JPH06228000A - 気道閉塞改善剤 - Google Patents
気道閉塞改善剤Info
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- JPH06228000A JPH06228000A JP5012652A JP1265293A JPH06228000A JP H06228000 A JPH06228000 A JP H06228000A JP 5012652 A JP5012652 A JP 5012652A JP 1265293 A JP1265293 A JP 1265293A JP H06228000 A JPH06228000 A JP H06228000A
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- Japan
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- slpi
- polypeptide
- ala
- airway obstruction
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 慢性閉塞性肺疾患等の気道閉塞症の改善剤を
提供する。 【構成】 配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有
するポリペプチド((Arg58―Ala107 )SLP
I)もしくはそのアミノ酸配列を含有するポリペプチ
ド、又はそれらと生物学的に同等のアミノ酸配列を有す
るポリペプチドを含有する気道閉塞症の改善剤。
提供する。 【構成】 配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有
するポリペプチド((Arg58―Ala107 )SLP
I)もしくはそのアミノ酸配列を含有するポリペプチ
ド、又はそれらと生物学的に同等のアミノ酸配列を有す
るポリペプチドを含有する気道閉塞症の改善剤。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は気道閉塞改善剤に関す
る。さらに詳細には、本発明はヒト多形核白血球エラス
ターゼ阻害蛋白(Secretary Leukocyte Protease Inhib
itor、以下「SLPI」という)類を有効成分として含
有する気道閉塞症の改善剤に関する。
る。さらに詳細には、本発明はヒト多形核白血球エラス
ターゼ阻害蛋白(Secretary Leukocyte Protease Inhib
itor、以下「SLPI」という)類を有効成分として含
有する気道閉塞症の改善剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】炎症性
肺疾患には、例えば急性ないし慢性の気管支炎、肺炎、
肺気腫;びまん性汎細気管支炎;喘息等のそれぞれ独立
した概念で定義されるいくつかの疾患が含まれている。
これら炎症性肺疾患の臨床症状は、息切れ、ぜい鳴、
咳、喀痰、呼吸困難感、胸痛などであり、多くは進行性
であって、急性増悪を繰り返しながら、経年的に悪化し
てゆくという共通点がある。このような共通点がある背
景には、個々の疾患の発生原因は異なるものの、それら
の病態には気道の攣縮、気道粘膜の浮腫、気道粘液過分
泌などの気道閉塞症という共通の現象が関わっているこ
とがある。そして事実、従来から炎症性肺疾患の治療に
は、疾患の種類にかかわらず、対処療法的に気管支拡張
薬、去痰薬やステロイドが用いられている。
肺疾患には、例えば急性ないし慢性の気管支炎、肺炎、
肺気腫;びまん性汎細気管支炎;喘息等のそれぞれ独立
した概念で定義されるいくつかの疾患が含まれている。
これら炎症性肺疾患の臨床症状は、息切れ、ぜい鳴、
咳、喀痰、呼吸困難感、胸痛などであり、多くは進行性
であって、急性増悪を繰り返しながら、経年的に悪化し
てゆくという共通点がある。このような共通点がある背
景には、個々の疾患の発生原因は異なるものの、それら
の病態には気道の攣縮、気道粘膜の浮腫、気道粘液過分
泌などの気道閉塞症という共通の現象が関わっているこ
とがある。そして事実、従来から炎症性肺疾患の治療に
は、疾患の種類にかかわらず、対処療法的に気管支拡張
薬、去痰薬やステロイドが用いられている。
【0003】気道閉塞症のうちでも、例えば慢性気管支
炎;肺気腫;びまん性汎細気管支炎;喘息等の慢性閉塞
性肺疾患においては、その原因は未だ明らかにされてい
ないが、気道過敏性の亢進によって様々な物理的、化学
的、薬理的な刺激が気道の反応を極めて敏感にし、更に
気道閉塞症を増強していることが知られている。
炎;肺気腫;びまん性汎細気管支炎;喘息等の慢性閉塞
性肺疾患においては、その原因は未だ明らかにされてい
ないが、気道過敏性の亢進によって様々な物理的、化学
的、薬理的な刺激が気道の反応を極めて敏感にし、更に
気道閉塞症を増強していることが知られている。
【0004】また炎症性肺疾患では気道への好中球や好
酸球などの炎症性細胞の浸潤が認められている。特に、
慢性呼吸器疾患や喘息患者の喀痰、気管支肺胞洗浄液中
には時として多数の好中球や好酸球などの炎症性細胞が
認められ、これらの疾患の増悪との密接な関係を有して
いると考えられる。
酸球などの炎症性細胞の浸潤が認められている。特に、
慢性呼吸器疾患や喘息患者の喀痰、気管支肺胞洗浄液中
には時として多数の好中球や好酸球などの炎症性細胞が
認められ、これらの疾患の増悪との密接な関係を有して
いると考えられる。
【0005】現在までその因果関係は明らかにはされて
いないが、事実、実験的には好中球や好酸球が気道過敏
性を引き起こすことが報告されている(Romain et al.;
Am.Rev. Respir. Dis., 1990, 141 (540-545): Frew,
A.J. et al.; Am. Rev. Respir. Dis., 1990, 141 (407
-413)) 。したがって、白血球の惹起する気道過敏性を
抑制する薬物は気道閉塞症を改善する薬剤としておおい
に期待される。
いないが、事実、実験的には好中球や好酸球が気道過敏
性を引き起こすことが報告されている(Romain et al.;
Am.Rev. Respir. Dis., 1990, 141 (540-545): Frew,
A.J. et al.; Am. Rev. Respir. Dis., 1990, 141 (407
-413)) 。したがって、白血球の惹起する気道過敏性を
抑制する薬物は気道閉塞症を改善する薬剤としておおい
に期待される。
【0006】一方、SLPIは人間の唾液、気道粘液や
精液中に存在し、すでに構造決定されている(R.C. Tho
mpson ら、Nucl. Acid Res. 14, 7883-7896, 1986 ;特
表昭62―501262号公報)。
精液中に存在し、すでに構造決定されている(R.C. Tho
mpson ら、Nucl. Acid Res. 14, 7883-7896, 1986 ;特
表昭62―501262号公報)。
【0007】このSLPIには、アミノ酸残基107か
ら構成される(Ser1 ―Ala10 7 )SLPI、前半
のドメイン(Ser1 ―Pro54)を除去した後半ドメ
イン(Asn55―Ala107 )から構成される(Asn
55―Ala107 )SLPI等が知られており、(Ser
1 ―Ala107 )SLPIは白血球エラスターゼ、カテ
プシンGなどのキモトリプシン様酵素に対する阻害活性
と同時に生理的に重要なトリプシン様酵素、例えばトリ
プシンに対する阻害活性をあわせ有していること(特表
昭62―501262号公報)(Asn55―Al
a107 )SLPIは前記SLPIのエラスターゼ阻害活
性を維持しながらSLPIのトリプシン様酵素阻害活性
を実質的に有さないことがすでに確認されている(WO
89/06239号明細書)。
ら構成される(Ser1 ―Ala10 7 )SLPI、前半
のドメイン(Ser1 ―Pro54)を除去した後半ドメ
イン(Asn55―Ala107 )から構成される(Asn
55―Ala107 )SLPI等が知られており、(Ser
1 ―Ala107 )SLPIは白血球エラスターゼ、カテ
プシンGなどのキモトリプシン様酵素に対する阻害活性
と同時に生理的に重要なトリプシン様酵素、例えばトリ
プシンに対する阻害活性をあわせ有していること(特表
昭62―501262号公報)(Asn55―Al
a107 )SLPIは前記SLPIのエラスターゼ阻害活
性を維持しながらSLPIのトリプシン様酵素阻害活性
を実質的に有さないことがすでに確認されている(WO
89/06239号明細書)。
【0008】しかし、SLPIやその部分ポリペプチド
が白血球によって惹起される気道閉塞や気道過敏性の亢
進を抑制するかについてはこれまで全く知られていなか
った。
が白血球によって惹起される気道閉塞や気道過敏性の亢
進を抑制するかについてはこれまで全く知られていなか
った。
【0009】なお、SLPIに関しては、肥満細胞から
の脱顆粒及び/又は肥満細胞のメディエーターに親和性
を有するセリンプロテアーゼ阻害剤を有効成分とする肥
満細胞関連疾患の予防・治療方法が公開され(WO92
/6706号明細書)、かかるセリンプロテアーゼ阻害
剤としてSLPIも例示されている。しかしながら、本
願発明は気道閉塞症の改善剤であるのに対して、WO9
2/6706号明細書に記載された発明は肥満細胞から
の脱顆粒等に基づく炎症の予防・治療剤であって、その
用途が作用機構の上からも明確に区別される。しかもW
O92/6706号明細書には、本願発明の気道閉塞症
の改善剤については、何の記載も示唆もされていない。
の脱顆粒及び/又は肥満細胞のメディエーターに親和性
を有するセリンプロテアーゼ阻害剤を有効成分とする肥
満細胞関連疾患の予防・治療方法が公開され(WO92
/6706号明細書)、かかるセリンプロテアーゼ阻害
剤としてSLPIも例示されている。しかしながら、本
願発明は気道閉塞症の改善剤であるのに対して、WO9
2/6706号明細書に記載された発明は肥満細胞から
の脱顆粒等に基づく炎症の予防・治療剤であって、その
用途が作用機構の上からも明確に区別される。しかもW
O92/6706号明細書には、本願発明の気道閉塞症
の改善剤については、何の記載も示唆もされていない。
【0010】また、HUSI―I型インヒビターの生物
学的活性を有するタンパク質をコードするDNA配列、
前期タンパク質を製造する生物工学的方法及びタンパク
質を含む製剤組成物が公開されており(特開昭62―2
59591号公報)、かかるインヒビターの用途として
慢性炎症性疾患の例示がなされている。しかしながら、
その具体的な実施例及びその作用機構の提示もないばか
りか、抗炎症剤としての記載のみであり、本願発明の気
道閉塞症の改善剤については何の記載も示唆もされてい
ない。
学的活性を有するタンパク質をコードするDNA配列、
前期タンパク質を製造する生物工学的方法及びタンパク
質を含む製剤組成物が公開されており(特開昭62―2
59591号公報)、かかるインヒビターの用途として
慢性炎症性疾患の例示がなされている。しかしながら、
その具体的な実施例及びその作用機構の提示もないばか
りか、抗炎症剤としての記載のみであり、本願発明の気
道閉塞症の改善剤については何の記載も示唆もされてい
ない。
【0011】しかるに本発明者らは、例えば配列番号:
1で表わされるアミノ酸配列を有するポリペプチド等の
SLPI類が気道閉塞症に有効であること、なかでも好
中球が惹起する呼吸器疾患、とりわけ白血球から放出さ
れたエラスターゼによって惹起された気道閉塞症に極め
て有効であることを知見し、本発明に到達したものであ
る。
1で表わされるアミノ酸配列を有するポリペプチド等の
SLPI類が気道閉塞症に有効であること、なかでも好
中球が惹起する呼吸器疾患、とりわけ白血球から放出さ
れたエラスターゼによって惹起された気道閉塞症に極め
て有効であることを知見し、本発明に到達したものであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は有効成分
として配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有する
ポリペプチドもしくはそのアミノ酸配列を含有するポリ
ペプチド、又はそれらと生物学的に同等のアミノ酸配列
を有するポリペプチドを含有する気道閉塞症の改善剤で
ある。
として配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有する
ポリペプチドもしくはそのアミノ酸配列を含有するポリ
ペプチド、又はそれらと生物学的に同等のアミノ酸配列
を有するポリペプチドを含有する気道閉塞症の改善剤で
ある。
【0013】本発明の有効成分は、配列番号:1で表わ
されるアミノ酸配列を有するポリペプチドもしくはその
アミノ酸配列を含有するポリペプチド、又はそれらと生
物学的に同等のアミノ酸配列を有するポリペプチドであ
る。
されるアミノ酸配列を有するポリペプチドもしくはその
アミノ酸配列を含有するポリペプチド、又はそれらと生
物学的に同等のアミノ酸配列を有するポリペプチドであ
る。
【0014】配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を
有するポリペプチドとは、前記(Ser1 ―Al
a107 )SLPIの前半部分である(Ser1 ―Arg
58)を除いた配列番号:1で表わされる49個のアミノ
酸からなるポリペプチド(以下、「(Arg59―Ala
107 )SLPI」という)をいう。
有するポリペプチドとは、前記(Ser1 ―Al
a107 )SLPIの前半部分である(Ser1 ―Arg
58)を除いた配列番号:1で表わされる49個のアミノ
酸からなるポリペプチド(以下、「(Arg59―Ala
107 )SLPI」という)をいう。
【0015】かかる(Arg59―Ala107 )SLPI
は、例えば本願出願人が既に出願した特願平3―355
553号明細書(平成3年(1991年)12月24日
出願;発明の名称「ヒト好中球エラスターゼ阻害活性を
有する天然型ポリペプチドおよびそれを含有する医薬製
剤」)の例えば実施例1〜3に記載されているように、
蛋白分解酵素処理、例えば正常人唾液又はヒト喀痰由来
多形核白血球エラスターゼ等によるSLPI(気道分泌
液、唾液鼻汁、精液、子宮粘液に存在する天然のSLP
I又は遺伝子工学的手法によって得られたSLPI)又
は(Asn55―Ala107 )SLPIの分解物から単離
・精製して得られる分子量約5,500の分解物とし
て、あるいは自動ペプチド合成機(アプライド バイオ
システムズ社製、431A)により合成して、次いで逆
相クロマトグラフィーを用いて得られる精製物を(Ar
g59―Ala107 )SLPIスルホ化誘導体へ変換して
リホールディング(特願平2―141523号参照)
し、天然型分子内ジスルフィド結合を有するものとして
得ることができる。
は、例えば本願出願人が既に出願した特願平3―355
553号明細書(平成3年(1991年)12月24日
出願;発明の名称「ヒト好中球エラスターゼ阻害活性を
有する天然型ポリペプチドおよびそれを含有する医薬製
剤」)の例えば実施例1〜3に記載されているように、
蛋白分解酵素処理、例えば正常人唾液又はヒト喀痰由来
多形核白血球エラスターゼ等によるSLPI(気道分泌
液、唾液鼻汁、精液、子宮粘液に存在する天然のSLP
I又は遺伝子工学的手法によって得られたSLPI)又
は(Asn55―Ala107 )SLPIの分解物から単離
・精製して得られる分子量約5,500の分解物とし
て、あるいは自動ペプチド合成機(アプライド バイオ
システムズ社製、431A)により合成して、次いで逆
相クロマトグラフィーを用いて得られる精製物を(Ar
g59―Ala107 )SLPIスルホ化誘導体へ変換して
リホールディング(特願平2―141523号参照)
し、天然型分子内ジスルフィド結合を有するものとして
得ることができる。
【0016】あるいは(Arg59―Ala107 )SLP
Iは、同様に本願出願人が既に出願した特願平4―21
2398号明細書(平成4年(1992年)7月17日
出願;発明の名称「ヒト好中球エラスターゼ阻害活性を
有する天然型ポリペプチドの製造方法」)の例えば第5
頁〜第14頁、特に実施例1〜4に記載されているよう
に、単独あるいは融合蛋白、例えばヒト成長ホルモン断
片ポリペプチド等の担体蛋白をコーディングするDNA
配列、例えばトロンビン切断配列等の目的蛋白を変性し
ない条件下で化学的又は生物学的(酵素的)方法により
切断可能なアミノ酸配列を有する架橋ポリペプチドをコ
ーディングするDNA配列、及び配列番号:1で表わさ
れる(Arg59―Ala107 )SLPIのアミノ酸配列
を有するポリペプチドをコーディングするDNA配列が
この順序で連結された遺伝子を、遺伝子発現に必要なプ
ロモーター、停止コドン等を含む発現型プラスミドに組
み込んで得られた“担体蛋白―架橋ポリペプチド―(A
rg59―Ala107 )SLPI”融合蛋白(以下、「融
合蛋白」という)発現型プラスミドで大腸菌等の微生物
細胞を組み換え、この組み換え微生物細胞を培養・遺伝
子発現し、培養物から目的蛋白を単離・精製、必要に応
じてヒドロキシルアミン、トロンビンで担体蛋白の切断
除去、ジスルフィド結合のリホールディングを実施する
ことにより、遺伝子工学的に得ることができる。
Iは、同様に本願出願人が既に出願した特願平4―21
2398号明細書(平成4年(1992年)7月17日
出願;発明の名称「ヒト好中球エラスターゼ阻害活性を
有する天然型ポリペプチドの製造方法」)の例えば第5
頁〜第14頁、特に実施例1〜4に記載されているよう
に、単独あるいは融合蛋白、例えばヒト成長ホルモン断
片ポリペプチド等の担体蛋白をコーディングするDNA
配列、例えばトロンビン切断配列等の目的蛋白を変性し
ない条件下で化学的又は生物学的(酵素的)方法により
切断可能なアミノ酸配列を有する架橋ポリペプチドをコ
ーディングするDNA配列、及び配列番号:1で表わさ
れる(Arg59―Ala107 )SLPIのアミノ酸配列
を有するポリペプチドをコーディングするDNA配列が
この順序で連結された遺伝子を、遺伝子発現に必要なプ
ロモーター、停止コドン等を含む発現型プラスミドに組
み込んで得られた“担体蛋白―架橋ポリペプチド―(A
rg59―Ala107 )SLPI”融合蛋白(以下、「融
合蛋白」という)発現型プラスミドで大腸菌等の微生物
細胞を組み換え、この組み換え微生物細胞を培養・遺伝
子発現し、培養物から目的蛋白を単離・精製、必要に応
じてヒドロキシルアミン、トロンビンで担体蛋白の切断
除去、ジスルフィド結合のリホールディングを実施する
ことにより、遺伝子工学的に得ることができる。
【0017】なお、具体的にそのような組み換え微生物
細胞として既にプラスミドpGH―T59を含有する大
腸菌HB101株(HB/GH―T59)及びプラスミ
ドpGH―E59を含有する大腸菌HB101株(HB
/GH―E59)が得られており、各々、微工研条寄3
963号(FERM BP―3863)、同3861号
(FERM BP―3861)が工業技術院微生物工業
研究所に1992年5月20日付で国際寄託されてい
る。
細胞として既にプラスミドpGH―T59を含有する大
腸菌HB101株(HB/GH―T59)及びプラスミ
ドpGH―E59を含有する大腸菌HB101株(HB
/GH―E59)が得られており、各々、微工研条寄3
963号(FERM BP―3863)、同3861号
(FERM BP―3861)が工業技術院微生物工業
研究所に1992年5月20日付で国際寄託されてい
る。
【0018】本発明の有効成分である配列番号:1で表
わされるアミノ酸配列を含有するポリペプチドとは、少
なくとも前記(Arg59―Ala107 )SLPIの49
個からなるアミノ酸配列を有し、そのArg59側(N端
側)及び/又はAla107 側(C端側)に配列番号:1
で表わされるアミノ酸配列と同一か、又はその他の1又
はそれ以上のアミノ酸配列を有するポリペプチドをい
う。
わされるアミノ酸配列を含有するポリペプチドとは、少
なくとも前記(Arg59―Ala107 )SLPIの49
個からなるアミノ酸配列を有し、そのArg59側(N端
側)及び/又はAla107 側(C端側)に配列番号:1
で表わされるアミノ酸配列と同一か、又はその他の1又
はそれ以上のアミノ酸配列を有するポリペプチドをい
う。
【0019】そのようなポリペプチドとしては具体的
に、例えば(Ser1 ―Ala107 )SLPI、及び
(Ser1 ―Ala107 )SLPIの前半部分である
(Ser1―Thr57)が除去された50個のアミノ酸
からなるポリペプチド(以下、「(Arg58―Ala
107 )SLPI」という);前記の(Asn55―Ala
107 )SLPI;及び(Ser1 ―Ala107 )SLP
I等、本発明の目的とする気道閉塞症の改善剤と同等の
効果を有するSLPI類を挙げることができる。
に、例えば(Ser1 ―Ala107 )SLPI、及び
(Ser1 ―Ala107 )SLPIの前半部分である
(Ser1―Thr57)が除去された50個のアミノ酸
からなるポリペプチド(以下、「(Arg58―Ala
107 )SLPI」という);前記の(Asn55―Ala
107 )SLPI;及び(Ser1 ―Ala107 )SLP
I等、本発明の目的とする気道閉塞症の改善剤と同等の
効果を有するSLPI類を挙げることができる。
【0020】かかるSLPI類のうち、(Arg58―A
la107 )SLPIは、例えば本願出願人が既に出願し
た特願平4―212399号明細書(平成4年(199
2年)7月17日出願、発明の名称「ヒト好中球エラス
ターゼ阻害活性を有する天然型ポリペプチドおよびそれ
を含有する医薬製剤」の第7頁〜第18頁、実施例1〜
8に記載されているような、上記(Arg59―Ala
107 )SLPIの製法と同様に、正常人唾液等の酵素的
方法によるSLPI又は(Asn55―Ala107)SL
PI分解物中から分子量約5,500の分解物として、
自動ペプチド合成機により合成して、あるいは(Arg
59―Ala107 )のアミノ酸配列の代わりに(Arg58
―Ala107 )のアミノ酸配列をコーディングするDN
A配列を用いること以外は原則として(Arg59―Al
a107 )SLPIの遺伝子工学的製法と同様にして得る
ことができる。
la107 )SLPIは、例えば本願出願人が既に出願し
た特願平4―212399号明細書(平成4年(199
2年)7月17日出願、発明の名称「ヒト好中球エラス
ターゼ阻害活性を有する天然型ポリペプチドおよびそれ
を含有する医薬製剤」の第7頁〜第18頁、実施例1〜
8に記載されているような、上記(Arg59―Ala
107 )SLPIの製法と同様に、正常人唾液等の酵素的
方法によるSLPI又は(Asn55―Ala107)SL
PI分解物中から分子量約5,500の分解物として、
自動ペプチド合成機により合成して、あるいは(Arg
59―Ala107 )のアミノ酸配列の代わりに(Arg58
―Ala107 )のアミノ酸配列をコーディングするDN
A配列を用いること以外は原則として(Arg59―Al
a107 )SLPIの遺伝子工学的製法と同様にして得る
ことができる。
【0021】なお、そのような遺伝子工学的製法に用い
ることのできる組み換え微生物細胞として既にプラスミ
ドpGH―T58を含有する大腸菌HB101株(HB
/GH―T58)は、微工研条寄3862号(FERM
BP―3862)として、工業技術院微生物工業研究
所に1992年5月20日付で国際寄託されている。
ることのできる組み換え微生物細胞として既にプラスミ
ドpGH―T58を含有する大腸菌HB101株(HB
/GH―T58)は、微工研条寄3862号(FERM
BP―3862)として、工業技術院微生物工業研究
所に1992年5月20日付で国際寄託されている。
【0022】また、以上のSLPI類あるいはその製造
に用いるSLPI((Ser1 ―Ala107 )SLP
I)、(Asn55―Ala107 )SLPIは、特表昭6
2―501262号明細書、WO89/06239号明
細書に記載の方法によって得ることができる。
に用いるSLPI((Ser1 ―Ala107 )SLP
I)、(Asn55―Ala107 )SLPIは、特表昭6
2―501262号明細書、WO89/06239号明
細書に記載の方法によって得ることができる。
【0023】さらに本発明の有効成分は、配列番号:1
で表わされるアミノ酸配列を有するポリペプチドもしく
はそのアミノ酸配列を含有するポリペプチドと生物学的
に同等のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。か
かる生物学的に同等のアミノ酸配列とは、本願発明の目
的とする気道閉塞症の改善剤としての効果においてどう
当のものであるという意であり、具体的には前述のポリ
ペプチドのアミノ酸配列のうちの1又はそれ以上のアミ
ノ酸が欠損、追加、置換したものをいう。
で表わされるアミノ酸配列を有するポリペプチドもしく
はそのアミノ酸配列を含有するポリペプチドと生物学的
に同等のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。か
かる生物学的に同等のアミノ酸配列とは、本願発明の目
的とする気道閉塞症の改善剤としての効果においてどう
当のものであるという意であり、具体的には前述のポリ
ペプチドのアミノ酸配列のうちの1又はそれ以上のアミ
ノ酸が欠損、追加、置換したものをいう。
【0024】本発明の有効成分としては、これらのSL
PI類の1種又はそれ以上を組み合わせて用いることが
できるが、そのうちエラスターゼ阻害活性及びカテプシ
ンG阻害活性を示し、実質的にトリプシン阻害活性を示
さないSLPI類が好ましい。
PI類の1種又はそれ以上を組み合わせて用いることが
できるが、そのうちエラスターゼ阻害活性及びカテプシ
ンG阻害活性を示し、実質的にトリプシン阻害活性を示
さないSLPI類が好ましい。
【0025】ここで、「実質的にトリプリン阻害活性を
示さず」とは、本発明の目的とするエラスターゼ阻害活
性、カテプシンG阻害活性によるヒト疾患治療薬として
用いる場合に妨げとなるようなトリプシン阻害活性に起
因する生理的作用をほとんど生じない、という意味であ
り、例えば本発明の実施例の測定方法で天然SLPIの
トリプシン阻害活性と比較した場合にそのトリプシン阻
害活性が約1/10以下であり、また本発明の蛋白のト
リプシン阻害活性がそのエラスターゼ阻害活性の約1/
100以下であることをいう。
示さず」とは、本発明の目的とするエラスターゼ阻害活
性、カテプシンG阻害活性によるヒト疾患治療薬として
用いる場合に妨げとなるようなトリプシン阻害活性に起
因する生理的作用をほとんど生じない、という意味であ
り、例えば本発明の実施例の測定方法で天然SLPIの
トリプシン阻害活性と比較した場合にそのトリプシン阻
害活性が約1/10以下であり、また本発明の蛋白のト
リプシン阻害活性がそのエラスターゼ阻害活性の約1/
100以下であることをいう。
【0026】このようなSLPI類としては具体的に、
(Arg59―Ala107 )SLPI、(Arg58―Al
a107 )SLPI、(Asn55―Ala107 )SLPI
が好ましく、なかでも、例えば(Arg59―Al
a107 )SLPI、(Arg58―Ala107 )SLPI
等の天然型SLPI類は、正常人唾液中の酵素によって
特異的に(Ser1 ―Ala107 )SLPIが限定分解
を受けた結果生じることが確認された(特願平4―21
2398号、特願平4―212399号)ポリペプチド
が、ヒトに対する抗原性がないか又は実質的に低減化さ
れているという性質を有するので好ましく、そのうち
(Arg58―Ala107 )SLPIが好ましい。
(Arg59―Ala107 )SLPI、(Arg58―Al
a107 )SLPI、(Asn55―Ala107 )SLPI
が好ましく、なかでも、例えば(Arg59―Al
a107 )SLPI、(Arg58―Ala107 )SLPI
等の天然型SLPI類は、正常人唾液中の酵素によって
特異的に(Ser1 ―Ala107 )SLPIが限定分解
を受けた結果生じることが確認された(特願平4―21
2398号、特願平4―212399号)ポリペプチド
が、ヒトに対する抗原性がないか又は実質的に低減化さ
れているという性質を有するので好ましく、そのうち
(Arg58―Ala107 )SLPIが好ましい。
【0027】これらのうちでも、遺伝子工学的手法によ
って得られた(Arg58―Ala10 7 )SLPIが好ま
しいものとして挙げられる。
って得られた(Arg58―Ala10 7 )SLPIが好ま
しいものとして挙げられる。
【0028】本発明の気道閉塞症とは、前記のように、
例えば気道の攣縮、気道粘膜に浮腫、気道粘液過分泌な
どの病態をいい、より具体的には、白血球が喀痰及び/
又は気管支肺胞洗浄液中に正常人に比べ前記病態が発現
する程度の数倍〜数十倍に増加する呼吸器疾患、例えば
慢性・急性の気管支炎、肺炎、びまん性汎細気管支炎;
肺気腫;喘息;気管支拡張症;ARDS(Adult Respir
atory Distress Syndrome :成人呼吸促迫症候群);慢
性副鼻腔炎などの疾患で白血球由来のプロテアーゼ、例
えばエラスターゼやカテプシンGで惹起された気道閉塞
症、ないしは気道過敏性が亢進している疾患、例えば慢
性気管支炎、肺気腫、気管支拡張症、びまん性汎細気管
支炎、喘息、ARDS、サルコイドーシス、アレルギー
性鼻炎、アレルギー疾患(アトピー性:皮膚や眼疾患も
含む)、急性気管支炎(ウイルス感染)、マイコプラズ
マ肺炎、百日咳、過敏性肺臓炎、塵肺、珪肺、ACE
(アンギオテンシンコンバーティングエンザイム)阻害
剤の飲用時に伴う気道閉塞症をいう。なかでも、急性又
は慢性閉塞性肺疾患、特に慢性閉塞性肺疾患、例えば慢
性気管支炎、肺気腫、びまん性汎細気管支炎、及び喘息
に伴う気道閉塞症が好ましいものとして挙げられる。
例えば気道の攣縮、気道粘膜に浮腫、気道粘液過分泌な
どの病態をいい、より具体的には、白血球が喀痰及び/
又は気管支肺胞洗浄液中に正常人に比べ前記病態が発現
する程度の数倍〜数十倍に増加する呼吸器疾患、例えば
慢性・急性の気管支炎、肺炎、びまん性汎細気管支炎;
肺気腫;喘息;気管支拡張症;ARDS(Adult Respir
atory Distress Syndrome :成人呼吸促迫症候群);慢
性副鼻腔炎などの疾患で白血球由来のプロテアーゼ、例
えばエラスターゼやカテプシンGで惹起された気道閉塞
症、ないしは気道過敏性が亢進している疾患、例えば慢
性気管支炎、肺気腫、気管支拡張症、びまん性汎細気管
支炎、喘息、ARDS、サルコイドーシス、アレルギー
性鼻炎、アレルギー疾患(アトピー性:皮膚や眼疾患も
含む)、急性気管支炎(ウイルス感染)、マイコプラズ
マ肺炎、百日咳、過敏性肺臓炎、塵肺、珪肺、ACE
(アンギオテンシンコンバーティングエンザイム)阻害
剤の飲用時に伴う気道閉塞症をいう。なかでも、急性又
は慢性閉塞性肺疾患、特に慢性閉塞性肺疾患、例えば慢
性気管支炎、肺気腫、びまん性汎細気管支炎、及び喘息
に伴う気道閉塞症が好ましいものとして挙げられる。
【0029】本発明の気道閉塞症の改善剤は経口的に、
あるいは静脈内、皮下、筋肉内、経皮、吸入、直腸内等
の非経口的に投与することができる。
あるいは静脈内、皮下、筋肉内、経皮、吸入、直腸内等
の非経口的に投与することができる。
【0030】経口投与の剤型としては、例えば錠剤、丸
剤、顆粒剤、散剤、懸濁剤、カプセル剤などが挙げられ
る。
剤、顆粒剤、散剤、懸濁剤、カプセル剤などが挙げられ
る。
【0031】錠剤の形態にするには、例えば乳糖、デン
プン、結晶セルロースなどの賦形剤;カルボキシメチル
セルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン
などの結合剤;アルギン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリ
ウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどの崩壊剤等を用いて
通常の方法により成形することができる。
プン、結晶セルロースなどの賦形剤;カルボキシメチル
セルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン
などの結合剤;アルギン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリ
ウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどの崩壊剤等を用いて
通常の方法により成形することができる。
【0032】丸剤、散剤、顆粒剤も同様に上記の賦形剤
等を用いて通常の方法によって成形することができる。
等を用いて通常の方法によって成形することができる。
【0033】液剤、懸濁剤は、例えばトリカプリリン、
トリアセチンなどのグリセリンエステル類、エタノール
等のアルコール類などを用いて通常の方法によって成形
することができる。カプセル剤は顆粒剤、散剤又は液剤
などをゼラチンなどのカプセルに充填することによって
成形することができる。
トリアセチンなどのグリセリンエステル類、エタノール
等のアルコール類などを用いて通常の方法によって成形
することができる。カプセル剤は顆粒剤、散剤又は液剤
などをゼラチンなどのカプセルに充填することによって
成形することができる。
【0034】皮下、筋肉内、静脈内投与の剤型として
は、水性又は非水性溶液剤などの形態にある注射剤が知
られている。水性溶液剤としては生理食塩水などが用い
られる。非水溶性溶液剤は、例えばプロピレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、オリーブ油、オレイン酸
エチルなどが用いられ、これらに必要に応じて防腐剤、
安定剤などが添加される。注射剤はバクテリア保留フィ
ルターを通す濾過、殺菌剤の配合等の処理を適宜行うこ
とによって無菌化される。
は、水性又は非水性溶液剤などの形態にある注射剤が知
られている。水性溶液剤としては生理食塩水などが用い
られる。非水溶性溶液剤は、例えばプロピレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、オリーブ油、オレイン酸
エチルなどが用いられ、これらに必要に応じて防腐剤、
安定剤などが添加される。注射剤はバクテリア保留フィ
ルターを通す濾過、殺菌剤の配合等の処理を適宜行うこ
とによって無菌化される。
【0035】吸入投与の剤型としては、経鼻又は経気道
的に投与可能な製剤、例えば液剤、エアロゾル剤、粉剤
等従来公知の製剤を挙げることができる。液剤として
は、前記注射剤と同様の水溶性液剤、非水溶性液剤を、
またエアロゾル剤としては、例えばフレオン等の噴霧助
剤を有するエアロゾル剤を、粉剤としては、前記錠剤に
例示した乳糖、血症セルロース、デンプンなどの賦形剤
を有する粉剤等、鼻粘膜、気道粘膜への刺激性が少ない
ものを例示できる。これらには必要に応じて吸収促進
剤、防腐剤、安定剤などが添加される。
的に投与可能な製剤、例えば液剤、エアロゾル剤、粉剤
等従来公知の製剤を挙げることができる。液剤として
は、前記注射剤と同様の水溶性液剤、非水溶性液剤を、
またエアロゾル剤としては、例えばフレオン等の噴霧助
剤を有するエアロゾル剤を、粉剤としては、前記錠剤に
例示した乳糖、血症セルロース、デンプンなどの賦形剤
を有する粉剤等、鼻粘膜、気道粘膜への刺激性が少ない
ものを例示できる。これらには必要に応じて吸収促進
剤、防腐剤、安定剤などが添加される。
【0036】経皮投与の剤型としては、例えば軟膏剤、
クリーム剤などが挙げられ、軟膏剤はヒマシ油、オリー
ブ油などの脂肪油;ワセリン等を用いて、クリーム剤は
脂肪油;ジエチレングリコール、ソルビタンモノ脂肪酸
エステルなどの乳化剤等を用いて通常の方法によって成
形することができる。
クリーム剤などが挙げられ、軟膏剤はヒマシ油、オリー
ブ油などの脂肪油;ワセリン等を用いて、クリーム剤は
脂肪油;ジエチレングリコール、ソルビタンモノ脂肪酸
エステルなどの乳化剤等を用いて通常の方法によって成
形することができる。
【0037】直腸投与のためには、ゼラチンソフトカプ
セルなどの通常の坐剤が用いられる。
セルなどの通常の坐剤が用いられる。
【0038】本発明の有効成分であるポリペプチドの投
与量は、投与経路、患者の年令、性別、疾患の程度によ
って異なるが、通常1〜1000mg/回程度であり、投
与回数は通常1〜3回/日であり、このような条件を満
足するように製剤を調整するのが好ましい。
与量は、投与経路、患者の年令、性別、疾患の程度によ
って異なるが、通常1〜1000mg/回程度であり、投
与回数は通常1〜3回/日であり、このような条件を満
足するように製剤を調整するのが好ましい。
【0039】本発明の気道閉塞症の改善剤は既存の薬剤
と併用することも可能である。
と併用することも可能である。
【0040】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明するが、本発明をこれらの実施例に限定するものでな
いことはいうまでもない。
明するが、本発明をこれらの実施例に限定するものでな
いことはいうまでもない。
【0041】
【参考例1】(1)ヒト成長ホルモン断片ポリペプチドと(Arg58
―Ala107 )SLPIポリペプチドの融合蛋白発現プ
ラスミドの構築とその形質転換体の調製 (1)架橋ペプチドがトロンビン切断配列を有する発現
プラスミド (Met-1Phe1 ―Phe139 )ヒト成長ホルモン発
現プラスミドpGH―L9(M. Ikeharaら、Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA, 81, 5956, 1984)を制限酵素Bg
lIIとSalI(宝酒造)で切断し、アガロース電気泳
動で分離、ゲルより約4.7kbpのDNA断片をGENE
CLEAN II KIT(BIO101社製)を用いて回収し
た。
―Ala107 )SLPIポリペプチドの融合蛋白発現プ
ラスミドの構築とその形質転換体の調製 (1)架橋ペプチドがトロンビン切断配列を有する発現
プラスミド (Met-1Phe1 ―Phe139 )ヒト成長ホルモン発
現プラスミドpGH―L9(M. Ikeharaら、Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA, 81, 5956, 1984)を制限酵素Bg
lIIとSalI(宝酒造)で切断し、アガロース電気泳
動で分離、ゲルより約4.7kbpのDNA断片をGENE
CLEAN II KIT(BIO101社製)を用いて回収し
た。
【0042】また、SLPIサブクローンpUC―D6
(WO89/06239)を制限酵素MluIとXho
I(宝酒造)で切断し、アガロース電気泳動で分離、ゲ
ルより約0.15kbpのDNA断片をMERmaid
TMkit(BIO101社製)を用いて回収した。
(WO89/06239)を制限酵素MluIとXho
I(宝酒造)で切断し、アガロース電気泳動で分離、ゲ
ルより約0.15kbpのDNA断片をMERmaid
TMkit(BIO101社製)を用いて回収した。
【0043】一方、トロンビン切断配列遺伝子を含むD
NAフラグメント(,図1)を全自動合成機(アプ
ライド・バイオシステムズ社 モデル392)にて合成
した。合成DNAフラグメントはMEGALABELTM
(宝酒造)を用いて1mMATP存在下で5′末端をリ
ン酸化した後、合成DNAフラグメントとアニーリン
グを行い、2本鎖DNAを得た。アニーリング反応は、
90℃で5分間加熱後室温になるまで放置した。
NAフラグメント(,図1)を全自動合成機(アプ
ライド・バイオシステムズ社 モデル392)にて合成
した。合成DNAフラグメントはMEGALABELTM
(宝酒造)を用いて1mMATP存在下で5′末端をリ
ン酸化した後、合成DNAフラグメントとアニーリン
グを行い、2本鎖DNAを得た。アニーリング反応は、
90℃で5分間加熱後室温になるまで放置した。
【0044】融合蛋白発現プラスミドの構築はまず最初
にpGH―L9 BglII―SalI約4.7kbp
DNA断片とスロンビン切断部位を含む2本鎖合成DN
Aをモル比1:10の割合でligation kit(宝酒造)を
用いてligation反応を行った後、ウルトラフリーC3H
K UFフィルター付き(MILLIPORE)にて濃
縮した。さらにpUC―D6 MluI―XhoI約
0.15kbp DNA断片とligation反応を行った後
E.coli HB101コンピテントセル(宝酒造)
に導入し、アンピシリン含有LB寒天培地上で一晩培養
し、目的の融合蛋白発現プラスミドを含む形質転換体
(HB/GH―T59)を得た。形質転換体よりプラス
ミドDNAを抽出、QIAGEN(BIO101社製)
で精製し、ヒト成長ホルモン断片と(Arg59―Ala
107 )SLPI断片ポリペプチドの融合蛋白発現プラス
ミドpGH―T59を取得した(図2)。DNA塩基配
列はプラスミドDNAを鋳型にして、Dye Terminator k
it(日立)を用いて、日立製蛍光式自動DNAシーケン
サーSQ3000を用いて直接確認した。
にpGH―L9 BglII―SalI約4.7kbp
DNA断片とスロンビン切断部位を含む2本鎖合成DN
Aをモル比1:10の割合でligation kit(宝酒造)を
用いてligation反応を行った後、ウルトラフリーC3H
K UFフィルター付き(MILLIPORE)にて濃
縮した。さらにpUC―D6 MluI―XhoI約
0.15kbp DNA断片とligation反応を行った後
E.coli HB101コンピテントセル(宝酒造)
に導入し、アンピシリン含有LB寒天培地上で一晩培養
し、目的の融合蛋白発現プラスミドを含む形質転換体
(HB/GH―T59)を得た。形質転換体よりプラス
ミドDNAを抽出、QIAGEN(BIO101社製)
で精製し、ヒト成長ホルモン断片と(Arg59―Ala
107 )SLPI断片ポリペプチドの融合蛋白発現プラス
ミドpGH―T59を取得した(図2)。DNA塩基配
列はプラスミドDNAを鋳型にして、Dye Terminator k
it(日立)を用いて、日立製蛍光式自動DNAシーケン
サーSQ3000を用いて直接確認した。
【0045】(2)架橋ペプチドがエンテロキナーゼ切
断配列を有する発現プラスミド pGH―T59(図2)を鋳型DNAとし、合成DNA
,フラグメント(図3)をプライマーとしてポリメ
ラーゼ連鎖反応;PCR法(Saiki ら、Science, 239,
487-491, 1985 )にて増幅、その増幅物を再び合成DN
Aフラグメント,(図3)をプライマーとしてPC
R法にて増幅した後、BglII(宝酒造)にて切断し、
約115bpのフラグメントを得た。
断配列を有する発現プラスミド pGH―T59(図2)を鋳型DNAとし、合成DNA
,フラグメント(図3)をプライマーとしてポリメ
ラーゼ連鎖反応;PCR法(Saiki ら、Science, 239,
487-491, 1985 )にて増幅、その増幅物を再び合成DN
Aフラグメント,(図3)をプライマーとしてPC
R法にて増幅した後、BglII(宝酒造)にて切断し、
約115bpのフラグメントを得た。
【0046】なお、PCR法の条件は、93℃、5分間
変性した後、1サイクルを93℃,1.5分間、57
℃,2分間、72℃,2分間として30サイクル行い、
最後に72℃,7分間にて反応を止めた。
変性した後、1サイクルを93℃,1.5分間、57
℃,2分間、72℃,2分間として30サイクル行い、
最後に72℃,7分間にて反応を止めた。
【0047】一方、pGH―T59をBglII(宝酒
造)にて切断後、アガロースゲル電気泳動により、約
4.6kbpのBglII―BglII断片を分離、GENECL
EAN II(BIO101社製)を用いて回収した。この約
4.6kbpのBglII―BglII断片を宝酒造のプロ
トコールにそってBacterial Alkaline Phosphatase(宝
酒造)を用い、5′末端の脱リン酸化反応を行った。
造)にて切断後、アガロースゲル電気泳動により、約
4.6kbpのBglII―BglII断片を分離、GENECL
EAN II(BIO101社製)を用いて回収した。この約
4.6kbpのBglII―BglII断片を宝酒造のプロ
トコールにそってBacterial Alkaline Phosphatase(宝
酒造)を用い、5′末端の脱リン酸化反応を行った。
【0048】脱リン酸化した約4.6kbpのBglII
―BglII断片と、PCR法にて増幅した約115bp
のBglII―BglII断片をligation kit(宝酒造)を
用いてligation反応を行った後、E.coli HB1
01コンピテントセル(宝酒造)に導入し、アンピシリ
ン含有LB寒天培地上で培養し、目的の融合蛋白発現プ
ラスミドを含む形質転換体(HB/GH―E59)を得
た。
―BglII断片と、PCR法にて増幅した約115bp
のBglII―BglII断片をligation kit(宝酒造)を
用いてligation反応を行った後、E.coli HB1
01コンピテントセル(宝酒造)に導入し、アンピシリ
ン含有LB寒天培地上で培養し、目的の融合蛋白発現プ
ラスミドを含む形質転換体(HB/GH―E59)を得
た。
【0049】形質転換体よりプラスミドDNAを抽出
し、QIAGEN(BIO101社製)にて精製し、ヒ
ト成長ホルモン断片ポリペプチドとエンテロキナーゼ断
片配列遺伝子をもつ(Arg59―Ala107 )SLPI
ポリペプチドの融合蛋白発現プラスミドpGH―E59
を取得した(図4)。
し、QIAGEN(BIO101社製)にて精製し、ヒ
ト成長ホルモン断片ポリペプチドとエンテロキナーゼ断
片配列遺伝子をもつ(Arg59―Ala107 )SLPI
ポリペプチドの融合蛋白発現プラスミドpGH―E59
を取得した(図4)。
【0050】塩基配列は、プラスミドDNAを鋳型にし
て、Dye Terminator kit(日立)を用いて日立製蛍光式
自動DNAシーケンサーSQ3000にて直接確認し
た。
て、Dye Terminator kit(日立)を用いて日立製蛍光式
自動DNAシーケンサーSQ3000にて直接確認し
た。
【0051】(3)(Met-1Phe1 ―Phe139 )
ヒト成長ホルモン断片ポリペプチドとエンテロキナーゼ
切断配列遺伝子をもつ(Arg59―Ala107 )SLP
Iポリペプチドの融合蛋白発現プラスミドpGH―E5
9を鋳型DNAとし、合成DNAフラグメント,
(図5)をプライマーとしてポリメラーゼ連鎖反応:P
CR法(Saiki, R.K. Gelfand, D.H. Stoffel, S., Sch
are, S.J., Higuchi, R., Hoen, G.T., Mullis, K.B. &
Erlich, H.A.; Science, 239,487―491,1
985)にて増幅、その増幅物を再び合成DNAフラグ
メント,(図5)をプライマーとしてPCR法にて
増幅した後、BglII(宝酒造)にて切断し、約120
bpのフラグメントを得た。
ヒト成長ホルモン断片ポリペプチドとエンテロキナーゼ
切断配列遺伝子をもつ(Arg59―Ala107 )SLP
Iポリペプチドの融合蛋白発現プラスミドpGH―E5
9を鋳型DNAとし、合成DNAフラグメント,
(図5)をプライマーとしてポリメラーゼ連鎖反応:P
CR法(Saiki, R.K. Gelfand, D.H. Stoffel, S., Sch
are, S.J., Higuchi, R., Hoen, G.T., Mullis, K.B. &
Erlich, H.A.; Science, 239,487―491,1
985)にて増幅、その増幅物を再び合成DNAフラグ
メント,(図5)をプライマーとしてPCR法にて
増幅した後、BglII(宝酒造)にて切断し、約120
bpのフラグメントを得た。
【0052】なお、PCR法の条件は、93℃5分後変
性した後、1サイクルを93℃1.5分間、57℃2分
間、72℃2分間として30サイクル行い、最後に72
℃7分間にて反応を止めた。
性した後、1サイクルを93℃1.5分間、57℃2分
間、72℃2分間として30サイクル行い、最後に72
℃7分間にて反応を止めた。
【0053】一方、pGH―E59をBglII(宝酒
造)にて切断後、アガロースゲル電気泳動により、約
4.6kbpのBglII―BglII断片を分離、GENE C
LEAN II(BIO101社製)を用い回収した。この約
4.6kbpのBglII―BglII断片を宝酒造のプロ
トコールにそってBacterial Alkaline Phosphatase(宝
酒造)を用い、5′末端の脱リン酸化反応を行った。
造)にて切断後、アガロースゲル電気泳動により、約
4.6kbpのBglII―BglII断片を分離、GENE C
LEAN II(BIO101社製)を用い回収した。この約
4.6kbpのBglII―BglII断片を宝酒造のプロ
トコールにそってBacterial Alkaline Phosphatase(宝
酒造)を用い、5′末端の脱リン酸化反応を行った。
【0054】脱リン酸化した約4.6kbpのBglII
―BglII断片と、PCR法にて増幅した約115bp
のBglII―BglII断片をligation kit(宝酒造)を
用いてligation反応を行った後、E.coli HB1
01コンピテントセル(宝酒造)に導入し、アンピシリ
ン含有LB寒天培地上で培養し、目的の融合蛋白発現プ
ラスミドを含む形質転換体(HB/GH―T58)を得
た。形質転換体よりプラスミドDNAを抽出、QIAG
EN(BIO101社製)にて精製し、ヒト成長ホルモ
ン断片ポリペプチドとスロンビン切断配列遺伝子をもつ
(Arg58―Ala107 )SLPIポリペプチドの融合
蛋白発現プラスミドpGH―T58を取得した(図
6)。
―BglII断片と、PCR法にて増幅した約115bp
のBglII―BglII断片をligation kit(宝酒造)を
用いてligation反応を行った後、E.coli HB1
01コンピテントセル(宝酒造)に導入し、アンピシリ
ン含有LB寒天培地上で培養し、目的の融合蛋白発現プ
ラスミドを含む形質転換体(HB/GH―T58)を得
た。形質転換体よりプラスミドDNAを抽出、QIAG
EN(BIO101社製)にて精製し、ヒト成長ホルモ
ン断片ポリペプチドとスロンビン切断配列遺伝子をもつ
(Arg58―Ala107 )SLPIポリペプチドの融合
蛋白発現プラスミドpGH―T58を取得した(図
6)。
【0055】塩基配列は、プラスミドDNAを鋳型にし
て、合成DNAをプライマーとし、Dye Terminetor kit
(日立)を用いて、日立製蛍光式自動DNAシーケンサ
ーSQ3000にて直接確認した。
て、合成DNAをプライマーとし、Dye Terminetor kit
(日立)を用いて、日立製蛍光式自動DNAシーケンサ
ーSQ3000にて直接確認した。
【0056】(4)融合蛋白遺伝子の発現 (3)で得られた融合蛋白遺伝子発現プラスミドpGH
―T58を含有する大腸菌HB101株を、0.25%
グルコース、3mg/mlイースト抽出物(DIFCO社
製)20mg/mlのカザミノ酸(DIFCO社製)を含む
改変型M9培地(1%(NH4 )2 HPO4 ―0.3%
K2 SO4 ―0.3%NaCl)をオートクレーブ滅菌
した後に、MgSO4 およびCaCl2 を最終濃度が1
mMとなるように無菌的に加えた培養液500mlに接種
し、一晩培養した。
―T58を含有する大腸菌HB101株を、0.25%
グルコース、3mg/mlイースト抽出物(DIFCO社
製)20mg/mlのカザミノ酸(DIFCO社製)を含む
改変型M9培地(1%(NH4 )2 HPO4 ―0.3%
K2 SO4 ―0.3%NaCl)をオートクレーブ滅菌
した後に、MgSO4 およびCaCl2 を最終濃度が1
mMとなるように無菌的に加えた培養液500mlに接種
し、一晩培養した。
【0057】この一晩培養液を、前記と同様の培養液1
0リットルに対し、OD660が0.2となるように加
え、37℃でジャー・ファーメンター培養を行った。O
D660が20となった時に、3―β―インドールアク
リル酸を最終濃度が150μg/mlとなるように培養液
中に添加し、さらに37℃で4時間培養を続けた。その
後、遠心分離により大腸菌菌体を集めた後、0.5Mト
リス・バッファー(pH8.0)で洗浄した。
0リットルに対し、OD660が0.2となるように加
え、37℃でジャー・ファーメンター培養を行った。O
D660が20となった時に、3―β―インドールアク
リル酸を最終濃度が150μg/mlとなるように培養液
中に添加し、さらに37℃で4時間培養を続けた。その
後、遠心分離により大腸菌菌体を集めた後、0.5Mト
リス・バッファー(pH8.0)で洗浄した。
【0058】洗浄後の菌体を、リゾチーム(菌体湿重量
の1/200)およびEDTA・3Na(菌体湿重量の
1/20)を含む0.5Mトリス・バッファーに懸濁さ
せ、超音波発生装置(BRANSON社製、CELL DISRU
PTOR 900)を用いて菌体を破壊した後、遠心分離し、目
的とする融合蛋白を沈殿部分に封入体(inclusion bod
y)として得た。
の1/200)およびEDTA・3Na(菌体湿重量の
1/20)を含む0.5Mトリス・バッファーに懸濁さ
せ、超音波発生装置(BRANSON社製、CELL DISRU
PTOR 900)を用いて菌体を破壊した後、遠心分離し、目
的とする融合蛋白を沈殿部分に封入体(inclusion bod
y)として得た。
【0059】(5)融合蛋白のシステイン残基のスルホ
化とスルホ化融合蛋白のトロンビンによる切断反応 (4)で得られた融合蛋白25gを0.5Mトリス・バ
ッファー(pH8.0)200mlに懸濁させた後、尿素
240gを加え可溶化させ、次いで終濃度が0.7Mと
なるように亜硫酸ナトリウム(和光純薬)を加えて45
℃で20分間反応させた。さらに終濃度0.1Mとなる
ように4―チオン酸ナトリウム(シグマ社)を加えて、
45℃で20分間反応させた。10mMトリス・バッフ
ァー(pH8.0)を加え、反応溶液を1リットルとし
た後、この容量が200mlになるまで限外濾過(富士フ
ィルター;FILTRON)を行う操作を5回繰り返し
た。このようにして、得られたスルホ化融合蛋白溶液
(限外濾過膜を通過しなかった部分)に対し、3000
Uのウシスロンビン(持田製薬)を加え、37℃で3時
間反応させた。次いで、限外濾過により、300Kフィ
ルターを通過した溶液に含まれる(Arg58―Ala
107 )SLPIスルホ化誘導体を、逆相HPLC(VY
DAC社;Protein C4)で精製し、凍結乾燥した。得
られた(Arg58―Ala107 )SLPIスルホ化誘導
体のN末端アミノ酸配列を、プロテイン・シーケンサー
(Applied Biosystems477A)により決定した。
化とスルホ化融合蛋白のトロンビンによる切断反応 (4)で得られた融合蛋白25gを0.5Mトリス・バ
ッファー(pH8.0)200mlに懸濁させた後、尿素
240gを加え可溶化させ、次いで終濃度が0.7Mと
なるように亜硫酸ナトリウム(和光純薬)を加えて45
℃で20分間反応させた。さらに終濃度0.1Mとなる
ように4―チオン酸ナトリウム(シグマ社)を加えて、
45℃で20分間反応させた。10mMトリス・バッフ
ァー(pH8.0)を加え、反応溶液を1リットルとし
た後、この容量が200mlになるまで限外濾過(富士フ
ィルター;FILTRON)を行う操作を5回繰り返し
た。このようにして、得られたスルホ化融合蛋白溶液
(限外濾過膜を通過しなかった部分)に対し、3000
Uのウシスロンビン(持田製薬)を加え、37℃で3時
間反応させた。次いで、限外濾過により、300Kフィ
ルターを通過した溶液に含まれる(Arg58―Ala
107 )SLPIスルホ化誘導体を、逆相HPLC(VY
DAC社;Protein C4)で精製し、凍結乾燥した。得
られた(Arg58―Ala107 )SLPIスルホ化誘導
体のN末端アミノ酸配列を、プロテイン・シーケンサー
(Applied Biosystems477A)により決定した。
【0060】(6)(Arg58―Ala107 )SLPI
スルホ化誘導体の活性分子へのRefolding (ジスルフィ
ド化反応) (5)で得られた(Arg58―Ala107 )SLPIス
ルホ化誘導体1gを5リットルのRefolding 緩衝液
(0.05M Tris―HCl、pH8.5、0.3
mM酸化型グルタチオン、1.5mM還元型グルタチオ
ン)に溶解させ、4℃で2日間反応させ、次いで反応液
をS-Sepharose (ファルマシア製)イオン交換クロマト
グラフィーに付し、その溶出パターンを図7に示す。
0.3M NaClで溶出する目的の画分を、逆相HP
LC(VYDAC,Protein C4)でさらに精製した
後、凍結乾燥し、活性型(Arg58―Ala107 )SL
PIを得た。
スルホ化誘導体の活性分子へのRefolding (ジスルフィ
ド化反応) (5)で得られた(Arg58―Ala107 )SLPIス
ルホ化誘導体1gを5リットルのRefolding 緩衝液
(0.05M Tris―HCl、pH8.5、0.3
mM酸化型グルタチオン、1.5mM還元型グルタチオ
ン)に溶解させ、4℃で2日間反応させ、次いで反応液
をS-Sepharose (ファルマシア製)イオン交換クロマト
グラフィーに付し、その溶出パターンを図7に示す。
0.3M NaClで溶出する目的の画分を、逆相HP
LC(VYDAC,Protein C4)でさらに精製した
後、凍結乾燥し、活性型(Arg58―Ala107 )SL
PIを得た。
【0061】かくして得られた活性型(Arg58―Al
a107 )SLPIは、ヒトエラスターゼ、トリプシン、
キモトリプシン、ブタエラスターゼ、カテプシンGに対
する阻害活性(IC50値(M))として、各々1.2×
10-8、2.0×10-6、6.8×10-9、2.3×1
0-5、8.0×10-9という値を示した。
a107 )SLPIは、ヒトエラスターゼ、トリプシン、
キモトリプシン、ブタエラスターゼ、カテプシンGに対
する阻害活性(IC50値(M))として、各々1.2×
10-8、2.0×10-6、6.8×10-9、2.3×1
0-5、8.0×10-9という値を示した。
【0062】なお、阻害活性の測定法はWO89/62
39号明細書に記載されているものに準じた。
39号明細書に記載されているものに準じた。
【0063】
【実施例1】(1)気道反応性の検討 モルモット(200〜300g:ハートレー系雄性)を
ウレタン(2g/kg,i.p.)にて麻酔後、気管切開
し、食道バルーンを送入し、小動物用従量式レスピレー
ターにて人工換気した。一回換気量は1ml/100g、
換気回数は60回/分とした。肺内外圧差(Ptp)は
食道バルーンで測定した胸腔内圧と気管内圧の差として
求め、気流速度(V)は熱式のニューモタコグラフ(Fl
eisch no.5)で求め、Vを電気的に積分して一回換気量
(VT)を求めた。Ptp,VとVTを記録し、肺抵抗
(RL)を計算により求めた。気管支収縮物質として、
5―ヒドロキシトリプタミン(5―HT:Sigma 社)を
用い、カニュレイションした頸静脈から0、2、4、
8、16μg/kgの5―HTを1ml/kgの生理食塩水と
ともに3分間隔で3秒間かけて注入し、それぞれの投与
量における Peak RLを求め、縦軸に%RL change 、
横軸に5―HT dose をとり、ドーズレスポンスカーブ
を作成した。
ウレタン(2g/kg,i.p.)にて麻酔後、気管切開
し、食道バルーンを送入し、小動物用従量式レスピレー
ターにて人工換気した。一回換気量は1ml/100g、
換気回数は60回/分とした。肺内外圧差(Ptp)は
食道バルーンで測定した胸腔内圧と気管内圧の差として
求め、気流速度(V)は熱式のニューモタコグラフ(Fl
eisch no.5)で求め、Vを電気的に積分して一回換気量
(VT)を求めた。Ptp,VとVTを記録し、肺抵抗
(RL)を計算により求めた。気管支収縮物質として、
5―ヒドロキシトリプタミン(5―HT:Sigma 社)を
用い、カニュレイションした頸静脈から0、2、4、
8、16μg/kgの5―HTを1ml/kgの生理食塩水と
ともに3分間隔で3秒間かけて注入し、それぞれの投与
量における Peak RLを求め、縦軸に%RL change 、
横軸に5―HT dose をとり、ドーズレスポンスカーブ
を作成した。
【0064】(2)(Arg58―Ala107 )SLPI
及び(Ser1 ―Ala107 )SLPIの気道反応に及
ぼす作用 モルモットを対照群と(Arg58―Ala107 )SLP
I(参考例で得られたもの)及び(Ser1 ―Ala
107 )SLPI投与群に分け、はじめに(1)に従っ
て、RLを測定し、5―HTに対するドーズレスポンス
カーブを作成した。その30分後にリン酸緩衝生理食塩
水又は(Arg58―Ala107 )SLPIあるいは(S
er1 ―Ala107 )SLPIを1ml/kg静脈内投与
し、その直後、あるいは5分後に生理食塩水に溶解した
ヒトエラスターゼ(HNE)(ヒト喀痰由来エラスター
ゼ;エラスチン社)250μg/mlを3分間吸入させ
た。10分間レスピレーターにて人工換気を行なった
後、自発呼吸下、背臥位にて20分間放置した。再び、
RLにおける5―HTに対する反応性を測定し、HNE
吸入前後での初期抵抗を2倍に増加させる5―HTの投
与量を算出し、気道反応性を比較した。
及び(Ser1 ―Ala107 )SLPIの気道反応に及
ぼす作用 モルモットを対照群と(Arg58―Ala107 )SLP
I(参考例で得られたもの)及び(Ser1 ―Ala
107 )SLPI投与群に分け、はじめに(1)に従っ
て、RLを測定し、5―HTに対するドーズレスポンス
カーブを作成した。その30分後にリン酸緩衝生理食塩
水又は(Arg58―Ala107 )SLPIあるいは(S
er1 ―Ala107 )SLPIを1ml/kg静脈内投与
し、その直後、あるいは5分後に生理食塩水に溶解した
ヒトエラスターゼ(HNE)(ヒト喀痰由来エラスター
ゼ;エラスチン社)250μg/mlを3分間吸入させ
た。10分間レスピレーターにて人工換気を行なった
後、自発呼吸下、背臥位にて20分間放置した。再び、
RLにおける5―HTに対する反応性を測定し、HNE
吸入前後での初期抵抗を2倍に増加させる5―HTの投
与量を算出し、気道反応性を比較した。
【0065】(Arg58―Ala107 )SLPIの投与
量は10mg/kg、10mg/kg×2、(Ser1 ―Ala
107 )SLPIの投与量は20mg/kgとした。
量は10mg/kg、10mg/kg×2、(Ser1 ―Ala
107 )SLPIの投与量は20mg/kgとした。
【0066】結果を表1及び表2に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】表1からエラスターゼが気道閉塞を誘起す
ること、ならびに表2からエラスターゼが気道過敏性を
成立させ、そして(Arg58―Ala107 )SLPI及
び(Ser1 ―Ala107 )SLPIは表1からエラス
ターゼが惹起する気道閉塞を改善すること、ならびに表
2から、好中球が関与するエラスターゼの気道過敏性亢
進作用を抑制することが判る。したがって、(Arg58
―Ala107 )SLPI及び(Ser1 ―Ala107 )
SLPIはこの好中球、ひいてはエラスターゼが関与す
る呼吸器疾患に伴う気道閉塞及び気道過敏性亢進の抑制
により慢性閉塞性肺疾患等の気道閉塞性の改善剤として
有効であることが判る。
ること、ならびに表2からエラスターゼが気道過敏性を
成立させ、そして(Arg58―Ala107 )SLPI及
び(Ser1 ―Ala107 )SLPIは表1からエラス
ターゼが惹起する気道閉塞を改善すること、ならびに表
2から、好中球が関与するエラスターゼの気道過敏性亢
進作用を抑制することが判る。したがって、(Arg58
―Ala107 )SLPI及び(Ser1 ―Ala107 )
SLPIはこの好中球、ひいてはエラスターゼが関与す
る呼吸器疾患に伴う気道閉塞及び気道過敏性亢進の抑制
により慢性閉塞性肺疾患等の気道閉塞性の改善剤として
有効であることが判る。
【0070】
【0071】配列番号:1 配列の長さ:49 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Arg Lys Pro Gly Lys Cys Pro Val Thr Tyr Gly Gln Cys Leu Met Leu 1 5 10 15 Asn Pro Pro Asn Phe Cys Glu Met Asp Gly Gln Cys Lys Arg Asp Leu 20 25 30 Lys Cys Cys Met Gly Met Cys Gly Lys Ser Cys Val Ser Pro Val Lys 35 40 45 Ala 49
【0072】配列番号:2 配列の長さ:50 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Arg Arg Lys Pro Gly Lys Cys Pro Val Thr Tyr Gly Gln Cys Leu Met 1 5 10 15 Leu Asn Pro Pro Asn Phe Cys Glu Met Asp Gly Gln Cys Lys Arg Asp 20 25 30 Leu Lys Cys Cys Met Gly Met Cys Gly Lys Ser Cys Val Ser Pro Val 35 40 45 Lys Ala 50
【図1】参考例1(1)において用いたスロンビン切断
配列遺伝子を含むDNAフラグメント(,)を表わ
す。
配列遺伝子を含むDNAフラグメント(,)を表わ
す。
【図2】参考例1(1)における融合蛋白発現プラスミ
ドpGH―T59の構築を表わす。
ドpGH―T59の構築を表わす。
【図3】参考例1(2)において用いた合成DNAフラ
グメント(,,)を表わす。
グメント(,,)を表わす。
【図4】参考例1(2)におけるpGH―E59の構築
を表わす。
を表わす。
【図5】参考例1(3)において用いた合成DNAフラ
グメント(,,)を現す。
グメント(,,)を現す。
【図6】参考例1(3)におけるpGH―T58の構築
を表わす。
を表わす。
【図7】参考例1(6)における活性型(Arg58―A
la107 )SLPIのS-Sepharose イオン交換クロマト
グラフィーによる溶出パターンを示す。
la107 )SLPIのS-Sepharose イオン交換クロマト
グラフィーによる溶出パターンを示す。
Claims (7)
- 【請求項1】 有効成分として配列番号:1で表わされ
るアミノ酸配列を有するポリペプチドもしくはそのアミ
ノ酸配列を含有するポリペプチド、又はそれらと生物学
的に同等のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含有す
る気道閉塞症の改善剤。 - 【請求項2】 有効成分が、配列番号:1で表わされる
ポリペプチドである請求項1記載の改善剤。 - 【請求項3】 有効成分が、配列番号:2で表わされる
ポリペプチドである請求項1記載の改善剤。 - 【請求項4】 気道閉塞症が、白血球が喀痰及び/又は
気管支肺胞洗浄液中に増加する呼吸器疾患に伴う気道閉
塞症である請求項1〜3のいずれか1項に記載の改善
剤。 - 【請求項5】 気道閉塞症が、好中球又は好酸球由来の
プロテアーゼによる気道閉塞症である請求項1〜3のい
ずれか1項に記載の改善剤。 - 【請求項6】 気道閉塞症が、気道過敏性亢進に基づく
急性又は慢性閉塞性肺疾患である請求項5記載の改善
剤。 - 【請求項7】 慢性閉塞性肺疾患が、慢性気管支炎、肺
気腫、びまん性汎細気管支炎、又は喘息である請求項6
記載の改善剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5012652A JPH06228000A (ja) | 1993-01-28 | 1993-01-28 | 気道閉塞改善剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5012652A JPH06228000A (ja) | 1993-01-28 | 1993-01-28 | 気道閉塞改善剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06228000A true JPH06228000A (ja) | 1994-08-16 |
Family
ID=11811307
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5012652A Withdrawn JPH06228000A (ja) | 1993-01-28 | 1993-01-28 | 気道閉塞改善剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06228000A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001052883A1 (en) * | 2000-01-20 | 2001-07-26 | Amgen Inc. | Inhibitors of protease-activated receptor-2 (par-2) as novel asthma therapeutics |
-
1993
- 1993-01-28 JP JP5012652A patent/JPH06228000A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001052883A1 (en) * | 2000-01-20 | 2001-07-26 | Amgen Inc. | Inhibitors of protease-activated receptor-2 (par-2) as novel asthma therapeutics |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20040412 |