JPH06235097A - 不溶性酸化イリジウム被覆電極 - Google Patents

不溶性酸化イリジウム被覆電極

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JPH06235097A
JPH06235097A JP4440793A JP4440793A JPH06235097A JP H06235097 A JPH06235097 A JP H06235097A JP 4440793 A JP4440793 A JP 4440793A JP 4440793 A JP4440793 A JP 4440793A JP H06235097 A JPH06235097 A JP H06235097A
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JP
Japan
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layer
iridium oxide
iridium
film
electrode
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Withdrawn
Application number
JP4440793A
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English (en)
Inventor
Takashi Nakamori
孝 中森
Motonori Tamura
元紀 田村
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、バルブ金属もしくはバルブ金属層
を設けた基材表面上に、酸化イリジウム層、イリジウム
層を交互に被覆することにより、基材と皮膜の密着性が
良い酸化イリジウム不溶性電極を供給することである。 【構成】 バルブ金属を用いた基材表面上あるいはバル
ブ金属層を設けた基材表面上に、酸化イリジウム層、さ
らにその上にイリジウム層が被覆され、この酸化イリジ
ウム層とイリジウム層とを交互に被覆して最表面層を酸
化イリジウム層として、各層の厚みを20μm以下であ
り、酸化イリジウム層全体は全膜厚の67〜99%、イ
リジウム層全体は全膜厚の1〜33%である不溶性酸化
イリジウム被覆電極である。 【効果】 従来の酸化イリジウム単層膜と比較して長寿
命な酸化イリジウム電極を供給できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐剥離性の向上を図っ
た酸化イリジウム被覆電極に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に金属材の電気めっきに際しては、
不溶性電極を使用し、陰極たる被めっき材の表面に、Z
n、Sn、Ni、Cr、Cuなどの金属を析出すること
が行われている。
【0003】また金属の電気精錬に際し、精錬浴中にて
不溶性電極を使用し、Mn、Zn、Cuなどの金属を析
出することが行われている。
【0004】これらの不溶性電極として、最も一般的に
使用されているものとして、PbもしくはPb系合金が
あげられる。
【0005】この電極は、電気めっき浴、電気精錬浴、
特に硫酸溶液中では、通電処理時その表面にPbO2
生成する。このPbO2は、不溶性電極の機能を発揮し
ているが、生成したPbO2と基材のPbとの付着力が
弱く、電解溶液中に混入し、めっき不良、あるいは精錬
金属へ不溶物として混入し純度の低下を生じてしまう。
【0006】そこでその対策として、電気めっき浴、電
気精錬浴、特に硫酸溶液中で最も電気化学的に安定であ
る白金族酸化物である酸化イリジウムを、基材のバルブ
金属(Ti、Ta、Zr等、不働態皮膜を形成し、耐食
性が優れ、破壊電圧の高い性質を持つ金属)の表面に被
覆した電極が、特公昭48―3954号公報に開示され
ている。
【0007】さらに基材の金属の酸化抑制、あるいは密
着性を向上させるために中間層にTa25等を添加した
酸化イリジウムの皮膜を設け、その上に酸化イリジウム
層を形成した不溶性電極を使用する方法が、特公昭46
―21884号公報、特開昭63―235493号公報
に記載されている。
【0008】これらの公報に開示されている塗布焼き付
け法による酸化イリジウム不溶性電極は、低電流密度
(〜100A/dm2)では長時間の使用が可能である
が、高電流密度下、特に硫酸溶液中200A/dm2
通電腐食テストを行なうと、3000〜4000時間で
急激な電圧上昇が起こり電極が使用不可能となる。
【0009】この理由は、塗布焼き付け法の酸化イリジ
ウム皮膜の場合、成膜時に大気中で処理するため気孔が
多数あり、また電極として使用する場合、長時間の通電
によりジュール熱によって電極の温度が上昇し、基材金
属と酸化イリジウム層との熱膨張差によって亀甲状クラ
ックも多数発生する。
【0010】この気孔とクラックが原因となり基材金属
への直接通電が起こり、基材金属の腐食、あるいは基材
金属表面に絶縁性酸化物皮膜が増加することによって、
結果として電圧上昇を引き起こし、電極としての機能を
失ってしまう。
【0011】電極機能を長時間にわたり維持するために
は、気孔、クラックのない均質皮膜を作製することが必
要である。
【0012】従来特公昭46―21884号公報、日本
写真学会誌[Vol.51,No.1,p.3(198
8)]にイリジウム金属をスパッタリングするとともに
基板近傍で酸化させる反応性スパッタ法及び反応性蒸着
法が開示されている。
【0013】しかし、この方法で得られた酸化イリジウ
ム皮膜を設けた不溶性電極は、硫酸溶液中で100A/
dm2の低電流密度での通電により短時間で電圧上昇に
より通電出来なくなってしまう。
【0014】この理由としては、前記のスパッタリング
法及び蒸着法によって形成される酸化イリジウム皮膜
は、厚膜化(0.1μm以上)した場合に剥離しやす
く、また厚膜を成膜しようとすると時間がかかるなど工
程上の困難のため、作製できる最適膜厚が100〜10
00Åと非常に薄いものである。
【0015】そして酸化イリジウム皮膜が薄いため、僅
かなピンホールなどの欠陥が存在することにより、その
欠陥部から基材金属が酸化され、電圧上昇により通電出
来なくなってしまうものと考えられる。
【0016】このため、高緻密質で均質な皮膜を生成で
きるイオンプレーティングなどのPVD法を用いて成膜
が行われている。
【0017】しかし、PVD法により形成される皮膜の
多くは基材と皮膜の密着性が十分ではなく、めっき液中
で剥離することもあった。
【0018】この理由の一つとして皮膜の膜内部圧縮応
力が非常に高いためであると考えられる。
【0019】しかし、これまで酸化イリジウム皮膜に関
してはその製造法に着目しているものが主であり、密着
性向上を目的とした酸化イリジウム皮膜はこれまでにな
かった。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、電極用の金
属基板の表面にPVD法により酸化イリジウム皮膜を形
成させるに際し、基材と皮膜の密着性を向上させること
が目的である。
【0021】
【課題を解決するための手段】金属基材またはバルブ金
属層を設けた金属基材表面上に、酸化イリジウム層、さ
らにその上にイリジウム金属層が被覆され、この酸化イ
リジウム層とイリジウム金属層とを交互に被覆して最表
面層を酸化イリジウム層とし、各被覆層の厚みが20μ
m以下であることを特徴とする耐剥離性に優れた不溶性
酸化イリジウム被覆電極であり、また酸化イリジウム層
が全膜厚の67〜99%、イリジウム金属層が全膜厚の
1〜33%である不溶性酸化イリジウム被覆電極であ
る。
【0022】本発明は、電極表面の皮膜と基材の密着力
を向上させる手段として皮膜全体の内部応力の緩和を考
慮したことが特徴である。
【0023】PVD法により酸化イリジウム皮膜を成膜
する場合、酸化イリジウムは圧縮応力に、また、金属イ
リジウムは引っ張り応力を生ずることが本発明者らの研
究の結果判明した。
【0024】また酸化イリジウム単層膜、イリジウム/
酸化イリジウム二層膜、酸化イリジウム/イリジウム/
酸化イリジウム三層膜の膜全体の内部応力を比較したと
ころ、酸化イリジウム/イリジウム/酸化イリジウム三
層膜が圧縮応力であるものの、最も緩和された圧縮応力
であり、かつ基材との密着力が良いことがわかった。
【0025】この現象を見いだして、基材表面に、圧縮
/引っ張り/圧縮の順番に応力を分布させ全皮膜の内部
応力を緩和をさせ、密着力を向上させた。
【0026】そこで皮膜として、金属基材表面に内層と
して酸化イリジウム層、中間層としてイリジウム金属
層、さらに外層として酸化イリジウムから成る三層コー
ティング皮膜を最小の系とした。
【0027】この方法を利用して3層以上に多層化させ
ると内部応力も低下され更に密着力が向上する。
【0028】この皮膜はPVD法により成膜されるが、
各被覆層の皮膜の厚さは20μm以下であり、各層の厚
さは酸化イリジウム各層膜厚を全膜厚の20〜70%に
し、金属イリジウム各層は全膜厚の1〜33%にする。
【0029】この理由として各被覆層の膜厚を20μm
以下としたのは、それを超えた場合PVD法によって成
膜された皮膜は厚すぎると組織が柱状晶になり脆くなる
からである。
【0030】酸化イリジウム層は全膜厚の20%未満で
あると金属イリジウム層の影警を受け電極機能に問題が
生じるからである。この理由として耐酸性は酸化イリジ
ウムの方が金属イリジウムより優れているからである。
【0031】また70%超であると膜内部圧縮応力の効
果があるイリジウムの特性を生かせないからであるので
20〜70%にする必要がある。
【0032】金属イリジウム層であるが、全膜厚の1%
未満にすると内部応力緩和の効果がなくなり、33%超
にすると皮膜全体のの硬さが低下するからである。
【0033】また、製造方法は酸素雰囲気中で酸化イリ
ジウムを成膜させるのであるが、中間層の金属イリジウ
ム層は酸素ガスを停止するだけであるので工程としても
何等設備を変更する必要がないのである。
【0034】また、基材としてはバルブ金属(Ti、T
a、Zr等)またはバルブ金属層を設けた金属を用い処
理温度としてはイリジウムが金属に拡散しない温度、つ
まり700℃以下で成膜するのが最適である。
【0035】
【作用】本発明のような皮膜にすることにより電極とし
て、酸化イリジウム層は圧縮応力を示し、イリジウム層
は引っ張り応力を示すので皮膜全体の内部応力が軽減
し、基材と皮膜の高密着被覆ができる。
【0036】
【実施例】本発明の以下実施例により詳細に説明する。
また、不溶性電極の評価方法は以下に説明する方法によ
り行った。
【0037】評価方法 作成した電極の耐溶性評価は、作成した電極を陽極に用
い、陰極に白金板を使用し、60℃、5wt%硫酸溶液
中、電気密度200A/dm2で通電腐食試験を行っ
た。
【0038】これは、電圧初期値20Vからの変化を測
定し、35Vまでの電圧上昇の通電時間により評価し
た。また、作成した電極の皮膜の密着性評価はスクラッ
チテスターで行った。
【0039】基材 150×10×2mmのバルブ金属であるTi基材を用
い、その表面を蓚酸で予め洗浄した。
【0040】試料作成法 基材表面上に、イオンプレーティング法により酸化イリ
ジウム皮膜を成膜した。この成膜法の詳細を以下に記
す。
【0041】
【実施例(多層構造)】坩堝にイリジウムを挿入し、電
子ビームで溶解して蒸発させ、さらに坩堝直上のイオン
化電極により、40V・10Aの条件でイオン化させ
た。
【0042】そして、チタン基材をイリジウムと対向し
て設置し、バイアス電圧500V、成膜速度10Å/s
ecで酸化イリジウムを各被覆層の膜厚を1〜20μm
とし、基材表面に酸化イリジウム・イリジウム・酸化イ
リジウムの順番で最表面を酸化イリジウムとして各膜厚
も変化させて被覆した。なおこのときの酸素雰囲気は8
×10-4Torr、成膜温度を500℃した。
【0043】
【比較例(酸化イリジウム単層)】坩堝にイリジウムを
挿入し、電子ビームで溶解して蒸発させ、さらに坩堝直
上のイオン化電極により、40V・10Aの条件でイオ
ン化させた。
【0044】そして、チタン基材をイリジウムと対向し
て設置し、バイアス電圧500V、成膜速度10Å/s
ecで酸化イリジウムをで各被覆層の膜厚を1〜20μ
m被覆した。なおこのときの酸素雰囲気は8×10-4
orr、成膜温度を500℃した。
【0045】結果 上記の試験結果を第1表にまとめて示す。表に示すよう
に同じ膜厚であれば、実施例の方が通電時間が長く、密
着力も高い。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【発明の効果】本発明は従来技術では剥離して使用でき
なかった状況においても、剥離すること無しに過酷な使
用状況でも耐え得る不溶性酸化イリジウム被覆電極であ
る。
【手続補正書】
【提出日】平成5年3月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】金属イリジウム層であるが、全膜厚の1%
未満にすると内部応力緩和の効果がなくなり、33%超
にすると金属イリジウムの方が酸化イリジウムより耐酸
性が弱いため電極機能に支障をきたすこともある。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正内容】
【0047】
【表2】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属基材またはバルブ金属層を設けた金
    属基材表面上に、酸化イリジウム層、さらにその上にイ
    リジウム金属層が被覆され、この酸化イリジウム層とイ
    リジウム金属層とを交互に被覆して最表面層を酸化イリ
    ジウム層とし、各被覆層の厚みが20μm以下であるこ
    とを特徴とする耐剥離性に優れた不溶性酸化イリジウム
    被覆電極。
  2. 【請求項2】 酸化イリジウム層が全膜厚の67〜99
    %、イリジウム金属層が全膜厚の1〜33%である請求
    項1記載の不溶性酸化イリジウム被覆電極。
JP4440793A 1993-02-10 1993-02-10 不溶性酸化イリジウム被覆電極 Withdrawn JPH06235097A (ja)

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JP4440793A JPH06235097A (ja) 1993-02-10 1993-02-10 不溶性酸化イリジウム被覆電極

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JP4440793A JPH06235097A (ja) 1993-02-10 1993-02-10 不溶性酸化イリジウム被覆電極

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002541323A (ja) * 1999-04-08 2002-12-03 ユナイテッド・ステイツ・フィルター・コーポレイション 三層アソード及び製造方法

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Effective date: 20000509