JPH06271460A - リポソーム分散液の製造方法 - Google Patents

リポソーム分散液の製造方法

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JPH06271460A
JPH06271460A JP8514093A JP8514093A JPH06271460A JP H06271460 A JPH06271460 A JP H06271460A JP 8514093 A JP8514093 A JP 8514093A JP 8514093 A JP8514093 A JP 8514093A JP H06271460 A JPH06271460 A JP H06271460A
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liposome dispersion
particle size
drug
concentration
dispersion liquid
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JP8514093A
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English (en)
Inventor
Yoshihisa Kawakami
吉久 川上
Koji Awai
浩二 粟井
Satoru Tokuyama
悟 徳山
Hidetoshi Tsuchida
英俊 土田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NOF Corp
Research Institute for Production Development
Original Assignee
Research Institute for Production Development
Nippon Oil and Fats Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 医薬品・化粧品などの分野で有用な薬物内包
率が極めて高いリポソーム分散液の特性に富む効率的な
製造方法を提供する。 【構成】 原料脂質と内包薬物から成る低濃度リポソー
ム分散液を、該リポソーム分散液中の分散粒子の最大粒
径未満の孔径のフィルターで処理することを特徴とする
内包薬物の高濃度リポソーム分散液の製造方法、ならび
に前記リポソーム分散液を乳化処理し薬物内包率を高く
維持しつつ分散質粒子が調整された高濃度リポソーム分
散液の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬品、化粧品等の分
野で有用なリポソーム分散液の製造方法に関する。更に
詳しくは、本発明はリポソーム分散液、所謂、各種原料
脂質にインシュリンなどの薬物を高濃度に内包させた内
包薬物の高濃度リポソーム分散液の製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】原料脂質に所望の薬物を内包化させた、
所謂、リポソーム分散液において、薬物内包率を向上さ
せる方法として、種々のものが提案されている。例え
ば、 (a)逆相蒸発法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第75巻、
第4294頁、1978年) (b)薬物自身の化学修飾法(.International Journ
al of Pharmatics、第14巻、第191 頁、1983年、.Jou
rnal of Pharmacobio bynamics、第7巻、第120 頁、19
84年)、 (c)他の助剤等を使用する方法(Biochemica et Biop
hsica Acta、第71巻、第958 頁、1982年)、 (d)リポソームまたはリポソーム膜自体の性質を変え
る方法(Biochemicaet Biophsica Acta、第812 巻、第6
6頁、1985年)、 (e)薬物の電荷に対して対電荷を有すリン脂質を利用
する方法(.第107巻、第136 頁、1985年..特開
昭 62-87514 号公報) (f)所定電荷のリポソームの乾燥製剤に逆電荷の薬物
水溶液を適用する方法(特開平 4-103527 号公報)、な
ど、種々の方法が提案されている。
【0003】しかしながら、前記した方法は、使用する
リン脂質などの原料脂質および薬物の種類に制限があ
り、かつ効率的に大量にリポソーム分散液を調製するこ
とが困難なものである。
【0004】また、調製するリポソーム分散液におい
て、分散質としての分散粒子の粒径は、使用目的に応じ
て調整可能なことが好ましいことはいうまでもないこと
である。この点、従来、粒径の小さい分散質を有するリ
ポソーム分散液の製造技術として、超音波乳化機を使用
する方法(Biochemistry,8,344 (1969))、あるいは高
圧乳化機を使用する方法(FEBS Lett.,99,210 (1
979))などが提案されている。しかし、前記した乳化機
を使用してリポソーム分散液を直接乳化し、粒径の小さ
な分散質を有するリポソーム分散液を製造する方法は、
薬物保持率が極めて小さくなるという欠点を有するもの
である。
【0005】一方、粒径の小さな分散質を有するリポソ
ーム分散液の製造法として、一定加圧下のもとにフィル
ター等で処理する方法が知られている(特表昭 61-5024
52号公報)。このフィルター処理は目的粒径のリポソー
ム分散液を入手するために多段階に孔径の異なるフィル
ター膜の交換が必要であり、工程が繁雑なものである。
また、同法は前記したように粒径の小さな分散粒子から
なるリポソーム分散液を多段階フィルター方式により製
造しようとするものであり、粒径には無関係に分散粒子
に薬物を効率的に高濃度に内包させようとするものでは
ない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した従
来技術の欠点、限界を解消しようとするものである。本
発明は、原料脂質と所定の内包薬物から成る内包薬物の
低濃度リポソーム分散液を、該分散液中に存在する分散
質の粒径との関連において、該分散質の最大粒径未満の
孔径のフィルター膜で処理した場合、内包薬物の高濃度
リポソーム分散液が大量かつ効率的に製造されること、
かつこのようにして調製した分散液を更に乳化処理して
粒子径を調整しても薬物内包率が低下しない、という知
見をベースとするものである。
【0007】本発明の目的は、高い薬物内包率、例えば
30%以上の高い薬物内包率が達成され、かつ分散粒子
の粒径を薬物内包率を低下させずに調整することができ
る経済的なリポソーム分散液の製造方法を提供しようと
するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明は、原料脂質と内包薬物から成る内包薬物の低濃度
リポソーム分散液を、該リポソーム分散液中の分散粒子
の最大粒径未満の孔径のフィルターで処理することを特
徴とする内包薬物の高濃度リポソーム分散液の製造方法
に関する。また、本発明は、前記のようにして調製した
内包薬物の高濃度リポソーム分散液を乳化機等により乳
化処理し、薬物内包率を低下させずに分散質の粒径を所
望なものに調整する方法にも関するものである。
【0009】以下、本発明の技術的構成を詳しく説明す
る。本発明において、原料脂質と所望の内包薬物から成
る内包薬物の低濃度リポソーム分散液とは、原料脂質と
内包させる薬物を公知の方法により混合させて得た薬物
内包率が低いリポソーム分散溶液のことである。一般
に、前記した内包薬物の低濃度リポソーム分散液とは、
薬物内包率をX%とすれば、Xは、0<X≦30のもの
である。本発明は、このような低濃度リポソームの分散
液を高濃度化する方法、例えば(X+20)%以上の高
濃度リポソームの分散液を製造する方法を提供しようと
するものである。なお、本発明において、薬物内包率X
(%)は、リポソーム内に取り込まれた薬物の割合のこ
とであり、次式により表わされる。 薬物内包率X%=(リポソーム内薬物捕足量/全薬物使
用量)×100 また、リポソーム分散液の分散質の最大粒径は、次式に
より表わされる。 最大粒径=平均粒径×(1+粒度分布)
【0010】前記した内包薬剤の低濃度リポソームは、
原料脂質と該原料脂質に内包させる内包薬物を、ホモミ
キサーやバトルミキサーなど、市販の撹拌機器によって
攪拌混合することによって容易に調製することができ
る。
【0011】本発明において、前記した原料脂質として
は、リポソーム分散液の利用分野により異なるが、例え
ばホスフアチジルコリン、ホスフアチジルエタノールア
ミン、ホスフアチジルセリン、ホスフアチジルイノシト
ール、リゾホスフアチジルコリン、スフインゴミエリ
ン、卵黄レシチン、大豆レシチン等に代表されるリン脂
質の他、糖脂質、ジアルキル型合成界面活性剤等の一種
又は二種以上の混合物が主体となる。なお、これに膜安
定化物質としてコレステロール、コレスタノール等のス
テロール類を、荷電物質としてジセチルホスフエート、
ホスフアチジン酸、ガングリオシド、ステアリルアミル
等を、更に酸化防止剤としてα−トコフエロール等を加
えて膜成分物質を形成させてもよい。これらリポソーム
の膜成分物質の比率は何ら限定されるべきものではない
が、好ましくは脂質1重量部に対しステロール類を0〜
2重量部程度、荷電物質を0.1重量部程度加えるのが
適している。
【0012】また、本発明において、前記した内包薬物
としては、リポソーム分散液の利用分野により異なる
が、特に制限されない。例えば、この種の内包薬物とし
て白金化合物(シスプラチン、カルボプラチン、スピロ
プラチンなど)、血清アルブミン、リゾチーム、ペプシ
ン、ヘモグロビン、ミオグロビン、各種抗癌剤(アドリ
アマイシン、マイトマイシンC、アクチノマイシン、ブ
レオマイシンなど)、アミノ配糖体系抗生物質(ゲンタ
マイシン、ストレプトマイシン、カナマイシンなど)、
シアノコバラミン、ユビキノン等のビタミン類、アルカ
リフォスファターゼ等の酵素剤、ヘパリン等の抗凝固
剤、トポコラーゲン、リボヌクレアーゼ、キモトリピシ
ノーゲン、インシュリンなどが使用される。
【0013】本発明の大きな特徴点は、前記した内包薬
物の低濃度リポソーム分散液を高濃度化するに際して、
該リポソーム分散液に存在する分散質の粒径に注目し
て、所定のフィルター材を使用するという点にある。即
ち、本発明は、前記内包薬物の低濃度リポソーム分散液
に対し、分散質の平均粒径より小さい孔径を有するフィ
ルター材を適用し、所望の加圧処理により内包薬物の高
濃度リポソーム分散液を調製する点に特徴を有する。な
お、リポソーム分散液中の分散質の粒径は、光散乱粒径
分布測定機(例えば、PACIFIC SCIENTI
FIC社製のNICOMP MODEL−370)など
を使用して測定すればよい。
【0014】前記した本発明の特徴点が発現される理由
について、本発明者らは次のように推察している。即
ち、前記した特定孔径のフィルター材で処理する対象が
各種の原料脂質と薬物から成る分散液であり、特に原料
脂質が硬い固体粒子でなく、フィルター材で通過処理さ
れるときにその粒径が小径化されると同時に、薬物を効
率的に内包化するものと考えている。また、本発明は、
前記したように、かつ詳しく後述されるように、フィル
ター材の処理により内包薬物の高濃度リポソーム分散液
を調製したあと、乳化処理により薬物内包率を高い値に
維持したまま分散質(脂質)の粒径を所望なものに調整
するという特徴点を有するものである。そして、このよ
うな特徴点が発現される理由について、本発明者らは次
のように推察している。即ち、前段階におけるフィルタ
ー材での処理により、薬物が全く理想的に脂質粒子内部
に吸蔵、内包され、外部応力に対して安定化する結果で
あると考えている。
【0015】本発明で使用するフィルター材としては、
前記した分散質の平均粒径との関連性を満たすものであ
れば特に制限を受けるものではない。また、その材質も
ポリカーボネート、硝酸セルロース、酢酸モルロース、
あるいはこれらの混合材料など、特に制限を受けるもの
ではない。例えば、以下に示すものなどが使用される。
【0016】(i) ニュークリポア社製のメンブランフィ
ルター(110614,110613,110612,
110611,110610,110609,1106
08,110607,110606,111814,1
11813,111812,111811,11181
0,111809,111808,111807,11
1806)。これらは、ポリカーボネート系のフィルタ
ー膜である。
【0017】(ii) ザルトリウス社製のメンブランフィ
ルター(SM123 01−25N,SM123 03
−025N,SM111 04−025N,SM111
04−090G,SM111 05−025N,SM
111 05−090G,SM111 06−025
N,SM111 06−090G,SM111 07−
090G,SM111 07−025N,SM1130
1−090G,SM113 42−090G,SM11
3 02−090G,SM113 03−090G,S
M113 04−090G,SM113 05−090
G,SM113 05−090G,SM11306−0
90G,SM113 07−090G,SM114 0
3−025N,SM114 04−025N,SM11
4 05−025N,SM114 06−025N,S
M114 07−025N)。これらはセルロース系の
フィルター膜である。
【0018】(iii) アドバンテック社製メンブランフィ
ルター(A500A025A,A500A090C,A
300A025A,A300A090C,A100A0
25A,A100A090C,A080A025A,A
080A090C,A065A025A,A065A0
90C,A045A025A,A045A090C,A
030A025A,A030A090C,A020A0
25A,A020A090C,C080A025A,C
080A090C,C045A025A,C045A0
90C,C020A025A,C020A090C)。
これらは、セルロース系のフィルター膜である。
【0019】(iv) ニュークリポア社製のメンブランフ
ィルター(140609.140612.14061
3.140617.140618.140619.14
0627.140628.141709.14171
2.149713.141717.141718.14
1719.141727.141728)。これらは、
セルロース系のフィルター膜である。
【0020】(v) ミリポア社製メンブランフィルター
(SCWP 025 00.SCWP 090 00.
SMWP 025 00.SMWP 090 00.S
SWP 025 00.SSWP 090 00.RA
WP 02500.RAWP 090 00.AAWP
025 00.AAWP 090 00.DAWP
025 00.DAWP 090 00.HAWP 0
25 00.HAWP 090 00.PHWP 02
5 00.PHWP 090 00.GSWP 025
00.GSWP 09000)。これらは、セルロー
ス系のフィルター膜である。本発明において、前記フィ
ルター材として、各種フィルター材を公知の方法により
モジュール化した形態のものも使用できることはいうま
でもないことである。
【0021】本発明において、前記したようにフィルタ
ー材の孔径は、リポソーム分散液の分散質の粒径、特に
平均粒径より小さいものであることが必要である。一般
的には、該孔径は8.0μm以下が好ましく、8.0μ
mより大きい孔径のフィルター材を使用した場合、製造
されるリポソーム分散液の薬物内包率(X%)の向上が
認められない。
【0022】本発明において、内包薬物の低濃度リポソ
ーム分散液をフィルター材に通過させる方法としては、
ガス圧法と液圧法などがある。一般的にはフィルターの
耐圧性からみてガス圧法が好ましい。なお、ガス圧法に
よるリポソーム分散液の製造方法として、例えばExtrus
ion法がある。これは、リポソーム分散液を圧力下に一
定孔径を有するフィルターを通過させることにより、リ
ポソームのラメラ度を低減させるとともに、リポソーム
分散液の分散質の粒径を小さくする方法である。
【0023】本発明において、前記フィルター材を使用
したリポソーム分散液の製造方法としては、密室内に使
用するフィルター材が固定され、かつ該固定されたフィ
ルター材に圧力が印加される形式のものであれば、特に
制限を受けない。この種の製造装置として、THE E
XTRUDER(Lipex BiomembrancesInc.製)などを
使用することができる。なお、加圧媒体に使用するガス
として、原料脂質や内包薬物を変質させない不活性ガ
ス、例えばアルゴンガス、窒素ガスが好ましい。
【0024】本発明において、内包薬物の低濃度リポソ
ーム分散液をフィルター材に通過処理する圧力は、フィ
ルター材の耐圧性を考慮して所望の圧力に設定される。
前記した装置の場合、5〜60kg/cm2 であり、圧力が
5kg/cm2 以下の場合、リポソーム溶液がフィルター膜
を通過しにくく、逆に60kg/cm2 以上の場合、装置及
びフィルター膜の耐圧限度を超えるため好ましくない。
本発明において、内包薬物の低濃度リポソーム分散液の
フィルター膜による処理回数は、一回で充分であるが、
繰り返し操作することにより、例えば粒度分布をより均
一なものにすることが出来る。
【0025】本発明の前記した内包薬物の低濃度リポソ
ーム分散液から高濃度リポソーム分散液の製造方法にお
いて、他の大きな特徴点は、調製された高濃度リポソー
ム分散液を乳化処理することにより、薬物内包率(X
%)を低下させることなく分散質の粒径をより小さなも
のにすることができるという点である。この点は、リポ
ソーム分散液の利用面において、極めて好ましい点であ
る。前記した乳化処理において使用される乳化機器とし
ては、例えば、マントンガウーリン乳化機、マイクロフ
ルイダイザー乳化機などのホモゲナイザーやホモミキサ
ーがある。また、この他にバイブレーターや超音波振動
器などを使用してもよい。本発明において、前記した乳
化機器を用いて乳化処理して分散質の粒径を小さくする
場合、前記したように前段階においてリポソーム分散液
を特定の孔径のフィルター材を用いて処理しているた
め、乳化処理後に薬物内包率を低下させないで済むとい
うメリットを享受することができる。このことの意義は
大きく、従来の乳化処理法で問題になった薬物内包率の
低下を解決し、工業的な生産レベルで効率よく、かつ所
望粒径の内包薬物の高濃度リポソーム分散液が製造され
る。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳しく説明
するが、本発明はこれら実施例のものに限定されないこ
とはいうまでもないことである。なお、リポソーム分散
液の分散質の平均粒径と粒度分布は、光散乱粒径分布測
定機(PACIFIC SCIENTIFIC社製、N
ICOMP MODEL−370)を使用して測定し
た。
【0027】(原料脂質と内包薬物の低濃度リポソーム
分散液の調製例) (調製例1)水素添加率90%の精製大豆ホスファチジ
ルコリン(HSPC)、コレステロール(Chol)、
ミリスチン酸(MA)の脂質混合物[HSPC/Cho
l/MA=7:5:3(mol比)]100gに、内包
薬物としての7%インシュリン500mlを添加して4
℃下で充分膨潤させた。次いで、バトルミキサーによっ
て攪拌し、分散液(リポソーム分散液)を得た。この分
散液は、平均粒径5.0μm、粒度分布50%、最大粒
径7.5μm、インシュリン内包率7%を示した。ま
た、比旋光度法より求めたインシュリンの変性率は、
0.1%以下であった。
【0028】(調製例2)ジパルミトイルホスファチジ
ルコリン(DPPC)、パルミチン酸(PA)、コレス
テロール(Chol)をそれぞれDPPC/PA/Ch
ol=7:3:5(mol比)に混合し、凍結乾燥した
粉末100gに、内包薬物としての7%インシュリン5
00mlを添加して4℃下で充分膨潤させた。次いで、
バトルミキサーによって撹拌し、分散液(リポソーム分
散液)を得た。この分散液は、平均粒径6.2μm、粒
度分布77%、最大粒径11.0μm、インシュリン内
包率5%を示した。また、比旋光度法より求めたインシ
ュリンの変性率は、0.1%以下であった。
【0029】(調製例3)調製例2と同様にして調製し
た、原料脂質混合物100gに、赤血球膜成分を除去し
て調製したストローマフリーヘモグロビン(SF−H
b)(20g/dl)を800ml添加した。撹拌子に
より4℃下に2時間撹拌してリポソーム分散液を得た。
この分散液は、平均粒径3.8μm、粒度分布77%、
最大粒径6.7μm、薬物内包率28%を示した。ま
た、SF−Hbの変性を示すメト化率は2%以下であっ
た。
【0030】(実施例1)調製例1で得られたリポソー
ム分散液500mlを、該リポソーム分散液の分散質の
平均粒径5.0μmより小さい孔径3.0μm、直径9
0mmの酢酸セルロース膜(ミリポリア社製)を用いて
通過させることにより内包薬物の高濃度リポソーム分散
液を製造した。なお、酢酸セルロース膜での処理は、ガ
ス圧法(ガス圧20Kg/cm2 )によった。その結果、平
均粒径が2.5μm、粒分布28%、最大粒径3.2μ
m、そしてインシュリン内包率が58%のリポソーム分
散液を得ることができた。また、比旋光度法よりもとめ
たインシュリンの変性率は、0.2%であった。
【0031】(実施例2)調製例2で得られたリポソー
ム分散液を、実施例1と同様の条件で内包薬物の高濃度
リポソーム分散液を製造した。その結果、孔径3.0μ
mのフィルター膜の通過処理により、インシュリンの内
包率が45%となり、調製例2に比べ8倍以上の高い内
包率を示した。また、製造されたリポソーム分散液の平
均粒径は2.4μm、粒度分布は29%、最大粒径は
3.1μmであった。また、比旋光度法より求めたイン
シュリンの変性率は、0.1%であった。
【0032】(実施例3)調製例3で得られたリポソー
ム分散液を、実施例1と同様の条件で内包薬物の高濃度
リポソーム分散液を製造した。その結果、平均粒径が
2.3μm、粒度分布20%、最大粒径は2.8μm、
そしてSF−Hbの内包率が65%のリポソーム分散液
を得ることができた。また、SF−Hbのメト化率は、
3%であった。
【0033】(実施例4)調製例1で得られたリポソー
ム分散液を使用し、かつ使用するフィルターの種類をニ
ュークリポア社製ポリカーボネート(孔径3.0μm)
にした以外は、すべて実施例1と同様条件で内包薬物の
高濃度リポゾーム分散液を製造した。その結果、平均粒
径が2.1μm、粒度分布20%、最大粒径2.5μ
m、内包率が45%のリポソーム分散液を得ることがで
きた。また、比旋光度法より求めたインシュリンの変性
率は、0.2%であった。
【0034】(実施例5)調製例1で得られたリポソー
ム分散液を使用し、かつ使用するフィルターの孔径を
0.45μmにした以外は、すべて実施例1と同様の条
件で内包薬物の高濃度リポソーム分散液を製造した。そ
の結果、平均粒径0.30μm、粒度分布22%、最大
粒径0.37μm、インシュリンの内包率が50%のリ
ポソーム分散液を得ることができた。また、比旋光度法
より求めたインシュリンの変性率は、0.3%であっ
た。
【0035】(実施例6)フィルター通過処理の回数を
10回にした以外は、すべて実施例5と同様の条件で内
包薬物の高濃度リポソーム分散液を製造した。その結
果、平均粒径が0.29μm、粒度分布12%、最大粒
径0.32μm、インシュリンの内包率が48%のリポ
ソーム分散液を得ることが出来た。また、比旋光度法よ
り求めたインシュリンの変性率は、0.3%であった。
【0036】(実施例7)使用するフィルターの種類を
ニュークリポア社製硝酸セルロース(孔径3.0μm)
にした以外は、すべて実施例1と同様条件で内包薬物の
高濃度リポソーム分散液を得ることができた。その結
果、平均粒径が2.5μm、粒度分布22%、最大粒径
3.1μm、インシュリンの内包率が47%のリポソー
ム分散液を得ることが出来た。また、比旋光度法より求
めたインシュリンの変性率は、0.2%であった。
【0037】(実施例8)実施例1において、孔径6.
0μmの酢酸セルロース膜を用いた以外は、同様な方法
で高濃度リポソーム分散液を製造した。その結果、平均
粒径4.8μm、粒度分布23%、最大粒径5.9μ
m、そしてインシュリン内包率が35%のリポソーム分
散液を得ることができた。また、比旋光度法より求めた
インシュリンの変性率は、0.2%であった。
【0038】(実施例9)実施例2において、孔径が
8.0μmのフィルター膜を用いた以外は、同様な方法
で高濃度リポソーム分散液を製造した。その結果、平均
粒径が6.0μm、粒度分布35%、最大粒径8.1μ
m、そしてインシュリン内包率が33%のリポソーム分
散液を得ることが出来た。また、比旋光度法より求めた
インシュリンの変性率は、0.2%であった。
【0039】(実施例10)実施例3において、孔径
6.0μmの酢酸セルロース膜を用いた以外は、同様な
方法で高濃度リポソーム分散液を製造した。その結果、
平均粒径が3.5μm、粒度分布66%、最大粒径5.
8μm、そしてSF−Hbの内包率が48%のリポソー
ム分散液を得ることが出来た。また、比旋光度法より求
めたSF−Hbのメト化率は、3%であった。
【0040】(実施例11)本実施例において、内包薬
物の低濃度リポソーム分散液から高濃度リポソーム分散
液を調製した後、更に高濃度リポソーム分散液を乳化処
理して薬物内包率(X%)を高い値に維持したまま粒径
の調整が出来るかどうかを試験した。実施例1で得られ
たリポソーム分散液を、マイクロフルイダイザー乳化機
(マイクロフルイダイズ社製)を用いて、乳化圧力(操
作圧力)2500psi.5000psi.7500p
si.10000psi.の条件で乳化し、粒径の小さ
なリポゾーム分散液が調整されるかどうかを調べた。結
果を、下記の表1に示す。なお、表1中、粒径(nm)
の項目に示されている(SD)は、粒度分布のことであ
る。表1から、薬物内包率を40%以上の高い値に維持
しつつ、操作圧力に粒径を所望のものに調整することが
判る。即ち、薬物内包率を高い値に維持しつつ操作圧力
の上昇とともに粒径を小さくすることができる。
【0041】
【表1】
【0042】(比較例1)調製例1の脂質混合粉末につ
いて、先に脂質混合分散液をフィルター通過処理した。
その結果、得られたリポソーム分散液のインシュリンの
内包率は8%であり、平均粒径は0.25μm、粒度分
布は24%、最大粒径は0.31μmであった。また、
比旋光度法より求めたインシュリンの変性率は、0.3
%であった。
【0043】(比較例2)調製例1で得られたリポソー
ム分散液を、フィルター通過処理を行なわずに、直接マ
イクロフルイダイザー乳化機にて操作圧2500psi
で乳化を行った。その結果、インシュリンの内包率が7
%、平均粒径0.26μm、粒度分布29%、最大粒径
0.34μmのリポソーム分散液を得た。また、比旋光
度法より求めたインシュリンの変性率は、53%であっ
た。
【0044】
【発明の効果】本発明により、医薬品、化粧品等の分野
で有用な薬物内包率が極めて高いリポソーム分散液の効
率的な製造法が提供される。即ち、本発明により、原料
脂質と内包薬物とから成る内包薬物の低濃度リポソーム
分散液を出発材料として、該リポソーム分散液を、その
分散質の最大粒径未満の孔径を有するフィルター材で処
理するという極めて簡便な技術手段により、大量かつ効
率的に内包薬物の高濃度リポソーム分散液が製造され
る。更に、本発明は、前記のようにして調製した内包薬
物の高濃度リポソーム分散液に対して乳化処理を施すこ
とにより、薬物内包率を高い値に維持したまま分散質の
粒子径を所望なものに設定することが出来るリポソーム
分散液の製造方法も提供するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土田 英俊 東京都練馬区関町南2−10−10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料脂質と内包薬物から成る内包薬物の
    低濃度リポソーム分散液を、該リポソーム分散液中の分
    散粒子の最大粒径未満の孔径のフィルターで処理するこ
    とを特徴とする内包薬物の高濃度リポソーム分散液の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 内包薬物の低濃度リポソーム分散液の薬
    物内包率がX%(Xは、0<X≦30)であり、かつ高
    濃度リポソーム分散液の薬物内包率が(X+20)%以
    上である請求項1に記載の内包薬物の高濃度リポソーム
    分散液の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1の内包薬物の高濃度リポソーム
    分散液を乳化処理することを特徴とする所望の粒径を有
    する内包薬物の高濃度リポソーム分散液の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE19954843A1 (de) * 1999-11-09 2001-05-17 Novosom Gmbh Verfahren zur Verkapselung von Proteinen oder Peptiden in Liposomen, mit dem Verfahren hergestellte Liposomen und deren Verwendung
JP2008179563A (ja) * 2007-01-24 2008-08-07 Cosmo Shokuhin Kk 有用リン脂質組成物を含む機能性素材及び機能性食品

Cited By (3)

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DE19954843A1 (de) * 1999-11-09 2001-05-17 Novosom Gmbh Verfahren zur Verkapselung von Proteinen oder Peptiden in Liposomen, mit dem Verfahren hergestellte Liposomen und deren Verwendung
DE19954843C2 (de) * 1999-11-09 2003-11-20 Novosom Ag Verfahren zur Verkapselung von Proteinen oder Peptiden in Liposomen, mit dem Verfahren hergestellte Liposomen und deren Verwendung
JP2008179563A (ja) * 2007-01-24 2008-08-07 Cosmo Shokuhin Kk 有用リン脂質組成物を含む機能性素材及び機能性食品

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