JPH06229249A - 過給機エンジンの排気マニホールド構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 過給機エンジンの排気マニホールドにおい
て、トルクの低下を回避すると共に吸入空気への昇圧力
を向上させる。 【構成】 一側にエンジン５のシリンダに接続する複数
の分岐管路6a,6b,6c,6dを設け、他側に排気を導出する
集合管路７を設け、この集合管路７の下流側に過給機１
を設けた過給機エンジンの排気マニホールド４におい
て、分岐管路6a,6b,6c,6d の中央の２個の分岐管路6b,6
c に隔壁８を設け、隔壁８に分流通路９を設ける。ま
た、集合管路７の略中央に流れに沿う仕切板10を設け
る。仕切板10の一方側の管路に分流通路９を連通させ、
他方側の管路に分岐管路6a,6b,6c,6d の両側端に位置す
る２個の分岐管路6a,6d を連通させる。これにより、中
央の２個の分岐管路6b,6c に流れ込んだ排気は、両端の
分岐管路6a,6d を流れる排気に干渉されることがなくな
り、分流通路９の排気の流速を上げることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、排気タービン式過給機
を備えた過給機エンジンの排気マニホールド構造に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】自動車エンジンにはより多くの燃料を燃
焼させて出力を向上させる排気タービン式過給機（以
下、過給機という）を備えたものがある。図８はこの過
給機１の取り付けの一部を模式的に示したものである。
過給機１はタービン２とコンプレッサ３とから概略構成
されており排気マニホールド４の出口部分に接続されて
いる。

【０００３】すなわち、４気筒エンジン５の各々のシリ
ンダに接続した排気マニホールド４の分岐管路６を集合
させてなる集合管路７の下流側端部（図９参照）にター
ビン２を接続し、タービン２を集合管路７を流れる排気
によって回転させタービン２に直結したコンプレッサ３
によって吸入空気を圧縮しエンジン５に送り込むように
している。

【０００４】なお、ターボ過給エンジンの排気マニホー
ルドとして、特開昭63-21326号公報に開示されているも
のがある。この公報に開示されているものはエンジン本
体の複数のシリンダのうち、シリンダ配列方向一方側に
位置するシリンダ群からの排気をシリンダの配列方向中
央群に向けて導出する第１の排気通路と、他方側に位置
するシリンダ群からの排気をシリンダ配列方向中央群に
向けて導出する第２の排気通路とを集合させ、この集合
させた部分の通路面積を上流から下流にかけて次第に絞
るようにしたものである。

【０００５】また、内燃機関の排気マニホールドとし
て、実開平２-39529号公報に開示されているものがあ
る。この公報に開示されているものは、分岐管の集合部
内を隔壁によって区画し、この隔壁の出口側を薄肉部に
したものである。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】以上説明した従来技術
においては、各シリンダに接続した分岐管路を集合さ
せ、この集合させた集合管路にタービンを接続している
ので、分岐管路から集合管路に流れ込む排気同士が干渉
しあって、エンジンの低中速時にはタービンのトルクが
小さくなって、吸入空気への昇圧力が小さくなってしま
う問題があった。そこで、２個を対にした過給機を使用
することことも考えられるが、２個対の過給機を使用す
ると、各々タービン付近まで排気干渉を押さえる必要が
あり、構造が複雑になってコストアップになる問題があ
る。

【０００７】なお、特開昭63-21326号公報に開示されて
いるターボ過給エンジンの排気マニホールドは各シリン
ダに接続した排気通路を集合させ、かつ、集合した排気
通路の通路面積を絞るようにしたものであるが、この絞
った排気通路内で排気が干渉する虞がある。

【０００８】また、実開平２-39529号公報に開示されて
いる内燃機関の排気マニホールドは、分岐管の集合部内
に設けた隔壁の出口側を薄肉部にしたものであるが、こ
のものも排気が出口部分で干渉する虞がある。

【０００９】本発明は、上記従来の課題を解決するため
になされたもので、各シリンダに接続する排気マニホー
ルドの分岐管路を小単位で集合させるようにして、トル
クの低下を回避すると共に吸入空気への昇圧力を向上さ
せた過給機エンジンの排気マニホールド構造を提供する
ことを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するための手段として、一側にエンジンのシリンダに
接続する複数の分岐管路を設け、他側に排気を導出する
集合管路を設け、該集合管路の下流側端部に過給機を接
続した過給機エンジンの排気マニホールドにおいて、前
記分岐管路の中央に位置する２個の分岐管路の下流側端
部に隔壁を設け、該隔壁に分流通路を設ける共に前記集
合管路の略中央部に該集合管路に沿わせた仕切板を設
け、該仕切板によって分割した一方側の管路に前記分流
通路を連通させ、他方側の管路に前記分岐管路の両側端
に位置する２個の分岐管路を連通させたことを特徴とす
るものである。

【００１１】

【作用】本発明は、このように排気マニホールドの一側
にある分岐管路のうち、中央部に位置する２個の分岐管
路の下流側端部に隔壁を設け、この隔壁に分流通路を設
けたので、この２個の分岐管路に流れ込んだ排気は、両
端に位置する分岐管路を流れる排気に干渉されることは
なく合流して分流通路を流れるようになる。これによっ
て、分流通路を流れる排気の流速を上昇させることが可
能となる。

【００１２】また、分流通路を集合管路の一方側の管路
に連通させ、他方側の管路に前記分岐管路の両端に位置
する２個の分岐管路を連通させたので、これらの一方側
の管路を通る排気と他方側の管路を通る排気は互いに干
渉し合うことなく集合管路を流れる。これによって、排
気の流速、すなわち圧力をさらに上昇させることが可能
となり、圧力のある排気をタービンに当てることが可能
となる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の第１の実施例を図１につき、
図８と同一の部材には同一の符号を付して説明する。図
において、符号１で示すものは４気筒エンジン５の排気
マニホールド４の下流端に接続した過給機である。過給
機１はタービン２と、タービン２に直結したコンプレッ
サ３とから概略構成されている。

【００１４】また、排気マニホールド４の一側すなわち
エンジン５への取付側にはエンジン５の各シリンダに対
応して分岐させた４個の分岐管路６が設けられている。
分岐管路６は図１において、左から第１の分岐管路6a、
第２の分岐管路6b、第３の分岐管路6c、第４の分岐管炉
6dとしてある。また、排気マニホールド４の他側は排気
が合流して流れる集合管路７になっている。

【００１５】また、４個並設した分岐管路６のうち、内
側に位置する２個の分岐管路６すなわち、第２の分岐管
路6bおよび第３の分岐管路6cの下流側には隔壁８が設け
られており、隔壁８には排気が集合して流れる分流通路
９が設けられている。

【００１６】一方、集合管路７の入口中央部には集合管
路７に沿う仕切板10が設けられている。仕切板10の長さ
は集合管路７の長さの半分程、すなわちタービン２に接
合するまでの距離の半分程となっている。

【００１７】そして、この仕切板10によって集合管路７
は二つに分割され、その一方側の管路には前述した分流
通路９が連通している。また、他方側の管路には分岐管
路６の両側端に位置する２個の分岐管路６、すなわち第
１の分岐管路6aおよび第４の分岐管炉6dの下流部分が連
通している。

【００１８】本実施例は、以上説明したように排気マニ
ホールド４の中央に位置する第２の分岐管路6bおよび第
３の分岐管路6cの下流側に隔壁８を設けて、これら第２
の分岐管路6bと第３の分岐管路6cの下流側を合流させ、
さらに隔壁８に、合流した排気が流下するように分流通
路９を設けたので、第２の分岐管路6bおよび第３の分岐
管路6cに流れ込んだ排気は、両端に位置する第１の分岐
管路6aおよび第４の分岐管炉6dを流れる排気に干渉され
ることはなく合流して分流通路９を流れる。これによっ
て、分流通路９を流れる排気の流速を上昇させることが
可能となる。

【００１９】また、分流通路９を仕切板11によって形成
した集合管路７の一方側の管路に連通させ、第１の分岐
管路6aおよび第４の分岐管路6dを他方側の管路に連通さ
せたので、一方側の管路および他方側の管路を流れる排
気は互いに干渉し合うことなく集合管路７を流れること
になる。これによって、排気の流速、すなわち圧力をさ
らに上昇させることが可能となり、圧力のある排気をタ
ービン２に当てることが可能となる。

【００２０】次に、本発明の第２の実施例を図３および
図４につき図１と同一の部材には同一の符号を付して説
明する。この実施例の特徴は集合管路７の中央部に設け
た、集合管路７に沿って配設した仕切板11の長さを集合
管路７の出口まで、すなわち、タービン２との接合部ま
で延設したことである。

【００２１】作用は基本的には第１の実施例と同様であ
るが、これによって、集合管路７の出口まで排気干渉を
抑えることができるようになり、トルクアップを図るこ
とが可能になる。

【００２２】次に、本発明の第３の実施例を図５および
図６につき図１と同一の部材には同一の符号を付して説
明する。この実施例の特徴は集合管路７の中央部に集合
管路７に沿って設けた仕切板12の長さを集合管路７の出
口よりも延設したことである。すなわち、タービン２と
の接合部よりタービン２のハウジング13まで延設したこ
とである。

【００２３】本実施例における作用も基本的には第１の
実施例と同様であるが、排気マニホールド４に２個対の
タービン２を接続したときと同様に、タービン２の付近
まで排気の干渉を押さえることができ、さらにトルクア
ップを図ることが可能となる。

【００２４】図７は、実施例と従来例におけるエンジン
５の回転数とブーストの特性およびエンジン５の回転数
とトルクの特性を合成して示したものである。図中、黒
丸は従来の特性を示し、白丸は第１の実施例の特性、か
け印のものは第３の実施例の特性を各々示している。図
によればエンジン５の回転数が上がる程、従来のものよ
り本実施例のもののブーストおよびトルクが大きくなっ
ていることが判明する。

【００２５】

【発明の効果】本発明は、以上説明したように排気マニ
ホールドの一側の中央に位置する２個の分岐管路の下流
端部に隔壁を設け、この隔壁に分流通路を設けたので、
中央の分岐管路に流れ込んだ排気は、両側端に位置する
分岐管路の排気に干渉されることはなく分流通路を流れ
るようになる。これによって、分流通路を流れる排気の
流速を上昇させることができる。

【００２６】また、分流通路の下流端部を集合管路の一
方側の管路に連通させ、また、他方側の管路に両側端に
位置する２個の分岐管路を連通させたので、これら一方
側の管路を流れる排気と他方側の管路を流れる排気は互
いに干渉し合うことなく集合管路を流れる。これによっ
て、排気の流速、すなわち排気の圧力をさらに上昇させ
ることが可能になり、圧力のある排気をタービンに当て
ることができる。

【００２７】これによって、低中速車の吸入空気の昇圧
力を大きくすることができる。また、ツインの過給機を
使用したときと同様にタービン付近まで排気干渉を押さ
えることができ、簡単な構造で容易にトルクを大きくす
ることができると共にコスト上昇を押さえることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例を示す断面図である。

【図２】図１に示すもののＢ−Ｂ線に沿う断面図であ
る。

【図３】本発明の第２の実施例を示す断面図である。

【図４】図３に示すもののＣ−Ｃ線に沿う断面図であ
る。

【図５】本発明の第３の実施例を示す断面図である。

【図６】図５に示すもののＤ−Ｄ線に沿う断面図であ
る。

【図７】本実施例の特性と従来例の特性との比較を示す
図である。

【図８】従来の排気マニホールドを示す断面図である。

【図９】図８に示すもののＡ−Ａ線に沿う断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 過給機 ５ エンジン ６ 分岐管路 ７ 集合管路 ８ 隔壁 ９ 分流通路 10 仕切板 11 仕切板 12 仕切板

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一側にエンジンのシリンダに接続する複
   数の分岐管路を設け、他側に排気を導出する集合管路を
   設け、該集合管路の下流側端部に過給機を接続した過給
   機エンジンの排気マニホールドにおいて、前記分岐管路
   の中央に位置する２個の分岐管路の下流側端部に隔壁を
   設け、該隔壁に分流通路を設ける共に前記集合管路の略
   中央部に該集合管路に沿わせた仕切板を設け、該仕切板
   によって分割した一方側の管路に前記分流通路を連通さ
   せ、他方側の管路に前記分岐管路の両側端に位置する２
   個の分岐管路を連通させたことを特徴とする過給機エン
   ジンの排気マニホールド構造。