JPH06237773A - ポックスウイルスのa型封入体(ati)プロモーター及び前期プロモーターを含んで成る外来遺伝子発現ベクター - Google Patents
ポックスウイルスのa型封入体(ati)プロモーター及び前期プロモーターを含んで成る外来遺伝子発現ベクターInfo
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- JPH06237773A JPH06237773A JP5008424A JP842493A JPH06237773A JP H06237773 A JPH06237773 A JP H06237773A JP 5008424 A JP5008424 A JP 5008424A JP 842493 A JP842493 A JP 842493A JP H06237773 A JPH06237773 A JP H06237773A
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- Japan
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- promoter
- gene
- vaccinia virus
- ati
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】 ウイルス感染の前期及び後期にわたって外来
構造遺伝子を効率よく発現することができるプロモータ
ーを提供する。 【構成】 ポックスウイルスのA型封入体(ATI )プロ
モーター及び/又は複数反復するワクチニアウイルス
7.5K前期発現プロモーターを含んで成るプロモータ
ーであって、ウイルス遺伝子に挿入された該プロモータ
ーの下流に外来構造遺伝子が連結された場合に該構造遺
伝子をウイルス感染の前期及び後期にわたって発現する
ことができるプロモーター;該プロモーターが組み込ま
れたポックスウイルス血球凝集素(HA)遺伝子を含んで
成るベクター;並びに前期プロモーター及び該プロモー
ターの下流に連結された外来遺伝子を含んで成るワクシ
ニアウイルス。
構造遺伝子を効率よく発現することができるプロモータ
ーを提供する。 【構成】 ポックスウイルスのA型封入体(ATI )プロ
モーター及び/又は複数反復するワクチニアウイルス
7.5K前期発現プロモーターを含んで成るプロモータ
ーであって、ウイルス遺伝子に挿入された該プロモータ
ーの下流に外来構造遺伝子が連結された場合に該構造遺
伝子をウイルス感染の前期及び後期にわたって発現する
ことができるプロモーター;該プロモーターが組み込ま
れたポックスウイルス血球凝集素(HA)遺伝子を含んで
成るベクター;並びに前期プロモーター及び該プロモー
ターの下流に連結された外来遺伝子を含んで成るワクシ
ニアウイルス。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、前期プロモーター活
性を持つ配列を改良し、且つ重複させ、さらにA型封入
体遺伝子5′上流配列と組み合わせたプロモーター、及
び該プロモーターを含有する外来遺伝子発現用ベクター
に関するものであり、これらは組換えワクシニアウイル
スの製造において有用である。
性を持つ配列を改良し、且つ重複させ、さらにA型封入
体遺伝子5′上流配列と組み合わせたプロモーター、及
び該プロモーターを含有する外来遺伝子発現用ベクター
に関するものであり、これらは組換えワクシニアウイル
スの製造において有用である。
【0002】
【従来の技術】組換えワクシニアウイルスは、外来遺伝
子の発現ベクターとして頻用されるようになった。その
理由は、種々の動物に感染して、体内で外来遺伝子産物
を生産するため、免疫誘導など個体の反応を調べられる
ことが挙げられる。これは、病原体の抗原遺伝子を発現
するワクシニアウイルスを作った場合に、ワクチンとし
て用いられることに通じる。又、非常に多種類の培養細
胞に感染し、比較的多量の外来蛋白質を生産することか
ら、蛋白質生産用のベクターとしても用い得る。
子の発現ベクターとして頻用されるようになった。その
理由は、種々の動物に感染して、体内で外来遺伝子産物
を生産するため、免疫誘導など個体の反応を調べられる
ことが挙げられる。これは、病原体の抗原遺伝子を発現
するワクシニアウイルスを作った場合に、ワクチンとし
て用いられることに通じる。又、非常に多種類の培養細
胞に感染し、比較的多量の外来蛋白質を生産することか
ら、蛋白質生産用のベクターとしても用い得る。
【0003】特に糖蛋白質や分泌蛋白質の場合には、完
全な形の糖鎖の付加や多量体形成が活性発現や安定性に
重要な場合が多い。これは、高等動物細胞内でのみ成し
得るもので、これらの細胞を宿主とするワクシニアウイ
ルスベクターから発現された蛋白質において可能となる
ものである。ちなみに、他の頻用されているベクターで
あるバキュロウイルス、酵母及び大腸菌では、上記修飾
は不完全である。
全な形の糖鎖の付加や多量体形成が活性発現や安定性に
重要な場合が多い。これは、高等動物細胞内でのみ成し
得るもので、これらの細胞を宿主とするワクシニアウイ
ルスベクターから発現された蛋白質において可能となる
ものである。ちなみに、他の頻用されているベクターで
あるバキュロウイルス、酵母及び大腸菌では、上記修飾
は不完全である。
【0004】このようにワクシニアウイルスベクター
は、他にはない長所を持っているが、改良すべき点も存
在する。その一つは、外来蛋白質の生産量である。本発
明者ら、及び他のグループは生産量の増大のために種々
の努力を行なってきた。B.Moss等は、バクテリオファー
ジT7のRNA ポリメラーゼを発現する組換えワクシニア
ウイルスと、T7RNA ポリメラーゼのプロモーターの下
流に目的の外来遺伝子をつないだ組換えワクシニアウイ
ルスをCV-1細胞に重感染させることによって、大量の外
来蛋白質を生産させた〔Molecular and Cellular Biolo
gy, 7, (1987) p2538-2544 〕。
は、他にはない長所を持っているが、改良すべき点も存
在する。その一つは、外来蛋白質の生産量である。本発
明者ら、及び他のグループは生産量の増大のために種々
の努力を行なってきた。B.Moss等は、バクテリオファー
ジT7のRNA ポリメラーゼを発現する組換えワクシニア
ウイルスと、T7RNA ポリメラーゼのプロモーターの下
流に目的の外来遺伝子をつないだ組換えワクシニアウイ
ルスをCV-1細胞に重感染させることによって、大量の外
来蛋白質を生産させた〔Molecular and Cellular Biolo
gy, 7, (1987) p2538-2544 〕。
【0005】しかし、この場合には、2種類の組換えワ
クシニアウイルスを重感染させる必要があり、動物には
接種できない。又、彼らは(IPTG)存在下でT7RNA ポ
リメラーゼを誘導する工夫をして、同一ワクシニアゲノ
ム内に、T7RNA ポリメラーゼ遺伝子と外来遺伝子と共
存し得るようにした〔Journal of Vivology, 66, (199
2) p.2934-2942〕。しかし、この場合には、外来蛋白質
の生産にはIPTGが要求されるため動物に接種しても効果
はない。上記2種類のワクシニアベクターにより生産さ
れる外来蛋白質の量は感染細胞蛋白質の2.5〜10%
であった。
クシニアウイルスを重感染させる必要があり、動物には
接種できない。又、彼らは(IPTG)存在下でT7RNA ポ
リメラーゼを誘導する工夫をして、同一ワクシニアゲノ
ム内に、T7RNA ポリメラーゼ遺伝子と外来遺伝子と共
存し得るようにした〔Journal of Vivology, 66, (199
2) p.2934-2942〕。しかし、この場合には、外来蛋白質
の生産にはIPTGが要求されるため動物に接種しても効果
はない。上記2種類のワクシニアベクターにより生産さ
れる外来蛋白質の量は感染細胞蛋白質の2.5〜10%
であった。
【0006】本発明者らは、ワクシニアベクターの生産
力増大のためにワクシニアウイルス及び近縁の牛痘ウイ
ルスのプロモーターを開発、改良することを試みてき
た。つまり、ポックスウイルス属の中では最強と予想さ
れるA型封入体(ATI )プロモーター領域をクローニン
グし、それがもっとも頻用されている7.5k蛋白質遺
伝子のプロモーター(p7.5プロモーター)より数倍
強いことを示した〔特開昭61−222194号及びJo
urnal of Vivology, 65, (1991) p.5584-5588〕。さら
に、p7.5プロモーターの前期領域を数個(5個ま
で)直列に並べ、ATI プロモーターと組み合わせること
により、ワクシニアウイルス感染の前期後期共によく働
くプロモーターを作成した〔Journal of Vivology, 6
5, (1991) p5584-5588 及び特許公開平2−18699
2〕(表1)。これは、培養細胞、動物体内両方で働
く。ATI プロモーターを利用したワクシニアベクターよ
り生産される外来蛋白質は、感染細胞蛋白質の約4〜7
%であった(表2)。
力増大のためにワクシニアウイルス及び近縁の牛痘ウイ
ルスのプロモーターを開発、改良することを試みてき
た。つまり、ポックスウイルス属の中では最強と予想さ
れるA型封入体(ATI )プロモーター領域をクローニン
グし、それがもっとも頻用されている7.5k蛋白質遺
伝子のプロモーター(p7.5プロモーター)より数倍
強いことを示した〔特開昭61−222194号及びJo
urnal of Vivology, 65, (1991) p.5584-5588〕。さら
に、p7.5プロモーターの前期領域を数個(5個ま
で)直列に並べ、ATI プロモーターと組み合わせること
により、ワクシニアウイルス感染の前期後期共によく働
くプロモーターを作成した〔Journal of Vivology, 6
5, (1991) p5584-5588 及び特許公開平2−18699
2〕(表1)。これは、培養細胞、動物体内両方で働
く。ATI プロモーターを利用したワクシニアベクターよ
り生産される外来蛋白質は、感染細胞蛋白質の約4〜7
%であった(表2)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、ワクシ
ニアベクターの生産力は、徐々に改善されてきた。しか
し、バキュロウイルスなど他のベクターに較べるとまだ
少ない。又、エイズワクチンなどの場合には、高い免疫
力の誘導と免疫効果の長期維持が要求される。これらの
点の解決に寄与するために、本発明は、ワクシニアベク
ターのプロモーターを改良することによって、細胞内及
び動物・人体内での外来蛋白質の生産力をさらに高めよ
うとするものである。
ニアベクターの生産力は、徐々に改善されてきた。しか
し、バキュロウイルスなど他のベクターに較べるとまだ
少ない。又、エイズワクチンなどの場合には、高い免疫
力の誘導と免疫効果の長期維持が要求される。これらの
点の解決に寄与するために、本発明は、ワクシニアベク
ターのプロモーターを改良することによって、細胞内及
び動物・人体内での外来蛋白質の生産力をさらに高めよ
うとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決すべく種々のプロモーターの組み合わせを検討し
た結果、p7.5プロモーター領域の塩基配列を変え
て、多数を同方向に接続し、かつATI プロモーターと組
み合わせることが効果的であることを見出した。さら
に、このプロモーターを挿入する部位であるワクシニア
の血球凝集素(HA)遺伝子の転写方向に順向きに入れる
ことが、このプロモーターの効率に重要であることを見
出した。これらの工夫の結果、クロラムフェニコールア
セチルトランスフェラーゼ(CAT )を指標として測定し
た場合、このワクシニアウイルスベクターより生産され
る外来蛋白質は、感染細胞の全蛋白質の15%に及ぶこ
とを見出した。
を解決すべく種々のプロモーターの組み合わせを検討し
た結果、p7.5プロモーター領域の塩基配列を変え
て、多数を同方向に接続し、かつATI プロモーターと組
み合わせることが効果的であることを見出した。さら
に、このプロモーターを挿入する部位であるワクシニア
の血球凝集素(HA)遺伝子の転写方向に順向きに入れる
ことが、このプロモーターの効率に重要であることを見
出した。これらの工夫の結果、クロラムフェニコールア
セチルトランスフェラーゼ(CAT )を指標として測定し
た場合、このワクシニアウイルスベクターより生産され
る外来蛋白質は、感染細胞の全蛋白質の15%に及ぶこ
とを見出した。
【0009】従って本発明は、ワクシニアウイルスのHA
遺伝子中に、重複した改良型p7.5プロモーター配列
とATI プロモーターを組み合わせたプロモーターを含有
するプラスミド、及びこのプロモーターを含み、この下
流に配置された外来蛋白質遺伝子を強力に発現すること
ができる発現ベクターを提供するものである。本発明は
さらに、前期の複合プロモーター、及び該プロモーター
の下流に続く任意の外来構造遺伝子を含んで成るワクシ
ニアウイルスを提供する。
遺伝子中に、重複した改良型p7.5プロモーター配列
とATI プロモーターを組み合わせたプロモーターを含有
するプラスミド、及びこのプロモーターを含み、この下
流に配置された外来蛋白質遺伝子を強力に発現すること
ができる発現ベクターを提供するものである。本発明は
さらに、前期の複合プロモーター、及び該プロモーター
の下流に続く任意の外来構造遺伝子を含んで成るワクシ
ニアウイルスを提供する。
【0010】
【具体的な説明】本発明の複合ウイルスプロモーター
は、後期発現を支配するポックスウイルスのATI プロモ
ーターと、前期発現を支配するプロモーターの下流側領
域とを含んで成る。
は、後期発現を支配するポックスウイルスのATI プロモ
ーターと、前期発現を支配するプロモーターの下流側領
域とを含んで成る。
【0011】後期発現プロモーター ATI プロモーターは例えば牛痘ウイルスのゲノムからク
ローニングすることができ、このプロモーターを含むAT
I 遺伝子のクローニング方法、及びATI プロモーターの
塩基配列は、Journal of general Virology,69,35-47(1
988)及び特開昭61−222194号明細書(ヨーロッ
パ出願公開No. 87308372.9)に詳細に記載さ
れており、そしてこのプロモーターを含有するプラスミ
ドpB23により形質転換された大腸菌エシェリシャ・コ
リ(Escherichia coli) JM109−B23は工業技術院
微生物工業技術研究所に微工研菌寄第1459号(FERM
BP−1459)として、ブタペスト条約に基づき国際寄
託されている。従って、ATI プロモーターは前記プラス
ミドpB23から容易に切り出すことができ、また、前記
公開公報に開示されている方法に従って、当業者が容易
に入手することができる牛痘ウイルス株のいずれかから
容易にクローニングすることができる。
ローニングすることができ、このプロモーターを含むAT
I 遺伝子のクローニング方法、及びATI プロモーターの
塩基配列は、Journal of general Virology,69,35-47(1
988)及び特開昭61−222194号明細書(ヨーロッ
パ出願公開No. 87308372.9)に詳細に記載さ
れており、そしてこのプロモーターを含有するプラスミ
ドpB23により形質転換された大腸菌エシェリシャ・コ
リ(Escherichia coli) JM109−B23は工業技術院
微生物工業技術研究所に微工研菌寄第1459号(FERM
BP−1459)として、ブタペスト条約に基づき国際寄
託されている。従って、ATI プロモーターは前記プラス
ミドpB23から容易に切り出すことができ、また、前記
公開公報に開示されている方法に従って、当業者が容易
に入手することができる牛痘ウイルス株のいずれかから
容易にクローニングすることができる。
【0012】前期発現プロモーター 本発明においては前期発現プロモーターとして、7.5
Kプロモーターの前期発現領域を用いる。ワクシニアウ
イルス7.5Kプロモーターの後期発現及び前期発現の
それぞれに必須の領域の同定はすでに行なわれている
(Journal of Virology Vol.54 p 30-37 (1985)。ま
た、Journal of Molecular Biology.Vol.210p749-769
(1989 )においてB.Mossらは、7.5Kプロモーターの
前期発現領域を人工的に塩基配列を改変することによ
り、前期遺伝子発現への影響について論じている。しか
しながら、彼らは1塩基ごとを改変しているのみで、す
べての塩基について組合せを検討しているわけではな
い。
Kプロモーターの前期発現領域を用いる。ワクシニアウ
イルス7.5Kプロモーターの後期発現及び前期発現の
それぞれに必須の領域の同定はすでに行なわれている
(Journal of Virology Vol.54 p 30-37 (1985)。ま
た、Journal of Molecular Biology.Vol.210p749-769
(1989 )においてB.Mossらは、7.5Kプロモーターの
前期発現領域を人工的に塩基配列を改変することによ
り、前期遺伝子発現への影響について論じている。しか
しながら、彼らは1塩基ごとを改変しているのみで、す
べての塩基について組合せを検討しているわけではな
い。
【0013】本発明においてはmRNA転写開始点を+1位
とした時の−28位の位置から+6位の位置からなる−
24位をGからAに、−22位をAからTに、−16位
をTからAに、−15位をAからCに、そして−12位
をTからGに改変したDNA 断片を合成した。このDNA 断
片にBst XI部位の付着末端を付加することにより、head
to tailで前期発現プロモーターが連結するようにし
た。これをATI プロモーターに連結し、クロラムフェニ
コールアセチルトランスフェラーゼ(CAT )遺伝子の前
期発現を検討し、次の式
とした時の−28位の位置から+6位の位置からなる−
24位をGからAに、−22位をAからTに、−16位
をTからAに、−15位をAからCに、そして−12位
をTからGに改変したDNA 断片を合成した。このDNA 断
片にBst XI部位の付着末端を付加することにより、head
to tailで前期発現プロモーターが連結するようにし
た。これをATI プロモーターに連結し、クロラムフェニ
コールアセチルトランスフェラーゼ(CAT )遺伝子の前
期発現を検討し、次の式
【0014】
【化2】
【0015】により示される配列(I)によりCAT の前
期発現を得られることを確認した。従って本発明におい
ては、配列(I)を前期発現プロモーターとして使用す
ることができる。配列Iの前期発現プロモーターの化学
合成については実施例1において具体的に記載する。
期発現を得られることを確認した。従って本発明におい
ては、配列(I)を前期発現プロモーターとして使用す
ることができる。配列Iの前期発現プロモーターの化学
合成については実施例1において具体的に記載する。
【0016】重複前期プロモーターを同一方向で並べる工夫 HA遺伝子中にATI プロモーターを含有するプラスミドpS
F とpSF 2〔Journalof Vivology, 65, p5584-5588 (1
991) 〕を改変して、配列(I)を多数順方向に導入で
きるようにした。特開昭61−222194号にある複
合ウイルスプロモーターの作製法では制限酵素Bam HIに
よる切断部位に制限酵素Bam HIによる消化から生じる付
着末端を持つ合成プロモーターを用いて前期プロモータ
ー領域を重複させた。しかしながら、この方法は導入し
た合成プロモーターの方向性について塩基配列を決定す
ることによってのみ情報が得られ、順方向に多数並んだ
合成プロモーターが得られる確率は低く、合理的ではな
い。そこで、本発明においてはマルチクローニング部位
として導入されているBam HI部位に、5′−GATCC
CATTGTGCTGG−3′(配列番号:3)及び
5′−GATCCCAGCACAATGG−3′(配列
番号:4)の2種のオリゴヌクレオチドをアニーリング
したものを組込んで制限酵素Bst XI認識部位を導入し
た。制限酵素BstXIは、12bpの配列:
F とpSF 2〔Journalof Vivology, 65, p5584-5588 (1
991) 〕を改変して、配列(I)を多数順方向に導入で
きるようにした。特開昭61−222194号にある複
合ウイルスプロモーターの作製法では制限酵素Bam HIに
よる切断部位に制限酵素Bam HIによる消化から生じる付
着末端を持つ合成プロモーターを用いて前期プロモータ
ー領域を重複させた。しかしながら、この方法は導入し
た合成プロモーターの方向性について塩基配列を決定す
ることによってのみ情報が得られ、順方向に多数並んだ
合成プロモーターが得られる確率は低く、合理的ではな
い。そこで、本発明においてはマルチクローニング部位
として導入されているBam HI部位に、5′−GATCC
CATTGTGCTGG−3′(配列番号:3)及び
5′−GATCCCAGCACAATGG−3′(配列
番号:4)の2種のオリゴヌクレオチドをアニーリング
したものを組込んで制限酵素Bst XI認識部位を導入し
た。制限酵素BstXIは、12bpの配列:
【0017】
【化3】
【0018】を認識して矢印の位置で切断する制限酵素
である。上記2種のオリゴヌクレオチドから作られる以
下の配列:
である。上記2種のオリゴヌクレオチドから作られる以
下の配列:
【0019】
【化4】
【0020】は、Bst XIによりTGTG−3′,CAC
A−3′というお互いに相補的な末端を生じる。しか
し、例えば2分子のTGTG−3′末端は相補的でない
ため、head-to-head連結は起こらない。同様にCACA
−3′末端もhead-to-head連結は起こらない。したがっ
て、配列(I)の前期プロモーターは配列番号:1の
3′末端にTGTG−3′,配列番号:2の3′末端に
CACA−3′を持つため記載のプロモーターは同一方
向でATI プロモーターと順方向にのみ連結がおこる。導
入し数個が連結した配列(I)の前期プロモーターは塩
基配列の決定によらないでも、制限酵素Ban HIによる消
化によっても連結している個数を決定することができ
る。
A−3′というお互いに相補的な末端を生じる。しか
し、例えば2分子のTGTG−3′末端は相補的でない
ため、head-to-head連結は起こらない。同様にCACA
−3′末端もhead-to-head連結は起こらない。したがっ
て、配列(I)の前期プロモーターは配列番号:1の
3′末端にTGTG−3′,配列番号:2の3′末端に
CACA−3′を持つため記載のプロモーターは同一方
向でATI プロモーターと順方向にのみ連結がおこる。導
入し数個が連結した配列(I)の前期プロモーターは塩
基配列の決定によらないでも、制限酵素Ban HIによる消
化によっても連結している個数を決定することができ
る。
【0021】複合プロモーター 本発明の複合プロモーターは前記の少なくとも1個のAT
I プロモーターと少なくとも1個の配列(I)からなる
前期発現プロモーターを含有すればよい。これら2種類
のプロモーターの順序はATI プロモーターの下流に前期
発現プロモーターが存在することからなる。これらのプ
ロモーターは必ずしも1個ずつである必要はなく、これ
らの両者又は一方を複数存在せしめることができる。例
えばATIプロモーター1個に対して配列(I)の前期発
現プロモーターを1〜38個存在せしめ、この複合プロ
モーターの下流にCAT 遺伝子を存在せしめた場合、CAT
発現量が顕著に増加することが確認され、感染細胞の全
蛋白質の15%にまでのぼった。B.MossらはJournal of
Molecular Biology, 210 (1989) p749-769 において前
期プロモーターの改変およびプロモーターを複数配列す
ることによる効果を述べているが、ATI プロモーターの
下流に連結することにより、プロモーター全体の発現量
が増加することには言及していない。
I プロモーターと少なくとも1個の配列(I)からなる
前期発現プロモーターを含有すればよい。これら2種類
のプロモーターの順序はATI プロモーターの下流に前期
発現プロモーターが存在することからなる。これらのプ
ロモーターは必ずしも1個ずつである必要はなく、これ
らの両者又は一方を複数存在せしめることができる。例
えばATIプロモーター1個に対して配列(I)の前期発
現プロモーターを1〜38個存在せしめ、この複合プロ
モーターの下流にCAT 遺伝子を存在せしめた場合、CAT
発現量が顕著に増加することが確認され、感染細胞の全
蛋白質の15%にまでのぼった。B.MossらはJournal of
Molecular Biology, 210 (1989) p749-769 において前
期プロモーターの改変およびプロモーターを複数配列す
ることによる効果を述べているが、ATI プロモーターの
下流に連結することにより、プロモーター全体の発現量
が増加することには言及していない。
【0022】ワクシニアウイルス 本発明の複合プロモーターを、ワクシニアウイルス中で
外来遺伝子、例えば外来抗原遺伝子の上流に存在せしめ
ることにより、該遺伝子を前期及び後期にわたって発現
せしめることができる。この様なワクシニアウイルスと
しては組換えワクシニアウイルスワクチンの製造におい
て常用される任意のワクシニアウイルス株を用いること
ができる。本発明の複合プロモーターにより発現せしめ
るウイルス遺伝子としては、例えば牛疫ウイルスのフュ
ージョン蛋白質遺伝子、牛疫ウイルスのヘマグルチニン
遺伝子、ウシ白血病ウイルス表面抗原遺伝子、成人T細
胞白血病ウイルス表面抗原遺伝子、エイズウイルス表面
抗原遺伝子、エイズウイルスのコア蛋白質遺伝子、サル
エイズウイルス表面抗原遺伝子、インフルエンザウイル
スのヘマグルチニン遺伝子、C型肝炎ウイルスのエンベ
ロープ遺伝子、C型肝炎ウイルスのNS1遺伝子等が挙げ
られるがこれらに限らない。
外来遺伝子、例えば外来抗原遺伝子の上流に存在せしめ
ることにより、該遺伝子を前期及び後期にわたって発現
せしめることができる。この様なワクシニアウイルスと
しては組換えワクシニアウイルスワクチンの製造におい
て常用される任意のワクシニアウイルス株を用いること
ができる。本発明の複合プロモーターにより発現せしめ
るウイルス遺伝子としては、例えば牛疫ウイルスのフュ
ージョン蛋白質遺伝子、牛疫ウイルスのヘマグルチニン
遺伝子、ウシ白血病ウイルス表面抗原遺伝子、成人T細
胞白血病ウイルス表面抗原遺伝子、エイズウイルス表面
抗原遺伝子、エイズウイルスのコア蛋白質遺伝子、サル
エイズウイルス表面抗原遺伝子、インフルエンザウイル
スのヘマグルチニン遺伝子、C型肝炎ウイルスのエンベ
ロープ遺伝子、C型肝炎ウイルスのNS1遺伝子等が挙げ
られるがこれらに限らない。
【0023】組換えワクシニアウイルスの作製は常用の
相同性組換え法により行なうことができる。ワクシニア
ウイルスゲノム中の該ウイルスの増殖のために必須でな
い遺伝子、ヘマグルチニン(HA)遺伝子を含有するプラ
スミドの該遺伝子中に本発明の複合プロモーター及び任
意の外来遺伝子が挿入されている組換えプラスミドを作
製し、このプラスミドとワクシニアウイルスとの相同性
組換えにより、ワクシニアウイルスのゲノム中のHA遺伝
子中に前記複合プロモーター及び外来遺伝子が挿入され
た組換えワクシニアウイルスを作製することができる。
相同性組換え法により行なうことができる。ワクシニア
ウイルスゲノム中の該ウイルスの増殖のために必須でな
い遺伝子、ヘマグルチニン(HA)遺伝子を含有するプラ
スミドの該遺伝子中に本発明の複合プロモーター及び任
意の外来遺伝子が挿入されている組換えプラスミドを作
製し、このプラスミドとワクシニアウイルスとの相同性
組換えにより、ワクシニアウイルスのゲノム中のHA遺伝
子中に前記複合プロモーター及び外来遺伝子が挿入され
た組換えワクシニアウイルスを作製することができる。
【0024】組換えは常用のトランスフェクション法に
より行なうことができる。ワクシニアウイルスを培養さ
れた動物細胞、例えばサル腎臓細胞CV−1又はウサギ腎
臓細胞RK13に感染せしめ、次にリン酸カルシウム法に
よりプラスミドをトランスフェクトし、候補組換えウイ
ルスを得る。次にこれらの候補ウイルスを動物細胞、例
えばRK13細胞のモノレーヤーに感染せしめてプラーク
を形成せしめ、ニワトリ赤血球が吸着しない(HA- )ウ
イルスを選択する。
より行なうことができる。ワクシニアウイルスを培養さ
れた動物細胞、例えばサル腎臓細胞CV−1又はウサギ腎
臓細胞RK13に感染せしめ、次にリン酸カルシウム法に
よりプラスミドをトランスフェクトし、候補組換えウイ
ルスを得る。次にこれらの候補ウイルスを動物細胞、例
えばRK13細胞のモノレーヤーに感染せしめてプラーク
を形成せしめ、ニワトリ赤血球が吸着しない(HA- )ウ
イルスを選択する。
【0025】
【発明の効果】本発明の複合プロモーターを用いて組換
えワクシニアウイルスを作製し、哺乳類由来の培養細胞
に感染させることによって、該組換えワクシニアウイル
スに組み込まれた外来遺伝子産物(外来蛋白質)を大量
に生産できる。生産された蛋白質は、哺乳類特有の糖鎖
の付加等の修飾を受けていることが期待できる。又、該
組換えワクシニアウイルスを哺乳類に接種することによ
り、従来の組換えワクシニアウイルス以上に効率的に免
疫を誘導できる。
えワクシニアウイルスを作製し、哺乳類由来の培養細胞
に感染させることによって、該組換えワクシニアウイル
スに組み込まれた外来遺伝子産物(外来蛋白質)を大量
に生産できる。生産された蛋白質は、哺乳類特有の糖鎖
の付加等の修飾を受けていることが期待できる。又、該
組換えワクシニアウイルスを哺乳類に接種することによ
り、従来の組換えワクシニアウイルス以上に効率的に免
疫を誘導できる。
【0026】実施例1 ATI プロモーター含有プラスミ
ドの改変(図1) ワクシニアウイルスHA(血球凝集素)遺伝子〔Vivolog
y, 150, p.451-462 (1986) 〕内にATI プロモーター
(特開昭61−222194)を含有するpSF とpSF 2
〔Journal of Vivology 65, p.5584-5588(1991) 〕を改
変して、マルチクローニング部位に制限酵素Bst XI認識
部位を導入した。具体的には、二種のオリゴヌクレオチ
ド: No. 1 5′−GATCCCATTGTGCTGG−
3′(配列番号:3) No. 2 5′−GATCCCAGCACAATGG−
3′(配列番号:4) をホスホアミダイト法により合成した。0.1OD(3.
7μg)ずつの各オリゴヌクレオチドを別々に、50mM
Tris-HCl(pH7.6),10mM MgCl2 ,10mM2−
メルカプトエタノール、50mM ATP 及び2μlのT4
ポリヌクレオチドキナーゼ(宝酒造(株)製10ユニッ
ト/μl)を含む全容20μlの反応混合物中で37℃
にて1時間保温することによりキナーゼ処理を行った。
上記の反応混合物No. 1とNo. 2をそれぞれ5μlずつ
混合して70℃にて20分間加熱することにより酵素を
失活せしめると共にアニールせしめた。これにより制限
酵素Bst XI認識部位を有し、制限酵素Bam HI切断部位に
対する付着末端を二本鎖の両末端を形成するアニール生
成物:
ドの改変(図1) ワクシニアウイルスHA(血球凝集素)遺伝子〔Vivolog
y, 150, p.451-462 (1986) 〕内にATI プロモーター
(特開昭61−222194)を含有するpSF とpSF 2
〔Journal of Vivology 65, p.5584-5588(1991) 〕を改
変して、マルチクローニング部位に制限酵素Bst XI認識
部位を導入した。具体的には、二種のオリゴヌクレオチ
ド: No. 1 5′−GATCCCATTGTGCTGG−
3′(配列番号:3) No. 2 5′−GATCCCAGCACAATGG−
3′(配列番号:4) をホスホアミダイト法により合成した。0.1OD(3.
7μg)ずつの各オリゴヌクレオチドを別々に、50mM
Tris-HCl(pH7.6),10mM MgCl2 ,10mM2−
メルカプトエタノール、50mM ATP 及び2μlのT4
ポリヌクレオチドキナーゼ(宝酒造(株)製10ユニッ
ト/μl)を含む全容20μlの反応混合物中で37℃
にて1時間保温することによりキナーゼ処理を行った。
上記の反応混合物No. 1とNo. 2をそれぞれ5μlずつ
混合して70℃にて20分間加熱することにより酵素を
失活せしめると共にアニールせしめた。これにより制限
酵素Bst XI認識部位を有し、制限酵素Bam HI切断部位に
対する付着末端を二本鎖の両末端を形成するアニール生
成物:
【0027】
【化5】
【0028】を得た。3μgのベクタープラスミドpSF
及びpSF 2のDNA を、10mM Tris-HCl(pH8.0),
7mM MgCl2 ,100mM NaCl,2mM 2−メルカプト
エタノール及び10ユニットの制限酵素Bam HIを含む5
0μlの反応混合物中で37℃にて2時間消化し、次に
1M Tris-HCl(pH8.0)中でアルカリホスファター
ゼ(大腸菌A19)(宝酒造(株)製)により、65℃
にて1時間脱リン酸化反応を行った。反応混合物を2回
フェノール抽出し、1回フェノール/クロロホルム抽出
した後、エタノール沈殿によりDNA を回収した。このDN
A を30μlのTE緩衝液(10mM Tris-HCl(pH8.
0),1mM EDTA)に溶解した。
及びpSF 2のDNA を、10mM Tris-HCl(pH8.0),
7mM MgCl2 ,100mM NaCl,2mM 2−メルカプト
エタノール及び10ユニットの制限酵素Bam HIを含む5
0μlの反応混合物中で37℃にて2時間消化し、次に
1M Tris-HCl(pH8.0)中でアルカリホスファター
ゼ(大腸菌A19)(宝酒造(株)製)により、65℃
にて1時間脱リン酸化反応を行った。反応混合物を2回
フェノール抽出し、1回フェノール/クロロホルム抽出
した後、エタノール沈殿によりDNA を回収した。このDN
A を30μlのTE緩衝液(10mM Tris-HCl(pH8.
0),1mM EDTA)に溶解した。
【0029】制限酵素Bam HIにより消化したpSF 及びpS
F 2のDNA 30μlのうち1μlずつを前記のアニール
生成物2μlと混合し、蒸留水を加え7.5μlとした
後、TAKARAライゲーションキット(宝酒造(株)製)を
用いて連結反応を16℃30分間行った。このライゲー
ション反応液を用いて大腸菌DH5を形質転換した。形質
転換体に導入した制限酵素Bst XI認識部位を有する合成
DNA の有無についてはコロニーハイブリダイゼーション
法により確認を行った。ニトロセルロースフィルターに
写した大腸菌コロニーは10% SDSで3分間、0.5M
NaOHで5分間、1M Tris-HCl(pH7.5)で5分間、
及び1M Tris-HCl(pH7.5)/1.25M NaCl で5
分間処理した。その後、80℃にて90分間処理して固
定した。固定後のニトロセルロースフィルターはMEGALA
BEL TMキット(宝酒造(株)製)にて32Pで標識し
た、前記No. 1のオリゴヌクレオチドをプローブとして
コロニー・ハイブリダイゼーションを行った。
F 2のDNA 30μlのうち1μlずつを前記のアニール
生成物2μlと混合し、蒸留水を加え7.5μlとした
後、TAKARAライゲーションキット(宝酒造(株)製)を
用いて連結反応を16℃30分間行った。このライゲー
ション反応液を用いて大腸菌DH5を形質転換した。形質
転換体に導入した制限酵素Bst XI認識部位を有する合成
DNA の有無についてはコロニーハイブリダイゼーション
法により確認を行った。ニトロセルロースフィルターに
写した大腸菌コロニーは10% SDSで3分間、0.5M
NaOHで5分間、1M Tris-HCl(pH7.5)で5分間、
及び1M Tris-HCl(pH7.5)/1.25M NaCl で5
分間処理した。その後、80℃にて90分間処理して固
定した。固定後のニトロセルロースフィルターはMEGALA
BEL TMキット(宝酒造(株)製)にて32Pで標識し
た、前記No. 1のオリゴヌクレオチドをプローブとして
コロニー・ハイブリダイゼーションを行った。
【0030】MEGALABEL TMキット(宝酒造(株)製)に
よる合成DNA の標識は、販社プロトコールにより、合成
DNA 10pmolを10xPhosphory Iation Buffer 1ulと
〔r−32p〕ATP (222TBq /mmol,370MBq /
ml)5μlをT4ポリヌクレオチドキナーゼ(10ユニ
ット/μl)1μlを混合し、全量10μlにした。3
7℃にて30分間保温し、70℃で10分間加熱して酵
素を失活させた。
よる合成DNA の標識は、販社プロトコールにより、合成
DNA 10pmolを10xPhosphory Iation Buffer 1ulと
〔r−32p〕ATP (222TBq /mmol,370MBq /
ml)5μlをT4ポリヌクレオチドキナーゼ(10ユニ
ット/μl)1μlを混合し、全量10μlにした。3
7℃にて30分間保温し、70℃で10分間加熱して酵
素を失活させた。
【0031】10mM Tris-HCl(pH7.5),0.3M
NaCl,1mM EDTAで平衡化したDEカラム(200μ
l)を用意し、10μlの反応液に5μgのキャリアDN
A を加え、容量を100μlした後、カラムにチャージ
した。平衡化バッファーでカラムをよく洗ったあと、1
0mM Tris-HCl(pH7.5),2M NaCl,1mM EDTA
で溶出した。500μlずつ分画し、ピーク画分を集め
てプローブ溶液とした。
NaCl,1mM EDTAで平衡化したDEカラム(200μ
l)を用意し、10μlの反応液に5μgのキャリアDN
A を加え、容量を100μlした後、カラムにチャージ
した。平衡化バッファーでカラムをよく洗ったあと、1
0mM Tris-HCl(pH7.5),2M NaCl,1mM EDTA
で溶出した。500μlずつ分画し、ピーク画分を集め
てプローブ溶液とした。
【0032】固定されたフィルターは3×SSC /0.1
% SDSで室温5分洗い、同じ溶液で65℃ 1時間洗っ
た。プレハイブリダイゼーション溶液(6×SSC /5×
Denhardt溶液/0.05% ピロリン酸ナトリウム/1
00μg/ml 煮沸したニシン精子 DNA /0.5%
SDS ) 中に237℃で1時間保温した。ハイブリダイゼ
ーションは6×SSC /1×Denhardt溶液/100μg/
ml yeast tRNA/0.05% ピロリン酸ナトリウムの
溶液中で48℃にて10ngの32PラベルのNo.1オリゴ
ヌクレオチドで16時間保温した。洗いは6×SSC /
0.05% ピロリン酸ナトリウムで10分3回室温
で、次いで6×SSC /0.05% ピロリン酸ナトリウ
ムで10分3回48℃で洗った。オートラジオグラフィ
ーにて検出を行なった。
% SDSで室温5分洗い、同じ溶液で65℃ 1時間洗っ
た。プレハイブリダイゼーション溶液(6×SSC /5×
Denhardt溶液/0.05% ピロリン酸ナトリウム/1
00μg/ml 煮沸したニシン精子 DNA /0.5%
SDS ) 中に237℃で1時間保温した。ハイブリダイゼ
ーションは6×SSC /1×Denhardt溶液/100μg/
ml yeast tRNA/0.05% ピロリン酸ナトリウムの
溶液中で48℃にて10ngの32PラベルのNo.1オリゴ
ヌクレオチドで16時間保温した。洗いは6×SSC /
0.05% ピロリン酸ナトリウムで10分3回室温
で、次いで6×SSC /0.05% ピロリン酸ナトリウ
ムで10分3回48℃で洗った。オートラジオグラフィ
ーにて検出を行なった。
【0033】ハイブリダイゼーションの結果、陽性と判
定された大腸菌クローンについて、そのプラスミドDNA
を制限酵素Bst XIによる消化を行い、プラスミドDNA が
切断されるクローンをサンガー法により塩基配列を決定
した。制限酵素Bst XI認識部位を含む ATIプロモーター
に続くマルチクローニングサイトを下記に示す。
定された大腸菌クローンについて、そのプラスミドDNA
を制限酵素Bst XIによる消化を行い、プラスミドDNA が
切断されるクローンをサンガー法により塩基配列を決定
した。制限酵素Bst XI認識部位を含む ATIプロモーター
に続くマルチクローニングサイトを下記に示す。
【0034】
【化6】
【0035】配列となっているクローンについて、pSFJ
1及び pSFJ2と命名した。
1及び pSFJ2と命名した。
【0036】実施例2 改良型7.5プロモーターの合
成とpSFJ1又はpSFJ2への挿入 実施例1により作製したpSFJ1及びpSFJ2の制限酵素Bs
t XI認識部位に、合成した改良型7.5プロモーターを
挿入した。3μgのプラスミドpSFJ1及びpSFJ2を制限
酵素Bst XI 10ユニットを用いて、150mM NaCl,
10mM Tris-HCl(pH7.7),10mM MgCl2 ,1mM
DTT,10μg/ml BSA反応液中にて55℃にて4時間
反応させた。前記と同様な条件にてアルカリフォスター
ゼ処理を行った。
成とpSFJ1又はpSFJ2への挿入 実施例1により作製したpSFJ1及びpSFJ2の制限酵素Bs
t XI認識部位に、合成した改良型7.5プロモーターを
挿入した。3μgのプラスミドpSFJ1及びpSFJ2を制限
酵素Bst XI 10ユニットを用いて、150mM NaCl,
10mM Tris-HCl(pH7.7),10mM MgCl2 ,1mM
DTT,10μg/ml BSA反応液中にて55℃にて4時間
反応させた。前記と同様な条件にてアルカリフォスター
ゼ処理を行った。
【0037】合成オリゴヌクレオチド2種: No. 3 5′−AAAAATTGAAAAACTAGT
CTAATTTATTGCACGGTGTG−3′(配
列番号:1) No. 4 5′−CCGTGCAATAAATTAGAC
TAGTTTTTCAATTTTTCACA−3′(配
列番号:2) はホスホアミダイト法により合成し、前記と同じ条件に
て0.1ODの各オリゴヌクレオチドをT4ポリヌクレオ
チドキナーゼによりキナーゼ処理を行った。
CTAATTTATTGCACGGTGTG−3′(配
列番号:1) No. 4 5′−CCGTGCAATAAATTAGAC
TAGTTTTTCAATTTTTCACA−3′(配
列番号:2) はホスホアミダイト法により合成し、前記と同じ条件に
て0.1ODの各オリゴヌクレオチドをT4ポリヌクレオ
チドキナーゼによりキナーゼ処理を行った。
【0038】反応生成物を70℃にて酵素失活させると
ともに、アニールさせた。配列(I)で示される二本鎖
DNA を生成させ、制限酵素Bst XIにて消化したpSFJ1又
はpSFJ2とともに連結反応を行なった。pSFJ1又はpSFJ
2に対して、二本鎖の合成プロモーターをモル比1:1
00で連結反応を行うことにより、配列(I)を多数含
むクローンが得られた。大腸菌のクローンと、オリゴヌ
クレオチドNo. 3を実施例1と同様な方法(但し、ハイ
ブリダイゼーション後の2回目の洗いの際、48℃を6
0℃にした)により標識して得たプローブとのコロニー
ハイブリダイゼーションにより、陽性クローンを多数得
た。
ともに、アニールさせた。配列(I)で示される二本鎖
DNA を生成させ、制限酵素Bst XIにて消化したpSFJ1又
はpSFJ2とともに連結反応を行なった。pSFJ1又はpSFJ
2に対して、二本鎖の合成プロモーターをモル比1:1
00で連結反応を行うことにより、配列(I)を多数含
むクローンが得られた。大腸菌のクローンと、オリゴヌ
クレオチドNo. 3を実施例1と同様な方法(但し、ハイ
ブリダイゼーション後の2回目の洗いの際、48℃を6
0℃にした)により標識して得たプローブとのコロニー
ハイブリダイゼーションにより、陽性クローンを多数得
た。
【0039】陽性クローンについて通常のアルカリ法に
よりプラスミドDNA を調製し、得られたプラスミドDNA
を制限酵素Bam HIにて消化することで挿入された38bp
の配列(I)の個数を決定した。また、塩基配列を決定
することで挿入配列の確認を行った。プラスミドpSFBに
配列(I)がそれぞれ1,4,10,16,20個挿入
されたプラスミドをpSFJ1−1,pSFJ1−4,pSFJ1−
10,pSFJ1−16及びpSFJ1−20と命名した。ま
た、pSFJ2に配列(I)がそれぞれ2,16,38個挿
入されたプラスミドはpSFJ2−2,pSFJ2−16及びpS
FJ2−38と命名した。
よりプラスミドDNA を調製し、得られたプラスミドDNA
を制限酵素Bam HIにて消化することで挿入された38bp
の配列(I)の個数を決定した。また、塩基配列を決定
することで挿入配列の確認を行った。プラスミドpSFBに
配列(I)がそれぞれ1,4,10,16,20個挿入
されたプラスミドをpSFJ1−1,pSFJ1−4,pSFJ1−
10,pSFJ1−16及びpSFJ1−20と命名した。ま
た、pSFJ2に配列(I)がそれぞれ2,16,38個挿
入されたプラスミドはpSFJ2−2,pSFJ2−16及びpS
FJ2−38と命名した。
【0040】実施例3 CAT 遺伝子を組込んだプラスミドの作製 図1にあるプラスミドpSFJ1−1,pSFJ1−4,pSFJ1
−10,pSFJ1−16,pSFJ1−20,pSFJ2−2,pS
FJ2−16,pSFJ2−38の3μgのDNA を、10ユニ
ットの制限酵素SmaI,100mM KOAc,25mM Tris−
アセテート(pH7.6),10mM MgOAc ,0.5mM
2−メルカプトエタノール、10μg/ml BSA の反応
液中で30℃にて1晩反応させた。実施例1と同様、ア
ルカリフォスファターゼにより脱リン酸化反応を行っ
た。
−10,pSFJ1−16,pSFJ1−20,pSFJ2−2,pS
FJ2−16,pSFJ2−38の3μgのDNA を、10ユニ
ットの制限酵素SmaI,100mM KOAc,25mM Tris−
アセテート(pH7.6),10mM MgOAc ,0.5mM
2−メルカプトエタノール、10μg/ml BSA の反応
液中で30℃にて1晩反応させた。実施例1と同様、ア
ルカリフォスファターゼにより脱リン酸化反応を行っ
た。
【0041】プロモーターの下流に挿入するクロラムフ
ェニコール・アセチルトランスフェラーゼ(CAT )遺伝
子については、プラスミドpSV2 CAT(Gorman et al.,Mo
lecular and Cellular Biology 2 , p1044-1051, 198
2)をHind III及びSau 3 AIにより消化し、CAT 遺伝子
を含有する790bpのHind III−Sau 3 AI DNA 断片を
得た。
ェニコール・アセチルトランスフェラーゼ(CAT )遺伝
子については、プラスミドpSV2 CAT(Gorman et al.,Mo
lecular and Cellular Biology 2 , p1044-1051, 198
2)をHind III及びSau 3 AIにより消化し、CAT 遺伝子
を含有する790bpのHind III−Sau 3 AI DNA 断片を
得た。
【0042】Klenow断片により平滑末端化した後、前記
の制限酵素SmaIで消化、脱リン酸化したベクターDNA と
TAKARAライゲーションキットを用いて連結反応を行っ
た。各プロモーターの下流にCAT 遺伝子の挿入されたプ
ラスミドとして、pSFJ1−1 CAT,pSFJ1−4 CAT,pS
FJ1−10 CAT,pSFJ1−16 CAT,pSFJ1−20 CA
T,pSFJ2−2 CAT,pSFJ2−16 CAT及びpSFJ2−3
8 CATの各プラスミドを得た。
の制限酵素SmaIで消化、脱リン酸化したベクターDNA と
TAKARAライゲーションキットを用いて連結反応を行っ
た。各プロモーターの下流にCAT 遺伝子の挿入されたプ
ラスミドとして、pSFJ1−1 CAT,pSFJ1−4 CAT,pS
FJ1−10 CAT,pSFJ1−16 CAT,pSFJ1−20 CA
T,pSFJ2−2 CAT,pSFJ2−16 CAT及びpSFJ2−3
8 CATの各プラスミドを得た。
【0043】実施例4 組換えワクシニアウイルスの作製 組換えワクシニアウイルスを、R,Condit等、Virology,
155,p 97-105, 1986に記載されている方法に従って、
イソ−B−チオセミカルバゾン(IBT )依存性ワクシニ
アウイルスWR株を感染させた細胞にワクシニアウイルス
野生型のWR株のゲノムDNA 及び実施例3で得た各組換え
プラスミドを同時トランスフェクションすることにより
作製した。
155,p 97-105, 1986に記載されている方法に従って、
イソ−B−チオセミカルバゾン(IBT )依存性ワクシニ
アウイルスWR株を感染させた細胞にワクシニアウイルス
野生型のWR株のゲノムDNA 及び実施例3で得た各組換え
プラスミドを同時トランスフェクションすることにより
作製した。
【0044】ゲノムDNA の調製は次の様にして行った。
14本のルー(Roux)ボトルにCOS7細胞を増殖せし
め、これにワクシニアウイルスを野生型WR株を感染せし
めた。ワクシニアウイルス感染細胞を50mlコーニング
チューブに移し、4℃2000rpm にて10分間遠心分
離し、上清を得た。残った沈殿を10mlの10mM Tris
-HCl(pH8.0)に懸濁し、氷上で15秒ずつ3回超音
波処理した。
14本のルー(Roux)ボトルにCOS7細胞を増殖せし
め、これにワクシニアウイルスを野生型WR株を感染せし
めた。ワクシニアウイルス感染細胞を50mlコーニング
チューブに移し、4℃2000rpm にて10分間遠心分
離し、上清を得た。残った沈殿を10mlの10mM Tris
-HCl(pH8.0)に懸濁し、氷上で15秒ずつ3回超音
波処理した。
【0045】これを2000rpm にて10分間遠心分離
し、上清を得、これを前記の上清と一緒にした。この上
清を9000rpm (8000×G)にて30分間遠心
し、沈殿を10mlのTris-HCl(pH8.0)に懸濁した。
この懸濁液を氷上で15秒ずつ4回超音波処理し、これ
を36%ショ糖溶液に上置して14000rpm (280
00×G)にて80分間遠心し、沈殿を得た。この沈殿
を2mlの10mM Tris-HCl(pH8.0)に懸濁し、この
懸濁液を氷上で15秒ずつ4回超音波処理した。
し、上清を得、これを前記の上清と一緒にした。この上
清を9000rpm (8000×G)にて30分間遠心
し、沈殿を10mlのTris-HCl(pH8.0)に懸濁した。
この懸濁液を氷上で15秒ずつ4回超音波処理し、これ
を36%ショ糖溶液に上置して14000rpm (280
00×G)にて80分間遠心し、沈殿を得た。この沈殿
を2mlの10mM Tris-HCl(pH8.0)に懸濁し、この
懸濁液を氷上で15秒ずつ4回超音波処理した。
【0046】この超音波処理物を4℃、12000rpm
(20000×G)にて45分間、ショ糖密度勾配遠心
(20%〜40%)にかけ、沈殿を分離した後、バンド
を別の遠心チューブに移し、20mlの10mM Tris-HCl
(pH8.0)に溶解して4℃、20000rpm (550
00×G)にて30分間遠心し沈殿を得た。この沈殿を
前記の沈殿とに2mlの10mM Tris-HCl(pH8.0)に
懸濁し、この懸濁液を氷上で15秒ずつ4回超音波処理
した。
(20000×G)にて45分間、ショ糖密度勾配遠心
(20%〜40%)にかけ、沈殿を分離した後、バンド
を別の遠心チューブに移し、20mlの10mM Tris-HCl
(pH8.0)に溶解して4℃、20000rpm (550
00×G)にて30分間遠心し沈殿を得た。この沈殿を
前記の沈殿とに2mlの10mM Tris-HCl(pH8.0)に
懸濁し、この懸濁液を氷上で15秒ずつ4回超音波処理
した。
【0047】この超音波処理物を4℃12000rpm
(20000×G)にて45分間のショ糖密度勾配遠心
(20%〜40%)にかけ、バンドを別の遠心チューブ
に移し、そして20mlの10mM Tris-HCl(pH8.0)
に溶解した。この溶液を、4℃、20000rpm (55
000×G)にて30分間遠心し、沈殿を得た。この沈
殿を500μlの50mM Tris-HCl(pH7.5)に溶解
し、氷上で15秒間超音波処理し、260nmの吸光度に
より測定した場合、合計250μgのDNA を含有するウ
イルス粒子を得た。
(20000×G)にて45分間のショ糖密度勾配遠心
(20%〜40%)にかけ、バンドを別の遠心チューブ
に移し、そして20mlの10mM Tris-HCl(pH8.0)
に溶解した。この溶液を、4℃、20000rpm (55
000×G)にて30分間遠心し、沈殿を得た。この沈
殿を500μlの50mM Tris-HCl(pH7.5)に溶解
し、氷上で15秒間超音波処理し、260nmの吸光度に
より測定した場合、合計250μgのDNA を含有するウ
イルス粒子を得た。
【0048】このウイルス粒子を、10mM Tris-HCl
(pH7.8),5mM EDTA及び0.5%SDS を含有する
溶液中で50μg/mlのプロティネースKと共に37℃
にて一夜保温することによりウイルスDNA を抽出した。
この反応混合物をフェノール/クロロホルムで3回抽出
し、そして水飽和ジエチルエーテルで2回抽出した後、
エタノール沈殿によりDNA を沈殿せしめた。このDNA を
TEに溶解して一夜放置した後、トランスフェクションの
材料として使用した。
(pH7.8),5mM EDTA及び0.5%SDS を含有する
溶液中で50μg/mlのプロティネースKと共に37℃
にて一夜保温することによりウイルスDNA を抽出した。
この反応混合物をフェノール/クロロホルムで3回抽出
し、そして水飽和ジエチルエーテルで2回抽出した後、
エタノール沈殿によりDNA を沈殿せしめた。このDNA を
TEに溶解して一夜放置した後、トランスフェクションの
材料として使用した。
【0049】直径3.5cmのプラスチックシャーレにCV
−1細胞をコンフルエントに増殖させ、この細胞にIBT
依存性ワクシニアウイルスWR株をm.o.i. 0.1で感染
せしめ、1時間後に、リポフェクチン法により沈殿せし
めた。前記のワクシニアウイルス野生型WR株の10μg
のゲノムDNA と、実施例3で作成した10μgの組換え
プラスミド8種類のうちのいずれかとを混合して前記細
胞にDNA を導入した。37℃にて48時間保温し、プラ
ーク形成せしめた。
−1細胞をコンフルエントに増殖させ、この細胞にIBT
依存性ワクシニアウイルスWR株をm.o.i. 0.1で感染
せしめ、1時間後に、リポフェクチン法により沈殿せし
めた。前記のワクシニアウイルス野生型WR株の10μg
のゲノムDNA と、実施例3で作成した10μgの組換え
プラスミド8種類のうちのいずれかとを混合して前記細
胞にDNA を導入した。37℃にて48時間保温し、プラ
ーク形成せしめた。
【0050】これに0.5%ニワトリ赤血球、及びPBS
溶液を加え、赤く染色しないプラークを選択した。相同
性組換えにより生じた組換えワクシニアウイルスは、HA
遺伝子が欠損しているので赤血球を凝集しない。単一プ
ラークを単離し、2回クローニングして組換えワクシニ
アウイルスを純化し、各プラスミドに対応する組換えワ
クシニアウイルスを得た。
溶液を加え、赤く染色しないプラークを選択した。相同
性組換えにより生じた組換えワクシニアウイルスは、HA
遺伝子が欠損しているので赤血球を凝集しない。単一プ
ラークを単離し、2回クローニングして組換えワクシニ
アウイルスを純化し、各プラスミドに対応する組換えワ
クシニアウイルスを得た。
【0051】実施例5 組換えウイルスによるCAT の発現 本発明の組換えウイルス、並びに特開平2−18699
2に記載のベクターpSFA1.pSFA3,pSFB1,pSFB4及
びpSFB5(36bpの合成7.5Kプロモーターを5個含
むベクター)にCAT 遺伝子を組込んだプラスミドから得
られた組換えウイルスを用いて、DNA 複製阻害剤である
アラビノシルシトシン(Ara −C)を40μg/mlの濃
度で含有する培地、及びAra −Cを含有しない培地での
CAT の発現を調べた。なおAra −CはDNA の複製を阻害
するため、その存在下ではウイルスDNA の複製が阻害さ
れ、その結果ウイルスDNA の複製後にのみ機能する後期
プロモーターによるCAT 遺伝子の発現が抑制される。
2に記載のベクターpSFA1.pSFA3,pSFB1,pSFB4及
びpSFB5(36bpの合成7.5Kプロモーターを5個含
むベクター)にCAT 遺伝子を組込んだプラスミドから得
られた組換えウイルスを用いて、DNA 複製阻害剤である
アラビノシルシトシン(Ara −C)を40μg/mlの濃
度で含有する培地、及びAra −Cを含有しない培地での
CAT の発現を調べた。なおAra −CはDNA の複製を阻害
するため、その存在下ではウイルスDNA の複製が阻害さ
れ、その結果ウイルスDNA の複製後にのみ機能する後期
プロモーターによるCAT 遺伝子の発現が抑制される。
【0052】RK13細胞を直径6cmのプラスチックシャ
ーレ中でコンフルエントに増殖せしめ、前記ウイルスを
m.o.i. 10で感染させた後、24時間、36時間、4
8時間培養し、細胞を回収した。各培養からの細胞を5
00μlの0.25M Tris-HCl(pH7.8),0.5
% TritonX −100に懸濁し、この懸濁液を用いてCA
T 活性を測定した。反応組成は 5μl 細胞懸濁液 70μl 1M Tris-HCl(pH7.8) 54μl 蒸留水 20μl 4mM アセチルCoA 1μl 14C−クロラムフェニコール(NEN 社製、
0.1mCi /ml) とした。
ーレ中でコンフルエントに増殖せしめ、前記ウイルスを
m.o.i. 10で感染させた後、24時間、36時間、4
8時間培養し、細胞を回収した。各培養からの細胞を5
00μlの0.25M Tris-HCl(pH7.8),0.5
% TritonX −100に懸濁し、この懸濁液を用いてCA
T 活性を測定した。反応組成は 5μl 細胞懸濁液 70μl 1M Tris-HCl(pH7.8) 54μl 蒸留水 20μl 4mM アセチルCoA 1μl 14C−クロラムフェニコール(NEN 社製、
0.1mCi /ml) とした。
【0053】この反応混合物を37℃にて10分間保温
した後、ただちに酢酸エチルによりクロラムフェニコー
ル及びアセチル化されたクロラムフェニコールを抽出し
て反応を停止した。抽出物を薄層クロマトグラフィーに
より分離し、オートラジオグラフィーにかけてスポット
の位置を確認した。それぞれのスポットの放射能を液体
シンチレーションカウンターのより測定し、アセチル化
されたクロラムフェニコールの比率を求め、これをCAT
活性とした。この結果を表1及び表2に示す。
した後、ただちに酢酸エチルによりクロラムフェニコー
ル及びアセチル化されたクロラムフェニコールを抽出し
て反応を停止した。抽出物を薄層クロマトグラフィーに
より分離し、オートラジオグラフィーにかけてスポット
の位置を確認した。それぞれのスポットの放射能を液体
シンチレーションカウンターのより測定し、アセチル化
されたクロラムフェニコールの比率を求め、これをCAT
活性とした。この結果を表1及び表2に示す。
【0054】
【表1】
【0055】数字はアセチル化されたクロラムフェニコ
ールの比率(%)を示す。ベクターはCAT 遺伝子を挿入
したプラスミド名を示す。Ara −C非存在下でのCAT 活
性はATI プロモーター及び合成プロモーターの両者によ
る発現の結果を表し、Ara −C存在下でのCAT 活性は合
成プロモーターによる発現の結果を表す。本発明のプロ
モーターを含むベクターは合成プロモーターの個数に依
存してその発現を高くすることができた。特に、AraC存
在下の発現はpSFJ1−10,pSFJ1−16で高く、HA遺
伝子と逆方向のプロモーター配列で前期遺伝子の発現が
高められる。AraC非存在下では、pSFJ2−16及びpSFJ
2−38のベクターで発現が高い。従って、前期遺伝子
の発現を高めたい際にはpSFJ1−10又はpSFJ1−16
を用いるのが望ましく、全体の発現量を高めたい際には
pSFJ2−16又はpSFJ2−38を用いることが望ましい
が、これに限らない。
ールの比率(%)を示す。ベクターはCAT 遺伝子を挿入
したプラスミド名を示す。Ara −C非存在下でのCAT 活
性はATI プロモーター及び合成プロモーターの両者によ
る発現の結果を表し、Ara −C存在下でのCAT 活性は合
成プロモーターによる発現の結果を表す。本発明のプロ
モーターを含むベクターは合成プロモーターの個数に依
存してその発現を高くすることができた。特に、AraC存
在下の発現はpSFJ1−10,pSFJ1−16で高く、HA遺
伝子と逆方向のプロモーター配列で前期遺伝子の発現が
高められる。AraC非存在下では、pSFJ2−16及びpSFJ
2−38のベクターで発現が高い。従って、前期遺伝子
の発現を高めたい際にはpSFJ1−10又はpSFJ1−16
を用いるのが望ましく、全体の発現量を高めたい際には
pSFJ2−16又はpSFJ2−38を用いることが望ましい
が、これに限らない。
【0056】
【表2】
【0057】数字は前記反応混合物をSDS −ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動後、クマシーブルー染色後 CAT蛋
白に相当するバンドをレーザー測定し、全蛋白量中のCA
T 蛋白の占める割合について24時間、36時間、48
時間について行なったものである。数字はその全蛋白量
中の割合(%)を示す。
ルアミドゲル電気泳動後、クマシーブルー染色後 CAT蛋
白に相当するバンドをレーザー測定し、全蛋白量中のCA
T 蛋白の占める割合について24時間、36時間、48
時間について行なったものである。数字はその全蛋白量
中の割合(%)を示す。
【0058】
【配列表】 配列番号:1 配列の長さ:38 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖又は二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列: AAAAATTGAA AAACTAGTCT AATTTATTGC ACGGTGTG 38
【0059】配列番号:2 配列の長さ:38 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖又は二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列: CCGTGCAATA AATTAGACTA GTTTTTCAAT TTTTCACA 38
【0060】配列番号:3 配列の長さ:16 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖又は二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列: GATCCCATTG TGCTGG 16
【0061】配列番号:4 配列の長さ:16 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖又は二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列: GATCCCAGCA CAATGG 16
【0062】配列番号:5 配列の長さ:43 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列: GGATCCCATT GTGCTGGGAT CCCCGGGTAC CGAGCTCGAA TTC 43
【図1】図1は、プラスミドpSFJ1及びpSFJ2の作製過
程並びにpSFJ1−1,pSFJ1−4,pSFJ1−10,pSFJ
1−16,pSFJ1−20,pSFJ2−2,pSFJ2−16及
びpSFJ2−38の作製過程を示す。
程並びにpSFJ1−1,pSFJ1−4,pSFJ1−10,pSFJ
1−16,pSFJ1−20,pSFJ2−2,pSFJ2−16及
びpSFJ2−38の作製過程を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:91) (72)発明者 志田 壽利 京都府京都市左京区岩倉三宅町303−2
Claims (5)
- 【請求項1】 ATI プロモーター及び前期発現プロモー
ター配列を含んでなるポックスウイルスプロモーターで
あって、該プロモーターの下流に外来構造遺伝子が連結
された場合に該構造遺伝子をウイルス感染前期及び後期
にわたって発現することができるプロモーター。 - 【請求項2】 ATI プロモーター及び、以下の配列
(I)をこの順序で含んでなる、請求項1に記載のプロ
モーター。 【化1】 - 【請求項3】 上記配列が1〜38個存在する、請求項
1又は2に記載のプロモーター。 - 【請求項4】 請求項1に記載のプロモーターが組み込
まれたポックスウイルス血球凝集素(HA)遺伝子を含ん
で成るベクター。 - 【請求項5】 請求項1に記載のプロモーター、及び該
プロモーターの下流に連結された外来遺伝子を含んで成
るワクシニアウイルス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5008424A JPH06237773A (ja) | 1992-12-22 | 1993-01-21 | ポックスウイルスのa型封入体(ati)プロモーター及び前期プロモーターを含んで成る外来遺伝子発現ベクター |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4-342362 | 1992-12-22 | ||
JP34236292 | 1992-12-22 | ||
JP5008424A JPH06237773A (ja) | 1992-12-22 | 1993-01-21 | ポックスウイルスのa型封入体(ati)プロモーター及び前期プロモーターを含んで成る外来遺伝子発現ベクター |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06237773A true JPH06237773A (ja) | 1994-08-30 |
Family
ID=26342935
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5008424A Pending JPH06237773A (ja) | 1992-12-22 | 1993-01-21 | ポックスウイルスのa型封入体(ati)プロモーター及び前期プロモーターを含んで成る外来遺伝子発現ベクター |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06237773A (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000014262A3 (en) * | 1998-09-09 | 2000-06-29 | Genzyme Corp | Methylation of plasmid vectors |
JP2002517189A (ja) * | 1998-06-03 | 2002-06-18 | アメリカン・サイアナミド・カンパニー | Rnaウイルスの新規レスキュー方法 |
WO2006038742A1 (ja) * | 2004-10-08 | 2006-04-13 | Post Genome Institute Co., Ltd. | 組み換えウイルスおよびその用途 |
WO2009110644A1 (ja) | 2008-03-07 | 2009-09-11 | 財団法人東京都医学研究機構 | C型肝炎ウイルス遺伝子を有する組換えワクシニアウイルス |
WO2012050229A1 (ja) | 2010-10-15 | 2012-04-19 | 財団法人東京都医学総合研究所 | 新型インフルエンザウイルス由来ヘマグルチニンタンパク質遺伝子を有する組換えワクシニアウイルス |
JP2013220076A (ja) * | 2012-04-18 | 2013-10-28 | Chemo-Sero-Therapeutic Research Inst | 新型インフルエンザウイルス由来ヘマグルチニンタンパク質遺伝子が組み込まれたb5r遺伝子欠損組換えワクシニアウイルス |
WO2019069561A1 (ja) | 2017-10-03 | 2019-04-11 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 | インフルエンザに対する医薬 |
WO2020100990A1 (ja) | 2018-11-14 | 2020-05-22 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 | 新型インフルエンザウイルス由来ヘマグルチニンタンパク質遺伝子を有するDIs株由来組換えワクシニアウイルス |
-
1993
- 1993-01-21 JP JP5008424A patent/JPH06237773A/ja active Pending
Cited By (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002517189A (ja) * | 1998-06-03 | 2002-06-18 | アメリカン・サイアナミド・カンパニー | Rnaウイルスの新規レスキュー方法 |
EP1832657A1 (en) * | 1998-09-09 | 2007-09-12 | Genzyme Corporation | Methylation of plasmid vectors |
WO2000014262A3 (en) * | 1998-09-09 | 2000-06-29 | Genzyme Corp | Methylation of plasmid vectors |
JP4665122B2 (ja) * | 2004-10-08 | 2011-04-06 | 財団法人 東京都医学研究機構 | 組み換えウイルスおよびその用途 |
JP2006101840A (ja) * | 2004-10-08 | 2006-04-20 | Tokyoto Igaku Kenkyu Kiko | 組み換えウイルスおよびその用途 |
WO2006038742A1 (ja) * | 2004-10-08 | 2006-04-13 | Post Genome Institute Co., Ltd. | 組み換えウイルスおよびその用途 |
WO2009110644A1 (ja) | 2008-03-07 | 2009-09-11 | 財団法人東京都医学研究機構 | C型肝炎ウイルス遺伝子を有する組換えワクシニアウイルス |
WO2012050229A1 (ja) | 2010-10-15 | 2012-04-19 | 財団法人東京都医学総合研究所 | 新型インフルエンザウイルス由来ヘマグルチニンタンパク質遺伝子を有する組換えワクシニアウイルス |
JP2016178945A (ja) * | 2010-10-15 | 2016-10-13 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 | 新型インフルエンザウイルス由来ヘマグルチニンタンパク質遺伝子を有する組換えワクシニアウイルス |
JP6013185B2 (ja) * | 2010-10-15 | 2016-10-25 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 | 新型インフルエンザウイルス由来ヘマグルチニンタンパク質遺伝子を有する組換えワクシニアウイルス |
JP2013220076A (ja) * | 2012-04-18 | 2013-10-28 | Chemo-Sero-Therapeutic Research Inst | 新型インフルエンザウイルス由来ヘマグルチニンタンパク質遺伝子が組み込まれたb5r遺伝子欠損組換えワクシニアウイルス |
WO2019069561A1 (ja) | 2017-10-03 | 2019-04-11 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 | インフルエンザに対する医薬 |
WO2020100990A1 (ja) | 2018-11-14 | 2020-05-22 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 | 新型インフルエンザウイルス由来ヘマグルチニンタンパク質遺伝子を有するDIs株由来組換えワクシニアウイルス |
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