JPH06222033A - 埋設鉄筋の腐食度検出方法とその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電極と埋設鉄筋又は鉄骨とが接触しない程度
に極く接近させてプローブを埋設することにより、コン
クリート層の厚さ,品質,含水率等に関係なく精度良く自
然電位および分極抵抗の測定を可能にし、腐食状態判定
の信頼性を高める。 【構成】 絶縁性の筒状プローブ本体１の広径段部３
に、電極４ａ,４ｂを同心円状に設けた電極基板２を嵌
入定着し、電極基板２の各電極４ａ,４ｂに通じるター
ミナル７にプローブ本体１内を経て、モニター側ケーブ
ル端のコネクタ８を着脱自由に接続して電気的に他端部
へ適宜取り出すように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、各種コンクリート建造
物に埋設した鉄筋の腐食状態を定量的に推定する方法と
その装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、コンクリート中に埋設した鉄筋の
腐食の状況を推定する方法として、コンクリートの表
面で自然電位を測定する方法、コンクリートの表面で
分極抵抗を測定する方法、コンクリート中に参照電極
を埋設して自然電位を測定する方法があった。の方法
は、ＡＳＴＭ Ｃ ８７６(Ａmerican Ｓociety for Ｔes
ting Ｍaterials Ｃ ８７６＝アメリカ材料試験協会)に
規格化されており、この方法による自然電位測定には、
硫酸銅や銀―塩化銀、カロメル等の金属をそれぞれ電解
溶液に浸した参照電極が使用されている。の場合に
は、参照電極の他、白金(Ｐt)などの貴金属を使った対
極を併せて使用し、分極抵抗を測定する。は、に示
した様な電解液を必要とする参照電極をコンクリート中
に埋設する方法である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記の,の従来技
術では、かぶりコンクリートの影響を無視できず測定値
の評価が難しいこと、コンクリート表面に仕上げが施さ
れた場合には測定できない等の問題があった。また、
の従来技術では、埋設する参照電極から電解液が浸出し
て付近の鉄筋の腐食環境を変化させる恐れや、電解液の
浸出による参照電極の耐久性低下が懸念された。

【０００４】

【課題を解決するための手段】参照電極および対極の２
個の電極を備えたプローブを、コンクリート中に埋設し
た鉄筋に対して極めて小さな一定の間隔を保ってコンク
リート中に埋設してなる。

【０００５】

【作用】測定に際してはコンクリート中に埋設されたプ
ローブの検出端子にモニター装置を接続し、該端子から
鉄筋の腐食による電位および分極抵抗を測定して、腐食
の度合を判定すると共に腐食状態を推定する。

【０００６】

【実施例】以下本発明について図面に示す実施例により
詳細に説明すると、図１に示すように、絶縁性の円筒状
プローブ本体１の下端面に広径段部３を形成し、該段部
３には、下面に面積が相等しい２個の電極４ａ(参照
極),４ｂ(対極)を同心円状に設けた電極基板２を嵌入す
る。しかも該電極４ａ,４ｂは夫々下地に厚さ４(μ)の
ニッケル層をプリントすると共に、更にその表面に厚さ
０．５(μ)の金(Ａu)又は白金(Ｐt)からなるプリント層
を施して二重構造としており、該電極基板２と前記段部
３の端面との間に間隙ｔを保つようにしている。更に該
電極基板２の裏面つまり上側には、上記電極４ａ,４ｂ
に通じるリード線の保持部５を設け、該リード線保持部
５上にはモニター側のコネクタ８を嵌脱自由に接続する
プローブ側のターミナル７を定設し、リード線保持部５
とプローブ本体１の内周との間にシリコンコーティング
材６を充填して電極基板２が脱落なきよう該プローブ本
体内に安定保持させると共に、該プローブ本体１をコン
クリート建造物内に埋設後、内部に浸水しないように該
プローブ本体１の外端部にコンクリートｂと接する面に
ビニールシートパッキン１０を介して塩化ビニールその
他耐久性に富む材料からなる防水キャップ１１を施栓し
てなる。尚、上記プローブ本体１は外形が円筒状をなす
例を示したが、これに限らず角柱であっても良いことは
謂うまでもない。又上記プローブ本体１の長さはコンク
リート厚さ(かぶり)に応じて長い物から短いものまで幾
通りかが用意され、或はその場にて適寸に切断して何れ
のかぶりに対しても常にプローブの外端がコンクリート
外面と略一致するようにしている。

【０００７】次に上記装置の使用状態について述べる
と、図１に示すように建造物の骨組として鉄筋や鉄骨ａ
を型枠にて囲み、コンクリートｂを該型枠間に打設する
際、予め該鉄筋や鉄骨ａにプローブ本体１の先端段部３
を当接させることにより電極４ａ,４ｂと鉄骨ａとの間
に間隔ｔを保ってコンクリートｂ内に埋設し、又は、既
に完成されたコンクリート建造物にその後の補修の際に
コンクリートに孔を穿ち、又はコンクリートを局部的に
はつることで、前記のように鉄筋や鉄骨に向かって嵌入
埋設した後、該プローブ１の外端に防水キャップ１１を
嵌着して補修を完成させる。次に所定期間経過した時点
で防水キャップ１１を取り外し、電極基板２上のターミ
ナル７にモニター装置(図示せず)のコネクタ８を接続
し、鉄筋又は鉄骨ａと電極４ａ,４ｂとの間の電位や分
極抵抗を三極法で計測し、ケーブル９を介してモニター
装置へ伝送する。これによって鉄筋や鉄骨の腐食度を判
定したり、或る期間おきに腐食度を測定することにより
腐食の進行速度が電解液を全く使用することなく乾式の
状態で判定できる。

【０００８】

【発明の効果】本発明は上述のようにして貴金属電極を
鉄筋や鉄骨に対して接触させることなく、しかも極く接
近した位置に対応させてコンクリート中に埋設し、測定
に当たってはプローブ側のターミナルにモニター側のコ
ネクタを接続するだけでコンクリート層表面に引き出せ
るようにしたことにより、コンクリート表面で測定する
従来の方法で、コンクリート表面がコーティングされて
いてモニタリングが困難な場合でも、何ら支障なく測定
でき鉄筋や鉄骨の腐食状態を精度良く把握できる。 更
にプローブはコンクリート内に埋設されるので、これま
でのようにコンクリート表面で電解液を介してモニタリ
ングする手法と異なりコンクリートつまりかぶりの部分
に全く関係なく結果が得られるので信頼性が一層高めら
れる。又、電解液を使用していないので従来例のように
液漏れによって鉄筋や鉄骨を腐食させたりするようなこ
とがなく、それに電極構成材に消耗するものを使用して
いないことから耐久性が充分に維持できると共に、それ
による自然電位に影響を与えないからより精度の高い測
定ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明プローブの縦断側面図である。

【図２】同上平面略図である。

【図３】図１の下面略図である。

【符号の説明】

１ プローブ本体 ２ 電極基板 ３ 段部 ４ａ,４ｂ 電極 ６ シリコーンコーティング材 ７ ターミナル

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コンクリート中に埋設した鉄筋に接近し
   て参照電極および対極の２個の電極を備えた電極プロー
   ブを、埋設してなることを特徴とする埋設鉄筋の腐食度
   検出方法。
2. 【請求項２】 プローブ本体の前端部にコンクリート中
   の埋設鉄筋との間の極めて小さな間隔を一定に保つよう
   にした参照電極および対極の２個からなる電極を設ける
   と共に、該プローブ本体内に該電極に通じるターミナル
   を設け、該プローブ本体の外端をコンクリート外面部か
   ら着脱自由に防水キャップにて覆蓋するようにしたこと
   を特徴とする埋設鉄筋の腐食度検出装置。