JPH06235155A - マット状成形体の拡厚装置 - Google Patents

マット状成形体の拡厚装置

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JPH06235155A
JPH06235155A JP2239793A JP2239793A JPH06235155A JP H06235155 A JPH06235155 A JP H06235155A JP 2239793 A JP2239793 A JP 2239793A JP 2239793 A JP2239793 A JP 2239793A JP H06235155 A JPH06235155 A JP H06235155A
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thickening
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博秀 小川
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隆男 長谷川
Hiroaki Uno
博明 宇野
Rikizo Tanaka
利喜蔵 田中
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Toyota Boshoku Corp
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】所定値に拡厚できるマット状成形体を製造でき
る拡厚装置の提供。 【構成】無機繊維80と熱可塑性樹脂繊維81とを所定
量混合しシート状に形成された複合繊維マット82と、
該複合繊維マット82の両面に配置され該複合繊維マッ
ト82を挟持する2枚の熱可塑性樹脂フィルム85、8
6とを、所定の温度に加熱し加圧部96により厚み方向
に加圧し、該熱可塑性樹脂繊維81および該熱可塑性樹
脂フィルム85、86の一部より溶融した熱可塑性樹脂
を各該繊維80、81の隙間に含浸させ、一体化した成
形体8に対し、加圧解除後、拡厚する装置1において、
挟持する方向およびその逆方向に移動可能に保持された
一対の拡厚板部材2、3と、駆動部4と、成形体8の当
接面8a、8bを吸引する吸引部5と、該拡厚板部材
2、3の温度を個々に温度制御できる温度制御部6、7
とを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等の車室内の天
井材等として用いられるマット状成形体を、その製造時
に所定の厚さに拡厚する拡厚装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車の天井材として軽量で耐熱
性、機械的強度、吸音性、熱賦形性が優れたマット状成
形体(熱成形用複合材料)を得るため、その製造時に基
材となる繊維マットに対し、繊維の隙間に溶融した熱可
塑性樹脂を加圧により含浸させ、加圧を解除した後、引
き続き前記加圧方向と逆方向に拡厚し、加圧による押し
潰れを回復させて嵩高くして規定の厚さにする方法が知
られている。
【0003】例えば、特開昭64−77664号公報に
開示されている製造方法の場合には、まず無機繊維を主
体とするマット状物(繊維マット)の両面に、熱可塑性
樹脂フィルムを積層した積層シートが形成される。そし
て積層シートの両面には、熱可塑性樹脂が溶融状態では
融着するが非溶融状態では融着しない材質の板状体を当
接させる。この状態の積層シートは、加熱された後、板
状体を介して加圧され、熱可塑性樹脂フィルムの一部よ
り溶融した熱可塑性樹脂が前記繊維の隙間に含浸する。
これに引き続き前記加圧が解除されるとともに、溶融し
た熱可塑性樹脂が融着したままの一対の板状体を拡開し
てマット状物を規定の厚さに増大させる。次いで冷却
し、熱可塑性樹脂を固化させて一対の板状体への融着作
用を消失させ、かつ板状体を前記熱可塑性樹脂フィルム
より剥離するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記特開昭64−77
664号公報に開示された熱成形用複合材料(マット状
成形体)の製造方法では、所定値に拡厚したマット状成
形体を安定して製造することが難しいために、なお改良
の余地が残されている。つまり、本発明は、安定して所
定値に拡厚できるマット状成形体を製造できる拡厚装置
を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明者は、安定して拡厚
するため、拡厚時のマット状物の状態を詳しく調べ、マ
ット状物の温度管理が極めて重大であることを見出し
た。そしてマット状物を拡厚する拡厚板部材を厳密に温
度管理することにより所定値に拡厚されたマット状成形
体が得られることを確認し、本発明を完成した。
【0006】本発明のマット状成形体の拡厚装置は、無
機繊維と熱可塑性樹脂繊維とを所定量混合しシート状に
形成された複合繊維マットと、該複合繊維マットの両面
に配置され該複合繊維マットをサンドイッチ状に挟持す
る2枚の熱可塑性樹脂フィルムとを、所定の温度に加熱
した状態で加圧部により厚み方向に加圧し、該熱可塑性
樹脂繊維および該熱可塑性樹脂フィルムの一部より溶融
した熱可塑性樹脂を各該繊維の隙間に含浸させ、一体化
して得たマット状成形体に対し、該加圧を解除した後、
拡厚する拡厚装置において、前記拡厚装置は、該マット
状成形体を挟持する方向およびその逆方向に移動可能に
保持された一対の拡厚板部材と、一対の該拡厚板部材を
近接する方向および遠ざける方向に駆動させる駆動部
と、該拡厚板部材に設けられ挟持した該マット状成形体
の当接面を直接もしくは間接的に吸引する吸引部と、該
拡厚板部材の温度を個々に温度制御できる温度制御部と
をもつことを特徴とする。
【0007】拡厚装置は、一対の拡厚板部材と、駆動部
と、吸引部と、温度制御部とで構成される。一対の拡厚
板部材は、互いに対向する対向面をもつ一対の板状体で
構成する事ができる。これら対向面がマット状成形体を
厚さ方向に押圧あるいは拡厚する。一対の拡厚板部材
は、マット状成形体を挟持する方向およびその逆方向に
移動可能で、マット状成形体の当接面に対し吸引部の吸
引作用で直接もしくは間接的に融着し、温度制御部によ
って温度制御された状態で拡厚することができるもので
ある。
【0008】駆動部は、一対の拡厚板部材を近接する方
向および遠ざける方向に駆動させるもので、例えばエア
シリンダや油圧シリンダと、前記各シリンダ内を往復移
動可能に保持されたピストンロッドとで構成することが
できる。吸引部は、マット状成形体の当接面を拡厚板部
材に直接もしくは間接的に吸着するもので、例えば、拡
厚板部材に刻設され複数の吸着孔と、減圧ポンプ等の減
圧手段と、前記吸着孔と減圧ポンプとを接続する減圧通
路とで構成することができる。
【0009】温度制御部は、一対の拡厚板部材を個々に
温度制御できるもので、例えば、熱媒体を所定の温度に
加熱、保持する加熱装置と、拡厚板部材に対して加熱装
置から所定の温度の熱媒体を供給および回収する循環系
路と、循環系路の熱媒体を循環させるポンプ装置と、よ
りなる構成のものを用いることができる。前記熱媒体と
しては、例えば加熱された水、オイル等の液体を用いる
ことができる。下拡厚板部材の上面温度と、上拡厚板部
材の下面温度とを、温度差を保持した制御状態とするこ
ともできる。この場合には、例えば、上拡厚板を循環す
る熱媒体は加熱された水であり、下拡厚板を循環する熱
媒体は加熱されたオイルとすることができる。
【0010】また温度制御部によって制御される下拡厚
板部材の上面温度は、上拡厚板部材の下面温度よりも1
5℃〜40℃高く保たれていることが好ましい。この理
由としては、前記温度差が40℃を超過すると下拡厚板
部材の上面温度が上がり過ぎ、下側の熱可塑性樹脂フィ
ルムが過度に溶解してしまい、複合繊維マットから剥離
したり、フィルムに孔明きが発生する恐れがあるからで
ある。また前記温度差が15℃に満たないと、マット状
成形体は拡厚板部材の吸引部に吸着された当接面が早く
冷えて固化し前記吸引部に沿って盛り上がった形状とな
るため、平面形状を保持できず、均一に拡厚できないか
らである。
【0011】
【作用】本発明の拡厚装置は、マット状成形体の厚みを
増加する方向に拡厚する場合に用いられる。拡厚する対
象となるマット状成形体は、無機繊維と熱可塑性樹脂繊
維とを所定量混合しシート状に形成された複合繊維マッ
トと、複合繊維マットをサンドイッチ状に挟持する2枚
の熱可塑性樹脂フィルムとを、所定の温度に加熱した状
態で加圧部により厚み方向に加圧し、熱可塑性樹脂繊維
および熱可塑性樹脂フィルムの一部より溶融した熱可塑
性樹脂を各繊維の隙間に含浸させ、一体化して得たもの
である。
【0012】拡厚装置により前記マット状成形体を拡厚
する場合には、まず、拡厚装置の一対の拡厚板部材間に
前記加熱されたマット状成形体を挟持する。温度制御部
で温度を個々に適正に温度制御がなされた一対の拡厚板
部材を、前記マット状成形体を挟持するようにその当接
面に当接させ、吸引部で前記マット状成形体の当接面を
吸引した状態で駆動部により、一対の拡厚板部材を互い
に遠ざける方向に駆動させる。
【0013】このとき一対の拡厚板部材は、適正な温度
に保持されてマット状成形体の当接面に直接または間接
的に当接する。このためマット状成形体は、前記当接面
および内部の複合繊維の隙間に含浸された溶融状態にあ
る熱可塑性樹脂に対し加熱温度の過不足を発生させず、
溶融状態を保持させた状態で、加圧による押し潰れを回
復させ得るとともに、嵩高くなり所定の厚さに拡厚でき
る。
【0014】なお、拡厚されたマット状成形体は、引き
続き後工程の冷却装置で冷却され、前記溶融状態にあっ
た熱可塑性樹脂が固化することにより所定の厚さを保持
できる硬度となる。
【0015】
【実施例】本発明のマット状成形体の拡厚装置の実施例
を図1〜5に基づいて説明する。実施例の拡厚装置1
は、製造ラインA(図1参照)に設置されて使用され
る。この拡厚装置1は、図2、3に示されるように下部
拡厚板部材2と、上部拡厚板部材3と、駆動部4と、吸
引部5と、第1温度制御部6と、第2温度制御部7とよ
りなり、予め前工程で一体化され圧縮された状態にある
マット状成形体8を一対の搬送ベルト9、9で挟持した
状態で拡厚するものである。
【0016】下部拡厚板部材2および上部拡厚板部材3
は、予めマット状成形体8の拡厚対象となる上面および
下面一部の領域面(所定幅および所定の長さよりなる面
積)に対して、それぞれ各搬送ベルト9を介して当接す
る上面20および下面30をもつ。下部拡厚板部材2
は、図略の基台に固定保持されている。上部拡厚板部材
3は、上下往復移動できるように駆動部4に連結されて
いる。
【0017】駆動部4は、油圧シリンダ40と、一端が
油圧シリンダ40内を往復移動するピストンロッド41
とで構成され、ピストンロッド41の下端31に上部拡
厚板部材3が連結保持されている。この駆動部4は、外
部からの操作により指令され、下部拡厚板部材2に対
し、上部拡厚板部材3を近接する下方向および遠ざける
上方向に駆動させることができ、かつその駆動時期およ
び駆動方向、駆動量を制御できるものである。駆動部4
による上部拡厚板3の上下方向の移動速度は約1mm/
secに設定されている。
【0018】吸引部5は、下部拡厚板部材2および上部
拡厚板部材3にそれぞれ同じものが設けられる。吸引部
5は、下部拡厚板部材2の上面20および上部拡厚板部
材3の下面30に刻設されて開口する多数の吸引孔50
(図2参照)と、減圧ポンプ53と、一端が前記各吸引
孔50に連通し、他端が前記減圧ポンプ53に図略の圧
力調整バルブを介して連通する減圧通路52とよりな
る。
【0019】第1温度制御部6は、熱媒体としてオイル
を目的の温度に加熱し、図略のポンプにより所定の流速
で送出および回収する加熱制御装置60と、下部拡厚板
部材2の内部に形成された熱作用通路62と、一端が加
熱制御装置60に連通し他端が熱作用通路62に連通す
る加熱オイル供給通路61と、一端が熱作用通路62に
連通し他端が加熱制御装置60に連通する加熱オイル戻
し通路63とよりなる。
【0020】この第1温度制御部6の加熱オイルによる
下部拡厚板部材2の上面20の制御温度範囲は60℃〜
195℃であり、本実施例では、マット状成形体8の下
側当接面8aへの当接時に140℃となるように設定さ
れる。第2温度制御部7は、熱媒体として水を目的の温
度に加熱し、図略のポンプにより所定の流速で送出およ
び回収する加熱制御装置70と、上部拡厚板部材3の内
部に形成された熱作用通路72と、一端が加熱制御装置
70に連通し他端が熱作用通路72に連通する加熱温水
供給通路71と、一端が熱作用通路72に連通し他端が
加熱制御装置70に連通する加熱温水戻し通路73とよ
りなる。
【0021】この第2温度制御部7の加熱温水による上
部拡厚板部材3の下面30の制御温度範囲は30℃〜1
30℃であり、本実施例では、マット状成形体8の上側
当接面8bへの当接時に110℃となるように設定され
る。また、複合繊維マット82はロール状巻取り芯体8
2Aにロール状に巻取り軸支され、帯状に所定量送り出
しできるようになっている。
【0022】複合繊維マット82は、予め別工程でガラ
ス繊維80とポリエチレン繊維81とを所定量混合しシ
ート状に形成され幅1400mm、カット長80m、厚
み約2mm、目付量平均800g/m2 のものである。
前記ガラス繊維80は、繊維長さ70mm、繊維径13
μmである。ポリエチレン繊維81は、繊維長さ51m
m、デニール6d/f、融点130℃のものである。ガ
ラス繊維80とポリエチレン繊維81の混合比は5:2
である。
【0023】第1ポリエチレンフィルム85、第2ポリ
エチレンフィルム86は、幅1400mm、カット長8
0m、厚さ130μm、目付量250g/m2 、融点1
40℃のものである。これら第1ポリエチレンフィルム
85、第2ポリエチレンフィルム86はロール状巻取り
芯体85A、86Aにロール状に巻取られて軸支されて
いる。そして帯状に所定量送り出しできるように、前記
ロール状巻取り芯体82Aの下位置および上位置に配置
されている。
【0024】一対の搬送ベルト9、9は、テフロン(商
標)製の厚さ0.5mmのシートよりなるエンドレス状
のものである。搬送ベルト9、9は、複合繊維マット8
2の下面83と上面84とに積層される第1ポリエチレ
ンフィルム85と第2ポリエチレンフィルム86に対
し、その一部が溶融した溶融ポリエチレンに融着する
が、非溶融状態にあるときには融着しない特性をもつ。
【0025】これら一対の搬送ベルト9は各ロール状巻
取り芯体85A、82A、86Aより水平に送り出され
た帯状の第1ポリエチレンフィルム85、複合繊維マッ
ト82、第2ポリエチレンフィルム86の上下に配設さ
れている。各搬送ベルト9は、水平位置の側面(図1参
照)よりみて、台形および逆台形の軌跡を描いてリング
状に回転するように、それぞれ配設された入口側大径ロ
ーラ91および出口側大径ローラ92と、入口側小径ロ
ーラ93および出口側小径ローラ94とで回動可能に保
持されている。これら一対の搬送ベルト9の台形状の底
部に該当する部分の間隙は約20mmに保持されてい
る。またおのおの搬送ベルト9により囲まれた内周側の
空間には、加熱炉95、加圧プレス96、拡厚装置1、
冷却装置97の順に配置されている。なお、これに引き
続く製造ラインAの後部には、マット状成形体8の定長
切断装置98、サイドカット装置99、計量検査装置1
00が配設されている。
【0026】以下、製造ラインAの稼働時における拡厚
装置1の作用を説明する。製造ラインAの稼働時には、
一対の搬送ベルト9、9がマット状成形体8の搬送方向
に所定量回転移動し、図1に示される加熱炉95、加圧
プレス96、拡厚装置1、冷却装置97、定長切断装置
98の各位置で順に一時的に停止する。これに伴ない加
熱炉95、加圧プレス96、拡厚装置1、冷却装置9
7、定長切断装置98は同期して同時に作動する。この
作動が終わると各搬送ベルト9の回転移動が再開され
る。すなわち前記搬送ベルト9の回転移動および回転移
動停止と、加熱炉95、加圧プレス96、拡厚装置1、
冷却装置97、定長切断装置98の作動および作動停止
とは、断続的に行われ、前記材料が所定のサイズのマッ
ト状成形体8として製造されるまで繰り返される。
【0027】初めに加熱炉95では、製造ラインAの先
頭位置に配設されたロール状巻取り体85A、82A、
86Aより各々帯状に所定量送り出された第1ポリエチ
レンフィルム85、複合繊維マット82、第2ポリエチ
レンフィルム86が搬送ベルト9によりサンドイッチ状
の積層体として挟持されて200℃で約2分間加熱され
る。するとこの積層体は、複合繊維マット82のポリエ
チレン繊維81の一部と、第1ポリエチレンフィルム8
5および第2ポリエチレンフィルム86の一部が溶融
し、溶融ポリエチレンとなる。
【0028】加圧プレス96では、前記加熱炉95より
搬送された積層体に対し、上部加圧板部材96bを約1
mm/secの移動速度で下部加圧板部材96aに接近
する方向に作動させる。すると積層体は、各搬送ベルト
9を介して下部加圧板部材96aと、上部加圧板部材9
6bとにより挟圧され、約4kg/cm2 の圧力で所定
の時間、加圧圧縮される。これによって前記溶融ポリエ
チレンは、ガラス繊維80およびポリエチレン繊維81
の隙間に含浸されて両者を融着するとともに、複合繊維
マット82と第1ポリエチレンフィルム85および第2
ポリエチレンフィルム86の内側面を融着する。またこ
のとき第1ポリエチレンフィルム85および第2ポリエ
チレンフィルム86の外側面と各搬送ベルト9とは溶融
ポリエチレンによって融着する。
【0029】従って、複合繊維マット82と、その上下
よりサンドイッチ状に積層した第1ポリエチレンフィル
ム85および第2ポリエチレンフィルム86とが一体化
しマット状成形体8となる。この後、加圧プレス96の
作動が停止され前記加圧が解除される。このときのマッ
ト状成形体8の厚さは、約2mmである。拡厚装置1で
は、前記加圧プレス96より各搬送ベルト9の移動に伴
って下部拡厚板部材2と上部拡厚板部材3との間に、約
180℃のマット状成形体8が搬送される。なお、予め
下部拡厚板部材2の上面20の温度は第1温度制御部6
により140℃に設定され、上部拡厚板部材3の下面3
0の温度は第2温度制御部7により110℃に設定さ
れ、両者の温度差は30℃に設定される。
【0030】この状態で駆動部4が駆動される。駆動部
4の駆動に伴って、ピストンロッド41がシリンダー4
0より所定量送り出される。すると、上部拡厚板部材3
はピストンロッド41に連動して下部拡厚板部材2に接
近する方向に移動し、下部拡厚板部材2とで前記マット
状成形体8を挟持する。このためマット状成形体8は、
第1ポリエチレンフィルム85で形成された下側当接面
8aおよび第2ポリチレンフィルム86で形成された上
側当接面8bが、それぞれ各搬送ベルト9を介して下拡
厚板部材2の上面20および上拡厚板部材3の下面30
に当接する。
【0031】引き続き拡厚装置1の吸引部5を作動させ
る。すると下部拡厚板部材2の上面20および上部拡厚
板部材3の下面30に搬送ベルト9が吸着、保持され
る。このときマット状成形体8の下側当接面8aおよび
上側当接面8bは、温度制御がなされた下部拡厚板部材
2の上面20および上部拡厚板部材3の下面30から熱
伝導により、前記溶融ポリエチレンの各搬送ベルト9へ
の融着状態を良好に保持される。
【0032】この状態で駆動部4が駆動され、ピストン
ロッド41をシリンダー40内に所定量引き戻す。する
と、上部拡厚板部材3は、下拡厚板部材2より遠ざかる
方向に搬送ベルト9を伴って移動する。かつ下拡厚板部
材2に吸着、当接した搬送ベルト9と、上部拡厚板部材
3に吸着、当接した搬送ベルト9とは、相対移動し互い
に間隔を広げる。このときマット状成形体8は、下側当
接面8aおよび上側当接面8bが溶融ポリエチレンの融
着作用により各搬送ベルト9に融着されているため、各
搬送ベルト9の移動に伴って引っ張られ拡厚される。拡
厚後の厚みは約5mmで拡厚前の厚み約2mmに対し、
2.5倍に拡厚できる。この後、吸引部5の作動を停止
すると、下部拡厚板部材2および上部拡厚板部材3の搬
送ベルト9への吸着作用が解除される。
【0033】冷却装置97では、前記拡厚装置1で拡厚
されたマット状成形体8を、約1分30秒間、冷却し
た。なお、冷却装置97としては、マット状成形体8の
前部および後部を水冷ジャケット方式および両面冷風吹
付潤滑方式が用いられている。マット状成形体8は、冷
却に伴って溶融ポリエチレンが固化することによって、
前記拡厚後の厚さを保持できるとともに、下側当接面8
aおよび上側当接面8bが各搬送ベルト9より剥離す
る。
【0034】次いで冷却された後のマット状成形体8
は、定長切断装置98で所定の長さに切断されるととも
に、サイドカット装置99により側面を切断された後、
計量検査装置100により、計量検査され合格、不合格
の判定がなされ、合格したものが完成製品8Bとなる。
本実施例のマット状成形体の拡厚装置1は、上部拡厚板
部材2および上部拡厚板部材3の温度を第1温度制御部
6および第2温度制御部7によって制御することができ
る。
【0035】このためマット状成形体8は、拡厚装置1
で拡厚されるとき、複合繊維マット82のポリエチレン
繊維81の一部と、第1ポリエチレンフィルム85およ
び第2ポリエチレンフィルム86の一部より溶融した溶
融ポリエチレンの温度が、適正な温度の上部拡厚板部材
2および上部拡厚板部材3からの熱伝導によって過不足
なく保持された状態で均一に拡厚できる。
【0036】すなわちマット状成形体8は、上部拡厚板
部材2および上部拡厚板部材3に当接した領域で、複合
繊維マット82と、第1ポリエチレンフィルム85およ
び第2ポリエチレンフィルム86との溶融ポリエチレン
による融着状態が良好に保持でき、融着状態の悪いこと
により生ずる剥離現象を解消できる。また複合繊維マッ
ト82を形成するガラス繊維80とポリエチレン繊維8
1とは、その隙間に予め加圧プレス96で含浸された溶
融ポリエチレンの温度低下がなく固化しない状態でマッ
ト状成形体8を拡厚できるため、拡厚時に各繊維80、
81に過剰な張力がかかって切断するような不具合を解
消できる。
【0037】従って、拡厚後に溶融ポリエチレンが冷却
され固化したとき、マット状成形体8は拡厚前の厚さ約
2mmに対し、2.5倍の約5mmに均一に拡厚された
状態を保持でき、かつ嵩高く、軽量であってもその強度
を向上させ得ることができる。またマット状成形体8を
低目付に設定した場合であっても、拡厚後の強度を低下
させることなく、保持できる。 (曲げ試験)前記実施例の効果として、マット状成形体
8を拡厚後その強度を高めることができる下拡厚板部材
2と上部拡厚板部材3との温度差の有効範囲を確認する
ため、比較例として上部拡厚板部材3の温度を95℃、
100℃、120℃、130℃、140℃、150℃の
6種類に設定した比較例1〜6により拡厚して得た各テ
ストサンプルと、前記実施例の110℃に設定したテス
トサンプルとを下記のような条件で曲げ試験を実施し、
その結果を表1および図5に示す。なお、下拡厚板部材
2の温度は前記実施例と同じ140℃である。
【0038】また各テストサンプルは、それぞれ前記拡
厚工程および冷却工程をへて得られたマット状成形体8
を、試験片として縦50mm×横150mmのサイズに
切取ったものである。曲げ試験に用いる装置は、図4に
示されるように一定間隔Llを隔てて垂直に固定保持さ
れ先端部が円弧に形成された2個の載置部材と、同じく
先端部が円弧に形成された押圧部材とよりなる。そして
2個の載置部材の先端部に載置された各サンプルを、前
記間隔Llの1/2の間隔L2位置で、押圧部材により
下記の条件で押圧して、その結果を確認したものであ
る。 (条件)各サンプルの上面から所定の圧縮速度で荷重を
加え最大荷重を求めた。また得られた数値は、表1およ
び図5のとおりである。なお、図5に示す白四角印は縦
の平均値、白三角印は横の平均値、黒丸印は白四角印と
白三角印との値を平均した平均値である。
【0039】
【表1】 前記曲げ試験の結果、表1に示されるような数値が得ら
れた。
【0040】この結果、各テストサンプルの縦、横を集
計した全体平均値は、下拡厚板部材2と上部拡厚板部材
3との温度差が45℃の比較例1、40℃の比較例2、
30℃の本実施例、20℃の比較例3、10℃の比較例
4で1.40(単位kgf/50mm)以上の強度が得ら
れることが判明した。
【0041】
【発明の効果】本発明のマット状成形体の拡厚装置は、
拡厚対象となるマット状成形体に対しその当接面に当接
し拡厚する一対の拡厚板部材の温度を制御することがで
きる。このため、一対の拡厚板部材は、適正な温度に保
持されてマット状成形体の当接面に当接するため、マッ
ト状成形体は、当接面および内部の複合繊維の隙間に含
浸された溶融状態にある熱可塑性樹脂に対し加熱温度の
過不足を発生させず、溶融状態を保持させた状態で、加
圧による押し潰れを回復させ得るとともに、嵩高くで
き、所定の厚さに拡厚できる。
【0042】従って、マット状成形体に対し、拡厚板部
材が当接した領域で均一に、かつ目的とする厚さに拡厚
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における拡厚装置を製造ラインに組入れ
た状態を示す作業工程図である。
【図2】図1における要部を拡大して示すとともに、拡
厚装置によりがマット状成形体を拡厚する前の状態を示
す部分拡大図である。
【図3】図1における要部を拡大して示すとともに、拡
厚装置によりがマット状成形体を拡厚する状態を示す部
分拡大図である。
【図4】実施例の拡厚装置によって拡厚された後のマッ
ト状成形体を、曲げ試験対象として評価する場合の試験
片および試験装置を示す断面図である。
【図5】図4における試験装置で試験された試験片の最
大曲げ荷重と、拡厚装置の拡厚板部材の温度との関係を
示す図である。
【符号の説明】
1…拡厚装置 2…下部拡厚板部材 3…上部拡厚板部
材 4…駆動部 5…吸引部 6…第1温度制御部
7…第2温度制御部 60、70…加熱制御装置 61…加熱オイル
供給通路 71…加熱温水供給通路 62、72…熱作
用通路 63…加熱オイル戻し通路 73…加熱
温水戻し通路 8…マット状成形体 80…ガラス繊維
81…ポリエチレン繊維 82…複合繊維マット 85…第1ポリエチレン
フィルム 86…第2ポリエチレンフィルム 9…搬送ベルト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宇野 博明 愛知県刈谷市豊田町1丁目1番地 豊田紡 織株式会社内 (72)発明者 田中 利喜蔵 滋賀県大津市大平1丁目12の12

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機繊維と熱可塑性樹脂繊維とを所定量混
    合しシート状に形成された複合繊維マットと、該複合繊
    維マットの両面に配置され該複合繊維マットをサンドイ
    ッチ状に挟持する2枚の熱可塑性樹脂フィルムとを、所
    定の温度に加熱した状態で加圧部により厚み方向に加圧
    し、該熱可塑性樹脂繊維および該熱可塑性樹脂フィルム
    の一部より溶融した熱可塑性樹脂を各該繊維の隙間に含
    浸させ、一体化して得たマット状成形体に対し、該加圧
    を解除した後、拡厚する拡厚装置において、 前記拡厚装置は、該マット状成形体を挟持する方向およ
    びその逆方向に移動可能に保持された一対の拡厚板部材
    と、一対の該拡厚板部材を近接する方向および遠ざける
    方向に駆動させる駆動部と、該拡厚板部材に設けられ挟
    持した該マット状成形体の当接面を直接もしくは間接的
    に吸引する吸引部と、該拡厚板部材の温度を個々に温度
    制御できる温度制御部とをもつことを特徴とするマット
    状成形体の拡厚装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007521162A (ja) * 2003-06-30 2007-08-02 オウェンス コーニング 熱可塑性繊維のブランケット用表面処理
JP2010156076A (ja) * 2008-12-26 2010-07-15 Kao Corp 不織布の嵩増加方法

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