JPH06251951A - 単相単巻変圧器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、ＵＨＶ変圧器の高圧，中圧巻線口出
しと線路端リードとの接続構成の簡略化により現地接続
作業を最少化し、かつ絶縁特性の向上を図った単相単巻
変圧器を提供することにある。 【構成】本発明は、単位変圧器２台をタンク長辺面が互
いに向き合うよう配置した単相単巻変圧器において、高
圧ブッシングと巻線高圧線路端口出しとを結ぶ高圧リー
ドと巻線口出しとの接続を２個の巻線間でほぼ同電位の
左右の巻線面に接近させて行なうと共に高圧リードをほ
ぼ直線的に両方の変圧器タンクから引出し高圧ブッシン
グに接続し、また中圧ブッシングと中圧線路端口出しと
を結ぶ中圧リードは、前記高圧リードを接続する巻線間
とは異なる他の巻線間に並列結線する各巻線の上下口出
しをそれぞれまとめて接続するように構成しているの
で、絶縁上最適な接続構成とリード接続部の電界緩和を
可能とした絶縁信頼性の高いＵＨＶ変圧器を提供するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は単相単巻変圧器に係り、
並列結線する複数個の巻線を有するＵＨＶ変圧器の高
圧，中圧巻線口出しと線路端リードとの接続構成に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】近年、電力需要の増大に伴ない、効率良
く送電を行うため送電電圧を高める傾向にあり、１００
０ｋＶ級のＵＨＶ送電が計画されている。このような計
画では、変圧器に関しても従来の最大電圧５００ｋＶ変
圧器に比べ電圧，容量共に２倍となるため、飛躍的な技
術進歩が必要である。

【０００３】また、このような大容量変圧器を据付ける
変電所の立地条件も従来の５００ｋＶ変電所以上に悪化
することが予想されるので、多くの輸送制約を生ずるこ
ととなる。したがって、従来の５００ｋＶ変圧器のよう
に単相変圧器３台で３相構成することが不可能となり、
単相変圧器をさらに２個の単位変圧器で構成する必要が
ある。

【０００４】図６は従来の単相変圧器の結線図である。
同図に示すように、２個の単位変圧器１Ａ，１Ｂで単相
変圧器を構成しており、各単位変圧器１Ａ，１Ｂは高圧
（直列）巻線３、中圧（分路）巻線４、低圧（三次）巻
線５を有し、各単位変圧器１Ａ，１Ｂの高圧巻線３およ
び中圧巻線４は高圧リード６および中圧リード７により
それぞれ並列接続されて、高圧ブッシング８および中圧
ブッシング９に接続されている。また各単位変圧器１
Ａ，１Ｂにはそれぞれ負荷時電圧調整器２Ａ，２Ｂが付
属している。

【０００５】この負荷時電圧調整器２Ａ，２Ｂは、低圧
巻線５に並列接続された励磁巻線１０、中圧巻線４に直
列接続されたタップ巻線１１およびタップ巻線１１のタ
ップを切換えるタップ切換器１２を有し、各単位変圧器
の並列接続された低圧巻線５および励磁巻線１０はそれ
ぞれ三次ブッシング１３に接続され、タップ切換器１２
は中性点ブッシング１４に接続されている。

【０００６】このように結線された単相変圧器の構成を
図７に示す。各単位変圧器１Ａ，１Ｂは、タンク１５
と、このタンク１５内に配置された鉄心１６と、この鉄
心１６の主脚に巻回された高圧巻線３、中圧巻線４およ
び低圧巻線５から成る巻線１７より構成される。

【０００７】また、各単位変圧器１Ａ，１Ｂの高圧リー
ド６および中圧リード７は各単位変圧器１Ａ，１Ｂが互
いに対向する間に配置した高圧ブッシングダクト１８お
よび中圧ブッシングダクト１９に設けられた高圧ブッシ
ング８および中圧ブッシング９に接続されている。ここ
で、高圧リード６の電位は、１０００／ ３ｋＶ，中圧
リード７の電位は５００／ ３ｋＶとなる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】ところで、ＵＨＶ変圧
器では高圧リード，中圧リード共に従来の最高電圧であ
る５００ｋＶ変圧器の場合に比べ２倍の電圧となる。巻
線の線路端口出し配置は、５００ｋＶ変圧器と同様高圧
口出しが巻線高さの中央部から、中圧口出しが巻線の上
下端からそれぞれ引出されリードで一括に接続される。
一方、輸送巾の制約から巻線は複数個に分割し並列巻回
されるので、ブッシングダクトから離れた巻線の線路端
口出しは隣接コイル表面に組込んで渡ることで、接地面
あるいは他の電位面に対し突出することにより生ずる電
界集中を防いでいる。したがって、従来経験した最高電
圧の２倍となる１０００ｋＶ線路端リードやコイル口出
しと鉄心やタンク等の接地構造との対向をいかに最小と
し、かつ電極を単純形状として絶縁構成の高精度化を図
ることが重要である。

【０００９】一方、中圧５００ｋＶ線路端口出しは、３
個の並列巻線配置では上下６個所から引出され、これを
一括接続してブッシングリードに接続することになり、
巻線下部からの立上り部と高圧線路端との対向面、ある
いは鉄心，タンク等の接地面との対向部分の最小化と、
多数の口出しとリードとの接続部分の絶縁特性とをいか
に高めるかが、５００ｋＶ変圧器と同一の輸送制約の中
で同一の容量でかつ２倍の高電圧となるＵＨＶ変圧器の
信頼性を確保するための最も重要な課題である。

【００１０】さらに、ＵＨＶ変圧器は前述の理由からコ
ンパクト設計を行い、巻線１７やタンク１５の絶縁バー
リヤも多重化しているので、内部リードを接続するタン
ク内スペースがほとんど確保出来ない。したがって、高
中圧リードの絶縁構成の簡略化による作業の容易性が絶
縁品質を確保する上で重要な要素となる。

【００１１】本発明は、上記した従来技術での課題を解
決するためになされたもので、その目的は、ＵＨＶ変圧
器において１０００ｋＶ高圧線路端口出しおよびリード
と他の電極との対向部を最小化することと、リード形状
を直線化して絶縁特性の向上を図り、さらに５００ｋＶ
中圧リードと巻線上下の口出しとの接続部における左右
の巻線口出しの分岐部分の絶縁特性を高めると共に巻線
構成の簡略化により現地接続作業を最少化し、かつ絶縁
特性の向上を図った単相単巻変圧器を提供することにあ
る。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項１は並列結線する複数個の巻線を有
する単位変圧器２台をタンク長辺面が互いに向き合うよ
う配置し、高圧および中圧線路端ブッシングをこの単位
変圧器間に配置した単相単巻変圧器において、高圧ブッ
シングと巻線高圧線路端口出しとを結ぶ高圧リードと巻
線口出しとの接続を２個の巻線間でほぼ同電位の左右の
巻線面に接近させて行なうと共に高圧リードをほぼ直線
的に両方の変圧器タンクから引出し高圧ブッシングに接
続し、また中圧ブッシングと中圧線路端口出しとを結ぶ
中圧リードは、前記高圧リードを接続する巻線間とは異
なる他の巻線間に並列結線する各巻線の上下口出しをそ
れぞれまとめて接続するように構成したことを特徴とす
る。また請求項２は並列結線する各巻線のリード接続部
と直接対向しない高中圧口出しを、隣接する巻線のほぼ
同電位導体部分に添わせた連絡線によりリードとの接続
部まで配線し、さらに中圧リードと交差する部分の高圧
口出し連絡線の巻線間渡りを鉄心脚中心より中圧リード
と反対側の巻線間で行うことを特徴とする。

【００１３】

【作用】本発明の単相単巻変圧器によれば、次の如き作
用を得ることができる。 （１）単位変圧器間を接続する１０００ｋＶ高圧リード
と巻線口出しとの接続を並列結線する左右の巻線間で同
電位面に接近させそのシールド効果により電界集中を防
ぎ絶縁構成の簡略化を可能とし、さらに高圧ブッシング
に接続する高圧リードをほぼ直線化することによりリー
ド多重絶縁バーリヤの曲げによる継ぎ目部分の絶縁特性
低下を無くし高信頼性を確保することが可能となる。

【００１４】（２）５００ｋＶ中圧リードと巻線口出し
との接続を上記と異なった他方の巻線間に上下口出し接
続用の中圧リードを配置、左右の巻線の上下口出しとの
接続部を電界緩和シールドで覆い電界集中を無くすこと
でＴ分岐接続部特有の絶縁上の欠点を除去すると共に巻
線高さ中央部の高圧線路端に対しては中圧リードを直線
化することにより絶縁バーリヤの構成を単純化して絶縁
特性を向上させることが可能となる。

【００１５】（３）５００ｋＶ中圧リードと交差する並
列結線する高圧口出し連絡線の隣接巻線間渡りを鉄心に
対し中圧リード反対側で行うため左右の巻線の同電位面
でシールドされ電界集中が除去されるので、絶縁構成の
簡略化と絶縁特性の向上を図ることが可能となる。

【００１６】（４）高圧，中圧リードと巻線口出しとの
接続を互いに異なった巻線間で行うことにより、口出し
連絡線の巻線間渡り個所と同電位巻線導体部分への組込
み個所を最小化し、その絶縁を容易にできる。一方、タ
ンク磁気シールドやタンク，巻線正面に取付けた多重バ
ーリヤを分断することも無く絶縁特性の低下やタンクの
局部加熱を防止することも可能となる。

【００１７】

【実施例】以下、本発明の実施例を図を参照して説明す
る。図１は本発明の一実施例の平面図であり、図２は図
１のＩ−Ｉ線に沿う正面図、図３は図１のII−II線に沿
う断面図、図４は図１のIII −III 線に沿う断面図であ
る。

【００１８】図１〜図４に示すように、各単位変圧器１
Ａ，１Ｂの巻線１７は輸送限界による制約から３個以上
に分割構成される。巻線１７と磁気シールド２０を取付
けたタンク１５および鉄心１６との対向部にはそれぞれ
絶縁のため多重バーリヤ１６ａ，１７ａ，２０ａが配置
されている。

【００１９】１０００ｋＶ高圧ブッシング８を納める高
圧ブッシングダクト１８は、ブッシング電界シールド８
ａ部分で左右に分岐し、各単位変圧器１Ａ，１Ｂのタン
ク１５に接続するが、その接続ダクト２１を並列接続す
る２個の巻線１７の間のタンク対向部分に配置する。ま
た接続ダクト２１の床上高さは同電位となる高圧巻線３
の線路端口出し３ａの高さ近傍とする。

【００２０】高圧ブッシング８と高圧巻線口出し３ａと
の間を結ぶ高圧リード６はほぼ直線状に配置し、その周
囲を多重バーリヤ６ａで絶縁する。この高圧リード６と
高圧巻線口出し３ａとの接続は左右の巻線表面に接近し
た部分で行う。また高圧リード６をほぼ直線化すること
によりリード周囲の多重バーリヤ６ａ構成も単純な直線
構成が可能となり、曲がり部の継ぎ目等による絶縁上の
欠点を無くすことが出来る。さらに高圧リード６と巻線
口出し３ａとの接続部をタンク１５面より離れた左右の
巻線のほぼ同電位面に接近して配置するので、電界が緩
和され絶縁を大幅に簡略化出来る。

【００２１】また、タンク１５のコイル対向面に取付け
られる磁気シールド２０や巻線１７とタンク１５面間に
配置する多重バーリヤ１７ａ，２０ａは巻線間において
は同電位面が対向するため取付けなくても良い。したが
って、高圧リード６を巻線１７近傍まで延長しても、磁
気シールド２０や多重バーリヤ１７ａ，２０ａを分断す
ることがなく、絶縁性能やタンク１５面の局部加熱防止
性能を損なうこともない。

【００２２】一方、５００ｋＶ中圧ブッシング９を納め
る中圧ブッシングダクト１９は左右に分岐して各単位変
圧器１Ａ，１Ｂのタンク１５カバー面に接続するが、そ
の接続ダクト２２を高圧リード６と巻線口出し３ａとを
接続する巻線間とは異なる他の巻線間に配置する。

【００２３】中圧線路端口出し４ａは各並列巻線の上下
端からそれぞれ引出されるが、これと中圧リード７との
接続を接続ダクト２２を配置した巻線間で行う。左右の
巻線下部口出し４ａは中圧リード７ａに接続して立上
げ、巻線上端部付近で巻線上部口出し４ａあるいは中圧
リード７との接続を行う。さらに巻線上下口出し４ａと
中圧リード７，７ａとの接続部にはそれぞれ電界緩和シ
ールド２３を取付けこれを覆うようにする。

【００２４】５００ｋＶ中圧リード７ａは接地面である
タンク壁１５と左右の巻線の高圧線路端に対向して立上
るが、直線化により多重バーリヤ７ｂは単純な構成とな
り曲がり部の継ぎ目等の絶縁上の欠点を無くすことが出
来る。さらに上下巻線口出し４ａは左右より中圧リード
７，７ａに接続するが、この部分に同電位の電界緩和シ
ールド２３を取付けるので電界の集中が無くなり、口出
し４ａの絶縁が簡略化され、かつＴ分岐特有の絶縁上の
弱点部を無くすことが出来る。高圧，中圧線路端共にリ
ードとの接続部に面しない巻線の口出し３ａ，４ａは隣
接巻線の同電位面に添わせた連絡線３ｂ，４ｂにより結
線するがリードとの接続をそれぞれ巻線間とすることに
より連絡線３ｂ，４ｂの巻線間渡り個所を最小化でき、
その絶縁を簡略化出来る。

【００２５】５００ｋＶ中圧リード７ａと交差する高圧
口出し連絡線３ｂの巻線間渡りを中圧リード７ａと反対
側の巻線間で行うことによりほぼ同電位の左右の巻線面
でシールドされ、中圧リード７ａに対する電界集中が無
くなり渡り部絶縁の簡略化と絶縁特性を向上させること
が出来る。

【００２６】図５は本発明の他の実施例の側断面図であ
り、図１〜図４と同一部分には同一符号を付してその説
明は省略する。同図は５００ｋＶ中圧ブッシングダクト
１９とタンク１５との接続をタンク側壁面で行った場合
である。巻線間配置した中圧リード７ａを高さ途中でＴ
分岐して中圧線路端リード７によりブッシング９と接続
する構成であり、中圧リード７ａの巻線上下端付近で左
右の巻線中圧口出し４ａと接続すると共にこの部分を電
界緩和シールド２３で覆うようにすることにより前記実
施例と同等の効果を得ることが可能である。

【００２７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば従
来の５００ｋＶ変圧器と同一輸送制約の中で電圧，容量
共に２倍となるＵＨＶ変圧器に対し、絶縁特性上重要な
１０００ｋＶ高圧，５００ｋＶ中圧線路端リードと並列
結線する複数個の巻線との接続において、絶縁上最適な
接続構成とリード接続部の電界緩和を図ることにより絶
縁信頼性の高いＵＨＶ変圧器を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の平面図。

【図２】図１のＩ−Ｉ線に沿う正面図。

【図３】図１のII−II線に沿う断面図。

【図４】図１のIII −III 線に沿う断面図。

【図５】本発明の他の実施例の断面図。

【図６】従来の単相変圧器の結線図。

【図７】従来の単相変圧器の平面図。

【符号の説明】

１Ａ，１Ｂ…単位変圧器、２Ａ，２Ｂ…負荷時電圧調整
器、３，４…高圧，中圧巻線、３ａ，４ａ…巻線高圧，
中圧口出し、３ｂ，４ｂ…高圧，中圧口出し連絡線、
６，７，７ａ…高圧，中圧リード、８，９…高圧，中圧
ブッシング、１５…タンク、１６…鉄心、１７…巻線組
立、１８，１９…高圧，中圧ブッシングダクト、２１，
２２…高圧，中圧接続ダクト、２３…電界緩和シール
ド。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 並列結線する複数個の巻線を有する単位
   変圧器２台をタンク長辺面が互いに向き合うよう配置
   し、高圧および中圧線路端ブッシングをこの２台の単位
   変圧器間に配置した単相単巻変圧器において、前記高圧
   ブッシングと高圧線路端口出しとを結ぶ高圧リードと巻
   線口出しとの接続を、２個の巻線間でほぼ同電位の左右
   の巻線面に接近させて行うと共に高圧リードをほぼ直線
   的に両方の変圧器タンクから引出し高圧ブッシングに接
   続し、また中圧ブッシングと中圧線路端口出しとを結ぶ
   中圧リードは、前記高圧リードを接続する巻線間とは異
   なる他の巻線間に並列結線する各巻線の上下口出しをそ
   れぞれまとめて接続するように構成したことを特徴とす
   る単相単巻変圧器。
2. 【請求項２】 並列結線する各巻線のリード接続部と直
   接対向しない高中圧口出しを、隣接する巻線のほぼ同電
   位導体部分に添わせた連絡線によりリードとの接続部ま
   で配線し、さらに中圧リードと交差する部分の高圧口出
   し連絡線の巻線間渡りを鉄心脚中心より中圧リードと反
   対側の巻線間で行うことを特徴とする請求項１記載の単
   相単巻変圧器。