JPH06234141A - フッ素樹脂の成形方法、フッ素樹脂溶融微粉末の製法およびフッ素樹脂微粉末 - Google Patents

フッ素樹脂の成形方法、フッ素樹脂溶融微粉末の製法およびフッ素樹脂微粉末

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JPH06234141A
JPH06234141A JP2433593A JP2433593A JPH06234141A JP H06234141 A JPH06234141 A JP H06234141A JP 2433593 A JP2433593 A JP 2433593A JP 2433593 A JP2433593 A JP 2433593A JP H06234141 A JPH06234141 A JP H06234141A
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fluororesin
fine powder
temperature
copolymer
nozzle
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JP2433593A
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Kenjirou Idemori
健二郎 出森
Sadamitsu Yamaguchi
貞充 山口
Yoshihiro Soda
義浩 左右田
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Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 フッ素樹脂の射出成形を可能にする。 【構成】 溶融粘度が105 〜1013ポアズのフッ素樹脂
を、平均粒子径が500 μm以下のフッ素樹脂溶融微粉末
となるように高い剪断速度でノズルから、フッ素樹脂の
融点より200 ℃低い温度ないし融点の範囲の温度の金型
内に射出して充填したのち所望の形状に圧縮することを
含んでなるフッ素樹脂の成形方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なフッ素樹脂の成
形方法、フッ素樹脂溶融微粉末の製法およびフッ素樹脂
微粉末に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】フッ
素樹脂は耐熱性、耐摩耗性、耐薬品性などに優れてお
り、代表的なエンジニアリングプラスチックスの一つと
して広く利用されている。しかしながら、フッ素樹脂
は、他の汎用の樹脂に比べて溶融粘度が極めて高く流動
性がわるいため、押出し成形や射出成形により成形する
ことが非常に難しい。特に溶融粘度が105 ポアズ以上の
超高分子量のものはこのことが顕著である。
【0003】ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)
は、C−F結合エネルギーが110 〜120 kcal/mol と大
きく耐熱性、耐薬品性、非粘着性、摩擦摩耗特性および
耐候性等の点で有用な樹脂である。PTFEの押出し成
形にはラム押出しとペースト押出しがある。ラム押出し
は、ダイの形状通りの押出しバーを連続的に成形するこ
とには適しているが、ダイと寸法の異なる成形物をうる
ことは困難である。ペースト押出しにも同様のことがあ
てはまる。PTFEの粉末にナフサなどの助剤を加えて
粉末を濡らすことによりPTFEの押出しを助け、チュ
ーブや電線の焼成体を連続して成形することが行なわれ
ているが、この方法もダイと寸法の異なる成形品をうる
ことは困難である。また、PTFE粉末のホットモール
ディング法と呼ばれる加熱圧縮成形法では、屈曲疲労強
度の高いものが得られるが、成形品中に歪みが大きく残
るのでアニールの必要があり、また一度に多量の成形が
困難なのと熱い金型を取り扱う危険性を伴っているた
め、特殊な成形品のみに限られている。したがって、所
望のPTFE成形品をうるために、一般的には、PTF
Eの粉末を圧縮成形して予備成形品を作り、予備成形品
を焼成してえられた成形品を切削加工することが行なわ
れている。しかしながら、この方法は作業効率がわるい
ので、作業効率のよいPTFEの成形法の開発が切に望
まれている。
【0004】また、超高分子量のテトラフルオロエチレ
ン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(P
FA)やエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体
(ETFE)は現在市販されていないが、市販されてい
る溶融粘度103 〜105 ポアズのPFAやETFEに比べ
て耐ストレスクラック性、耐衝撃性や機械的強度に優れ
ている。しかしながら、この超高分子量のPFAやET
FEも、PTFEと同様に押出し成形や射出成形によっ
て成形することが非常に困難である。
【0005】本発明は、前記問題点に鑑みなされたもの
であり、その目的は超高分子量フッ素樹脂をも含むフッ
素樹脂の成形の実現にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、溶融
粘度が105 〜1013ポアズのフッ素樹脂を、平均粒子径が
500 μm以下のフッ素樹脂溶融微粉末となるように高い
剪断速度でノズルから、フッ素樹脂の融点より200 ℃低
い温度ないし融点の範囲の温度の金型内に射出して充填
したのち所望の形状に圧縮することを含んでなるフッ素
樹脂の成形方法に関する。
【0007】
【作用および実施例】本発明において射出するフッ素樹
脂は、溶融粘度が105 〜1013ポアズ、好ましくは106
1012ポアズのものである。溶融粘度が105 ポアズより小
さいものは従来より市販・成形加工されているフッ素系
溶融樹脂と総称されているものであり、1013ポアズより
大きいと高剪断速度でノズルから射出する際に急激な発
熱が起こり、その樹脂の熱分解開始温度以上となり、得
られる溶融微粉末及び成形品が分解・着色を生じるため
好ましくない。
【0008】本発明において溶融粘度とは、PTFEの
ばあいは、サーモフレックス試料下位置TMA(理学電
機(株)製)を用いてつぎの方法により測定した比溶融
粘度、PTFE以外のフッ素樹脂のばあいは、キャピラ
リーフローテスタ((株)島津製作所製)を用いてつぎ
の方法により測定した溶融粘度を意味する。
【0009】(1) PTFEの場合: 比溶融粘度(温度380 ℃、荷重0.8 kg/cm2 ) 「サーモフレックス試料下位置TMA」(理学電機
(株)製)を用いて以下の手順でクリープ試験を行い測
定する。
【0010】まず、試料を次の方法で作製する。内径50
mmの円筒形の金型に、80gの粉末を紙片に挟んで充填
し、約30秒間徐々に圧力をかけて最終圧力約352 kg/cm
2 となるようにし、この圧力に2分間保つ。次に金型か
ら成形体を取り出し、371 ℃に昇温した空気電気炉中で
90分間焼成し、続いて1℃/分の速度で250 ℃まで降温
し、この温度で30分間保った後取り出す。この円柱形の
焼成体を側面にそって切削加工し、厚み0.5 mmの帯状シ
ートをえる。
【0011】このシートから、幅4mm〜5mm、長さ15mm
の小片を切り取り、幅と厚みを正確に測定し、断面積を
計算する。小片の両端に試料装着金具を装着間距離が1.
0 cmになるように取り付ける。この金属−試料のアセン
ブリーを円柱状の炉に入れ、20℃/分の速度で室温から
380 ℃にまで昇温し、この温度(380 ℃)を保持する。
約5分間保持した後、約15gの負荷をかける。伸びの時
間変化の曲線から、負荷後の60分〜120 分の間の伸びを
読み取り、時間(60分)に対する割合を求める。比溶融
粘度は、次の関係式から計算する。
【0012】
【数1】
【0013】(2) PTFE以外のフッ素樹脂の場合: キャピラリーフローテスタ((株)島津製作所製)を用
いて、各フッ素樹脂を以下の温度・荷重で溶融粘度を測
定した。
【0014】
【表1】
【0015】溶融粘度が105 〜1013ポアズのフッ素樹脂
としては、たとえば、テトラフルオロエチレン、パーフ
ルオロアルキルビニルエーテル、ヘキサフルオロプロペ
ン、クロロトリフルオロエチレンもしくはビニリデンフ
ルオライドの単独重合体またはそれらの2種以上からな
る共重合体、あるいはテトラフルオロエチレンとエチレ
ンとの共重合体、クロロフルオロエチレンとエチレンと
の共重合体があげられる。具体的には、PTFE、PF
A、FEP、PCTFE、PVDF、ETFE、ECT
FEなどがあげられる。
【0016】本発明において用いることのできるPTF
Eには、たとえば2重量%以下の共重合性単量体で変性
されたテトラフルオロエチレンの共重合体の粉末が含ま
れる。この変性剤としては、炭素数3〜6のパーフルオ
ロアルケン(たとえばヘキサフルオロプロピレン)、炭
素数3〜6のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)
(たとえばパーフルオロ(プロピルビニルエーテル))
などがあげられる。これら変性共重合体は、PTFE単
独重合体と同様に、通常の方法で押出成形、射出成形す
ることはできない。
【0017】前述のようなフッ素樹脂が、まず、たとえ
ばホッパーを介して、射出ユニット部のシリンダーに充
填される。PTFEのモールディングパウダーやファイ
ンパウダーは流動性がわるく、ホッパーに投入したとき
にブリッジを形成し流動しないので、PTFEを用いる
ばあいは流動性のよい粒状タイプまたは造粒タイプのも
のが望ましい。このばあい、もちろん、PTFEの粉末
にガラス繊維、グラファイト、二硫化モリブデン、炭素
繊維、ブロンズなどのフィラーを入れた造粒品を用いて
もよい。
【0018】シリンダーに充填されたフッ素樹脂は、好
ましくはフッ素樹脂の融点以上かつ分解開始温度より40
℃以上低い温度で溶融され、溶融状態でノズルから高速
で射出される。この際、ノズルから粉末状のものが飛散
するフラッシュ・フローなる現象が生じる。射出時の摩
擦熱によりフッ素樹脂の温度が30℃程度上昇するが、分
解開始温度より40℃以上低い温度で溶融されているの
で、フッ素樹脂が射出時に分解開始温度に達しない。そ
の結果、フッ素樹脂の分子量の著しい低下は生じない。
たとえば、このような条件で超高分子量PFA(溶融粘
度106 〜107 ポアズ)や超高分子量ETFE(溶融粘度
106 〜107 ポアズ)を射出成形すると成形品の分子量の
低下は少なく、通常のPFA(溶融粘度104 〜105 ポア
ズ)やETFE(溶融粘度103 〜104 ポアズ)の成形品
より耐熱性、摩擦摩耗特性および繰返し屈曲疲労特性に
おいて優れた成形品がえられる。たとえば、分解開始温
度で射出するとフッ素樹脂は激しく熱分解し、分子量が
大幅に低下し、成形品の物性の低下をきたす。シリンダ
ー(ノズル)温度は、より好ましくは、融点より40℃以
上高く、かつ分解開始温度より40℃以上低い温度であ
る。なお、本発明においてフッ素樹脂の融点は、示差走
査熱量計(パーキンエルマー(PERKIN ELMER)社製 D
SC−7;second up )により求められた値(℃)であ
る。また、分解開始温度は、示差熱天秤計((株)島津
製作所製 TGA−50:昇温速度10℃/min 、空気
中)により求められた値(℃)である。
【0019】射出時間は、フッ素樹脂の種類、シリンダ
ー温度などによって異なるが、高剪断速度下でフラッシ
ュフロー現象を起こす必要があるので0.1 〜2.0 秒程度
が好ましい。また、ノズル先端の内径は、同じく高剪断
速度下でフラッシュフロー現象を起こす必要があるの
で、0.1 〜2.0 mm程度が好ましい。
【0020】本発明において、フッ素樹脂は、平均粒子
径が500 μm以下、好ましくは10〜400 μm、より好ま
しくは50〜200 μmのフッ素樹脂溶融微粉末となるよう
に射出される。平均粒子径が500 μmを超えると、粉末
が金型の隅々まで充填しにくくなり、また金型内で成形
されたときに粒子同志の融着がわるく、シートを成形し
たばあい、シートを折り曲げるとひび割れを生じる傾向
がある。平均粒子径は、例えばビデオマイクロスコープ
(明伸工機(株)製)で撮影した写真(倍率10〜20倍程
度)より数百個の各粒子径を測定後、数平均粒子径(μ
m)を求めることにより得られる。
【0021】平均粒子径は剪断速度により変化する。た
とえば、PTFEおよび超高分子量フッ素樹脂を剪断速
度300sec-1で射出すると粒子径2〜4mmの粉末がえら
れ、その成形品を折り曲げると容易にひび割れを生じ
る。一方、104 sec-1以上の剪断速度で射出するとフラ
ッシュフロー現象を起こしフッ素樹脂溶融微粉末の平均
粒子径は500 μm以下になり、その成形品を折り曲げて
もひび割れを生じない。剪断速度はより好ましくは5×
104 〜107 sec-1である。
【0022】剪断速度は、ノズルが円形のばあい、つぎ
の式により表される。
【0023】
【数2】
【0024】ここでγは剪断速度( sec-1)、Qは射出
量(cc/sec )、Rはノズル先端の内径(cm)を表す
(瀬戸正二他著「射出成形」、株式会社プラスチツク・
エージ発行、1970年7月1日増訂第6版の38頁参照)。
したがって、所望の剪断速度は、ノズル先端の内径およ
び射出量を適当に選ぶことによってうることができる。
【0025】溶融状態で射出され金型に充填されたフッ
素樹脂の微粉末は、金型で圧縮することにより融着して
優れた成形品となる。金型の温度は、フッ素樹脂の融点
より200 ℃低い温度ないし融点の範囲、好ましくはフッ
素樹脂の融点より150 ℃低い温度ないし融点より50℃低
い温度の範囲である。金型の温度がフッ素樹脂の融点よ
り200 ℃低い温度よりさらに低いと、金型の注入口での
粉末の冷却が速く、隅々まで粉末が充填されなかった
り、成形品の物性が低下したりする傾向がある。融点よ
り高いと成形品自体が熱変形を生じて取り出せないとい
う欠点を有する。
【0026】金型内の圧縮割合の調節により、成形品を
多孔質にしたり空孔のないものにすることができる。た
とえば、樹脂を射出して樹脂容積よりも広げた金型の中
にフラッシュされた粉末を充填し圧縮するばあい、圧縮
割合を小さくすることにより成形品を多孔質にすること
ができる。
【0027】金型内の圧縮割合は、フラッシュ後のフッ
素樹脂溶融微粉末の状況および金型形状によって異なる
が、空孔の無い良好な成形品外観を得るためには、10〜
90%程度が好ましい。
【0028】金型の圧縮圧は、金型の圧縮割合、フッ素
樹脂材料の種類によって異なるが、空孔の無いものにす
るためには10〜500kgf/cm2 程度が好ましい。
【0029】本発明の成形方法で用いる射出成形機は、
スクリュータイプ、プランジャータイプのいずれを採用
してもよい。スクリュータイプの射出成形機を用いるば
あい、特にPTFEは摩擦係数が低く滑りやすいためス
クリューのところで滑って輸送できないことがある。そ
のばあいは、スクリュー形状を改良する、シリンダー温
度をさらに上げるなどの工夫を施すか、プランジャータ
イプのものを用いればよい。
【0030】本発明は、前述のように溶融粘度が105
1013ポアズのフッ素樹脂を高い剪断速度でノズルから射
出することにより平均粒子径が500 μm以下のフッ素樹
脂溶融微粉末とすることを含んでなるフッ素樹脂溶融微
粉末の製法にも関する。この方法によりえられたフッ素
樹脂溶融微粉末は、金型を用いて前述のような方法で成
形することができる。
【0031】また、前記フッ素樹脂溶融微粉末を、ステ
ンレス製容器に受けた後、ヘンシェルミキサー((株)
三井三池製作所製)などで軽くほぐし、20メッシュ程度
の空孔を有するステンレス製金網でふるうことにより冷
却されて固まったフッ素樹脂微粉末をうることができ
る。このフッ素樹脂微粉末は、個々の粒子が密につまっ
たランダムな形状をしており、平均粒子径が500 μm以
下、見掛密度が0.20〜0.80程度のものである。このフッ
素樹脂微粉末は例えば、通常行なわれているように、加
熱下において圧縮形成、トランスファー成形、射出成形
および押出成形により所望の形状を賦与することができ
る。このフッ素樹脂微粉末は、個々の粒子が密につまっ
ており、重合・乾燥後の粒子のように空気を含んでいな
いため熱伝導率が良く、効率良く加熱溶融し、通常の圧
縮成形、トランスファー成形、射出成形および押出成形
により所望の形状が得られる。しかも、通常の溶融粘度
103 ポアズ以上105 ポアズ未満のフッ素樹脂と比較し
て、特に耐熱性、機械的強度、摩擦摩耗特性および繰返
し屈曲疲労特性に優れている。
【0032】実施例1 図1に示す射出成形機を用いて、粒状タイプのPTFE
(商品名:ポリフロンTFE M−25、溶融粘度:10
12ポアズ、平均粒子径500 μm、見掛密度:0.90、融
点:328 ℃、分解開始温度:493 ℃、ダイキン工業
(株)製)を射出成形した。
【0033】まず、図示しないホッパーを介して、ノズ
ル2(内径1.0 mm)を有するシリンダー1内にポリフロ
ンTFE M−25を充填した。シリンダーの温度を41
0 ℃に昇温してポリフロンTFE M−25を溶融した
(溶融温度410 ℃)。この溶融フッ素樹脂を、ノズル2
から剪断速度3×105 sce-1で、内径50mm×厚み20mmの
キャビティー3(キャビティー内の圧縮用プレート6の
先端が位置Aにある)内に0.6 秒で射出し、フラッシュ
された溶融フッ素樹脂でキャビティー3内を充填した。
この射出充填時のキャビティー温度(金型温度)は250
℃であった。射出後、150kgf/cm2 の圧縮圧をかけてキ
ャビティー内の圧縮用プレート6の先端を位置Bまで移
動(キャビティー寸法:内径50mm×厚み13mm、圧縮割合
35%)させてフッ素樹脂を圧縮した。
【0034】冷却後、えられた成形品の外観は白化や融
着不足がなく良好であり、その比重は2.2 であった。
【0035】また、ノズルから射出したフッ素樹脂溶融
微粉末、すなわちフラッシュ時の粉末をステンレス製容
器に受けて冷却後、得られる綿状物をヘンシェルミキサ
ー(三井三池製作所製)で軽くもみほぐし、20メッシュ
の空孔を有するステンレス製金網でふるった後黒い紙の
上に載せ、ビデオマイクロスコープ(明伸工機(株)
製)で撮影した写真(倍率20倍)より約300 個の各粒子
径を測定することにより求めた平均粒子径が300 μmで
あった。
【0036】フッ素樹脂の特性および射出成形条件など
を表2に示す。
【0037】なお、実施例および比較例において、成型
品の外観は、白化がなく融着が良好なものを○、やや白
化したものまたはやや融着不足のものを△、白化したも
のまたは融着不足のものを×で示した。また、キャビテ
ィー内の圧縮割合(%)は式: {(射出時のキャビティー容積−圧縮後のキャビティー
容積)/(射出時のキャビティー容積)}×100 により算出される。また、使用したフッ素樹脂をつぎに
示す。
【0038】実施例1:PTFE(ダイキン工業(株)
製ポリフロンTFE M−25) 実施例2:PTFE(ダイキン工業(株)製ポリフロン
TFE M−32) 実施例3:PFA(溶融粘度5×106 ポアズ) 実施例4:FEP(溶融粘度106 ポアズ) 実施例5:ETFE(溶融粘度6×106 ポアズ) 実施例6:PVDF(溶融粘度106 ポアズ) 実施例7:PCTFE(溶融粘度107 ポアズ) 実施例8:ECTFE(溶融粘度107 ポアズ) 実施例9:PFA(溶融粘度5×106 ポアズ) 実施例2〜9 表2に示すように条件を代えて実施例1と同様の手順に
よりフッ素樹脂を射出成形した。結果を表2に示す。表
2に示すように実施例9でえられた成形品は多孔質体で
あり見掛比重が1.7 であった。
【0039】
【表2】
【0040】比較例1〜4 表3に示すように条件を代えて実施例1と同様の手順に
よりフッ素樹脂を射出成形した。結果を表3に示す。比
較例1においては、シリンダー内にフッ素樹脂を充填す
ることができなかった。
【0041】使用したフッ素樹脂をつぎに示す。
【0042】比較例1:PTFE(ダイキン工業(株)
製ポリフロンTFE M−25) 比較例2:PTFE(ダイキン工業(株)製ポリフロン
TFE M−25) 比較例3:PFA(溶融粘度5×106 ポアズ) 比較例4:PFA(ダイキン工業(株)製ネオフロンP
FA AP−210)
【0043】
【表3】
【0044】実施例10 実施例3において、高剪断速度でノズルから射出して得
られるPFA溶融微粉末をステンレス製容器に受けて冷
却後、ヘンシェルミキサー(三井三池製作所製)で軽く
ほぐし、20メッシュの空孔を有するステンレス製金網で
ふるうことによりPFA微粉末(粒子径200 μm)をえ
た。
【0045】内径120 mmの円盤形の金型に、約50gのP
FA微粉末を充填し、370 ℃で30分間予熱した。370 ℃
で2分間、100 kg/cm2 で加熱プレス後、冷却して直径
120mm、厚み2mmのシート状成形品をえた。
【0046】えられた成形品の外観は白化がなく良好で
あり、比重2.2 、引張強さ400 kg/cm2 、伸び470 %で
あった。
【0047】なお、比重、引張強さおよび伸びはJIS K-
6891に準じて測定した。
【0048】実施例11 実施例5において、高剪断速度でノズルから射出して得
られるETFE溶融微粉末を実施例10と同様にしてET
FE微粉末(粒子径290 μm)をえた。
【0049】内径120 mmの円盤形の金型に、約40gのE
TFE微粉末を充填し、300 ℃で30分間予熱した。300
℃で2分間、100 kg/cm2 で加熱プレス後、冷却して直
径120 mm、厚み2mmのシート状成形品をえた。
【0050】えられた成形品の外観は良好であり、比重
1.7 、引張強さ390 kg/cm2 、伸び380 %であった。
【0051】
【発明の効果】本発明の方法によれば、超高分子量のフ
ッ素樹脂も容易に射出成形することができる。えられた
成形品は、切削加工面が少ないため切削加工時のケバ立
ちなどの問題がなく、高温薬液中での繰返し屈曲疲労特
性、摩擦摩耗特性などが優れている。本発明の方法は、
射出成形機を用いて一度の作業で行なうことができるの
で、フッ素樹脂の加工コストを大幅に低下させることが
できる。また、本発明のフッ素樹脂微粉末は、耐熱性、
耐薬品性、非粘着性、摩擦摩耗特性、耐候性などに優れ
るため、特にパッキン、フランジ、ガスケット、軸受、
スリーブおよび薬液用バルブ、ポンプなどの摺動部品、
シール部品などにおいて有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に用いられる射出成形機の断面図
である。
【符号の説明】
1 シリンダー 2 ノズル 3 キャビティー 4 固定金型 5 移動金型 6 キャビティー内の圧縮用プレート

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融粘度が105 〜1013ポアズのフッ素樹
    脂を、平均粒子径が500 μm以下のフッ素樹脂溶融微粉
    末となるように高い剪断速度でノズルから、フッ素樹脂
    の融点より200 ℃低い温度ないし融点の範囲の温度の金
    型内に射出して充填したのち所望の形状に圧縮すること
    を特徴とするフッ素樹脂の成形方法。
  2. 【請求項2】 剪断速度が104 sec-1以上である請求項
    1記載のフッ素樹脂の成形方法。
  3. 【請求項3】 フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレ
    ン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ヘキサフル
    オロプロペン、クロロトリフルオロエチレンもしくはビ
    ニリデンフルオライドの単独重合体またはそれらの2種
    以上からなる共重合体、あるいはテトラフルオロエチレ
    ンとエチレンとの共重合体、クロロトリフルオロエチレ
    ンとエチレンとの共重合体である請求項1または2記載
    のフッ素樹脂の成形方法。
  4. 【請求項4】 フッ素樹脂を、融点以上かつ分解開始温
    度より40℃以上低い温度で溶融したのち、ノズルから射
    出する請求項1、2または3記載のフッ素樹脂の成形方
    法。
  5. 【請求項5】 溶融粘度が105 〜1013ポアズのフッ素樹
    脂を高い剪断速度でノズルから射出することにより平均
    粒子径が500 μm以下の溶融微粉末とするフッ素樹脂溶
    融微粉末の製法。
  6. 【請求項6】 剪断速度が104 sec-1以上である請求項
    5記載のフッ素樹脂溶融微粉末の製法。
  7. 【請求項7】 フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレ
    ン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ヘキサフル
    オロプロペン、クロロトリフルオロエチレンもしくはビ
    ニリデンフルオライドの単独重合体またはそれらの2種
    以上からなる共重合体、あるいはテトラフルオロエチレ
    ンとエチレンとの共重合体、クロロトリフルオロエチレ
    ンとエチレンとの共重合体である請求項5または6記載
    のフッ素樹脂溶融微粉末の製法。
  8. 【請求項8】 フッ素樹脂を、融点以上かつ分解開始温
    度より40℃以上低い温度で溶融したのち、ノズルから射
    出する請求項5、6または7記載のフッ素樹脂溶融微粉
    末の製法。
  9. 【請求項9】 溶融粘度が105 〜1013ポアズのフッ素樹
    脂を高い剪断速度でノズルから射出することによりえら
    れる平均粒子径が500 μm以下のフッ素樹脂微粉末。
  10. 【請求項10】 剪断速度が104 sec-1以上である請求
    項9記載のフッ素樹脂微粉末。
  11. 【請求項11】 フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレ
    ン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ヘキサフル
    オロプロペンもしくはクロロトリフルオロエチレン、ビ
    ニリデンフルオライドの単独重合体またはそれらの2種
    以上からなる共重合体、あるいはテトラフルオロエチレ
    ンとエチレンとの共重合体、クロロトリフルオロエチレ
    ンとエチレンとの共重合体である請求項9または10記載
    のフッ素樹脂微粉末。
  12. 【請求項12】 フッ素樹脂を、融点以上かつ分解開始
    温度より40℃以上低い温度で溶融したのち、ノズルから
    射出することによりえられる請求項9、10または11記載
    のフッ素樹脂微粉末。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999065659A1 (fr) * 1998-06-15 1999-12-23 Daikin Industries, Ltd. Procede de moulage de fluororesine et article moule
US6281280B1 (en) 1995-02-03 2001-08-28 Ausimont Usa, Inc. Low-gloss paints including polyvinylidene fluoride having a high melt viscosity
EP3991942A1 (de) * 2020-11-03 2022-05-04 Gemü Gebr. Müller Apparatebau GmbH & Co. Kommanditgesellschaft Verfahren zum herstellen einer membran für ein membranventil und membran

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