JPH06260100A - 電子銃構体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 シールドワイヤーと給電線との間の放電を抑
制した電子銃構体を提供する 【構成】 ステム１４側から陽極側に複数個の電極を同
軸に順次絶縁体１２により保持し、その電極の少なくと
も１つにステムに設置されたステムピン１１と接続する
給電線６によって高電圧が印加され、この高電圧電極よ
りもステム側に低電圧電極８を有し、この低電圧電極に
接続されて絶縁体１２と対向する部分を除いたネック内
壁に近接して設置したシールドワイヤー９の給電線通過
部分に低電圧電極側に湾曲した凹部９ｂを形成した。 【効果】 シールドワイヤーによるネック内壁のスパッ
タ層の形成を阻害することなく、シールドワイヤーと給
電線との間の間隔を大きくとることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電子銃構体に係り、特
に拡大投射画像を得るための投写型陰極線管の電子銃構
体に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、投写型陰極線管は映写スクリー
ンより所定の距離離間した位置に配され、そのフェース
プレートパネル面上に再生された画像を上記映写スクリ
ーンに投写して拡大された画像を得るものである。図８
はこの種の投写型陰極線管を用いたカラー画像投写装置
の概略構成を説明する模式図であって、ｒＰＲＴは赤色
画像用投写型陰極線管、ｇＰＲＴは緑色画像用投写型陰
極線管、ｂＰＲＴは青色画像用投写型陰極線管であり、
緑色画像用投写型陰極線管ｇＰＲＴの中心軸上には、そ
のフェースプレートパネルｇＰＮＬに対向して一定の距
離離間仕手位置に映写スクリーンＳＣＮが配設される。

【０００３】また、上記各投写型陰極線管ｒＰＲＴ，ｇ
ＰＲＴ，ｂＰＲＴのフェースプレートパネルｒＰＮＬ，
ｇＰＮＬ，ｂＰＮＬの前面には、それぞれの陰極線管の
軸上に投写レンズ系ｒＬＮＳ，ｇＬＮＳ，ｂＬＮＳが配
置され、各投写型陰極線管ｒＰＲＴ，ｇＰＲＴ，ｂＰＲ
ＴのフェースプレートパネルｒＰＮＬ，ｇＰＮＬ，ｂＰ
ＮＬに再生された各単色の画像をそれぞれの投写レンズ
系ｒＬＮＳ，ｇＬＮＳ，ｂＬＮＳによって集光拡大され
て映写スクリーンＳＣＮに投写されて合成され、カラー
画像が得られる。

【０００４】このように、投写型陰極線管を用いたカラ
ー画像投写装置は、所謂直視型テレビのような画像装置
に比較し、大画面が容易に得られる。上記の投写型陰極
線管は、フェースプレートパネルに高輝度の画像を生成
するために、電子ビーム電流値が大きく、かつ電子銃に
印加する陽極電圧が高い値に設定される。

【０００５】上記電子銃を構成する電子銃構体は、陰極
を含む電子ビーム発生電極と、発生した電子ビームを所
定の断面形状に成形するプリフォーカス電極、電子ビー
ムを集束し加速してフェースプレートパネルに射突させ
るための集束電極および加速電極からなる主レンズ電極
を備えている。上記の集束電極および加速電極を構成す
る電極の１または複数には、１０〜数１０ｋＶの高電圧
が印加されるため、低電圧電極との間、あるいは電子銃
を収容するネック部内壁に放電が生じる。

【０００６】また、上記高電圧によってネック部内壁に
静電荷が誘起され、この静電荷と低電圧電極との間でも
放電が生じることがある。上記したような，所謂管内放
電を防止する手段としては、電子銃構体の低電圧電極に
固定してその部分の周囲にシールドワイヤーを設置し、
シールドワイヤーによるネック内壁に形成されるのスパ
ッタ層を利用するのが一般的である。

【０００７】なお、所謂シールドワイヤーを備えた電子
銃に関する従来技術を開示したものとしては、例えば特
開昭５４−１５８８５８号公報、実開昭５９−３１１４
１号公報等を挙げることができる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術のシール
ドワイヤーを備えた電子銃構体においては、高電圧が印
加されるフォーカス電極への給電を、ステムピンから延
びる給電線により行っている。そして、シールドワイヤ
ーを設ける低電圧電極はフォーカス電極よりもステムピ
ン側にあると、上記高電圧の給電線とシールドワイヤー
とが電子銃構体とネック内壁の狭い空間ないで接近し、
両者の間で放電や，所謂暗電流が発生し、電子銃特性の
劣化、あるいは電極構体およびネック部の破壊を招くと
いう問題があった。

【０００９】また、低電圧電極に固定するシールドワイ
ヤーと高電圧電極への給電線との間隔を大きくするた
め、シールドワイヤーをネック内壁との間隔を大きくす
ると、シールドワイヤーによるスパッタ層による暗電流
（ストレイエミッション）低減効果が減殺されてしまう
という欠点がある。本発明の目的は上記従来技術の問題
を解消し、シールドワイヤーとネック内壁との間の間隔
を低減することなく、当該シールドワイヤーと給電線と
の間の放電を抑制した電子銃構体を提供することにあ
る。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、陰極線管のネック内に収容され、ステム
側から陽極側に複数個の電極を同軸に順次所定位置で絶
縁体により保持し、上記複数の電極の少なくとも１つが
上記ステムに設置されたステムピンと接続する給電線に
よって高電圧が印加され、上記高電圧が印加される高電
圧電極よりも上記ステム側に低電圧電極を有し、この低
電圧電極に接続されて上記絶縁体と対向する部分を除い
たネック内壁に近接して設置したシールドワイヤーを備
えた電子銃構体において、前記シールドワイヤーの前記
給電線通過部分に、前記低電圧電極側に湾曲した凹部を
形成したことを特徴とする。

【００１１】上記シールドワイヤーに形成する上記凹部
の形状は、電子銃の軸方向からみて半矩形状、あるいは
半円形状、半楕円形状とすることができ、また低電圧電
極との接続は上記シールドワイヤーの端部を当該低電圧
電極表面に溶接等で直接固定緒するか、あるいは当該低
電圧電極を固定する絶縁体（一般には、ビードガラス）
に上記低電圧電極の固定用のタブと共に埋設する構造と
することができる。

【００１２】

【作用】低電圧電極に設けたシールドワイヤーは絶縁体
と対向する部分を除いたネック内壁に近接して設置され
ると共に、ステムに設置されたステムピンから高電圧電
極に給電する給電線が通過する部分に凹部を形成してあ
るため、シールドワイヤーによるネック内壁のスパッタ
層の形成を阻害することなく、シールドワイヤーと給電
線との間の間隔を大きくとることができる。これによ
り、暗電流を低減し、管内放電を抑制する。

【００１３】

【実施例】以下本発明の実施例を図面を参照して詳細に
説明する。図１は本発明による電子銃構体の第１実施例
を説明する要部断面図であって、１は投写型陰極線管の
ネック部、２はコンタクトスプリング、３は第５電極、
４は第４電極、５はコネクタ、６は給電線、７は第３電
極、８は第２電極、９はシールドワイヤー、１０は第１
電極、１１はステムピン、１２はビードガラス、１３は
スパッタ層、１４はステム、１５は陽極導電膜である。

【００１４】同図において、電子銃構体はステム１４側
から第１電極１０，第２電極８，第３電極７，第４電極
４，第５電極３の順に軸方向に順次所定の間隔で配列さ
れ、絶縁体であるビードガラス１２で固定される。第５
電極３はコンタクトスプリング２で図示しない陽極から
ネック１の内壁まで延びる陽極導電膜１５に接続され、
陽極電圧が印加される。そして、コネクタ５により第３
電極７に陽極電圧が印加される。

【００１５】第４電極４にはステムピン１１から給電線
６により１０ｋＶ程度のフォーカス電圧が印加される。
そして、第２電極８にはシールドワイヤー９が取付けら
れている。上記の構成において、第１電極１０内に設け
てある陰極からの電子ビームは第１電極１０，第２電極
８，第３電極７を通して第４電極４と第５電極３で構成
される主レンズにより集束，加速されて第５電極の前方
にある蛍光面方向に指向される。

【００１６】第２電極に取付けられたシールドワイヤー
９はネック１の内壁に近接しており、このシールドワイ
ヤー９からネック内壁にスパッタ層１３が形成され、か
つ上記シールドワイヤー９によって高電圧電極である第
３電極７および第４電極４とステム側にある第２電極８
あるいは第１電極１０への放電と暗電流が効果的に抑制
される。

【００１７】図２は図１のＡ−Ａ線に沿った断面図であ
って、図１と同一符号は同一部分に対応し、９ａは環状
部、９ｂは環状部に形成された凹部、９ｃはシールドワ
イヤーの第２電極８への固定部である。図示したよう
に、シールドワイヤー９はビードガラス１２部分を除く
ネック内壁に近接する環状部９ａとこの環状部９ａの略
々中央部分に形成した凹部９ｂを有し、端縁を第２電極
８に溶接されている。

【００１８】第４電極４に集束電圧を給電する給電ワイ
ヤー６は、ステム部１４のステムピン１１からシールド
ワイヤー９の凹部９ｂを所定の距離で通過して第４電極
４に至る。この構成により、シールドワイヤー９の環状
部９ａとネック内壁とは所要の距離をもって近接し、そ
の環状部９ａからスパッタ層１３が形成されると共に、
給電線６はシールドワイヤー９と十分な間隔で通過でき
る。

【００１９】したがって、スパッタ層１３とシールドワ
イヤー９の効果によって暗電流が低減され、管内放電も
抑制される。図３は本発明による電子銃構体の第２実施
例を説明する要部断面図であって、前記図２と同様の断
面図である。この実施例は、シールドワイヤー９に形成
する凹部９ｂの形状を半円形もしくは半楕円形状とした
ものであり、前記実施例に対して給電線６とシールドワ
イヤー９間の間隔が略々一様な距離とすることができ、
放電抑止効果をさらに向上することができる。

【００２０】図４は本発明による電子銃構体の第３実施
例を説明する要部断面図であって、前記図２と同様の断
面図である。この実施例は、シールドワイヤー９の端部
９ｄを第２電極８を固定するビードガラス１２に上記第
２電極８のタブと共に埋設してシールドワイヤー９と第
２電極８との接続を行う構造としたものである。

【００２１】なお、この実施例においても、シールドワ
イヤー９に形成する凹部９ａを図３と同様の形状とする
こともできる。図５は本発明による電子銃構体を備えた
投写型陰極線管の構造例を説明する部分破断した側断面
図である。同図は電磁レンズと静電レンズを併用した複
合集束型の投写型陰極線管であり、ガラスバルブＢＬＢ
のネック部ＮＣＫ（上記実施例においては符号１で示
す）内部に電子ビームＢＥＭを放射，制御，加速および
集束させる電子銃構体ＧＵＮが収納されており、ガラス
バルブＢＬＢのパネルＰＮＬには、その内面に単色の蛍
光面ＳＲＮが被着形成されている。

【００２２】ガラスバルブＢＬＢのファンネル部ＦＮＬ
の周囲には、電子銃ＧＵＮから発射された電子ビームＢ
ＥＭを水平，垂直の２方向に偏向させるための偏向ヨー
クＤＹが取付けられ、蛍光面ＳＲＮを発光させる。上記
偏向ヨークＤＹのネック側に隣接して、前記図１１で説
明した各色の投写型陰極線管ＰＲＴで再生される画像の
色ずれを補正するためのコンバーゼンスヨークＣＹと、
電子ビームＢＥＭのフリースポット位置を調整するセン
タリングマグネットＢＣＭと、電子ビームＢＥＭの集束
を行うための電磁レンズＭＦＬを形成するフォーカスマ
グネットＭＦＭが取付けられている。

【００２３】電子銃ＧＵＮが収納されているネック部Ｎ
ＣＫの外周には、上記フォーカスマグネットＭＦＭで形
成された電磁レンズＭＦＬの中心軸と電子銃ビームＢＥ
Ｍの通過軸を補正するためのビームアライメントマグネ
ットＢＡＭが取付けられている。上記構造の投写型陰極
線管ＰＲＴの集束機構は、まず電子銃ＧＵＮの静電電極
に所定の固定電圧を印加して静電補助レンズＳＦＬを形
成し、電子ビームＢＥＭの予備集束を行う。次に、外付
けのフォーカスマグネットＭＦＭ内の永久磁石による定
常磁界とフォーカスマグネットＭＦＭ内のヨークの補助
コイルによる補正磁界により、電磁レンズＭＦＬ（主レ
ンズ）を形成し、電子ビームＢＥＭの主集束を行う。

【００２４】このように、電磁レンズの前段に静電補助
レンズを設けることにより電磁レンズに入射する電子ビ
ームの入射角を制御し、大電流時の発散角の広がりを抑
えることができるため、収差の少ない電磁レンズの中心
部分を使用することができる。また、電子ビームを絞る
主レンズとして外磁形の電磁レンズを使用することによ
り、静電レンズに比べてネック径の制限を受けずにレン
ズ口径を拡大できるため、球面収差を低減できる。しか
るに、投写型陰極線管に上記のような電磁レンズと静電
レンズを併用した複合集束方式を採用することで、小電
流領域から大電流領域まで良好なフォーカス特性が期待
できる。すなわち、輝度を落とさずに解像度を挙げるこ
とができる。

【００２５】この形式の投写型陰極線管に本発明による
シールドワイヤー構造を付加することにより、暗電流の
低減と管内放電の抑制を行い、さらに良好なフォーカス
特性を得ることができる。図６は本発明による電子銃構
体を収納した陰極線管を用いた背面投写型テレビの一例
を示す概略正面図であり、図７は図６の背面投写型テレ
ビを側面からみた概略断面図である。

【００２６】図６と図７において、投写型陰極線管ＰＲ
ＴはカプラーＣＰＬを介して投写レンズＬＮＳが結合さ
れ、テレビセット下方に配置される。この投写型陰極線
管ＰＲＴの再生画像を投写レンズＬＮＳを通して集光拡
大させ、テレビセット上方に適当な角度で設置されたミ
ラーＭＬで上記拡大再生画像を反射させ、これを映写ス
クリーンＳＣＮ上に投写する。

【００２７】このような背面投写を利用した投写型陰極
線管を内蔵したテレビは、投写距離を稼ぐことができ、
テレビセットの奥行きを薄くしてコンパクト化に有利で
ある。なお、本発明は上記実施例で説明した投写型陰極
線管の電子銃に限るものではなく、その他の単電子銃型
陰極線管、および３電子銃型陰極線管の電子銃に適用で
きる。

【００２８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ステム側から陽極側に複数個の電極を同軸に順次所定位
置で絶縁体により保持し、上記複数の電極の少なくとも
１つが上記ステムの設置されたステムピンと接続する給
電線によって高電圧が印加され、上記高電圧が印加され
る高電圧電極よりも上記ステム側に低電圧電極を有し、
この低電圧電極に接続されて上記絶縁体と対向する部分
を除いたネック内壁に近接して設置したシールドワイヤ
ーを備えた形式の電子銃構体においても、上記シールド
ワイヤーにより給電線とシールドワイヤー間、高電圧電
極と低電圧電極、あるいはネック内壁との間の，所謂管
内放電が抑制され、かつ暗電流を低減して良好な画像品
質を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による電子銃構体の第１実施例を説明す
る要部断面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線に沿った断面図である。

【図３】本発明による電子銃構体の第２実施例を説明す
る要部断面図であって、前記図２と同様の断面図であ
る。

【図４】本発明による電子銃構体の第３実施例を説明す
る要部断面図であって、前記図２と同様の断面図であ
る。

【図５】本発明による電子銃構体を備えた投写型陰極線
管の構造例を説明する部分破断した側断面図である。

【図６】本発明による電子銃構体を収納した陰極線管を
用いた背面投写型テレビの一例を示す概略正面図であ
る。

【図７】図６の背面投写型テレビを側面からみた概略断
面図である。

【図８】投写型陰極線管を用いたカラー画像投写装置の
概略構成を説明する模式図である。

【符号の説明】

１ 投写型陰極線管のネック部 ２ コンタクトスプリング ３ 第５電極 ４ 第４電極 ５ コネクタ ６ 給電線 ７ 第３電極 ８ 第２電極 ９ シールドワイヤー １０ 第１電極 １１ ステムピン １２ ビードガラス １３ 内壁スパッタ層 １４ ステム １５ 陽極導電膜

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】陰極線管のネック内に収容され、ステム側
   から陽極側に複数個の電極を同軸に順次所定位置で絶縁
   体により保持し、上記複数の電極の少なくとも１つが上
   記ステムに設置されたステムピンと接続する給電線によ
   って高電圧が印加され、上記高電圧が印加される高電圧
   電極よりも上記ステム側に低電圧電極を有し、この低電
   圧電極に接続されて上記絶縁体と対向する部分を除いた
   ネック内壁に近接して設置したシールドワイヤーを備え
   た電子銃構体において、前記シールドワイヤーの前記給
   電線通過部分に、前記低電圧電極側に湾曲した凹部を形
   成したことを特徴とする電子銃構体。