JPH06220132A - ジメタノオクタヒドロナフタレン系共重合体及びこれを含有してなる血液分離剤 - Google Patents
ジメタノオクタヒドロナフタレン系共重合体及びこれを含有してなる血液分離剤Info
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- JPH06220132A JPH06220132A JP1195693A JP1195693A JPH06220132A JP H06220132 A JPH06220132 A JP H06220132A JP 1195693 A JP1195693 A JP 1195693A JP 1195693 A JP1195693 A JP 1195693A JP H06220132 A JPH06220132 A JP H06220132A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 ジメタノオクタヒドロナフタレン(a)から
誘導される単位20〜98モル%、α−オレフィンおよ
び/またはアルキルビニールエーテル(b)から誘導さ
れる単位2〜50モル%、及び上記(a)、(b)以外
の共重合可能なエチレン性不飽和結合を有するモノマー
(c)から誘導される単位0〜30モル%を含有してな
る数平均分子量200〜10,000のジメタノオクタ
ヒドロナフタレン系共重合体及びこれを主成分として含
有してなる血液分離剤。 【効果】 本発明の共重合体は、血液分離剤として使用
した場合、物理的、化学的変化を生じることがなく、分
離操作中の測定対象成分の経時変化が小さく、実用上極
めて有用である。
誘導される単位20〜98モル%、α−オレフィンおよ
び/またはアルキルビニールエーテル(b)から誘導さ
れる単位2〜50モル%、及び上記(a)、(b)以外
の共重合可能なエチレン性不飽和結合を有するモノマー
(c)から誘導される単位0〜30モル%を含有してな
る数平均分子量200〜10,000のジメタノオクタ
ヒドロナフタレン系共重合体及びこれを主成分として含
有してなる血液分離剤。 【効果】 本発明の共重合体は、血液分離剤として使用
した場合、物理的、化学的変化を生じることがなく、分
離操作中の測定対象成分の経時変化が小さく、実用上極
めて有用である。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ジメタノオクタヒドロ
ナフタレン系共重合体及びこれを用いた血液分離剤に関
するものである。より詳しくは、新規なジメタノオクタ
ヒドロナフタレン系共重合体、および血液中に共存する
血清成分と血餅成分あるいは、血漿成分と血球成分をそ
の比重差を利用して分離する際に、両成分の中間的な比
重を付与することにより、両成分の間に隔壁を形成せし
め、これら両成分の分離操作を容易にする目的に利用し
得る血液分離剤に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来よりかかる分離操作に用いられる分
離剤として種々の化合物が知られている。例えば、シリ
コーン油(特開昭54−2120号公報等)、アクリル
系重合油(特開昭54−63797号公報等)、塩素化
ポリブテン油(特開昭57−9718号公報等)、α−
オレフィン/マレイン酸ジエステル共重合体(特開昭6
2−199644号公報等)あるいは、シクロペンタジ
エンオリゴマー(特開平1−295163公報等)など
を主成分とし、これらに比重や粘度の調整あるいは形状
の保持のためのチクソトロピー化剤としてシリカや粘土
等の無機物微粒子を添加したものが知られている。 【0003】一方、最近では臨床の現場において薬物療
法が盛んに行われており、このため薬物の血中濃度を正
確に、しかも迅速に測定する必要性が高くなっている
が、上記の如き血液分離剤は簡便かつ迅速に血液分離処
理ができることから、使用されることが多くなりつつあ
る。 【0004】 【発明が解決しようとしている課題】しかしながら、こ
れらの油を主体とした血液分離剤は、チクソトロピー化
剤との親和性が不十分であることから、加熱処理や長期
保存あるいは遠心分離操作などの条件下で相分離が生
じ、ゲルの物性変化による隔壁機能の低下や油分の分離
による分離成分への汚染などを起こしやすく、また、耐
熱性が不十分なため、調整、充填、滅菌工程での分解物
の発生と、これによる分離成分への汚染を起こしやすい
といった問題がある。また、比重や粘度を調整するため
に相溶性のある油を混合した場合には、チクソトロピー
化剤との親和性の相異から、血液分離剤の性状に経時変
化がおこったり、熱安定性が悪いという欠点があり、ま
た、比重が低い油を混合した場合には、分離成分への汚
染がおきやすいという欠点を有している。また、分離剤
が低分子の揮発性成分を含む場合には、真空採血管内壁
を撥水化し、血液の凝固が遅くなる等の問題を生じる。 【0005】さらに、従来の血液分離剤を用いた場合例
えば、病院薬学vol.12,No.6,401(19
86)、九州薬学会報第40号,39(1986)等に
既に報告されているように、使用する血液分離剤の影響
により血清中に含有されていた薬物成分が経時的に減少
するという問題点がある。これは、血液の分離操作中に
使用する血液分離剤の影響により測定しようとする薬物
成分が血液分離剤に吸収されてその血中濃度が経時的に
減少するためである。上述のシクロペンタジエンオリゴ
マーは薬物吸着の点では優れているが、真空採血管に使
用するためには、揮発性成分を多く含むという欠点を有
する。 【0006】従って、ある種の薬物の血中濃度を測定す
る目的に従来の血液分離剤を用いることは不適当であ
り、これらの点を改善した血液分離剤の開発が強く望ま
れていた。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明の目的は、これら
の欠点のない実用的に優れた血液分離剤に適した重合体
及びそれを用いた血液分離剤を提供することにある。本
発明者らは、かかる目的を達成するために鋭意検討を重
ねた結果、特定のジメタノオクタヒドロナフタレンとα
−オレフィンおよび/またはアルキルビニールエーテル
を必須成分とする共重合体が、実用的に極めて優れた血
液分離剤となることを見いだして本発明に到達した。 【0008】すなわち、本発明の要旨は、ジメタノオク
タヒドロナフタレン(a)から誘導される単位20〜9
8モル%、炭素数6〜20のα−オレフィンおよび/ま
たはアルキル基の炭素数が2〜20のアルキルビニール
エーテル(b)から誘導される単位2〜50モル%、及
び上記(a)、(b)以外の共重合可能なエチレン性不
飽和結合を有するモノマー(c)から誘導される単位0
〜30モル%を含有してなる数平均分子量200〜1
0,000のジメタノオクタヒドロナフタレン系共重合
体及びこれを主成分として含有してなる血液分離剤に存
する。 【0009】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明におけるモノマー成分(a)に相当するジメタノオ
クタヒドロナフタレンは、下記構造式で表される。 【0010】 【化1】 【0011】ジメタノオクタヒドロナフタレンは、常法
に準じてノルボルネンとシクロペンタジエンとをディー
ルスアルダー反応により付加して製造することができ
る。本発明におけるモノマー(b)は、 炭素数6〜2
0のα−オレフィンおよび/またはアルキル基の炭素数
が2〜20のアルキルビニールエーテルである。α−オ
レフィンとしては、炭素−炭素二重結合を末端に有する
直鎖もしくは低分岐度を有する炭化水素であり、具体的
には、エチレンを低重合させて得られるものが好適に用
いられ、これらは反応生成物から蒸留等の手段により所
定の炭素数を有するα−オレフィンを分離して用いられ
る。なお、本発明では、炭素数6〜20のα−オレフィ
ンを単独で、もしくは、これらの混合物として使用して
もよい。α−オレフィンの炭素数が20をこえると、得
られる共重合体が室温で固体となるので好ましくなく、
また6より小さいと共重合体の合成時に加圧下で反応を
行う等の煩雑な操作を必要とするので好ましくない。 【0012】アルキルビニールエーテルとしては、炭素
数2〜20の直鎖もしくは分岐度を有するアルキル基の
ビニールエーテルであり、具体的には、エチルビニール
エーテル、プロピルビニールエーテル、イソプロピルビ
ニールエーテル、ブチルビニールエーテル、イソブチル
ビニールエーテル、sec−ブチルビニールエーテル、
シクロヘキシルビニールエーテル、ヘキシルビニールエ
ーテル、2−エチルヘキシルビニールエーテル、オクチ
ルビニールエーテル、ラウリルビニールエーテル、ミリ
スチルビニールエーテル、パルミチルビニールエーテ
ル、ステアリルビニールエーテルが好適に用いられる。
なお、本発明では、炭素数2〜20のアルキルビニール
エーテルを単独で、もしくは、これらの混合物として使
用してもよい。アルキルビニールエーテルのアルキル基
の炭素数が20をこえると、得られる共重合体が室温で
固体となるので好ましくなく、また2より小さいと共重
合体の合成時に加圧下で反応を行う等の煩雑な操作を必
要とするので好ましくない。アルキルビニールエーテル
のアルキル基の炭素数は好ましくは6〜18である。 【0013】本発明の共重合体は、モノマー(a)から
誘導される単位を20〜80モル%及びモノマー(b)
から誘導される単位を2〜50モル%含有する。なかで
も、モノマー(a)から誘導される単位及びモノマー
(b)から誘導される単位をそれぞれ30〜90モル%
及び5〜40モル%含有するのが好ましい。本発明の共
重合体は、この範囲内で、比重の大きいモノマー(a)
と比重の小さいモノマー(b)の共重合モル比及びモノ
マー(b)の炭素数を調整することによって、幅広い範
囲で比重を調整できる。従って、本発明の共重合体を血
液分離剤として使用するためには、所望の比重となるよ
うに共重合モル比及びモノマーの炭素数を調整すればよ
い。 【0014】また、本発明の共重合体は、上記(a)及
び(b)のモノマーから誘導される単位以外に、これら
と共重合可能なエチレン性不飽和結合を有するモノマー
(c)から誘導される単位を、共重合体中0〜30モル
%、好ましくは0〜20モル%含有するることも可能で
ある。モノマー(c)としては、上記(a)及び(b)
のモノマー以外のエチレン性不飽和結合を有する化合物
であれば特に限定されないが、エチレン性不飽和結合を
1個有する化合物の例としては、スチレン、インデン、
イソブチレン、ピペリレン、炭素数2〜20程度のアル
キルアリルエーテル、ノルボルネンなどが挙げられる。
モノマー(c)としては、特にエステル基、アミド基等
の極性の高い基を有さないモノマーが好ましい。 【0015】本発明の共重合体は、上記モノマー
(a)、(b)及び必要に応じモノマー(c)を所望の
重合比で共重合反応することにより得られる。重合方法
としては、種々の方法が適用できるが、好ましくはカチ
オン重合法が用いられる。具体的には例えば、反応器に
モノマー(a),(b)及び必要に応じ(a),(b)
以外の共重合可能なエチレン性不飽和結合を有するモノ
マー(c)を一括で仕込み、溶媒の存在下又は非存在
下、カチオン重合触媒を一括であるいは連続的にまたは
分割して添加し、カチオン重合する方法が挙げられる。 【0016】溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシ
レン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素、シクロヘキ
サン、エチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素、ヘキ
サン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、メチレンクロリ
ド、四塩化炭素、1,2−ジクロルプロパン等のハロゲ
ン化炭化水素等が挙げられる。カチオン重合触媒として
は、プロトン酸、ルイス酸が用いられる。プロトン酸と
しては、硫酸、塩酸、過塩素酸、メタンスルフォン酸、
トリフルオロメタンスルフォン酸、クロルスルフォン
酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸等がある。ルイ
ス酸としては、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、
塩化スズ、塩化チタン、塩化鉄、三フッ化ホウ素及び三
フッ化ホウ素錯体(例えば、エチルエーテル、エステ
ル、酢酸、叉はフェノール錯体)等のハロゲン化金属、
及び塩化アルミニウムのいくつかの塩素をメチル、エチ
ル基で置換した有機金属化合物等がある。とりわけ三フ
ッ化ホウ素錯体は、液状共重合体を得る場合に好まし
い。触媒量はモノマー基準で通常0.5〜10重量%で
ある。また、通常ハロゲン化金属触媒を用いる場合は、
カチオン源となる微量の水、アルコール、脂肪酸、エー
テル、ハロゲン化アルキル等を共触媒として用いる。 【0017】重合反応は、通常−70〜150℃程度で
行なわれる。カチオン重合の停止は、メタノールのよう
な重合禁止剤を反応系に添加して行われ、次いで、これ
にアルカリ水溶液を添加し、触媒を中和し水洗除去す
る。その後、未反応モノマー、溶媒等を蒸留除去するこ
とにより、目的とする共重体を得ることができる。な
お、得られる共重合体の数平均分子量は通常、200〜
10,000程度である。また、粘度は1,000〜
1,500,000cP程度である。なお、分子量を適
当に調整するためには、連鎖移動剤を併用するか、溶媒
の種類と量、重合温度等を適宜調整することによりおこ
なうことができる。 【0018】本発明の共重合体は、共重合反応後、これ
をさらに水素添加してもよい。水素添加することによ
り、共重合体の色相が良くなりまた、共重合体の化学的
安定性が増す傾向にある。本発明の共重合体は、血液中
の成分の分離に使用される血液分離剤として特に有用で
ある。この場合、分離されるべき血液成分の比重、ある
いは分離操作の点から、共重合体としては温度25℃に
おける比重が、1.00〜1.08、好ましくは1.0
28〜1.060、また粘度が1,000〜1,50
0,000cP、好ましくは、10,000〜400,
000cPの範囲であるものが好適に使用される。粘度
が低すぎる場合は得られる分離剤の保存安定性が劣り、
分離剤が高温で重力等による移動を生じやすく、形状保
持が困難となり好ましくない。一方、粘度が高すぎる
と、高粘性のためハンドリングや採血管への分注操作が
容易でない欠点が生じる。また、浮上性確保が不十分で
あり、分離性能も劣ることとなる。 【0019】本発明の共重合体は、そのままで血液分離
剤として使用することも可能であるが、これを主成分と
し、必要に応じて比重叉は粘度を調整する目的であるい
は血液分離剤としての形状を保持する目的で種々の添加
剤を配合することができる。この様な配合剤として、シ
リカ、ベントナイト、酸化チタン、アルミナ、タルク等
の無機質微粉末あるいは、ポリスチレン粉末、ポリウレ
タン粉末等のポリマー微粉末が挙げられ、配合割合とし
ては共重合体100重量部に対して、通常0〜20重量
部の範囲である。 【0020】また、本発明の血液分離剤は、遠心分離操
作の前後において安定した非流動状態に保つため、通
常、ゲル化剤を含むのが好ましい。ゲル化剤としては、
例えば、グルタミン酸アミド、硬化ヒマシ油、ジベンジ
リデンソルビトール等の有機ゲル化剤、疎水性シリカ、
スメクタイト粘土の脂肪族アミン誘導体等の無機ゲル化
剤が挙げられる。これらのゲル化剤の配合割合として
は、重合体100重量部に対して0.1〜20重量部の
範囲である。ゲル化剤の添加量が少なすぎる場合は、血
液分離操作の際、分離剤の強度が不十分なために隔壁の
流動が生じることにより、分離剤として十分に機能しな
いことがある。また、分離剤の形状保持が不十分とな
り、保存安定性が不十分となる傾向がある。一方、ゲル
化剤が多すぎる場合は、逆に流動性が不十分となるため
に、遠心分離操作時の分離剤の浮上性確保の困難性や、
分離剤の流動性不足が生じ、分離機能の劣化が生じる。 【0021】本発明の血液分離剤は、血清成分と血餅成
分あるいは、血漿成分と血球成分の中間の比重を有する
ことが必要であり、従って25℃に於ける比重は、1.
028〜1.060の範囲であるのが好ましい。例えば
血液分離剤を底部に収容した血液分離管の場合、血餅成
分あるいは血球成分と血液分離剤の比重差が大きいほど
遠心分離の際の分離剤の浮上性が大きく好ましい。しか
し比重が1.028より小さいと、遠心分離後に、血清
あるいは血漿成分中に比重の小さい分離剤の一部が分離
することもあり好ましくない。 【0022】本発明の共重合体を含有してなる本発明の
血液分離剤は、特に血液に対して不活性である。即ち、
血液の吸着、溶出等の現象を生じさせる恐れがなく、揮
発分を含まず、経時的に安定である。また、極性が低い
ため、血清中に含有される薬物に対する吸着、溶解性が
低く、薬物の測定値に悪影響を与えず、より正確な検査
値が得られる。本発明の血液分離剤を使用するには、真
空あるいは、非真空の採血管の底部に予め収容して使用
するのが一般的である。 【0023】以上、本発明の共重合体を血液分離剤に用
いる場合について説明したが、本発明の共重合体はその
まま単独で叉は各種物質との混合物としてその他各種用
途に使用できる。 【0024】 【実施例】次に本発明を実施例により更に詳細に説明す
るが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施
例によって限定されるものではない。 【0025】実施例1(共重合体の製造) 1リットルのフラスコに、ジメタノオクタヒドロナフタ
レン200g、炭素数12〜14のα−オレフィン(商
品名ダイアレン124,三菱化成(株)登録商標)10
0gを一括で仕込み、窒素雰囲気下100℃に加熱し、
次いで、これに該温度を保ちながら、三フッ化ホウ素エ
ーテラート(BF3・Et2O)12gを連続的に添加
し、さらに同温度に4時間保ち共重合反応をした。反応
終了後冷却し、メタノール100ccを加えて重合を停
止し、5%アルカリ水溶液300ccを加えて触媒を中
和した。さらにトルエン200ccを加え、分液ロート
を用いて、水層が中性を示すまで水洗した。その後、減
圧下(6mmHg)に160℃で溶媒及び未反応モノマ
ーを留去して共重合体232gを得た。得られた共重合
体は、25℃において、粘度が200,000cP、比
重はd4 25 1.030、数平均分子量(ゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィーにより測定し、ポリスチレ
ン換算したもの)は320であった。 【0026】実施例2(共重合体の製造) 1リットルのフラスコに、ジメタノオクタヒドロナフタ
レン200g、ドデシルビニ−ルエーテル70g、ブタ
ノール12g及びエチルシクロヘキサン100gを一括
で仕込み、窒素雰囲気下100℃に加熱し、次いで、こ
れに該温度を保ちながら、三フッ化ホウ素エーテラート
12gを連続的に添加し、さらに同温度に4時間保ち共
重合反応をした。反応終了後冷却し、メタノール100
ccを加えて重合を停止し、5%アルカリ水溶液300
ccを加えて触媒を中和した。さらにトルエン100c
cを加え、分液ロートを用いて、水層が中性を示すまで
水洗した。その後、減圧下(6mmHg)に160℃で
溶媒及び未反応モノマーを留去して除き共重合体240
gを得た。得られた共重合体は、25℃において、粘度
が169,000cP、比重はd4 25 1.030、数
平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
により測定し、ポリスチレン換算したもの)は290で
あった。 【0027】比較例1(アクリル重合体の製造) 1リットルのフラスコにトルエン240gを仕込み、窒
素雰囲気下100〜110℃に加熱し、次いで、これ
に、該温度を保つようにして、ブチルアクリレート36
0gとt−ブチルペルオキシオクトエ−ト3.6gの混
合物を5時間かけて添加し、添加後さらに同温度で2時
間熟成を行った。反応終了後、減圧下(6mmHg)に
トルエン、未反応モノマーを留去し、アクリル重合体3
57gを得た。得られた重合体は淡黄色、透明で25℃
において粘度が65,000cP、比重はd4 25 1.
042であった。 試験例1(薬物吸着評価) 実施例1,2及び比較例1で得られた各重合体を次の方
法により評価した。 【0028】重合体をそれぞれ約1.5g取り、一定口
径の試験管にいれ、これに一定濃度の薬物を含有した牛
血清1ccを加えて25℃で静置した。72時間後、牛
血清だけを採取してこの中に含まれる薬物(フェニトイ
ン及びリドカイン)量を蛍光免疫抗体法により測定し
た。もとの牛血清の薬物濃度に対する72時間放置後の
牛血清中の薬物濃度の割合を求め、薬物残存率とした。
評価は薬物残存率80%以上を○、70〜80%を△、
70%以下を×とした。結果を表−1に示す。また、比
較のため、現在血清分離剤として市販されている分離剤
A(シリコンを主成分として、これをシリカ微粒子でゲ
ル化した物)及び分離剤B(ポリエステルを主成分とし
て、これをシリカ微粒子でゲル化した物)、さらに、比
較例2としてシクロペンタジエンオリゴマーであるEC
R−327(トーネックス社製商品名、比重1.03
6、粘度168,000cP/25℃、数平均分子量2
20、シクロペンタジエンの熱重合品)を用いて同様の
評価を行った。 【0029】 【表1】 【0030】試験例 2(揮発成分評価) 実施例1,2及び比較例1,2の各重合体の揮発成分の
含有量を次の方法により測定した。 【0031】重合体100gをフラスコにとり、窒素雰
囲気下150℃に加熱し6mmHgの減圧下に揮発成分
を留去し、留出物の重量%を算出した。結果を表−2に
示す。 【0032】 【表2】【0033】実施例1,2及び比較例1の重合体は、揮
発成分を含有しないものの、比較例2のシクロペンタジ
エンオリゴマーは、揮発成分を含有する。 実施例3〜4(分離剤の製造) 実施例1で得られた共重合体100重量部、アエロジル
R−972D(疎水性シリカ微粉末、日本アエロジル社
製)2重量部及びベントン34(スメクタイト粘土の脂
肪族アミン誘導体、NLインダストリー社製)2重量部
とを三本ロールにて十分混練し、血液分離剤を製造した
(実施例3)。 【0034】同様に実施例2で得られた共重合体100
重量部、アエロジルR−972D4重量部及びSH−3
771(ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレ
ン共重合体,東レシリコーン社製)0.5重量部で血液
分離剤を製造した(実施例4)。これらの血液分離剤
は、いずれも適度なチクソトロピー性を有し、遠心力等
の応力を加えることにより流動性を示し、通常の静置し
た状態ではゲルを形成した。 【0035】試験例3(血清分離テスト) 実施例3及び4で製造した各血液分離剤約1.5gを1
0ccの採血管の底部に収容し、採血した全血試料を入
れ、放置した。血液凝固が進行し、血清と血餅とに分離
した後、3,000rpmで10分間遠心分離したとこ
ろ、いずれの血液分離剤についても、血清と血餅の中間
に血液分離剤のゲルが形成された。血清はデカンテーシ
ョンにより容易に採血管から取り出すことができた。 【0036】 【発明の効果】本発明の共重合体は、炭化水素系ポリマ
ーであるため、血液分離剤として使用した場合に物理
的、化学的変化を生じることがなく、血液分離操作中の
測定対象成分の経時変化が小さく、また揮発成分をほと
んど含有しないため真空採血管用の血液分離剤として特
に有利であり、実用上極めて有用である。
ナフタレン系共重合体及びこれを用いた血液分離剤に関
するものである。より詳しくは、新規なジメタノオクタ
ヒドロナフタレン系共重合体、および血液中に共存する
血清成分と血餅成分あるいは、血漿成分と血球成分をそ
の比重差を利用して分離する際に、両成分の中間的な比
重を付与することにより、両成分の間に隔壁を形成せし
め、これら両成分の分離操作を容易にする目的に利用し
得る血液分離剤に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来よりかかる分離操作に用いられる分
離剤として種々の化合物が知られている。例えば、シリ
コーン油(特開昭54−2120号公報等)、アクリル
系重合油(特開昭54−63797号公報等)、塩素化
ポリブテン油(特開昭57−9718号公報等)、α−
オレフィン/マレイン酸ジエステル共重合体(特開昭6
2−199644号公報等)あるいは、シクロペンタジ
エンオリゴマー(特開平1−295163公報等)など
を主成分とし、これらに比重や粘度の調整あるいは形状
の保持のためのチクソトロピー化剤としてシリカや粘土
等の無機物微粒子を添加したものが知られている。 【0003】一方、最近では臨床の現場において薬物療
法が盛んに行われており、このため薬物の血中濃度を正
確に、しかも迅速に測定する必要性が高くなっている
が、上記の如き血液分離剤は簡便かつ迅速に血液分離処
理ができることから、使用されることが多くなりつつあ
る。 【0004】 【発明が解決しようとしている課題】しかしながら、こ
れらの油を主体とした血液分離剤は、チクソトロピー化
剤との親和性が不十分であることから、加熱処理や長期
保存あるいは遠心分離操作などの条件下で相分離が生
じ、ゲルの物性変化による隔壁機能の低下や油分の分離
による分離成分への汚染などを起こしやすく、また、耐
熱性が不十分なため、調整、充填、滅菌工程での分解物
の発生と、これによる分離成分への汚染を起こしやすい
といった問題がある。また、比重や粘度を調整するため
に相溶性のある油を混合した場合には、チクソトロピー
化剤との親和性の相異から、血液分離剤の性状に経時変
化がおこったり、熱安定性が悪いという欠点があり、ま
た、比重が低い油を混合した場合には、分離成分への汚
染がおきやすいという欠点を有している。また、分離剤
が低分子の揮発性成分を含む場合には、真空採血管内壁
を撥水化し、血液の凝固が遅くなる等の問題を生じる。 【0005】さらに、従来の血液分離剤を用いた場合例
えば、病院薬学vol.12,No.6,401(19
86)、九州薬学会報第40号,39(1986)等に
既に報告されているように、使用する血液分離剤の影響
により血清中に含有されていた薬物成分が経時的に減少
するという問題点がある。これは、血液の分離操作中に
使用する血液分離剤の影響により測定しようとする薬物
成分が血液分離剤に吸収されてその血中濃度が経時的に
減少するためである。上述のシクロペンタジエンオリゴ
マーは薬物吸着の点では優れているが、真空採血管に使
用するためには、揮発性成分を多く含むという欠点を有
する。 【0006】従って、ある種の薬物の血中濃度を測定す
る目的に従来の血液分離剤を用いることは不適当であ
り、これらの点を改善した血液分離剤の開発が強く望ま
れていた。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明の目的は、これら
の欠点のない実用的に優れた血液分離剤に適した重合体
及びそれを用いた血液分離剤を提供することにある。本
発明者らは、かかる目的を達成するために鋭意検討を重
ねた結果、特定のジメタノオクタヒドロナフタレンとα
−オレフィンおよび/またはアルキルビニールエーテル
を必須成分とする共重合体が、実用的に極めて優れた血
液分離剤となることを見いだして本発明に到達した。 【0008】すなわち、本発明の要旨は、ジメタノオク
タヒドロナフタレン(a)から誘導される単位20〜9
8モル%、炭素数6〜20のα−オレフィンおよび/ま
たはアルキル基の炭素数が2〜20のアルキルビニール
エーテル(b)から誘導される単位2〜50モル%、及
び上記(a)、(b)以外の共重合可能なエチレン性不
飽和結合を有するモノマー(c)から誘導される単位0
〜30モル%を含有してなる数平均分子量200〜1
0,000のジメタノオクタヒドロナフタレン系共重合
体及びこれを主成分として含有してなる血液分離剤に存
する。 【0009】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明におけるモノマー成分(a)に相当するジメタノオ
クタヒドロナフタレンは、下記構造式で表される。 【0010】 【化1】 【0011】ジメタノオクタヒドロナフタレンは、常法
に準じてノルボルネンとシクロペンタジエンとをディー
ルスアルダー反応により付加して製造することができ
る。本発明におけるモノマー(b)は、 炭素数6〜2
0のα−オレフィンおよび/またはアルキル基の炭素数
が2〜20のアルキルビニールエーテルである。α−オ
レフィンとしては、炭素−炭素二重結合を末端に有する
直鎖もしくは低分岐度を有する炭化水素であり、具体的
には、エチレンを低重合させて得られるものが好適に用
いられ、これらは反応生成物から蒸留等の手段により所
定の炭素数を有するα−オレフィンを分離して用いられ
る。なお、本発明では、炭素数6〜20のα−オレフィ
ンを単独で、もしくは、これらの混合物として使用して
もよい。α−オレフィンの炭素数が20をこえると、得
られる共重合体が室温で固体となるので好ましくなく、
また6より小さいと共重合体の合成時に加圧下で反応を
行う等の煩雑な操作を必要とするので好ましくない。 【0012】アルキルビニールエーテルとしては、炭素
数2〜20の直鎖もしくは分岐度を有するアルキル基の
ビニールエーテルであり、具体的には、エチルビニール
エーテル、プロピルビニールエーテル、イソプロピルビ
ニールエーテル、ブチルビニールエーテル、イソブチル
ビニールエーテル、sec−ブチルビニールエーテル、
シクロヘキシルビニールエーテル、ヘキシルビニールエ
ーテル、2−エチルヘキシルビニールエーテル、オクチ
ルビニールエーテル、ラウリルビニールエーテル、ミリ
スチルビニールエーテル、パルミチルビニールエーテ
ル、ステアリルビニールエーテルが好適に用いられる。
なお、本発明では、炭素数2〜20のアルキルビニール
エーテルを単独で、もしくは、これらの混合物として使
用してもよい。アルキルビニールエーテルのアルキル基
の炭素数が20をこえると、得られる共重合体が室温で
固体となるので好ましくなく、また2より小さいと共重
合体の合成時に加圧下で反応を行う等の煩雑な操作を必
要とするので好ましくない。アルキルビニールエーテル
のアルキル基の炭素数は好ましくは6〜18である。 【0013】本発明の共重合体は、モノマー(a)から
誘導される単位を20〜80モル%及びモノマー(b)
から誘導される単位を2〜50モル%含有する。なかで
も、モノマー(a)から誘導される単位及びモノマー
(b)から誘導される単位をそれぞれ30〜90モル%
及び5〜40モル%含有するのが好ましい。本発明の共
重合体は、この範囲内で、比重の大きいモノマー(a)
と比重の小さいモノマー(b)の共重合モル比及びモノ
マー(b)の炭素数を調整することによって、幅広い範
囲で比重を調整できる。従って、本発明の共重合体を血
液分離剤として使用するためには、所望の比重となるよ
うに共重合モル比及びモノマーの炭素数を調整すればよ
い。 【0014】また、本発明の共重合体は、上記(a)及
び(b)のモノマーから誘導される単位以外に、これら
と共重合可能なエチレン性不飽和結合を有するモノマー
(c)から誘導される単位を、共重合体中0〜30モル
%、好ましくは0〜20モル%含有するることも可能で
ある。モノマー(c)としては、上記(a)及び(b)
のモノマー以外のエチレン性不飽和結合を有する化合物
であれば特に限定されないが、エチレン性不飽和結合を
1個有する化合物の例としては、スチレン、インデン、
イソブチレン、ピペリレン、炭素数2〜20程度のアル
キルアリルエーテル、ノルボルネンなどが挙げられる。
モノマー(c)としては、特にエステル基、アミド基等
の極性の高い基を有さないモノマーが好ましい。 【0015】本発明の共重合体は、上記モノマー
(a)、(b)及び必要に応じモノマー(c)を所望の
重合比で共重合反応することにより得られる。重合方法
としては、種々の方法が適用できるが、好ましくはカチ
オン重合法が用いられる。具体的には例えば、反応器に
モノマー(a),(b)及び必要に応じ(a),(b)
以外の共重合可能なエチレン性不飽和結合を有するモノ
マー(c)を一括で仕込み、溶媒の存在下又は非存在
下、カチオン重合触媒を一括であるいは連続的にまたは
分割して添加し、カチオン重合する方法が挙げられる。 【0016】溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシ
レン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素、シクロヘキ
サン、エチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素、ヘキ
サン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、メチレンクロリ
ド、四塩化炭素、1,2−ジクロルプロパン等のハロゲ
ン化炭化水素等が挙げられる。カチオン重合触媒として
は、プロトン酸、ルイス酸が用いられる。プロトン酸と
しては、硫酸、塩酸、過塩素酸、メタンスルフォン酸、
トリフルオロメタンスルフォン酸、クロルスルフォン
酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸等がある。ルイ
ス酸としては、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、
塩化スズ、塩化チタン、塩化鉄、三フッ化ホウ素及び三
フッ化ホウ素錯体(例えば、エチルエーテル、エステ
ル、酢酸、叉はフェノール錯体)等のハロゲン化金属、
及び塩化アルミニウムのいくつかの塩素をメチル、エチ
ル基で置換した有機金属化合物等がある。とりわけ三フ
ッ化ホウ素錯体は、液状共重合体を得る場合に好まし
い。触媒量はモノマー基準で通常0.5〜10重量%で
ある。また、通常ハロゲン化金属触媒を用いる場合は、
カチオン源となる微量の水、アルコール、脂肪酸、エー
テル、ハロゲン化アルキル等を共触媒として用いる。 【0017】重合反応は、通常−70〜150℃程度で
行なわれる。カチオン重合の停止は、メタノールのよう
な重合禁止剤を反応系に添加して行われ、次いで、これ
にアルカリ水溶液を添加し、触媒を中和し水洗除去す
る。その後、未反応モノマー、溶媒等を蒸留除去するこ
とにより、目的とする共重体を得ることができる。な
お、得られる共重合体の数平均分子量は通常、200〜
10,000程度である。また、粘度は1,000〜
1,500,000cP程度である。なお、分子量を適
当に調整するためには、連鎖移動剤を併用するか、溶媒
の種類と量、重合温度等を適宜調整することによりおこ
なうことができる。 【0018】本発明の共重合体は、共重合反応後、これ
をさらに水素添加してもよい。水素添加することによ
り、共重合体の色相が良くなりまた、共重合体の化学的
安定性が増す傾向にある。本発明の共重合体は、血液中
の成分の分離に使用される血液分離剤として特に有用で
ある。この場合、分離されるべき血液成分の比重、ある
いは分離操作の点から、共重合体としては温度25℃に
おける比重が、1.00〜1.08、好ましくは1.0
28〜1.060、また粘度が1,000〜1,50
0,000cP、好ましくは、10,000〜400,
000cPの範囲であるものが好適に使用される。粘度
が低すぎる場合は得られる分離剤の保存安定性が劣り、
分離剤が高温で重力等による移動を生じやすく、形状保
持が困難となり好ましくない。一方、粘度が高すぎる
と、高粘性のためハンドリングや採血管への分注操作が
容易でない欠点が生じる。また、浮上性確保が不十分で
あり、分離性能も劣ることとなる。 【0019】本発明の共重合体は、そのままで血液分離
剤として使用することも可能であるが、これを主成分と
し、必要に応じて比重叉は粘度を調整する目的であるい
は血液分離剤としての形状を保持する目的で種々の添加
剤を配合することができる。この様な配合剤として、シ
リカ、ベントナイト、酸化チタン、アルミナ、タルク等
の無機質微粉末あるいは、ポリスチレン粉末、ポリウレ
タン粉末等のポリマー微粉末が挙げられ、配合割合とし
ては共重合体100重量部に対して、通常0〜20重量
部の範囲である。 【0020】また、本発明の血液分離剤は、遠心分離操
作の前後において安定した非流動状態に保つため、通
常、ゲル化剤を含むのが好ましい。ゲル化剤としては、
例えば、グルタミン酸アミド、硬化ヒマシ油、ジベンジ
リデンソルビトール等の有機ゲル化剤、疎水性シリカ、
スメクタイト粘土の脂肪族アミン誘導体等の無機ゲル化
剤が挙げられる。これらのゲル化剤の配合割合として
は、重合体100重量部に対して0.1〜20重量部の
範囲である。ゲル化剤の添加量が少なすぎる場合は、血
液分離操作の際、分離剤の強度が不十分なために隔壁の
流動が生じることにより、分離剤として十分に機能しな
いことがある。また、分離剤の形状保持が不十分とな
り、保存安定性が不十分となる傾向がある。一方、ゲル
化剤が多すぎる場合は、逆に流動性が不十分となるため
に、遠心分離操作時の分離剤の浮上性確保の困難性や、
分離剤の流動性不足が生じ、分離機能の劣化が生じる。 【0021】本発明の血液分離剤は、血清成分と血餅成
分あるいは、血漿成分と血球成分の中間の比重を有する
ことが必要であり、従って25℃に於ける比重は、1.
028〜1.060の範囲であるのが好ましい。例えば
血液分離剤を底部に収容した血液分離管の場合、血餅成
分あるいは血球成分と血液分離剤の比重差が大きいほど
遠心分離の際の分離剤の浮上性が大きく好ましい。しか
し比重が1.028より小さいと、遠心分離後に、血清
あるいは血漿成分中に比重の小さい分離剤の一部が分離
することもあり好ましくない。 【0022】本発明の共重合体を含有してなる本発明の
血液分離剤は、特に血液に対して不活性である。即ち、
血液の吸着、溶出等の現象を生じさせる恐れがなく、揮
発分を含まず、経時的に安定である。また、極性が低い
ため、血清中に含有される薬物に対する吸着、溶解性が
低く、薬物の測定値に悪影響を与えず、より正確な検査
値が得られる。本発明の血液分離剤を使用するには、真
空あるいは、非真空の採血管の底部に予め収容して使用
するのが一般的である。 【0023】以上、本発明の共重合体を血液分離剤に用
いる場合について説明したが、本発明の共重合体はその
まま単独で叉は各種物質との混合物としてその他各種用
途に使用できる。 【0024】 【実施例】次に本発明を実施例により更に詳細に説明す
るが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施
例によって限定されるものではない。 【0025】実施例1(共重合体の製造) 1リットルのフラスコに、ジメタノオクタヒドロナフタ
レン200g、炭素数12〜14のα−オレフィン(商
品名ダイアレン124,三菱化成(株)登録商標)10
0gを一括で仕込み、窒素雰囲気下100℃に加熱し、
次いで、これに該温度を保ちながら、三フッ化ホウ素エ
ーテラート(BF3・Et2O)12gを連続的に添加
し、さらに同温度に4時間保ち共重合反応をした。反応
終了後冷却し、メタノール100ccを加えて重合を停
止し、5%アルカリ水溶液300ccを加えて触媒を中
和した。さらにトルエン200ccを加え、分液ロート
を用いて、水層が中性を示すまで水洗した。その後、減
圧下(6mmHg)に160℃で溶媒及び未反応モノマ
ーを留去して共重合体232gを得た。得られた共重合
体は、25℃において、粘度が200,000cP、比
重はd4 25 1.030、数平均分子量(ゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィーにより測定し、ポリスチレ
ン換算したもの)は320であった。 【0026】実施例2(共重合体の製造) 1リットルのフラスコに、ジメタノオクタヒドロナフタ
レン200g、ドデシルビニ−ルエーテル70g、ブタ
ノール12g及びエチルシクロヘキサン100gを一括
で仕込み、窒素雰囲気下100℃に加熱し、次いで、こ
れに該温度を保ちながら、三フッ化ホウ素エーテラート
12gを連続的に添加し、さらに同温度に4時間保ち共
重合反応をした。反応終了後冷却し、メタノール100
ccを加えて重合を停止し、5%アルカリ水溶液300
ccを加えて触媒を中和した。さらにトルエン100c
cを加え、分液ロートを用いて、水層が中性を示すまで
水洗した。その後、減圧下(6mmHg)に160℃で
溶媒及び未反応モノマーを留去して除き共重合体240
gを得た。得られた共重合体は、25℃において、粘度
が169,000cP、比重はd4 25 1.030、数
平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
により測定し、ポリスチレン換算したもの)は290で
あった。 【0027】比較例1(アクリル重合体の製造) 1リットルのフラスコにトルエン240gを仕込み、窒
素雰囲気下100〜110℃に加熱し、次いで、これ
に、該温度を保つようにして、ブチルアクリレート36
0gとt−ブチルペルオキシオクトエ−ト3.6gの混
合物を5時間かけて添加し、添加後さらに同温度で2時
間熟成を行った。反応終了後、減圧下(6mmHg)に
トルエン、未反応モノマーを留去し、アクリル重合体3
57gを得た。得られた重合体は淡黄色、透明で25℃
において粘度が65,000cP、比重はd4 25 1.
042であった。 試験例1(薬物吸着評価) 実施例1,2及び比較例1で得られた各重合体を次の方
法により評価した。 【0028】重合体をそれぞれ約1.5g取り、一定口
径の試験管にいれ、これに一定濃度の薬物を含有した牛
血清1ccを加えて25℃で静置した。72時間後、牛
血清だけを採取してこの中に含まれる薬物(フェニトイ
ン及びリドカイン)量を蛍光免疫抗体法により測定し
た。もとの牛血清の薬物濃度に対する72時間放置後の
牛血清中の薬物濃度の割合を求め、薬物残存率とした。
評価は薬物残存率80%以上を○、70〜80%を△、
70%以下を×とした。結果を表−1に示す。また、比
較のため、現在血清分離剤として市販されている分離剤
A(シリコンを主成分として、これをシリカ微粒子でゲ
ル化した物)及び分離剤B(ポリエステルを主成分とし
て、これをシリカ微粒子でゲル化した物)、さらに、比
較例2としてシクロペンタジエンオリゴマーであるEC
R−327(トーネックス社製商品名、比重1.03
6、粘度168,000cP/25℃、数平均分子量2
20、シクロペンタジエンの熱重合品)を用いて同様の
評価を行った。 【0029】 【表1】 【0030】試験例 2(揮発成分評価) 実施例1,2及び比較例1,2の各重合体の揮発成分の
含有量を次の方法により測定した。 【0031】重合体100gをフラスコにとり、窒素雰
囲気下150℃に加熱し6mmHgの減圧下に揮発成分
を留去し、留出物の重量%を算出した。結果を表−2に
示す。 【0032】 【表2】【0033】実施例1,2及び比較例1の重合体は、揮
発成分を含有しないものの、比較例2のシクロペンタジ
エンオリゴマーは、揮発成分を含有する。 実施例3〜4(分離剤の製造) 実施例1で得られた共重合体100重量部、アエロジル
R−972D(疎水性シリカ微粉末、日本アエロジル社
製)2重量部及びベントン34(スメクタイト粘土の脂
肪族アミン誘導体、NLインダストリー社製)2重量部
とを三本ロールにて十分混練し、血液分離剤を製造した
(実施例3)。 【0034】同様に実施例2で得られた共重合体100
重量部、アエロジルR−972D4重量部及びSH−3
771(ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレ
ン共重合体,東レシリコーン社製)0.5重量部で血液
分離剤を製造した(実施例4)。これらの血液分離剤
は、いずれも適度なチクソトロピー性を有し、遠心力等
の応力を加えることにより流動性を示し、通常の静置し
た状態ではゲルを形成した。 【0035】試験例3(血清分離テスト) 実施例3及び4で製造した各血液分離剤約1.5gを1
0ccの採血管の底部に収容し、採血した全血試料を入
れ、放置した。血液凝固が進行し、血清と血餅とに分離
した後、3,000rpmで10分間遠心分離したとこ
ろ、いずれの血液分離剤についても、血清と血餅の中間
に血液分離剤のゲルが形成された。血清はデカンテーシ
ョンにより容易に採血管から取り出すことができた。 【0036】 【発明の効果】本発明の共重合体は、炭化水素系ポリマ
ーであるため、血液分離剤として使用した場合に物理
的、化学的変化を生じることがなく、血液分離操作中の
測定対象成分の経時変化が小さく、また揮発成分をほと
んど含有しないため真空採血管用の血液分離剤として特
に有利であり、実用上極めて有用である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 木村 麻里子
神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 三
菱化成株式会社総合研究所内
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【 請求項1】ジメタノオクタヒドロナフタレン(a)
から誘導される単位20〜98モル%、炭素数6〜20
のα−オレフィンおよび/またはアルキル基の炭素数が
2〜20のアルキルビニールエーテル(b)から誘導さ
れる単位2〜50モル%、及び上記(a)、(b)以外
の共重合可能なエチレン性不飽和結合を有するモノマー
(c)から誘導される単位0〜30モル%を含有してな
る数平均分子量200〜10,000のジメタノオクタ
ヒドロナフタレン系共重合体。 【 請求項2】カチオン重合開始剤の存在下共重合して
得られる請求項1記載の共重合体。 【 請求項3】請求項1又は2に記載のジメタノオクタ
ヒドロナフタレン系共重合体を主成分として含有してな
る血液分離剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1195693A JPH06220132A (ja) | 1993-01-27 | 1993-01-27 | ジメタノオクタヒドロナフタレン系共重合体及びこれを含有してなる血液分離剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1195693A JPH06220132A (ja) | 1993-01-27 | 1993-01-27 | ジメタノオクタヒドロナフタレン系共重合体及びこれを含有してなる血液分離剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06220132A true JPH06220132A (ja) | 1994-08-09 |
Family
ID=11792076
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1195693A Pending JPH06220132A (ja) | 1993-01-27 | 1993-01-27 | ジメタノオクタヒドロナフタレン系共重合体及びこれを含有してなる血液分離剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06220132A (ja) |
-
1993
- 1993-01-27 JP JP1195693A patent/JPH06220132A/ja active Pending
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