JPH06249063A - ピストン装置 - Google Patents
ピストン装置Info
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- JPH06249063A JPH06249063A JP4115293A JP4115293A JPH06249063A JP H06249063 A JPH06249063 A JP H06249063A JP 4115293 A JP4115293 A JP 4115293A JP 4115293 A JP4115293 A JP 4115293A JP H06249063 A JPH06249063 A JP H06249063A
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- Japan
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- piston
- pin
- pin hole
- buffer layer
- connecting rod
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- Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】ピストンピン3による打音の低減に貢献できる
内燃機関のピストン装置を提供すること。 【構成】緩衝層4を被覆した窒化珪素製のピストンピン
3を用い、ピストン1の第1ピン孔14とコネクチング
ロッド2の第2ピン孔20とを互いに対面させ、その状
態で、ピストンピン3を第1ピン孔14及び第2ピン孔
20に嵌合し、ピストン1をコネクチングロッド2に回
転可能に軸支する。緩衝層4はフッ素樹脂を基材とす
る。緩衝層4の厚みは10μm〜600μm程度であ
る。ピストン1の駆動時には、ピストンピン3は、ピス
トン1の第1ピン孔14の内周面14cやコネクチング
ロッド2の第2ピン孔20の内周面20cに、緩衝層4
を介して当たる。
内燃機関のピストン装置を提供すること。 【構成】緩衝層4を被覆した窒化珪素製のピストンピン
3を用い、ピストン1の第1ピン孔14とコネクチング
ロッド2の第2ピン孔20とを互いに対面させ、その状
態で、ピストンピン3を第1ピン孔14及び第2ピン孔
20に嵌合し、ピストン1をコネクチングロッド2に回
転可能に軸支する。緩衝層4はフッ素樹脂を基材とす
る。緩衝層4の厚みは10μm〜600μm程度であ
る。ピストン1の駆動時には、ピストンピン3は、ピス
トン1の第1ピン孔14の内周面14cやコネクチング
ロッド2の第2ピン孔20の内周面20cに、緩衝層4
を介して当たる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はピストン装置に関する。
本発明は内燃機関に用いられるピストン装置に適用でき
る。
本発明は内燃機関に用いられるピストン装置に適用でき
る。
【0002】
【従来の技術】内燃機関ではピストン装置が使用されて
いる。ピストン装置では、ピストンの第1ピン孔とコネ
クチングロッドの第2ピン孔とにピストンピンが嵌合さ
れ、これによりピストンがコネクチングロッドに回動可
能に軸支されている。このピストン装置では、駆動時の
高温化により、ピストンの第1ピン孔の内周面とピスト
ンピンの外周面との間に微小隙間が形成されることがあ
る。殊に、近年、軽量化等の要請からセラミックス製の
ピストンピンが開発されているが、ピストンピンがセラ
ミックス製で、ピストンが金属製である場合には、熱膨
張係数の差の関係で上記微小隙間が大きくなる。
いる。ピストン装置では、ピストンの第1ピン孔とコネ
クチングロッドの第2ピン孔とにピストンピンが嵌合さ
れ、これによりピストンがコネクチングロッドに回動可
能に軸支されている。このピストン装置では、駆動時の
高温化により、ピストンの第1ピン孔の内周面とピスト
ンピンの外周面との間に微小隙間が形成されることがあ
る。殊に、近年、軽量化等の要請からセラミックス製の
ピストンピンが開発されているが、ピストンピンがセラ
ミックス製で、ピストンが金属製である場合には、熱膨
張係数の差の関係で上記微小隙間が大きくなる。
【0003】ここで、図8はピストンピン100の支持
構造の断面を模式的に示す。図8では微小隙間300が
誇張して示されている。ピストン200を構成するアル
ミ系合金の熱膨張係数はセラミックスよりも大きいの
で、ピストン200の第1ピン孔201の半径方向にお
ける熱膨張量は大きく、セラミックス製のピストンピン
100の半径方向における熱膨張量は小さい。従って、
図8から理解できる様に、ピストンピン100の外周面
とピストン200の第1ピン孔201の内周面との間の
微小隙間300(例えば20〜80μm)が大きくな
る。
構造の断面を模式的に示す。図8では微小隙間300が
誇張して示されている。ピストン200を構成するアル
ミ系合金の熱膨張係数はセラミックスよりも大きいの
で、ピストン200の第1ピン孔201の半径方向にお
ける熱膨張量は大きく、セラミックス製のピストンピン
100の半径方向における熱膨張量は小さい。従って、
図8から理解できる様に、ピストンピン100の外周面
とピストン200の第1ピン孔201の内周面との間の
微小隙間300(例えば20〜80μm)が大きくな
る。
【0004】この様に微小隙間300が形成されている
と、ピストン200の上死点や下死点付近ではピストン
ピン100の負荷方向が変わるため、ピストンピン10
0がピストン200やコネクチングロッドに衝突して打
音が生じる。これにより内燃機関の振動や騒音の増大を
招く。この問題の解決のため、ピストン200とピスト
ンピン100との中間の熱膨張係数をもつ合金鋼からな
る硬質の中間ブッシュをピストンピン100とピストン
200との間に介在させ、昇温時における微小隙間の増
大を抑えるピストン装置が案出されている(実開昭60
−103761号公報)。しかし、これだけでは微小隙
間を完全に避けることはできない。
と、ピストン200の上死点や下死点付近ではピストン
ピン100の負荷方向が変わるため、ピストンピン10
0がピストン200やコネクチングロッドに衝突して打
音が生じる。これにより内燃機関の振動や騒音の増大を
招く。この問題の解決のため、ピストン200とピスト
ンピン100との中間の熱膨張係数をもつ合金鋼からな
る硬質の中間ブッシュをピストンピン100とピストン
200との間に介在させ、昇温時における微小隙間の増
大を抑えるピストン装置が案出されている(実開昭60
−103761号公報)。しかし、これだけでは微小隙
間を完全に避けることはできない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した実情
に鑑みなされたものであり、その目的は、ピストンピン
による打音の低減に貢献できるピストン装置を提供する
にある。
に鑑みなされたものであり、その目的は、ピストンピン
による打音の低減に貢献できるピストン装置を提供する
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係るピストン装
置は、第1ピン孔を備えたピストンと、第1ピン孔に対
面する第2ピン孔を一端部に備え、ピストンとクランク
シャフトとを連結するコネクチングロッドと、ピストン
の第1ピン孔及びコネクチングロッドの第2ピン孔に嵌
合され、嵌合によりコネクチングロッドにピストンを軸
支するセラミックスで形成されたピストンピンとで構成
され、少なくともピストンの第1ピン孔の内周面とピス
トンピンの外周面との間には、樹脂または軟質金属を基
材とする緩衝層が配置されていることを特徴とするもの
である。
置は、第1ピン孔を備えたピストンと、第1ピン孔に対
面する第2ピン孔を一端部に備え、ピストンとクランク
シャフトとを連結するコネクチングロッドと、ピストン
の第1ピン孔及びコネクチングロッドの第2ピン孔に嵌
合され、嵌合によりコネクチングロッドにピストンを軸
支するセラミックスで形成されたピストンピンとで構成
され、少なくともピストンの第1ピン孔の内周面とピス
トンピンの外周面との間には、樹脂または軟質金属を基
材とする緩衝層が配置されていることを特徴とするもの
である。
【0007】ピストン及びコネクチングロッドは、一般
的にアルミ系、鉄系、チタン系等の金属で形成されてい
る。ピストンピンは、窒化珪素、ジルコニア、炭化珪素
等のセラミックスで形成されている。緩衝層は、少なく
ともピストンの第1ピン孔の内周面とピストンピンの外
周面との間に配置されている。従って、緩衝層がピスト
ンピンの外周面のほぼ全域に形成され、コネクチングロ
ッドの第2ピン孔の内周面とピストンピンの外周面との
間に形成されていても良い。
的にアルミ系、鉄系、チタン系等の金属で形成されてい
る。ピストンピンは、窒化珪素、ジルコニア、炭化珪素
等のセラミックスで形成されている。緩衝層は、少なく
ともピストンの第1ピン孔の内周面とピストンピンの外
周面との間に配置されている。従って、緩衝層がピスト
ンピンの外周面のほぼ全域に形成され、コネクチングロ
ッドの第2ピン孔の内周面とピストンピンの外周面との
間に形成されていても良い。
【0008】緩衝層は、樹脂または軟質金属を基材とす
る。緩衝層は、樹脂や軟質金属の単体で形成しても、他
の物質を併用して形成しても良い。例えば、二硫化モリ
ブデン等の固体潤滑剤と樹脂や軟質金属とを併用しても
良い。また、樹脂層を金属薄板で挟持した部材を用いて
も良い。樹脂は、ピストン装置の発生温度、樹脂のガラ
ス転移点(Tg)、融点、結晶性、耐摩耗性等の要因を
考慮して、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂から選択でき
る。樹脂は例えばビニル系、エポキシ樹脂系、フッ素樹
脂系(PTFE、ETFEなど)等を採用できる。軟質
金属は軟質なアルミや銅等を採用できる。
る。緩衝層は、樹脂や軟質金属の単体で形成しても、他
の物質を併用して形成しても良い。例えば、二硫化モリ
ブデン等の固体潤滑剤と樹脂や軟質金属とを併用しても
良い。また、樹脂層を金属薄板で挟持した部材を用いて
も良い。樹脂は、ピストン装置の発生温度、樹脂のガラ
ス転移点(Tg)、融点、結晶性、耐摩耗性等の要因を
考慮して、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂から選択でき
る。樹脂は例えばビニル系、エポキシ樹脂系、フッ素樹
脂系(PTFE、ETFEなど)等を採用できる。軟質
金属は軟質なアルミや銅等を採用できる。
【0009】
【作用】本発明装置では、ピストンピンがピストンの第
1ピン孔に対して半径方向に相対変位する際には、ピス
トンピンは第1ピン孔の内周面に緩衝層を介して当た
り、衝突が緩和される。また本発明装置では、緩衝層の
基材である樹脂や軟質金属は軟らかいため、ピストンピ
ンに作用する負荷が広面積でかかる様になり、ピストン
ピンに生じる応力集中の回避に有利である。
1ピン孔に対して半径方向に相対変位する際には、ピス
トンピンは第1ピン孔の内周面に緩衝層を介して当た
り、衝突が緩和される。また本発明装置では、緩衝層の
基材である樹脂や軟質金属は軟らかいため、ピストンピ
ンに作用する負荷が広面積でかかる様になり、ピストン
ピンに生じる応力集中の回避に有利である。
【0010】
【実施例】本発明に係るピストン装置の一実施例を図1
〜図6を参照して説明する。ピストン1は、ヘッド部1
0と、リング溝11a〜11cを区画するランド部12
a〜12cと、ボス部13とを備えている。ボス部13
には第1ピン孔14が形成されている。ピストン1はア
ルミ系合金(AC8A)で形成されている。
〜図6を参照して説明する。ピストン1は、ヘッド部1
0と、リング溝11a〜11cを区画するランド部12
a〜12cと、ボス部13とを備えている。ボス部13
には第1ピン孔14が形成されている。ピストン1はア
ルミ系合金(AC8A)で形成されている。
【0011】コネクチングロッド2は、第2ピン孔20
を備えた小端部21と、クランクシャフトを嵌合するシ
ャフト孔22を備えた大端部23とで形成されている。
コネクチングロッド2は鉄(SCM440)、またはT
i系合金又はアルミ系合金で形成されている。ピストン
ピン3は窒化珪素セラミックスで形成されており、具体
的にはセラミックス圧粉体を高温領域で焼結したもので
ある。ピストンピン3の外周面3cのほぼ全域には緩衝
層4が被覆されている。
を備えた小端部21と、クランクシャフトを嵌合するシ
ャフト孔22を備えた大端部23とで形成されている。
コネクチングロッド2は鉄(SCM440)、またはT
i系合金又はアルミ系合金で形成されている。ピストン
ピン3は窒化珪素セラミックスで形成されており、具体
的にはセラミックス圧粉体を高温領域で焼結したもので
ある。ピストンピン3の外周面3cのほぼ全域には緩衝
層4が被覆されている。
【0012】組付に際しては、緩衝層4を被覆したセラ
ミックス製のピストンピン3を用い、ピストン1の第1
ピン孔14とコネクチングロッド2の第2ピン孔20と
を互いに対面させ、その状態で、ピストンピン3を第1
ピン孔14及び第2ピン孔20に嵌合し、これによりピ
ストン1をコネクチングロッド2に回転可能に軸支す
る。ピストンピン3の嵌合に際しては、焼きばめ等の手
段を採用することが好ましい。
ミックス製のピストンピン3を用い、ピストン1の第1
ピン孔14とコネクチングロッド2の第2ピン孔20と
を互いに対面させ、その状態で、ピストンピン3を第1
ピン孔14及び第2ピン孔20に嵌合し、これによりピ
ストン1をコネクチングロッド2に回転可能に軸支す
る。ピストンピン3の嵌合に際しては、焼きばめ等の手
段を採用することが好ましい。
【0013】緩衝層4はフッ素樹脂を基材とする。緩衝
層4の厚みは適宜選択するが、試験で確認したところ、
一般的には、緩衝層4の厚みが厚いと、打音低減効果が
大きくなるものの、樹脂の剥がれ等の損傷度が増す傾向
にあり、一方、緩衝層4の厚みが薄いと、剥がれ等の損
傷度が小さくなるが、打音低減効果が減少する傾向にあ
る。従って、緩衝層4の厚みは10μm〜600μm程
度にできる。
層4の厚みは適宜選択するが、試験で確認したところ、
一般的には、緩衝層4の厚みが厚いと、打音低減効果が
大きくなるものの、樹脂の剥がれ等の損傷度が増す傾向
にあり、一方、緩衝層4の厚みが薄いと、剥がれ等の損
傷度が小さくなるが、打音低減効果が減少する傾向にあ
る。従って、緩衝層4の厚みは10μm〜600μm程
度にできる。
【0014】さて、上記したピストン装置では、内燃機
関の駆動の際にピストン1のヘッド部10が燃焼圧を断
続的に受圧し、ピストン1がその上死点と下死点との間
で往復移動するとともに、コネクチングロッド2がピス
トン1に対して揺動する。この様な内燃機関の駆動の際
には、オイル等の影響を受けて一般的にはピストンピン
3は160〜210°C程度、コネクチングロッド2の
小端部21は140〜160°C程度になると考えられ
ている。
関の駆動の際にピストン1のヘッド部10が燃焼圧を断
続的に受圧し、ピストン1がその上死点と下死点との間
で往復移動するとともに、コネクチングロッド2がピス
トン1に対して揺動する。この様な内燃機関の駆動の際
には、オイル等の影響を受けて一般的にはピストンピン
3は160〜210°C程度、コネクチングロッド2の
小端部21は140〜160°C程度になると考えられ
ている。
【0015】上記したピストン装置では、従来と同様
に、ピストン1の上死点や下死点付近ではピストンピン
3の負荷方向が変わる。そのため微小隙間がある場合に
は、ピストンピン3がピストン1の第1ピン孔14やコ
ネクチングロッド2の第2ピン孔20内で半径方向に相
対変位し、ピストンピン3が第1ピン孔14の内周面1
4cや第2ピン孔20の内周面20cに衝撃的に当たり
打音が生じるおそれがある。この点本実施例では、ピス
トンピン3はピストン1の第1ピン孔14の内周面14
cに緩衝層4を介して当たる。同様に、ピストンピン3
は、コネクチングロッド2の第2ピン孔20の内周面2
0cに緩衝層4を介して当たる。そのため緩衝層4によ
り打音の低減を図り得る。
に、ピストン1の上死点や下死点付近ではピストンピン
3の負荷方向が変わる。そのため微小隙間がある場合に
は、ピストンピン3がピストン1の第1ピン孔14やコ
ネクチングロッド2の第2ピン孔20内で半径方向に相
対変位し、ピストンピン3が第1ピン孔14の内周面1
4cや第2ピン孔20の内周面20cに衝撃的に当たり
打音が生じるおそれがある。この点本実施例では、ピス
トンピン3はピストン1の第1ピン孔14の内周面14
cに緩衝層4を介して当たる。同様に、ピストンピン3
は、コネクチングロッド2の第2ピン孔20の内周面2
0cに緩衝層4を介して当たる。そのため緩衝層4によ
り打音の低減を図り得る。
【0016】ここで、図3および図4は図2のA−A線
にそう断面つまり第1ピン孔14の断面の各形態を示
す。図5は図2のB−B線にそう断面つまり第2ピン孔
20の断面を示す。前記した図3は、ピストンピン3の
外周面3cの下部3mが第1ピン孔14の内周面14c
に緩衝層4を介して当たっている状態を模式的に示す。
また、図4は、ピストンピン3の外周面3cの上部3p
が第1ピン孔14の内周面14cに緩衝層4を介して当
たっている状態を模式的に示す。図5は、ピストンピン
3の外周面3cの下部3xがコネクチングロッド2の第
2ピン孔20の内周面20cに緩衝層4を介して当たっ
ている状態を模式的に示す。なお図3〜図5において微
小隙間5は誇張して示されている。
にそう断面つまり第1ピン孔14の断面の各形態を示
す。図5は図2のB−B線にそう断面つまり第2ピン孔
20の断面を示す。前記した図3は、ピストンピン3の
外周面3cの下部3mが第1ピン孔14の内周面14c
に緩衝層4を介して当たっている状態を模式的に示す。
また、図4は、ピストンピン3の外周面3cの上部3p
が第1ピン孔14の内周面14cに緩衝層4を介して当
たっている状態を模式的に示す。図5は、ピストンピン
3の外周面3cの下部3xがコネクチングロッド2の第
2ピン孔20の内周面20cに緩衝層4を介して当たっ
ている状態を模式的に示す。なお図3〜図5において微
小隙間5は誇張して示されている。
【0017】ところで、緩衝層4による緩衝効果を一層
向上させるには、緩衝層4がその厚み方向に強圧されて
圧縮された際に、その一部が他所に退避変形することが
好ましい。この点本実施例では、図4及び図5から理解
できる様に、第1ピン孔14や第2ピン孔20の微小隙
間5において緩衝層4の一部がその周方向に退避変形す
ることが期待できる。また図4及び図5の比較から理解
できる様に、ピストン1の往復駆動時において微小隙間
5が形成される領域は、第1ピン孔14と第2ピン孔2
0とで逆になる傾向がある。即ち、微小隙間5はピスト
ン1とコネクチングロッド2とで上下逆の位置となる傾
向にある。そのため、ピストン1で圧縮された緩衝層4
の一部が軸方向側、即ちコネクチングロッド2側へ退避
変形することも期待できる。よって、緩衝層4の退避変
形が確保され、緩衝効果の発揮に有利である。
向上させるには、緩衝層4がその厚み方向に強圧されて
圧縮された際に、その一部が他所に退避変形することが
好ましい。この点本実施例では、図4及び図5から理解
できる様に、第1ピン孔14や第2ピン孔20の微小隙
間5において緩衝層4の一部がその周方向に退避変形す
ることが期待できる。また図4及び図5の比較から理解
できる様に、ピストン1の往復駆動時において微小隙間
5が形成される領域は、第1ピン孔14と第2ピン孔2
0とで逆になる傾向がある。即ち、微小隙間5はピスト
ン1とコネクチングロッド2とで上下逆の位置となる傾
向にある。そのため、ピストン1で圧縮された緩衝層4
の一部が軸方向側、即ちコネクチングロッド2側へ退避
変形することも期待できる。よって、緩衝層4の退避変
形が確保され、緩衝効果の発揮に有利である。
【0018】加えて本実施例では、緩衝層4の基材であ
る樹脂は熱膨張係数がセラミックスよりも大きいので、
内燃機関の駆動に伴う高温化により緩衝層4は厚みが厚
くなる。そのため打音の要因となる微小隙間5の厚みを
小さくするのに有利であり、この意味でも打音低減に有
利である。ここで、緩衝層4を被覆したセラミックス製
のピストンピン3を装備した内燃機関を用い、内燃機関
を実際に駆動させ、緩衝層4の厚みと打音低減効果との
関係、緩衝層4の厚みと緩衝層4の表面損傷度との関係
を調べる試験した。その結果を図6に示す。図6の横軸
は緩衝層4の厚みを、縦軸は打音低減効果(デシベル)
及び表面損傷度を示す。なお縦軸の絶対値は省略する。
また特性線M1は緩衝層4の厚みと打音低減効果との関
係を示し、特性線M2は緩衝層4の厚みと表面損傷度と
の関係を示す。この試験例によれば、特性線M1とM2
から理解できる様に、打音低減効果及び表面損傷度を考
慮すると、フッ素樹脂系の緩衝層4の厚みは10〜60
0μm程度が適する。
る樹脂は熱膨張係数がセラミックスよりも大きいので、
内燃機関の駆動に伴う高温化により緩衝層4は厚みが厚
くなる。そのため打音の要因となる微小隙間5の厚みを
小さくするのに有利であり、この意味でも打音低減に有
利である。ここで、緩衝層4を被覆したセラミックス製
のピストンピン3を装備した内燃機関を用い、内燃機関
を実際に駆動させ、緩衝層4の厚みと打音低減効果との
関係、緩衝層4の厚みと緩衝層4の表面損傷度との関係
を調べる試験した。その結果を図6に示す。図6の横軸
は緩衝層4の厚みを、縦軸は打音低減効果(デシベル)
及び表面損傷度を示す。なお縦軸の絶対値は省略する。
また特性線M1は緩衝層4の厚みと打音低減効果との関
係を示し、特性線M2は緩衝層4の厚みと表面損傷度と
の関係を示す。この試験例によれば、特性線M1とM2
から理解できる様に、打音低減効果及び表面損傷度を考
慮すると、フッ素樹脂系の緩衝層4の厚みは10〜60
0μm程度が適する。
【0019】また一般的に、セラミックスは強度自体は
確保できるものの、鋼等に比較して応力集中に起因する
損傷に弱いといえる。この点本実施例では、樹脂を基材
とする緩衝層4は、内燃機関の使用温度域では金属に比
較して軟らかく、ピストンピン3に作用する負荷荷重が
広面積でかかる様になる。従って、ピストンピン3に発
生する応力集中の回避に有利であり、セラミックス製の
ピストンピン3の信頼性を向上し得る。
確保できるものの、鋼等に比較して応力集中に起因する
損傷に弱いといえる。この点本実施例では、樹脂を基材
とする緩衝層4は、内燃機関の使用温度域では金属に比
較して軟らかく、ピストンピン3に作用する負荷荷重が
広面積でかかる様になる。従って、ピストンピン3に発
生する応力集中の回避に有利であり、セラミックス製の
ピストンピン3の信頼性を向上し得る。
【0020】またセラミックスは表面粗さを極端に小さ
くしなければ、硬度による相手攻撃性が大きい傾向にあ
る。そのため、ダイヤモンド等の研磨具による表面研磨
等を要し、しかもその研磨時間も長く、価格の高騰化を
招く。この点本実施例では、ピストンピン3の外周面3
cは緩衝層4で被覆されているので、ピストンピン3に
よる相手攻撃性の減少に有利であり、研磨の簡略化等を
期待でき、価格低減に有利である。
くしなければ、硬度による相手攻撃性が大きい傾向にあ
る。そのため、ダイヤモンド等の研磨具による表面研磨
等を要し、しかもその研磨時間も長く、価格の高騰化を
招く。この点本実施例では、ピストンピン3の外周面3
cは緩衝層4で被覆されているので、ピストンピン3に
よる相手攻撃性の減少に有利であり、研磨の簡略化等を
期待でき、価格低減に有利である。
【0021】また本実施例では、緩衝層4を被覆したセ
ラミックス製のピストンピン3を用い、ピストンピン3
を第1ピン孔14及び第2ピン孔20に嵌合することに
しているので、第1ピン孔14の内周面14c及び第2
ピン孔20の内周面20cに緩衝層を被覆する場合に比
較し、緩衝層4の厚みの均一化が容易であり、製造上有
利である。
ラミックス製のピストンピン3を用い、ピストンピン3
を第1ピン孔14及び第2ピン孔20に嵌合することに
しているので、第1ピン孔14の内周面14c及び第2
ピン孔20の内周面20cに緩衝層を被覆する場合に比
較し、緩衝層4の厚みの均一化が容易であり、製造上有
利である。
【0022】(他の例)図7は他の実施例の要部を示
す。この例では、緩衝層6は円筒形状であり、樹脂層6
0と、樹脂層60を挟持した金属薄板61とで形成され
ている。この例においても緩衝層6特に樹脂層60によ
り打音低減効果が得られる。また内燃機関では、コネク
チングロッド2の揺動の際にピストンピン3が第1ピン
孔14及び第2ピン孔20内で周方向に回ることがある
が、この例では、緩衝層4の金属薄板61が第1ピン孔
14の内周面14cや第2ピン孔20の内周面20cと
摺接し、樹脂層60は摺接しないので、樹脂層60の保
護性が高い。
す。この例では、緩衝層6は円筒形状であり、樹脂層6
0と、樹脂層60を挟持した金属薄板61とで形成され
ている。この例においても緩衝層6特に樹脂層60によ
り打音低減効果が得られる。また内燃機関では、コネク
チングロッド2の揺動の際にピストンピン3が第1ピン
孔14及び第2ピン孔20内で周方向に回ることがある
が、この例では、緩衝層4の金属薄板61が第1ピン孔
14の内周面14cや第2ピン孔20の内周面20cと
摺接し、樹脂層60は摺接しないので、樹脂層60の保
護性が高い。
【0023】また、ピストン1の第1ピン孔14の内周
面14c、コネクチングロッド2の第2ピン孔20の内
周面20cに金属やセラミックスの溶射処理を施すこと
もできる。その他、本発明は上記しかつ図面に示した実
施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない
範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
面14c、コネクチングロッド2の第2ピン孔20の内
周面20cに金属やセラミックスの溶射処理を施すこと
もできる。その他、本発明は上記しかつ図面に示した実
施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない
範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【0024】
【発明の効果】本発明装置によれば、緩衝層により、ピ
ストンピンによる打音の低減を図り得る。また本発明装
置によれば、緩衝層により、ピストンピンの外周面に作
用する負荷荷重が広面積でかかる様になり、ピストンピ
ンの応力集中を回避するのに有利であり、セラミックス
製のピストンピンの信頼性向上に有利である。更にピス
トンピンの相手攻撃性も小さくするのにも有利である。
ストンピンによる打音の低減を図り得る。また本発明装
置によれば、緩衝層により、ピストンピンの外周面に作
用する負荷荷重が広面積でかかる様になり、ピストンピ
ンの応力集中を回避するのに有利であり、セラミックス
製のピストンピンの信頼性向上に有利である。更にピス
トンピンの相手攻撃性も小さくするのにも有利である。
【図1】ピストンとコネクチングロッドとをピストンピ
ンを介して連結した状態の断面図である。
ンを介して連結した状態の断面図である。
【図2】図1の要部の拡大図である。
【図3】図2のA−A線にそう断面の一形態を模式的に
示した拡大断面図である。
示した拡大断面図である。
【図4】図2のA−A線にそう断面の他の形態を模式的
に示した拡大断面図である。
に示した拡大断面図である。
【図5】図2のB−B線にそう断面の形態を模式的に示
した拡大断面図である。
した拡大断面図である。
【図6】緩衝層の厚みと打音低減効果及び表面損傷度と
の関係を示すグラフである。
の関係を示すグラフである。
【図7】他の例に係る主要部の拡大断面図である。
【図8】従来例に係るピストンピンの支持構造を示す拡
大断面図である。
大断面図である。
図中、1はピストン、14は第1ピン孔、2はコネクチ
ングロッド、20は第2ピン孔、3はピストンピン、4
は緩衝層、5は微小隙間を示す。
ングロッド、20は第2ピン孔、3はピストンピン、4
は緩衝層、5は微小隙間を示す。
Claims (1)
- 【請求項1】第1ピン孔を備えたピストンと、 該第1ピン孔に対面する第2ピン孔を一端部に備え、該
ピストンとクランクシャフトとを連結するコネクチング
ロッドと、 該ピストンの第1ピン孔及び該コネクチングロッドの第
2ピン孔に嵌合され、嵌合により該コネクチングロッド
に該ピストンを軸支するセラミックスで形成されたピス
トンピンとで構成され、 少なくとも該ピストンの該第1ピン孔の内周面と該ピス
トンピンの外周面との間には、樹脂または軟質金属を基
材とする緩衝層が配置されていることを特徴とするピス
トン装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4115293A JPH06249063A (ja) | 1993-03-02 | 1993-03-02 | ピストン装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4115293A JPH06249063A (ja) | 1993-03-02 | 1993-03-02 | ピストン装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06249063A true JPH06249063A (ja) | 1994-09-06 |
Family
ID=12600453
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4115293A Pending JPH06249063A (ja) | 1993-03-02 | 1993-03-02 | ピストン装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06249063A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009041393A (ja) * | 2007-08-07 | 2009-02-26 | Panasonic Corp | 密閉型電動圧縮機 |
DE102009021128A1 (de) * | 2009-05-13 | 2010-11-18 | Bayerische Motoren Werke Aktiengesellschaft | Hubkolben-Brennkraftmaschine |
-
1993
- 1993-03-02 JP JP4115293A patent/JPH06249063A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009041393A (ja) * | 2007-08-07 | 2009-02-26 | Panasonic Corp | 密閉型電動圧縮機 |
DE102009021128A1 (de) * | 2009-05-13 | 2010-11-18 | Bayerische Motoren Werke Aktiengesellschaft | Hubkolben-Brennkraftmaschine |
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