JPH06255475A - ウォータージェット推進式側壁型エアクッション船 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、左右の船体側壁部の相互間に形成
されたエアクッション室からの漏洩気泡が、ウォーター
ジェット推進用取水口に吸い込まれるのを防止できるよ
うにした、ウォータージェット推進式側壁型エアクッシ
ョン船を提供するものである。 【構成】 左右の船体側壁部10の相互間に形成されたエ
アクッション室７から、水面６の乱れによる泡立ちに伴
い気泡が漏洩してウォータージェット推進用取水口３に
吸い込まれないように、同取水口３をエアクッション室
７から遠ざけるため、同取水口３を有するポッド４の内
側壁４ａが、船体側壁部10の内側壁10ａの下方延長面よ
りも外方に配設される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、左右の船体側壁部の相
互間にエアクッション室を形成された側壁型エアクッシ
ョン船に関し、特にウォータージェット推進式の側壁型
エアクッション船に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のウォータージェット推進式側壁型
エアクッション船としては図５（船体横断面図）に示す
ようなものがあり、左右の船体側壁部10の相互間に船体
重量の一部を支えるエアクッション室７が形成されると
ともに、船体側壁部10の下端には、吸水管路２の取水口
３を有するポッド４が装備されている。そして、取水口
３から取り込まれる水がウォータージェットポンプ１で
船体後方へ噴出されることにより、船体の推進が行なわ
れるようになっている。なお、符号５は船体外側水面を
示し、６は船体内側水面、８は船底キール面を示してい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、図５に示す
ような従来のウォータージェット推進式側壁型エアクッ
ション船では、ポッド４の内側壁４ａが船体側壁部10の
内側壁10ａの下方への延長面に沿って配設されているた
め、取水口３がエアクッション室７に著しく接近して設
けられることになる。したがって、荒天時における航行
中には、図６(b)に示すように、エアクッション室７か
ら気泡９が漏洩して取水口３に吸い込まれるようにな
り、これによりウォータージェットポンプ10の効率低下
や、同ポンプ10を駆動する主機の損傷を招く恐れがあ
る。

【０００４】本発明は、このような問題点の解消をはか
ろうとするもので、ウォータージェット推進用取水口を
有するポッドの位置をエアクッション室からできるだけ
遠ざけるように設定することにより、同取水口への気泡
の吸い込みを防止できるようにしたウォータージェット
推進式側壁型エアクッション船を提供することを目的と
する。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本発明のウォータージェット推進式側壁型エアクッ
ション船は、左右の船体側壁部の相互間にエアクッショ
ン室を形成された側壁型エアクッション船において、上
記船体側壁部の下端に、ウォータージェット推進用吸水
管路の取水口を有するポッドをそなえ、上記エアクッシ
ョン室からの漏洩気泡が上記取水口へ吸い込まれるのを
防止すべく、上記ポッドの内側壁が、上記船体側壁部の
内側壁の下方への延長面よりも外方に配設されたことを
特徴としている。

【０００６】

【作用】上述の本発明のウォータージェット推進式側壁
型エアクッション船では、ウォータージェット推進用取
水口を有するポッドの内側壁が、エアクッション室の側
方を区画する船体側壁部の内側壁の下方延長面よりも外
方に配設されるので、同ポッドにおける取水口の位置も
エアクッション室から遠ざかるようになり、これによ
り、波浪中の航行に際して、エアクッション室内の水面
の乱れに伴って生じる気泡が上記取水口へ吸い込まれる
のを防止することができる。

【０００７】

【実施例】以下、図面により本発明の実施例について説
明すると、図１はその船体側面図、図２は図１のＡ−Ａ
断面図である。図１，２に示すように、本実施例におい
ても、左右の船体側壁部10の相互間に船体重量の一部を
支えるエアクッション室７が形成されるとともに、船体
側壁部10の下端には、吸水管路２の取水口３を有するポ
ッド４が装備されている。そして、取水口３から取り込
まれる水がウォータージェットポンプ１で船体後方へ噴
出させることにより、船体の推進が行なわれるようにな
っている。なお、図中の符号５は船体外側水面を示し、
６は船体内側水面、８は船底キール面を示している。

【０００８】本実施例では、特に取水口３の位置がエア
クッション室７からできるだけ遠ざかるように、ポッド
４の内側壁４ａが船体側壁部10の内側壁10ａの下方への
延長面よりも外方に配設されていて、船底キール面８と
ポッド内側壁４ａの上端との間には、外側上方へ向かっ
て傾斜した船底面10ｂの一部が存在している。上述の構
成により、波浪中の航行に際して、エアクッション室７
における水面６の乱れに伴い図６(a)に示すごとく気泡
９を生じて同気泡９が側方へ漏洩しても、同気泡９は取
水口３に吸い込まれることなく傾斜船底面10ｂに沿い外
方へ導かれるようになる。したがって、ウォータージェ
ットポンプ１の効率低下や、同ポンプ１を駆動する主機
の損傷を招くこともない。

【０００９】また図６の(a)，(b)を比較して明らかなよ
うに、本実施例ではポッド４が傾斜船底面10ｂの途中か
ら下方へ突設されているので、従来の場合と比べてポッ
ド４の下面のレベルを浅くすることができる利点もあ
る。図３および図４は、いずれも図２に対応させて本実
施例の変形例を示すもので、図３，４における各符号
は、図２における同じ符号と同様の部分を示している。
図３，４に示す各変形例では、取水口３を有するポッド
４が外方へ傾斜するように設けられていて、これにより
ポッド４の内側壁４ａは船体側壁部10の内側壁10ａの下
方への延長面よりも外方に位置しており、このようにし
て取水口３の位置はエアクッション室７から遠ざけられ
ている。

【００１０】したがって、図３，４に示す各変形例の場
合も、前述の図２に示す実施例の場合と同様に、エアク
ッション室７からの漏洩気泡が取水口３へ吸い込まれる
のを防止することができ、同様の効果を得ることができ
る。また、図３，４の各変形例の場合も、ポッド４が外
側方へ傾斜して設けられるので、同ポッド４の下面の水
深位置が従来の場合よりも浅くなる利点がある。

【００１１】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明のウォータ
ージェット推進式側壁型エアクッション船によれば、ウ
ォータージェット推進用取水口を有するポッドの内側壁
が船体側壁部の内側壁の下方延長面よりも外方に配設さ
れるようにして、上記取水口がエアクッション室から遠
ざけられるので、同取水口にエアクッション室からの漏
洩気泡が吸い込まれるのを防止することができ、これに
よりウォータージェットポンプの効率低下や同ポンプを
駆動する主機の損傷を回避できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例としてのウォータージェット
推進式側壁型エアクッション船の側面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ断面図である。

【図３】図２に対応してポッド配置の変形例を示す断面
図である。

【図４】図２に対応してポッド配置の他の変形例を示す
断面図である。

【図５】従来のウォータージェット推進式側壁型エアク
ッション船の断面図である。

【図６】(a)は図２に対応して作用を示す説明図であ
り、(b)は図５に対応して作用を示す説明図である。

【符号の説明】

１ ウォータージェットポンプ ２ 吸水管路 ３ 取水口 ４ ポッド ４ａ ポッドの内側壁 ５ 船体外側水面 ６ 船体内側水面 ７ エアクッション室 ８ 船底キール面 ９ 気泡 10 船体側壁部 10ａ 船体側壁部の内側壁

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 左右の船体側壁部の相互間にエアクッシ
   ョン室を形成された側壁型エアクッション船において、
   上記船体側壁部の下端に、ウォータージェット推進用吸
   水管路の取水口を有するポッドをそなえ、上記エアクッ
   ション室からの漏洩気泡が上記取水口へ吸い込まれるの
   を防止すべく、上記ポッドの内側壁が、上記船体側壁部
   の内側壁の下方への延長面よりも外方に配設されたこと
   を特徴とする、ウォータージェット推進式側壁型エアク
   ッション船。