JPH062682A - スクロールコンプレッサ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の潤滑油回路を保持しつつ簡易な手段で
サブ軸受への潤滑油の供給を行う。 【構成】 ブロックと旋回スクロール部材の摺動面に第
２の絞り手段を形成することによって、メイン潤滑路上
であって、ブロック、メイン軸及び旋回スクロール部材
によって形成された空間に中間圧を発生させ、この中間
圧によって空洞部の圧力を中間圧に維持できるために、
駆動軸に形成されたオイル流通孔及び第１の絞り手段に
よって構成されるサブ軸受潤滑路に潤滑油を供給できる
ために、サブ軸受の潤滑が可能となり、また第１の絞り
手段によってこの潤滑油量が制限されることから、メイ
ン潤滑路の潤滑油量を確保できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、高圧室と低圧室の差
圧によって、ケース下方に収容された潤滑油を各部に供
給するようにしたスクロールコンプレッサに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のスクロールコンプレッサにおい
て、例えば特開昭６２−９１６８６号公報に示されるも
のは、シェル（ケース）内上方に電動機が配設され、そ
の下方に固定スクロール及び揺動（旋回）スクロールを
含む圧縮部が配設され、さらにこの圧縮部の下方に油溜
りが形成されるもので、前記圧縮部の下方に形成された
吐出空間の圧力によって加圧された潤滑油が、吐出空間
と吸入空間の差圧によって給油配管から油孔を通り、各
軸受摺動部へ圧送されるものである。

【０００３】この圧送された潤滑油は、各軸受摺動部を
潤滑した後、吸入空間に漏出し、自重による落下と吸入
ガスの流れの作用とによって圧縮部の吸入口に送られ、
吸入ガスと共に圧縮室内に入って、スクロール部分のシ
ールを行うものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の潤滑油
経路においては、各軸受摺動部に供給された潤滑油は、
低圧まで圧力が下がってしまうので、駆動軸の上端のサ
ブ軸受に潤滑油を供給する手段がなく、サブ軸受への潤
滑をする場合には、特別に潤滑油経路を設ける必要があ
った。

【０００５】このために、この発明は、従来の潤滑経路
を保持しつつ簡易な手段でサブ軸受への潤滑油の供給を
行うことのできるスクロールコンプレッサを提供するこ
とにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】しかして、この発明は、
下部に溜められた高圧潤滑油がブロックと駆動源の駆動
軸との間に導かれて潤滑し、その潤滑油が駆動軸の被挿
入孔と、該被挿入孔内に嵌挿の旋回スクロール部に突設
の揺動軸との間に導かれて潤滑し、さらにその潤滑油が
ブロックと旋回スクロール部の摺動面との間に導かれて
潤滑するスクロールコンプレッサにおいて、前記駆動軸
に被挿入孔と連通する軸方向のオイル流通孔を形成し、
該オイル流通孔に第１の絞り手段を設けて駆動軸の上方
のサブ軸受へ潤滑油を導いて潤滑すると共に、前記ブロ
ックと旋回スクロール部材の摺動面との間に中間圧を発
生させる第２の絞り手段を形成したことにある。

【０００７】

【作用】したがってこの発明においては、ブロックと旋
回スクロール部材との摺動面に第２の絞り手段を形成す
ることによって、メイン潤滑路上であってブロック、メ
イン軸及び旋回スクロール部材によって形成された空間
に中間圧を発生させ、この中間圧によって被挿入孔の圧
力を中間圧に維持できるために、駆動軸に形成されたオ
イル流通孔に潤滑油を供給でき、またこのオイル流通孔
に設けられた第１の絞り手段によってサブ軸受潤滑路の
潤滑油量を制限できるために、前記ブロックと前記旋回
スクロール部材との摺動面への潤滑油量も確保できるた
め、上記課題が達成できるものである。

【０００８】

【実施例】以下、この発明の実施例について図面により
説明する。

【０００９】図１及び図２において示されるスクロール
コンプレッサ１は、冷媒吸入口２及び冷媒の吐出口３が
設けられた円筒状部材４と、この円筒状部材４の上下を
閉塞する上閉塞部材５及び下閉塞部材６とによって形成
された密閉ケース７を有している。

【００１０】この密閉ケース７内の上方であって、冷媒
吸入口２と連通する空間（低圧室２７）には電動機８が
設けられており、この電動機８は、ブラシレスの直流モ
ータで、駆動軸９と、この駆動軸の周囲に固着された円
筒状の永久磁石から成る回転子１０と、この回転子１０
を誘導して回転させる励磁コイル１１が巻回され、円筒
状部材４に固着された固定子１２とによって構成されて
いる。

【００１１】前記駆動軸９は、上端がサブ軸受１３に回
転自在に支持され、下端には、軸の中心よりも所定間隔
ずれて偏心して形成された円筒状の被挿入孔１４を有し
た出力部９ａが形成され、この出力部９ａは、下記する
ブロック１６にラジアル軸受１７を介して支持されるも
のである。また、駆動軸９には、軸方向に、前記被挿入
孔１４と連通し、且つ貫通するオイル流通孔１８が形成
され、このオイル流通孔１８の所定位置にオリフィス１
９が設けられているものである。

【００１２】ブロック１６は、中央に駆動軸９の出力部
９ａが挿入される貫通孔２０と、オルダムリング２１が
挿入されるオルダムリング溝２２とを有し、さらに、下
記する旋回スクロール部材２４との当接面（スラスト受
け面）に前記貫通孔２０とオルダムリング溝２２を所定
の流路抵抗を有して連通するように、径が細められたオ
イルカイド溝２５を有するもので、外周面において前記
円筒状部材４の内周面に当接し、スポット溶接にて該円
筒状部材４に固着されるものである。

【００１３】旋回スクロール部材２４は、前記被挿入孔
１４に挿入される揺動軸２４ａと、この揺動軸２４ａと
対向する面に渦状に形成された旋回スクロール２４ｂに
よって構成され、駆動軸９の回動によって、一方の噛合
片２１ｂがこの旋回スクロール部材２４の揺動軸側に形
成されたオルダムリング溝２２ｂに噛合すると共に、他
方の噛合片２１ａが前記ブロック１６に形成されたオル
ダムリング溝２２ａに噛合するオルダムリング２１によ
って自転が防止されて、旋回運動を行うものである。

【００１４】固定スクロール部材２６は、前記旋回スク
ロール部材２４の旋回スクロール２４ｂと噛合して圧縮
室、具体的には、吸入圧室３０、中間圧室３１、吐出圧
室３２を形成する固定スクロール２６ａを有すると共
に、前記吐出圧室３２と連通する吐出口３３が中央に貫
通して形成されており、前記ブロック１６にシムプレー
ト２８を介してボルト等によって固定されているもので
ある。また、この固定スクロール部材２６には、前記吐
出口３３を開閉する逆止弁３５が取付られ、さらに前記
吐出口３３を囲むようにオイルセパレータ３６が取付ら
れているものである。

【００１５】前記固定スクロール部材２６の下方であっ
て、冷媒吐出口３と連通する空間（高圧室３７）には、
油溜り３８が形成されているものである。尚、３９は、
液圧縮防止用の通孔、４０はその通孔３９を閉じるリー
ド弁である。

【００１６】以上の構成のスクロールコンプレッサ１に
おいて、電動機８の駆動によって、駆動軸９が回転する
と、旋回スクロール部材２４が旋回し、これによって、
旋回スクロール２４ｂと固定スクロール２６ａによって
形成される吸入圧室３０、中間圧室３１、吐出圧室３２
は順次容積を減少させ、低圧室２７を介して冷媒吸入口
２から吸入された冷媒ガスは、圧縮されて高圧となり、
逆止弁３５を開いてオイルセパレータ３６に開口した出
口から高圧室３７に至り、冷媒吐出口３から次なる過程
に送り出されるものである。

【００１７】このスクロールコンプレッサ１の各部を潤
滑するために、潤滑油供給路４３は、潤滑油導入路、ラ
ジアル軸受潤滑路、サブ軸受潤滑路、メイン潤滑路によ
り構成されており、潤滑油導入路は、一端がフィルター
４４を有して油溜り３８内に位置し、所定の細さと所定
の長さを有するように油溜り３８内を周回し、所定の流
路抵抗を発生させるオイル導引管４５と、固定スクロー
ル部材２６を貫通する貫通孔４６と、シムプレート３４
を貫通する貫通孔４７と、ブロック１６内を貫通する導
入孔４８とによって構成される。したがって、潤滑油は
先ず高圧室３７の下方に収容されて高圧室３７の圧力が
加圧され、高圧室３７と低圧室２７の差圧によって、上
記潤滑油導入路を通過してラジアル軸受１７に導かれる
ものである。尚、潤滑油は前記オイル導引管４５を通過
することによって、高圧室３７と低圧室２７の差圧から
潤滑油の供給に適した所定圧力（中間圧）に下げられる
ものである。

【００１８】ラジアル軸受潤滑路は、このラジアル軸受
１７の内周面に形成された環状油溝５０と、この環状油
溝５０と前記導入孔４８を連通する貫通孔５１と、この
ラジアル軸受１７の上方であって、出力部９ａとブロッ
ク１６とによって形成される空間５２と、この空間５２
と前記被挿入孔１４上方の空洞部１４ａを連通する連通
孔５３によって構成される。

【００１９】これによりラジアル軸受１７に供給された
潤滑油は、ラジアル軸受１７の貫通孔５１及び環状油溝
５０に至ってラジアル軸受１７と出力部９ａの摺動面の
潤滑を行い、空間５２及び連通孔５３を介して空洞部１
４ａに至るものである。尚、前記空間５２の上方はシー
ル部材保持具５４によって保持されたシール部材５５に
よって密閉され、低圧室２７と遮蔽されるものである。

【００２０】この空洞部１４ａに至った潤滑油は、前記
駆動軸９に形成されたオイル流通孔１８と、このオイル
流通孔１８に設けられたオリフィス１９によって構成さ
れたサブ軸受潤滑路と、下記するメイン潤滑路に分かれ
るもので、サブ軸受潤滑路を通過する潤滑油は、低圧室
２７と下記する空間５６に発生した中間圧によって圧力
が保持された空洞部１４ａとの差圧によって、前記オイ
ル流通孔１８を上昇して低圧室２７に吐出し、サブ軸受
１３の潤滑を行うものである。尚、このオイル流通孔１
８に設けられたオリフィス１９により、潤滑油の通過抵
抗が大きくなるために、空洞部１４ａにおける潤滑油の
中間圧の低減を抑制できると共に、サブ軸受１３への過
度の供給を抑制でき、メイン潤滑路の潤滑油量を確保で
きるものである。

【００２１】また、メイン潤滑路は、被挿入孔１４、被
挿入孔１４と揺動軸２４ａの摺動面、前記ラジアル軸受
１７の下方に、出力部９ａ、ブロック１６及び旋回スク
ロール部材２４によって画成された空間５６、オイルガ
イド溝２５、及びオルダムリング溝２２，２２ａ，２２
ｂによって構成されるもので、空洞部１４ａにおいてサ
ブ軸受潤滑路から分岐した潤滑油は、被挿入孔１４と揺
動軸２４ａの摺動面を潤滑し、空間５６に至るものであ
る。尚、下記する空間５６の中間圧により、空間５６に
落下する潤滑油の速度は遅くなるために、被挿入孔１４
と揺動軸２４ａの摺動面の潤滑は充分に行えるものであ
る。

【００２２】オイルガイド溝２５は、ブロック１６と旋
回スクロール部材２４のスラスト受け面に従来の幅より
もかなり小さく形成されるもので、これにより大きな流
路抵抗が発生するために、前記空間５６に中間圧を維持
させることができるものである。この空間５６に中間圧
を維持することにより、駆動軸９は、図２中破線矢印で
示す上方に付勢力を受けるために、駆動軸９をサブ軸受
１３に密着させることができるものである。

【００２３】また、この空間５６に中間圧を維持するこ
とは、前記空洞部１４ａ内の圧力も中間圧に保たせるこ
とになり、空洞部１４ａからオイル流通孔１８からサブ
軸受１３へ潤滑油の供給が確実化される。さらに、前記
空間５６の中間圧は、旋回スクロール部材２４にも図２
中破線矢印で示すように下方に付勢力を加えるために、
旋回スクロール部材２４のスラスト荷重を軽減できるた
めに、このスラスト受け面での摩擦損失を低減できるも
のである。

【００２４】このオイルガイド溝２５から漏出した潤滑
油は、オルダムリング溝２２，２２ａ，２２ｂに至り、
オルダムリング２１とオルダムリング溝２２，２２ａ，
２２ｂの摺動部分を潤滑した後、サブ軸受１３を潤滑し
た潤滑油と合流して吸入口から吸入圧室３０に至る冷媒
ガスと共に、中間圧室３１、吐出圧室３２に至り、固定
スクロール２６ａと旋回スクロール２４ｂのシールと潤
滑を行うものである。

【００２５】この後、潤滑油は、オイルセパレータ３６
によって冷媒ガスと分離されて油溜り３８に回帰するも
のである。尚、潤滑油の流れは、図２において実線矢印
で示されるものである。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、潤滑油供給路中の少なくとも駆動軸の出力部が一面
となる空間に中間圧を発生させることによって、空間よ
り上流で分岐のサブ潤滑路（オイル流通孔）に潤滑油を
流し込むことができて、サブ軸受への潤滑油の供給が可
能となるために、サブ軸受の信頼性を向上させることが
できるものである。また、前記空間に中間圧が発生する
ことにより、駆動軸に付勢力が働くために保持リング等
の駆動軸の保持手段によらず駆動軸をサブ軸受に支持で
きるために、簡易な手段によりサブ軸受のがたつきが抑
制でき、さらに旋回スクロール部材にも中間圧による付
勢力が働くためにスラスト受け面における荷重が軽減で
きるために、このスラスト受け面の摩擦損失を低減で
き、コンプレッサ効率の向上を図ることができるもので
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例に係るスクロールコンプレッサ
の断面図である。

【図２】本発明の実施例に係るスクロールコンプレッサ
の部分拡大断面図である。

【符号の説明】

１ スクロールコンプレッサ ７ 密閉ケース ８ 電動機 ９ 駆動軸 １３ サブ軸受 １４ 被挿入孔 １６ ブロック １７ ラジアル軸受 １８ オイル流通孔 １９ オリフィス ２１ オルダムリング ２２ オルダムリング溝 ２４ 旋回スクロール部材 ２５ オイルガイド溝 ２６ 固定スクロール部材 ２７ 低圧室 ３６ オイルセパレータ ３７ 高圧室 ３８ 油溜り ４５ オイル導引管 ５０ 環状油溝

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 下部に溜められた高圧潤滑油がブロック
   と駆動源の駆動軸との間に導かれて潤滑し、その潤滑油
   が駆動軸の被挿入孔と、該被挿入孔内に嵌挿の旋回スク
   ロール部に突設の揺動軸との間に導かれて潤滑し、さら
   にその潤滑油がブロックと旋回スクロール部の摺動面と
   の間に導かれて潤滑するスクロールコンプレッサにおい
   て、 前記駆動軸に被挿入孔と連通する軸方向のオイル流通孔
   を形成し、該オイル流通孔に第１の絞り手段を設けて駆
   動軸の上方のサブ軸受へ潤滑油を導いて潤滑すると共
   に、前記ブロックと旋回スクロール部材の摺動面との間
   に中間圧を発生させる第２の絞り手段を形成したことを
   特徴とするスクロールコンプレッサ。