JPH0627593U - ピルファープルーフキャップ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ウイング付合成樹脂製ピルファープルーフキ
ャップのキャップ本体に形成されたねじを多条ねじと
し、それらの位相を、ねじの条数で３６０度を除した角
度ずらして構成するとともに、このキャップを容器に装
着した時、容器口部上端からパッキンの周縁が容器口部
外周に密着するサイドシール長を、キャップの回転によ
りブリッジが切断されるまでのキャップ移動量と同一或
いは大きく設定したものである。 【効果】 従来品キャップに比べて少ない回転でＰＰリ
ングをつないだブリッジを切断でき、このブリッジ切断
までの間はサイドシールが容器口部に密着して容器の気
密性が保たれるのでＰＰ特性が向上し、一度開栓された
ものを確実に識別でき、悪戯防止の効果を向上させるこ
とができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、容器が未開封のものであるか開封後のものであるかを確認するた めのピルファープルーフリングを備えたピルファープルーフキャップ（以下、キ ャップと省略する）に関する。

【０００２】

【従来の技術】

図３はこの種のキャップの従来例として、特開昭６３−９６０５２号公報に開 示されたキャップを示すものである。このキャップは、円板状の頂板１及びその 周縁から垂下したスカート部２を有するキャップ本体３と、ブリッジ４によって スカート部２に連結されたピルファープルーフリング５とを有し、このピルファ ープルーフリング５の内周壁面には、内方に延びる複数のウイング６が形成され 、また頂板１内面側に薄い円板状のパッキン１３を固着して構成されている。

【０００３】 これら各ウイング６は、このキャップを容器７に取付ける時、キャップの軸線 に対して鋭角で傾斜しているヒンジ手段のまわりで容器から外方へ向って弾力的 に可動であるように構成され、かつ、前記ブリッジ４を破砕するために、容器７ に設けられたロッキングリング８と係合可能であり、かつこのロッキングリング ８の下方であってロッキングリング８に近接した容器７の部分に係合するような 寸法と大きさになっている。各ウイング６は、可撓性を有しているが、図４に示 すように、ロッキングリング８と係合する当接エッジ部分９によりエッジ部分１ ０の周りでウイング６に押圧を作用させたとき、ロッキング・エッジ部分１１が 折損して、容器口部１２を素通りすることを確実に防止することができる十分に 大きな弾性と厚さを持つように作られている。

【０００４】 このキャップは、容器に取付けた後、キャップ本体３を開栓方向にまわすと、 キャップ本体３は螺条に沿って上方に移動するが、ピルファープルーフリング５ は各ウイング６がロッキングリング８に当接して、ピルファープルーフリング５ の上方への移動を阻止することにより、キャップ本体３とピルファープルーフリ ング５の間に引張り力が働き、この力によってキャップ本体３とピルファープル ーフリング５を連結しているブリッジ４が切断され、ピルファープルーフリング ５はキャップから切り外されることになる。かくして、容器に取付けたキャップ を何者かが開栓し、再び閉栓したとしても、ピルファープルーフリング５の切断 によって開栓行為が明らかとなり、容器内への異物混入などの悪戯行為を防止す る効果がある。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、従来のキャップにあっては、合成樹脂を材料としているため、 キャップ開栓時に、各ウイング６が容器のロッキングリング８に当接して撓み、 またブリッジ４は、引張力などが加えられても、ある程度弾性変形し、すぐに切 断されることがないため、このキャップを開栓方向に回し、ブリッジを切断する までに要するキャップ回転角度がアルミ製ピルファープルーフキャップの２倍以 上である２００度以上回さないと、ピルファープルーフリングが確実に切断でき なかった。 また従来のウイング付合成樹脂製キャップでは、キャップを容器に装着した時 、容器口部上端からパッキンの周縁が容器口部外周に密着するサイドシール長と を、キャップの回転によりブリッジが切断される回転角度でのキャップの移動量 との関係について考慮されておらず、従来一般的に用いられているキャップでは 、ブリッジが切断される回転角度が、サイドシールの外れる回転角度の２倍程度 となっていた。 このように従来のキャップでは、キャップを開栓方向に２００度以上回さない とピルファープルーフリングが確実に切断できず、しかもブリッジが切断される 前にサイドシールが外れる可能性があり、そのために悪戯防止の効果が十分でな かった。

【０００６】 本考案は上記事情に鑑みてなされたもので、ウイング付合成樹脂製ピルファー プルーフキャップにおいて、少ない回転角度であってもピルファープルーフリン グを確実に切断させることができ、悪戯防止の効果を高めたキャップの提供を目 的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案のピルファープルーフキャップは、上記課題を解決するために、上部に 螺子部が形成され、この螺子部の下方にピルファープルーフリング係止用膨出部 が外方へ膨出して形成された容器本体の口部を閉止するために用いられるピルフ ァープルーフキャップであって、頂板とその周縁から垂下したスカート部を有す るキャップ本体と、このキャップ本体の下方に設けられたピルファープルーフリ ングと、これらピルファープルーフリングとキャップ本体とを連結するブリッジ と、キャップ本体の頂板内面に固着されたパッキンとを具備し、かつ該ピルファ ープルーフリングの内周壁面には、開封時キャップが上昇された時前記容器本体 口部のピルファープルーフリング係止用膨出部に係止してピルファープルーフリ ングの上昇を阻止するための内方に向けて延びる複数のウイングが形成された合 成樹脂製のピルファープルーフキャップにおいて、このキャップを容器の口部に 装着するためにキャップ本体に形成されたねじを多条ねじとし、それらの位相を 、ねじの条数で３６０度を除した角度ずらして構成するとともに、上記キャップ を容器に装着した時、容器口部上端からパッキンの周縁が容器口部外周に密着す るサイドシール長を、キャップの回転によりブリッジが切断されるまでのキャッ プ移動量と同一或いは大きく設定したものである。

【０００８】

【作用】

本考案のピルファープルーフキャップでは、多条ねじが設けられているので、 開栓時のキャップの傾きを防止しつつ、かつキャップの開栓力を損なうことなく 、ねじのピッチを大きくでき、これによりキャップの回転量に対するキャップの 上下方向への変位を大きくすることができる。またサイドシール長を、キャップ の回転によりブリッジが切断されるまでのキャップ移動量と同一或いは大きくな るように設定したので、サイドシールが容器口部の上端から外れる前にブリッジ が切断される。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案のピルファープルーフキャップを図面を参照して説明する。 図１はこの考案のキャップの一例を示すものであり、図３及び図４に示したも のと同一の構成部分には同一符号を付してある。この例のキャップは、円板状の 頂板１とその周縁から垂下したスカート部２を有するキャップ本体３と、このキ ャップ本体３の下方に設けられたピルファープルーフリング５（以下、ＰＰリン グという）と、これらＰＰリング５とキャップ本体３とを連結するブリッジ４と 、頂板１の内面に固着された薄い円板状のパッキン１３とを主要な構成要素とし て備えている。

【００１０】 このキャップは合成樹脂製のもので、キャップ本体３のスカート部２の内面に は多条ねじ１４が形成されている。この多条ねじ１４は、二条以上のねじ山を有 するものであって、この例のキャップにあっては、二条のねじ山１４ａ，１４ｂ が設けられている（図１中の二点鎖線は、断面の手前側にあるねじ山を示してい る）。

【００１１】 またこのキャップは、ＰＰリング５の内周壁面に、開封時キャップが上昇され た時、容器７口部の螺条の下方に設けられたＰＰリング係止用のロッキングリン グ８に係止して、ＰＰリング５の上昇を阻止するための内方に向けて延びる複数 のウイング６が形成されている。

【００１２】 さらにこのキャップは、図２に示すようにキャップを容器７に装着した時、容 器口部上端からパッキンの周縁が容器口部外周に密着するサイドシール部１５の 長さ（サイドシール長Ｌ）を、キャップの回転によりブリッジ４が切断されるま でのキャップ移動量と同一或いは大きくなるように設定したものである。 上記サイドシール長Ｌは、多条ねじ１４の上昇ピッチに、ブリッジ４切断まで の回転角度を乗じて得られた値と同一或いはそれよりも大きくなるように設定さ れる。

【００１３】 このキャップは多条ねじ１４を形成しているので、ねじ条数を図１の実施例の ように二条とした場合、キャップの回転によるキャップの上昇率が２倍となり、 従って、一条ねじキャップにおいてはブリッジ４が切断される回転角度が２００ 〜３００度であったものが、二条ねじキャップの場合にはその半分の１００〜１ ５０度程度の回転角度となる。

【００１４】 このようなキャップは、容器口部に多条ねじが形成された容器に装着して使用 される。 そして、このキャップを開封のために回転すると、キャップのスカート部２に 形成された多条ねじ１４のねじ山１４ａ，１４ｂが互いに１８０度の位置（３条 ねじであれば１２０度の位置）で容器口部のねじ山とかみ合うので、これによっ てキャップの傾きは規制され、キャップは容器口部の軸線に沿って真っ直に上昇 することになる。この結果、このキャップのＰＰリング５の各ウイング６が全て 同時に容器口部のロッキングリング８に当接する可能性が高まる。各ウイング６ は可撓性を有しているが、図４に示すように、ロッキングリング８と係合する当 接エッジ部分９によりエッジ部分１０の周りでウイング６に押圧を作用させたと き、ロッキング・エッジ部分１１が折損して、容器口部１２を素通りすることを 確実に防止することができるような十分に大きな弾性と厚さを持つように作られ ているので、ＰＰリング５がロッキングリング８を越えて上方に抜け出すことが ない。従って、さらにキャップを回転させるとＰＰリング５がロッキングリング ８に確実に係止されたままの状態でブリッジ４が切断され、より円滑に開封する ことができる。

【００１５】 また、この例のキャップにあっては、多条ねじ１４が設けられているので、開 栓時のキャップ傾きを防止しつつ、かつキャップ開栓力を損なうことなく、ねじ のピッチを大きくすることができる。そしてこれによりキャップの回転量に対す るキャップの上下方向への変位を格段に大きくすることができる。従ってこのキ ャップによれば、ＰＰリングに設けた複数のウイング６を容器のロッキングリン グ８に係合させてＰＰリング５の上方への移動を阻止するキャップのように、ウ イング６のたわみによってキャップ回転量を大きくしないとブリッジ４を切断し 得ないキャップであっても、少ない回転でキャップ本体３とＰＰリング５とを連 結するブリッジ４を確実に切断することができる。またサイドシール長Ｌを、キ ャップの回転によりブリッジが切断されるまでのキャップ移動量と同一或いはそ れよりも大きくなるように設定したので、サイドシールが容器口部の上端から外 れる前にブリッジ４が切断される。 この結果、このキャップでは、従来品キャップに比べて少ない回転でＰＰリン グをつないだブリッジ４を切断でき、このブリッジ切断までの間はサイドシール が容器口部に密着して容器の気密性が保たれるのでＰＰ特性が向上し、一度開栓 されたものを確実に識別でき、悪戯防止の効果を向上させることができる。

【００１６】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案のピルファープルーフキャップでは、多条ねじが 設けられているので、開栓時のキャップ傾きを防止しつつ、かつキャップ開栓力 を損なうことなく、ねじのピッチを大きくすることができる。そしてこれにより キャップの回転量に対するキャップの上下方向への変位を格段に大きくすること ができる。従ってこのキャップによれば、ＰＰリングに設けた複数のウイングを 容器口部のピルファープルーフリング膨出部に係合させてＰＰリングの上方への 移動を阻止するキャップのように、ウイングのたわみによってキャップ回転量を 大きくしないとブリッジが切断不可能なキャップであっても、少ない回転でキャ ップ本体とＰＰリングとを連結するブリッジを確実に切断することができる。

【００１７】 またサイドシール長を、キャップの回転によりブリッジが切断されるまでのキ ャップ移動量と同一或いはそれよりも大きくなるように設定したので、サイドシ ールが容器口部の上端から外れる前にブリッジが切断される。 従って本考案のキャップによれば、従来品キャップに比べて少ない回転でＰＰ リングをつないだブリッジを切断でき、このブリッジ切断までの間はサイドシー ルが容器口部に密着して容器の気密性が保たれるのでＰＰ特性が向上し、一度開 栓されたものを確実に識別でき、悪戯防止の効果を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本考案のピルファープルーフキャップの
一実施例を示す断面図である。

【図２】図２は同キャップを容器に装着した状態を示す
要部拡大断面図である。

【図３】図３は従来のキャップを示す断面図である。

【図４】図４は同キャップのウイングと容器のロッキン
グリングとの係合状態を説明するための拡大斜視図であ
る。

【符号の説明】

１……頂板、２……スカート部、３……キャップ本体、
４……ブリッジ、５……ＰＰリング、６……ウイング、
７……容器、８……ロッキングリング（ピルファープル
ーフリング係止用膨出部）、９……当接エッジ部分、１
０……エッジ部分、１１……ロッキング・エッジ部、１
２……容器口部、１３……パッキン、１４……多条ね
じ、１４ａ,１４ｂ……ねじ山、１５……サイドシール
部、Ｌ……サイドシール長。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上部に螺子部が形成され、この螺子部の
   下方にピルファープルーフリング係止用膨出部が外方へ
   膨出して形成された容器本体の口部を閉止するために用
   いられるピルファープルーフキャップであって、 頂板とその周縁から垂下したスカート部を有するキャッ
   プ本体と、このキャップ本体の下方に設けられたピルフ
   ァープルーフリングと、これらピルファープルーフリン
   グとキャップ本体とを連結するブリッジと、キャップ本
   体の頂板内面に固着されたパッキンとを具備し、かつ該
   ピルファープルーフリングの内周壁面には、開封時キャ
   ップが上昇された時前記容器本体口部のピルファープル
   ーフリング係止用膨出部に係止してピルファープルーフ
   リングの上昇を阻止するための内方に向けて延びる複数
   のウイングが形成された合成樹脂製のピルファープルー
   フキャップにおいて、 このキャップを容器の口部に装着するためにキャップ本
   体に形成されたねじを多条ねじとし、それらの位相を、
   ねじの条数で３６０度を除した角度ずらして構成すると
   ともに、上記キャップを容器に装着した時、容器口部上
   端からパッキンの周縁が容器口部外周に密着するサイド
   シール長を、キャップの回転によりブリッジが切断され
   るまでのキャップ移動量と同一或いは大きく設定したこ
   とを特徴とするピルファープルーフキャップ。