JPH06253874A - リン脂質の製造法 - Google Patents

リン脂質の製造法

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JPH06253874A
JPH06253874A JP5066108A JP6610893A JPH06253874A JP H06253874 A JPH06253874 A JP H06253874A JP 5066108 A JP5066108 A JP 5066108A JP 6610893 A JP6610893 A JP 6610893A JP H06253874 A JPH06253874 A JP H06253874A
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JP
Japan
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phospholipid
euglena
cells
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phosphatidylinositol
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JP5066108A
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English (en)
Inventor
Takashi Fujita
孝 藤田
Taisuke Iwasaki
泰介 岩崎
Hisashi Matsuda
恒 松田
Takayoshi Sato
孝義 佐藤
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Snow Brand Milk Products Co Ltd
Original Assignee
Snow Brand Milk Products Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ユーグレナからホスファチジルイノシトール
含量の高いリン脂質を得る方法を提供する。 【構成】 ユーグレナを培養して細胞中にリン脂質を生
産、蓄積させた後、その細胞をエイジングすることによ
り、ホスファチジルイノシトール含量の高いリン脂質を
製造する。 【効果】 このようにして得られたホスファチジルイノ
シトール含量の高いリン脂質は、水産生物の飼料として
利用することが可能である。また、高純度のホスファチ
ジルイノシトールを分離、精製する際に、このホスファ
チジルイノシトール含量の高いリン脂質を用いることも
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ホスファチジルイノシ
トール含量の高いリン脂質を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ホスファチジルイノシトール(PI)
は、広く動植物界に分布しているイノシトールリン脂質
のひとつであって、動物細胞中に含まれる量としては全
リン脂質の数パーセントに過ぎないが、植物の種子や酵
母などに含まれる量としては全リン脂質の20〜30%
を占めている。このPIは、生体内の情報伝達に関与す
る物質として知られている。また、PIについては、制
癌作用の利用、リポソーム基剤としての利用、氷核活性
の利用及び水産生物用の飼料としての利用などについて
研究がなされている。
【0003】このPIの調製法としては、全リン脂質に
占める割合が20%というPI含量の高いパン酵母を利
用し、自己融解によって全リン脂質の40%を占めるホ
スファチジルコリン(PC)を分解、除去して、PI含
量の高いリン脂質を調製した後、有機溶媒で抽出し、シ
リカゲルカラムクロマトグラフィーで分離、精製を行う
方法が知られている。また、大豆油抽出時に副産物とし
て得られるペーストをアセトンで洗浄し、油分を除去し
た大豆レシチンを用い、抽出、精製を行う方法〔食品産
業ハイセパレーション・システム技術研究組合編、「機
能性食品素材の高度分離・精製と開発<ハイセパレーシ
ョン・システム>」、405頁、1992年〕などが知
られている。しかし、PIを大量に調製するに際して、
PI含量の僅かな動物細胞を用いることは、行われてい
ない。
【0004】一方、ユーグレナは、単細胞の真核生物で
あって生物分類学上はミドリムシ植物門に分類される植
物であり、また、原生動物門に属する動物でもある特異
な生物である。このユーグレナは、淡水中に広く分布し
ており、多くは池や沼のような静水中に生息するが、海
水中や汚水中でも生育が可能である。そして、ユーグレ
ナは、比較栄養学の材料生物として有用であって、その
生理について多くの研究がなされている〔北岡正三郎
編、「ユーグレナ−生理と生化学」、学会出版センタ
ー、1989年発行〕。また、ユーグレナは、アラキド
ン酸やエイコサペンタエン酸などの高度不飽和脂肪酸、
あるいはビタミンC、E、β−カロチンなどのビタミン
類、さらには良質の蛋白質や多糖類などの有用物質を生
産することも知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、ユーグ
レナを培養して種々の有用物質を生産させるための条件
についての研究の過程で、ユーグレナを培養して細胞中
にリン脂質を生産、蓄積させた後、その細胞をエイジン
グすることにより、PI含量の高いリン脂質を得ること
ができることを見出し、本発明を成すに至った。したが
って、本発明は、ユーグレナからPI含量の高いリン脂
質を製造する方法を提供することを課題とする。なお、
ユーグレナのリン脂質を構成する主要な成分として、P
C、ホスファチジルエタノールアミン(PE)及びホス
ファチジルセリン(PS)が知られているが〔北岡正三
郎編、「ユーグレナ−生理と生化学」、学会出版センタ
ー、1989年発行〕、ユーグレナからPI含量の高い
リン脂質を製造する方法については知られていない。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では、ユーグレナ
を培養して細胞中にリン脂質を生産、蓄積させた後、そ
の細胞をエイジングすることにより、リン脂質に占める
PI含量を高めるものである。
【0007】本発明では、ユーグレナ属に属する全ての
種について使用可能であるが、代表的なユーグレナとし
て、Euglena gracilisEuglen
agracilis var.bacillaris
Euglena viridisなどが挙げることがで
き、これらの変異種も利用することができる。これらの
ユーグレナの培養に用いることのできる培地は、特に限
定されるものではなく、通常ユーグレナの培養に用いる
ものであれば何れでも良い。文献上既知の培地を含め、
炭素源、窒素源、無機化合物及びビタミン類など、如何
なる組合せの培地であっても良い。例えば、ハトナー培
地〔ジャーナル・オブ・プロトズーオロジー、第6巻、
23頁、1959年〕、コレン−ハトナー培地〔ジャー
ナル・オブ・プロトズーオロジー、第14巻、17頁、
1967年〕など公知の培地を用いることもできる。な
お、ハトナー培地には、培地1リットル当たり、リンゴ
酸2g、グルタミン酸ナトリウム5g、リン酸二水素カ
リウム0.4g、リン酸水素二アンモニウム0.2g、
硫酸マグネシウム0.5g、炭酸カルシウム0.2g、
硫酸亜鉛22mg、硫酸マンガン5.8mg、硫酸第一
鉄アンモニウム5.7mg、モリブデン酸アンモニウム
1.5mg、硫酸銅1.6mg、硫酸コバルト1.9m
g、ホウ酸11.4mg、EDTA・2Na 50mg
及びビタミンB1 2.5mg、ビタミンB120.02m
gが含まれており、pHは3.3である。
【0008】本発明では、ユーグレナの培養開始時、培
地に炭素源及び窒素源としてグルコース、グルタミン酸
及びリン酸水素二アンモニウムを添加して培養を開始す
ると良い。この時の培地のpHは2.5〜8.0、好ま
しくは3.0〜4.5、培養温度は10〜35℃、好ま
しくは25〜32℃、光照射下あるいは暗黒下培養のど
ちらでも良い。培養は2〜10日間、好ましくは3〜7
日間行う。なお、ユーグレナの細胞を大量に得るには、
先に本発明者らが提案している培養装置〔特開平3−9
8574号公報〕を用いることが望ましく、また、ユー
グレナの細胞中にリン脂質をより多く生産、蓄積させる
には、同じく本発明者らが提案している流加培養法〔特
願平4−310981号〕を用いることが望ましい。
【0009】次に、このユーグレナ細胞を4〜50℃,
好ましくは15〜40℃で1時間〜14日間、好ましく
は12時間〜10日間エイジング処理する。ここで言う
エイジング処理とは、培養装置中などでユーグレナ細胞
を光照射下あるいは暗黒下に静置させておくことであっ
て、培養中の攪拌されている条件とは異なる状態にあ
る。このエイジング処理により、培養直後にはリン脂質
に占める割合の高かったPCが顕著に減少し、PI含量
の高いリン脂質を得ることができる。
【0010】このような処理を行って得たユーグレナ細
胞については、遠心分離などの処理を行って回収し、以
下の方法によってリン脂質画分を抽出することができ
る。すなわち、有機溶媒を用いてユーグレナ細胞から脂
質を抽出する。この抽出に使用することのできる溶媒と
しては、ヘキサン、クロロホルム、ジエチルエーテル、
アセトン、メタノール、エタノールなどの通常の脂質抽
出に用いられているものであれば良く、これらの溶媒を
単一あるいは適当な比率で混合して用いる。抽出方法
は、浸漬、振とうあるいは攪拌など通常の抽出方法で十
分である。次に、抽出液からの溶媒の留去は、減圧下、
含有成分が分解しない程度の温度で行う。最後に、総脂
質をシリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの適当な
方法により分画し、リン脂質画分を回収する。次に、実
施例を示して本発明を詳細に説明する。
【0011】
【実施例1】容量2リットルの発酵槽にグルコース18
g/l、グルタミン酸3g/l、リン酸水素二アンモニ
ウム2.5g/lを含む改変ハトナー培地1.3lを充
填して滅菌し、同培地で前培養したユーグレナ・グラシ
リス(Euglena gracilis) SM−Z
Kを5%接種した。培養は、25℃で特殊な攪拌羽根
〔特開平3−98574号公報〕を用いて60rpmの
速度で攪拌しながら7日間行った。通気速度は、培養0
〜3日が0.32l/分、3〜5日が1.3l/分、5
〜7日が1.95l/分とし、培養3日目と5日目にグ
ルコース13g/l、グルタミン酸3g/l及びリン酸
水素二アンモニウム1.5g/lをそれぞれ添加する流
加培養法〔特願平4−310981号〕を用いた。培養
終了後、このユーグレナ細胞を培養装置中で25℃、7
日間静置することによってエイジング処理を行い、ユー
グレナ細胞中のリン脂質に占めるPI含量を高めた。こ
のエイジング処理の後、3,000rpmで15分間の
遠心分離を行ってユーグレナ細胞を回収し、凍結乾燥を
行って乾燥ユーグレナ細胞39gを得た。
【0012】この乾燥ユーグレナ細胞について、そのリ
ン脂質成分の分析を行った。ユーグレナ細胞中に含まれ
る総脂質は、クロロホルム/メタノール(2/1)の溶
媒で10回振とう抽出した後、35℃で減圧下に溶媒を
留去して回収した。次に、この総脂質をシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーによって分画した。すなわち、1
0%ジエチルエーテルを含む−ヘキサン溶液でワック
スエステルを、20%ジエチルエーテルを含む−ヘキ
サン溶液でトリグリセリドを、1%メタノールを含むク
ロロホルム溶液で遊離脂肪酸を、10%メタノールを含
むクロロホルム溶液で少量のリン脂質を含むその他の画
分をそれぞれ溶出した後、100%メタノールでリン脂
質画分を溶出して回収した。そして、このリン脂質画分
を薄層クロマトグラフィー〔吸着剤:HPTLCプレー
ト、シリカゲル(メルク社製)、展開溶媒:クロロホル
ム/−プロパノール/酢酸エチル/メタノール/0.
25%塩化カリウム水溶液(23/25/25/15/
9)〕に供し、Dittmer−Lester試薬陽性
のスポットを二波長クロマトスキャナ((株)島津製作
所製)で定量した。各リン脂質については、標品と同様
のRf値を有するものをそれぞれのリン脂質と同定し、
その他のスポットについては、未同定のリン脂質として
定量した。なお、同様に培養してエイジング処理を行わ
なかった乾燥ユーグレナ細胞についても、同様の処理を
行い、リン脂質成分の分析を行った。その結果を表1に
示す。
【0013】
【表1】
【0014】このように、ユーグレナ細胞を25℃で7
日間エイジングすることにより、ユーグレナ細胞に含ま
れるリン脂質のPI含量を高めることができた。
【0015】
【発明の効果】本発明により、PI含量の高いユーグレ
ナリン脂質を得ることができる。このようにして得られ
たPI含量の高いリン脂質は、水産生物の飼料として用
いることが可能であり、また、高純度のPIを分離、精
製する際の出発原料として有用である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ユーグレナ属に属する生物を培養して細
    胞中にリン脂質を生産、蓄積させた後、その細胞をエイ
    ジングすることを特徴とするホスファチジルイノシトー
    ル含量の高いリン脂質の製造法。
  2. 【請求項2】 エイジングを15〜40℃で1〜10日
    間行うものである請求項1記載のホスファチジルイノシ
    トール含量の高いリン脂質の製造法。
JP5066108A 1993-03-02 1993-03-02 リン脂質の製造法 Pending JPH06253874A (ja)

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