JPH06226510A - 旋盤の角度可変回転工具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 通常のタレット旋盤のタレットに装備できて
各種角度の斜め方向のドリリングやミーリング加工を簡
単な構成で行えるものとする。 【構成】 タレット４に装着される回転工具本体１２
に、工具チャック１８を回転自在に支持した工具ヘッド
１３を、所定の角度変更中心Ｏ回りで角度可変に取付け
る。回転工具本体１２には、タレット４内の工具駆動軸
７から工具チャック１８に回転伝達する回転工具内伝達
機構を設ける。工具ヘッド１３は、円弧孔２３に挿通さ
れるボルト２４により、任意の変更角度で角度固定可能
とする。また、このための位置決めピンおよび角度目盛
を設け、精度良く割出可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、タレットに取付けら
れて斜め方向のドリリングやミーリング加工を行える旋
盤の角度可変回転工具に関する。

【０００２】

【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来、タ
レット旋盤において、各種の回転工具が使用されてい
る。しかし、タレットに装着される通常の回転工具は、
工具中心がワーク中心に対して平行または直角に設けら
れており、斜め方向の孔加工等を行うことができない。

【０００３】工具中心をワーク中心に対して傾斜させる
ことが必要な場合は、その角度に専用に設計された回転
工具を製作してタレットに取付けている。しかし、この
ように専用角度に設計された回転工具の場合は、異なる
角度の加工に対して使用できないという不便があり、そ
のため高価な非直交軸歯車を含め、専用設計製作の費用
を償却するためには、相当量の量産を行うだけのワーク
数量が必要となる。

【０００４】なお、工具中心をワーク中心に対して任意
角度に変更駆動できるようにしたミーリングヘッドをタ
レットと別に装備した複合加工機も実用化されている
が、このようにタレット別にミーリングヘッドを設けた
工作機械は、そのミーリングヘッドの送り装置もタレッ
トと別に設ける必要があり、構造が複雑で非常に高価な
ものとなる。

【０００５】この発明の目的は、通常のタレット旋盤の
タレットに装備できて各種角度の斜め方向のドリリング
やミーリング加工を行える簡単な構成の旋盤の角度可変
回転工具を提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明の旋盤の角度可
変回転工具は、タレットに装着される回転工具本体に、
工具チャックを回転自在に支持した工具ヘッドを、所定
の角度変更中心回りで角度可変に取付けたものである。
回転工具本体には、回転工具内伝達機構を設ける。この
機構は、前記角度変更中心と平行な第１の中間軸および
前記角度変更中心に位置する第２の中間軸を介してタレ
ット内の工具駆動軸から工具チャックに回転伝達するも
のとする。

【０００７】請求項２の角度可変回転工具は、請求項１
の構成において、工具ヘッドを任意の変更角度で回転工
具本体に固定する締付け具を設ける。前記回転工具本体
および工具ヘッドの何れか一方には、複数の角度固定孔
を前記角度変更中心回りに所定ピッチで設け、任意の角
度固定孔に係合する位置決めピンを設ける。位置決めピ
ンは、前記回転工具本体および工具ヘッドの他方に取付
ける。前記回転工具本体と工具ヘッドの相互間には角度
目盛を設ける。

【０００８】請求項３の角度可変回転工具は、請求項１
の構成において、回転工具内伝達機構に変速伝動部を設
けたものである。

【０００９】請求項４の角度可変回転工具は、請求項３
の構成において、変速伝動部を、回転工具本体の底部で
第１の中間軸と第２の中間軸の間に介在した平歯車のギ
ヤ列で構成したものである。

【００１０】

【作用】この構成によると、工具ヘッドを希望の角度に
変更して加工が行える。そのため、主軸に把持されたワ
ークの軸心に対して斜め方向となる各種の角度の加工が
行える。工具ヘッドの工具チャックには、タレット内に
設けられた工具駆動軸から回転工具内伝達機構を介して
回転伝達される。この場合に、回転工具内伝達機構は、
角度変更中心に位置する第２の中間軸を有するものであ
るため、工具ヘッドの角度を種々変更しても回転の伝達
が円滑に行える。

【００１１】請求項２の構成の場合は、次のように工具
ヘッドを角度変更して固定することができる。すなわ
ち、回転工具本体または工具ヘッドに設けられた角度固
定孔に位置決めピンを係合させることにより所定の等間
隔に高精度に角度割出を行い、締付け具でその角度に固
定することができる。任意角度に割出しを行う場合は、
位置決めピンを使用せず、角度目盛を利用して角度割出
を行い、その角度で締付け具により固定する。

【００１２】請求項３の構成の場合は、回転工具内伝達
機構に変速伝動部が設けられているため、タレットの工
具駆動軸の回転速度を一定としたままで、使用する工具
ビットの大きさや必要切削角度に応じた工具回転速度に
設定することができる。

【００１３】請求項４の構成の場合は、変速伝動部を、
回転工具本体の底部で第１の中間軸と第２の中間軸の間
に介在した平歯車のギヤ列としたため、簡単な構成の変
速伝動部となる。

【００１４】

【実施例】この発明の一実施例を図１ないし図５に基づ
いて説明する。図１はタレット旋盤の部分平面図であ
る。主軸１を支持した主軸台２と並んで、タレットキャ
リッジ３がベッド（図示せず）上に左右（Ｘ軸方向）送
り可能に設置され、タレットキャリッジ３上にタレット
４が前後（Ｚ軸方向）移動および割出回転可能に搭載さ
れている。主軸１は、ワークＷを把持する主軸チャック
５を有している。

【００１５】タレット４は、正面形状が多角形に形成さ
れたドラム状のものであり、各周面部分からなる工具ス
テーションＳに、バイトやドリル等の各種の工具が取付
けられる。タレット４の一つの工具ステーションＳａと
なる周壁部分４ａには、駆動伝達用孔６が設けられ、こ
の孔６に臨んで孔中心と直交方向に、すなわちタレット
軸心と平行な方向に工具駆動軸７がタレット４の内部に
設けられている。工具駆動軸７は、軸受８で支持され
て、出力傘歯車７ａを有するものであり、タレット４の
軸心部に設けられたタレット中心工具駆動軸９からギヤ
列１０を介して回転伝達される。タレット中心工具駆動
軸９は、タレットキャリッジ３の後部に搭載されたモー
タ（図示せず）により回転駆動されるものである。

【００１６】角度可変回転工具１１は、回転工具本体１
２と角度可変の工具ヘッド１３とを備え、回転工具内伝
達機構２１を内蔵する。回転工具本体１２は、タレット
４の工具ステーションＳａに配置され、駆動伝達用孔６
内に嵌合する軸受収容筒１４と、ロケートピン１５とに
より正確に位置決めされ、取付ボルト１６によりタレッ
ト４に固定される。

【００１７】工具ヘッド１３は、図４に示すように工具
チャック１８のチャック軸１９を軸受２０で回転自在に
支持したものであり、工具チャック１８はコレット式等
に構成されて、各種の工具ビット１７が着脱自在に取付
けられる。工具ヘッド１３は、その底面１３ａに突設し
た環状突部１３ｂが、回転工具本体１２のヘッド支持孔
２２内に回転自在に嵌合し、この孔２２の中心が角度変
更中心Ｏとなる。

【００１８】工具ヘッド１３の円盤状底部１３ｃには、
円周方向に延びる複数の円弧孔２３（図２）が設けら
れ、この孔２３に挿通される締付け具である角度固定ボ
ルト２４を回転工具本体１２のねじ孔２５（図４）に締
付けることにより、工具ヘッド１３の角度が固定され
る。また、工具ヘッド１３の円盤状底部１３ｃには、ブ
ッシュの嵌合された多数の角度固定孔２６が円周方向に
一定角度ピッチβ（図５）で設けてあり、回転工具本体
１２のピン取付孔２７に挿通された位置決めピン２８が
任意の角度固定孔２６に挿入される。位置決めピン２８
は、ピン取付孔２７の雌ねじ部に螺合するロックねじ２
９により挿入状態に抜け止めされる。工具ヘッド１３の
ワーク中心（主軸中心）Ｌに対する角度α（図１）の可
変範囲は、通常は０°から９０°の範囲とされ、この角
度を等分した角度に前記角度ピッチβが設定される。工
具ヘッド１３の円盤状底部１３ｃの外周面と回転工具本
体１２との間には、図３のように角度目盛３０と基準目
盛３１とを付しておく。

【００１９】回転工具内伝達機構２１を説明する。角度
可変回転工具１１のタレット４（図１）へ挿入する軸受
収容筒１４内には、図２のように入力軸３２が軸受３３
で回転自在に支持され、その両端に入力傘歯車３２ａと
伝達傘歯車３２ｂとが設けられている。入力傘歯車３２
ａは、タレット４内の出力傘歯車７ａと噛合う。伝達傘
歯車３２ｂは、入力軸３２ａに直交する第１の中間軸３
４の傘歯車３４ａに噛み合う。図４に示すように、第１
の中間軸３４は、工具ヘッド１３の角度変更中心Ｏに設
けられた第２の中間軸３５と平行に設けられており、各
中間軸３４，３５は各々軸受３６，３７で回転自在に支
持されている。これら中間軸３４，３５は、回転工具本
体１２の底部に設けられたギヤ列からなる変速伝動部４
０で回転伝達可能に連結されている。変速伝動部４０
は、各中間軸３４，３５の下端に取付けた変速ギヤ３４
ｂおよび従動ギヤ３５ａと、両者に噛み合う中間変速ギ
ヤ３９とで構成される。第２の中間軸３５の上端には、
工具チャック軸１９の傘歯車１９ａと噛み合う傘歯車３
５ｂが設けてある。

【００２０】したがって、タレット４の工具駆動軸７の
回転は、入力傘歯車３２ａから、入力軸３２，傘歯車３
２ｂ，傘歯車３４ａ，第１の中間軸３４，変速ギヤ３４
ｂ，中間変速ギヤ３９，従動ギヤ３５ａ，第２の中間軸
３５，傘歯車３５ｂ，傘歯車１９ａ，工具チャック軸１
９を介して工具チャック１８に伝達される。

【００２１】上記構成の動作を説明する。工具ヘッド１
３はワーク中心に対して希望の角度αに割り出して固定
する。この場合に、角度αが角度固定孔２６の角度ピッ
チβで割り出せる角度である場合は、角度固定孔２６に
位置決めピン２８を係合させることにより高精度に角度
割出を行い、角度固定ボルト２４を締め付けてその角度
αに固定することができる。必要な角度αが等分割の角
度ピッチβに該当しない場合は、位置決めピン２８を使
用せず、角度目盛３０を利用して角度割出を行い、その
角度で角度固定ボルト２４により締め付け固定する。

【００２２】このように工具ヘッド１３の角度αを自由
に設定し、タレット４の工具駆動軸７の駆動力を利用し
て工具ヘッド１３の工具ビット１７により、主軸１のワ
ークＷに対して所定の斜め方向の孔Ｗａを加工すること
ができる。このとき、タレット４は、角度αに応じて
Ｘ，Ｚの両軸方向に同時駆動して工具ビット１７の斜め
送りを行う。工具ヘッド１３は、前記のように種々の角
度に変更されるが、回転工具内伝達機構４０は、次のよ
うに無理無くタレット４の工具駆動軸７の回転を工具チ
ャック１８に伝達することができる。すなわち、タレッ
ト４内に挿入される入力軸３２と直交して第１の中間軸
３４を設け、これと平行な第２の中間軸３５を工具ヘッ
ド１３の角度変更中心Ｏに配置してあるため、工具ヘッ
ド１３の変更角度にかかわらず、駆動の伝達が円滑に行
える。

【００２３】この角度可変回転工具１１は、このように
通常のタレット旋盤のタレット４に装備できて、各種角
度の斜め方向のドリリングやミーリング加工を簡単な構
成で実現することができる。

【００２４】図６は工具内伝達機構２１の一部の変形例
を示す。この例は、２枚の中間変速ギヤ３９ａ，３９ｂ
を同軸に一体に固定し、各々を第１の中間軸３４の変速
ギヤ３４ｂおよび第２の中間軸３５の従動ギヤ３５ａに
噛み合わせたものである。このように構成した場合、中
間変速ギヤ３４ｂ，３９ａ，３９ｂ，３５ａのギヤ比を
変えることにより、入力軸３２（図２）に対する工具チ
ャック軸１９の回転比を変えることができる。そのた
め、使用する工具ビット１７の大きさや必要切削速度に
応じた処置が図れる。

【００２５】なお、前記実施例では回転工具内伝達機構
２１の各所に傘歯車を使用したが、この他の種々の回転
伝達部品を使用することができる。また、工具チャック
１８も、コレットチャックに限らず、種々の構成のもの
が使用できる。また、前記各実施例で図示説明したタレ
ット４および回転工具内駆動機構２１は単に一例を示す
ものであり、この発明はこの構成に限定されるものでは
ない。

【００２６】

【発明の効果】この発明の旋盤の角度可変回転工具は、
タレットに装着される回転工具本体に工具ヘッドを角度
可変に取付け、工具ヘッドの角度変更中心に位置する中
間軸を介して、タレットの工具駆動軸から工具チャック
に回転伝達する回転工具内伝達機構を設けたものである
ため、通常のタレット旋盤のタレットに装備できて各種
角度の斜め方向のドリリングやミーリング加工が行え、
しかも構成が簡単で安価に製作することができる。

【００２７】請求項２の構成の場合は、所定ピッチの角
度固定孔とこれに係合する位置決めピンを設けると共
に、角度目盛および締付け具を設けたため、所定の等間
隔に高精度に角度割出を行うことができ、また任意の角
度にも容易に角度割出して固定することができる。

【００２８】請求項３の構成の場合は、変速伝動部を設
けたため、タレットの工具駆動軸の回転速度を一定とし
たままで、使用する工具ビットの大きさや必要切削角度
に応じた工具回転速度に設定することができる。

【００２９】請求項４の構成の場合は、その変速伝動部
を、回転工具本体の底部で第１の中間軸と第２の中間軸
の間に介在した平歯車のギヤ列としたため、簡単な構成
の変速伝動部とできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例にかかる角度可変回転工具
とタレットとの関係を示す示す破断平面図である。

【図２】その角度可変回転工具の破断平面図である。

【図３】（Ａ）は角度可変回転工具の正面図、（Ｂ）は
その角度目盛の説明図である。

【図４】角度可変回転工具の破断側面図である。

【図５】角度可変回転工具の切欠底面図である。

【図６】回転工具内伝達機構の変形例の部分断面図であ
る。

【符号の説明】

１…主軸、３…タレットキャリッジ、４…タレット、５
…主軸チャック、６…駆動伝達用孔、７…工具駆動軸、
１１…角度可変回転工具、１２…回転工具本体、１３…
工具ヘッド、１３ｂ…環状突部、１３ｃ…円盤状底部、
１７…工具ビット、１８…工具チャック、２１…回転工
具内伝達機構、２２…ヘッド支持孔、２３…円弧孔、２
４…角度固定ボルト、２６…角度固定孔、２８…位置決
めピン、３０…角度目盛、３１…基準目盛、３２…入力
軸、３４…第１の中間軸、３５…第２の中間軸、４０…
変速伝動部、Ｌ…ワーク中心、Ｏ…角度変更中心、Ｗ…
ワーク

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 タレットに装着される回転工具本体に、
   工具チャックを回転自在に支持した工具ヘッドを、所定
   の角度変更中心回りで角度可変に取付け、前記角度変更
   中心と平行な第１の中間軸および前記角度変更中心に位
   置する第２の中間軸を介してタレット内の工具駆動軸か
   ら前記工具チャックに回転伝達する回転工具内伝達機構
   を設けた旋盤の角度可変回転工具。
2. 【請求項２】 工具ヘッドを任意の変更角度で回転工具
   本体に固定する締付け具を設け、前記回転工具本体およ
   び工具ヘッドの何れか一方に、複数の角度固定孔を前記
   角度変更中心回りに所定ピッチで設け、任意の角度固定
   孔に係合して前記回転工具本体および工具ヘッドの他方
   に取付けられる位置決めピンを設け、前記回転工具本体
   と工具ヘッドの相互間に角度目盛を設けた請求項１記載
   の旋盤の角度可変回転工具。
3. 【請求項３】 回転工具内伝達機構に変速伝動部を設け
   た請求項１記載の旋盤の角度可変回転工具。
4. 【請求項４】 変速伝動部が、回転工具本体の底部で第
   １の中間軸と第２の中間軸の間に介在した平歯車のギヤ
   列である請求項３記載の旋盤の角度可変回転工具。