JPH062535A - 内燃機関用排気ガス浄化装置 - Google Patents

内燃機関用排気ガス浄化装置

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JPH062535A
JPH062535A JP4159186A JP15918692A JPH062535A JP H062535 A JPH062535 A JP H062535A JP 4159186 A JP4159186 A JP 4159186A JP 15918692 A JP15918692 A JP 15918692A JP H062535 A JPH062535 A JP H062535A
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祐 福田
Yasuyuki Motozuka
靖之 本塚
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は高周波エネルギを利用したガソリン
エンジンの排気ガスを浄化する装置に関するもので、エ
ンジン始動時における排気ガスを浄化できる排気ガス浄
化装置を提供することを目的としたものである。 【構成】 高周波エネルギで発熱する高周波発熱体11
とその後方に高周波発熱体11の熱で加熱される排気ガ
ス中の有害物質を分解する浄化手段12を設けた構成と
している。この構成によってエンジン始動後に多量に発
生する排気ガス中に含まれる有害物質を分解でき、大気
への放出を抑制できる。また、酸素を含む気体を供給す
る供給手段22を設けることにより、エンジン始動時の
排気ガス中の有害物質の浄化性能をより向上させること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車などの内燃機関機
関から排出される排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素な
どの有害物質を高周波エネルギによる加熱手段を利用し
て分解する排気ガス浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ガソリンを燃料とする自動車は排気ガス
中に含まれる炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物の排出
規制が強化される動きにある。これら汚染物質の浄化方
法の一つとして触媒による後処理方式があり、現在実用
化されている。この後処理方式に用いられる代表的な触
媒体としては空燃比を理論空燃比付近に制御することに
より炭化水素、一酸化炭素の酸化と質素酸化物の還元を
同時に行い、無害な炭酸ガス、水蒸気、窒素に変換する
三元触媒があり、この三元触媒は主として乗用車に搭載
されている。
【0003】図5は乗用車に搭載されている従来の排ガ
ス浄化ユニットを示す。同図において、1はエンジン、
2は排気マニホールド、3は排気管、4は酸素センサ、
5は三元触媒体、6は三元触媒体5を収納する容器、7
は排気温度センサ、8はマフラであり、従来の排ガス浄
化装置は三元触媒体5と容器6から構成され、三元触媒
体5は排気マニホールド2に接続された排気管3の途中
に配置されている。三元触媒体5は特公昭52−335
8号公報に開示されているように、シリカ、アルミナ、
マグネシアを主成分とするコーディエライトのセラミッ
クハニカム構造体からなる担体に表面積の大きいアルミ
ナなどの微粒子からなるコーティング層を設け、このコ
ーティング層に白金、パラジウム、ロジウムなどの貴金
属微粒子を担持して構成されている。
【0004】エンジン1が始動すると燃焼による排気ガ
スは排気マニホールド2を通り排気管3の途中に設けら
れた排気ガス浄化装置に導かれる。この排気ガスは三元
触媒体5のハニカム構造を構成する各々のセルを通過し
て排気管3より大気に排出される。この時、空燃比は酸
素センサ4により理論空燃比付近に制御され、排気ガス
中に含まれる炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物は三元
触媒体触媒体5の酸化、還元反応により無害な炭酸ガ
ス、水蒸気、窒素に変換される。しかし、上記反応が起
こるためには三元触媒体5を触媒として機能する温度に
昇温させる必要がある。この三元触媒体5は排気ガスの
熱によって加熱されるが常温にあるエンジンが始動する
場合は触媒として機能する温度に到達するのに約1分要
し、それまでは有害な排気ガスが大気に排出されること
になる。
【0005】上記有害な排気ガスの排出を低減するため
に、三元触媒体5の前面に三元触媒体5より容積の小さ
い金属からなるハニカム構造体(触媒を担持したもの)
を配置し、これを電気ヒータ、バーナなどの加熱手段を
用いて急速加熱し、触媒として機能する温度に到達する
時間を短縮する方法が検討されているがまだ実用レベル
に至っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の構成におい
て、三元触媒体は排気ガスによって加熱されるため触媒
として機能する温度に到達するのに約1分かかる。この
状況は現在の排気ガス規制をクリアしているものの、今
後さらに強化される排気ガス規制に対しては上記コール
ドスタート時の排気ガス中の有害物質の排出量(特に炭
化水素)が問題になり、現状の排ガス浄化ユニットでこ
れをクリアすることは困難であるという課題があった。
【0007】また従来の三元触媒体の前面に配置した金
属からなるハニカム構造体をバーナで加熱する方法は、
バーナの点火時、ミス着火時などの炭化水素が発生した
り、バーナを含めた燃焼構成部の信頼性が劣るなどの課
題があった。
【0008】またバーナの代わりに電気ヒータを用いる
方法は大電力(大電流)を必要とするために電線が太く
なり配線が困難となるとともに、別の駆動電源を必要と
するなど自動車電源から十分に供給することが実用的に
困難であるという課題があった。
【0009】本発明は上記課題を解決するもので、高周
波エネルギによって排気ガス中に含まれる有害物質を分
解する浄化手段を急速加熱し、自動車エンジン始動時の
排気ガス中の有害物質を低減できるとともに、高周波発
生源の駆動電源を自動車電源から十分に供給できる排気
ガス浄化装置の提供を目的としたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため、内燃機関の排気ガスを排出する排気管の途中
に設けられた加熱室と、前記加熱室に高周波エネルギを
発生し供給する高周波発生手段と、前記加熱室に収納さ
れ、高周波エネルギを吸収して発熱する高周波発熱体
と、前記加熱室に収納され、内燃機関から排出される排
気ガスの流れに対し前記高周波発熱体の後方に配置さ
れ、前記排気ガスの熱と前記高周波発熱体より発生する
熱で加熱される排気ガス中に含まれる有害物質を分解す
る浄化手段とを備えた構成としている。
【0011】また本発明は上記構成に加え、前記加熱室
に酸素を含む気体を供給する供給手段を備えた構成とし
ている。
【0012】また本発明は高周波発熱体として、セラミ
ックからなる担体と、前記セラミックからなる担体に担
持された高周波を吸収して発熱する高周波吸収材料と、
前記セラミックからなる担体に前記高周波吸収材料を接
着する無機質バインダとを用いた構成としている。
【0013】また本発明は有害物質を分解する浄化手段
として、金属またはセラミックからなるハニカム構造を
有する担体と、前記担体に担持された有害物質の分解を
助長する触媒とを用いた構成としている。
【0014】
【作用】本発明は上記構成によって、ガソリン車のエン
ジンが始動すると同時に、あるいは始動直前に高周波エ
ネルギが高周波発熱体を収納している加熱室に給電さ
れ、前記高周波発熱体に担持している高周波吸収材料が
前記高周波エネルギを効率的に吸収そして熱変換するこ
とにより前記高周波発熱体が短時間で高温に加熱され
る。そしてこの高周波発熱体に蓄積された熱はエンジン
から排出される排気ガスの熱とともに前記高周波発熱体
の後方に配置された浄化手段に伝達され、加熱される。
前記浄化手段は前述の前記高周波発熱体から発生する熱
と排気ガスの熱によって数十秒で排気ガス中に含まれる
有害物質を分解可能温度に上昇するのでエンジン始動後
1分以内に多量に発生する排気ガス中の有害物質を効率
よく浄化することができる。
【0015】前記高周波発熱体はセラミックからなる担
体に担持された高周波吸収材料のみが高周波エネルギを
吸収し発熱するので高周波エネルギを発生するための消
費電力を少なくすることができる。
【0016】一方、エンジンが始動して1分程度経過す
ると排気ガスのみでも前記浄化手段を前記有害物質を分
解できる温度異常に保持することができるので、高周波
エネルギによる加熱を用いなくても高い浄化性能を維持
することができる。
【0017】また前記加熱室に酸素を含む気体を供給す
る供給手段を設けた構成とすることにより、前記高周波
発熱体によって加熱された前記浄化手段に排気ガス中の
有害物質である炭化水素や一酸化炭素を分解するのに必
要な酸素を供給することができるので前記有害物質の分
解反応の進行を促進させることができ、より高い浄化性
能を得ることができる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面を参照して
説明する。
【0019】図1において、9は内燃機関の排気ガスを
排出する排気管、10は排気管の途中に設けられた加熱
室、11は加熱室10内に収納され、高周波エネルギを
吸収して発熱する高周波発熱体、12は加熱室10内に
収納され、排気ガスの流れに対し高周波発熱体11の後
方に配置された排気ガス中に含まれる有害物質を分解す
る浄化手段、13は高周波発熱体11、浄化手段12を
支持および断熱するための断熱材である。14は加熱室
10に給電する高周波エネルギを発生させる高周波発振
器、15は高周波発振器14から発生した高周波を加熱
室10に伝送する導波管である。この導波管15の加熱
室10内の排気ガス流入側は高周波を遮断し、かつ排気
ガスを高周波発熱体11へ導入できるように多数のパン
チング孔を設けた構成としており、一方排気ガス流出側
は排気ガスを通過させるとともに、高周波を高周波発熱
体11へ給電するための開口部を設けた構成としてい
る。なお、前記開口部の周囲には排気ガスの圧力損失を
低減するために高周波を遮蔽できる多数のパンチング孔
を設けてもよい。16は浄化手段12への高周波の漏れ
を防止する高周波遮断手段であり、前述の多数のパンチ
ング孔を有する金属板あるいは多数の貫通孔を有する金
属のハニカム構造体から構成される。
【0020】エンジンから排出された排気ガスは図1中
矢印で示した方向から排気管9を流れ、高周波発熱体1
1に流入する。流入した排気ガスに含まれる炭化水素や
一酸化炭素の有害物質は高周波発熱体11によって加熱
された浄化手段12により分解され、浄化された排気ガ
スは排気管9より大気に排出される。
【0021】図2は本発明の排気ガス浄化装置に用いら
れる高周波発熱体11の外観を示すものである。高周波
発熱体の担体としては図2に示すようにセラミックの隔
壁より形成される多数の連通孔を有するハニカム構造体
が適用される。このハニカム構造体からなる担体はアル
ミナ、シリカ、ジルコニアなどのセラミック繊維からな
る多孔質シートのコルゲート加工やアルミナ、シリカ、
マグネシアを主成分とするコーディエライトのセラミッ
ク粉末の押し出し成形による加工によって造られる。そ
して上述のハニカム構造体からなる担体には高周波を効
率よく吸収して発熱する高周波吸収材料または前記高周
波吸収材料と金属微粒子が担持される。
【0022】図3は前記高周波吸収材料、金属微粒子が
担体に担持された状態を示す高周波発熱体11の一部断
面図である。同図(a)はハニカム構造を有する担体が
セラミック粉末から構成される場合であり、17は前記
担体のセラミック隔壁を示している。このセラミック隔
壁17は緻密であるので高周波吸収材料18のほとんど
はセラミック隔壁17の表面に担持された状態にあり、
無機質バインダ19によって前述の各材料が接着されて
いる。一方同図(b)はハニカム構造を有する担体がセ
ラミック繊維から構成される場合であり、20はセラミ
ック繊維を示している。セラミック繊維20から構成さ
れる担体は多孔質であるので高周波吸収材料18、前記
担体の表面だけでなく、内部にも担持された状態にあ
り、無機質バインダ19によって前述の各材料が接着さ
れている。また同図(c)は同図(a)で示した担体に
高周波吸収材料18に加え、金属微粒子21が担持され
たものであり、金属微粒子21は高周波吸収材料18と
ともに均一に分散した状態にある。
【0023】浄化手段12はハニカム構造を有するセラ
ミック担体に表面積の大きなアルミナなどの微粒子から
なるコーティング層を設け、このコーティング層に白
金、パラジウム、ロジウムなどの貴金属微粒子を担持し
て得られる(図示せず)。また、セラミック担体の代わ
りに酸化被膜を形成したハニカム構造を有する金属担体
を用い、前記酸化被膜に前記触媒を担持したものも適用
できる。
【0024】次に本発明の排気ガス浄化装置における排
気ガス中に含まれる有害物質の分解による浄化プロセス
について説明する。
【0025】ガソリン車のエンジンが始動するとエンジ
ンから排出された一酸化炭素や炭化水素などの有害物質
を含む排気ガスは排気管9を通り、高周波発熱体11に
流入する。一方、エンジン始動と同時に、あるいはエン
ジン始動直前に高周波発振器14が制御部(図示せず)
からの指令により高周波を発生させる。この高周波エネ
ルギは導波管15を伝送して高周波発熱体11を収納し
ている加熱室10に給電される。高周波発熱体11を構
成している高周波吸収材料18が給電された高周波エネ
ルギを吸収し、熱エネルギに変換されることによって高
周波発熱体11が高温に加熱される。高周波発熱体11
に蓄積された熱はエンジンから排出される排気ガスによ
って高周波発熱体11の後方に配置された浄化手段12
に伝達される。浄化手段12は前述の高周波発熱体11
から発生する熱と排気ガスの熱によって数十秒で前記有
害物質を分解可能な温度に加熱され、前記有害物質は排
気ガス中に含まれる酸素と反応して無害である水蒸気と
炭酸ガスに分解される。この浄化された排気ガスはマフ
ラを通過して排気管9より大気に排出される。
【0026】本発明の高周波発熱体11としてハニカム
構造を有するセラミック粉末による担体を用いた場合
(図3(a))、高周波吸収材料18は前記セラミック
担体の表面部に担持された状態になる。したがって高周
波エネルギによる発熱が高周波発熱体11の表面層だけ
になるので高温が得られ、かつ排気ガスによってこの発
生した熱を効率よく浄化手段12に伝達できる。その結
果、きわめて短時間で浄化手段12を有害物質の分解可
能な温度に上昇させることができ、自動車エンジンの始
動時における排気ガス中に含まれる有害物質の浄化性能
が向上する。
【0027】またセラミック担体としてセラミック繊維
20を用いた場合(図3(b))、高周波吸収材料18
は高周波発熱体11の表面だけでなくその内部にも担持
された状態になるとともにポーラス構造にすることがで
きる。したがって高周波発熱体11の発熱表面積を増加
させることができるとともに高周波発熱体11自身の熱
容量を小さくすることができるので高周波発熱体11を
より短時間で高温に加熱することができ、その結果、後
方に配置している浄化手段12をより短時間で有害物質
の分解可能な温度に上昇させることができ、有害物質の
浄化性能をより高くすることができる。
【0028】また高周波吸収材料18に金属微粒子21
を担持した場合(図3(c))、高周波発熱体11の全
体を均一に昇温させることができ、その結果、後方に配
置している浄化手段12全体を均一に加熱され、前記有
害物質を分解する表面積が増加し浄化性能を向上させる
ことができる。
【0029】前述したように高周波発熱体11を構成す
るセラミック担体に高い高周波吸収材料特性を有する高
周波吸収材料18、金属微粒子21を担持することによ
り、高周波発熱体11の加熱手段として高周波加熱方式
を適用する場合は、電気ヒータ加熱方式(金属ハニカム
担体の加熱)で同じ温度上昇を得る場合に比べ、1/3
〜1/2レベルの消費電力とすることが可能であり、高
周波発生源の駆動電源を自動車電源から十分に供給する
ことができる。
【0030】高周波の吸収特性の高い高周波吸収材料1
8としては半導体材料が挙げられ、特に亜鉛、銅、マン
ガン、コバルト、鉄、スズ、チタン、ケイ素を主成分と
する酸化物、炭化物、および前記金属を含む複合酸化物
の少なくとも1種からなるものが適用される。上記材料
が高周波を吸収し熱変換する機構は明確ではないが、上
記半導体材料の持つ大きな誘電率と誘電体損失によって
高周波を吸収し、発熱するものと考えられる。
【0031】高周波吸収材料18とともに用いる金属微
粒子21としては耐熱性の高い金属材料が挙げられ、特
に白金、ロジウム、パラジウムの貴金属や鉄−クロム、
鉄−ニッケル、鉄−ニッケル−クロム、ニッケル−クロ
ムの合金を主成分とする少なくとも1種の金属微粒子が
適用される。これら金属微粒子を高周波吸収材料18と
ともに用いることにより、高周波発熱体11全体を均一
に昇温できる理由は明確ではないが、金属粒子の持つ比
抵抗の特性により、高周波発熱体11の高周波特性が改
善されるものと考えられる。また金属微粒子は粒径が小
さい方がよい。
【0032】高周波発熱体11の担体としては耐熱性、
機械的強度の高いセラミック材料が挙げられ、セラミッ
ク粉末から造られる担体としてはコーディエライト、ア
ルミナなどのハニカム構造体が適用され、セラミック繊
維から造られる担体としてはアルミナ、シリカ、ジルコ
ニアなどのハニカム構造体が適用される。
【0033】また無機質バインダ19は特に限定される
ものではないが、耐熱性、接着性に優れたアルミナ、シ
リカ、ジルコニアなどのコロイド粒子のものがよい。
【0034】また有害物質を低温で分解する浄化手段1
2としては白金、パラジウム、ロジウムの貴金属、銅、
マンガン、コバルトの酸化物、ペロブスカイト型複合酸
化物が挙げられ、これらの少なくとも1種がハニカム構
造を有するセラミック担体、または金属担体に担持され
る。
【0035】次に、図1で示した本発明の排気ガス浄化
装置の具体的な実験例について述べる。
【0036】図3(a))に示すセラミックのハニカム
構造体(コーディエライト、容積100cc、200cell
/inch2)、高周波吸収材料18として炭化ケイ素ウィス
カー、無機質バインダ19としてアルミナゾルから構成
した高周波発熱体11と、セラミックのハニカム構造体
(コーディエライト、容積700cc、400cell/inc
h2)にアルミナのコーティング層を施し、前記アルミナ
コーティング層に白金、ロジウムの貴金属触媒を担持し
て構成した浄化手段12を備えた図1に示す排気ガス浄
化装置(高周波消費電力1.5kw)を用い、排気ガス量
約300l/min、排気ガス温度250〜300℃となる
ようにエンジン(排気量2000cc)を運転し、炭化水
素分析計による炭化水素の浄化性能を評価したところ、
高周波給電30秒後で約70%の浄化率が得られた。ま
た、高周波吸収材料18である炭化ケイ素ウィスカーの
代わりに亜鉛、銅、マンガン、コバルト、チタン、ス
ズ、鉄の各酸化物、それらの混合物、それらの金属を1
種以上含む複合酸化物、チタン−ケイ素−炭素−酸素の
化合物を用いた場合もほぼ同等の浄化性能が得られた。
また、浄化手段12において触媒として用いた白金、ロ
ジウムの代わりにパラジウム金属やランタン、コバルト
などのペロブスカイト型複合酸化物や銅、マンガン、コ
バルトの酸化物を用いた場合、50〜70%の浄化率が
得られた。
【0037】担体として図3(b)に示すセラミック繊
維20よりなるハニカム構造体(アルミナ・シリカ繊
維、容積100cc、200cell/inch2),高周波吸収材
料18として炭化ケイ素ウィスカー、無機質バインダ1
9としてアルミナゾルから構成した高周波発熱体11
と、セラミックのハニカム構造体(コーディエライト、
容積700cc、400cell/inch2)にアルミナのコーテ
ィング層を施し、前記アルミナコーティング層にパラジ
ウムの貴金属触媒を担持して構成した浄化手段12を備
えた図1に示す排気ガス浄化装置(高周波消費電力1.
5kw)を用い、排気ガス量約300l/min、排気ガス温
度250〜300℃となるようにエンジン(排気量20
00cc)を運転し、炭化水素分析計による炭化水素の浄
化性能を評価したところ、高周波給電30秒後で約80
%の浄化率が得られた。また、アルミナ・シリカ繊維の
代わりにジルコニア繊維を用いたところ上記と同等の性
能が得られた。
【0038】図3(a)に示すセラミックのハニカム構
造体(コーディエライト、容積100cc、200cell/i
nch2)、高周波吸収材料18として炭化ケイ素ウィスカ
ー、金属微粒子21として白金、無機質バインダ19と
してアルミナゾルから構成した高周波発熱体11と、セ
ラミックのハニカム構造体(コーディエライト、容積7
00cc、400cell/inch2)にアルミナのコーティング
層を施し、前記アルミナコーティング層に白金、ロジウ
ムの貴金属触媒を担持して構成した浄化手段12を備え
た図1に示す排気ガス浄化装置(高周波消費電力1.5
kw)を用い、排気ガス量約300l/min、排気ガス温度
250〜300℃となるようにエンジン(排気量200
0cc)を運転し、炭化水素分析計による炭化水素の浄化
性能を評価したところ、高周波給電30秒後で約80%
の浄化率が得られた。また、金属微粒子の代わりにロジ
ウム、パラジウムの貴金属や鉄−クロム、鉄−ニッケ
ル、鉄−ニッケル−クロム、ニッケル−クロムの合金を
用いたところ上記とほぼ同等の性能が得られた。
【0039】上述のハニカム構造を有するセラミック担
体は図3(a)、(b)のいずれでもよいが、図3
(b)に示したセラミック繊維で構成する方が熱容量を
小さくすることができる(単位体積当りの重量が小さ
い)ので、昇温速度を速くすることができ、より優れた
有害物質の浄化性能が得られる。また担体の温度差を少
なくすることができるので熱歪みが原因で起こるクラッ
クの発生を防止することができる。
【0040】一方、エンジンが始動して1分程度経過す
ると排気ガスのみでも浄化手段12を前記有害物質を分
解できる温度以上に保持することができる。したがって
高周波エネルギによる加熱を用いなくても高い浄化性能
を維持することができるのでこの時期には高周波発振器
14からの高周波の発振は止められる。
【0041】図4は本発明の他の実施例における内燃機
関用排気ガス浄化装置の構成を示す。同図において、図
1と同一部材および同一機能部材は同一番号で示してい
る。図1と異なる点は排気ガス浄化装置に酸素を含む気
体を供給する供給手段を設けた構成としていることであ
る。22は加熱室10に酸素を含む気体を供給する供給
手段であり、この供給手段22は送風機あるいは各種ポ
ンプが適用され、前記気体は導風管23を通り加熱室1
0に導かれる。また導風管23の途中には前記気体の供
給を制御するバルブ24が設けられている。このバルブ
24は本発明の排気ガス浄化装置を使用しない場合はエ
ンジンからの排気ガスが供給手段22へ流入しないよう
に閉鎖されている。25は高周波を放射するアンテナで
あり、導波管15を伝送された高周波はアンテナ25よ
り高周波発熱体11に放射状に給電される。この場合、
加熱室10内部の導波管15は図1のように高周波を給
電する開口部は必要なく、排気ガスが通過でき、かつ高
周波を遮蔽できる多数のパンチング孔が設けられてい
る。また12はハニカム構造を有する金属の成型体から
なる浄化手段であり、金属上に形成している酸化被膜に
白金、パラジウム、ロジウムなどの貴金属からなる触媒
が担持される。浄化手段12としてハニカム構造を有す
る金属の成型体を用いる場合、それ自身が高周波の遮蔽
機能を有するので図1に示す高周波遮蔽手段16を設け
る必要はない。
【0042】排気ガス中の有害物質である炭化水素や一
酸化炭素を分解し、水蒸気と炭酸ガスに変換するために
は酸素が必要となる。しかし、理論空燃比より低い空燃
比でエンジンが運転される場合は排気ガス中の酸素濃度
はきわめて低い状態にあり、上記反応がスムーズに行わ
れない問題が発生する。本発明では上記構成に示すよう
に、供給手段22から加熱室10に前記有害物質の分解
に必要な酸素を含む気体を供給することによって上記反
応をスムーズに起こさせることができる。これによって
排気ガス中に含まれる炭化水素や一酸化炭素などの有害
物質の浄化性能を向上させることができる。
【0043】なお供給手段22から供給する酸素が上記
反応に必要な量よりも多くなると排気ガス中の窒素酸化
物の濃度が増加する傾向になること、高周波発熱体11
や浄化手段12が冷却される。したがって供給する酸素
の量は上記反応をスムーズに起こさせるのに必要な量に
制御することが好ましい。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように本発明の内燃機関用
排気ガス浄化装置によれば、以下の効果が得られる。 (1)本発明における高周波発熱体は高周波の吸収特性
に優れた高周波吸収材料を用いているので短時間で高温
に加熱でき、排気ガス流によってその熱を後方に配置し
た浄化手段に伝達できるため、前記浄化手段を排気ガス
中に含まれる有害物質である炭化水素や一酸化炭素を分
解する温度に短時間で加熱でき、分解反応によって無害
である水蒸気と炭酸ガスに変換することができる。した
がって自動車エンジンの始動時における排気ガス中に含
まれる有害物質を浄化することができ、大気への有害物
質の排出を抑制することができる。また、前記高周波発
熱体に金属微粒子を用いることにより、高周波発熱体全
体を均一に加熱できるのでより高い前記有害物質の浄化
性能が得られる。 (2)本発明の高周波発熱体を構成するセラミック担体
に高い高周波吸収特性を持つ高周波吸収材料を担持する
ことにより、電気ヒータによる加熱方式(金属ハニカム
担体の加熱)で同じ温度上昇を得る場合に比べ、1/3
〜1/2レベルの消費電力とすることが可能であり、高
周波発生源の駆動電源を自動車電源から十分に供給する
ことができる。 (3)また高周波発熱体の担体としてハニカム構造を有
するセラミック繊維を用いることによって、多孔質構造
とすることができるので熱容量が小さくなる。したがっ
て昇温速度が速くなり、排気ガス中の有害物質の浄化性
能を向上させることができるとともに、前記浄化手段の
温度差を少なくすることができるので熱的要因によるク
ラックの発生を防止することができる。 (4)酸素を含む気体を供給する供給手段を設けること
によって排気ガス中の有害物質である炭化水素や一酸化
炭素の酸化分解に必要な酸素を浄化手段に供給すること
ができる。その結果、炭化水素や一酸化炭素の酸化反応
の進行を促進させることができるのでより高い有害物質
の浄化性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における内燃機関用排気ガス
浄化装置の構成図
【図2】本発明の一実施例における高周波発熱体の外観
【図3】本発明の一実施例における高周波発熱体の一部
断面図
【図4】本発明の他の実施例における内燃機関用排気ガ
ス浄化装置の構成図
【図5】従来の排気ガス浄化装置の構成図
【符号の説明】
9 排気管 10 加熱室 11 高周波発熱体 12 浄化手段 13 断熱材 14 高周波発振器 15 導波管 16 マイクロ波遮蔽手段 17 セラミック隔壁 18 高周波吸収材料 19 無機質バインダ 20 セラミック繊維 21 金属微粒子 22 供給手段 23 導風管 24 バルブ 25 アンテナ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関の排気ガスを排出する排気管の途
    中に設けられた加熱室と、前記加熱室に高周波エネルギ
    を発生し供給する高周波発生手段と、前記加熱室に収納
    され、高周波エネルギを吸収して発熱する高周波発熱体
    と、前記加熱室に収納され、内燃機関から排出される排
    気ガスの流れに対し、前記高周波発熱体の後方に配置さ
    れ、前記排気ガスの熱と前記高周波発熱体より発生する
    熱で加熱される排気ガス中に含まれる有害物質を分解す
    る浄化手段とを備えた内燃機関用排気ガス浄化装置。
  2. 【請求項2】内燃機関の排気ガスを排出する排気管の途
    中に設けられた加熱室と、前記加熱室に高周波エネルギ
    を発生し供給する高周波発生手段と、前記加熱室に収納
    され、高周波エネルギを吸収して発熱する高周波発熱体
    と、前記加熱室に収納され、内燃機関から排出される排
    気ガスの流れに対し前記高周波発熱体の後方に配置さ
    れ、前記排気ガスの熱と前記高周波発熱体より発生する
    熱で加熱される排気ガス中に含まれる有害物質を分解す
    る浄化手段と、前記加熱室に酸素を含む気体を供給する
    供給手段とを備えた内燃機関用排気ガス浄化装置。
  3. 【請求項3】高周波発熱体はセラミックからなる担体
    と、前記セラミックからなる担体に担持された高周波を
    吸収する高周波吸収材料と、前記セラミックからなる担
    体に前記高周波吸収材料を接着する無機質バインダとか
    らなる請求項1または2記載の内燃機関用排気ガス浄化
    装置。
  4. 【請求項4】高周波発熱体はセラミックからなる担体
    と、前記セラミックからなる担体に担持された高周波を
    吸収する高周波吸収材料と、前記高周波吸収材料の表面
    及び空隙に分散された金属微粒子と、前記セラミックか
    らなる担体に前記高周波吸収材料と前記金属微粒子を接
    着する無機質バインダとからなる請求項1または2記載
    の内燃機関用排気ガス浄化装置。
  5. 【請求項5】高周波を吸収する高周波吸収材料は半導体
    材料からなる請求項3または4記載の内燃機関用排気ガ
    ス浄化装置。
  6. 【請求項6】高周波を吸収する高周波吸収材料は亜鉛、
    銅、マンガン、コバルト、鉄、スズ、チタン、ケイ素を
    主成分とする酸化物、炭化物及び前記金属を含む複合酸
    化物の少なくとも1種からなる請求項3または4記載の
    内燃機関用排気ガス浄化装置。
  7. 【請求項7】金属部粒子は白金、ロジウム、パラジウム
    の貴金属及び、鉄−クロム、鉄−ニッケル、鉄−ニッケ
    ル−クロム、ニッケル−クロムの合金を主成分とする少
    なくとも1種の金属からなる請求項4記載の内燃機関用
    排気ガス浄化装置。
  8. 【請求項8】有害物質を分解する浄化手段は金属からな
    る担体もしくはセラミックからなるハニカム構造を有す
    る担体と、前記担体に担持された触媒とからなる請求項
    1または2記載の内燃機関用排気ガス浄化装置。
  9. 【請求項9】セラミックからなる担体はセラミック粉末
    によるハニカム構造を有する成型体、またはセラミック
    繊維によるハニカム構造を有する成型体からなる請求項
    3または4または8記載の内燃機関用排気ガス浄化装
    置。
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KR100951693B1 (ko) * 2009-05-20 2010-04-07 신라대학교 산학협력단 고온 발열 및 촉매 활성화와 마이크로파를 이용한 유해가스 정화장치
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