JPH0624227A - 自動車のサスペンション装置 - Google Patents
自動車のサスペンション装置Info
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- JPH0624227A JPH0624227A JP20759592A JP20759592A JPH0624227A JP H0624227 A JPH0624227 A JP H0624227A JP 20759592 A JP20759592 A JP 20759592A JP 20759592 A JP20759592 A JP 20759592A JP H0624227 A JPH0624227 A JP H0624227A
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- Japan
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- vehicle body
- steering angle
- instantaneous center
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- turning
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 アンチダイブ性能と姿勢安定性を格段に向上
させたサスペンションジオメトリを採用した場合にも、
旋回走行時のハイキャスタ化を図り得るようにする。 【構成】 サスペンション機構1は、アッパトレーリン
グリンク6、アッパラテラルリンク7、1対のロアラテ
ラルリンク8,9等からなり、前輪2の車体側面視の瞬
間中心Pcは、アッパトレーリングリンク6の軸線と、
ロアラテラルリンク8,9の車体側連結点を結ぶ線の交
点として決定されるが、このサスペンション機構1で
は、前記瞬間中心Pcを高く設定してアンチダイブ性能
や姿勢安定性を高めてある。旋回バンプ時に旋回外輪の
前記瞬間中心Pcを下降させてハイキャスタ化を図る
為、アッパトレーリングリンク6の車体側連結点Aを、
旋回度合に応じて位置調整する調整手段5を設けた。
させたサスペンションジオメトリを採用した場合にも、
旋回走行時のハイキャスタ化を図り得るようにする。 【構成】 サスペンション機構1は、アッパトレーリン
グリンク6、アッパラテラルリンク7、1対のロアラテ
ラルリンク8,9等からなり、前輪2の車体側面視の瞬
間中心Pcは、アッパトレーリングリンク6の軸線と、
ロアラテラルリンク8,9の車体側連結点を結ぶ線の交
点として決定されるが、このサスペンション機構1で
は、前記瞬間中心Pcを高く設定してアンチダイブ性能
や姿勢安定性を高めてある。旋回バンプ時に旋回外輪の
前記瞬間中心Pcを下降させてハイキャスタ化を図る
為、アッパトレーリングリンク6の車体側連結点Aを、
旋回度合に応じて位置調整する調整手段5を設けた。
Description
【0001】本発明は、自動車のサスペンション装置に
関し、特に自動車の旋回度合に応じて、転舵される車輪
の車体側面視の瞬間中間中心の地上高を減少させる調整
手段を設けたものに関する。
関し、特に自動車の旋回度合に応じて、転舵される車輪
の車体側面視の瞬間中間中心の地上高を減少させる調整
手段を設けたものに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車が旋回すると、車体には遠心力が
作用するが、ロールセンタは一般にこの遠心力が作用す
る車体重心よりも下方に位置するため、前記遠心力は車
体重心とロールセンタとの間の距離をレバー長とするロ
ールモーメントとして車体に作用する。その結果、旋回
外輪を支持するホイールサポートと車体との間に介設さ
れたサスペンション機構は、自動車の旋回外輪側をバン
プ(外側バンプ)させるように、つまり旋回外輪に車体
が接近するように運動する。一方、自動車の加速時や制
動時や旋回時には、車体重心に前後力が作用するが、車
輪の車体側面視の瞬間中心は、一般にこの前後力が作用
する車体重心よりも下方に位置するため、前記前後力は
車体重心と、前記瞬間中心との間の距離に比例するピッ
チングモーメントが作用する。その結果、前記ピッチン
グモーメントにより、加速時にはスクァットが生じ、ま
た制動時にはノーズダイブが生じ、旋回時にはダイアゴ
ナルロールが生じる。
作用するが、ロールセンタは一般にこの遠心力が作用す
る車体重心よりも下方に位置するため、前記遠心力は車
体重心とロールセンタとの間の距離をレバー長とするロ
ールモーメントとして車体に作用する。その結果、旋回
外輪を支持するホイールサポートと車体との間に介設さ
れたサスペンション機構は、自動車の旋回外輪側をバン
プ(外側バンプ)させるように、つまり旋回外輪に車体
が接近するように運動する。一方、自動車の加速時や制
動時や旋回時には、車体重心に前後力が作用するが、車
輪の車体側面視の瞬間中心は、一般にこの前後力が作用
する車体重心よりも下方に位置するため、前記前後力は
車体重心と、前記瞬間中心との間の距離に比例するピッ
チングモーメントが作用する。その結果、前記ピッチン
グモーメントにより、加速時にはスクァットが生じ、ま
た制動時にはノーズダイブが生じ、旋回時にはダイアゴ
ナルロールが生じる。
【0003】即ち、図6に示すように、前輪100のサ
スペンション機構のアッパトレーリングリンク101と
ロアトレーリングリンク102の軸心の交点が、前輪1
00の車体側面視の瞬間中心P1であり、また、後輪1
03のサスペンション機構のアッパトレーリングリンク
104とロアトレーリングリンク105の軸心の交点
が、後輪103の車体側面視の瞬間中心P2であり、前
輪100のサスペンション機構に関して、H1/L1が
アンチダイブ性能を左右し、また、H2/L2がアンチ
スクワァット性能を左右することから、瞬間中心P1の
地上高を大きくすれば、アンチダイブ性能が向上し、ま
た、瞬間中心P2の地上高を大きくすれば、アンチスク
ワァット性能することになる。
スペンション機構のアッパトレーリングリンク101と
ロアトレーリングリンク102の軸心の交点が、前輪1
00の車体側面視の瞬間中心P1であり、また、後輪1
03のサスペンション機構のアッパトレーリングリンク
104とロアトレーリングリンク105の軸心の交点
が、後輪103の車体側面視の瞬間中心P2であり、前
輪100のサスペンション機構に関して、H1/L1が
アンチダイブ性能を左右し、また、H2/L2がアンチ
スクワァット性能を左右することから、瞬間中心P1の
地上高を大きくすれば、アンチダイブ性能が向上し、ま
た、瞬間中心P2の地上高を大きくすれば、アンチスク
ワァット性能することになる。
【0004】ここで、旋回時、旋回外輪の対地キャンバ
を極力零に近づけて旋回性能を高めるようにするため、
前記外側バンプに伴って生じる旋回外輪の対車体キャン
バの変化をネガティブキャンバ方向の変化とするような
サスペンションジオメトリが一般に採用される。一方、
前記外側バンプの度合に応じて、キャスタトレールを増
加させてセルフアライニングトルクの増大を図り、且つ
キャスタ角を増加させて操舵力を増加させ、アンダステ
アが助長されるようなサスペンションジオメトリが一般
に採用される。
を極力零に近づけて旋回性能を高めるようにするため、
前記外側バンプに伴って生じる旋回外輪の対車体キャン
バの変化をネガティブキャンバ方向の変化とするような
サスペンションジオメトリが一般に採用される。一方、
前記外側バンプの度合に応じて、キャスタトレールを増
加させてセルフアライニングトルクの増大を図り、且つ
キャスタ角を増加させて操舵力を増加させ、アンダステ
アが助長されるようなサスペンションジオメトリが一般
に採用される。
【0005】即ち、図7に示すように、前輪100のサ
スペンション機構において、前輪100が鎖線で図示の
ようにバンプすると、キングピン軸の傾きつまりキャス
タ角及びキャスタトレールCtが増加し、同時に、前輪
100の車体側面視の瞬間中心P1は、初期の瞬間中心
P1からバンプ時の瞬間中心P1Aへ下降することにな
る。前記瞬間中心P1の下降により、アンチダイアゴナ
ルロール性能及びアンチダイブ性能が低下することにな
る。以上説明したように、自動車の旋回性能向上の為に
は、ローリング時のキャンバ特性とピッチング時のキャ
スタ特性とを両立させるようなサスペンションジオメト
リに設定することが必要である。
スペンション機構において、前輪100が鎖線で図示の
ようにバンプすると、キングピン軸の傾きつまりキャス
タ角及びキャスタトレールCtが増加し、同時に、前輪
100の車体側面視の瞬間中心P1は、初期の瞬間中心
P1からバンプ時の瞬間中心P1Aへ下降することにな
る。前記瞬間中心P1の下降により、アンチダイアゴナ
ルロール性能及びアンチダイブ性能が低下することにな
る。以上説明したように、自動車の旋回性能向上の為に
は、ローリング時のキャンバ特性とピッチング時のキャ
スタ特性とを両立させるようなサスペンションジオメト
リに設定することが必要である。
【0006】ここで、西独特許公開公報DE37302
12には、サスペンション機構の一部を構成する上下1
対のラテラルリンクのうち、下側のラテラルリンクの車
体側連結点をバンプ時に上昇させる調整機構を備えたサ
スペンション装置が開示されている。このサスペンショ
ン装置によれば、旋回時に発生する外側バンプによって
ラテラルリンクの車体側連結点が上昇するため、旋回時
のロールセンタの低下を抑制し、旋回性能を向上させる
ことが出来る。
12には、サスペンション機構の一部を構成する上下1
対のラテラルリンクのうち、下側のラテラルリンクの車
体側連結点をバンプ時に上昇させる調整機構を備えたサ
スペンション装置が開示されている。このサスペンショ
ン装置によれば、旋回時に発生する外側バンプによって
ラテラルリンクの車体側連結点が上昇するため、旋回時
のロールセンタの低下を抑制し、旋回性能を向上させる
ことが出来る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来のサスペンション
装置では、前述のように、旋回時の外側バンプの度合に
応じて、キャスタトレール及びキャスタ角を増加させる
ように設定される関係上、必然的に、旋回の度合に応じ
て、旋回外輪の車体側面視の瞬間中心が下降してピッチ
ングモーメントが増大し、ダイアゴナルロールが助長さ
れることになる。ここで、アンチダイブ性能と姿勢安定
性を著しく向上させたサスペンションジオメトリに設定
する為に、前輪の車体側面視の瞬間中心を高く設定する
ことが考えられる。しかし、この場合、アンチダイブ性
能等の姿勢安定性は格段に向上するものの、旋回走行時
におけるハイキャスタ化が得られず、旋回走行時にオー
バステア傾向が強くなって旋回走行時の操縦安定性の面
で問題が残る。
装置では、前述のように、旋回時の外側バンプの度合に
応じて、キャスタトレール及びキャスタ角を増加させる
ように設定される関係上、必然的に、旋回の度合に応じ
て、旋回外輪の車体側面視の瞬間中心が下降してピッチ
ングモーメントが増大し、ダイアゴナルロールが助長さ
れることになる。ここで、アンチダイブ性能と姿勢安定
性を著しく向上させたサスペンションジオメトリに設定
する為に、前輪の車体側面視の瞬間中心を高く設定する
ことが考えられる。しかし、この場合、アンチダイブ性
能等の姿勢安定性は格段に向上するものの、旋回走行時
におけるハイキャスタ化が得られず、旋回走行時にオー
バステア傾向が強くなって旋回走行時の操縦安定性の面
で問題が残る。
【0008】前記公報のサスペンション装置は、バンプ
時のロールセンタの上昇を図るようにしたもので、バン
プ時のピッチング抑制機能を実現するものではない。特
に、このサスペンション装置は、旋回によるバンプ時に
も、直進時路面の凸部によるバンプ時にも、同様に一律
に作用するように構成してあるため、路面の凸部による
バンプ時に、急激な対地キャンバの変化によって直進安
定性が損なわれるという欠点がある。本発明の目的は、
アンチダイブ性能や姿勢安定性を格段に向上させたサス
ペンションジオメトリを採用した場合にも、旋回走行時
のハイキャスタ化を図り得るような自動車のサスペンシ
ョン装置を提供することである。
時のロールセンタの上昇を図るようにしたもので、バン
プ時のピッチング抑制機能を実現するものではない。特
に、このサスペンション装置は、旋回によるバンプ時に
も、直進時路面の凸部によるバンプ時にも、同様に一律
に作用するように構成してあるため、路面の凸部による
バンプ時に、急激な対地キャンバの変化によって直進安
定性が損なわれるという欠点がある。本発明の目的は、
アンチダイブ性能や姿勢安定性を格段に向上させたサス
ペンションジオメトリを採用した場合にも、旋回走行時
のハイキャスタ化を図り得るような自動車のサスペンシ
ョン装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る自動車のサ
スペンション装置は、自動車の旋回度合に応じて車輪の
車体側面視の瞬間中心の地上高を減少させるように構成
することにより、前記目的を達成するものである。請求
項1の自動車のサスペンション装置は、前記車輪を支持
するホイールサポートと車体との間に架設されたサスペ
ンション機構と、自動車の旋回度合に応じて、前記車輪
の車体側面視の瞬間中心の地上高を減少させるよう、前
記サスペンション機構を調整する調整手段を備えたもの
である。
スペンション装置は、自動車の旋回度合に応じて車輪の
車体側面視の瞬間中心の地上高を減少させるように構成
することにより、前記目的を達成するものである。請求
項1の自動車のサスペンション装置は、前記車輪を支持
するホイールサポートと車体との間に架設されたサスペ
ンション機構と、自動車の旋回度合に応じて、前記車輪
の車体側面視の瞬間中心の地上高を減少させるよう、前
記サスペンション機構を調整する調整手段を備えたもの
である。
【0010】前記「自動車の旋回度合」を具体的に判断
する手段としては、例えば、舵角、車体に作用する横加
速度、舵角と車速等が採用可能である。尚、前記舵角
は、前記車輪自体の舵角、又はステアリングホイールの
回転角度とすることができる。前記「調整手段」の具体
例としては、トレーリングリンクの車体側連結点または
ホイールサポート側連結点を上下動させるアクチュエー
タと、このアクチュエータを自動車の旋回度合に応じて
作動させる制御手段とからなる、いわば電気的な構成と
してもよいし、ステアリングリンクによる車輪の転舵動
作に連動してトレーリングリンクまたはラテラルリンク
の車体側連結点またはホイールサポート側連結点を上下
動させる調整機構からなる、いわば機械的な構成として
もよい。
する手段としては、例えば、舵角、車体に作用する横加
速度、舵角と車速等が採用可能である。尚、前記舵角
は、前記車輪自体の舵角、又はステアリングホイールの
回転角度とすることができる。前記「調整手段」の具体
例としては、トレーリングリンクの車体側連結点または
ホイールサポート側連結点を上下動させるアクチュエー
タと、このアクチュエータを自動車の旋回度合に応じて
作動させる制御手段とからなる、いわば電気的な構成と
してもよいし、ステアリングリンクによる車輪の転舵動
作に連動してトレーリングリンクまたはラテラルリンク
の車体側連結点またはホイールサポート側連結点を上下
動させる調整機構からなる、いわば機械的な構成として
もよい。
【0011】尚、前記「自動車の旋回度合に応じて、前
記車輪の車体側面視の瞬間中心の地上高を減少させる」
とは、スタティック状態(バンプ零の状態)を比較の基
準として考えた場合の変化を意味する表現である。即
ち、実際には、旋回に伴って車体のロールが発生し、外
舵側の車輪の車体側面視の瞬間中心は低下することとな
るが、スタティック状態での比較(例えば、静止した自
動車のステアリングホイールを回転させたときの比較)
において、「自動車の旋回度合に応じて、前記車輪の車
体側面視の瞬間中心の地上高を減少させる」ことによ
り、実際には、自動車の旋回度合が大きくなるのに応じ
て、少なくとも、外舵側の車輪の車体側面視の瞬間中心
の低下が促進されることとなる。
記車輪の車体側面視の瞬間中心の地上高を減少させる」
とは、スタティック状態(バンプ零の状態)を比較の基
準として考えた場合の変化を意味する表現である。即
ち、実際には、旋回に伴って車体のロールが発生し、外
舵側の車輪の車体側面視の瞬間中心は低下することとな
るが、スタティック状態での比較(例えば、静止した自
動車のステアリングホイールを回転させたときの比較)
において、「自動車の旋回度合に応じて、前記車輪の車
体側面視の瞬間中心の地上高を減少させる」ことによ
り、実際には、自動車の旋回度合が大きくなるのに応じ
て、少なくとも、外舵側の車輪の車体側面視の瞬間中心
の低下が促進されることとなる。
【0012】そして、「前記車輪の車体側面視の瞬間中
心の地上高を減少させる」の具体例としては、小舵角領
域における前記地上高の変化率を、大舵角領域における
前記地上高の変化率よりも小さくする構成(請求項
2)、中舵角領域における前記地上高の変化率を、小舵
角領域における前記瞬間中心の地上高の変化率よりも大
きく且つ大舵角領域における前記瞬間中心の地上高の変
化率よりも小さくする構成(請求項3)、中舵角領域に
おける前記瞬間中心の地上高の変化率を、小舵角領域に
おける前記瞬間中心の地上高の変化率よりも大きく且つ
大舵角領域における前記瞬間中心の地上高の変化率より
も大きくする構成(請求項4)、等を採用することがで
きる。
心の地上高を減少させる」の具体例としては、小舵角領
域における前記地上高の変化率を、大舵角領域における
前記地上高の変化率よりも小さくする構成(請求項
2)、中舵角領域における前記地上高の変化率を、小舵
角領域における前記瞬間中心の地上高の変化率よりも大
きく且つ大舵角領域における前記瞬間中心の地上高の変
化率よりも小さくする構成(請求項3)、中舵角領域に
おける前記瞬間中心の地上高の変化率を、小舵角領域に
おける前記瞬間中心の地上高の変化率よりも大きく且つ
大舵角領域における前記瞬間中心の地上高の変化率より
も大きくする構成(請求項4)、等を採用することがで
きる。
【0013】
【発明の作用および効果】請求項1に記載したように、
調整手段によるサスペンション機構の調整により、自動
車の旋回度合に応じて、前記車輪の車体側面視の瞬間中
心の地上高を減少させるように構成してあるので、サス
ペンションジオメトリの設定において、予め前記瞬間中
心を高く設定してアンチダイブ性能等の姿勢安定性を高
く設定し、旋回走行時には、前記瞬間中心の地上高を減
少させることで、バンプ時のハイキャスタ化を図ること
ができる。それ故、直進走行時のアンチダイブ性能等の
姿勢安定性を高めつつ、旋回走行時のハイキャスタ化に
よる操縦安定性の向上を図ることができる。
調整手段によるサスペンション機構の調整により、自動
車の旋回度合に応じて、前記車輪の車体側面視の瞬間中
心の地上高を減少させるように構成してあるので、サス
ペンションジオメトリの設定において、予め前記瞬間中
心を高く設定してアンチダイブ性能等の姿勢安定性を高
く設定し、旋回走行時には、前記瞬間中心の地上高を減
少させることで、バンプ時のハイキャスタ化を図ること
ができる。それ故、直進走行時のアンチダイブ性能等の
姿勢安定性を高めつつ、旋回走行時のハイキャスタ化に
よる操縦安定性の向上を図ることができる。
【0014】特に、直進走行時には、路面の凸部等でバ
ンプ状態となっても、車輪の車体側面視の瞬間中心が変
動することがないため、キャスタ角やキャスタトレール
の変動がなく、直進走行の安定性を確保することも出来
る。請求項2に関して、小舵角領域における前記瞬間中
心の地上高の変化率を、大舵角領域における前記瞬間中
心の地上高の変化率よりも小さくすることにより、峠道
等における中速ワインディング走行時のハイキャスタ化
を達成できる。請求項3に関して、請求項2と同様に、
ワインディング走行時のハイキャスタ化を達成しつつ、
オーバステア傾向のFR車等において、大舵角領域にお
ける一層のハイキャスタ化及びそれに伴うアンダステア
化により操縦安定性を確保することができる。請求項4
に関して、請求項2と同様に、ワインディング走行時の
ハイキャスタ化を達成しつつ、アンダステア傾向のFF
車等において、大舵角領域における過度のハイキャスタ
化及び過度のアンダステア化を抑制することができる。
ンプ状態となっても、車輪の車体側面視の瞬間中心が変
動することがないため、キャスタ角やキャスタトレール
の変動がなく、直進走行の安定性を確保することも出来
る。請求項2に関して、小舵角領域における前記瞬間中
心の地上高の変化率を、大舵角領域における前記瞬間中
心の地上高の変化率よりも小さくすることにより、峠道
等における中速ワインディング走行時のハイキャスタ化
を達成できる。請求項3に関して、請求項2と同様に、
ワインディング走行時のハイキャスタ化を達成しつつ、
オーバステア傾向のFR車等において、大舵角領域にお
ける一層のハイキャスタ化及びそれに伴うアンダステア
化により操縦安定性を確保することができる。請求項4
に関して、請求項2と同様に、ワインディング走行時の
ハイキャスタ化を達成しつつ、アンダステア傾向のFF
車等において、大舵角領域における過度のハイキャスタ
化及び過度のアンダステア化を抑制することができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
しつつ説明する。図1、図2に示すように、このサスペ
ンション装置は、自動車の左側前輪である車輪2を車体
3に連結するサスペンション装置であり、車輪2を支持
するホイールサポート4と車体3との間に架設されたサ
スペンション機構1と、舵角に応じて車輪2の車体側面
視の瞬間中心Pcを変化させるようサスペンション機構
1を調整する調整手段5とを備えた構成である。尚、右
側前輪部分のサスペンション装置についても同様の構成
が採用されている。
しつつ説明する。図1、図2に示すように、このサスペ
ンション装置は、自動車の左側前輪である車輪2を車体
3に連結するサスペンション装置であり、車輪2を支持
するホイールサポート4と車体3との間に架設されたサ
スペンション機構1と、舵角に応じて車輪2の車体側面
視の瞬間中心Pcを変化させるようサスペンション機構
1を調整する調整手段5とを備えた構成である。尚、右
側前輪部分のサスペンション装置についても同様の構成
が採用されている。
【0016】前記サスペンション機構1は、ホイールサ
ポート4の上端部に連結されて前方および車幅方向内方
へ夫々延びるアッパトレーリングリンク6およびアッパ
ラテラルリンク7と、ホイールサポート4の下端部に前
後所定間隔をおいて連結されて略車幅方向内方へ延びる
1対のロアラテラルリンク8,9等で構成されている。
前記アッパラテラルリンク7とロアラテラルリンク8,
9は直接車体3に連結されているが、アッパトレーリン
グリンク6の前端部は、折曲部において車体3に回転自
在に支持されたL字状のベルクランク10の一端部に連
結されている。
ポート4の上端部に連結されて前方および車幅方向内方
へ夫々延びるアッパトレーリングリンク6およびアッパ
ラテラルリンク7と、ホイールサポート4の下端部に前
後所定間隔をおいて連結されて略車幅方向内方へ延びる
1対のロアラテラルリンク8,9等で構成されている。
前記アッパラテラルリンク7とロアラテラルリンク8,
9は直接車体3に連結されているが、アッパトレーリン
グリンク6の前端部は、折曲部において車体3に回転自
在に支持されたL字状のベルクランク10の一端部に連
結されている。
【0017】前記ホイールサポート4には、タイロッド
13を介してステアリングリンク14が連結され、この
ステアリングリンク14は、運転者のステアリング操作
に応じたパワーシリンダ15の助勢作用により車幅方向
に移動するように構成されている。前記サスペンション
機構1は、自動車の走行中の対地キャンバが零になるよ
うに設定され、また、自動車の走行中に発生する通常の
バンプに対する対車体キャンバ変化を最小限に抑えるよ
うに予めロールセンタ高が設定されており、且つ、直進
走行時のアンチダイブ性能と姿勢安定性を高く設定する
為に、車輪2の車体側面視の瞬間中心Pcの地上高が、
通常の値よりもかなり高い値に設定されている。
13を介してステアリングリンク14が連結され、この
ステアリングリンク14は、運転者のステアリング操作
に応じたパワーシリンダ15の助勢作用により車幅方向
に移動するように構成されている。前記サスペンション
機構1は、自動車の走行中の対地キャンバが零になるよ
うに設定され、また、自動車の走行中に発生する通常の
バンプに対する対車体キャンバ変化を最小限に抑えるよ
うに予めロールセンタ高が設定されており、且つ、直進
走行時のアンチダイブ性能と姿勢安定性を高く設定する
為に、車輪2の車体側面視の瞬間中心Pcの地上高が、
通常の値よりもかなり高い値に設定されている。
【0018】前記調整手段5は、前記ベルクランク10
と、出力軸16がベルクランク10の他端部に連結され
ベルクランク10を介してアッパトレーリングリンク6
の車体側連結点Aを上下動させるように作動するアクチ
ュエータ11(例えば、電動モータ)と、このアクチュ
エータ11を舵角(ここでは、ステアリングホイールの
回転角度)に応じて作動させる制御手段12(例えば、
マイクロコンピュータを備えたコントローラ)等で構成
されている。但し、前記ベルクランク10は、車体側連
結点Aを上方且つ後方へ及びその反対方向へ駆動できる
ように,鉛直面に対して傾けた面内で回動するように配
設されている。
と、出力軸16がベルクランク10の他端部に連結され
ベルクランク10を介してアッパトレーリングリンク6
の車体側連結点Aを上下動させるように作動するアクチ
ュエータ11(例えば、電動モータ)と、このアクチュ
エータ11を舵角(ここでは、ステアリングホイールの
回転角度)に応じて作動させる制御手段12(例えば、
マイクロコンピュータを備えたコントローラ)等で構成
されている。但し、前記ベルクランク10は、車体側連
結点Aを上方且つ後方へ及びその反対方向へ駆動できる
ように,鉛直面に対して傾けた面内で回動するように配
設されている。
【0019】次に、図3に基いて制御手段12によるア
クチュエータ11の作動制御の内容について説明する
が、図中Si(i=1、2、・・)は、各ステップを示
すものである。先ず、S1において、車速センサ(図示
略)からの出力信号として得られる車速Vと、ステアリ
ングシャフトに付設された舵角センサ(図示略)からの
出力信号として得られる舵角ΘH と、この舵角ΘH から
演算される舵角変化率ΔΘH (舵角ΘH の時間微分値)
とが読み込まれる。
クチュエータ11の作動制御の内容について説明する
が、図中Si(i=1、2、・・)は、各ステップを示
すものである。先ず、S1において、車速センサ(図示
略)からの出力信号として得られる車速Vと、ステアリ
ングシャフトに付設された舵角センサ(図示略)からの
出力信号として得られる舵角ΘH と、この舵角ΘH から
演算される舵角変化率ΔΘH (舵角ΘH の時間微分値)
とが読み込まれる。
【0020】次に、S2において、舵角ΘH に応じたア
ッパトレーリングリンク6の車体側連結点Aの上下変位
量設定値Ptoがマップ検索される。このマップは、車
速Vをパラメータとして設定されており、車輪2が旋回
外輪(外舵側の車輪)となる場合と、旋回内輪(内舵側
の車輪)となる場合とで異なるマップが設定されてい
る。即ち、旋回外輪に対しては、舵角ΘH が大きくなる
に従って、また車速Vが大きくなるに従って、上下変位
量設定値Ptoが正の方向に大きくなる(つまり、連結
点Aを上げる)マップが設定されている。また、旋回内
輪に対しては、舵角ΘH が大きくなるに従って、また車
速Vが大きくなるに従って、上下変位量Ptoが負の方
向に大きくなる(つまり、連結点Aを下げる)マップが
設定されている。
ッパトレーリングリンク6の車体側連結点Aの上下変位
量設定値Ptoがマップ検索される。このマップは、車
速Vをパラメータとして設定されており、車輪2が旋回
外輪(外舵側の車輪)となる場合と、旋回内輪(内舵側
の車輪)となる場合とで異なるマップが設定されてい
る。即ち、旋回外輪に対しては、舵角ΘH が大きくなる
に従って、また車速Vが大きくなるに従って、上下変位
量設定値Ptoが正の方向に大きくなる(つまり、連結
点Aを上げる)マップが設定されている。また、旋回内
輪に対しては、舵角ΘH が大きくなるに従って、また車
速Vが大きくなるに従って、上下変位量Ptoが負の方
向に大きくなる(つまり、連結点Aを下げる)マップが
設定されている。
【0021】前記のようなマップを設定するのは、次の
理由による。図1、図2に示すように、前記サスペンシ
ョン機構1において、車輪2の車体側面視の瞬間中心P
cは、アッパトレーリングリンク6の軸線と、1対のロ
アラテラルリンク8,9の車体側連結点を結ぶ線との交
点として決定される。そして、従来技術の欄において図
6に基いて説明したように、直進走行状態の時、車輪2
がバンプしていない時の車輪2の車体側面視の瞬間中心
Pc対して、旋回時外舵側の車輪2(旋回外輪)がバン
プすると、前記瞬間中心Pcが下降する。しかし、この
サスペンション機構1は、そのサスペンションジオメト
リとして、アンチダイブ性能等の姿勢安定性を格段に高
める為に、前記車輪2の車体側面視の瞬間中心Pcを高
く設定してあるため、前記旋回バンプに伴う前記瞬間中
心Pcの下降のみだけでは、バンプ時に十分にハイキャ
スタ化できない。
理由による。図1、図2に示すように、前記サスペンシ
ョン機構1において、車輪2の車体側面視の瞬間中心P
cは、アッパトレーリングリンク6の軸線と、1対のロ
アラテラルリンク8,9の車体側連結点を結ぶ線との交
点として決定される。そして、従来技術の欄において図
6に基いて説明したように、直進走行状態の時、車輪2
がバンプしていない時の車輪2の車体側面視の瞬間中心
Pc対して、旋回時外舵側の車輪2(旋回外輪)がバン
プすると、前記瞬間中心Pcが下降する。しかし、この
サスペンション機構1は、そのサスペンションジオメト
リとして、アンチダイブ性能等の姿勢安定性を格段に高
める為に、前記車輪2の車体側面視の瞬間中心Pcを高
く設定してあるため、前記旋回バンプに伴う前記瞬間中
心Pcの下降のみだけでは、バンプ時に十分にハイキャ
スタ化できない。
【0022】そこで、旋回バンプ時のハイキャスタ化を
促進する為に、図2に示すように、旋回外輪について
は、アッパトレーリングリンク6の車体側連結点Aを上
げ且つ後方へ変位させると、前記瞬間中心Pcを点Pc
aへ下降させる作用が働く。これにより、前記瞬間中心
Pcの下降を促進して、キャスタ角及びキャスタトレー
ルCt(図2参照)を増大させ、旋回走行時の操縦安定
性を確保する。尚、内舵側の車輪2(旋回内輪)につい
ては、旋回外輪と反対の挙動を示すことから、アッパト
レーリングリンク6の車体側連結点Aを下げることによ
り、前記瞬間中心Pcの下降を抑制することになる。
促進する為に、図2に示すように、旋回外輪について
は、アッパトレーリングリンク6の車体側連結点Aを上
げ且つ後方へ変位させると、前記瞬間中心Pcを点Pc
aへ下降させる作用が働く。これにより、前記瞬間中心
Pcの下降を促進して、キャスタ角及びキャスタトレー
ルCt(図2参照)を増大させ、旋回走行時の操縦安定
性を確保する。尚、内舵側の車輪2(旋回内輪)につい
ては、旋回外輪と反対の挙動を示すことから、アッパト
レーリングリンク6の車体側連結点Aを下げることによ
り、前記瞬間中心Pcの下降を抑制することになる。
【0023】但し、従来技術の欄で説明したように、旋
回時に旋回外輪がバンプすると、前記瞬間中心Pcが下
降する方向へ変位するため、前記瞬間中心Pcの下降
は、スタティック状態(静止状態の自動車のステアリン
グホイールを回転させたとき)での比較であり、実際の
旋回走行時には前記調整手段5を介しての前記瞬間中心
Pcの下降により、瞬間中心Pcの下降が促進されるこ
とになる。更に、旋回時に車体3に作用する外力は、舵
角ΘH が大きくなるのに応じて舵角ΘH に比例して大き
くなり、また、車速Vが大きくなるのに応じて車速Vの
二乗に比例して大きくなることから、前記マップは前記
のような特性に設定されている。
回時に旋回外輪がバンプすると、前記瞬間中心Pcが下
降する方向へ変位するため、前記瞬間中心Pcの下降
は、スタティック状態(静止状態の自動車のステアリン
グホイールを回転させたとき)での比較であり、実際の
旋回走行時には前記調整手段5を介しての前記瞬間中心
Pcの下降により、瞬間中心Pcの下降が促進されるこ
とになる。更に、旋回時に車体3に作用する外力は、舵
角ΘH が大きくなるのに応じて舵角ΘH に比例して大き
くなり、また、車速Vが大きくなるのに応じて車速Vの
二乗に比例して大きくなることから、前記マップは前記
のような特性に設定されている。
【0024】前記S2において、上下変位量設定値Pt
oのマップ検索後、S3において舵角変化率ΔΘH が所
定の舵角変化率ΔΘHoよりも大きいか否かの判定がなさ
れ、Noの場合にはS5において前記上下変位量設定値
Ptoを上下変位量信号Ptとし、S6において上下変
位量信号Ptをアクチュエータ11へ出力する。一方、
舵角変化率ΔΘH が所定の舵角変化率ΔΘHoよりも大き
い場合には、そうでない場合に比較して遠心力が大きく
なることに鑑み、S4において、上下変位量設定値Pt
oに所定の係数α(但し、例えば、α=1.1)を乗じ
た値を上下変位量信号Ptとし、S6において上下変位
量信号Ptをアクチュエータ11へ出力する。但し、係
数αは、舵角変化率ΔΘH の関数で決定してもよい。
oのマップ検索後、S3において舵角変化率ΔΘH が所
定の舵角変化率ΔΘHoよりも大きいか否かの判定がなさ
れ、Noの場合にはS5において前記上下変位量設定値
Ptoを上下変位量信号Ptとし、S6において上下変
位量信号Ptをアクチュエータ11へ出力する。一方、
舵角変化率ΔΘH が所定の舵角変化率ΔΘHoよりも大き
い場合には、そうでない場合に比較して遠心力が大きく
なることに鑑み、S4において、上下変位量設定値Pt
oに所定の係数α(但し、例えば、α=1.1)を乗じ
た値を上下変位量信号Ptとし、S6において上下変位
量信号Ptをアクチュエータ11へ出力する。但し、係
数αは、舵角変化率ΔΘH の関数で決定してもよい。
【0025】次に、前記調整手段5により、前記瞬間中
心Pcの地上高を変化させる特性に関して、例えば、あ
る車速Vのときの特性を例として、旋回外輪の車体側面
視の瞬間中心Pcについて説明する。図4に示すよう
に、前記瞬間中心Pcの地上高の変化量(ここでは、減
少量)ΔHの変化率に関して、実線で示すように、小舵
角領域の変化率に比較して、中舵角領域の変化率の方が
大きく設定され、また、中舵角領域の変化率に比較し
て、大舵角領域の変化率の方が大きく設定される。即
ち、小舵角領域においては、直進走行状態に近く高速走
行も有り得ることから、予めサスペンションジオメトリ
に設定されたアンチダイブ性能等の姿勢安定性を損なわ
ないように、調整手段5の機能を抑制し、また、中舵角
領域においては、前記サスペンションジオメトリの特性
を調整手段5を介して修正し、中速のワインディング走
行時等におけるハイキャスタ化などキャスタ特性重視の
観点から前記変化率を大きく設定し、大舵角領域におい
ては一層のハイキャスタ化などキャスタ特性重視の観点
から前記変化率を一層大きく設定する。但し、この大舵
角領域の特性により、FR車等オーバステア傾向の自動
車が旋回走行する時のアンダステア化を促進することが
できる。
心Pcの地上高を変化させる特性に関して、例えば、あ
る車速Vのときの特性を例として、旋回外輪の車体側面
視の瞬間中心Pcについて説明する。図4に示すよう
に、前記瞬間中心Pcの地上高の変化量(ここでは、減
少量)ΔHの変化率に関して、実線で示すように、小舵
角領域の変化率に比較して、中舵角領域の変化率の方が
大きく設定され、また、中舵角領域の変化率に比較し
て、大舵角領域の変化率の方が大きく設定される。即
ち、小舵角領域においては、直進走行状態に近く高速走
行も有り得ることから、予めサスペンションジオメトリ
に設定されたアンチダイブ性能等の姿勢安定性を損なわ
ないように、調整手段5の機能を抑制し、また、中舵角
領域においては、前記サスペンションジオメトリの特性
を調整手段5を介して修正し、中速のワインディング走
行時等におけるハイキャスタ化などキャスタ特性重視の
観点から前記変化率を大きく設定し、大舵角領域におい
ては一層のハイキャスタ化などキャスタ特性重視の観点
から前記変化率を一層大きく設定する。但し、この大舵
角領域の特性により、FR車等オーバステア傾向の自動
車が旋回走行する時のアンダステア化を促進することが
できる。
【0026】但し、FF車等アンダステア傾向の強い自
動車については、大舵角領域の特性を、鎖線で示すよう
に、前記大舵角領域における前記変化量ΔHの変化率
が、中舵角領域における変化率よりも小さくなるように
設定することが望ましい。即ち、大舵角領域における過
度のアンダステア傾向を抑制する為である。
動車については、大舵角領域の特性を、鎖線で示すよう
に、前記大舵角領域における前記変化量ΔHの変化率
が、中舵角領域における変化率よりも小さくなるように
設定することが望ましい。即ち、大舵角領域における過
度のアンダステア傾向を抑制する為である。
【0027】以上説明したように、本実施例によれば、
サスペンションジオメトリとして、前輪の車体側面視の
瞬間中心Pcの地上高を予め大きく設定してアンヂダイ
ブ性能等の姿勢安定性を格段に高めたサスペンション機
構1において、旋回度合が大きくなるのに応じて、旋回
外輪の車体側面視の瞬間中心Pcを下降させるように構
成してあるため、旋回度合が大きくなるときの前記瞬間
中心Pcの下降を促進して、ハイキャスタ化を図り、セ
ルフアライニングトルク及び操舵力の増大を介してアン
ダステア傾向を助長し、旋回走行時の操縦安定性、特に
限界旋回領域での操縦安定性を向上できる。
サスペンションジオメトリとして、前輪の車体側面視の
瞬間中心Pcの地上高を予め大きく設定してアンヂダイ
ブ性能等の姿勢安定性を格段に高めたサスペンション機
構1において、旋回度合が大きくなるのに応じて、旋回
外輪の車体側面視の瞬間中心Pcを下降させるように構
成してあるため、旋回度合が大きくなるときの前記瞬間
中心Pcの下降を促進して、ハイキャスタ化を図り、セ
ルフアライニングトルク及び操舵力の増大を介してアン
ダステア傾向を助長し、旋回走行時の操縦安定性、特に
限界旋回領域での操縦安定性を向上できる。
【0028】しかも、前記調整手段5は、旋回度合に応
じて作動するように構成され、直進走行時の通常のバン
プやリバウンドに対しては作動しないため、直進走行時
に路面の凹凸部等でバンプ、リバウンドする際には全く
影響がなく、直進走行時、特に高速直進走行時の安定性
は、サスペンションジオメトリで設定される所期の特性
に維持されることなる。また、前記調整手段5による調
整を介して旋回走行時のハイキャスタ化を図り得るた
め、前記瞬間中心Pcの地上高を大きく設定したサスペ
ンションジオメトリを採用可能になり、直進走行のアン
チダイブ性能、姿勢安定性を高めたサスペンション機構
1を採用可能である。このように、本実施例によれば、
自動車の直進走行時のアンチダイブ性能等の姿勢安定性
を高めたサスペンション機構1において、旋回時のハイ
キャスタ化を可能とし、自動車の旋回時の操縦安定性を
著しく向上させることが出来る。
じて作動するように構成され、直進走行時の通常のバン
プやリバウンドに対しては作動しないため、直進走行時
に路面の凹凸部等でバンプ、リバウンドする際には全く
影響がなく、直進走行時、特に高速直進走行時の安定性
は、サスペンションジオメトリで設定される所期の特性
に維持されることなる。また、前記調整手段5による調
整を介して旋回走行時のハイキャスタ化を図り得るた
め、前記瞬間中心Pcの地上高を大きく設定したサスペ
ンションジオメトリを採用可能になり、直進走行のアン
チダイブ性能、姿勢安定性を高めたサスペンション機構
1を採用可能である。このように、本実施例によれば、
自動車の直進走行時のアンチダイブ性能等の姿勢安定性
を高めたサスペンション機構1において、旋回時のハイ
キャスタ化を可能とし、自動車の旋回時の操縦安定性を
著しく向上させることが出来る。
【0029】尚、前記調整手段5としては、ベルクラン
ク10に代わる種々の連結部材を介してアッパトレーリ
ングリンク6の前端部を車体3に連結した構成にしても
よい。更に、前記実施例では、舵角ΘH を用いて自動車
の旋回度合を検出するように構成したが、この舵角ΘH
に代えて、または舵角ΘH に加えて、車体に作用する横
加速度、舵角ΘH と車速V、車体のヨーレート(車体の
ヨー方向の回転速度)を用いるようにしてもよい。ま
た、前記調整手段5に代えて、または調整手段5に加え
て、前記ロアラテラルリンク8,9の何れか一方の車体
側連結点を上下方向に調整する調整手段を設けることも
可能である。また、調整手段5のアクチュエータとして
は、モータに限らず油圧シリンダ等を適用することもあ
り得る。
ク10に代わる種々の連結部材を介してアッパトレーリ
ングリンク6の前端部を車体3に連結した構成にしても
よい。更に、前記実施例では、舵角ΘH を用いて自動車
の旋回度合を検出するように構成したが、この舵角ΘH
に代えて、または舵角ΘH に加えて、車体に作用する横
加速度、舵角ΘH と車速V、車体のヨーレート(車体の
ヨー方向の回転速度)を用いるようにしてもよい。ま
た、前記調整手段5に代えて、または調整手段5に加え
て、前記ロアラテラルリンク8,9の何れか一方の車体
側連結点を上下方向に調整する調整手段を設けることも
可能である。また、調整手段5のアクチュエータとして
は、モータに限らず油圧シリンダ等を適用することもあ
り得る。
【0030】次に、本発明の第2実施例について説明す
る。図5に示すように、このサスペンション機構1A
は、車輪2を支持するホイールサポート4の上下両端か
ら夫々前方へ延びるアッパトレーリングリンク6びロア
トレーリングリンク20と、ホイールサポート4の上下
両端から夫々車幅方向内方へ延びて車体3に連結される
アッパラテラルリンク7及びロアラテラルリンク21等
で構成され、ホイールサポート4は、タイロッド13を
介して、パワーシリンダ15で助勢されるステアリング
リンク14に連結されている。前記アッパトレーリング
リンク6の前端部を車体3に連結する車体側連結点A
は、車体3に固定された略縦向き状のアクチュエータ1
1の上下方向に駆動される出力軸に連結され、また、ロ
アトレーリングリンク20の前端部を車体3に連結する
車体側連結点Bは、車体3に固定された略縦向き状のア
クチュエータ11Aの上下方向に駆動される出力軸に連
結されている。但し、アクチュエータ11は、車体側連
結点Aを上方且つ後方へ及び下方且つ前方へ駆動するよ
うに鉛直方向に対して傾けて配設され、また、アクチュ
エータ11Aは、車体側連結点Bを上方且つ前方へ及び
下方且つ後方へ駆動するように鉛直方向に対して傾けて
配設されている。
る。図5に示すように、このサスペンション機構1A
は、車輪2を支持するホイールサポート4の上下両端か
ら夫々前方へ延びるアッパトレーリングリンク6びロア
トレーリングリンク20と、ホイールサポート4の上下
両端から夫々車幅方向内方へ延びて車体3に連結される
アッパラテラルリンク7及びロアラテラルリンク21等
で構成され、ホイールサポート4は、タイロッド13を
介して、パワーシリンダ15で助勢されるステアリング
リンク14に連結されている。前記アッパトレーリング
リンク6の前端部を車体3に連結する車体側連結点A
は、車体3に固定された略縦向き状のアクチュエータ1
1の上下方向に駆動される出力軸に連結され、また、ロ
アトレーリングリンク20の前端部を車体3に連結する
車体側連結点Bは、車体3に固定された略縦向き状のア
クチュエータ11Aの上下方向に駆動される出力軸に連
結されている。但し、アクチュエータ11は、車体側連
結点Aを上方且つ後方へ及び下方且つ前方へ駆動するよ
うに鉛直方向に対して傾けて配設され、また、アクチュ
エータ11Aは、車体側連結点Bを上方且つ前方へ及び
下方且つ後方へ駆動するように鉛直方向に対して傾けて
配設されている。
【0031】前記車体側連結点Aの上下方向位置を調整
する調整手段5Aは、アクチュエータ11とコントロー
ラ12Aとで構成され、この調整手段5Aの調整内容
は、前記実施例と同様で、旋回度合に応じて、旋回外輪
については車体側連結点Aを上げ、旋回内輪については
車体側連結点Aを下げるように調整する。また、前記車
体側連結点Bの上下方向位置を調整する調整手段5B
は、アクチュエータ11Aとコントローラ12Aとで構
成され、この調整手段5Bの調整内容も前記実施例と略
同様で、旋回度合に応じて、旋回外輪については車体側
連結点Bを上げ、旋回内輪については車体側連結点Bを
下げるように調整する。
する調整手段5Aは、アクチュエータ11とコントロー
ラ12Aとで構成され、この調整手段5Aの調整内容
は、前記実施例と同様で、旋回度合に応じて、旋回外輪
については車体側連結点Aを上げ、旋回内輪については
車体側連結点Aを下げるように調整する。また、前記車
体側連結点Bの上下方向位置を調整する調整手段5B
は、アクチュエータ11Aとコントローラ12Aとで構
成され、この調整手段5Bの調整内容も前記実施例と略
同様で、旋回度合に応じて、旋回外輪については車体側
連結点Bを上げ、旋回内輪については車体側連結点Bを
下げるように調整する。
【0032】このように、旋回外輪に関しては両方の車
体側連結点A,Bを、旋回度合に応じて上げ、また、旋
回内輪に関しては両方の車体側連結点A,Bを、旋回度
合に応じて下げることにより、前記車体側面視の瞬間中
心Pcの下降を促進し、同時に車輪から車体側面視の瞬
間中心Pcまでのレバー長(図6のL1に相当する)の
増大を抑制して略一定に維持できる。
体側連結点A,Bを、旋回度合に応じて上げ、また、旋
回内輪に関しては両方の車体側連結点A,Bを、旋回度
合に応じて下げることにより、前記車体側面視の瞬間中
心Pcの下降を促進し、同時に車輪から車体側面視の瞬
間中心Pcまでのレバー長(図6のL1に相当する)の
増大を抑制して略一定に維持できる。
【図1】実施例に係るサスペンション装置のサスペンシ
ョン機構の斜視図である。
ョン機構の斜視図である。
【図2】図1の装置の車輪の車体側面視の瞬間中心の説
明図である。
明図である。
【図3】図1の装置の車体側連結点の高さ位置調節制御
のフローチャートである。
のフローチャートである。
【図4】前記実施例に係る車輪の瞬間中心の変化量の特
性図である。
性図である。
【図5】第2実施例に係るサスペンション装置のサスペ
ンション機構の斜視図である。
ンション機構の斜視図である。
【図6】従来技術に係る車輪の瞬間中心の説明図であ
る。
る。
【図7】図6の前輪の瞬間中心の挙動説明図である。
1,1A サスペンション機構 2 車輪 4 ホイールサポート 5,5A,5B 調整手段 11,11A アクチュエータ 12,12A コントローラ A,B 車体側連結点
Claims (4)
- 【請求項1】 自動車の転舵可能な車輪のサスペンショ
ン装置であって、 前記車輪を支持するホイールサポートと車体との間に架
設されたサスペンション機構と、 自動車の旋回度合に応じて、前記車輪の車体側面視の瞬
間中心の地上高を減少させるよう、前記サスペンション
機構を調整する調整手段を備えたことを特徴とする自動
車のサスペンション装置。 - 【請求項2】 前記調整手段は、小舵角領域における前
記瞬間中心の地上高の変化率が、大舵角領域における前
記瞬間中心の地上高の変化率よりも小さくなるように構
成されたことを特徴とする請求項1に記載の自動車のサ
スペンション装置。 - 【請求項3】 前記調整手段は、中舵角領域における前
記瞬間中心の地上高の変化率が、小舵角領域における前
記瞬間中心の地上高の変化率よりも大きく且つ大舵角領
域における前記瞬間中心の地上高の変化率よりも小さく
なるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載
の自動車のサスペンション装置。 - 【請求項4】 前記調整手段は、中舵角領域における前
記瞬間中心の地上高の変化率が、小舵角領域における前
記瞬間中心の地上高の変化率よりも大きく且つ大舵角領
域における前記瞬間中心の地上高の変化率よりも大きく
なるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載
の自動車のサスペンション装置。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20759592A JPH0624227A (ja) | 1992-07-09 | 1992-07-09 | 自動車のサスペンション装置 |
US08/088,638 US5351985A (en) | 1992-07-09 | 1993-07-09 | Suspension system for automotive vehicles |
DE4323024A DE4323024A1 (de) | 1992-07-09 | 1993-07-09 | Aufhängungssystem für Kraftfahrzeuge |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20759592A JPH0624227A (ja) | 1992-07-09 | 1992-07-09 | 自動車のサスペンション装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0624227A true JPH0624227A (ja) | 1994-02-01 |
Family
ID=16542379
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20759592A Pending JPH0624227A (ja) | 1992-07-09 | 1992-07-09 | 自動車のサスペンション装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0624227A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7114729B2 (en) | 2003-08-05 | 2006-10-03 | Hyundai Motor Company | Vehicle rear suspension |
-
1992
- 1992-07-09 JP JP20759592A patent/JPH0624227A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7114729B2 (en) | 2003-08-05 | 2006-10-03 | Hyundai Motor Company | Vehicle rear suspension |
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