JPH0622415B2 - 電気スクリーン発生装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、魚介類の遊泳を規制するための電気スクリー
ンを発生する電気スクリーン発生装置に関する。

〔従来の技術〕 従来より、この種電気スクリーン発生装置においては、
魚介類の出入を遮断する電気スクリーンの方向に直交す
る方向に、前記スクリーンの方向に幅広の複数の電極体
を配列して電気スクリーンを形成するようにしたものが
ある。

第４図はその一例であり、たとえば数本の電極棒を太線
矢印に示す魚介類の出入方向に配列すると共に該各電極
棒間を電線により接続して等電位とし、遮断方向に幅広
の電極体(1)を構成する。この電極体(1)は１枚板の電極
板により構成することも可能である。

そして、このような複数の電極体(1)を、魚介類の出入
を遮断するための電気スクリーンの方向に配列し、各電
極体(1)に、隣接する２つの電極体(1)間に電位差が生じ
るようそれぞれ直流電源(2)により電位を与え、各電極
体(1)間にそれぞれ電位差に基づく電場，すなわち電気
スクリーンを形成する。

したがつて、このような電気スクリーンに魚介類が侵入
すると、魚介類は電気的刺激を受けて忌避行動をとり、
電気スクリーンを遊泳通過することができなくなり、魚
介類の遊泳を確実に遮断することができる。

ここで、各電極体(1)間に発生した電気スクリーンは、
第５図に１点鎖線で示すような等電位分布となるが、電
極体(1)間より外方に漏れ電場を生じることから、同図
に示すＡ−Ａ′線における電界強度特性より明らかなよ
うに、電極体（１）間より外方に電界強度が緩やかに低
下する。

このため、各電極体(1)への印加電圧を調整することに
より、電極体(1)より離れた位置に電気スクリーンを形
成できるうえ、その電界強度が緩やかに変化するため、
大形魚，小形魚等の魚介類の大きさにかかわらずその遊
泳を確実に遮断できると共に、魚介類の電気的刺激によ
る損傷を防止できる等、優れた特徴がある。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかし、前記した電気スクリーンでは、前述したような
漏れ電場による利点を有する反面、電気スクリーンの近
辺に構築物がある場合や遊泳場等の施設がある場合等、
漏れ電場による電気的影響が懸念され、危険である。

本発明は、従来の技術の有するこのような問題点に留意
してなされたものであり、その目的とするところは、電
気スクリーンの近辺に対する電気的影響を回避し得る電
気スクリーン発生装置を提供しようとするものである。

〔課題を解決するための手段〕

前記目的の達成するための本発明の構成について、第１
図及び第２図を用いて説明する。

本発明による電気スクリーン発生装置は、魚介類の入出
を遮断する電気スクリーンの方向に幅広の複数の電極体
(3)を電気スクリーンの方向にほぼ直交する方向に配列
すると共に、前記各電極体(3)に、隣合う２つの電極体
(3)間に電位差が生じるよう、それぞれ電位を与え、か
つ、前記各電極体(3)に近接して複数の電極棒を配列し
てなる接地電位の電極列(4)を前記スクリーンの方向に
配置したことを特徴としている。

特に、第１図に示すものは、隣合う２つの電極体(3)の
うち一方を直流電源(5)の正電源端子に接続すると共
に、他方の電極体(3)及び電極列(4)を電源(5)の負電源
端子に接続して接地し、単一の電源(5)により両電極体
(3)にそれぞれ異なる電位を与え、かつ、電極列(4)を接
地電位としている。

また、第２図に示すものは、隣合う２つの電極体(3)を
それぞれ電源電圧V₁，V₂(V₁＜V₂)なる直流電源(6)，(7)
の正電源端子に接続すると共に、各電源(6)，(7)の負電
源端子及び電極列(4)を接地し、２つの電源(6)，(7)に
より、両電極体(3)にそれぞれ異なる電位を与え、か
つ、電極列(4)を接地電位としている。

〔作 用〕 したがつて、第１図及び第２図のそれぞれにおいて、１
点鎖線に示すような等電位分布が得られ、電極体(3)間
に電気スクリーンが形成される。

このとき、両電極体(3)間の中心のA₁−A₁′線及びA₂−A
₂′線における電界強度特性より明らかなように、魚介
類の進入防止域外では、電極体(3)から離れた位置に電
界強度の低い電気スクリーンが形成され、進入防止域に
近づくに連れ、電界強度が無段階的に高くなり、魚介類
の忌避行動を促進できるようになつている。

そして、進入防止域内では、接地電位の電極列(4)によ
つて電界強度が急激に低下して零となり、防止域内にお
ける電気的影響が回避される。

なお、第１図及び第２図では、各電極体(3)の一端寄り
に近接して接地電位の電極列(4)を配置しているが、各
電極体(3)の両端にそれぞれ近接して接地電位の電極列
(4)を配置することも可能である。

〔実施例〕

つぎに、本発明の１実施例を、第３図を用いて説明す
る。

この実施例は、海水浴場等のレジヤー地域につり堀施設
を建造するに際し、遊泳場(8)とつり堀(9)とを仕切る突
堤(10)に設けられた通水路(11)に電気スクリーンを形成
するようにしたものである。

前記通水路(11)には、４本の電極棒を通水路(11)の通水
方向に配列して構成された４つの電極体(3)が、前記通
水方向に直交する方向に等間隔に配列され、通水路(11)
の遊泳場(8)側に、１０本の電極棒を前記通水方向にす
る方向に等間隔に配列してなる電極列(4)が配置されて
いる。

そして、突堤(10)上に設置された電源装置(12)により、
各電極体(3)にそれぞれ、隣合う２つの電極体(3)間に電
位差が生じるような電位が与えられ、かつ、電極列(4)
が接地電位とされている。

したがつて、通水路(11)に形成された電気スクリーン
は、つり堀(9)側に漏れ電場が生じることにより、その
電界強度がつり堀(9)側に向うに従つて緩やかに低下
し、つり堀(9)内の魚類に損傷を受けることなく速やか
に忌避行動をとらせることができ、一方、遊泳場(8)側
には、接地電位の電極列(4)が存在することにより、電
場の漏れがなく、電気的影響を回避できることになる。

なお、本発明は、前記実施例に限らず、金属製構築物等
の近傍に電気スクリーンを形成する場合にも有益であ
り、接地電位の電極列によつて電場を封じ込めることが
可能で、構築物等への電気的影響が皆無となる。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明の電気スクリーン発生装置
によると、魚介類の出入を遮断する電気スクリーンを、
複数の電極体を前記スクリーンの方向に直交する方向に
配列することによつて形成する場合に、各電極体に近接
して接地電位の電極列を前記スクリーンの方向に配置す
るようにしたので、各電極体間からの漏れ電場を電極列
によつて封じ込めることができ、近接する施設，構築物
等への電気的影響をなくした電気スクリーンの発生を実
現できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図はそれぞれ本発明の電気スクリーン発
生装置における電界分布と電界強度との説明図、第３図
は本発明の１実施例を示す斜視図、第４図以下は従来の
電気スクリーン発生装置を示し、第４図は概略構成を示
す平面図、第５図は電界分布と電界強度との説明図であ
る。 (3)……電極体、(4)……電極列。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 陶山 広幸 大阪府大阪市西区江戸堀１丁目６番14号 日立造船株式会社内 (72)発明者 塚原 正徳 大阪府大阪市西区江戸堀１丁目６番14号 日立造船株式会社内 (72)発明者 大谷 誠二 大阪府大阪市西区江戸堀１丁目６番14号 日立造船株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】水中に魚介類の出入を遮断する電気スクリ
   ーンを発生するようにした電気スクリーン発生装置にお
   いて、 前記スクリーンの方向に幅広の複数の電極体を前記スク
   リーンの方向にほぼ直交する方向に配列すると共に、前
   記各電極体に隣合う２つの電極体間に電位差が生じるよ
   うそれぞれ電位を与え、かつ、前記各電極体に近接して
   接地電位の電極列を前記スクリーンの方向に配置したこ
   とを特徴とする電気スクリーン発生装置。