JPH06245952A - 体液吸収用物品 - Google Patents

体液吸収用物品

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JPH06245952A
JPH06245952A JP5059284A JP5928493A JPH06245952A JP H06245952 A JPH06245952 A JP H06245952A JP 5059284 A JP5059284 A JP 5059284A JP 5928493 A JP5928493 A JP 5928493A JP H06245952 A JPH06245952 A JP H06245952A
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JP
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section
body fluid
staples
fibers
cross
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JP5059284A
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Shoji Matsumoto
昭二 松本
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 複合繊維のステープルから形成した不織布よ
りなる吸収体を備えた体液吸収用物品であって、該不織
布として、2種以上の非相溶性の熱可塑性重合体が繊
維横断面において積層面の80%以上が繊維横断面の長
軸を横切り、平均して3層以上でランダム又は並列に積
層されている円形ないし偏平な横断面を有する複合繊維
よりなり、該複合繊維の横断面の長軸の長さをa、短
軸の長さをbとしたときに、a/b≧1.1の偏平断面複
合繊維の割合がステープルを構成する繊維の総本数の80
%以上で且つフィブリル化度が0〜20%のステープル
より主に形成された、目付50〜500g/m2のものを用いた
おむつ等の体液吸収用物品。 【効果】 本発明の体液吸収用物品は肌触りが柔らかで
あり、洗濯・脱水・乾燥を100回以上繰返した後でも形
態安定性に富み、速乾性で、吸水率が極めて高く且つ吸
水速度が速く、おむつに代表される体液吸収用物品とし
て極めて有効である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は体液吸収用物品に関す
る。詳細には、本発明は体液吸収性に優れ且つ洗濯耐久
性のある体液吸収用物品に係り、本発明の体液吸収用物
品は繰り返し使用するおむつなどとして特に適してい
る。
【0002】
【従来の技術】近年、おむつや生理用品等の分野におい
ては、高吸収性ポリマーや乾式不織布などの新しく開発
された素材が広く用いられ、その吸収能が大幅に改善さ
れている。特に、おむつの分野においては、従来の綿布
等からなるおむつに代えて使い捨ての紙おむつの使用量
が急激に増加している。しかし、紙おむつの使用量の増
大に伴って使用済みの紙おむつの処理が大きな問題にな
っており、公害の防止、資源の節約や地球環境の保護な
どの点からも、使い捨てではなく繰り返して使用できる
おむつが再度見直され注目されるようになっている。
【0003】しかし、吸水性に富み且つ簡便に使用でき
る紙おむつに慣れた現在では、吸水性が紙おむつに比べ
て小さく、しかも洗濯性や速乾性などにおいて劣る従来
の綿布等からなるおむつでは消費者の要求を充分満足さ
せるのが困難であり、使い捨ての紙おむつの使用をやめ
て反復使用可能なおむつを用いることを推進する際に
は、綿布等からなる従来のおむつに比べて、より高い吸
水速度や吸水容量を有し、しかも繰返しの洗濯や乾燥等
にも充分耐えられる形態安定性のよる製品が求められて
いる。特に、おむつの使用量の多い高齢者を多くかかえ
る医療機関においては、使い捨ての紙おむつから洗濯の
きくおむつに切り替えた場合に、使用済みのおむつは業
務用の洗濯・乾燥装置で処理されることが多く、そのた
め業務用洗濯・乾燥装置の苛酷な使用条件下に十分耐え
得るおむつが必要とされる。
【0004】一方、ポリエステル等の合成繊維は綿等の
天然繊維に比べて丈夫であるという利点を有している
が、一般に天然繊維に比べて吸水性が劣っている。かか
る点から合成繊維に吸水性や親水性を付与する方法が色
々提案されており、例えばポリエステル繊維を微細孔を
有する構造とする方法(特開昭57−89642号公
報)、親水性を有する化合物を繊維表面に施して繊維表
面で共重合させる方法(特開昭57−42978号公
報)、繊維中に親水性化合物を練り込む方法などが知ら
れている。しかし、これら従来の方法により得られた親
水性の合成繊維よりなる布帛の場合は、家庭での洗濯で
せいぜい10回程度までその親水性が失われずに保たれ
るに過ぎず、業務上行われるワッシャータイプの苛酷な
洗濯とそれに続く150〜180℃での高温乾燥条件下
では、その親水性が短期間のうちに失われ、しかも布帛
の形態安定性が損なわれて継続使用できず、多数回に亙
って洗濯・乾燥の繰り返しが必要なおむつなどの体液吸
収用物品にそのまま使用することは困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、高い
吸水容量と吸水速度を有し、しかも多数回(最低でも1
00回)の洗濯・乾燥の繰返しに耐えて、その形態安定
性や吸水能を失わずに高品質を維持でき、且つ速乾性で
取り扱い性の良好なおむつなどの体液吸収用物品を提供
することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らが上記の課題
を解決すべく種々検討を重ねた結果、特定の複合繊維の
ステープルから形成した不織布を吸収体として用いる
と、多数回の洗濯・乾燥の繰返しに耐えて、高い吸水性
および吸水速度と形態安定性を長期間に亙って維持でき
る速乾性の体液吸収用物品が得られることを見出して本
発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、複合繊維のステープ
ルから形成した不織布よりなる吸収体を備えた体液吸収
用物品であって、吸収体を構成する不織布として、目付
が50〜500g/m2であって、且つ2種以上の非
相溶性の熱可塑性重合体が、繊維横断面において、積層
面の80%以上が繊維横断面の長軸を横切り、平均して
3層以上でランダムまたは並列に積層されている円形な
いし偏平な横断面を有する複合繊維よりなり、該複合
繊維の横断面の長軸の長さをa、そして短軸の長さをb
としたときに、a/b≧1.1である偏平断面複合繊維
の割合がステープルを構成する繊維の総本数に基づいて
80%以上であり、そしてステープルにおけるフィブ
リル化している繊維の本数割合を示すフィブリル化度が
0〜20%であるステープルより主として形成された不
織布を用いたことを特徴とする体液吸収用物品である。
【0008】本発明でいう「体液吸収用物品」とは、人
間などの動物により排出される体液を吸収するのに用い
られる物品であり、その代表例として排尿や便などを吸
収するためのおむつを挙げることができる。しかしなが
ら、本発明の体液吸収用物品はおむつに限定されず、人
間等の動物より排出された体液を吸収するのに用いる種
々の他の物品も包含され、例えば血液や患部などより滲
出した液などの体液を吸収するためにも用いることがで
きる。
【0009】本発明の体液吸収用物品では、その吸収体
を構成する不織布が、その目付が50〜500g/m2
であって且つ上記〜の特性を備えた複合繊維のステ
ープルから形成されていることが必要であり、かかる点
から、吸収体となる不織布を構成する複合繊維およびそ
のステープルについて説明する。該複合繊維は、繊維の
長さ方向に直角に切断した横断面の形状が、円形ないし
偏平をなしている。ここで、本発明でいう「偏平な横断
面」とは、繊維の横断面形状が真円形から外れてその多
少に拘わらず偏平化されたものを意味し、したがって横
断面繊維における長軸の長さをaとし、短軸の長さをb
とした時に、両者の比a/b>1である繊維のすべてを
偏平な横断面を有する繊維として扱う。
【0010】そこで、不織布の形成に用いるステープル
を構成する複合繊維の横断面の形状を例示すると、図1
に示すような円形、図2に示すような楕円形、図3に示
すような偏平度合いの高い偏平横断面を挙げることがで
きるが、偏平形状は図2および図3のものに限定されな
い。また、繊維表面は、図1〜図3にみるように、凹凸
がなく平滑なものとするのが、ステープルからウエブを
製造する際のカード工程通過性が良好になり好ましい。
本発明では該複合繊維の長軸の長さaと短軸の長さbと
の比:a/bを1〜1.5にするのが、紡糸性、延伸や
捲縮処理等の加工性、分割剥離性の点から好ましい。
【0011】そして、本発明では、非相溶性の熱可塑性
樹脂からなる複合繊維ステープルにおいて、a/b≧
1.1である偏平な横断面を有する繊維の割合が、ステ
ープルを構成する繊維の総本数に基づいて80%である
ことが必要であり(上記要件)、約85〜100%と
するのが好ましい。a/b≧1.1の繊維の割合が80
%よりも少ないと、吸水性と形態安定の高い不織布が得
られなくなる。
【0012】また、上記複合繊維においては、図1〜図
3に例示するように、2種以上の非相溶性の熱可塑性重
合体成分1と2との積層面の80%以上が繊維横断面の
長軸を横切るようにして、平均して3層以上でランダム
または並列に積層されていることが必要である(上記要
件)。なお、繊維が図1に示すような円形の横断面を
有している場合は、a=bとなり長軸と短軸の寸法が同
じになるが、その場合には積層面が、軸aを横切るかま
たは軸bを横切って並列積層するようにする。
【0013】複合繊維における積層面は、2種の非相溶
性の熱可塑性重合体成分1と2との積層面が、図3に示
すように長軸を横切って互いに平行になっていても、ラ
ンダムに入り組みながら並列していてもよい。また、複
合繊維における積層の数は、上記したように平均して3
層以上であることが必要であり、複合繊維の製造のし易
さ、および得られる不織布中の単繊維の繊度等の点から
平均して約4〜10層程度にするのが好ましい。複合繊
維における積層の数が3よりも少ないと、不織布におけ
るフィブリル化が生じにくくなり、吸水性と形態安定性
の高い不織布が得られなくなる。
【0014】上記の複合繊維における2種以上の非相溶
性の熱可塑性重合体の組合せとしては、ウエブを形成し
たときに容易に分割剥離してフィブリル化できる組み合
わせであればいずれも採用することができ、例えばポリ
エステル/ポリオレフィン、ポリエステル/ポリアミ
ド、ポリアミド/ポリオレフィン、ポリエステル/ポリ
アミド/ポリオレフィン、エラストマー/ポリエステ
ル、エラストマー/ポリオレフィン等の組み合わせを挙
げることができる。
【0015】複合繊維の太さは、通常、1フィラメント
当たり約1〜10デニール/程度とするのがよく、また
不織布中で分割フィブリル化により形成される個々の単
繊維のデニールは約0.1〜1.0デニール程度にする
のがよい。フィブリル化により形成された単繊維のデニ
ールが約1.0デニールを超すと、肌触りが固くなり好
ましくない。
【0016】上記の複合繊維は、例えば、2種以上の非
相溶性の熱可塑性重合体を別々に溶融し、それらの溶融
流を1個または2個以上の静止混練素子を通過させて積
層した複合流を形成させた後、円形ないし偏平形状の複
数の紡糸口金ノズルから溶融紡糸することにより製造す
ることができ、そのようにして製造された複合繊維束
は、その横断面における複合状態が一種類のみの繊維
(フィラメント)からなっている場合、またはその横断
面における複合状態が上記した本発明の範囲内で色々異
なっている複数の繊維(フィラメント)からなっている
場合などがある。そして、不織布を構成するステープル
は、例えば上記のようにして製造された複合繊維束を、
必要に応じて更に延伸処理、捲縮処理した後、所定長に
切断することによって得ることができる。
【0017】そして、本発明では、例えば上記のように
して製造されたステープルにおいて、フィブリル化して
いる繊維の本数割合を示すフィブリル化度が不織布に製
造する前の時点(すなわち不織布用ウエブを形成する前
の段階)で0〜20%であることが必要である(上記要
件)。フィブリル化度が20%を超えると、ステープ
ルから不織布用のウエブを製造する前カード工程でフィ
ブリル化過多によりネップが発生したり、カード工程通
過性が不良になる。
【0018】ここで、本発明におけるステープルのフィ
ブリル化度は、次のようにして測定したものをいう。ステープルのフィブリル化度の測定 原綿から50本の繊維をランダムに採取し、これを揃え
てパラフィンで一つに固めた後、ミクロトームで切断
し、その切断面を光学顕微鏡で観察して、切断面におい
て少なくとも1つの積層面が完全に剥離している繊維の
本数を数え、50本に対する割合(%)を計算により求
めてフィブリル化度(%)とした。
【0019】フィブリル化度が0〜20%の上記したス
テープルは種々の方法により得ることができ、その方法
は限定されないが、代表的には以下の(i)および(i
i)の2つの方法によりフィブリル化度が0〜20%の
ステープルを円滑に得ることができる。 (i) 複合繊維を紡糸する際の紡糸ドラフト倍率
(A)と延伸処理する際の延伸ドラフト倍率(B)との
比(A/B)が15〜45になるように、紡糸ドラフト
倍率および延伸ドラフト倍率を設定する方法。 (ii) 延伸した後、機械捲縮を付与する際に、捲縮機
のニップ圧(線圧)を70〜120kgf/cm、好まし
くは80〜110kgf/cmにする方法。
【0020】また、ステープルは捲縮処理を施したもの
でもよく、その場合は捲縮数が8〜18個/25mmの
範囲になるようにするのが望ましい。また、ステープル
の繊維長は通常約30〜70mm程度にしておくのが、
不織布用の不織ウエブを製造する際の工程性、不織布に
おける繊維の絡合状態等の点から好ましい。
【0021】そして、本発明では上記した複合繊維のス
テープルから不織ウエブを形成し、それを絡合して不織
布とし、その不織布を体液吸収用物品における吸収体と
して用いる。その際のウエブの形成およびその絡合によ
る不織布の製造は常法により行うことができる。例え
ば、複合繊維を20%以下の割合でフィブリル化させる
場合は、高圧流体噴射法、ニードルパンチ法、加熱処
理、薬剤処理等を採用できる。
【0022】その際に、吸収体を構成する不織布は上記
した複合繊維のステープルのみから形成されていても、
または上記の複合繊維のステープルと天然繊維、再生繊
維およびその他の合成繊維の1種または2種以上を混合
使用して形成されていてもよい。天然繊維等の親水性繊
維を混合使用する場合は、その混合量が多すぎると不織
布の吸水速度は速くなるが洗濯耐久性が不良となり、特
に形態安定性と吸水容量が低下するので、その混合量を
調節することが必要である。通常、親水性の天然繊維や
その他の合成繊維ステープルの混合割合をウエブを形成
するステープルの全重量に基づいて50重量%以下にす
るのが、得られる不織布の吸水速度、吸水量、耐洗濯
性、形態安定性などの点から好ましく、特に70重量%
以下がより好ましい。
【0023】不織布を上記した〜の要件を備える複
合繊維のステープルのみから形成する場合および該複合
繊維のステープルと他の繊維のステープルを混合使用す
る場合のいかんに拘わらず、本発明では吸収体を構成す
る不織布の目付を50〜500g/m2の範囲にするこ
とが必要であり、150〜350g/m2が好ましい。
不織布の目付が50g/m2よりも小さいと十分な吸水
性が得られなくなると共に形態保持性が失われる。一
方、不織布の目付が500g/m2よりも大きいと厚く
硬質になって着用感が低下し、しかも洗濯性や乾燥性が
劣るようになる。
【0024】本発明の体液吸収用物品は、上記のように
して形成した不織布をそのまま単独で用いて体液吸収用
物品としてもよいが、上記不織布の表裏面の少なくとも
一方、好ましくは表裏両面を、天然繊維、再生繊維また
は親水性の合成繊維などから形成した編地や織地、好ま
しくは編地で覆って縫製して製品とするとその耐洗濯性
や形態保持性が一層向上し好ましい。また、上記の不織
布の人体などに当接しない側の面に非透水性性のフイル
ム、シート、布帛などを配置して本発明の体液吸収用物
品を形成した場合には、人体から排出された体液を吸収
し且つそれを外部に漏らさない製品を得ることができ
る。
【0025】本発明の体液吸収用物品は、従来の布おむ
つにおけるように筒状にしたり、三角形や方形の布巾状
にしたり、場合によってはブルマーやパンツなどの形状
にして用いることができる。また、本発明の体液吸収用
物品を血液や患部から滲出する体液の吸収に用いる場合
は、シーツのような大判の布状にしたり、包帯の形状に
したり、小さ目の当て布状にしたりしてもよく、その形
状やサイズは各々の用途に応じて適宜調節することがで
きる。
【0026】
【発明の効果】上記のようにして得られた本発明の体液
吸収用物品は、肌触りが柔らかであり、洗濯・脱水・乾
燥を100回以上繰り返した後でも形態安定性に富み、
速乾性で、その吸水率が極めて高く、且つ吸水速度は速
く、そのような良好な吸水能は上記100回以上の洗濯
・乾燥を経た後も維持されるので、おむつに代表される
体液吸収用物品として極めて有効である。
【0027】
【実施例】以下に実施例などにより本発明を具体的に説
明するが、本発明はそれにより限定されない。以下の実
施例などにおいて、体液吸収用物品の洗濯前および洗濯
後の吸水速度、吸水量、吸水率の測定、洗濯後の特性を
調べるための洗濯・乾燥操作、形態安定性の評価および
洗濯後のフィブリル化度の測定は次のようにして行っ
た。
【0028】体液吸収用物品の吸水速度 JIS L 1096A法(滴下法)に準拠した方法
で、10×10cmの試験片を5枚採取し、試験片がた
るまないように一辺が8cmの正方形の木製枠に取り付
ける。次に、20±2℃の蒸留水1mlを25±3滴に
分割できるビュレットを用いて、ビュレットの先端が試
験片の表面から1cmの高さになるようにして水滴を1
滴滴下させ、ストップウオッチによる水滴が試験片に達
した時からその水滴の鏡面反射がなくなるまでの時間を
測定し、その平均値を取って吸水速度(秒)とする。
【0029】吸水量および吸水率 10×10cmの試験片を5枚採取し、温度20±2
℃、湿度65±2%の雰囲気下で24時間放置し、その
時の各試験片の重量(W0)を測定する。次いで、試験
片の表面1cmの高さから蒸留水45ml/枚を30秒
間かけて流した後、試験片上に5kgの荷重を30秒間
載せ、その後試験片を30秒間垂直に吊して水切りして
その時の重量(W1)を測定し、下記の数式1および数
式2より吸水量および吸水率を求めて、5枚の試験片の
平均値を採る。
【0030】
【数1】吸水量(g)=W1(g)−W0(g)
【数2】 吸水率(%)={吸水量(g)/W0(g)}×100
【0031】洗濯・乾燥操作 ○洗濯A法:乾燥を下記の方法で行った以外はJIS
L 0217−103法に準拠して行った。すなわち、
試験装置[TOIBA Fully Automatic Washer AW-9100
(A)]の水槽の一番上の水位線まで液温40℃の水を入
れ、これに水1リットルに対して2gの割合で衣料用の
市販の合成洗剤を添加溶解して洗濯液とする。この洗濯
液に浴比が1:30になるように試料片および必要に応
じて負荷布を投入して運転を開始する。5分間運転した
後止めて、試料布および負荷布を脱水機で脱水する。次
に洗濯液を常温の新しい水に替えて同一の浴比で2分間
すすぎ洗いを行う。その後、運転を止めて試料布と負荷
布を脱水し、再び2分間すすぎ洗いを行い脱水する。次
いで、この脱水した試験片を乾燥機[(株)田中化学機械
製:熱風循環乾燥機]中に垂直に吊して、155℃の雰
囲気中で10分間乾燥した後取り出す。
【0032】○洗濯B法:乾燥を下記の方法で行った以
外はJIS L 1042法に準拠して行った。すなわ
ち、試験装置(シリンダー型洗濯機)に1.36kgの
試験片と必要に応じて負荷布を投入した後、試験片およ
び負荷布の全体がかぶるのに充分な量の40℃の水を入
れ、同時にJIS K 3303(粉末洗濯セッケン)
を約0.1%の濃度になるように加えて運転を開始す
る。15分間運転した後止めて、新しい約40℃の水に
替え、5分間運転した後止め、再び新しい約40℃の水
に替えて引き続き10分間運転する。水を排除した後試
験片を取り出して、水分が約55%になるように遠心脱
水機にかけた後試験片を取り出す。次いで、この脱水し
た試験片を乾燥機[(株)田中化学機械製:熱風循環乾燥
機]中に垂直に吊して、155℃の雰囲気中で10分間
乾燥した後取り出す。
【0033】形態安定性の評価 洗濯・乾燥後の試験片の形態を下記の表1に示した評価
基準に基づいて目視により観察して評価する。
【0034】
【表1】 試験片の形態安定性の評価基準 ◎:100回の洗濯・乾燥後も試験片の大きさ、形状および表面状態が洗濯・ 乾燥前と全く変わっておらず、試験片の歪みや毛羽立ちがなく、形態安定 性に極めて優れている。 ○:100回の洗濯・乾燥後も試験片の大きさ、形状および表面状態が洗濯・ 乾燥前とほぼ同じであり、試験片の歪みや毛羽立ちが少なく、形態安定性 に優れている。 △:100回の洗濯・乾燥後に試験片の大きさ、形状および表面状態が洗濯・ 乾燥前と比べてやや変化しており、試験片の歪みや毛羽立ちが多少あり、 形態安定性にやや劣る。 ×:100回の洗濯・乾燥後に試験片の大きさ、形状および表面状態が洗濯・ 乾燥前と比べてかなり変化しており、試験片の歪みや毛羽立ちが多く、 形態安定性に劣る。
【0035】洗濯後のフィブリル化度の測定 上記した洗濯・乾燥操作を100回繰り返した試験片か
ら50本の繊維をランダムに採取し、先に記載したステ
ープルのフィブリル化度の測定法と同様にしてそのフィ
ブリル化度を測定する。
【0036】《実施例 1》試験例イおよび試験例ロ : (1) ポリエチレンテレフタレートを290℃で溶融
し、ナイロン6を250℃で溶融し、両方の溶融流を、
両方の溶融流の入口から紡糸ノズルまでの間に5個の静
止混練素子を配置した口金装置に50:50の重量比で
供給して混練積層流を形成させ、その混練積層流を紡糸
ノズルから引き取り速度950m/分で溶融紡糸して図
1の複合形態(a/b=1)を有する2.2d/fの円
形断面複合繊維束を製造した。 (2) 口金装置の溶融流の入口から紡糸ノズルまでの
間に7個の静止混練素子を配置してあり且つやや偏平な
紡糸口を有する口金装置を使用して、上記(1)と同様
にして溶融複合紡糸を行って、図2の複合形態(a/b
=1.5)を有するポリエチレンテレフタレートとナイ
ロン−6からなる2.0d/fの偏平断面複合繊維束を
製造した。
【0037】(3) 上記の(1)で製造された複合繊
維束を、延伸温度70℃、延伸ドラフト倍率2.85で
延伸処理した後、捲縮ボックスに2.0(kgf/c
m)のニップ圧(線圧)で供給して、機械捲縮を施し、
100℃で10分間熱処理し、次いで繊維長38mmの
ステープルに切断した。 (4) 上記の(2)で製造された複合繊維束を上記
(3)と同様にして延伸、捲縮および熱処理した後切断
して、繊維長38mmのステープルを製造した。
【0038】(5) 上記(3)および(4)で製造し
たステープルを下記の表2に示す割合で混合使用して常
法に従ってカード工程を通過させてウエブを製造し、常
法のニードルパンチによりステープルに絡合を行わせ、
下記の表2に示す目付の不織布を製造した。 (6) なお、上記(5)において、カード工程を通過
させる前の混合ステープルのフィブリル化度を上記した
方法により測定したところ、表2に示すとおりであっ
た。
【0039】試験例ハ:上記(4)で製造したステープ
ルとレーヨンステープル(繊維長51mm、2d/f)
とを70:30の重量比で混合使用して常法に従ってカ
ード工程を通過させてウエブを製造し、常法のニードル
パンチによりステープルに絡合を行わせ、下記の表2に
示す目付の不織布を製造した。なお、この試験例ハにお
いて、カード工程に通過させる前の混合ステープルのフ
ィブリル化度は1%であった。
【0040】試験例ニ:カード工程を通過させる前の混
合ステープルのフィブリル化度を33%にした以外は試
験例イと同様にして不織布の製造を試みたが、フィブリ
ル化度が高過ぎてステープルがカード工程を円滑に通過
せず、ウエブの製造が不能であり、不織布を製造するこ
とができなかった。
【0041】試験例ホ:フィブリル化度が5%である他
は試験例イで用いたのと同様の混合ステープルに更にポ
リエステルステープル(繊維長51mm、2d/f)と
ミクロクリンプ繊維ステープル(イソフタル酸共重合体
複合繊維;繊維長51mm、2d/f)を下記の表2に
示す割合で混合し、常法のニードルパンチによりステー
プルに絡合を行わせ、表2に示す目付の不織布を製造し
た。
【0042】試験例ヘ:試験例イおよび試験例ロで製造
したステープルを使用する代わりに、ポリエチレンテレ
フタレートとイソフタル酸を45モル%共重合したエチ
レンテレフタレート共重合体とを50:50の重量比で
サイドバイサイド型で複合紡糸した断面円形の複合繊維
のステープル(繊維長51mm、単繊維繊度2d)、上
記試験例ハで用いたのと同じレーヨンステープルおよび
試験例ホで用いたのと同じミクロクリンプ繊維ステープ
ルを表2に示す割合で混合使用して常法に従ってカード
工程を通過させてウエブを製造し、常法のニードルパン
チによりステープルに絡合を行わせ、下記の表2に示す
目付の不織布を製造した。
【0043】[試験例イ〜試験例ヘの不織布の性能試
験]上記試験例イ〜ハおよび試験例ホ〜ヘで製造した不
織布(試験例ニは不織布の製造不能)を試験片として、
その洗濯・乾燥試験前の吸水速度、吸水量および吸水率
を上記した方法で測定した。また、それらの不織布を試
験片として用いて、上記した洗濯法Aを50回繰り返
し、更に上記した洗濯法Bを50回繰り返し、合計10
0回の洗濯・乾燥処理を施した試験片の吸水速度、吸水
量、吸水率、形態安定性およびフィブリル化度を上記し
た方法で測定または評価した。その結果を下記の表2に
示す。
【0044】
【表2】
【0045】上記表2の結果から、上記した〜の要
件を備えたステープルのみより形成された試験例イ〜試
験例ロの不織布(体液吸収用物品)は、その洗濯・乾燥
前および100回洗濯・乾燥後のいずれの場合も、その
吸水速度0.30秒以下で極めて短く速やかに吸水し得
ること、また吸水率は850%以上であって多量の水分
を吸収し得ること、更に形態安定性であって、多数回の
洗濯・乾燥を繰り返した後でもその良好な形態が維持さ
れることがわかる。
【0046】また、上記表2の試験例ハの結果から、上
記〜の要件を備えたステープルを他の繊維(レーヨ
ン)と70:30の重量比で混合使用して得られる不織
布の場合は、洗濯・乾燥前の吸水量や吸水率は高いもの
の、100回の洗濯・乾燥後には、その吸水量および吸
水率が低下し維持されていないこと、また洗濯・乾燥後
に形態の変形がやや生ずることがわかる。更に、上記表
2の試験例ホの結果から、上記〜の要件を備えたス
テープルを他の繊維と50:50の重量比で混合使用し
て得られる不織布の場合は、洗濯・乾燥前の吸水量や吸
水率は一応高いものの、100回の洗濯・乾燥後には、
その吸水速度が大幅に低下し、且つ不織布が大幅に変形
していることがわかる。
【0047】そして、上記表2の試験例ニの結果から、
上記の要件を備えておらずフィブリル化度が33%の
ステープルを用いた場合には、吸収体用の不織布の製造
ができないこと、また試験例ヘの結果から、上記〜
の要件を備えたステープルの代わりに別の繊維のステー
プルを用いた場合には、洗濯・乾燥前には高い吸水能を
有しているにも拘わらず、100回の洗濯・乾燥後には
その吸水能がほとんど失われて、吸水性のほとんどない
撥水性の不織布になってしまうことがわかる。
【0048】《実施例 2》実施例1の試験例イの不織
布を50×50cmの方形に裁断し、これを50×50
cmの大きさに予め縫製しておいたトリコット編み綿布
(目付240g/m2)製の袋中に挿入し、全面をキル
ティングしておむつを作製した。同じおむつを20枚作
製した。このおむつを生後半年の乳児に一日使用したと
ころ、高い吸水性があり、尿がおむつカバーから漏れ
ず、つかい勝手が極めて良好であり、しかも従来の綿布
製の同サイズのおむつでは一日当たり最低15枚必要で
あったのが、この実施例2のおむつの場合はその高い吸
水性により一日当たり7枚で済んだ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の体液吸収用物品における吸収体を構成
するステープルの一部として用いることのできる複合繊
維の横断面の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の体液吸収用物品における吸収体を構成
するステープルとして用いる偏平な複合繊維の横断面の
一例を示す模式図である。
【図3】本発明の体液吸収用物品における吸収体を構成
するステープルとして用いる偏平な複合繊維の横断面の
一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 一方の非相溶性の熱可塑性重合体成分 2 他方の非相溶性の熱可塑性重合体成分 a 繊維横断面の長軸の長さ b 繊維横断面の短軸の長さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D04H 1/54 A 7199−3B

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複合繊維のステープルから形成した不織
    布よりなる吸収体を備えた体液吸収用物品であって、吸
    収体を構成する不織布として、目付が50〜500g/
    2であって、且つ2種以上の非相溶性の熱可塑性重
    合体が、繊維横断面において、積層面の80%以上が繊
    維横断面の長軸を横切り、平均して3層以上でランダム
    または並列に積層されている円形ないし偏平な横断面を
    有する複合繊維よりなり、該複合繊維の横断面の長軸
    の長さをa、そして短軸の長さをbとしたときに、a/
    b≧1.1である偏平断面複合繊維の割合がステープル
    を構成する繊維の総本数に基づいて80%以上であり、
    そしてステープルにおけるフィブリル化している繊維
    の本数割合を示すフィブリル化度が0〜20%であるス
    テープルより主として形成された不織布を用いたことを
    特徴とする体液吸収用物品。
  2. 【請求項2】 洗濯を100回繰り返した時に、不織布
    ステープルのフィブリル化度が10%以上であり、吸水
    率が800%以上であり且つ吸水速度が0.5秒以下で
    ある請求項1の体液吸収用物品。
  3. 【請求項3】 体液吸収用物品がおむつである請求項1
    または2の体液吸収用物品。
  4. 【請求項4】 不織布よりなる吸収体の表面および裏面
    の一方または両方が天然繊維または合成繊維製の布帛に
    より覆われている請求項1〜3のいずれか1項の体液吸
    収用物品。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9205006B2 (en) 2013-03-15 2015-12-08 The Procter & Gamble Company Absorbent articles with nonwoven substrates having fibrils
US9504610B2 (en) 2013-03-15 2016-11-29 The Procter & Gamble Company Methods for forming absorbent articles with nonwoven substrates

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