JPH0627179Y2 - アイアンクラブヘッド - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、アイアンクラブヘッドに係り、特にヘッド本
体の少なくとも打球領域を繊維強化合成樹脂材によって
成形したアイアンクラブヘッドに関するものである。

〔従来の技術〕

アイアンクラブヘッドは、軟鉄，黄銅，ステンレス等の
金属材から一体成形されているのが一般であるが、この
種のクラブヘッドは各番手に合わせた形状，重さになっ
ているものの金属の塊であるため、弾性に乏しく、特に
ボールのヒットに最も重要な打球面に弾性がないので、
その反撥係数が小さく、ヘッドの打球面からのボールの
球離れが速いためにボールのコントロールが難しいこ
と、更にウッドクラブのようなソフトな打球感が得られ
ず、打球時の衝撃がグリップに伝播されてしまう外、ボ
ールの飛距離も得られない。

そこで、従来に於ては、実開昭５９−１６６７０号公
報，実開昭５９−１９０２７０号公報等に開示されてい
るようにクラブヘッド本体を構成する少なくともフェー
ス面（打球面）部分を、カーボン繊維等を混入した繊維
強化合成樹脂により形成し、これにより打球面の反撥力
を高め、且つ打球時のソフトな打球感を得るようにして
いる。

〔考案が解決しようとする課題〕

然し乍ら、何れの公知例も芯部はソール部に対し一体的
に突出しているため、フェース部を形成する合成樹脂層
によりボールの衝撃をある程度は吸収するものの、該衝
撃は芯部で受け止めることとなり、該芯部と一体になっ
ているソール部、ホーゼル部、更にシャフトを通じてプ
レーヤーの手に直接伝播し、ソフトな打球感を十分得る
ことができない。

本考案は斯かる従来の問題点を解決するために為された
もので、その目的は、ウェート設定と打球のコントロー
ルを容易にし、且つ打球感を向上させることができると
共に十分な強度を有する繊維強化合成樹脂と金属との複
合体から成るアイアンクラブヘッドを提供することにあ
る。

〔課題を解決するための手段〕

本考案に係るアイアンクラブヘッドは、ホーゼル部と、
これに連接するソール部を有するベース用金属体を形成
し、このベース用金属体のソール部の上部にフェース
部，トップ部，バック部及びトウ部を有し上記ベース用
金属体のホーゼル部の外表面を被覆する繊維強化合成樹
脂体を一体成形すると共に、上記繊維強化合成樹脂体の
バック部のトウ側とヒール側の上記繊維強化合成樹脂体
の高さの略中間に金属製のウェートブロックをその背面
がバック部に露出する迄後方に位置させ、且つ、上記ベ
ース用金属体と離間させて埋設したものである。

〔作用〕

本考案に於ては、ウェートブロックがベース用金属体と
分離し且つ繊維強化合成樹脂体のバック部の位置に固定
したから、打球面からのウェートブロック迄の繊維強化
合成樹脂体の層の厚さによる反撥力と、その層の背後に
あってその反撥力を増加するウェートブロックによるハ
ンマー効果とによってボールの飛距離を低下させること
なく打球面からのボール離れを遅くして飛ぶ方向性をコ
ントロールし易くできる。

又、ウェートブロックは、ゴルフクラブヘッドの最後部
に位置しゴルフクラブヘッドの重心が後方に移動するか
ら、打球軸線方向に沿った慣性モーメントが大きくなっ
て打球時にゴルフクラブヘッドのブレを極力抑え、一層
ボールのコントロールがし易くなる。

更に、ボールの衝撃を繊維強化合成樹脂層を介して受け
止めるウェートブロックは、シャフトを固定しているベ
ース用金属体とは直に接合していないから、ウェートブ
ロックで受け止めた衝撃がプレーヤーの手に直接的に伝
播せず、極めてソフトな打球感が得られる。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を第１図及び第２図について説明
する。

図に於て、全体符号１はゴルフクラブヘッドであり、ス
テンレス，黄銅，軟鉄等の金属から一体成形されたベー
ス用金属体２を有している。

このベース用金属体２は、ソール部３と、そのヒール３
ａ側に一体に連接したシャフト装着用のホーゼル部４と
から構成されている。

又、５ａ，５ｂは、ゴルフクラブヘッド１のバック部１
ｃに埋設された金属製のウェートブロックで、ゴルフク
ラブヘッド１の番手に応じてウェート設定及びウェート
バランス調整を可能にするものである。

このようにしたベース用金属体２及びウェートブロック
５ａ，５ｂは、ヘッド成形金型（図示せず）内にセット
され、そして、カーボン繊維，ガラス繊維等の補強繊維
を混入した繊維強化合成樹脂材を成形金型内に注入し固
化することにより、ゴルフクラブヘッド１のフェース部
１ａ，トップ部１ｂ及びバック部１ｃ及びトウ部１ｄを
有する繊維強化合成樹脂体６を一体成形すると共に、ソ
ール部３の下面を除くホーゼル部４の外表面及びこれと
ソール部３との連結基部外表面に繊維強化合成樹脂層７
を一体に成形する。

この時、ウェートブロック５ａ，５ｂは、繊維強化合成
樹脂体６のバック部１ｃにその背面が露出する迄後方に
位置させて埋設される。

然し、ウェートブロック５ａ，５ｂは、ベース用金属体
２と繊維強化合成樹脂体６を一体に成形した後工程に於
て取り付けることも可能である。

上記のように構成されたアイアンクラブヘッド１にあっ
ては、ベース用金属体２に一体成形された繊維強化合成
樹脂帯６が打球領域を構成し、この打球領域内の打球面
には金属，即ちウェートブロック５ａ，５ｂが存在しな
いため、アイアンクラブヘッドの構造的ルールを満足さ
せることになり、従来の金属製ゴルフクラブヘッドと同
様に打球面は一種類の材質（繊維強化合成樹脂材）のみ
で構成できる。

又、ベース用金属体２の成形も容易になる外、量産性に
適した低コストのものにできる。

更に、ゴルフクラブヘッドの打球領域は、繊維強化合成
樹脂で構成されるため、金属製ゴルフクラブヘッドに比
し反撥力が大きくなり、ボールの飛距離が増大できる
外、打球感の良好なアイアンクラブヘッドとすることが
可能である。

更に又、ベース用金属体２とは別体にしたウェートブロ
ック５ａ，５ｂを繊維強化合成樹脂体６のバック部１ｃ
に繊維強化合成樹脂体６の背面が露出する迄後方に位置
させて埋設する方式となっているため、ゴルフクラブヘ
ッド１に必要なウェート設定が容易となり、且つベース
用金属体２を各番手の一部又は全部に共通化でき、ベー
ス用金属体２の低コスト化を更に促進すると共に、ウェ
ートブロック５ａ，５ｂの繊維強化合成樹脂体６への位
置設定が自由であるため、ゴルフクラブヘッド１のトウ
・ヒールバランス等のウェートバランス調整が容易にな
る。

〔考案の効果〕

以上のように本考案によれば、ソール部及びホーゼル部
は十分な強度を有し乍らフェース部を繊維強化合成樹脂
体で形成したため、ソフトな打球感が得られ、これに加
えて繊維強化合成樹脂体の厚さによる反撥力と埋設した
ウェートブロックによるハンマー効果とによってボール
の飛距離を低下させることなく、ボールの方向性をコン
トロールし易くなり、又、ウェートブロックがヘッドの
最後部に位置しているため、ヘッドの重心が後方に移動
してヘッドブレを極力抑える。

更に、ウェートブロックは、ベース用金属体と離間して
いるから、ボールの衝撃がプレーヤーの手に直接的に伝
播せず、繊維強化合成樹脂体による極めてソフトな打球
感が阻害されずに得られ、且つ、ベース用金属体はソー
ル部を有しており、繊維強化合成樹脂体のバック部のト
ウ側とヒール側に金属製のウェートブロックを埋設した
ので、トウ側，ヒール側，ソール側の３方向のウェート
によりスイートスポットを外して打球してもヘッドはト
ウ，ヒール方向及びトップ，ソール方向のどちらの方向
についてもその回転が防止される。

更に又、繊維強化合成樹脂体は、ベース用金属体のホー
ゼル部を被覆するようにして一体成形しているため、ベ
ース用金属体との接合が強固になり、繊維強化合成樹脂
体が回転して破損することが防止される。

又、ソール部のウェートによりウェートブロックを繊維
強化合成樹脂体の高さの略中間に位置させることがで
き、スイートスポットが片寄ることがないため広くなる
利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るアイアンクラブヘッドの一例を示
す一部切欠き正面図である。 第２図は第１図のII−II線に沿う断面図である。 〔符号の説明〕 １……アイアンクラブヘッド、１ａ……フェースブロッ
ク、１ｂ……トップ部、１ｃ……バック部、１ｄ……ト
ウ部、２……ベース用金属体、３……ソール部、４……
ホーゼル、５ａ，５ｂ……ウェートブロック、６……繊
維強化合成樹脂体、７……繊維強化合成樹脂層。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−45363（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−220673（ＪＰ，Ａ) 実開 昭59−82060（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭59−102061（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭53−17883（ＪＰ，Ｙ２) 実公 昭55−54534（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ホーゼル部と、これに連接するソール部を
   有するベース用金属体を形成し、このベース用金属体の
   ソール部の上部にフェース部，トップ部，バック部及び
   トウ部を有し上記ベース用金属体のホーゼル部の外表面
   を被覆する繊維強化合成樹脂体を一体成形すると共に、
   上記繊維強化合成樹脂体のバック部のトウ側とヒール側
   の上記繊維強化合成樹脂体の高さの略中間に金属製のウ
   ェートブロックをその背面がバック部に露出する迄後方
   に位置させ、且つ、上記ベース用金属体と離間させて埋
   設したことを特徴とするアイアンクラブヘッド。