JPH06261Y2 - 蒸発燃料回収装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、特に自動車用内燃機関において、ガソリン等
の燃料タンク内で蒸発した燃料成分の回収装置に関す
る。

従来の技術 貯蔵タンク内では燃料ガソリンの炭化水素成分が蒸発
し、特に自動車走行中のエンジン作動による高温化で促
進され易い。この蒸発成分が大気中に放出されると汚染
公害を引き起こす。従って、従来より、蒸発成分を回収
して活性炭等の吸着剤に保持させ、これをエンジン吸入
負圧で気化器系に送り込むことにより、燃料損失を抑え
ると同時に、蒸発成分が車外部に放出されるのを防止す
る技術は公知である。

例えば、この種の技術として、第３図及び第４図に示す
米国特許第４７１９９４９号公報の給油ノズルガン連動
式自動開閉弁がある。燃料１を貯蔵する燃料タンク２に
フィラーチューブ３が通じ、このフィラーチューブ３の
給油口は周知のように平常時フィラーキャップ４で閉じ
てある。給油に際してフィラーキャップ４を開き、挿入
された燃料ノズルガン５を操作して燃料１がフィラーチ
ューブ３から燃料タンク２に噴射供給される。

第４図に示すように、フィラーチューブ２の給油口近傍
にはベントカットバルブと呼ばれる開閉弁６が設けてあ
り、燃料ノズルガン５の挿入によって、この燃料ノズル
ガン５が蝶開蓋７に当接してこれを押し開き、蝶開蓋７
が弁体８に当接してこれを開く方向に動作させる。これ
によって、燃料タンク２側の蒸発燃料管９ａが弁体８を
介して蒸発燃料管９ｂに通じ、この蒸発燃料管９ｂを経
て活性炭内蔵のキャニスタ（図示せず）に連通する。こ
の連通によって、燃料タンク２内では液位の高まりに伴
って内部空間に滞留した燃料１の蒸発成分が押し上げら
れ、開閉弁６を経由してキャニスタ内部の活性炭に吸着
保持される。保持された蒸発成分はエンジン作動中の吸
入負圧によってキャブレータ上流に燃料として活用され
るべく吸引される。

また、第５図及び第６図は、前述の米国特許公報による
開閉弁を含め、フィラーチューブに対する開閉弁の一般
的な取付構造の概略を示している。即ち、鋼管製のフィ
ラーチューブ３の給油口近傍に開口部３ａが穿たれ、こ
の開口部３ａに沿って開閉弁取付用の鍔状フランジ６ａ
が溶接（符号Ｗで示される部分）により結合されてい
る。このフランジ６ａを取付座として開閉弁６全体が担
持され、弁箱部６ｂを止ビス６ｃでフランジ６ａに固定
されている。フランジ６ａと弁箱部６ｂとの接合間に
は、可撓性を有し伸縮自在なダイアフラム６ｄが弁内部
とフィラーチューブ３内部とを液密的に遮断する形で介
装されている。このダイアフラム６ｄの中心では弁体８
のロッド８ａが液密的に挿通して往復動できるようにな
っており、先端はフィラーチューブ３内に突出してい
る。ロッド８ａの先端には第４図で示された蝶開蓋７が
当接する。

考案が解決しようとする課題 しかしながら、かかる従来の開閉弁取付構造にあって
は、フィラーチューブ３の所定位置に開口部３ａを加工
し、この開口部３ａの周囲に沿いフランジ６ａを全周溶
接して、フランジ６ａに弁箱部６ｂを止ビス６ｃで止め
る複雑な工程からなっている。即ち、単体部品による組
立構造であるために、各部品の加工は所要のシール性を
確保する必要から高精度が望まれ、しかも塗装処理など
を施して燃料の蒸発成分に対する化学的な防食性及び防
錆性を高める必要があるなど、製造や組立を含む全体的
なコストが非常に高騰する不具合がある。

本考案の目的は、複雑な製造工程が省かれて大幅なコス
ト低減化が図られる蒸発燃料回収装置を提供することに
ある。

問題点を解決するための手段 本考案による蒸発燃料回収装置は、給油時に燃料ノズル
ガンをフィラーチューブ給油口から挿入して開閉弁を開
く方向に作動させることにより、燃料タンクの内部を吸
着剤内蔵のキャニスタに連通させ、燃料タンク内に滞留
した燃料の蒸発成分を吸着剤に保持させる。

この蒸発燃料回収装置において、開閉弁が、合成樹脂材
により成形されるフィラーチューブ給油口の外部に一体
に突出成形され且つ開口部でフィラーチューブ内に連通
する弁箱部と、弁箱部内でポートを開閉する方向に往復
動自在であり且つその先端が開口部からフィラーチュー
ブ内に突出する弁体と、弁体の外周に鍔状に嵌着されて
移動時に弾性伸縮し且つ弁箱部の開口部を覆ってフィラ
ーチューブとの間を液密的に遮断するシール部材と、弁
箱部の内周面に嵌合固定されてシール部材を開口部との
間で保持し且つ中央部に弁体が挿通して液密的に摺動す
る保持部とを含み構成されている。

作 用 開閉弁の弁箱部が、合成樹脂製のフィラーチューブ給油
口の外部に一体に突出成形されることにより、フィラー
チューブとの間でシール性確保のための高精度加工を必
要としない。また、フィラーチューブに対する開閉弁取
付用の特別な部材（従来のフランジ）が不要であるか
ら、溶接工数等が削減される。

給油時に燃料ノズルガンをフィラーチューブ給油口から
挿入して開閉弁を開く方向に作動させると、燃料タンク
の内部がキャニスタに連通し、燃料タンク内に滞留した
燃料の蒸発成分がキャニスタ内の吸着剤に保持される。

実施例 以下、本考案による蒸発燃料回収装置の実施例を図面に
基づいて説明する。

第１図において、燃料を貯蔵するタンクにフィラーチュ
ーブ１０が通じ、このフィラーチューブ１０の給油口１
１側はフィラーキャップで閉じられる。このフィラーチ
ューブ１０の材質としては、例えばポリエチレン樹脂又
はポリアセタール樹脂等が用いられ、加熱軟化されたパ
リソンを金型で例えばブロー成形して得られる。フィラ
ーチューブ１０の成形中又は成形直後で軟化状態にある
うちに、所定の取付位置では、同質樹脂製又は樹脂以外
の材質による開閉弁２０がインサート成形などにより溶
着される。

第２図は、このようにしてフィラーチューブ１０の所定
位置（図中斜線部）に溶着されて一体化された開閉弁２
０の断面を示している。インサート成形により、開閉弁
２０の弁箱部２１はフィラーチューブ１０に溶着固化し
て一体化される。弁箱部２１の下部溶着端側には開口部
２２が設けてあり、この開口部２２はインサート成形に
よってフィラーチューブ１０内部に連通し、図示のよう
にフィラーチューブ１０との間に棚状の仕切部２３を形
成するようになっている。また、開口部２２に挿通して
開閉弁２０の弁ロッド（弁体）２４がフィラーチューブ
１０の内部に突出しており、この弁ロッド２４は図の上
下方向に往復動作して上端に設けてある弁部（第４図参
照）を開状態又は閉状態にする。即ち、開閉弁２０の構
造は従来例として示された第４図と思想的に同様なもの
と考えてよく、弁ロッド２４は燃料ノズルガンの挿入に
伴って回動する蝶開蓋が当接して図の上方向に移動し、
上端の弁部が開状態となる。

また、フィラーチューブ１０との仕切部２３では弁箱部
２１側に可撓性を有して伸縮自在なダイアフラム（シー
ル部材）２５が担持されている。このダイアフラム２５
の中央に弁ロッド２４が液密的に挿通し、弁ロッド２４
の往復動に伴って伸縮する。即ち、ダイアフラム２５は
伸縮自在であると共に、フィラーチューブ１０の内部と
開閉弁２０側とを液密的に遮断している。また、弁箱部
２１の内部には押えプレート（保持部材）２６が嵌合さ
れてダイアフラム２５に上方から当接しており、仕切部
２３と共に上下方向からダイアフラム２５を保持してい
る。押えプレート２６の中央に設けられた貫通孔２６に
は弁ロッド２４が摺動自在かつ液密的に挿通している。
押えプレート２６としては、弁箱部２１の成形固化後、
弁箱部２１内に上方からダイアフラム２５に次いでしま
り嵌合で組み込まれる。

従って、この構造において、給油時、第４図に示された
燃料ノズルガン５をフィラーチューブ１０の給油口１１
から挿入すると、この燃料ノズルガン５が蝶開蓋７に当
接してこれを押し開き、蝶開蓋７が弁ロッド２４の先端
に当接してこれを図の上方に押し上げ、弁部を開く方向
に動作させる。ダイアフラム２５は弾性伸縮しつつ弁ロ
ッド２４の動作に追従する。開閉弁２０の開動作によっ
て、燃料タンク２が開閉弁２０を介して蒸発燃料管９ａ
を通じ活性炭内蔵のキャニスタに連通する。この連通に
よって、燃料タンク２内では液位の高まりに伴って内部
空間に滞留した燃料１の蒸発成分が押し上げられ、開閉
弁２０経由してキャニスタ内部の活性炭に吸着保持され
る。保持された蒸発成分はエンジン作動中の吸入負圧に
よってキャブレータ上流に燃料として活用されるべく吸
引される。

考案の効果 以上説明したように、本考案による蒸発燃料回収装置
は、開閉弁の弁箱部が合成樹脂製のフィラーチューブ給
油口の外部に一体に突出成形されることにより、フィラ
ーチューブとの間でシール性確保のための高精度加工を
必要としない。即ち、従来の構造のように、フィラーチ
ューブの所定位置に設けた開口部の周囲にフランジを全
周溶接して、このフランジに弁箱部を止ビスで止めると
いった非常に複雑な工程が削減される。

また、一体成形により高精度の加工を必要とすることな
くフィラーチューブとの間で所要のシール性を確保する
ことができる。

しかも、全体が合成樹脂成形で得られるから、従来の単
体部品による組立構造のように、塗装処理などを施して
燃料の蒸発成分に対する化学的な防食性及び防錆性の必
要がなく、製造や組立等の全体的なコストを大幅に低減
することが可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は、本考案による燃料蒸発回収装置の
実施例を示し、第１図は成形態様の全体斜視図、第２図
は開閉弁成形後の要部断面図、第３図〜第６図は従来例
を示し、第３図及び第４図は燃料回収装置の概略図及び
開閉弁の断面図、第５図及び第６図は開閉弁の一般的な
取付形態図及び開閉弁の断面図である。 １０・・フィラーチューブ、 ２０・・開閉弁、２１・
・弁箱部、 ２２・・開口部、 ２４・・弁ロッド（弁
体）、 ２５・・ダイアフラム（シール部材）、 ２６
・・押えプレート（保持部材）

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】給油時に燃料ノズルガンをフィラーチュー
   ブ給油口から挿入して開閉弁を開く方向に作動させるこ
   とにより、燃料タンクの内部を吸着剤内蔵のキャニスタ
   に連通させ、燃料タンク内に滞留した燃料の蒸発成分を
   吸着剤に保持させる蒸発燃料回収装置であって、 開閉弁が、合成樹脂材により成形されるフィラーチュー
   ブ給油口の外部に一体に突出成形され且つ開口部でフィ
   ラーチューブ内に連通する弁箱部と、弁箱部内でポート
   を開閉する方向に往復動自在であり且つその先端が開口
   部からフィラーチューブ内に突出する弁体と、弁体の外
   周に鍔状に嵌着されて移動時に弾性伸縮し且つ弁箱部の
   開口部を覆ってフィラーチューブとの間を液密的に遮断
   するシール部材と、弁箱部の内周面に嵌合固定されてシ
   ール部材を開口部との間で保持し且つ中央部に弁体が挿
   通して液密的に摺動する保持部材とにより構成されるこ
   とを特徴とする蒸発燃料回収装置。