JPH038305Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、ゴルフクラブヘツド、さらに詳し
くはアイアン、パターと通称される種類のゴルフ
クラブヘツドの改良に関する。

アイアン、パターンと通称されるゴルフクラブ
のヘツドは、ステンレス、鉄鋼等の金属により一
体成形されているのが普通である。このことはボ
ールと衝突するヘツドの打球面も金属となるた
め、打球面に反発係数が低く、ウツドヘツドに使
用されるパーシモン如き特性の弾性は全く望めな
い。したがつて、このようなクラブヘツドでボー
ルをヒツトした場合、ボールとの衝突時にヘツド
打球面に作用する衝撃力は、打球面の反発係数が
小さいために、ヘツドからシヤフト及びグリツプ
を通して手に大きく作用し、プレイする者に不快
を与えることになる。

また、特にアイアンヘツドにおいては、トウ・
ヒールバランスと称して、ヘツドのトウ部分とヒ
ール部分への重量配分を打球面部分より大きく
し、これによりボールの打球面に対する適正係合
エリア、即ちヘツドのスイートスポツトエリアを
拡大し、トウとヒールのバランスをクラブの種類
により調整するためである。これはアイアンクラ
ブの使い易さ及びボールの方向性を良くする点で
プレイする者に好まれている。

しかるに従来、上述する如きトウ・ヒールバラ
ンスを得る手段としては、ヘツドの外形を大きく
したり、あるいはヘツドのトウ・ヒール及びソー
ル部分の肉厚を厚くする方式を採つている。しか
し、このような方式ではヘツド自体の重量が重く
なつてしまい、ヘツドの軽量化を阻害することに
なる。

即ち、、従来のアイアンヘツドでは、トウ・ヒ
ールバランスを得るための形状と軽量化は相反
し、いずれか一方を犠性にしないと他方を生かす
ことができないのが実状である。このことはパタ
ーヘツドにおいても同様に云えることである。

さらにまた、従来におけるアイアン及びパター
ヘツドは、その金属表面が露出しているため耐食
性に劣る欠点があつた。

この考案は上記従来の問題を解決したもので、
その目的とするところは、打球面の反発係数を大
きくして手に伝達される打球時の衝撃を軽減し、
かつボールのコントロールを容易にするととも
に、ヘツド本体の軽量化及びスイートスポットエ
リアの拡大を可能にしたアイアン及びパター用の
ゴルフクラブヘツドを提供するにある。

この考案のゴルフクラブヘツドは、トウ部、ヒ
ール部、トツプ部、ソール部、バツク部、ホーゼ
ル部、及び平但なフエース部等を備えた金属製ヘ
ツドコアを有し、このヘツドコアのフエース部に
はその打球面部分に位置してトツプ部からソール
部に達する所望幅の板状切欠部を所望深さに形成
し、該切欠部のカツト分に対応してトウ部、ヒー
ル部及びソール部の重量配分を調整するととも
に、上記切欠部内には補強繊維と合成樹脂材から
なるフエース部材を装着し、かつ上記ヘツドコア
のフエース部のフエース部材とヘツド本体部に補
強繊維強化被覆層を形成したものである。

以下、この考案の具体的実施例を図面について
説明する。

第１図〜第５図はこの考案にかかるゴルフクラ
ブヘツド、即ちアイアンヘツドの一例を示すもの
である。第１図〜第３図において、１はアイアン
クラブのヘツドを構成するヘツドコアあり、該ヘ
ツドコア１は、傾斜する平但なフエース部２、そ
の左右に位置するトウ部３及びヒール部４と、フ
エース部２の上下に位置するトツプ部５及びソー
ル部６を有し、そしてヒール部４から斜め上方に
ホーゼル７が突出しており、このホーゼル７には
図示しないクラブシヤフトを取り付けるためのシ
ヤフト嵌合穴８が同心に形成されている。また、
上記ヘツドコア１のバツク部９はその中央部分に
凹部１０を有し、この凹部１０を囲む周りは凸状
になつているとともに、トウ部３及びソール部６
に対応する部分９ａ，９ｂ肉厚は他よりも厚く成
形され、このような形状のバツク部９とすること
により、ヘツドコア１におけるトウ部３、ヒール
部４及びソール部６の重量分布を大きくし、トウ
部３とヒール部４との重量バランスを良くしてヘ
ツドコア１のスイートスポツトエリアを拡大する
ようになつている。

上記のように成形されたヘツドコア１のフエー
ス部３には、その打球面部分に位置してトツプ部
５からソール部６に達する所望幅で所望深さの板
状切欠部１１が形成され（この場合、一様な深さ
とは限らず、ソール部６側にに行くに従い深くす
るようにしても良い）、そして該切欠部１１のカ
ツト重量分に対応してトウ部３、ヒール部４及び
ソール部６の重量配分を適宜に増減し、これによ
り、ヘツドコア１本体のトウ・ヒールバランスを
調整し、併せてスイートスポツトエリアの拡大を
より向上するようになつている。また、上記切欠
部１１内には、その形状及び深さに一致する板状
のフエース部材１２が接着剤、その他の手段によ
り一体に固着されている。上記フエース部材１２
はポリカーボネート等の合成樹脂シートと、カー
ボン繊維、ガラス繊維等の補強繊維シートとを多
数交互に積層して加熱モールドしたものから成形
され、そしてフエース部材１２に利用される材質
の補強繊維の割合は20〜60重量％である。

このような材質からなるフエース部材１２はパ
ーシモン等に類似した反発係数を持たさせること
ができるため、ボールヒツト時にヘツドが受けた
衝撃力のシヤフト側への伝達を減少させ得る。こ
れはフエース部材１２が衝撃力を受けた瞬間コイ
ルばねの如く弾性圧縮されるからであり、そして
この弾性圧縮により蓄積されるからであり、そし
てこの弾性圧縮により蓄積された反発エネルギー
は反発力としてボールに作用するため、ボールの
飛距離を増大することがあつても減少させるおそ
れなく、さらにボールの方向性及びコントロール
も金属製のフエースに比べ良好となる。

また、フエース部材１２が固着されたヘツドコ
ア１のほぼ全外表面には、第４図、第５図に示す
ようにポリカーボネート、ABS樹脂等の合成樹
脂材に、径が７〜８ミクロン、長さが0.1〜１mm
のカーボン繊維、ガラス繊維などの補強短繊維を
20〜60重量％加えたものからなる被覆層１３が所
望の厚さに形成され、これによりアイアンヘツド
を構成する。この場合、被覆層１３の厚みに相当
する分ヘツドコア１の外形寸法を全体に小さく
し、被覆層１３を形成した後のアイアンヘツドの
外形寸法は一般のアイアンと同等となる。このよ
うにすれば、アイアンヘツドを軽量化できるほ
か、ヘツドコア１の耐食性を向上できる。

なお、ヘツドコア１におけるフエース部２とソ
ール部６との境界部分１４は第２図に示すように
所望のアールに成形され、これによりダフリ時な
どに生じるヘツド本体への衝撃を緩和してフエー
ス部材１２及び被覆層１３の剥離を防止するよう
になつている。また、ホーゼル７の上端部７ａに
は必要に応じて被覆層１３が形成されない構造に
なつている。

第６図及び第７図はこの考案におけるアイアン
ヘツドの他の実施例を示すもので、上記第４図及
び第５図と同一構成部分には同一符号を付してそ
の説明を省略し、異なる部分を重点に説明する。

即ち、第６図及び第７図からも明らかなように
補強繊維と合成樹脂材とからなるフエース部材１
２が装着される板状切欠部１１内において、フエ
ース部材１２に対するボール衝合面から外れた位
置にヘツドコア１のバツク部９側に貫通する複数
個の孔１５を穿設し、この各貫通孔１５内に被覆
層１３と同一材料（もしくはフエース部材１２と
同質材料）からなる部材１６を充填し、この部材
１６によりフエース部材１２とバツク部９側の被
覆層１３とを一体に接合することで、ヘツドコア
１の切欠部１１に対するフエース部材１２の接合
強度を増大させるようにしたものである。

この実施例にあつては、上述する如きフエース
部材１２のヘツドコア１に対する接合強度を増大
できるほか、上記第４図、第５図に示す実施例と
同様な効果が得られる。

第８図及び第９図はこの考案におけるアイアン
クラブのさらに他の実施例を示すもので、アイア
ンヘツドを構成するヘツドコア１は上記第１図〜
第３図に示す場合と同様に構成され、そしてて切
欠部１１内のフエース部材１２は、ヘツドコア１
の表面に被覆層１３を形成するとき、該被覆層１
３と同材質、即ち上記と同様ポリカーボネート、
ABS樹脂等の合成樹脂材にカーボン繊維、ガラ
ス繊維等の補強短繊維を20〜60重量％混合したも
のから一体に成形したものである。

この実施例にあつては、アイアンヘツドの生産
性が向上するほか、上記第１の実施例と同一の作
用効果を発揮できる。

なお、上記各実施例ではアイアンヘツドのみに
ついて説明したが、パターヘツドにも同様に適用
できることは勿論である。

以上のようにこの考案によれば、アイアンもし
くはパターのヘツドを構成するヘツドコアのフエ
ース部に所望深さの板状切欠部を設け、該切欠部
内に補強繊維と合成樹脂材からなるフエース部材
を装着し、かつフエース部のフエース部材とヘツ
ド本体部に補強繊維強化被覆層を形成したので、
フエース部を金属製ヘツド本体と、補強繊維と合
成樹脂からなるフエース部材と、補強繊維強化被
覆層の３層構造とすることとなり、次のごとき効
果が奏される。

外層が補強繊維強化被覆層で形成されているた
め、打球時の球質や外観が補強繊維と合成樹脂か
らなるフエース部材に直接的に影響されず、パー
シモンウツドタイプのように該フエース部材の厚
さ、形状等を任意に設定し易く、反発弾性の確保
と所望の重量配分による方向安定性等を確実、自
在に調整できる。

また、３層構造の被覆層は、ヘツド本体フエー
ス部とフエース部材の両方を被覆するため、ヘツ
ド本体とフエース部材の境界部の剥離や割れを防
止し、強度が向上する。

しかも、補強繊維被覆層のため被覆層自体の強
度も強く、耐久性も向上する。

さらに、打球部以外のトウ部側やヒール側にボ
ールが当たつても、被覆層があるため、打球部と
同様の球質を得られ易くなり、違和感もなくな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案にかかるアイアンヘツドのヘ
ツドコアの正面図、第２図は第１図の−線に
沿う断面図、第３図は同じくヘツドコアの背面
図、第４図はヘツドコアに被覆層を形成した後の
この考案におけるアイアンヘツドの正面図、第５
図は第４図の−線に沿う断面図、第６図はこ
の考案におけるアイアンヘツドの他の実施例を示
す正面図、第７図は第６図の−線に沿う断面
図、第８図はこの考案におけるアイアンヘツドの
さらに他の実施例を示す正面図、第９図は第８図
の−線に沿う断面図である。 １……ヘツドコア、２……フエース部、３……
トウ部、４……ヒール部、５……トツプ部、６…
…ソール部、７……ホーゼル、９……バツク部、
１１……板状切欠部、１２……フエース部材、１
３……被覆層、１５……貫通孔、１６……部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. トウ部、ヒール部、トツプ部、ソール部及び平
   但なフエース部等を備えたアイアン、パター用の
   金属製ヘツドコアを有し、このヘツドコアのフエ
   ース部にはその打球面部分に位置してトツプ部か
   らソール部に達する所望幅で所望深さの板状切欠
   部を形成し、該板状切欠部のカツト重量分に対応
   してトウ部、ヒール部及びソール部の重量配分を
   調整するとともに、上記板状切欠部内には補強繊
   維と合成樹脂材からなるフエース部材を装着し、
   かつ上記ヘツドコアのフエース部のフエース部材
   とヘツド本体部に補強繊維強化被覆層を形成した
   ことを特徴とするゴルフクラブヘツド。