JPH062677Y2 - 注射針を外して収納する注射針収納具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、使用済みの注射針を
外して収納する注射針収納具に関し、とくにねじ込んで
真空採血管等に連結された採血針等を簡単に外すことが
できる注射針収納具に関する。

【０００２】

【従来の技術】使用済み注射針は安全に廃棄する必要が
ある。それは、病人に使用した注射針は、細菌に汚染さ
れている可能性が高いからである。細菌に汚染された注
射針を看護婦等が誤って人体に刺すと、細菌に感染され
る危険性が極めて高い。それは注射針が皮膚を貫通して
細菌を直接に体内に入れるからである。また、先端が尖
鋭に加工された注射針は、皮膚に軽く接触して体内に侵
入する。エイズや肝炎等の極めて恐ろしい細菌は、注射
針に付着して感染することがある。このため、看護婦等
には、注射針の取り扱いを極めて慎重にすることが要求
される。困ったことに、看護婦のほとんどは、使用済み
注射針で誤って皮膚を刺した経験がある。看護婦を保護
するために、安全に使用できる器具の開発が切望されて
いる。

【０００３】使用済の注射針は、容器に入れて廃棄され
る。注射器本体に挿入して連結した注射針は、引っ張っ
て簡単に外すことができる。この注射針を簡単に回収で
きる注射針収納具は開発されている（実開平２−１４９
２５１号公報）。この公報に記載される注射針収納具
は、空缶の開口孔に、合成樹脂で成形した蓋体を固定し
たものである。蓋体は、硬質の合成樹脂を成形して製作
されている。また、空缶に開口された飲口である扇型の
開口孔にはめ込んで固定できるように、外形を開口孔の
形状にほぼ等しく成形している。また、蓋体の内側は、
注射針を簡単に挿入できる引抜孔を大きく開口してい
る。引抜孔の一部は、注射針先端の鍔を引っかけて引き
抜くことができるように、注射針の鍔が引っかかる幅の
スリット状としている。

【０００４】この構造の使用済み収納缶は、手で注射針
を引き抜くのに比較すると、安全に使用できる。それ
は、注射針を手で掴まないで外すことができるからであ
る。したがって、この構造の使用済み収納缶は、注射器
から針を取り除く看護婦の安全性を確保できる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、この構
造の注射針収納具は、ベネジェクト採血針のように、注
射器本体にねじ込んで連結したネジ式の注射針を安全に
外すことができない。それは、看護婦が、一方の手で注
射針を、他方の手で注射針を連結した部分を持ち、注射
針を回転させて引き抜くので、この時に誤って指等を注
射針で刺すからである。とくに、ネジ式の注射針は、何
回も回転して外すようになっているので、注射針を普通
は３回持ち変えて外す必要があり、極めて危険である。

【０００６】この考案は、さらにこの欠点を解決するこ
とを目的に開発されたもので、この考案の重要な目的
は、ネジ式の注射針を簡単かつ容易に、しかも安全に廃
棄できる注射針収納具を提供するにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この考案の注射針を外し
て収納する注射針収納具は、前述の目的を達成するため
に、下記の構成を備えている。 （ａ） 注射針収納具は、ネジ式の注射針を回転して外
す回転スパナ１と、回転スパナ１を回転させる駆動手段
２と、回転スパナ１で外した注射針の収納部３を有する
本体４とを備えている。 （ｂ） 回転スパナ１は、これが回って注射針を外すこ
とができるように、回転自在に本体４に取り付けられて
いる。 （ｃ） 回転スパナ１の中心部分には、注射針を入れる
挿入孔５を開口している。 （ｄ） 挿入孔５は、注射針の非円形筒を回転軸の方向
に挿入して回転できる幅に設計されている。 （ｅ） 挿入孔５は、外した注射針を回収できるよう
に、本体４の収納部３に連結されている。 （ｆ） 駆動手段２は、回転スパナ１に連結されてお
り、駆動手段２が回転スパナ１を回転して、回転スパナ
１の挿入孔５に入れられた注射針を回転して、外すよう
に構成されている。

【０００８】

【実施例】

以下、この考案の実施例を図面に基づいて説明する。但
し、以下に示す実施例は、この考案の技術思想を具体化
するための注射針収納具を例示すものであって、この考
案の注射針収納具は、構成部品の材質、形状、構造、配
置を下記の構造に特定するものでない。この考案の注射
針収納具は、実用新案登録請求の範囲に於て、種々の変
更を加えることができる。

【０００９】更に、この明細書は、実用新案登録請求の
範囲を理解し易いように、実施例に示される部材に対応
する番号を、「実用新案登録請求の範囲」、および「課
題を解決する為の手段の欄」に示される部材に付記して
いる。ただ、実用新案登録請求の範囲に示される部材
を、実施例の部材に特定するものでは決してない。

【００１０】図１および図２に示す注射針を外して収納
する注射針収納具は、回転スパナ１と、駆動手段２と、
本体４とを備えている。

【００１１】回転スパナ１は、全体の形状が円盤状で、
軸受を介して本体４の上蓋に回転できるように取り付け
られている。図１に示す注射針収納具は、回転スパナ１
を水平に配設している。回転スパナ１の中心部分には、
上下に貫通して、注射針を入れる挿入孔５を設けてい
る。

【００１２】挿入孔５は、ここに注射針の非円形筒を挿
入して回転できる幅に設計される。ベネジェクト注射針
は、図３に示すように、角柱状で隅角に凸条のある非円
形筒がある。回転スパナ１の挿入孔５は、この部分をか
ん入して回転させる。このため、挿入孔５の幅は、角柱
部分の幅よりも広く、対角線の長さよりも短く設計され
る。通常挿入孔５の幅は、約４ｍｍに設計される。さら
に、挿入孔５は、ここに入れて外した注射針を収納部３
に回収できるように、収納部に連結して、すなわち、収
納部３の上方に配設されている。

【００１３】図２に示す挿入孔５は、ネジ式でない注射
針も外すとができる形状となっている。この挿入孔５
は、中央に、半径約８ｍｍの孔を開け、この孔に対して
放射状に、幅が５ｍｍと、２ｍｍのスリット６を設けて
いる。

【００１４】スリット６の断面形状を図３に示してい
る。幅が５ｍｍであるスリット６は、ネジ式でない普通
のディスポーザブルの注射針を引き抜くもので、約半分
が薄く成形されている。２ｍｍ幅のスリット６は点滴に
使用する翼付針のホースを切断するもので、スリット６
の内面を尖鋭に成形している。このように幅と形状とが
異なるスリット状の挿入孔５は、種々の注射針を簡単に
引き抜き、またホースを切断して回収できる特長があ
る。

【００１５】さらに、図３に示す回転スパナ１は、幅が
５ｍｍのスリットの外側に枕凸起７を設けている。枕凸
起７は、平面形状のアーチ状としている。この形状の枕
凸起７は、ここに注射器の先端面をあて、傾斜すること
によってテコのようにして、注射針を簡単に引き抜くこ
とができる。枕凸起７は、回転スパナ１の上面から、
１．５〜５ｍｍ突出させている。

【００１６】駆動手段２は、モーター８と、スイッチン
グ手段１１とを備えている。モーター８は、回転軸にゴ
ムローラー９を固定している。ゴムローラー９は、回転
スパナ１の外周に設けられた回転リング１０の下面に押
圧されて、回転スパナ１を回転させる。モーター８は、
電池で駆動され、あるいは、１００Ｖの商用電源で駆動
される。電池駆動のモーターは、どこででも便利に使用
できる特長がある。

【００１７】スイッチング手段１１は、挿入孔５に注射
針が挿入されたことを検出して、モーター８を一定の回
転数だけ回転させる。スイッチング手段１１は、挿入孔
５の中心に向かって赤外線ビームを照射する発光ダイオ
ード１２と、発光ダイオード１２から照射された赤外線
を受光する光センサー１３とを備えている。

【００１８】挿入孔５に注射針が挿入されないときに
は、発光ダイオード１２から照射された赤外線は、光セ
ンサー１３に受光される。挿入孔５に注射針を入れる
と、注射針が赤外線の透過を邪魔して、光センサー１３
に入射する赤外線強度が低下する。このため、光センサ
ー１３が赤外線の強度を測定して、挿入孔５に注射針が
入れられたかどうかを検出する。

【００１９】光センサー１３に代わって、マイクロスイ
ッチ（図示せず）も使用できる。マイクロスイッチは、
挿入孔に入れた注射針によって、切換片を駆動するよう
に配設する。このように、マイクロスイッチや光センサ
ーで、注射針を検出して、モーターの回転を制御する注
射針収納具は、最も便利に使用できる。

【００２０】また、スイッチング手段には、手動スイッ
チ１５を使用することもできる。手動スイッチ１５は、
図１に示すように、ケーシングの上面から突出して配設
される。

【００２１】光センサー１３、マイクロスイッチ、手動
スイッチ１５等の、モーターの起動信号を検出する部品
は制御回路１６に接続される。制御回路１６は、これ等
の部品から入力される信号を処理して、モーター８を一
定角度回転させる。起動信号でモーター８を一定角回転
させるには、制御回路にタイマーを内蔵させ、タイマー
で一定時間モーターを回転させる。ただ、制御回路には
必ずしもタイマーを設ける必要はない。例えば、この制
御回路は、起動信号が入力される間、モーターを連続し
て回転させる

【００２２】駆動手段２は、タイマー（図示せず）を装
備して、モーターの回転時間を調整する。タイマーがモ
ーターを回転させる時間は、注射針を確実に外すことが
できる時間に設定される。

【００２３】ただ、駆動手段２は、必ずしも注射針を入
れると回転スパナ１を自動的に回転させる必要はない。
手動スイッチ（図示せず）を別に設け、注射針を挿入し
た後に、手動スイッチでモーターを回転させて注射針を
外すこともできる。

【００２４】本体４は、外した注射針を回収する収納部
３を有し、この収納部３には、回収容器１４を出し入れ
できるように配設している。回収容器１４は、所定の数
の注射針を回収した後、本体４から取り出して注射針を
廃棄する。

【００２５】

【考案の効果】この考案の注射針収納具は、ネジ式の注
射針を回転スパナの挿入孔に入れ、回転スパナでもって
注射針を回転して外すことができる。このため、使用済
みの注射針を手で持つ必要がない。注射針は、挿入孔か
ら回転スパナに入れ、安全な状態として外すことができ
る。したがって、この注射針収納具を使用すると、誤っ
て注射針で手等を刺すことがなく、極めて安全に使用で
きる特長がある。さらに、この考案の注射針収納具は、
従来のように、何回も注射針を持ち変えて外す必要がな
く、回転スパナに挿入してこれを回転することによっ
て、極めて簡単に、しかも迅速に外すとができる特長も
実現する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この考案の一実施例を示す注射針収納具の一
部断面斜視図

【図２】 この考案の一実施例を示す注射針収納具の平
面図

【図３】 回転スパナで注射針を外す状態を示す断面図

【図４】 回転スパナに設けた挿入孔の断面形状を示す
断面図

【符号の説明】

１…回転スパナ ２…駆動
手段 ３…収納部 ４…本体 ５…挿入孔 ６…スリッ
ト ７…枕凸起 ８…モーター ９…ゴムローラー １０…回転
リング １１…スイッチング手段 １２…発
光ダイオード １３…光センサー １４…回
収容器 １５…手動スイッチ １６…制
御回路

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 下記の（ａ）ないし（ｆ）の構成を有す
   る注射針を外して収納する注射針収納具。 （ａ） 注射針収納具は、回転スパナ(1)と、回転スパ
   ナ(1)を回転させる駆動手段(2)と、回転スパナ(1)で外
   した注射針の収納部(3)を有する本体(4)とを備えて いる。 （ｂ） 回転スパナ(1)は、回転自在に本体(4)に取り付
   けられている。 （ｃ） 回転スパナ(1)の中心部分には、注射針の挿入
   孔(5)を開口している。 （ｄ） 挿入孔(5)は、注射針の非円形筒を回転軸の方
   向に挿入して回転できる幅に設計されている。 （ｅ） 挿入孔(5)は、本体(4)の収納部(3)に連結され
   ている。 （ｆ） 駆動手段(2)は、回転スパナ(1)に連結されてお
   り、駆動手段(2)が回転スパナ(1)を回転して、回転スパ
   ナ(1)の挿入孔(5)に入れられた注射針を回転して、外す
   ように構成されている。