JPH06223837A - 溶融炭酸塩型燃料電池 - Google Patents

溶融炭酸塩型燃料電池

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JPH06223837A
JPH06223837A JP5010940A JP1094093A JPH06223837A JP H06223837 A JPH06223837 A JP H06223837A JP 5010940 A JP5010940 A JP 5010940A JP 1094093 A JP1094093 A JP 1094093A JP H06223837 A JPH06223837 A JP H06223837A
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JP
Japan
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porosity
cathode
anode
electrode
gas flow
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JP5010940A
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English (en)
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Seiji Yoshioka
省二 吉岡
Yoji Fujita
洋司 藤田
Hiroaki Urushibata
広明 漆畑
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明は、電極反応によって生じる過電圧
を容易に下げることができる溶融炭酸塩型燃料電池を提
供することを目的とする。 【構成】 アノード2とカソード3のうち少なくとも一
方の電極のガス流路F1,F2側のポロシティーを65
〜85%とするとともに、この電極の電解質マトリック
ス1側のポロシティーをガス流路F1,F2側のそれよ
り5〜25%の値分だけ小さくした。ガス流路F1,F
2側のポロシティーを65〜85%と大きくすることに
より、電極中へのガスの拡散がよくなり、かつ電解質マ
トリックス1側のポロシティーをこの値より5〜25%
の値分だけ小さくすることにより、電気化学的反応の速
やかな進行を図ることができるため電極反応時の過電圧
が小さくなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は溶融炭酸塩を電解質と
した溶融炭酸塩型燃料電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】溶融炭酸塩型燃料電池は、電解質となる
溶融炭酸塩を含侵させた電解質マトリックスの両側にア
ノード(陰極)とカソード(陽極)を設け、電解質マト
リックスを介して燃料ガスと酸化剤ガスとを電気化学的
に反応させることにより起電力を得るものである。
【0003】上記アノードはニッケルを主成分とする金
属の多孔体であり、その外方に燃料ガスが流れる燃料ガ
ス流路が形成されており、上記カソードはニッケルの酸
化物を主成分とする多孔体であり、その外方に酸化剤ガ
スが流れる酸化剤ガス流路が形成されている。そして、
このアノードとカソード内には燃料ガスや酸化剤ガスが
それぞれ拡散する孔径が数十ミクロンのラージポアと液
状の電解質(電解液)を満たす孔径が数ミクロンのミク
ロポアが多数形成されている。
【0004】そして、カソード側では、酸化剤ガス流路
側からカソードのラージポア中に拡散した酸化剤ガス中
の酸素ガスと炭酸ガスがミクロポア中に満たされている
電解質中に溶解し、その後これらがカソード内の電極材
表面上で、下の(1) 式で示されるような反応を生じて、 1/2 O2 +CO2 +2 e- → CO2- 3 ・・・・・・ (1) 結局電解質中に炭酸イオン(CO2-3 )が溶解する。ま
た、アノード側では、燃料ガス流路側からアノードのラ
ージポア中に拡散した燃料ガス中の水素ガスがミクロポ
ア中に満たされている電解質中に溶解し、その後これが
電解質中の前記炭酸イオンとアノード内の電極表面上
で、下の(2) 式で示すように反応して、 H2 +CO2- 3 → H2 O+CO2 +2 e- ・・・・(2) 水と炭酸ガスが生じる。そして、このときの電子の移動
により、アノードとカソード間に起電力が生じる。
【0005】さて、上記一連の反応の過電圧を要素分解
すると、アノードとカソードのラージポア中のガスの拡
散抵抗に対する過電圧(以下これを気相拡散過電圧とい
う)と、アノードとカソードのミクロポアを満たす電解
質中に溶解したガスの拡散抵抗に対する過電圧(以下こ
れを液層拡散過電圧という)と、アノードとカソードの
電極材表面上での電荷移動反応過電圧とに分類できる。
【0006】そして、気相拡散過電圧は液層拡散過電圧
に比べればその値は比較的小さいが無視はできない値で
ある。この気相拡散過電圧を下げるには、電極の奥深く
までガスを充分に拡散させ電極の利用率を上げる必要が
あるが、このためには電極のポロシティー(気孔率)を
上げて、電極に対するガスの透気性をよくする必要があ
る。いっぽう、液層拡散過電圧や電荷移動反応過電圧
は、反応化学種が電解質に溶解して、これが電極内部の
電極材表面に到達する速度である電極反応速度に大きく
依存している。したがって、この液層拡散過電圧や電荷
移動反応過電圧を下げるには、電極内部の電極材表面積
を増大させる必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記溶
融炭酸塩型燃料電池において、アノードとカソードの、
ガスの透気性をよくすべく、ポロシティーを上げること
と、電極反応速度を上げるべく、電極内部の電極材表面
積を増大させることとは相反することとなる。すなわ
ち、ポロシティーを上げるためには電極内の電極材量
(ニッケル量)を減少させる必要があるが、この場合電
極材量の減少分だけ電極内部の電極材表面積が減少する
こととなり、逆に電極内部の電極材表面積を上げるため
には電極材量(ニッケル量)を増加させる必要がある
が、この場合電極材量の増加分だけポロシティーは低下
することとなるからである。
【0008】したがって、上記燃料電池のアノードとカ
ソードといった電極のエネルギーロスに相当する電極反
応の過電圧、すなわち、気相拡散過電圧、液層拡散過電
圧および電荷移動反応過電圧を全体的に低下させた高性
能な燃料電池を得るのは容易でないという課題があっ
た。
【0009】なお、従来技術においても、電極の電解質
側のポロシティーをガス流路側のそれより大きくしたり
(特開昭63ー181263号公報)、電極の電解質側
のポア径をガス流路側のそれより小さくする技術(特開
昭63ー304575号公報)は開示されているが、電
極のポロシティーに着目して、その観点から過電圧を論
じた高性能な燃料電池は開示されていない。
【0010】この発明は、上記の課題を解消するために
なされたもので、電極反応によって生じる過電圧を容易
に下げることができる溶融炭酸塩型燃料電池を提供する
ことを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明の第1の発明
は、溶融炭酸塩を含侵させた電解質マトリックスの両側
にこの電解質マトリックスを挟み付けるように多孔質な
アノードとカソードが配設され、このアノードとカソー
ドのそれぞれの外方にガス流路が形成されている溶融炭
酸塩型燃料電池において、アノードとカソードのうち少
なくとも一方の電極のガス流路側のポロシティーを65
〜85%とするとともに、電極の電解質マトリックス側
のポロシティーをガス流路側のポロシティーより5〜2
5%の値分だけ小さくしたことである。
【0012】この発明の第2の発明は、溶融炭酸塩を含
侵させた電解質マトリックスの両側にこの電解質マトリ
ックスを挟み付けるように多孔質なアノードとカソード
が配設され、このアノードとカソードのそれぞれの外方
にガス流路が形成されている溶融炭酸塩型燃料電池にお
いて、アノードとカソードのうち少なくとも一方の電極
を2枚以上の重ね合わせ電極板から構成して、そのポロ
シティーを電解質マトリックス側に向かって電極板ごと
に段階的に減少させ、そのガス流路側電極板のポロシテ
ィーを65〜85%とするとともに、その電解質マトリ
ックス側電極板のポロシティーをガス流路側電極板のポ
ロシティーより5〜25%の値分だけ小さくしたことで
ある。
【0013】この発明の第3の発明は、溶融炭酸塩を含
侵させた電解質マトリックスの両側にこの電解質マトリ
ックスを挟み付けるように多孔質なアノードとカソード
が配設され、このアノードとカソードのそれぞれの外方
にガス流路が形成されている溶融炭酸塩型燃料電池にお
いて、アノードとカソードのうち少なくとも一方の電極
を2枚以上の重ね合わせ電極板から構成して、そのポロ
シティーを電解質マトリックス側に向かって電極板ごと
に段階的に減少させ、そのガス流路側電極板のポロシテ
ィーを65〜85%とするとともに、その電解質マトリ
ックス側電極板のポロシティーをガス流路側電極板のポ
ロシティーより5〜25%の値分だけ小さくし、かつ電
解質マトリックス側電極板の厚さに対するガス流路側電
極板の厚さの比の値を1.5〜5.0の間に設定したこ
とである。
【0014】この発明の第4の発明は、溶融炭酸塩を含
侵させた電解質マトリックスの両側にこの電解質マトリ
ックスを挟み付けるように多孔質なアノードとカソード
が配設され、このアノードとカソードのそれぞれの外方
にガス流路が形成されている溶融炭酸塩型燃料電池にお
いて、アノードとカソードのうち少なくとも一方の電極
のガス流路側のポロシティーを65〜85%とするとと
もに、電極のポロシティーを電解質マトリックス側に向
かって漸次減少させ、この電極の電解質マトリックス側
のポロシティーをガス流路側のポロシティーより5〜2
5%の値分だけ小さくしたことである。
【0015】
【作用】アノードとカソードの外方のガス流路に燃料ガ
スや酸化剤ガスを流すことにより、燃料ガスはアノード
内に拡散した後、アノード内に満たされている電解質を
介して電気化学的な反応を生じ、酸化剤ガスはカソード
内に拡散した後、カソード内に満たされている電解質を
介して電気化学的な反応を生じて、この燃料電池に起電
力が生じる。この場合、アノードとカソードのガス流路
側では主として燃料ガスや酸化剤ガスの拡散が生じ、電
解質マトリックス側では主として電解質を介した電気化
学的反応が生じる。
【0016】この発明の第1の発明では、アノードとカ
ソードのうち少なくとも一方の電極のガス流路側のポロ
シティーを65〜85%まで上げ、電極内へのガス拡散
の容易化を図るとともに、その電解質マトリックス側の
ポロシティーを上記値より5〜25%の値分だけけ小さ
くして、この部分の電極材の表面積を増大させ、この部
分における電気化学的反応が速やかに行われるようにし
た。したがって、この燃料電池では電気化学的反応時や
ガス拡散時にアノードとカソードといった電極の内部で
生じる過電圧を小さく抑えることができる。
【0017】この発明の第2の発明では、第1の発明の
場合において、アノードとカソードのうち少なくとも一
方の電極を2枚以上の重ね合わせ電極板から構成し、こ
の各電極板のポロシティーを電解質マトリックス側に向
かって段階的に減少させるようにした。このため、ポロ
シティーが変化する電極が容易に製作できるとともに、
ポロシティーが段階的に変化する分、電極内におけるガ
ス拡散のさらなる容易化および電気化学的反応のさらな
る速やかな進行が図られる。
【0018】この発明の第3の発明では、第2の発明の
場合において、ガス流路側の電極板の厚さと電解質マト
リックス側の電極板の厚さの比の値を1.5〜5.0の
間の値とした。実験的に厚さの比の値がこの値の範囲で
あれば、第1の発明の効果を充分に上げることができ
る。
【0019】この発明の第4の発明では、第1の発明の
場合において、電極のポロシティーをガス流路側から電
解質マトリックス側に向かって漸次減少させるようにし
た。このことにより、電極内におけるガス拡散のさらな
る容易化および電気化学的反応のさらなる速やかな進行
を図ることができる。
【0020】
【実施例】以下にこの発明の実施例を図について説明す
る。 実施例1.図1はこの発明の第1ないし第3の発明の一
実施例である溶融炭酸塩型燃料電池の断面図である。
【0021】図において、1は電解質である溶融炭酸塩
を含侵させた電解質マトリックス、2は電解質マトリッ
クス1の一側に配置されるNiーAI合金からなる多孔
体のアノードである。このアノード2は電解質マトリッ
クス1側の主としてミクロポアB1が多数形成されてい
る低ポロシティーの電極板としての第1アノード板2a
と、燃料ガス流路F1側の主としてラージポアB2が多
数形成されている高ポロシティーの電極板としての第2
アノード板2bとを重ね合わせることにより形成されて
いる。3は電解質マトリックス1のアノード2の逆側に
配置されるニッケル酸化物を主成分とする多孔体のカソ
ードである。このカソード3もアノード2と同様に、電
解質マトリックス1側の主としてミクロポアB1が多数
形成されている低ポロシティーの電極板としての第1カ
ソード板3aと、酸化剤ガス流路F2側の主としてラー
ジポアB2が多数形成されている高ポロシティーの電極
板としての第2カソード板3bとを重ね合わせることに
より形成されている。
【0022】4はアノード2の外方に配置される多孔質
なアノード集電板、5はカソード3の外方に配置される
多孔質なカソード集電板、6はアノード集電板4の外方
に配置される燃料ガス流路F1を形成するアノードコル
ゲート板、7はカソード集電板5の外方に配置される酸
化剤ガス流路F2を形成するカソードコルゲート板、8
は電解質マトリックス1、アノード2、カソード3、ア
ノード集電板4、カソード集電板5、アノードコルゲー
ト板6およびカソードコルゲート板7から構成される燃
料電池である。
【0023】つぎにこの燃料電池8の動作を説明する。
酸化剤ガス流路F2内に導かれた酸化剤ガスはカソード
3の主として第2カソード板3bのラージポアB2内に
拡散するとともに、その酸素ガスと炭酸ガスが主として
カソード3の内方の第1カソード板3aのミクロポアB
1中に満たされている電解質(電解液)中に溶解し、
(1) 式で示されるような電気化学的な反応により、電子
がカソード3の電極材側から移動して炭酸イオンが形成
される。また、燃料ガス流路F1内に導かれた燃料ガス
はアノード2の主として第2アノード板2bのラージポ
アB2内に拡散するとともに、その水素ガスが主として
アノード2の内方の第1アノード板2aのミクロポアB
1中に満たされている電解質中に溶解する。そして、電
解質中に溶解したこの水素とカソード3側から電解質中
を移動してきた炭酸イオンとが(2)式で示されるように
電気化学的に反応して、電子がアノード2の電極材側に
移動し、この燃料電池8のアノード集電板4とカソード
集電板5との間に起電力が発生する。
【0024】上記起電力の発生に伴なう電極反応におい
て、この燃料電池8には電極のエネルギーロスとして気
相拡散過電圧、液層拡散過電圧および電荷移動反応過電
圧が発生するが、この燃料電池8では、これらの過電圧
が小さく抑えられる。すなわち、アノード2やカソード
3のガス流路F1,F2側の第2アノード板2bや第2
カソード板3bでは燃料ガスや酸化剤ガスの拡散が生じ
るが、この部分のポロシティーが大きくとってあるた
め、この第2アノード板2bや第2カソード板3b内へ
の燃料ガスや酸化剤ガスの拡散が容易となり、これらの
ガスを電極反応の大部分が進行する電解質マトリックス
1の近傍に容易に輸送できることとなる。したがって、
気相拡散過電圧を小さく抑えることができる。
【0025】また、アノード2やカソード3の電解質マ
トリックス1側の第1アノード板2aや第1カソード板
3aでは電極反応が集中するが、この部分のポロシティ
ーを比較的小さくとってあるため、この第1アノード板
2aや第1カソード板3a内の電極材の表面積が大きく
なっており、この電極内部での反応を効率よく行なわせ
ることができるため、液層拡散過電圧と電荷移動反応過
電圧を小さく抑えることができる。
【0026】つぎにこのようなアノード2およびカソー
ド3を備えた燃料電池8によって過電圧をどの程度下げ
ることができるかについて、従来の燃料電池と比較しつ
つ図2により具体的に説明する。なお、この場合の燃料
電池の構成は表1に示されている。すなわち、この燃料
電池8のアノード2は、厚さが0.3mmでポロシティ
ーが44%の第1アノード板2aと、厚さが0.45m
mでポロシティーが65%の第2アノード板2bとから
構成され、カソード3は厚さが0.32mmでポロシテ
ィーが41%の第1カソード板3aと、厚さが0.53
mmでポロシティーが70%の第2カソード板3bとか
ら構成されている。また、従来の燃料電池のアノードは
厚さが0.75mmでポロシティー47%であり、カソ
ードは厚さが0.85mmでポロシティーが70%であ
る。
【0027】図2は燃料電池8と従来の燃料電池との電
池電圧の違いを示すグラフであり、この図で示されるよ
うに、電流密度の増加に伴ないこの燃料電池8の電池電
圧が従来の燃料電池のそれより漸次大きくなっているこ
とがわかる。これは燃料電池8では従来の燃料電池に比
べアノード2およびカソード3のガス流路F1,F2側
の第2アノード板2bおよび第2カソード板3bのポロ
シティーが大きく、電極内へのガスの拡散が良好になさ
れていることと、アノード2およびカソード3の電解質
マトリックス1側の第1アノード板2aおよび第1カソ
ード板3aのポロシティーが小さく、電極内において電
極反応が速やかになされるため、電池内の過電圧が小さ
く抑えられるためであると考えられる。
【0028】つぎに、アノード2やカソード3のガス流
路F1,F2側と電解質マトリックス1側とのポロシテ
ィーの差がどの程度あればよいかについて、図3により
説明する。図3は例えば厚さの比の値(ガス流路F1,
F2側電極板の厚さ/電解質マトリックス1側電極板の
厚さ)が3.0の場合において、電極のガス流路F1,
F2側のポロシティーを70%(一定)とした場合に、
電解質マトリックス1側のポロシティーを変化させた場
合の、電池電圧の変化を示している。図3より、電解質
マトリックス1側のポロシティーが55%のとき電池電
圧が最大となり、電解質マトリックス1側のポロシティ
ーが45〜65%の間でも、電池電圧が従来の燃料電池
で得られる標準の電池電圧より大きくなることがわか
る。すなわち、ガス流路F1,F2側の電極のポロシテ
ィーに対して、電解質マトリックス1側の電極のポロシ
ティーが5〜25%の値だけ小さい場合に、電池電圧が
従来の燃料電池より大きくなることがわかる。
【0029】上記は電極のガス流路F1,F2側のポロ
シティーが70%の場合についての説明であるが、一般
に電極のガス流路F1,F2側のポロシティーが65〜
85%の場合について、電極の電解質マトリックス1側
のポロシティーがこのガス流路F1,F2側のポロシテ
ィーより5〜25%小さい場合に、電池電圧が従来の燃
料電池で得られる標準の電池電圧より大きくなることが
実験的に確かめられている。
【0030】また、アノード2やカソード3のガス流路
F1,F2側の電極板と電解質マトリックス1側の電極
板の厚さの比によっても、電極内で生じる過電圧は異な
ることが実験的に確かめられている。図4は例えばガス
流路F1,F2側のポロシティーが65%の電極板と電
解質マトリックス1側のポロシティーが44%の電極板
の厚さの比の値の変化に対する電池電圧の変化を示して
いる。この図から、ガス流路F1,F2側の電極板が電
解質マトリックス1側の電極板より厚い場合に、電極内
で生じる過電圧が小さくなって電池電圧が大きくなるこ
とがわかり、とくに、ガス流路F1,F2側の電極板と
電解質マトリックス1側の電極板との厚さの比の値が
1.5〜5.0の範囲において、この効果が著しく大き
くなることがわかる。
【0031】この場合、電極のガス流路F1,F2側の
電極板のポロシティーが65〜85%で、電解質マトリ
ックス1側の電極板のポロシティーがこの値より5〜2
5%の値だけ小さい電極であれば、上記電極板の厚さの
比の値に対して電極内で生じる過電圧が小さくなること
が確かめられている。
【0032】なお、この実施例1ではアノード2および
カソード3の両方ともがポロシティーの値および厚さの
比の値が必要な条件を満たしている場合について説明し
たが、アノード2のみ、またはカソード3のみについて
必要な条件を満たしている場合においても、効果の程度
は減少するが同様な効果を得ることができる。
【0033】
【表1】
【0034】実施例2.図4はこの発明の第1の発明な
いし第3の発明の他の実施例である溶融炭酸塩型燃料電
池の断面図である。この燃料電池8ではアノード2およ
びカソード3を表2で示されるような、そのポロシティ
ーがガス流路F1,F2側から電解質マトリックス1側
に段階的に減少するそれぞれ3枚の電極板から構成した
場合である。
【0035】すなわち、アノード2は電解質マトリック
ス1側のポロシティーが44%の第1アノード板2a
と、燃料ガス流路F1側のポロシティーが65%の第2
アノード板2bと、第1アノード板2aと第2アノード
板2b間に配置されるポロシティーが52%の第3アノ
ード板2cとから構成されており、カソード3は電解質
マトリックス1側のポロシティーが41%の第1カソー
ド板3aと、酸化剤ガス流路F2側のポロシティーが7
0%の第2カソード板3bと、第1カソード板3aと第
2カソード板3b間に配置されるポロシティーが55%
の第3カソード板3cとから構成されている。なお、他
の構成は実施例1で説明した燃料電池8と同一である。
【0036】上記燃料電池においてもアノード2および
カソード3のガス流路F1,F2側の第2アノード板2
bおよび第2カソード板3bのポロシティーがそれぞれ
65%、70%であり、かつ電解質マトリックス1側の
第1アノード板2aおよび第1カソード板3aのポロシ
ティーがそれぞれ44%、41%であるとともに、第2
アノード板2bと第1アノード板2aの厚さの比の値が
2.6であり、第2カソード板3bと第1カソード板3
aの厚さの比の値が3.0であって実施例1の条件を満
たしているため、この燃料電池においても実施例1と同
様な効果を得ることができる。
【0037】この場合、アノード2およびカソード3の
中間部にそのポロシティーの値も中間的な第3アノード
板2cおよび第3カソード板3cを有しているため、電
極内へのガス拡散と電極内における電極反応が実施例1
の場合よりもスムーズになされる。したがって、この燃
料電池8の過電圧低減の効果は実施例1の燃料電池8の
場合よりも更に大きくなる。なお、この第3アノード板
2cや第3カソード板3cをさらに複数の電極板に分
け、さらに細かくポロシティーを段階的に変化させても
よいのはもちろんである。また、このようにすればポロ
シティーが変化する電極が容易に製作できる。
【0038】
【表2】
【0039】実施例3.この実施例3は、この発明の第
4の発明に係る一実施例である。上記実施例1および実
施例2では溶融炭酸塩型燃料電池のアノード2およびカ
ソード3を複数の電極板に分け、そのポロシティーをガ
ス流路F1,F2側から電解質マトリックス1側に向か
って段階的に減少させるようにしたが、この実施例3に
よる燃料電池8ではそれぞれ一体形のアノード2とカソ
ード3を使用し、そのポロシティーを連続的に変化させ
るようにした。
【0040】すなわち、電極のガス流路F1,F2側の
ポロシティーを60〜85%の値とし、電極の電解質マ
トリックス1側のポロシティーを上記値より5〜25%
の値だけ小さくなるようにするとともに、その間のポロ
シティーを漸次変化させるようにした。この場合も実施
例1の燃料電池と同様、またはポロシティーを連続的に
変化させている分これ以上の効果を得ることができる。
なお、アノード2やカソード3において、そのポロシテ
ィーを連続的に変化させるには、これらを電極スラリー
の連続キャスティング法によって製作すればよい。
【0041】
【発明の効果】この発明は、以上のように構成されてい
るので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0042】この発明の第1の発明によれば、溶融炭酸
塩を含侵させた電解質マトリックスの両側にこの電解質
マトリックスを挟み付けるように多孔質なアノードとカ
ソードが配設され、このアノードとカソードのそれぞれ
の外方にガス流路が形成されている溶融炭酸塩型燃料電
池において、アノードとカソードのうち少なくとも一方
の電極のガス流路側のポロシティーを65〜85%とす
るとともに、電極の電解質マトリックス側のポロシティ
ーをガス流路側のポロシティーより5〜25%の値分だ
け小さくしたので、電極反応によって生じる過電圧を容
易に下げることができ、燃料電池の高性能化を達成でき
る。
【0043】また、この発明の第2の発明によれば、溶
融炭酸塩を含侵させた電解質マトリックスの両側にこの
電解質マトリックスを挟み付けるように多孔質なアノー
ドとカソードが配設され、このアノードとカソードのそ
れぞれの外方にガス流路が形成されている溶融炭酸塩型
燃料電池において、アノードとカソードのうち少なくと
も一方の電極を2枚以上の重ね合わせ電極板から構成し
て、そのポロシティーを電解質マトリックス側に向かっ
て電極板ごとに段階的に減少させ、そのガス流路側電極
板のポロシティーを65〜85%とするとともに、その
電解質マトリックス側電極板のポロシティーをガス流路
側電極板のポロシティーより5〜25%の値分だけ小さ
くしたので、第1の発明と同等またはそれ以上の効果を
達成できる。
【0044】また、この発明の第3の発明によれば、溶
融炭酸塩を含侵させた電解質マトリックスの両側にこの
電解質マトリックスを挟み付けるように多孔質なアノー
ドとカソードが配設され、このアノードとカソードのそ
れぞれの外方にガス流路が形成されている溶融炭酸塩型
燃料電池において、アノードとカソードのうち少なくと
も一方の電極を2枚以上の重ね合わせ電極板から構成し
て、そのポロシティーを電解質マトリックス側に向かっ
て電極板ごとに段階的に減少させ、そのガス流路側電極
板のポロシティーを65〜85%とするとともに、その
電解質マトリックス側電極板のポロシティーをガス流路
側電極板のポロシティーより5〜25%の値分だけ小さ
くし、かつ電解質マトリックス側電極板の厚さに対する
ガス流路側電極板の厚さの比の値を1.5〜5.0の間
に設定したので、第1の発明と同等の効果を達成でき
る。
【0045】また、この発明の第4の発明によれば、溶
融炭酸塩を含侵させた電解質マトリックスの両側にこの
電解質マトリックスを挟み付けるように多孔質なアノー
ドとカソードが配設され、このアノードとカソードのそ
れぞれの外方にガス流路が形成されている溶融炭酸塩型
燃料電池において、アノードとカソードのうち少なくと
も一方の電極のガス流路側のポロシティーを65〜85
%とするとともに、電極のポロシティーを電解質マトリ
ックス側に向かって漸次減少させ、この電極の電解質マ
トリックス側のポロシティーをガス流路側のポロシティ
ーより5〜25%の値分だけ小さくしたので、第1の発
明と同等またはそれ以上の効果を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1に係る燃料電池の断面図で
ある。
【図2】実施例1の燃料電池と従来の燃料電池との電池
電圧の比較を示すグラフである。
【図3】電極のガス流路側ポロシティーに対する電解質
マトリックス側ポロシティーの最適値を示すグラフであ
る。
【図4】ガス流路側電極板の厚さと電解質マトリックス
側電極板の厚さの比の値と電池電圧の変化を示すグラフ
である。
【図5】この発明の実施例2に係る燃料電池の断面図で
ある。
【符号の説明】
1 電解質マトリックス 2 アノード 2a 第1アノード板(電解質マトリックス側電極板) 2b 第2アノード板(ガス流路側電極板) 3 カソード 3a 第1カソード板(電解質マトリックス側電極板) 3b 第2カソード板(ガス流路側電極板)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融炭酸塩を含侵させた電解質マトリッ
    クスの両側にこの電解質マトリックスを挟み付けるよう
    に多孔質なアノードとカソードが配設され、このアノー
    ドとカソードのそれぞれの外方にガス流路が形成されて
    いる溶融炭酸塩型燃料電池において、前記アノードとカ
    ソードのうち少なくとも一方の電極の前記ガス流路側の
    ポロシティーを65〜85%とするとともに、前記電極
    の電解質マトリックス側のポロシティーを前記ガス流路
    側のポロシティーより5〜25%の値分だけ小さくした
    ことを特徴とする溶融炭酸塩型燃料電池。
  2. 【請求項2】 溶融炭酸塩を含侵させた電解質マトリッ
    クスの両側にこの電解質マトリックスを挟み付けるよう
    に多孔質なアノードとカソードが配設され、このアノー
    ドとカソードのそれぞれの外方にガス流路が形成されて
    いる溶融炭酸塩型燃料電池において、前記アノードとカ
    ソードのうち少なくとも一方の電極を2枚以上の重ね合
    わせ電極板から構成して、そのポロシティーを前記電解
    質マトリックス側に向かって前記電極板ごとに段階的に
    減少させ、そのガス流路側電極板のポロシティーを65
    〜85%とするとともに、その電解質マトリックス側電
    極板のポロシティーを前記ガス流路側電極板のポロシテ
    ィーより5〜25%の値分だけ小さくしたことを特徴と
    する溶融炭酸塩型燃料電池。
  3. 【請求項3】 溶融炭酸塩を含侵させた電解質マトリッ
    クスの両側にこの電解質マトリックスを挟み付けるよう
    に多孔質なアノードとカソードが配設され、このアノー
    ドとカソードのそれぞれの外方にガス流路が形成されて
    いる溶融炭酸塩型燃料電池において、前記アノードとカ
    ソードのうち少なくとも一方の電極を2枚以上の重ね合
    わせ電極板から構成して、そのポロシティーを前記電解
    質マトリックス側に向かって前記電極板ごとに段階的に
    減少させ、そのガス流路側電極板のポロシティーを65
    〜85%とするとともに、その電解質マトリックス側電
    極板のポロシティーを前記ガス流路側電極板のポロシテ
    ィーより5〜25%の値分だけ小さくし、かつ前記電解
    質マトリックス側電極板の厚さに対する前記ガス流路側
    電極板の厚さの比の値を1.5〜5.0の間に設定した
    ことを特徴とする溶融炭酸塩型燃料電池。
  4. 【請求項4】 溶融炭酸塩を含侵させた電解質マトリッ
    クスの両側にこの電解質マトリックスを挟み付けるよう
    に多孔質なアノードとカソードが配設され、このアノー
    ドとカソードのそれぞれの外方にガス流路が形成されて
    いる溶融炭酸塩型燃料電池において、前記アノードとカ
    ソードのうち少なくとも一方の電極の前記ガス流路側の
    ポロシティーを65〜85%とするとともに、前記電極
    のポロシティーを電解質マトリックス側に向かって漸次
    減少させ、この電極の電解質マトリックス側のポロシテ
    ィーを前記ガス流路側のポロシティーより5〜25%の
    値分だけ小さくしたことを特徴とする溶融炭酸塩型燃料
    電池。
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