JPH06228641A - 耐応力腐食割れ性に優れた内燃機関用ガスケット材の製造方法 - Google Patents

耐応力腐食割れ性に優れた内燃機関用ガスケット材の製造方法

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JPH06228641A
JPH06228641A JP3256593A JP3256593A JPH06228641A JP H06228641 A JPH06228641 A JP H06228641A JP 3256593 A JP3256593 A JP 3256593A JP 3256593 A JP3256593 A JP 3256593A JP H06228641 A JPH06228641 A JP H06228641A
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less
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steel
gasket
coating material
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Withdrawn
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JP3256593A
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English (en)
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Yoshihiro Uematsu
美博 植松
Sadao Hirotsu
貞雄 廣津
Shigeto Hayashi
茂人 林
Tomoyuki Sugino
智幸 杉野
Shinji Shibata
新次 柴田
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐剥離性,密着性に優れた塗膜を有する耐応
力腐食割れ特性に優れたステンレス製のエンジン用金属
ガスケット材料を得ること。 【構成】 重量%において,C:0.15%以下, Si:1.5
%越え〜5.0%以下,Mn:3.0%以下, Ni:4.0〜10.0
%, Cr:12.0〜20.0%, N:0.30%以下 ,S:0.008%
以下, さらに場合によって3.0%以下のMoまたは0.5〜
3.0%のCuを1種または2種を含み, かつ本文記載の
(1) 式に従うM値が30以上となるように各成分量が調
整されており, 残部がFeおよび不可避的に混入してく
る不純物からなるステンレス鋼を,通常の熱間圧延工程
および冷間圧延工程を経たうえ焼鈍後に10%以上の調質
圧延を施して所望厚みの鋼板とし,この鋼板をガスケッ
ト形状に成形加工するかまたは成形加工する前に, その
表面にコーティング材を塗布し, 次いで, 100℃以上300
℃未満の温度範囲で10分間以上の時効処理を施すことか
らなる内燃機関用ガスケット材の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は内燃機関用ガスケット材
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関(以後エンジンと呼ぶ)を構成
する部品の一つにガスケットがある。このガスケット
は,接合面の機密を維持するに必要な諸特性を具備する
必要がある。例えばエンジン特有の高温,高圧および高
振動下で長期間にわたってガス,水,油をシールするだ
けの高い面圧を維持する特性を具備しなければならな
い。
【0003】近年,かようなメタルガスケット用素材と
して,冷間加工によって簡単に高強度が得られる加工硬
化型の準安定オーステナイト系ステンレス鋼であるSUS3
01系鋼が主に用いられている。使用の態様としては,燃
焼室の周囲および水溝, 油溝の周囲に, 板厚0.1〜0.4mm
程度の薄板にビードを形成したガスケットを嵌め,この
ビードを締めつけたときに発生する高面圧によってガ
ス, 水, 油をシールするのが一般である。
【0004】使用に際しては, ガスケットとして必要な
強度, 耐ヘタリ性などの諸特性を具備させるためにガス
ケット製造工程中に400℃前後での時効処理が施され,
また金属同志ではそのなじみ性が悪く充分なシール性が
得られないためにコーティングが施される。コーティン
グ材としてはフッ素ゴムやアクリロニトリルーブタジエ
ンゴム(以後NBR)が一般に用いられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】シリンダーヘッドに使
用されるメタルガスケットには特に圧縮時に高圧が掛か
り,ガスシール性を高めるためには高面圧を必要とす
る。これに対応できる鋼としては, 前記のようにSUS301
系鋼(SUS301,304,TYPE301L)などが挙げられるが,SUS30
1系鋼ではガスケットとして必要な諸特性を具備させる
ためには400℃前後での時効処理を施す必要がある。
【0006】しかし, この時効処理温度はコーテング材
の耐熱温度 (通常200〜400℃前後)よりも高いので,時
効処理はコーテング材の塗布以前に施さねばならない。
このため,時効処理による酸化被膜の形成等によりコー
ティング材の密着性などに問題を生じることがあった。
【0007】一方, エンジン周辺の金属ガスケットで
は,燃焼排気ガス中の結露水や冷却水中に存在するCl-
などに接触するので応力腐食割れが発生しやすい環境に
ある。しかし,SUS301系鋼では強度を高めるとむしろ耐
応力腐食割れ特性が低下してくると言う性質がある。こ
のため,ガスケットのように高強度と耐応力腐食割れ特
性の双方が要求される場合にも,強度を或る程度犠牲に
することが余儀なくされた。
【0008】従って, 本発明の目的は,コーティング材
の密着性に優れた材料を提供すること,より具体的には
コーティング後に時効処理を施すことが可能であり,し
かもガスケットとして必要な強度と耐ヘタリ性等の諸特
性を保持しながら耐応力腐食割れ特性にも優れた金属ガ
スケット材料を得ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば,重量%
において,C:0.15%以下,Si:1.5%超え〜5.0%以
下,Mn:3.0%以下,Ni:4.0〜10.0%,Cr:12.0〜20.0
%,S:0.008%以下,N:0.30%以下,さらに, 場合に
よっては3.0%以下のMoまたは0.5〜3.0%のCuを1種
または2種を含み, かつ M=330−(480×C%)−(2×Si%)−(10×Mn%)−(14
×Ni%)−(5.7×Cr%)−(5×Mo%)−(14×Cu%)−
(320×N%) の式に従うM値が30以上となるようにC,Si,Mn,Ni,
Cr,Cu,Mo,N量が調整されており, 残部がFeおよび
不可避的に混入してくる不純物からなるステンレス鋼を
通常の熱間圧延工程および冷間圧延工程を経たうえ焼鈍
後に10%以上の調質圧延を施して所望厚みの鋼板とし,
この鋼板をガスケット形状に成形加工するかまたは成形
加工する前に, その表面にコーティング材を塗布し, 次
いで, 100℃以上300℃未満の温度範囲で10分間以上の時
効処理を施すことからなる内燃機関(エンジン)用ガス
ケット材の製造方法を提供する。
【0010】
【作用】エンジン周辺の金属ガスケットに関しての前記
の問題は,400℃前後での時効処理に変えて,コーティ
ング材を塗布後に低温で時効処理してもガスケットとし
て必要な諸特性が発現し,しかも耐応力腐食割れ特性に
優れた材料を開発できれば,実質的に解決できる。
【0011】本発明者らは前記の目的を達成すべくこの
種のステンレス鋼について種々の試験研究を重ねてきた
が, 先ず,この種の鋼において耐応力腐食割れ特性はS
i量と時効処理温度に依存していることを知見した。
【0012】すなわち,時効処理後の成形加工性を高め
るために,冷間加工によって誘発されるマルテンサイト
相の微細化および強化に寄与するSiを1.5%を越え5.0
%以下と従来鋼よりも高くし,さらにマルテンサイト相
の強化と時効硬化に寄与する元素Nを添加して, 誘発さ
れたマルテンサイト相をSi,Nによって硬化させ,冷間
加工状態で強度, 延性に富んだ材料が得られるようにす
ると共に, M値による適度なγ安定度と適量のSi,Nの
添加の相乗作用によって100℃以上300℃未満の低い温度
での時効処理でも, 従来鋼よりも優れた時効硬化作用が
もたらされることを知った。
【0013】かような低温で時効硬化が発現すること
は,コーテング材の耐熱温度以下で時効処理ができるこ
とを意味し,このため,コーテング材の塗布処理を時効
処理前に行っても,時効処理によってコーテング材の変
質を来すことがない。同時に,従来のように時効処理時
の表面変質 (例えば酸化被膜等) に由来するコーテング
不良の問題が回避でき, コーテング材の密着性が確保で
きる。
【0014】一方, 耐応力腐食割れ特性については,時
効処理前に調質圧延が施されるばね用材料分野におい
て,従来のように400℃前後での時効処理温度が,本発
明では300℃未満の温度でよいので優れた応力腐食割れ
特性が発現できる。
【0015】本発明において,鋼中の各成分の含有量を
前記の範囲に定めた理由を作用と共に説明すると次のと
おりである。
【0016】Cはオーステナイト生成元素で,高温で生
成するδフエライトの抑制, 冷間加工で誘発されたマル
テンサイト相の強化に極めて有効である。このため,よ
り成形加工性に優れたものを得るためにはできるだけC
量を高くして, 低い冷間加工でより高強度を得ること
が,優れた成形加工性と高強度を得るためには有効であ
る。しかし,あまりC量を高くすると,粒界に炭化物が
析出し,耐粒界腐食性や延性の低下原因となるので上限
を0.15%以下,好ましくは0.10%以下とする。
【0017】Siは製鋼時の脱酸材としても有効である
が,冷間加工によるマルテンサイト相の誘発およびその
強化の上で重要な作用を果たし,また低温での時効処理
による硬化のうえでも重要な作用を果たすと共に,優れ
た耐応力腐食割れ特性を付与するためにも重要な元素で
ある。この作用効果を発揮するにはSi量は少なくとも
1.5%以上を必要とする。
【0018】しかし,Si量をあまり高くすると, δフ
エライト相の生成を助長するためにC,N,Ni,Mn等の
オーステナイトフォーマーの合金元素を多量に添加する
必要を生じて高価になるとともに, γ安定度が高くなり
過ぎて冷間加工を施してもマルテンサイト相を生成しが
たくなり,強加工を施す必要が生じて加工性の低下をも
たらし,また過剰に添加しても添加量の割りには前記の
作用効果が小さいのでその上限を5.0%とする。
【0019】Mnは脱酸材としても有効であるが,オー
ステナイト相の安定度を支配する元素であり,その活用
は他の元素とのバランスのもとに考慮される。本発明に
おいては3.0%までのMn量でその活用が図られる。高強
度でかつ成形加工性が重視され,特に厳しい成形加工性
が要求される形状のガスケットに対してはMn量は0.5%
未満としてMnSの生成を極力避けるのが好ましい。
【0020】Crは鋼の耐食性のうえから必須の成分で
ある。意図する耐食性を付与するのには少なくとも12.0
%のCr量を必要とする。しかし,Crはフエライト生成
元素であるので高くしすぎると高温でδフエライト相が
多量に生成してしまう。その場合にはδフエライト相抑
制のためにオーステナイト生成元素 (C,N,Ni,Mn,C
uなど)をそれに見合った量で添加しなければならなく
なるが,オーステナイト生成元素を多く添加すると今度
は室温でのオーステナイト相が安定し,冷間加工後ある
いは時効処理しても高強度が得られなくなる。このよう
なことからCrの上限は20%とする。
【0021】Niは高温および室温でオーステナイト相
を得るために必須の成分であるが,本発明の場合には室
温で準安定オーステナイト相にして冷間加工でマルテン
サイト相を誘発させるようにしなければならない。本発
明に従う鋼の成分組成の範囲ではNi量が4.0%より低い
と高温で多量のδフエライト相が生成し,かつ室温でオ
ーステナイト相以外にマルテンサイト相が生成しやすく
なる。また10%を越えると冷間加工でマルテンサイト相
が誘発され難くなる。このためNi量は4.0〜10.0%, 好
ましくは5.0〜8.0%とする。
【0022】Moは鋼のベース硬さを上昇させるととも
に時効処理後の硬さを上昇させるので高強度を得る上で
有効に作用する。また耐食性の向上にも有効な元素であ
る。しかし, フエライトフォーマーであるために多量に
添加するとδフエライト相を晶出させ, かえって強度低
下の要因ともなるので上限を3.0%とする。
【0023】Cuは時効処理の際, Siとの相互作用によ
り鋼を硬化させる作用を供する。少なすぎるとその効果
は小さく, 多すぎると熱間加工性を阻害して割れの原因
となる。この理由からCu量は0.5〜3.0%とする。
【0024】SはMnとの共存のもとにMnSを生成して
延性の低下をもたらすので0.008%以下とする。薄板の
場合には高強度領域では介在物が延性や疲労特性に大き
く影響するので,この場合にはMnとSはともに低い方
が好ましく, Mn量は0.5%未満, S量は0.003%以下と
するのが適当である。
【0025】Nはオーステナイト生成元素であると共
に, オーステナイト相およびマルテンサイト相を硬化さ
せるのに極めて有効な元素であるとともに低温での時効
に際して時効硬化に寄与する。しかし多量になると鋳造
時にブローホールの原因となるので0.30%以下とし, よ
り好ましくは0.06〜0.15%の範囲で含有させる。
【0026】M値:30以上について。 C,Si,Mn,Ni,Cr,Mo,CuおよびNについて上記の範
囲で含有させるが,下記(1)式に従うM値が30以上とな
るように各成分を調整する点に本発明の一つの特徴があ
る。
【0027】M=330−(480×C%)−(2×Si%)−(10
×Mn%)−(14×Ni%)−(5.7×Cr%)−(5×Mo%)−
(14×Cu%)−(320×N%) ・・(1)
【0028】(1)式中の各成分値の係数並びに定数は,
本発明鋼の開発中に実験室的に確認されたものであり,
M値はオーステナイト安定度の指標となる。M値が30未
満では冷間圧延あるいは時効処理後に高強度を得るため
に, 室温で60%以上の強加工を施す必要があり,この場
合には延性が低下する。したがって, 前記の鋼成分の調
整によってガスケットとして必要な強度, 耐ヘタリ性,
耐応力腐食割れ等の特性を具備しながら, なおかつガス
ケットへの成形加工が支障なく行えるにはM値を30以上
となるように成分調整することが重要となる。
【0029】本発明鋼は以上の範囲に化学成分は調整さ
れるが, 本発明には前述の成分以外に脱酸材として添加
されるAlや, 脱硫剤として添加されるCaやREM,熱間加
工性改善効果のあるB (0.01%)の他, 不可避的に混入
する不純物を含有することができる。ただし, Alは高
強度でかつ疲労強度の高いものが要求される場合は使用
しないか,あるいは鋼中に非金属介在物を形成しない程
度の量とすることが望ましい。なお従来鋼と同程度の特
性なら本発明鋼の組成内でもAlを含有しても特にさし
つかえない。
【0030】上述の範囲に調整された本発明に従う鋼
は,その組織状態は溶体化処理状態で実質的にオーステ
ナイト相を呈する。これに調質圧延を施すことにより,
低い調質圧延率でも高強度で微細かつ緻密にα'相を分
布させることができる。また低温時効でも時効による強
度上昇が大きいので,優れた成形加工性と高強度並びに
耐応力腐食割れ特性を備えたガスケット材を得ることが
できる。
【0031】調質圧延の圧下率は,目標の強度レベルを
得るために少なくとも10%以上とする。該圧延率の上限
については,従来鋼よりも低い圧延率で目標強度は達成
されることおよびできるだけ成形加工性を保つために60
%前後が適当と考えられる。
【0032】さらにガスケット材としての諸特性例えば
耐ヘタリ性, ばね特性を発現するために100℃以上300℃
未満の温度範囲で10分間以上の時効処理を施す。この時
効処理はコーテング材を塗布したあとでも行うことがで
きる。このコーテング材の塗布はガスケットの形状に成
形加工前でも後でもよい。いずれにしても,コーティン
グ材の塗布後に時効処理を行うことにより,時効処理が
コーティング材の焼き付け硬化処理を兼ねることができ
る。
【0033】本発明においては,前述のように適正な鋼
成分の調整によって従来鋼に比べて優れた時効硬化能を
有するので,時効処理温度を100〜300℃未満の低温領域
としてもより高強度が得られ, またこの低温であること
故により優れた耐応力腐食割れ特性を得ることができる
し,時効処理がコーティング材の焼き付け硬化処理を兼
ねるという従来法にはない作用を供する。
【0034】時効処理温度が100℃未満では, 目的とす
る諸特性が得られないとともにコーティング材の焼き付
け硬化処理が不十分となってコーティング材としての諸
特性を付与することができなくなる。時効処理時間につ
いては,10分未満の短時間ではコーティング材の焼き付
け硬化処理が不十分となり,このために,塗膜密着性に
乏しくなると共に, エンジン用ガスケットとしての使用
状態において金属との接触部分での耐摩耗性, 並びに冷
却水や不凍液に対する塗膜密着安定性に劣るようにな
る。なお,時効処理時間の上限は特には限定されない
が,製造コスト面から考えると1時間前後が好ましい。
【0035】このように本発明は,鋼の成分設計と適度
な調質圧延率並びに時効処理の組合せによって,ガスケ
ットに要求される高強度,成形加工性並びに耐応力腐食
割れ特性を発現させ,しかもコーティング材の冷却水,
不凍液に対する塗膜密着安定性を付与したところに本発
明の特徴があるが,本発明による作用効果を整理すると
次のとおりである。
【0036】(A) 冷間加工(調質圧延)によって誘発
されたマルテンサイト相の微細化および強化に寄与する
Siを1.5%を越え5.0%以下と従来鋼よりも高くし,か
つマルテンサイト相の強化元素であるNを0.06%以上に
して, 誘発されたマルテンサイト相をSi,Nにより硬化
し,冷間加工 (調質圧延) 状態で強度と延性に富んだ材
料とした。
【0037】(B) 時効硬化に対してはSi添加により軽
加工でより緻密なマルテンサイト相を生成させ,さらに
Nの添加によりSiとNでより低温で時効による強度上
昇を図り, またさらにMo,Cuを添加することで時効処
理による強度上昇を大きくすることで,より調質圧延率
を低く保つことを可能とし,時効処理後の成形加工性も
改善し,加工部の疲労特性を改善した。
【0038】(C) 耐応力腐食割れ特性に対しては,Si
量と時効処理温度に影響されることを知見し,適量のS
i添加と時効処理温度を300℃未満とすることで調質圧延
後より高強度で優れた耐応力腐食割れ特性を付与した。
さらにMo,Cuの添加により,より耐応力腐食割れ性の
向上を図った。
【0039】(D) 100℃以上300℃未満の低温の時効処
理を施すことでガスケットとして必要な強度等の諸特性
を具備させることができたので,コーティング材を塗布
した後に時効処理ができ,時効処理後にコーテング材を
塗布するさいに問題となっていた塗膜不良が回避される
と同時に,本発明の時効処理はコーティング材の焼き付
け硬化処理を兼ねることができるので一層塗膜密着安定
性に優れたガスケット材が得られる。
【0040】このような作用を供することによって,エ
ンジン周辺の金属ガスケットとして耐シール性に優れな
がら,疲労や応力腐食割れによる破壊が防止され長時間
の使用に耐えるガスケット材料を本発明は提供する。
【0041】以下に実施例によって本発明の効果を具体
的に示す。
【0042】
【実施例】表1に示した化学成分値(重量%)を有する
本発明鋼H1〜9,従来鋼(A,B)および比較鋼(a
〜d)を常法により溶製,熱間圧延,冷間圧延,焼鈍,
酸洗あるいは光輝焼鈍を行ったうえ,調質圧延して板厚
を0.25mmtとした。
【0043】得られた各鋼板からサンプルを採取し,調
質圧延ままの耐力と伸びを調べた。その結果を表2に示
した。表2において「圧延率」とは最終調質圧延での冷
間圧延率である。
【0044】また各鋼板に250℃×30分の時効処理を施
し,この時効処理材の耐力,伸び,曲げ加工性およびΔ
YSを調べるとともに,一部のものについては曲げ加工
付与後の疲労特性を調査した。その結果を表2に併記し
た。ΔYSは時効処理前後の耐力の差を表す。
【0045】表2には,各時効処理材について耐応力腐
食割れ試験と疲労試験を行った結果も示した。耐応力腐
食割れ特性は, 0.25mmt×10mm幅×80mm長さの短冊板を
切出し, 表面応力1400N/mm2の曲げ応力を付与したもの
を,200℃ 100ppm Cl-中に浸漬し,割れ発生までの時
間 (Hr) で評価した。疲労試験は図4に示した寸法にW
ビード形状に成型加工した試験片に最大応力1000N/mm2
で応力振幅350N/mm2を付加したときの片振り引張り疲労
試験での破断に至るまでの繰り返し回数で評価した。
【0046】さらに, 前記の調質圧延材料のうち数種の
ものを,NBR塗布のコーテング処理したあとで200℃
×30分の時効処理を施し,コーテング材料の剥離密着性
試験と塗膜密着性試験を行った。その結果を表3に示し
た。各試験の評価方法は表3の脚注に示したが,90度突
曲げ試験後の密着性と,50%の不凍液を含有する100℃
の水溶液中200hr浸漬試験後の密着性で評価した。な
お,比較のためにコーテング(NBR塗布)前に時効処
理したものについても同様の試験を行い,その結果を表
3に従来法として併記した。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】表2の結果から次のことが明らかである。
なおガスケットとしては耐ヘタリ性の面から高強度であ
ることが望ましく時効処理後の耐力で少なくとも1200N/
mm2以上を目標とした。
【0051】本発明に従う実施例H1〜9では,焼鈍
後,調質圧延率を付与した材料において,時効処理後の
曲げ加工性はいずれも良好でありかつ十分な強度(耐
力)を有している。しかし,従来鋼A(SUS301)およびB
(SUS301L) では十分な成形加工性が得られていない。こ
れは従来鋼AおよびBでは時効処理後高強度を得るため
には時効硬化度 (ここではΔYS) が小さいため時効処
理前の調質圧延率を高く得る必要があるためである。な
お,比較鋼aは各成分量は本発明で規定する範囲内であ
るがM値が30未満となり,強度を得るための調質圧延率
を高く取る必要があり,十分な曲げ加工性が得られてい
ない。
【0052】時効処理による耐力の上昇量(ΔYS)に
ついて見ると,本発明鋼ではいずれも200N/mm2以上のΔ
YSを示している。これは適度なγ安定度とSi,Nの添
加によってもたらされている。すなわち, M値が30以上
で且つSi,Nを本発明で規定する下限量以上含有するこ
とにより, 低い時効処理温度でも十分なΔYSが得られ
るのである。
【0053】このため, 時効処理前の強度は従来鋼より
は低くても時効後は同等以上の強度が得られ, 時効処理
前の調質圧延率は低く保つことができるので目的とする
成形加工性が得られる。なお,図2は本発明鋼のH2と
従来鋼A(A-2),比較鋼bの時効処理温度と耐力の関係を
調べた結果を示したものであるが,本発明鋼では低い温
度から耐力の上昇が認められる。
【0054】また,表3の結果から,本発明によればコ
ーテング処理したあとで時効処理することにより,エン
ジン用ガスケットとして十分な密着性を有する塗膜が形
成できることがわかる。これは時効処理自体が塗膜の焼
付け硬化能を示したことを表している。これに対して,
従来法のように時効処理したあとでコーテングした場合
には時効処理時の表面酸化により,時効温度が高いほど
密着性が悪くなっている。
【0055】図3は疲労特性に及ぼす成形加工性の影響
を調査したものである。試験は,表2の時効処理材のう
ち本発明鋼(H2),従来鋼(A-2),比較鋼(a,d)につい
て,図4に示す形状のWビードを成形付与した試験片に
加工し,これを片振り引張り疲労試験において,図5の
ようにWビード加工を付与した試験片に最大応力1000N/
mm2の荷重を付与した状態で振幅応力を各種変化させ,
縦軸に付与した応力振幅の大きさを,横軸に破断に至る
までの繰り返し回数をプロットしたものである。
【0056】図3の結果から,曲げ加工性の優れた本発
明鋼は疲労強度および疲労限が高いことか明らかであ
る。すなわち,成形加工性が疲労寿命に大きく影響して
いることが認められる。このことは表2の疲労試験結果
からも明らかなように350N/mm2の振幅応力を付与した時
の破断寿命は曲げ加工性の優れたものが長寿命を示し,
成形加工性が疲労寿命に影響していることが分かる。
【0057】図6は表2に示した200℃ 100ppm Cl-
での割れ発生までの時間と, 表1に示したSi量との関
係を示したものである。図6から明らかなように,Si
が1.5%越える本発明に従うものにあっては格段に破断
寿命が長くなっている。
【0058】なお,図6注の比較鋼 (d)は低CでSi
を添加したものであるが本発明鋼に比べると長寿命を示
す。しかし,本発明鋼と同レベルの強度を得るために
は,前記のように冷間圧延率を高くする必要があり,本
発明鋼よりも成形加工性に劣るとともに成形加工後の疲
労特性には劣る。このことから, 特に成形加工性を必要
としない場合には,比較鋼dのような低CにSiを添加
したものが優れる。これらの結果は,時効処理を300℃
未満で実施することによってもたらされる。
【0059】また, 図6中に本発明鋼H4およびH5で
強度レベルの異なるものを示すが,強度レベルの低いH
4−1,5−1の破断寿命が長い。このことから,あま
り高強度を必要としない場合は応力腐食割れ性の面から
は強度レベルは低い方が好ましいことがわかる。
【0060】図7は本発明鋼H4(4-1) と従来鋼A(A-
2) およびB(B-2) の時効処理温度と応力腐食割れ試験
における割れ発生までの時間との関係を示したものであ
る。これによれば, 時効処理後の耐力が1500N/mm2以上
の状態では, 従来鋼Aではいずれの時効処理温度でも24
時間以内に割れを発生し,Bは200℃では割れ発生まで
の時間が若干伸びる傾向にはあるが,いずれにしても24
時間から36時間前後で割れを発生している。
【0061】これに対し,本発明鋼H4では350℃以上
の温度では従来鋼Bよりも, むしろ短時間で割れが発生
する傾向にあるが, 300℃未満の時効処理温度では割れ
発生までの時間が著しく長くなっている。すなわち, 従
来から時効処理前に調質圧延が施されるばね用材料で
は,強度, ばね特性の改善の面から, 400℃前後での時
効処理が施されており,このために高強度で成形加工性
を有しかつ耐応力腐食割れ特性に同時に優れた材料が得
られなかったのであるが,本発明によれば300℃未満の
温度の時効処理でも高強度が得られるので,強度と成形
加工性を兼ね備えかつ応力腐食割れ特性に同時に優れた
材料をえることができる。
【0062】
【発明の効果】以上詳述したごとく,本発明は従来のエ
ンジン周辺の金属ガスケット用ステンレス鋼であるSUS3
01やSUS301L等に比べ, 低い温度の時効でガスケットと
して必要な諸特性を具備させることができる。したがっ
て,調質圧延後にコーティング材を塗布したあと,ある
いは調質圧延された鋼板から所望形状に成形加工後にコ
ーティング材を塗布したあとで時効処理が施せる。この
時効処理はコーテング材の焼付け硬化処理を兼ねること
ができる。
【0063】このようにして,製造性よくエンジン用ガ
スケットが製造でき,しかも本発明のガスケットは,コ
ーティング材の冷却水, 不凍液に対する塗膜密着安定
性, 金属との接触部分での耐剥離性, 耐摩耗性に優れた
特性を示すとともに,優れた成形加工性と耐応力腐食割
れ特性を示す。
【0064】したがって,エンジン周辺の金属ガスケッ
トでは耐シール性に優れるとともに疲労, 応力腐食割れ
による破壊を防止し長時間の使用に耐えることができ,
従来にない良品質の金属ガスケット材が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】成型加工性および剥離密着性を評価した突き曲
げ試験方法を示す概略断面図である。
【図2】本発明鋼H2と従来鋼A(A-2),比較鋼bの時効
処理温度と耐力の関係を示す図である。
【図3】本発明鋼H2, 従来鋼A(A-2),比較鋼a,d のW
ビード加工品の片振り引張り疲労試験結果を示す図であ
る。
【図4】疲労特性に及ぼす加工性の影響を評価したWビ
ード形状を示す概略断面図である。
【図5】Wビード加工付与材の片振り引張り疲労試験の
概要を説明するための図である。
【図6】本発明鋼のうちH1〜6(○印),比較材b,
c,d(●印)および従来鋼A(A-2)(□印),B(B-2)(△
印) のSi量と時効処理材 (250℃×30分) の応力腐食割
れ発生時間の関係を示す図である。
【図7】本発明鋼H4(4-2) および従来鋼 (A(A-2),B
(B-2))の時効処理温度と応力腐食割れ発生時間の関係を
示す図である。
【符号の説明】
1 ダイス 2 ポンチ 3 試験片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 茂人 山口県新南陽市野村南町4976番地 日新製 鋼株式会社鉄鋼研究所内 (72)発明者 杉野 智幸 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 柴田 新次 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%において,C:0.15%以下,Si:
    1.5%超え〜5.0%以下,Mn:3.0%以下,Ni:4.0〜10.0
    %,Cr:12.0〜20.0%,S:0.008%以下,N:0.30%以
    下,を含み, かつ M=330−(480×C%)−(2×Si%)−(10×Mn%)−(14
    ×Ni%)−(5.7×Cr%)−(320×N%) の式に従うM値が30以上となるようにC,Si,Mn,N
    i,Cr,N量が調整されており, 残部がFeおよび不可避
    的に混入してくる不純物からなるステンレス鋼を通常の
    熱間圧延工程および冷間圧延工程を経たうえ焼鈍後に10
    %以上の調質圧延を施して所望厚みの鋼板とし,この鋼
    板をガスケット形状に成形加工するかまたは成形加工す
    る前に, その表面にコーティング材を塗布し, 次いで,
    100℃以上300℃未満の温度範囲で10分間以上の時効処理
    を施すことからなる内燃機関用ガスケット材の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 重量%において,C:0.15%以下,Si:
    1.5%超え〜5.0%以下,Mn:3.0%以下,Ni:4.0〜10.0
    %,Cr:12.0〜20.0%,S:0.008%以下,N:0.30%以
    下,さらに, 3.0%以下のMoまたは0.5〜3.0%のCuを1
    種または2種を含み, かつ M=330−(480×C%)−(2×Si%)−(10×Mn%)−(14
    ×Ni%)−(5.7×Cr%)−(5×Mo%)−(14×Cu%)−
    (320×N%) の式に従うM値が30以上となるようにC,Si,Mn,N
    i,Cr,Cu,Mo,N量が調整されており, 残部がFeおよ
    び不可避的に混入してくる不純物からなるステンレス鋼
    を,通常の熱間圧延工程および冷間圧延工程を経たうえ
    焼鈍後に10%以上の調質圧延を施して所望厚みの鋼板と
    し,この鋼板をガスケット形状に成形加工するかまたは
    成形加工する前に, その表面にコーティング材を塗布
    し, 次いで,100℃以上300℃未満の温度範囲で10分間以
    上の時効処理を施すことからなる内燃機関用ガスケット
    材の製造方法。
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