JPH06229304A - 燃料系内環境判定装置 - Google Patents

燃料系内環境判定装置

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JPH06229304A
JPH06229304A JP5017642A JP1764293A JPH06229304A JP H06229304 A JPH06229304 A JP H06229304A JP 5017642 A JP5017642 A JP 5017642A JP 1764293 A JP1764293 A JP 1764293A JP H06229304 A JPH06229304 A JP H06229304A
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injection
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    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B3/00Engines characterised by air compression and subsequent fuel addition
    • F02B3/06Engines characterised by air compression and subsequent fuel addition with compression ignition
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

Abstract

(57)【要約】 【目的】燃料噴射制御に際して影響のある変化量を、燃
料系内の諸条件の複合的な相関値として、単一のパラメ
ータにより、常時且つ効率的に判定する。 【構成】ディーゼルエンジンに燃料噴射ノズルを設け、
同ノズルに燃料噴射ポンプから燃料を圧送させる。燃料
噴射ポンプに対し、燃料噴射ポンプから燃料噴射ノズル
までの燃料系内における燃料圧力Piを検出する圧力セ
ンサを設ける。ECUにおいて、圧力センサより得られ
る燃料圧力Piの一回微分値(dPi/dti)から平
均燃料圧力変化率ΔPAを求め、その平均燃料圧力変化
率ΔPA等から燃料系内環境定数ρを求める。そして、
その燃料系内環境定数ρに基づき、燃料噴射制御を補正
する。従って、毎回の燃料噴射に際して、燃料性状や燃
料系の経時変化等の環境状態を反映して燃料噴射制御が
補正される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、燃料噴射ポンプから
燃料噴射ノズルまでの燃料系内における環境状態を判定
するための燃料系内環境判定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、燃料噴射ポンプ及び燃料噴射
ノズルを備えた内燃機関の燃料噴射装置では、燃料噴射
ノズルからの燃料噴射量や燃料噴射時期を狙いの目標値
に一致させるために、種々の燃料噴射制御が行われてい
る。
【0003】例えば、電子制御ディーゼルエンジンで
は、その燃料噴射ポンプにおけるプランジャのリフトに
より、高圧室内の燃料が燃料噴射ノズルへと圧送されて
エンジンの各気筒へと噴射される。そして、そのときの
燃料噴射量がエンジンの運転状態に応じて決定される目
標噴射量となるよう、燃料噴射ポンプに設けられたスピ
ルリングやスピル弁等がアクチュエータにより駆動制御
される。この制御により、プランジャの高圧室が燃料室
へと開放され、高圧室内の燃料の一部が燃料室へと溢流
(スピル)される。これにより、燃料噴射ポンプから燃
料噴射ノズルへの燃料の圧送終わり、即ち燃料噴射ノズ
ルから各気筒への燃料噴射の終了時期(燃料噴射量)が
制御される。或いは、燃料噴射時期がエンジンの運転状
態に応じて決定される目標噴射時期となるよう、燃料噴
射ポンプに設けられたタイマ装置が駆動制御される。こ
の制御により、プランジャの往復動タイミングが調整さ
れ、燃料噴射ポンプから燃料噴射ノズルへの燃料の圧送
タイミング、延いては燃料噴射ノズルにおける燃料噴射
開始時期(燃料噴射時期)が遅角側又は進角側へと制御
される。
【0004】しかしながら、上記のような電子制御ディ
ーゼルエンジンであっても、燃料噴射ポンプから燃料噴
射ノズルまでの燃料系内には、そのときどきで経時変化
や燃料性状の違い等、即ち燃料系内の環境状態の違いが
存在する。従って、それら経時変化や燃料性状の違い、
つまりは燃料系内の環境状態を反映させない限り、燃料
噴射量の制御やその噴射時期の制御が所期の目標値から
ずれてしまう。その結果、エンジンからのスモークや窒
素酸化物(NOx)の排出量が増大するおそれがあっ
た。
【0005】そこで、上記のような不具合に鑑み、特に
燃料系の経時変化に対処して燃料噴射量制御の精度を向
上させようとした技術が、特開昭56−75928号公
報に開示されている。この従来技術では、エンジンのア
イドリング時にエンジン回転数のフィードバック制御が
行われる。又、そのときに、燃料噴射ポンプで駆動され
るコントロールスリーブの位置の基準位置に対する変位
量が、燃料系の経時変化として求められる。そして、そ
の変位量に基づき燃料噴射量が補正される。
【0006】一方、特に燃料系内の燃料性状の違いに対
処して燃料噴射量制御の精度を向上させようとした技術
が、特開昭59−185839号公報に開示されてい
る。この従来技術では、燃料性状として、燃料組成や燃
料温度に起因して変化する燃料粘度が問題とされてい
る。そして、通常はフィードバック制御がなされる燃料
噴射時期制御が、エンジンのアイドリング時に一時的に
中止される。又、その噴射時期制御用のアクチュエータ
にそれを固定させるための信号が付与される。このと
き、実際に検出される燃料噴射時期と基準の噴射時期と
の偏差が、燃料粘度の変化と相関する値として求められ
る。そして、その偏差に基づき燃料噴射量が補正され
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記各従来
技術では、アイドリング時に限って経時変化や燃料粘度
の相関値が求められるだけであり、それら経時変化や燃
料粘度の相関値を常時求めることはできなかった。特
に、燃料粘度はエンジン始動後の時間経過に伴い変化す
ることから、その変化に追従したかたちで求められるこ
とが望ましい。又、経時変化の相関値や燃料性状の相関
値は相互に影響を及ぼし合うことから、それらを別々の
パラメータで別々に求めることは効率的ではなかった。
むしろ、経時変化や燃料性状等を含む燃料系内の諸条件
の相関値を複合的且つ効率的に求めて、必要に応じて燃
料噴射制御に反映させることが望ましいといえる。
【0008】この発明は前述した事情に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、燃料系の経時変化や燃料性
状等、燃料噴射の制御に際して影響のある変化量を燃料
系内の諸条件の複合的な相関値として、単一のパラメー
タにより常時且つ効率的に判定することの可能な燃料系
内環境判定装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明においては、図1に示すように、燃料圧
力により開弁される燃料噴射ノズルM1と、その燃料噴
射ノズルM1へ燃料を圧送するための燃料噴射ポンプM
2と、その燃料噴射ポンプM2から燃料噴射ノズルM1
までの燃料系内における燃料圧力を検出するための燃料
圧力検出手段M3と、その燃料圧力検出手段M3の検出
結果に基づき、燃料圧力の変化率を演算するための燃料
圧力変化率演算手段M4と、その燃料圧力変化率演算手
段M4の演算結果に基づき、燃料系内の環境状態を判定
するための燃料系内環境判定手段M5とを備えたことを
趣旨としている。
【0010】
【作用】従って、上記の構成によれば、燃料噴射ノズル
M1からの毎回の燃料噴射に際して、燃料系内で燃料圧
力検出手段M3により実際に検出される燃料圧力から燃
料圧力変化率が求められる。そして、その燃料圧力変化
率から燃料系の経時変化や燃料性状等を反映した燃料系
内の環境状態が判定される。又、燃料圧力変化率は燃料
系の経時変化や燃料性状等をそれぞれ反映して変化する
ことから、この値から燃料系内の環境状態が複合的に判
定される。
【0011】
【実施例】以下、この発明における燃料系内環境判定装
置を自動車の電子制御ディーゼルエンジンに具体化した
一実施例を図2〜図8に基づいて詳細に説明する。
【0012】図2はこの実施例における過給機付ディー
ゼルエンジンシステムの概略構成を示し、図3はその分
配型燃料噴射ポンプ1を拡大して示している。燃料噴射
ポンプ1はドライブプーリ2を備え、そのドライブプー
リ2が内燃機関としてのディーゼルエンジン3のクラン
クシャフト40に対しベルト等を介して駆動連結されて
いる。そして、クランクシャフト40によりドライブプ
ーリ2が回転駆動されて燃料噴射ポンプ1が駆動される
ことにより、ディーゼルエンジン3の各気筒(ここでは
4つの気筒が設けられている)毎に設けられた燃料噴射
ノズル4に燃料管路4aを通じて燃料が圧送される。
【0013】この実施例において、燃料噴射ノズル4は
針弁とその針弁の開弁圧力を調整するスプリングとを内
蔵してなる自動弁となっており、所定レベル以上の燃料
圧力Pを得て開弁される。従って、燃料噴射ポンプ1か
ら圧送される燃料により、燃料噴射ノズル4に所定レベ
ル以上の燃料圧力Pが付与されることにより、同ノズル
4からディーゼルエンジン3へと燃料が噴射される。
【0014】燃料噴射ポンプ1にはドライブシャフト5
が設けられ、そのドライブシャフト5の先端にドライブ
プーリ2が取付けられている。ドライブシャフト5の途
中には、べーン式ポンプよりなる燃料フィードポンプ
(この図では90度だけ展開されている)6が設けられ
ている。又、ドライブシャフト5の基端側には、円板状
のパルサ7が取付けられている。このパルサ7の外周面
には、ディーゼルエンジン3の気筒数と同数の、即ちこ
の実施例では4ヶ所(合計で「8個分」)の欠歯が等角
度間隔をもって形成されている。又、各欠歯の間には、
14個ずつ(合計で「56個」)の突起が等角度間隔を
もって形成されている。そして、ドライブシャフト5の
基端部は図示しないカップリングを介してカムプレート
8に連結されている。
【0015】パルサ7とカムプレート8との間には、ロ
ーラリング9が設けられている。又、ローラリング9の
円周方向には、カムプレート8のカムフェイス8aに対
向する複数のカムローラ10が取付けられている。カム
フェイス8aはディーゼルエンジン3の気筒数と同数だ
け設けられている。又、カムプレート8は、スプリング
11によってカムローラ10に係合するように付勢され
ている。
【0016】カムプレート8には燃料加圧用のプランジ
ャ12の基端が一体回転可能に取付けられている。そし
て、それらカムプレート8とプランジャ12とがドライ
ブシャフト5の回転に伴って一体的に回転駆動される。
即ち、ドライブシャフト5の回転力がカップリングを介
してカムプレート8に伝達されることにより、カムプレ
ート8がカムローラ10に係合しながら回転される。こ
れにより、カムプレート8が回転されながら気筒数と同
数だけ図中左右方向へ往復動され、それに伴ってプラン
ジャ12が回転しながら同方向へ往復動される。つま
り、カムフェイス8aがローラリング9のカムローラ1
0に乗り上げる過程でプランジャ12が往動(リフト)
される。又、その逆にカムフェイス8aがカムローラ1
0を乗り下げる過程でプランジャ12が復動(ダウン)
される。
【0017】ポンプハウジング13にはシリンダ14が
形成され、そのシリンダ14にプランジャ12が嵌挿さ
れている。そして、プランジャ12の先端面とシリンダ
14の底面との間が高圧室15となっている。又、プラ
ンジャ12の先端側外周には、気筒数と同数だけ吸入溝
16と分配ポート17がそれぞれ形成されている。更
に、それら吸入溝16及び分配ポート17に対応して、
ポンプハウジング13には分配通路18及び吸入ポート
19がそれぞれ形成さている。
【0018】この実施例のポンプハウジング13におい
て、各分配通路18の出口側にはコンスタント・プレッ
シャ・バルブ(CPV)よりなるデリバリバルブ36が
設けられている。このデリバリバルブ36は分配通路1
8から燃料管路4aへ圧送される燃料の逆流を防止する
ためのものである。
【0019】又、この実施例のポンプハウジング13に
は、燃料圧力検出手段を構成する圧力センサ37が高圧
室15に対応して設けられている。この圧力センサ37
は、高圧室15の圧力を燃料噴射ポンプ1から燃料噴射
ノズル4までの燃料系内における燃料圧力Pとして検出
し、その検出値の大きさに応じた信号を出力する。
【0020】そして、ドライブシャフト5が回転されて
燃料フィードポンプ6が駆動されることにより、図示し
ない燃料タンクから燃料供給ポート20を通じて燃料室
21内へと燃料が導入される。又、プランジャ12が復
動されて高圧室15が減圧される吸入行程では、吸入溝
16の一つが吸入ポート19に連通することにより、燃
料室21から高圧室15へと燃料が導入される。一方、
プランジャ12が往動されて高圧室15が加圧される圧
縮行程では、燃料管路4aを通じて分配通路18から各
気筒の燃料噴射ノズル4へ燃料が圧送されて噴射され
る。
【0021】ポンプハウジング13において、高圧室1
5と燃料室21との間には、燃料を溢流(スピル)させ
るためのスピル通路22が形成されている。又、このス
ピル通路22の途中には電磁スピル弁23が設けられて
いる。そして、その電磁スピル弁23は高圧室15から
の燃料のスピルを調整するために開閉される。電磁スピ
ル弁23は常開型の弁であり、コイル24が無通電(オ
フ)の状態では弁体25によりスピル通路22が開放さ
れ、即ち開弁され、高圧室15内の燃料が燃料室21へ
とスピルされる。一方、コイル24が通電(オン)され
ることにより、弁体25によりスピル通路22が閉鎖さ
れ、即ち閉弁され、高圧室15から燃料室21への燃料
のスピルが遮断される。
【0022】従って、電磁スピル弁23が通電によって
オン・オフ制御されることにより、同弁23が閉弁・開
弁制御され、高圧室15から燃料室21への燃料のスピ
ルが調整される。そして、プランジャ12の圧縮行程中
に電磁スピル弁23が開弁されることにより、高圧室1
5内における燃料が減圧されて燃料噴射ノズル4からの
燃料噴射が停止される。つまり、プランジャ12が往動
していても、電磁スピル弁23が開弁されている間は、
高圧室15内の燃料圧力が上昇せず、燃料噴射ノズル4
からの燃料噴射が行われない。又、プランジャ12の往
動中に、電磁スピル弁23の開弁時期が制御されること
により、燃料噴射ノズル4からの燃料噴射の終了時期が
調整されて気筒への燃料噴射量が制御される。
【0023】ポンプハウジング13の下側には、燃料噴
射時期を進角側或いは遅角側へ制御するためのタイマ装
置(この図では「90度」だけ展開されている)26が
設けられている。このタイマ装置26は、ドライブシャ
フト5の回転方向に対するローラリング9の回転位置を
変更させることにより、カムフェイス8aがカムローラ
10に係合する時期、即ちプランジャ12が往復動され
る時期を変更させるためのものである。
【0024】タイマ装置26は制御油圧により駆動され
るものであり、タイマハウジング27と、同ハウジング
27内に嵌装されたタイマピストン28とを備えてい
る。又、タイマハウジング27内においてタイマピスト
ン28の両側はそれぞれ低圧室29と加圧室30となっ
ている。そして、低圧室29には、タイマピストン28
を加圧室30へ押圧付勢するタイマスプリング31が設
けられている。更に、タイマピストン28はスライドピ
ン32を介してローラリング9に連結されている。
【0025】加圧室30には燃料フィードポンプ6によ
り加圧された燃料が導入される。そして、その燃料圧力
とタイマスプリング31の付勢力との釣り合い関係によ
ってタイマピストン28の位置(以下「タイマ位置」と
いう。)TPが決定される。又、そのタイマ位置TPが
決定されることにより、ローラリング9の位置が決定さ
れ、カムプレート8を介してプランジャ12の往復動時
期が決定される。
【0026】タイマ装置26の制御油圧としては燃料噴
射ポンプ1の内部の燃料圧力が用いられている。そし
て、その燃料圧力を調整するために、タイマ装置26に
はタイマ制御弁(TCV)33が設けられている。即
ち、タイマハウジング27の加圧室30と低圧室29と
の間には連通路34が設けられており、その連通路34
の途中にTCV33が設けられている。TCV33はデ
ューティ制御された通電信号により開閉制御される電磁
弁であり、そのTCV33が開閉制御されることによっ
て加圧室30内の燃料圧力が調整される。そして、その
燃料圧力が調整されることにより、プランジャ12の往
復動時期が制御され、もって燃料噴射ノズル4における
燃料噴射時期が進角側或いは遅角側へと制御される。
【0027】又、この実施例では、タイマ装置26によ
り制御される実際の燃料噴射時期を検出するために、タ
イマハウジング27の低圧室29側には、周知のタイマ
位置センサ38が設けられている。このタイマ位置セン
サ38はタイマピストン28に連動して作動するように
なっており、燃料噴射時期に相当するタイマ位置TPを
検出してその検出値の大きさに応じた信号を出力する。
【0028】ローラリング9の上部には、電磁ピックア
ップコイルよりなる回転数センサ35がパルサ7の外周
面に対向して取付けられている。この回転数センサ35
はパルサ7の突起等に横切られる際に、それらの通過を
検出してパルス信号として出力する。即ち、回転数セン
サ35は一定クランク角度毎のエンジン回転パルス信号
を出力する。併せて、回転数センサ35は、パルサ7の
欠歯による一定クランク角度に相当するエンジン回転パ
ルス信号を基準位置信号として出力する。又、この回転
数センサ35は、一連のエンジン回転パルス信号をエン
ジン回転速度NEを求めるための信号として出力する。
尚、回転数センサ35はローラリング9と一体であるこ
とから、タイマ装置26の制御動作に関わりなく、プラ
ンジャ12の往復動に対し一定のタイミングで基準とな
るエンジン回転パルス信号を出力可能である。
【0029】次に、ディーゼルエンジン3について説明
する。図2において、ディーゼルエンジン3ではシリン
ダボア41、ピストン42及びシリンダヘッド43によ
り各気筒に対応する主燃焼室44がそれぞれ形成されて
いる。又、シリンダヘッド43には、各主燃焼室44に
連通する副燃焼室45がそれぞれ形成されている。そし
て、各副燃焼室45には各燃料噴射ノズル4から燃料が
噴射される。更に、各副燃焼室45には、始動補助装置
としての周知のグロープラグ46がそれぞれ設けられて
いる。
【0030】一方、ディーゼルエンジン3には、各気筒
に連通する吸気通路49及び排気通路50がそれぞれ設
けられている。又、吸気通路49には過給機を構成する
ターボチャージャ51のコンプレッサ52が設けられ、
排気通路50にはターボチャージャ51のタービン53
が設けられている。更に、排気通路50にはウェイスト
ゲートバルブ54が設けられている。周知のように、タ
ーボチャージャー51は排気ガスのエネルギーを利用し
てタービン53を回転させ、その同軸上にあるコンプレ
ッサ52を回転させて吸入空気を昇圧させる。そして、
吸入空気が昇圧されることにより、高密度の空気が主燃
焼室44へ送り込まれて副燃焼室45を通じて噴射され
た燃料が多量に燃焼され、ディーゼルエンジン3の出力
が増大される。又、ウェイストゲートバルブ54が開閉
されることにより、ターボチャージャ51による吸入空
気の昇圧レベルが調節される。
【0031】吸気通路49と排気通路50との間には、
エキゾーストガスリサキュレイションバルブ通路(EG
R通路)56が設けられている。そして、このEGR通
路56により、排気通路50内の排気の一部が吸気通路
49における吸気ポート55の近くに再循環される。
又、EGR通路56の途中にはEGRバルブ57が設け
られ、そのEGRバルブ57によって排気再循環量(E
GR量)が調節される。更に、そのEGRバルブ57を
開閉駆動させるために、開度調節されるエレクトリック
バキュームレギュレーティングバルブ(EVRV)58
が設けられている。そして、EVRV58によりEGR
バルブ57が開閉駆動されることにより、EGR通路5
6を通じて排気通路50から吸気通路49へ導かれるE
GR量が調節される。
【0032】吸気通路49の途中にはスロットルバルブ
59が設けら、同バルブ59がアクセルペダル60の踏
み込みに連動して開閉される。又、吸気通路49には、
スロットルバルブ55と並んでバイパス通路61が設け
られており、同通路61にはバイパス絞り弁62が設け
られている。このバイパス絞り弁62を開閉駆動させる
ために、二段ダイヤフラム室式のアクチュエータ63が
設けられている。又、そのアクチュエータ63を駆動さ
せるための二つのバキュームスイッチングバルブ(VS
V)64,65が設けられている。そして、各VSV6
4,65がオン・オフ制御されてアクチュエータ63が
駆動されることにより、バイパス絞り弁62が開閉制御
される。例えば、このバイパス絞り弁62は、アイドル
運転時に騒音振動等の低減のために半開状態に制御さ
れ、通常運転時には全開状態に制御され、更に運転停止
時には円滑な停止のために全閉状態に制御される。
【0033】上記のような電磁スピル弁23、TCV3
3、グロープラグ46、EVRV58及び各VSV6
4,65は電子制御装置(以下単に「ECU」という)
71にそれぞれ電気的に接続されている。そして、それ
ら各部材23,33,46,58,64,65の駆動タ
イミングがECU71により制御される。そして、この
実施例では、ECU71により燃料圧力変化率演算手段
及び燃料系内環境判定手段が構成されている。
【0034】ディーゼルエンジン3の運転状態を検出す
るセンサとしては、前述した回転数センサ35に加え
て、以下の各種センサが設けられている。即ち、吸気通
路49の入口に設けられたエアクリーナ66の近傍に
は、吸気温度THAを検出してその検出値の大きさに応
じた信号を出力する吸気温センサ72が設けられてい
る。又、スロットルバルブ59の近傍には、同バルブ5
9の開閉位置からエンジン負荷に相当するアクセル開度
ACCPを検出してその検出値の大きさに応じた信号を
出力するアクセルセンサ73が設けられている。吸気ポ
ート55の近傍には、ターボチャージャ51によって過
給された後の吸入空気の圧力、即ち過給圧PiMを検出
してその検出値の大きさに応じた信号を出力する吸気圧
センサ74が設けられている。更に、ディーゼルエンジ
ン3の冷却水の温度、即ち冷却水温THWを検出してそ
の検出値の大きさに応じた信号を出力する水温センサ7
5が設けられている。又、クランクシャフト40の回転
基準位置、例えば特定気筒の上死点に対するクランクシ
ャフト40の回転基準位置Gnを検出し、その回転基準
位置Gnに対応する信号を出力するクランク角センサ7
6が設けられている。更に又、図示しないトランスミッ
ションには、車両速度(車速)SPDを検出する車速セ
ンサ77が設けられている。この車速センサ77はトラ
ンスミッションの出力軸により回転されるマグネット7
7aを備え、そのマグネット77aによりリードスイッ
チ77bが周期的にオンされることより、車速SPDに
相当するパルス信号が出力される。
【0035】そして、ECU71には上述した各センサ
72〜77、回転数センサ35、圧力センサ37及びタ
イマ位置センサ38がそれぞれ接続されている。又、E
CU71は各センサ35,37,38,72〜77から
出力される各種信号に基づき、電磁スピル弁23、TC
V33、グロープラグ46、EVRV58及び各VSV
64,65等を好適に制御する。
【0036】次に、前述したECU71の構成を図4の
ブロック図に従って説明する。ECU71は中央処理装
置(CPU)81、所定の制御プログラム及びマップ等
を予め記憶した読み出し専用メモリ(ROM)82、C
PU81の演算結果等を一時記憶するランダムアクセス
メモリ(RAM)83、記憶されたデータを保存するバ
ックアップRAM84等を備えている。そして、ECU
71はこれら各部81〜84と入力ポート85及び出力
ポート86等とをバス87によって接続した論理演算回
路として構成されている。
【0037】入力ポート85には、前述した吸気温セン
サ72、アクセルセンサ73、吸気圧センサ74、水温
センサ75、圧力センサ37及びタイマ位置センサ38
が、各バッファ88,89,90,91,92,93、
マルチプレクサ94及びA/D変換器95を介して接続
されている。同じく、入力ポート85には、前述した回
転数センサ35、クランク角センサ76及び車速センサ
77が、波形整形回路96を介して接続されている。そ
して、CPU81は入力ポート85を介して入力される
各センサ35,37,38,72〜77等からの信号を
それぞれ入力値として読み込む。又、出力ポート86に
は各駆動回路97,98,99,100,101,10
2を介して電磁スピル弁23、TCV33、グロープラ
グ46、EVRV58及び各VSV64,65等が接続
されている。そして、CPU81は各センサ35,3
7,38,72〜77から読み込んだ入力値に基づき、
電磁スピル弁23、TCV33、グロープラグ46、E
VRV58及び各VSV64,65等をそれぞれ好適に
制御する。
【0038】尚、この実施例において、CPU81はタ
イマ機能を兼ね備えている。又、この実施例において、
グロープラグ46はディーゼルエンジン3の各気筒毎に
設けられているものであるが、図4のブロック図では便
宜上その中の一つのみが図示されている。
【0039】次に、前述したECU71により実行され
る燃料噴射制御のための処理内容について図5〜図8に
従って説明する。図5はECU71により実行される各
処理のうち、燃料噴射ポンプ1から燃料噴射ノズル4ま
での燃料系内における環境状態を反映した燃料系内環境
定数ρを演算するための「燃料系内環境定数演算ルーチ
ン」の処理内容を示すフローチャートであり、所定時間
毎に周期的に実行される。
【0040】処理がこのルーチンへ移行すると、先ずス
テップ110において、回転数センサ35、タイマ位置
センサ38及びクランク角センサ76等からの信号に基
づき、エンジン回転速度NE、タイマ位置TP及び回転
基準位置Gn等をそれぞれ読み込む。
【0041】続いて、ステップ120において、プラン
ジャ12が噴射開始直前における圧縮行程か否かを判断
する。即ち、燃料噴射ノズル4が開弁に至る直前である
か否かを判断する。この判断は、今回読み込まれたエン
ジン回転速度NE、タイマ位置TP及び回転基準位置G
n等に基づいて行われる。そして、プランジャ12が噴
射開始直前の圧縮行程でない場合には、そのままその後
の処理を一旦終了する。一方、プランジャ12が噴射開
始直前の圧縮行程である場合には、ステップ130へ移
行する。
【0042】ステップ130においては、圧力センサ3
7からの信号に基づき、そのときどきの時刻tiにおけ
る燃料圧力Piを読み込む。又、ステップ140におい
て、今回読み込まれた燃料圧力Piに基づき、その燃料
圧力Piの一回微分値(dPi/dti)を燃料圧力P
iの変化率(燃料圧力変化率)として演算する。この実
施例では、噴射開始直前の圧縮行程における所定のクラ
ンク角度範囲において複数の一回微分値(dPi/dt
i)が演算される。これら一回微分値(dPi/dt
i)は燃料噴射ポンプ1から燃料噴射ノズル4までの燃
料系内において、経時変化や燃料性状等を反映してい
る。
【0043】次に、ステップ150において、今回演算
された複数の一回微分値(dPi/dti)に基づき、
平均燃料圧力変化率ΔPAを演算する。即ち、噴射開始
直前の所定のクランク角度範囲における平均的な燃料圧
力変化率を求める。
【0044】続いて、ステップ160において、プラン
ジャ12のリフトに伴って単位時間当たりに変化する燃
料系内の体積ボリュームVの変化分、即ち体積ボリュー
ム変化分ΔVを演算する。この体積ボリューム変化分Δ
Vはエンジン回転速度NE等に応じて求められる。又、
ステップ170において、体積ボリューム変化分ΔVだ
け変化する前の、即ち単位時間一つ前の体積ボリューム
V0を演算する。この体積ボリュームV0はエンジン回
転速度NE等に応じて求められる。
【0045】続いて、ステップ180においては、上記
のように求められた平均燃料圧力変化率ΔPA、体積ボ
リューム変化分ΔV及び体積ボリュームV0に基づき、
今回の燃料系内環境定数ρを演算する。この燃料系内環
境定数ρの演算は以下の計算式に従って行われる。
【0046】 ρ=ΔPA*(V0+ΔV)/V0 そして、ステップ190において、今回求められた燃料
系内環境定数ρをRAM83に一旦記憶して、その後の
処理を一旦終了する。
【0047】ここで、上記の燃料系内環境定数ρの演算
を、図6に示すタイムチャートに従って説明する。この
タイムチャートは一回の燃料噴射の際における燃料圧力
P及びその一回微分値(dP/dt)の挙動を示してい
る。
【0048】今、一回の燃料噴射が実行される際に、時
刻t1において燃料噴射ポンプ1のプランジャ12がリ
フトし始めると、同図(a)に示すように、燃料圧力P
は上昇を開始して徐々に増加する。このとき、燃料圧力
Pの一回微分値(dP/dt)は、同図(b)に示すよ
うに変化する。ECU71では、この燃料圧力Pの増加
過程が噴射開始直前の圧縮行程であると判断される。そ
して、増加過程の燃料圧力Pが大きく変曲する変曲点A
での時刻t2が、燃料噴射ノズル4が開弁に至る噴射開
始時刻tsとなる。又、その時刻t2における燃料圧力
Pが噴射開始圧力Psとなる。そして、ECU71で
は、噴射開始時刻tsの直前における燃料圧力Pの立ち
上がりの平均的な傾き、即ち時刻t1と時刻t2との間
の一回微分値(dP/dt)の大きさが、平均燃料圧力
変化率ΔPAとして求められる。又、ECU71では、
その平均燃料圧力変化率ΔPAに基づき燃料系内環境定
数ρが求められる。ここで、燃料噴射ポンプ1から燃料
噴射ノズル4までの燃料系内で、平均燃料圧力変化率Δ
PAが大きい場合には、燃料系内環境定数ρが大きくな
る。一方、平均燃料圧力変化率ΔPAが小さい場合に
は、燃料系内環境定数ρが小さくなる。又、平均燃料圧
力変化率ΔPAはそのときどきの燃料性状や燃料系の経
時変化等を反映した実測値として求められ、燃料系内環
境定数ρはそれらの燃料性状や燃料系の経時変化等を反
映した実測値として求められる。
【0049】そして、この実施例では、上記のように求
められる燃料系内環境定数ρを使用して、以下のような
燃料噴射量制御が実行される。即ち、図7はECU71
により実行される「燃料噴射量制御ルーチン」の処理内
容を示すフローチャートであり、所定間隔毎に周期的に
実行される。
【0050】処理がこのルーチンへ移行すると、先ずス
テップ210において、回転数センサ35、アクセルセ
ンサ73、吸気圧センサ74及び水温センサ75等から
の各種信号に基づき、エンジン回転速度NE、過給圧P
iM、冷却水温THW及びアクセル開度ACCP等をそ
れぞれ読み込む。
【0051】続いて、ステップ220において、エンジ
ン回転速度NE及びアクセル開度ACCPに基づき、今
回の運転状態に応じた基本噴射量Qbを演算する。又、
ステップ230において、今回の冷却水温THW及び過
給圧PiM等に基づき、今回求められた基本噴射量Qb
を補正演算することにより、補正後噴射量Q1を求め
る。即ち、冷間時やターボチャージャ51の作動状態に
応じて、補正後噴射量Q1を求めるのである。
【0052】その後、ステップ240において、RAM
83に記憶されている最新の燃料系内環境定数ρを読み
込む。又、ステップ250において、今回読み込まれた
燃料系内環境定数ρに基づき、噴射量補正値αを演算す
る。この噴射量補正値αの演算は、燃料系内環境定数ρ
と噴射量補正値αとの関係を予め定めてなる図示しない
マップを参照して行われる。ここで、燃料系内環境定数
ρが小さい場合には、燃料系からの燃料洩れ等が大きい
ことが考えられることから、燃料系内の環境状態の変化
が大きいと判定され、噴射量補正値αは燃料噴射量を増
量させる方向の補正値として求められる。
【0053】続いて、ステップ260において、今回求
められた補正後噴射量Q1及び噴射量補正値αに基づ
き、最終的な目標噴射量Qを演算する。ここで、目標噴
射量Qは、噴射量補正値αが噴射量の補正量に相当する
値である場合には、その噴射量補正値αを補正後噴射量
Q1に加算又は減算することにより求められる。或い
は、目標噴射量Qは、噴射量補正値αが噴射量の補正係
数に相当する値である場合には、その噴射量補正値αと
補正後噴射量Q1との乗算結果を補正後噴射量Q1に加
算又は減算することにより求められる。
【0054】そして、ステップ270において、今回求
められた目標噴射量Qに基づき燃料噴射を実行し、その
後の処理を一旦終了する。即ち、目標噴射量Qに基づき
電磁スピル弁23を制御することにより、燃料噴射ポン
プ1から燃料噴射ノズル4への燃料の圧送を制御し、も
って燃料噴射ノズル4からの燃料噴射量を制御するので
ある。
【0055】併せて、この実施例では、燃料系内環境定
数ρを使用して以下のような燃料噴射時期制御が実行さ
れる。即ち、図8はECU71により実行される「燃料
噴射時期制御ルーチン」の処理を示すフローチャートで
あり、所定間隔毎に周期的に実行される。
【0056】処理がこのルーチンへ移行すると、先ずス
テップ310において、回転数センサ35、タイマ位置
センサ38、アクセルセンサ73、吸気圧センサ74及
び水温センサ75等からの各種信号に基づき、エンジン
回転速度NE、タイマ位置TP、過給圧PiM、冷却水
温THW及びアクセル開度ACCP等をそれぞれ読み込
む。
【0057】続いて、ステップ320において、今回読
み込まれたエンジン回転速度NE及びアクセル開度AC
CPに基づき、今回の運転状態に応じた基本噴射開始時
期Tbを演算する。又、ステップ330において、今回
読み込まれた冷却水温THW及び過給圧PiM等に基づ
き基本噴射開始時期Tbを補正演算することにより、補
正後噴射開始時期T1を演算する。即ち、冷間時やター
ボチャージャ51の作動状態に応じて、補正後噴射開始
時期T1を求めるのである。
【0058】その後、ステップ340において、RAM
83に記憶されている最新の燃料系内環境定数ρを読み
込む。又、ステップ350において、今回読み込まれた
燃料系内環境定数ρに基づき、噴射開始時期補正値βを
演算する。この噴射開始時期補正値βの演算は、燃料系
内環境定数ρと噴射開始時期補正値βとの関係を予め定
めてなる図示しないマップを参照して行われる。ここ
で、燃料系内環境定数ρが小さい場合には、燃料系から
の燃料洩れ等が大きいことが考えられることから、燃料
系内の環境状態の変化が大きいと判定され、噴射開始時
期補正値βは噴射開始時期を進角させる方向の補正値と
して求められる。
【0059】続いて、ステップ360においては、今回
求められた補正後噴射開始時期T1及び噴射開始時期補
正値βに基づき、最終的な目標噴射開始時期Tを演算す
る。ここで、目標噴射開始時期Tは、噴射開始時期補正
値βが噴射開始時期の補正時期に相当する値である場合
には、その噴射開始時期補正値βを補正後噴射開始時期
T1に加算又は減算することにより求められる。或い
は、目標噴射開始時期Tは、噴射開始時期補正値βが噴
射開始時期の補正係数に相当する値である場合には、そ
の噴射開始時期補正値βと補正後噴射開始時期T1との
乗算結果に補正後噴射開始時期T1を加算又は減算する
ことにより求められる。
【0060】そして、ステップ370において、今回求
められた目標噴射開始時期Tに基づき燃料噴射を実行
し、その後の処理を一旦終了する。即ち、目標噴射開始
時期Tに基づきTCV33を制御してタイマ装置26を
制御することにより、燃料噴射ポンプ1から燃料噴射ノ
ズル4への燃料の圧送タイミングを調整し、もって燃料
噴射ノズル4からの燃料噴射時期を制御するのである。
【0061】以上説明したように、この実施例の燃料噴
射制御によれば、一回の燃料噴射が実行される毎に、燃
料噴射ポンプ1から燃料噴射ノズル4までの燃料系内に
おける環境状態、即ち燃料性状や燃料系の経時変化等を
反映した燃料系内環境定数ρが実測値として得られる。
又、その燃料系内環境定数ρに基づいて補正された目標
噴射量Q及び目標噴射開始時期Tが求められる。そし
て、それら目標噴射量Q及び目標噴射開始時期Tに基づ
き、燃料噴射ポンプ1が駆動制御されて燃料噴射量制御
及び燃料噴射時期制御が実行される。
【0062】従って、毎回の燃料噴射に際して、燃料噴
射ポンプ1から燃料噴射ノズル4へ圧送される燃料量に
は、燃料系内の環境状態に起因した変化の補正が行わ
れ、その燃料量変化の影響が排除される。このため、燃
料系内の環境状態が何らかの原因で変化したとしても、
その変化に影響されることなく、所期の燃料量をディー
ゼルエンジン3へ圧送して噴射することができる。同様
に、所期の噴射開始タイミングをもってディーゼルエン
ジン3へ燃料を噴射することができる。
【0063】その結果、燃料系内の環境状態の変化に対
処して、高精度な燃料噴射量制御及び燃料噴射時期制御
を常に安定して行うことができる。例えば、燃料系の管
路定数(管路抵抗,熱膨張率,弾性率等)が変化した
り、燃料系で燃料洩れが有ったり、燃料温度が変化した
りしても、それに対処して燃料噴射制御を高精度に行う
ことができる。又、その結果として、ディーゼルエンジ
ン3からのスモークや窒素酸化物(NOx)の排出を抑
えることができる。
【0064】しかも、この実施例では、燃料噴射ポンプ
1から燃料噴射ノズル4までの燃料系内において、燃料
噴射ノズル4が開弁に至る直前の、即ち燃料噴射開始直
前の圧力増加過程における燃料圧力Pが検出される。そ
して、その一つのパラメータとしての燃料圧力Pに基づ
き平均燃料圧力変化率ΔPAが求められ、その平均燃料
圧力変化率ΔPAに基づき燃料系内環境定数ρが求めら
れる。
【0065】従って、毎回の燃料噴射に際して、燃料系
内で実際に検出される燃料圧力Pから、そのときどきの
燃料性状や燃料系の経時変化等を反映した燃料系内環境
定数ρが実測値として得ることができる。即ち、燃料系
の管路定数の違いや、燃料系での燃料洩れや、燃料温度
の変化に対応して、それらの諸条件の変化を的確に反映
した燃料系内環境定数ρを得ることができる。
【0066】しかも、燃料系内環境定数ρには、燃料系
の特定の一点で検出される燃料温度より間接的に換算さ
れる燃料弾性率等とは異なり、燃料系全体の諸条件を反
映させることができる。つまり、燃料系全体から見た場
合に、燃料温度には所定の温度分布が存在し、特定の一
点で求められる燃料温度に偏りが生じることは避けられ
ない。従って、偏りのある燃料温度から燃料系全体の諸
条件を反映した値を正確に得ることができない。これに
対し、燃料圧力Pには燃料系全体の温度条件、或いは燃
料洩れ、更には燃料系の剛性のバラツキ等の諸条件、即
ち環境状態が複合的に反映されることになる。
【0067】つまり、燃料系の経時変化や燃料性状等、
燃料噴射の制御に際して影響のある燃料系内環境定数ρ
を、燃料系内における諸条件の複合的な相関値として求
めることができる。しかも、その燃料系内環境定数ρを
燃料圧力Pという単一のパラメータにより、常時且つ効
率的に求めることができる。
【0068】その結果、燃料系全体の諸条件の変化を反
映した燃料系内環境定数ρから、燃料系内の環境状態を
より的確に判定し、それに応じてより的確な噴射量補正
値α及び噴射開始時期補正値βを求めることができる。
又、それらの各補正値α,βに基づき、より的確な目標
噴射量Q及び目標噴射開始時期Tを求めることができ
る。その意味からも、燃料噴射量制御及び燃料噴射時期
制御をより高精度に行うことができる。
【0069】尚、この発明は前記実施例に限定されるも
のではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で構成の一部
を適宜に変更して次のように実施することもできる。 (1)前記実施例では、燃料圧力Pの一回微分値(dP
i/dti)から求められる燃料系内環境定数ρに基づ
いて噴射量補正値α及び噴射開始時期補正値βを求め、
それら各補正値α,βに基づき目標噴射量Q及び目標噴
射開始時期Tを補正するようにした。これに対し、燃料
圧力Pの一回微分値(dPi/dti)から求められる
燃料系内環境定数ρと、噴射開始圧力Ps等とに基づ
き、毎回、燃料噴射終了後に燃料系に残留する燃料量の
変化分を求め、その残留燃料量変化分に基づき燃料噴射
量或いは燃料噴射開始時期を補正するようにしてもよ
い。
【0070】(2)前記実施例では、燃料圧力Pの一回
微分値(dPi/dti)から求められる燃料系内環境
定数ρに基づき噴射量補正値α及び噴射開始時期補正値
βを求めたが、各補正値α,βにおけるノイズやエラー
の影響を防止するために、過去複数個の演算データの加
重平均から各補正値α,βを求めることもできる。 (3)前記実施例では、「燃料系内環境定数演算ルーチ
ン」で噴射開始直前の所定のクランク角度範囲における
燃料圧力Piの一回微分値(dPi/dti)を複数演
算し、それら複数の一回微分値(dPi/dti)の平
均値から平均燃料圧力変化率ΔPAを求めた。これに対
し、噴射開始直前のある圧力点における燃料圧力Pの一
回微分値(dPi/dti)を毎回演算し、その圧力点
における過去複数回の燃料圧力Pのサンプリングデータ
を平均することにより平均燃料圧力変化率ΔPAを求め
てもよい。或いは、平均燃料圧力変化率ΔPAを学習制
御により決定してもよい。
【0071】(4)前記実施例では、燃料圧力Pの一回
微分値(dPi/dti)から求められる燃料系内環境
定数ρに基づき、燃料噴射量制御及び燃料噴射時期制御
を行うようにした。これに対し、燃料圧力Pの一回微分
値(dPi/dti)より求められる燃料系内環境定数
ρに基づき、燃料系の機能不全を判断し、そのことを運
転者に報知したり、機能不全に対処するためのフェイル
セーフモードの処理を実行したりしてもよい。例えば、
燃料系内環境定数ρが極端に低い場合には、燃料それ自
身の種類が異なっていたり、燃料系での燃料洩れが多量
過ぎることが考えられることから、そのことを運転者に
報知するようにしてもよい。
【0072】(5)前記実施例では、燃料圧力Pの一回
微分値(dPi/dti)から求められる燃料系内環境
定数ρに基づき、燃料噴射量制御及び燃料噴射時期制御
を行うようにした。これに対し、燃料圧力Pの一回微分
値(dPi/dti)より求められる燃料系内環境定数
ρに基づき、燃料噴射率やEGR等の様々なパラメータ
の補正を行うようにしてもよい。
【0073】(6)前記実施例では、燃料圧力Pを検出
する圧力センサ37を燃料噴射ポンプ1の高圧室15に
対応して設けたが、圧力センサをディーゼルエンジンの
各気筒毎の燃料噴射ノズルに設けてもよい。
【0074】(7)前記実施例では、内燃機関としての
ディーゼルエンジン3に具体化したが、燃料噴射ポンプ
及び燃料噴射ノズルを備えた燃料噴射装置を有する内燃
機関であれば、ディーゼルエンジンに限られるものでは
ない。
【0075】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれ
ば、燃料噴射ポンプから燃料噴射ノズルまでの燃料系内
で検出される燃料圧力に基づき燃料圧力変化率を求め、
その燃料圧力変化率から燃料系内の環境状態を判定して
いる。従って、毎回の燃料噴射に際して、燃料系内で実
際に検出される燃料圧力から燃料圧力変化率が求めら
れ、その燃料圧力変化率から、そのときどきの燃料性状
や燃料系の経時変化、更にはそれらを複合的に反映した
燃料系内の環境状態が判定される。その結果、燃料系の
経時変化や燃料性状等、燃料噴射の制御に際して影響の
ある変化量を燃料系内における諸条件の複合的な相関値
として、燃料圧力という単一のパラメータにより、常時
且つ効率的に判定することができるという優れた効果を
発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の基本的な概念構成を説明する概念構
成図である。
【図2】この発明を具体化した一実施例における過給機
付ディーゼルエンジンシステムを示す概略構成図であ
る。
【図3】一実施例において、分配型燃料噴射ポンプを示
す断面図である。
【図4】一実施例において、ECUの構成を示すブロッ
ク図である。
【図5】一実施例において、ECUにより実行される
「燃料系内環境定数演算ルーチン」の処理内容を示すフ
ローチャートである。
【図6】一実施例において、一回の燃料噴射の際の燃料
圧力及びその一回微分値の挙動等を示すタイムチャート
である。
【図7】一実施例において、ECUにより実行される
「燃料噴射量制御ルーチン」の処理内容を示すフローチ
ャートである。
【図8】一実施例において、ECUにより実行される
「燃料噴射時期制御ルーチン」の処理内容を示すフロー
チャートである。
【符号の説明】
1…燃料噴射ポンプ、4…燃料噴射ノズル、37…圧力
センサ(37は燃料圧力検出手段を構成している)、7
1…ECU(71は燃料圧力変化率演算手段及び燃料系
内環境判定手段を構成している。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料圧力により開弁される燃料噴射ノズ
    ルと、 前記燃料噴射ノズルへ燃料を圧送するための燃料噴射ポ
    ンプと、 前記燃料噴射ポンプから前記燃料噴射ノズルまでの燃料
    系内における燃料圧力を検出するための燃料圧力検出手
    段と、 前記燃料圧力検出手段の検出結果に基づき、前記燃料圧
    力の変化率を演算するための燃料圧力変化率演算手段
    と、 前記燃料圧力変化率演算手段の演算結果に基づき、前記
    燃料系内の環境状態を判定するための燃料系内環境判定
    手段とを備えたことを特徴とする燃料系内環境判定装
    置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104919163A (zh) * 2013-01-08 2015-09-16 沃尔沃卡车集团 用于确定燃料质量的方法和装置

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