JPH06262247A - 遅れ破壊特性の優れたオートクレーブ養生コンクリート用pc鋼線の製造方法 - Google Patents

遅れ破壊特性の優れたオートクレーブ養生コンクリート用pc鋼線の製造方法

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JPH06262247A
JPH06262247A JP7501493A JP7501493A JPH06262247A JP H06262247 A JPH06262247 A JP H06262247A JP 7501493 A JP7501493 A JP 7501493A JP 7501493 A JP7501493 A JP 7501493A JP H06262247 A JPH06262247 A JP H06262247A
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JP
Japan
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delayed fracture
steel wire
surface layer
wire
autoclave
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JP7501493A
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English (en)
Inventor
Takashige Nagato
隆重 長門
Hiroshi Sato
洋 佐藤
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は遅れ破壊特性の優れたオートクレー
ブ養生コンクリート用PC鋼線の製造方法を提供するも
のである。 【構成】 ピアノ線材に冷間引き抜き加工を行ない、ブ
ルーイングまたはヒートストレッチを行なった後に、断
面減少率1%以上5%以下のスキンパス伸線を行なうこ
とを特徴とする遅れ破壊特性の優れたオートクレーブ養
生コンクリート用PC鋼線の製造方法。 【効果】 低温焼きなましの後にスキンパス伸線を行な
い表層のみに可動転位が導入された状態で、引き続いて
オートクレーブ養生を行なうと表層部のみが大きな応力
緩和を起こす。その結果、表層部に作用する引張応力が
低減し、遅れ破壊クラックの発生が抑制される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は遅れ破壊特性の優れたオ
ートクレーブ養生コンクリート用PC鋼線の製造方法に
関するものであり、鋼線材から冷間引き抜き加工によっ
て製造されるコンクリート補強用鋼線を得るにあたって
の加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高い緊張力がかかった状態で使用される
PC鋼材においては、内部に水素が侵入した場合に遅れ
破壊が発生する危険がある。一般に、共析パーライト鋼
の伸線強化によって製造されるPC鋼線は軸方向に長く
伸びた繊維組織を有しており、径方向への亀裂の伝播が
抑制されることから、マルテンサイト組織の熱処理強化
型PC鋼棒にくらべて遅れ破壊特性が優れているとされ
ている。
【0003】しかし、最近はコンクリート構造物の製造
コストを低減するために少ない鋼材使用量でコンクリー
トにより大きな圧縮力を付与することが求められ、PC
鋼材はより高い応力で緊張されて使用される。このよう
な過酷な使用環境のもとでは、いかに遅れ破壊特性の優
れた伸線強化型のPC鋼線といえども遅れ破壊の危険は
避けられない。
【0004】遅れ破壊クラックは表層から発生し伝播す
るので、鋼材の緊張時に表層に作用する引張応力を低減
することによって遅れ破壊特性を改善することができ
る。表層部に作用する引張応力を低減するためには、予
め、表層に圧縮残留応力を付与することが効果的であ
り、ショットピーニングによって実施可能である。しか
し、専用の設備を必要とするためコストが大幅に増大す
る。
【0005】また、金属学会誌第21巻(1957)p
540には、炭素含有量0.61%の引き抜き鋼線にさ
らに微小断面減少率の引き抜きを行なうことによって表
面に軸方向圧縮残留応力が導入されることが記載されて
いる。しかし、導入される圧縮残留応力はせいぜい20
0MPaと小さいうえ、このような鋼線をPC鋼線とし
て用いるのに不可欠な低温焼きなまし処理工程で効果が
消滅する恐れがあり、遅れ破壊特性の改善効果が期待で
きるものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、PC鋼線の
他の特性を損なうことなく、かつ付随する工程を利用し
て遅れ破壊特性を向上させたPC鋼線を提供するもので
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明にあたっては伸線
強化型PC鋼材の特徴を滅殺することなくかつPC構造
物の既存の製造工程を積極的に利用して遅れ破壊特性を
改善する手段を検討した。一般に、コンクリートに圧縮
力を効率的に付与するために、PC鋼線には、リラクセ
ーションが小さいことが要求される。PC構造物の製造
にあたっては、製造時間短縮のため180℃前後の高温
で養生し、コンクリートの固化を促進するいわゆるオー
トクレーブ養生が多用されているが、この場合引き抜い
たままの鋼線のリラクセーションは約30%にも達す
る。
【0008】リラクセーションとは、鋼材に引張応力を
付加し、ひずみ一定に保持した場合の時間の経過に伴う
応力の減少である。この現象は冷間加工で導入された転
位が引張応力下で安定な状態に移動するために生じる応
力緩和挙動であり、PC鋼材ではコンクリートに与える
圧縮力の減少をもたらすため一般には少ないほど好まし
い。
【0009】転位の周囲に炭素、窒素原子の雰囲気を形
成して転位を固着すればリラクセーションが低減される
ので、鋼材を300℃〜450℃程度の温度で加熱する
ブルーイング処理が行われている。また、オートクレー
ブ養生時のリラクセーションをさらに低減するために、
鋼線に0.2%耐力の30〜50%程度の引張応力を付
加した状態で300〜450℃に加熱することによって
転位を固着するヒートストレッチ処理が行われている。
【0010】本発明者らはPC鋼材を緊張したときに作
用する引張応力を表層部のみ下げるに際してリラクセー
ションを積極的に利用することを指向し、手段について
種々の検討を行なった。その結果、表層部を転位の固着
されていない状態とし、これに対して内層部を転位が固
着された状態とすれば、緊張状態で行われるオートクレ
ーブ養生工程において表層部のみが大きな応力緩和をお
こして表層部に作用する引張応力が低減することを見い
だし、本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、ピアノ線材に冷間引き抜き加工
を行ない、ブルーイングまたはヒートストレッチを行な
った後に断面減少率1%以上5%以下のスキンパス伸線
を行うことを特徴とする遅れ破壊特性の優れたオートク
レーブ養生コンクリート用PC鋼線の製造方法を発明し
た。
【0012】以下に本発明条件の限定理由を説明し、実
施例をもとに発明の内容を詳述する。本発明においては
高強度のPC鋼線の遅れ破壊対策を提案しているもので
あり、炭素含有量の低い引き抜き鋼線は対象外であるの
で使用する鋼材を炭素含有量が0.60〜0.95%で
あるJISG3052「ピアノ線材」とした。なお、場
合によってはJISG3506「硬鋼線材」を用いても
よい。
【0013】スキンパス伸線の後にブルーイングまたは
ヒートストレッチを行なった場合にはオートクレーブ養
生時に内層と表層がほぼ一様に応力緩和をおこすため、
表層のみの引張応力の低減効果が得られない。このた
め、ブルーイングまたはヒートストレッチの後にスキン
パス伸線を行なうものとした。
【0014】スキンパス伸線の断面減少率が1%未満で
は、表層に導入される塑性加工ひずみが小さいために確
実な改善効果が得られない恐れがあるため1%を下限と
した。また、5%を越えると塑性加工を受ける部分の割
合が増加し、0.2%耐力の低下やリラクセーションの
増加をきたすため5%を上限とした。
【0015】
【作用】ブルーイングまたはヒートストレッチ後の鋼線
においては固着されていない動きやすい転位が非常に少
ない。この状態でスキンパス伸線を行なうと表層部の固
着された転位が固着から開放されると同時に新たに転位
が導入されて動き得る転位が増加する。この状態でさら
にオートクレーブ養生を行なうと表層部のみが大きな応
力緩和を起こすために表層部の塑性ひずみが増大する。
その結果、表層部に作用する引張応力が低減する。
【0016】これらの結果、遅れ破壊クラックの発生が
抑制される。また、スキンパス伸線の断面減少率を制限
すれば0.2%耐力、リラクセーション特性はそれほど
劣化せず、従来のPC鋼線と同等の性能を得ることがで
きる。
【0017】
【実施例】表1に示す化学成分および機械的性質を有す
る直径12.7mmの圧延ままの調整冷却線材に対し
て、平均断面減少率20%で直径9mmまでの冷間引き
抜き加工を行なった。引き続いて低温焼きなまし処理と
してブルーイングまたはヒートストレッチを行なった。
ブルーイングは、420℃の溶融鉛中に15秒間浸漬し
た。ヒートストレッチは、490MPaの応力で緊張し
た状態で350℃に30秒間保持することで行なった。
【0018】
【表1】
【0019】これら低温焼きなましの後、種々の機械的
特性を評価し、その結果を表2に示した。引張試験にお
ける伸び測定の評点距離は100mmとした。室温での
リラクセーション試験はJISG3536に規定される
PC鋼線のリラクセーション方法に準じて行なった。初
期応力は980MPaとした。高温でのリラクセーショ
ン試験は、JISZ2276に基づいて行なった。初期
応力を980MPaとし、図1に示した温度履歴を経た
時点における応力減少量の初期応力に対する百分率で表
した。
【0020】
【表2】
【0021】実際のコンクリート構造物を製造する際
の、オートクレーブ養生の温度履歴および初期荷重は先
に述べた高温リラクセーション試験の条件に合致する。
また、オートクレーブ工程における緊張状態での表層部
の応力緩和による引張応力の減少は、除荷後の表面の軸
方向圧縮残留応力に対応する。そこで、オートクレーブ
養生は行なわずに高温リラクセーション試験に用いた試
験片をオートクレーブ養生後の鋼線と同等とみなして残
留応力測定および遅れ破壊試験に供した。
【0022】残留応力の測定はX線法により行なった。
遅れ破壊特性は、50℃の20重量%NH4 SCN水溶
液中で1176MPaの引張応力を付加し、破断時間を
測定して評価した。また、比較例としてスキンパスの後
に低温焼きなましを行なったものについても同様の評価
を行なった。以上の結果を表2に併記した。
【0023】本発明のPC鋼線は表面の軸方向圧縮残留
応力が上昇しており、スキンパス後のオートクレーブ養
生によって緊張状態での表層部の引張応力が低減される
ことが確認された。
【0024】比較例DOは低温焼きなましを行わなかっ
たため0.2%耐力、リラクセーション特性が劣ってい
た。比較例BOおよびHOはスキンパス伸線を行わなか
ったため遅れ破壊試験において比較的短時間で破断し、
圧縮残留応力値も小さかった。比較例B1,H1はスキ
ンパス伸線の断面減少率が過小であったために遅れ破壊
試験において短時間で破断した。比較例B6,H6はス
キンパス伸線の断面減少率が過大であったため、0.2
%耐力、リラクセーション特性が劣っていた。比較例S
B,SHはスキンパス伸線の後に低温焼きなましを行な
ったので遅れ破壊試験において比較的短時間で破断し、
圧縮残留応力値も低かった。
【0025】
【発明の効果】以上の実施例からも明らかなように、本
発明によればPC構造物の製造に際して従来よりも高い
応力でPC鋼線を緊張しても遅れ破壊が発生しない。こ
のように本発明は通常の工業材料に対して特に専用の設
備を設けることなく、簡便な加工を付加することによっ
て工業的に問題となる遅れ破壊特性を顕著に改善するも
のであり、土木建築業界で大量に使用されるコンクリー
ト補強用の鉄筋部材の性能を大幅に改選するものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】高温リラクセーション試験における温度履歴を
示した。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピアノ線材に冷間引き抜き加工を行な
    い、ブルーイングまたはヒートストレッチを行なった後
    に、断面減少率1%以上5%以下のスキンパス伸線を行
    なうことを特徴とする遅れ破壊特性の優れたオートクレ
    ーブ養生コンクリート用PC鋼線の製造方法。
JP7501493A 1993-03-10 1993-03-10 遅れ破壊特性の優れたオートクレーブ養生コンクリート用pc鋼線の製造方法 Withdrawn JPH06262247A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008088507A (ja) * 2006-10-02 2008-04-17 Nhk Spring Co Ltd 高耐食機能を有する表面強化鋼及びその製造方法
JP2017179399A (ja) * 2016-03-28 2017-10-05 高周波熱錬株式会社 建築用鋼材

Cited By (2)

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