JPH0622112B2 - アルカリ蓄電池用ニツケル正極の製造法 - Google Patents

アルカリ蓄電池用ニツケル正極の製造法

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JPH0622112B2 JP59066079A JP6607984A JPH0622112B2 JP H0622112 B2 JPH0622112 B2 JP H0622112B2 JP 59066079 A JP59066079 A JP 59066079A JP 6607984 A JP6607984 A JP 6607984A JP H0622112 B2 JPH0622112 B2 JP H0622112B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はアルカリ蓄電池用ニッケル正極の製造法に関す
るもので、水酸化ニッケル粉末を主活物質として使用
し、これを直接支持体内部に充填するか、または支持板
に塗着する正極一般に適用できるものである。
従来例の構成とその問題点 ニッケル正極は大別して次のものが主に用いられてい
る。その第1はニッケル塩溶液を使用し、これをニッケ
ル焼結体内に充填後、活物質である水酸化ニッケルに転
化する焼結式と称されるものである。その第2は水酸化
ニッケル粉末を直接支持体に充填して用いるものであ
る。
後者には、通常、多数の微孔を有する金属製の袋もしく
は、発泡状金属体の内部に水酸化ニッケル粉末を主構成
材料として充填するポケット式もしくは発泡メタル式が
工業的に採用もしくは提案されている。また、パンチン
グメタルやエキスパンディッドメタルなどの板状金属に
塗着し加圧一体化する方法で代表される加圧方式も提案
されている。
これらの方式によるニッケル正極は水酸化ニッケル粉末
を活物質粉末として直接電極用材料に使用する点が共通
している。そして焼結式ニッケル正極と比べてその製法
が比較的簡単であるとともに、発泡メタル式や加圧方式
による電極では、活物質の充填密度を高め得る可能性を
有している。これは焼結基板に比べて支持体である発泡
メタルやパンチングメタルなどが電極中に占める体積比
率を小さくできることによる。
ところが、これら三方式は、その方式および活物質合剤
の組成による差は認められるが、概して焼結式ニッケル
正極よりも活物質の利用率が低いのが現状である。その
うち発泡メタル式では比較的活物質利用率の差は少ない
が、その安定性において劣るのが現状で、平均すると5
〜10%(水酸化ニッケル3価→2価反応の理論量を1
00%とした場合)の低下が認められる。
種々の電極特性(充放電率や物理的強度)は、一般的に
これら三方式よりも焼結式が優れているが、エネルギー
密度の点では通常の放電率では逆に前者の方が高くでき
る可能性を有している。しかしその長所を実用の点(エ
ネルギー密度または放電容量密度)でも充分発揮させる
には、さらに活物質利用率の向上(現状は75〜90
%)をはかる必要がある。
これらの方式で使用される水酸化ニッケル粉末は、通常
ニッケル塩(硫酸塩,硝酸塩等)溶液に水酸化ナトリウ
ム粉末またはその溶液であるアルカリを加えてニッケル
水酸化物を析出させる方法が採用されている。これで得
られた粉末をそのまま単独で電極用材料として使用した
場合には、その活物質利用率は50〜60%である。そ
こで利用率の向上のために、コバルト,ニッケルやカー
ボンを加える方法により75〜90%に高める提案があ
る。しかしそれでも汎用の焼結式ニッケル正極(90〜
100%)と比較するとその値がまた低く、バラツキも
大きいのが現状である。またリチウム添加の効果(活物
質利用率や充電受入れ性の向上)はすでに知られてお
り、焼結式ニッケル正極ではその添加方法として活物質
の充填→転化後のアルカリ中での化成工程でリチウムを
加える提案がなされている。しかし、活物質粉末を直接
充填する電極の場合は焼結式と異なり、硝酸根等のアニ
オンを除去する必要がなく、化成を省略できる特徴があ
り、化成→水洗→乾燥の工程を省略することが好まし
い。また化成でリチウムを添加した場合には、水酸化リ
チウムの表面に添加されるだけで、活物質の利用率の点
では大きな効果が認められなかった。
発明の目的 本発明は、主活物質粉末である水酸化ニッケル粉末を改
良することで、活物質利用率の向上と安定化を図ること
を目的とする。
発明の構成 本発明は、上記の目的を達成するため、活物質粉末の主
体をなす水酸化ニッケル粉末の内部に少なくともリチウ
ムを含むアルカリ金属を有したものを用意し、これを支
持板に塗着するか、または支持体内部に充填してニッケ
ル正極とすることを特徴としたものである。
第1図に水酸化ニッケル粉末を主体とした活物質粉末1
を支持体である発泡状ニッケル多孔体2の空間部3に充
填したニッケル電極の概略断面図を示した。ここで用い
る水酸化ニッケル粉末は、その内部に0.005wt%以
上のリチウムを有する粉末である。リチウムは0.00
5〜0.02wt%まで利用率向上をもたらし、0.02
wt%以上含んでも活物質の利用率は飽和状態で以下に述
べる水酸化ニッケルの析出、熟成水洗等条件でその含有
量は変動するので、あえて上限値を設けなかった。
水酸化ニッケル粉末の製造法は第2図に示す主工程、す
なわちA硫酸ニッケルの溶解→B NaOHなどのアルカリ
を加えての水酸化ニッケルを析出・熟成→C過→D乾
燥→E粉砕→F水洗→G乾燥→H水酸化ニッケル粉末の
過程において、Bのアルカリ添加による水酸化ニッケル
の析出時には少なくともLiOHを加えて、この工程内での
放置熟成で水酸化ニッケルの集合粒子を形成する際にLi
を内部に包含させる。
この水酸化ニッケル粉末を主活物質粉末として使用する
ポケット式、発泡メタル式、加圧式のニッケル正極はほ
ぼ似た製法をとるので、実施例として発泡メタル式ニッ
ケル正極をとり上げ具体的な説明を行なう。
実施例の説明 (実施例1) 6水塩の結晶硫酸ニッケル13kgを水に溶解して全容積
を40とする。これを約25℃の状態で撹拌しなが
ら、アルカリとして水酸化リチウム粉末6.5kgを加え
たのち、約50℃で1時間放置して熟成し、素粒子の集
合体を形成する。つぎにこの沈澱物を過し、乾燥後粉
砕して所望の粒度に調整したのち充分に水洗,乾燥を行
なって水酸化ニッケル粉末を主成分とする粉末約5kgを
得る。この粒度0.1〜150μmの水酸化ニッケル粉
末とカーボニルニッケル粉末とカーボニルコバルト粉末
を85wt%:10wt%:5wt%に混合し、それに水を加
えてペースト状にしたものを発泡状ニッケル板(多孔度
95%,平均孔径200μm,厚さ1.3mm)内に充填
し、乾燥後加圧して厚さ約0.7mmの電極を得る。
(実施例2) 実施例1における硫酸ニッケル溶液に水酸化リチウムを
加える工程において、水酸化リチウムを1.5kg加えた
のち直ちに水酸化ナトリウム4kgまたは水酸化カリウム
5.5kgを加え、以後の工程は実施例1と同様にして発
泡メタル式ニッケル正極を得る。
(実施例3) 実施例1または実施例2における硫酸ニッケル溶液を調
整する際、コバルト金属粉末を0.5kg、ニッケル粉末
1kgを同時に加えて実施例1または実施例2と同様にし
て水酸化ニッケル粉末、コバルトおよびニッケルの混練
物を得る。この混練物を実施例1と同様の発泡状ニッケ
ル内に充填し、発泡メタル式ニッケル正極を得る。
実施例1で得たニッケル正極(i(OH)中のLi量は
0.03wt%の粉末を使用)の活物質利用率を調べる一
手段として円筒密閉形ニッケル・カドミウム蓄電池のう
ちKR−AAサイズをとり上げた。汎用の焼結式ニッケ
ル正極と同程度の厚さ(約0.7mm)であるが面積を約
10%小さくし、その体積相当分の負極容量を増加し
て、理論上の密閉構成条件を満たして電池を構成した。
この電池を50mAで15時間充電し、100mAで放
電したときの放電容量(終止電圧1.0V)を調べ、充
填したNi(OH)、(重量測定)は289mAh/gとしてそ
の利用率を計算した結果を第3図に示す。
第3図には、作製した電池10個のうち放電容量の最高
値と最低値を除去し、残り8個の電池の利用率の最高値
と最低値の幅で示した。なお充放電は20℃で行なっ
た。
同時に比較のため実施例2で得た電極(Ni(OH)中のLi
量は約0.015wt%)および実施例2で加えるLiOH
量を減じて得た電極(Li量約0.01wt%と0.005
wt%)および従来どおりのNaOHだけを加えてNi(OH)
を析出させた粉末(Ni(OH)2中のNa量は約0.03wt
%)を用いて実施例1と同様にして得た発泡メタル式ニ
ッケル正極を適用した電池の結果を横軸にそのLi量(wt
%)を変数として示した。いずれも電池10個を試験し
て放電容量の最大値と最小値を除去した残り8個の結果
である。
この結果、本発明のリチウムを内部に有する水酸化ニッ
ケル粉末を用いて、それを直接充填した電極は、リチウ
ムを含まない従来の粉末を用いた場合よりも活物質利用
率が向上し、汎用の焼結式ニッケル正極と同等になるこ
とがわかった。その効果は0.005wt%からみられ、
量の増加とともに0.03wt%までは利用率も向上し、
同時にそのバラツキも低下する傾向がみられた。
発明の効果 以上の記載から明らかなように、本発明のニッケル正極
はリチウムを含むアルカリ金属を内蔵した水酸化ニッケ
ル粉末を直接支持体内に充填するか、または支持板に塗
着することにより工程が比較的簡単に製作でき、かつ容
量密度の高い電極を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明におけるニッケル電極の断面図、第2図
は水酸化ニッケルの製作工程の概略図、第3図は本願の
リチウムを内部に含む水酸化ニッケル粉末を用いた電池
の活物質利用率を実測した結果を示す図である。 1……水酸化ニッケルを主体とする活物質粉末、2……
発泡状ニッケル多孔体、3……空間部。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水酸化ニッケル粉末を主とする活物質粉末
    を支持板に塗着するか、または支持体内部に充填したニ
    ッケル正極の製造法であって、前記水酸化ニッケル粉末
    の内部に少なくともリチウムを含むアルカリ金属を有し
    たものを用いることを特徴とするアルカリ蓄電池用ニッ
    ケル正極の製造法。
  2. 【請求項2】水酸化ニッケル粉末中に含まれるリチウム
    量が0.005wt%以上である特許請求の範囲第1項に
    記載のアルカリ蓄電池用ニッケル正極の製造法。
  3. 【請求項3】水酸化ニッケル粉末が、ニッケル塩溶液
    に、少なくともリチウムを有するアルカリを加えて析出
    させたものである特許請求の範囲第1項に記載のアルカ
    リ蓄電池用ニッケル正極の製造法。
  4. 【請求項4】リチウムを有するアルカリを加えたニッケ
    ル塩溶液から水酸化ニッケル粉末を析出させる際、ニッ
    ケル塩溶液にコバルト金属単独またはコバルト塩をアル
    カリと同時に添加したことを特徴とする特許請求の範囲
    第3項に記載のアルカリ蓄電池用ニッケル正極の製造
    法。
  5. 【請求項5】リチウムを有するアルカリを加えたニッケ
    ル塩溶液から水酸化ニッケル粉末を析出させる際、ニッ
    ケル塩溶液にアルカリと同時に電導性粉末を添加するこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第3項又は第4項に記載
    のアルカリ蓄電池用ニッケル正極の製造法。
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