
アルギン酸塩との直接反応であり一段反応であるため、
水溶性多価金属塩とアルギン酸塩とは反応時点まで別々
にしておき反応時に両溶液を接触させていたが、本発明
では、多価金属塩は難溶性であり容易にイオン化しない
ので、アルギン酸塩溶液と混合させてもアルギン酸のゲ
ル化反応を起こすには至らない。有機酸の作用による上
記反応の開始を条件としてゲル化反応が開始される二段
反応である。従って、反応のさせ方としては、(1) 難溶
性多価金属塩とアルギン酸塩とで第一液(分散液)を構
成し、有機酸水溶液を第二液とするそれぞれを接触させ
る、(2) 難溶性多価金属塩により第一液を構成し、アル
ギン酸塩と有機酸水溶液とで第二液を構成しそれぞれを
接触させる、の2通りあり、またそれぞれにおいて、第
一液をゲルの中心側とし第二液をゲルの表皮側とするか
若しくはその逆にすることができる。目的とするゲル構
造体の用途等により適宜、反応態様を選択することがで
きる。好ましくは(1) の態様である。
【0022】本発明においてアルギン酸塩としては、ア
ルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム等の一価金属
塩等を用い得る。入手性、反応性等の点からアルギン酸
ナトリウムが好ましい。また、アルギン酸の構成単位で
あるマンヌロン酸(M)とグルロン酸(G)の比率は、
得られるゲルの耐塩水性に影響する。特に、M/G比が
1以下、好ましくは0.5以下の場合は耐塩水性に優れ
ており、魚類の飼料等、水中で用いるのに好適である。
【0023】本発明において難溶性多価金属塩として
は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウ
ム、炭酸ストロンチウム等の二価金属炭酸塩等を挙げる
ことができる。特に炭酸カルシウムは二価金属炭酸塩と
して最も難溶性であり、アルギン酸塩溶液中でイオン化
せずゲル化反応を惹起させないので好ましい。また取扱
も容易である。即ち、炭酸カルシウムは白色の微細な粉
末で無臭、空気中で安定で、溶解性は極めて悪く、25
℃で0.00014%しか溶けないが、酸または炭酸ガ
スを含んだ溶液には溶けやすい。また酸溶液中ではCO
2 を放出しCaイオンを含む溶液となる。
【0024】本発明において有機酸としては、難溶性多
価金属塩との反応性の点でカルボン酸が好ましく、RC
OOHが1価のL−アスコルビン酸、酢酸、乳酸、オキ
ザロ酢酸、2価のフマル酸、リンゴ酸、酒石酸、3価の
クエン酸等のカルボン酸等が挙げられる。
【0025】難溶性多価金属炭酸塩および有機酸の必要
な量は反応当量である。二価金属塩と一価のカルボン酸
の場合は1モルの二価金属塩と2モルの一価カルボン酸
が反応当量となる。多価金属イオンおよびアルギン酸の
必要な量はアルギン酸構成単位のマンヌロン酸、グルロ
ン酸のホモブロック1単位に二価金属イオン1個の割合
である。従って、例えば、1モルの二価金属炭酸塩と2
モルの一価カルボン酸とアルギン酸構成単位のホモブロ
ック1単位が反応当量であり、1分子の二酸化炭素ガス
が発生するので、実際の反応系においてはかかる量比を
界面反応で効率良く実現できるようにそれぞれの濃度を
調整する。
【0026】アルギン酸塩がゲルの中心側である場合
は、ゲル化はゲルの表面から内部に向かって進行する。
ゲル化反応が十分進行すれば中心までゲル化するが、表
面層のみゲル化させ中心部は液状のままに残しておくこ
ともできる。ゲル化反応が進行すれば炭酸ガス気泡の量
も増加するのでゲルの比重を低減することができる。
【0027】ゲル構造体の比重は、ゲルの中心側の液自
体の比重により異なるが、通常1以下が好ましく、ま
た、ゲル構造体の大きさは通常直径0.1〜1.5c
m、好ましくは0.3〜1.0cm程度であり、形状は
球形、楕円形等、ゲル構造体の用途、目的等により適宜
選定するこができる。ゲルの基本構造は上述したような
アルギン酸多価金属ゲルからなるが、この他、ゲル中心
側の液の粘度を調整してゲル体の弾力性やゲル体の大き
さを調整するために、ゼラチン、キサンタンガム、タラ
ガントガム、ロ−カストビンガム、寒天等の天然糊性物
質、メチルセルロ−ス等の合成糊性物質等、また飼料と
なる油脂エマルジョンや更に、調味料、着色料、着香料
等を所望によりゲル構造中へ含有させることができる。
【0028】このゲル構造体は難溶性で水中浮上または
浮遊するので、魚類の飼料として有効である。水中を沈
降しないので、給餌効率がよく水質汚染も防止できる。
【0029】特に、本発明では、上記ゲル構造体に色
素、魚類誘引物、魚類成長促進物、魚類栄養物のいずれ
か一つ以上を含有させることで有効な魚類飼料とするこ
とができ、中でも、色素を含有させることにより極めて
効果的な魚類の体色調整飼料とすることができる。
【0030】マダイなどの赤色養殖魚は、養殖中に太陽
光や飼料の影響を受け、体色の不鮮明化・黒化すること
が知られている。この体色の不鮮明化・黒化現象は、マ
ダイの商品価値を著しく低下させる。天然マダイ等の体
色はカロチノイド系色素等であることが知られている。
一般に、魚類は自分の体内で、カロチノイドを合成する
ことはできず、外部からの摂取即ち餌に依存しており、
黒化防止としては遮光、体色の不鮮明化についてはカロ
チノイド系の色素を含む餌を与えることにより、鮮明な
色調保持できる(岡本亮、調理科学、Vol l3、N
o.2、1980)。カロチノイド系色素は、マダイ、
ハマチ、カンパチ、ヒラマサなどの海水魚に限らず、サ
ケマスなどの淡水魚にも多く含まれ、身の色を構成して
いる。これらは、ピンクまたは紅色を呈し魚種、餌、環
境により変化する。一般に養殖の場合は天然に比ベて、
明度、色彩が劣るといわれており、これらの改良を目的
に色素を添加または強化する方法が採られている。しか
し、淡水の養殖施設は、川に隣接した池や、浄化殺菌装
置を備えた循環槽が多く、海洋に比べ狭小であり、ま
た、養殖密度が濃く、水質管理は海洋に比ベいっそう厳
しく求められるので、飼料を使うことによる水質の汚染
は避けなければならない。散布した餌が短時間に水中に
沈むことは、給餌効率の低下、水質汚染の点から好まし
くない。したがって、長時間浮上または浮遊する飼料が
望まれているが、配合試料はぺレットなどの乾燥品が多
く、多孔質構造となっており、水に接触すると吸水膨潤
しやがて沈降する問題点があった。
【0031】本発明の色素含有ゲル構造体では、水中浮
上または浮遊するに足る均一な気泡を包含させることに
より、散布後水中に沈降せず浮上または浮遊するように
したので、海洋養殖および淡水養殖の給餌効率を向上さ
せ、水質汚染を低減させることができる。また、甲殻類
などの高価で且つ鮮度管理を要する餌を大量に投与する
ことなく、体色の調整が可能となり、また水溶性色素で
あっても難溶性ゲル体に取り込まれ、拡散防止できるた
め、摂取効率を高めることができる。更に、本発明のゲ
ル構造体は加熱殺菌できるので、保存性向上と魚ヘの微
生物感染防止が図ることもできる。
【0032】魚類の体色調整飼料用の色素は上述したよ
うにカロチノイド系色素が好ましい。具体的には、カン
タキサンチン、アスタキサンチン等を挙げることができ
る。ゲル構造体中の色素の濃度は通常0.01〜2.0
%、好ましくは0.1〜0.5%程度が効果的である。
【0033】次に、本発明のゲル構造体の製造方法につ
いて説明する。ゲル化反応のさせ方としては、前述した
ように(1) 難溶性多価金属塩とアルギン酸塩とで第一液
(分散液)を構成し、有機酸水溶液を第二液としそれぞ
れを接触させる、(2) 難溶性多価金属塩により第一液を
構成し、アルギン酸塩と有機酸水溶液とで第二液を構成
しそれぞれを接触させる、の2通りがあり、またそれぞ
れにおいて、第一液をゲルの中心側とし第二液をゲルの
表皮側とするか若しくはその逆にすることができる。目
的とするゲル構造体の用途等により適宜、反応態様を選
択することができる。好ましくは難溶性多価金属塩とア
ルギン酸塩の第一液をゲルの中心側とし有機酸水溶液の
第二液をゲルの表皮側とするのがよい。この態様につい
て以下説明する。
【0034】先ず、アルギン酸塩溶液に難溶性多価金属
炭酸塩を分散させる。アルギン酸塩の濃度は0.3〜
2.0%、好ましくは0.5〜1.0%がよい。難溶性
多価金属炭酸塩の添加量はアルギン酸塩溶液中0.5〜
5重量%、好ましくは1〜3重量%がよい。この難溶性
多価金属炭酸塩は微細なものが分散性、反応性等に優
れ、好ましくは分散液中で沈澱しない程度のものがよ
い。またこの溶液のpHは、アルギン酸塩と難溶性多価
金属炭酸塩との反応を抑制するため、6以上がよい。得
られる分散液はゲルの中心側を形成するので、分散を促
進しゲル形成を容易にしまたゲルの弾力性を調整するた
めに前述の糊性物質等を含有させることができる。これ
ら糊性物質の添加量はアルギン酸塩溶液中0.2〜10
重量%、好ましくは1〜5重量%である。分散液の粘度
は200〜2,000cps、好ましくは700〜1,
000cps程度がよい。尚、アルギン酸塩や糊性物質
の溶解を促進するため溶液の温度を60〜80℃程度に
調整しておくとよい。また、分散液にはこの他、油脂エ
マルジョンや前述した各種調味料等を含有させることが
できる。
【0035】有機酸水溶液の調製は前述の有機酸を0.
1〜10%、好ましくは1〜3%の濃度で溶解すればよ
い。濃度が低過ぎると反応不足となる。
【0036】次に、上記分散液と有機酸水溶液とを接触
させる。接触は該分散液をノズル(径0.3〜1cm程
度)を介して有機酸水溶液中に滴下することで実施でき
る。一滴の重量は分散液の粘度等により異なるが概ね
0.1〜5.2ml、好ましくは0.5〜2.7mlが
よい。
【0037】分散液と有機酸水溶液との接触により接触
面の界面で直ちに反応が開始され、発生する多価金属イ
オンによりアルギン酸の一価金属イオンが多価金属イオ
ンに置換されてアルギン酸がゲル化するとともに、この
接触により発生する炭酸ガス気泡が前述したような反応
によりゲル中に封じ込まれる。反応は通常3〜120分
間(常温)で終了する。ゲルの径が大きい場合、ゲル中
の気泡量を増加させる場合、弾力性の強いゲルを形成す
る場合等においては比較的長時間反応させる。反応終了
後、得られたゲルを回収する。回収したゲルは必要によ
り水晒を行う。ゲル中の気泡量は前述したように難溶性
多価金属塩の添加量を操作することで調節することがで
きる。また、このゲルは耐熱性があるので加熱殺菌(8
5〜95℃、15〜60分間)できる。
【0038】前述の色素をゲル中に含有させるには、色
素を分散液に分散または溶解させればよい。水溶性色素
であってもゲル中に封入することができる。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。 実施例1 以下に示す配合によりアルギン酸ナトリウム溶液を調製
した。
【0040】
【表1】 *色素:カロフィル・レッド(日本ロッシュ):成分:
カンタキサンチン10%、ゼラチン+デキストリン90
% *アルギン酸ナトリウム:M/G比:0.3 即ち、水93.5gに色素2g、キサンタンガム0.5
g、アルギン酸Na0.5g、ゼラチン0.5gを混合
溶解し、ゼラチンを溶解するため50℃以上に加温し
た。この溶液に炭酸Ca3gを添加し、均一に分散させ
分散液とした。一方、水99gにクエン酸1gを溶解し
クエン酸水溶液を調製した。
【0041】上記分散液をノズル(径6mm)を介して
クエン酸水溶液中に滴下(一滴約1ml)し30分間放
置し反応させ、球状のゲル構造体を形成し回収した。こ
れを85℃、30分間の殺菌処理に付した。
【0042】このものをマダイの体色調製飼料として養
殖施設の池(海水)中に散布したところ長時間安定して
浮上または浮遊しており、マダイへの効率的な給餌がで
き水質も汚染することなく極めて効果的にマダイの体色
改善ができた。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、難溶性多価金属炭
酸塩と有機酸とアルギン酸塩による特定の反応によりア
ルギン酸ゲルの形成と気泡の発生を同時に行い、ゲル構
造体のゲル中に均一に気泡を包含させたので、均一な気
泡を封入したゲル構造体を構築することができた。
【0044】また、このゲル構造体は上記反応を制御す
ることにより発生する気泡量を調節できるので、水中に
沈降せず、浮上または浮遊するゲル構造体とすることが
できた。
【0045】また、かかるゲル構造体は水中浮上または
浮遊性でかつ耐塩水性であるので、これに色素等を含有
させ魚類飼料用ゲル構造体とすることにより、給餌効率
がよく水質汚染の少ない体色調整飼料用ゲル構造体とす
ることができた。このゲル構造体はまた、殺菌できるの
で、保存性向上と魚への微生物感染防止ができる。ま
た、水溶性色素もゲル構造体に取り込むことができるの
で、色素の水中拡散が防止でき、摂取効率が高まる。よ
って、このゲル構造体を用いれば、甲殻類などの高価で
且つ鮮度管理を要する餌を大量に投与することなく、体
色の調整が可能となる。
【0046】更に、かかるゲル構造体の製造は、アルギ
ン酸塩溶液に難溶性多価金属炭酸塩が分散してなる分散
液を有機酸水溶液と接触させることにより、ゲル形成と
気泡封入とを同時に行えるので、ワンパスの簡便な工程
でかつ安定的に水中浮上または浮遊性のゲル構造体を製
造することができた。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 難溶性多価金属炭酸塩と有機酸との反応
    により発生した多価金属イオンとアルギン酸塩によるゲ
    ル構造からなり、該難溶性多価金属炭酸塩と有機酸との
    反応により発生した炭酸ガス気泡が該ゲル構造中に内包
    されていることを特徴とするアルギン酸ゲル構造体。
  2. 【請求項2】 ゲル構造体が、水中浮上または浮遊性で
    あることを特徴とする請求項1に記載のアルギン酸ゲル
    構造体。
  3. 【請求項3】 ゲル構造体が、色素、魚類誘引物、魚類
    成長促進物、魚類栄養物のいずれか一つ以上を含有して
    いることを特徴とする魚類飼料用の請求項1又は2に記
    載のアルギン酸ゲル構造体。
  4. 【請求項4】 アルギン酸塩溶液に難溶性多価金属炭酸
    塩を分散させ、この分散液を有機酸水溶液と接触させて
    発生する多価金属イオンによりゲル化させるとともに、
    前記接触により発生する炭酸ガス気泡をゲル中に封じ込
    めることを特徴とするアルギン酸ゲル構造体の製造方
    法。
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