JPH06238273A

JPH06238273A - 膜分離型浄水処理方法

Info

Publication number: JPH06238273A
Application number: JP2772693A
Authority: JP
Inventors: Hidenori Aya; 日出教綾; Osamu Oba; 修大羽; Tatsuji Okada; 達治岡田; Hideki Kitaura; 英樹北浦
Original assignee: Mitsubishi Rayon Engineering Co Ltd
Current assignee: Mitsubishi Rayon Engineering Co Ltd
Priority date: 1993-02-17
Filing date: 1993-02-17
Publication date: 1994-08-30

Abstract

(57)【要約】【目的】簡易浄水場に好適な浄水処理方法を提供す
る。【構成】被処理水を沈澱槽２の中段に位置する取水口
３に導入する工程と、該被処理水をヘッド差により、該
取水口より上方に配設され、中空糸膜が平面状に配設さ
れた中空糸膜モジュール４で濾過し、該沈澱槽２に連通
し該沈澱槽より下方に設置された処理水槽８へ導入する
工程と、該沈澱槽底部に堆積した濁質を該沈澱槽底部に
配設されたスラッジ取出口５より取り出す工程とを有す
る膜分離型浄水処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、上水道用の浄水処理方
法に関し、特に簡易浄水処理施設に好適な膜分離型浄水
処理方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、上水道の浄水処理は、大規模
浄水場又は簡易浄水処理施設において砂濾過等により実
施されてきた。しかし、河川などから供給される被処理
水自体の汚染の進行、よりクリーンな浄化水の要望等に
より、膜分離型浄水処理法が、次世代の浄水処理技術と
して各地で研究が進められている。

【０００３】膜技術を利用する該処理法は、（１）細菌
とウイルスとを完全に除去できる、（２）凝集剤を使用
せずに濁質を完全に除去できる、（３）プランクトンを
除去できる、（４）限外濾過膜と凝集剤とを併用するこ
とにより溶存性物質を除去できる可能性がある、（５）
コンパクト化が可能、（６）自動運転に好適、等の特徴
を有する。従って、施設設備の維持管理が容易であるこ
とが要求される簡易浄水処理施設に好適な処理方法とし
て期待されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、膜分離
技術を浄水処理に適用する場合に、以下のような問題点
があった。即ち、（１）膜ユニット当りの処理量が小さ
いので、規模を大きくしても単価が安くならない（スケ
ールメリットが小さい）、（２）膜の価格が高い、
（３）クロスフロー型を採用する場合、クロスフローを
発生させるための所用動力が大きい、（４）複雑で微細
な配管を必要とするため、維持管理が困難である、
（５）建屋に収容する必要がある、（６）クロスフロー
型で処理すると、原水が濃縮され、処理水質が低下す
る、（７）膜の透過水量は徐々に劣化するので、耐用時
間が短い、（８）膜を定期的に薬品洗浄する必要があ
り、洗浄廃液の処理設備が別途必要になる、（９）膜の
物理的な強度が小さいので、破損しやすい、（１０）多
くの有機膜は疎水性であり、アルコールもしくはホルマ
リン溶液により親水化処理するが、その場合、使用初期
の廃液が問題になる、（１１）多くの有機膜は乾燥する
と、特性が変わり、復元しない、（１２）有機膜は高濃
度の塩素、オゾン等の酸化剤によって劣化する、（１
３）無機質のセラミック膜は高価である、等の問題点が
あった。

【０００５】従って、本発明は、これら膜処理技術にお
ける問題点を改善し、小規模浄水場のみならず、大規模
な施設にも適用できる浄水処理方法を提供することにあ
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は、（１）被処理水を沈澱槽の中段に位置する
取水口に導入する工程と、（２）該被処理水をヘッド差
により、該取水口より上方に配設され、中空糸膜が平面
状に配設された中空糸膜モジュールで濾過し、該沈澱槽
に連通し該沈澱槽より下方に設置された処理水槽へ導入
する工程と、（３）該沈澱槽底部に堆積した濁質を該沈
澱槽底部に配設されたスラッジ取出口より取り出す工程
とを有する膜分離型浄水処理方法である。

【０００７】又、本発明は、処理水槽内の浄化水の１部
を沈澱槽に逆流させつつ、中空糸膜モジュールに下方か
ら気泡を当てて濁質を中空糸膜表面より剥離させ、沈澱
槽底部へ沈澱させる機能回復処理を間欠的に実施する工
程を有する膜分離型浄水方法である。

【０００８】

【作用】図１は、本発明の浄水処理方法の１態様を説明
する概念図である。以下、図１を参照しながら、本発明
の浄水処理方法を説明する。

【０００９】原水槽１に溜められた被処理水は、該原水
槽内のポンプにより汲み上げられ、原水導入管を経て、
沈澱槽２の中段に位置する取水口３より沈澱槽２内に導
入される。この工程中に、次亜塩素酸等を添加するが、
使用量はスライムの発生を防止する必要最小限の量にと
どめる。

【００１０】沈澱槽２に導入された被処理水は、沈澱槽
２内の上部に位置する中空糸膜モジュール４により濾過
され、浄化水は処理水槽８に導入される。中空糸膜モジ
ュール４を被処理水の取水口３よりも上方に設置するこ
とによって、被処理水中に含まれる重量の大きい粗粒子
等は、中空糸膜モジュール４に濾過されるまでもなく沈
澱槽底部に沈澱するので、中空糸膜にかかる負荷を低減
することができる。

【００１１】中空糸膜モジュールによる濾過方法は、沈
澱槽２と処理水槽８とのヘッド差による吸引濾過とす
る。真空ライン７により減圧した液流路を液体で充満す
ると、濾過が継続されるので、吸引ポンプによる吸引濾
過に比べて動力費を削減できる。ヘッド差が大きすぎる
と、中空糸膜の細孔に濁質が侵入して不可逆的な目詰ま
りを起こしやすい。従って、ヘッド差は３〜５ｍ（差圧
０．３〜０．５ kg／cm ²）とすることが好ましく、こ
の範囲においては、濁質の侵入による目詰まりを軽減す
ることができる。

【００１２】図２は、図１で示される沈澱槽内の中空糸
膜モジュールの拡大模式図であり、図３は図２の部分拡
大図であるが、矩形の開口部を有する構造材１１内に、
中空糸膜１３が固定部材１２により、平面状に配設され
ている。図中、１４は処理水出口、１５は配管である。

【００１３】構造材１１の材質としては機械的強度およ
び耐久性を有するものであればよく、例えばポリカーボ
ネート、ポリスルフォン、ポリプロピレン、アクリル樹
脂、ＡＢＳ樹脂、変性ＰＰＥ樹脂、塩化ビニル樹脂等が
例示される。

【００１４】構造材１１の開口部に固定された固定部材
１２は、多数の中空糸膜１３の両端をそれぞれ構造材の
内部に向けその開口状態を保ちつつ固定すると共に、且
つこの中空糸膜を濾過膜として機能させるために、被処
理水と処理水とを液密に仕切る部材として機能する。固
定部材１２は、通常エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル
樹脂、ポリウレタン等の液状樹脂を硬化させて形成され
る。

【００１５】中空糸膜１３は、前記矩形の開口部を有す
る構造材内に、モジュール内の中空糸膜が全体として少
なくとも１つの平面を形成するような態様でその一端が
固定される。図２及び図３の態様においては、中空糸膜
は２つの対向する構造材間にほぼ直線状に配設され、両
端をポッティングされているが、どちらか一方の端部の
みが構造材内にポッティングされた態様でもよい。一方
の端部のみがポッティングされた中空糸膜モジュールを
使用する場合には、ポッティングされていない端部を支
持棒等の支持手段により支持することが、取扱いが容易
になり好ましい。又、両端が固定される場合には、適宜
緩みを持たせて配設されていても良い。更に、中空糸膜
を例えば緯糸として用いて編地としたものを１枚又は編
地を数枚積層した積層体を使用するのが好適である。中
空糸膜１３としては、種々のものが使用でき、例えばセ
ルロース系、ポリオレフィン系、ポリビニルアルコール
系、ＰＭＭＡ系、ポリスルホン系等の適宜親水化処理さ
れた各種材料が使用できる。中でも、ポリエチレンが強
度、耐候性の点から好ましい。親水化中空糸膜を使用す
ることにより、従来の疎水性膜を使用する際の初期排水
の問題及び膜の乾燥を解決することができる。なお、濾
過膜として使用可能なものであれば、孔径、空孔率、膜
厚、外径等には特に制限はない。

【００１６】本発明においては、図２に示されるように
中空糸膜１３の形成する複数の面を互いに平行に設置
し、且つ中空糸膜の形成する面を、濁質の沈降方向に対
して平行に設置する態様が好ましい。この態様において
は、沈澱槽内の空間に中空糸膜を多数設置することが可
能であり、又、沈降する濁質が中空糸膜に再付着するの
を防ぐことができる。勿論、本発明においては、中空糸
膜が平面状に配設されていれば、沈澱槽内への設置態様
は上記例に限定されるものではない。

【００１７】しかしながら、連続して濾過を実施する場
合、濁質の中空糸膜面への付着、堆積が進行し、浄水処
理能力が低下するので、本発明においては、定期的にあ
るいは処理速度が所定速度より小さくなったら、中空糸
膜の機能回復処理を行う。

【００１８】機能回復処理は、処理水槽８内に溜められ
た浄化水の１部を逆洗ポンプ９により沈澱槽２へ連続的
又は間欠的に逆流させ、中空糸膜モジュール４の表面又
は細孔に付着又は堆積した濁質を剥離沈降させるもので
ある。このとき、エアコンプレッサー６により、中空糸
膜モジュール４へ下方から気泡を当てることにより洗浄
効果は向上する。被処理水導入工程、濾過工程及び洗
浄工程により、沈澱槽底部に堆積した濁質は、スラッジ
取出口５から取り出す。

【００１９】尚、浄化水に異臭味がある場合は、膜分離
処理後に従来通り粉末活性炭処理等によって対処する。
常時異臭味がある場合には、粒状活性炭吸着を付加する
が、濁質が完全に除去されているので処理は容易であ
る。既存施設の改造の場合には、不要になった濾過池を
利用して粒状活性炭濾過池に改造することができる。

【００２０】

【発明の効果】本発明の浄水処理方法は、従来膜処理技
術における問題点を解消すると共に次のような効果を奏
する。（１）被処理水導入口を沈澱槽中段に設けることによっ
て、重量の大きい粗粒子は、そのまま沈澱槽底部へ沈澱
するので、中空糸膜への負担が軽減される。（２）ヘッド差により濾過を実施するので、中空糸膜の
早期の目詰まりを防止して、動力費も削減できる。（３）濁質を沈澱槽底部に沈澱させ、沈澱槽底部より取
り出せるので、被処理水を循環させるクロスフローシス
テムと異なり、沈澱槽内に導入した被処理水を全て濾過
できる。（４）中空糸膜を平面状に配設することによって、全量
濾過及び機能回復処理が効率よく実施できると共に、機
能回復処理の頻度を低下させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の浄水処理方法の１態様を説明する概念
図である。

【図２】本発明に好適な中空糸膜モジュールの１態様を
示す模式図である。

【図３】図２で示される中空糸膜モジュールの部分拡大
図である。

【符号の説明】

１原水槽２沈澱槽３取水口４中空糸膜モジュール５スラッジ取出口６エアーコンプレッサー７真空ライン８処理水槽９逆洗ポンプ１１構造材１２固定部材１３中空糸膜１４処理水出口１５配管

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者北浦英樹東京都江東区木場二丁目８番３号三菱レイヨン・エンジニアリング株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】被処理水を沈澱槽の中段に位置する取水
口に導入する工程と、該被処理水をヘッド差により、該
取水口より上方に配設され、中空糸膜が平面を形成する
ように配設されてなる中空糸膜モジュールで濾過し、該
沈澱槽に連通し該沈澱槽より下方に設置された処理水槽
へ導入する工程と、該沈澱槽底部に堆積した濁質を該沈
澱槽底部に配設されたスラッジ取出口より取り出す工程
とを有する膜分離型浄水処理方法。
【請求項２】処理水槽内の浄化水の１部を沈澱槽に逆
流させつつ、中空糸膜モジュールに下方から気泡を当て
て濁質を中空糸膜より剥離させ、沈澱槽底部に沈澱させ
る機能回復処理を間欠的に実施する工程を有する請求項
１に記載の膜分離型浄水処理方法。