JPH06217998A - 動物用固定装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 各種実験動物を使用するにあたり、ストレス
や疲労を与えることなく、固定操作が容易で作業効率が
高く、強固でコンパクトな動物用固定装置を提供するこ
とを目的とする。 【構成】 水平床２を有する固定台１上に一対の隔壁板
３を適宜間隔をあけて垂設して動物室Ａを形成し、固定
台１の前方縁であって動物室Ａの中央近傍から間隔を置
いて一対の拘束棒４の一端を固定する。拘束棒４は、水
平床２に対して適宜の角度で後方に立ち上がり、上部を
互いに離反する方向に屈曲し拡開部６を形成しながら隔
壁板３に向かうよう設けることにより動物首部挿入部Ｂ
を形成し、この上部に、実験動物抜け出し防止部材７を
設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、薬物の発熱性試験、薬
効試験等に用いられる兎やモルモット、犬、猫、山羊な
どの動物を拘束スペースに固定するための動物用固定装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】薬効試験、例えば薬物に発熱性物質が含
まれていないことを確認するために、兎を用いて発熱性
試験（パイロジエン試験）を行うことが義務付られてい
る。この試験を行うための兎を固定する兎固定装置に
は、従来、首かせ式固定台や実公昭４６−３４６９３号
公報に開示された固定台が知られている。また、固定台
に２本のアームを有するフォークをその開放端を上方に
向けて固定し、その上端に兎抜け出し防止用のストッパ
ーを設けたものが知られている（特公昭６２−６８１３
号公報参照）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の技術で述べたも
ののうち、首かせ式固定台や実公昭４６−３４６９３号
公報に開示されたものは、何れのものであっても、兎の
首をほぼ完全に固定してしまうので、数時間にも及ぶ発
熱試験の兎固定台としては、兎にかなりのストレスと疲
労をかけ、兎の発熱が薬物中の発熱性物質によるのか、
疲労によるのかの見分けがつかなくなり、発熱試験の精
度を低下させるという問題があった。また、発熱試験に
は多くの兎を用いるので兎の固定台への固定、取りはず
しが手早くワンタッチで出来なかった。

【０００４】また、特公昭６２−６８１３号公報に開示
されたものは前述の問題を解消したが、兎を拘束するた
めのフォーク状の拘束棒を下から突き出しているだけな
のでこの拘束棒の基端部をしっかり固定台に固着しなけ
ればならず、また拘束棒が細いとうっかり力をかけて曲
げてしまい拘束棒の間隔が変わってしまうなど強度的に
弱く、兎を挿入するときに下から突き出た拘束棒の先端
で兎の首を突いてしまう恐れがあった。さらに、固定台
の隔壁板は基端部を垂直に固着されているだけなので、
強度を得るためにこの隔壁板の開放端に補強用の枠を架
設する必要があり、この補強枠を架設するための空間も
必要であった。

【０００５】本発明は、実験動物のストレスや疲労を解
消し、固定操作が容易で作業能率が高く、強固でコンパ
クトな動物用固定装置を提供することを目的とするもの
である。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明における動物用固定装置は、水平床を有する
固定台上に一対の隔壁板を適宜間隔をあけて垂設して動
物室を形成し、前記固定台の前方縁であって動物室の中
央近傍から適宜間隔を置いて一対の拘束棒の一端を固定
し、該拘束棒は水平床に対して適宜の角度で後方に立ち
上がり、上部を互いに離反する方向に屈曲して拡開部を
形成しながら隔壁板に向かうように設けることにより動
物首部挿入部を形成し、該動物首部挿入部の上部には動
物抜け出し防止部材を設けたものである。

【０００７】また、動物用固定装置において、水平床を
有する固定台上に適宜間隔をあけて複数の隔壁板を垂設
して複数の動物室を形成し、逆略Ｕ字形の拘束棒の一端
を固定台の前方縁であってかつ動物室の中央近傍に固定
し、前記拘束棒の他端を前記固定台の前方縁であってか
つ前記動物室に隣接する動物室の中央近傍に固定するこ
とによって、各動物室に動物首部挿入部を形成し、該動
物首部挿入部の上部には動物抜け出し防止部材を設けた
ものである。

【０００８】更にまた、動物用固定装置において、各動
物室に亘って取りつけられる該動物首部挿入部を形成す
る拘束棒を、屈曲した一本の棒から形成し、該拘束棒は
固定台の前方縁で固定されることもできる。

【０００９】

【作用】拘束棒間に形成された、後方上方に開口された
動物首挿入部に動物、例えば兎の首を動物首挿入部の開
口から下方向に向かって挿入する。動物首挿入部は拡開
され、しかも拘束棒の上端部は挿入作業する空間におい
ては露出していないので、その作業は円滑に行うことが
でき、動物の首などを拘束棒で突くことはないので、動
物に傷害、刺激を与えず、安静を保って動物室に収容す
ることができる。

【００１０】

【実施例】本発明の実施例を図１〜図３に基づいて説明
する。また、動物として兎を使用する場合で説明する。

【００１１】この実施例の動物用固定装置は、概略固定
台１と、隔壁板３と、一対の拘束棒４とからなる。

【００１２】固定台１は中空の扁平箱体をしており、そ
の上面は「すのこ」形式の水平床２となっている。固定
台１の後部には、引き出し構造の受け皿１２が固定台１
の中に出入自在に設けられている。水平床２は、兎の排
出物が床上に蓄積しないという衛生上の理由、兎が拘束
棒４から首を抜こうとしても足が床上で滑り首を抜く力
を与えないという抜け止め上の理由から、すのこ形式の
床からなることが望ましい。兎の排出物はすのこのすき
間を通り受け皿１２に集積する。すのこの細片の方向
は、兎の前後方向、すなわち拘束棒４を結ぶ仮想線に直
角の方向に伸びて首の抜け防止を図っている。

【００１３】隔壁板３は、固定台１上の両側縁に沿って
垂設され、これによって前方、上方、後方に開放された
動物室Ａが形成される。一対の隔壁板３の間隔は、動物
がゆったりと収納することができる程度の巾とし、ま
た、例えば動物の耳に注射などがしやすいように、図２
で示すように前縁３Ａは後方に傾斜している。

【００１４】２本の拘束棒４は、その下端を水平床２の
前方縁であって隔壁板３、３の中央近傍に兎の首の巾程
度の間隔をおいて固着されており、その中間部は平行で
後方にむけて立ち上がり、その上部は互いに離反する方
向に屈曲されている。拘束棒４の上端は隔壁板３に対
し、適宜間隔を置いた自由端となっているが、これを隔
壁板３に固着してもよい。

【００１５】拘束棒４の下部から中間部の間は、兎の首
が上下に移動することができるように平行部５を形成
し、拘束棒４の上部は、望ましくは兎の首を安全に挿入
できるように上方に拡開するように湾曲又は折り曲げて
互いに離反する方向に形成して拡開部６を構成し隔壁板
３の近傍まで達している。拘束棒４間の空間が動物首部
挿入部Ｂとなる。

【００１６】拘束棒４の平行部５上端には拘束棒４の上
部開放端から兎の首が抜けないようにするための抜け出
し防止用部材７が取りつけられている。

【００１７】拘束棒４は、固定台前方縁から後方に水平
床に対して９０度〜４５度、望ましくは６０度±１０度
の範囲で取り付けられる。この角度の制限をした理由
は、９０度に近づくと兎の首が抜けやすくなりかつ固定
中の兎の姿勢が不自然のなること、また４５度に近づく
と兎の背中が抜け出し防止部材７に当たって兎が傷つく
ことによるものである。

【００１８】拘束棒４には通常、プラスチック、金属等
の材質にて形成された丸棒を使用してある。この拘束棒
４の平行部５の間隔及び高さは、実験等に使用する動物
の種類、体重、大きさに合わせて適宜のサイズを採用す
る。

【００１９】兎の抜け出し防止用部材７は、兎の固定、
取り出しが容易に行えるよう、スプリング形式のもの等
で構成することが望ましい。例えば、拘束棒４の一方に
取り付けられたスプリングアーム８と、拘束棒４の他方
に取り付けられたスプリングアーム８の端部を係止する
フック９とから構成されている。スプリングアーム８の
取り付け基端部にはこのスプリングアーム８を巻いて形
成したコイル部１０があり、このコイル部１０はスプリ
ングアーム８を自然状態で拘束棒開放端を開放するよう
に付勢している。又、このコイル部１０が形成されてい
ることにより、スプリングアーム８は手動操作により拘
束棒開放端を閉鎖するように変形されることが可能であ
る。スプリングアーム８の解放、閉鎖の操作を容易にす
るために、このスプリングアームの先端にグリップ１１
が形成されている。

【００２０】拘束棒４による動物首部挿入部の形状とし
ては図８、図９に示すようなものであってもよい。

【００２１】次に、図４〜図６をもちいて本発明の第２
実施例について説明する。なお、第１実施例において示
した部材と同一の部材については以下同一の番号を附
し、その説明を省略する。

【００２２】この実施例においては、固定台１を横長と
し、その上に複数の隔壁板３を適宜間隔を置いて垂設し
て動物室Ａを画成する。また、この実施例においては三
層になっており、それぞれの固定台１は柱１５によって
支持されている。

【００２３】そして、拘束棒４は逆略Ｕ字形をしてい
る。拘束棒４の一端は一つの動物室Ａ１の前縁であっ
て、一対の隔壁板３の中央近傍において間隔付けられて
固定されており、拘束棒４の他端は隣接する動物室Ａ２
の前縁であって、一対の隔壁板３の中央近傍において間
隔づけられて固定されている。すなわち、逆略Ｕ字形の
拘束棒４は隔壁板３を跨ぐ状態でかつ後方に傾倒状態に
おいて、その下端が固定台１に固定される。これによっ
て、二つの逆略Ｕ字形の拘束棒４の並列した中間部によ
って動物首部挿入部Ｂを夫々形成する。

【００２４】この実施例における装置は兎を集合的に取
扱えるので作業性の上で優れている。なお、図５、図６
において符号１６で示されるものは、動物の識別番号等
を記入するカードである。

【００２５】次に、図７により本発明の第３実施例を説
明する。第３実施例は、第２実施例と較べて以下の点で
相違している。第２実施例においては複数の逆略Ｕ字形
の拘束棒４を逆倒立の状態で隔壁板３を跨ぐような構造
で取りつけられているが、第３実施例では、必要な拘束
棒４は一本の棒材で形成されており、第２実施例の逆略
Ｕ字形の拘束棒４の下端を相互に結合部１３で連結した
構造となっている。この実施例では結合部１３の個所に
おいて固定台１に溶接により固定されている。その他の
個所で溶接しなくとも十分に拘束棒は固定される。

【００２６】

【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。

【００２７】動物の首は、拘束棒の平行部の間の首部挿
入部で左右は拘束されるが上下は自由に動かすことがで
きる。

【００２８】拘束棒が、水平床に対して後方に傾斜しか
つ拡開しているので動物を自然な姿勢で確実に固定する
ことができると共に、各種試験操作が行いやすい。

【００２９】拘束棒の端部が下から突き出ていないの
で、動物を挿入するときに首を突く恐れがない。

【００３０】拘束棒の上方に拡開部を構成しているの
で、兎の挿入を安全で、確実に、素早く行うことができ
る。

【００３１】請求項２、３の発明にあっては拘束棒の固
定台に対する取付けが容易となる。

【００３２】固定装置を並列させるときは、隣接する固
定装置の固定棒を連続して形成することができるので、
簡単で強固な固定装置を制作することができる。

【００３３】したがって本発明によれば、動物を傷つけ
ることなくストレスや疲労を激減させることができるの
で発熱性試験等の精度を向上させることができ、また拘
束棒の動物抜け出し防止部材をアームとフックから形成
したものにあっては動物の固定取り外しが単純化されて
ワンタッチで操作することができるので多数の動物の固
定、開放に非常に便利で操作が極めて容易で作業能率が
高まり、拘束棒の固着が容易にかつ強固にできるので補
強枠を要せず制作が簡単でコンパクトな動物用固定装置
とすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかる動物用固定装置の正面図であ
る。

【図２】動物用固定装置の縦断側面図である。

【図３】動物用固定装置の平面図である。

【図４】本発明にかかる動物用固定装置の第２実施例を
示す正面図である。

【図５】本発明にかかる動物用固定装置の第２実施例の
使用状態を示す斜視図である。

【図６】本発明にかかる動物用固定装置の第２実施例の
使用状態を示す斜視図である。

【図７】本発明にかかる動物用固定装置の第３実施例を
示す正面図である。

【図８】拘束棒を屈曲させた別の例を示す該略図であ
る。

【図９】拘束棒を屈曲させた別の例を示す該略図であ
る。

【符号の説明】

Ａ 動物室 Ｂ 動物首部挿入部 １ 固定台 ２ 水平床 ３ 隔壁板 ４ 拘束棒 ７ 動物抜け出し防止部材 １２ 受け皿

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水平床を有する固定台上に一対の隔壁板
   を適宜間隔をあけて垂設して動物室を形成し、前記固定
   台の前方縁であって動物室の中央近傍から適宜間隔を置
   いて一対の拘束棒の一端を固定し、該拘束棒は水平床に
   対して適宜の角度で後方に立ち上がり、上部を互いに離
   反する方向に屈曲して拡開部を形成しながら隔壁板に向
   かうように設けることにより動物首部挿入部を形成し、
   該動物首部挿入部の上部には動物抜け出し防止部材を設
   けたことを特徴とする動物用固定装置。
2. 【請求項２】 水平床を有する固定台上に適宜間隔をあ
   けて複数の隔壁板を垂設して複数の動物室を形成し、逆
   略Ｕ字形の拘束棒の一端を固定台の前方縁であってかつ
   動物室の中央近傍に固定し、前記拘束棒の他端を前記固
   定台の前方縁であってかつ前記動物室に隣接する動物室
   の中央近傍に固定することによって、各動物室に動物首
   部挿入部を形成し、該動物首部挿入部の上部には動物抜
   け出し防止部材を設けたことを特徴とする動物用固定装
   置。
3. 【請求項３】 各動物室に亘って取りつけられる該動物
   首部挿入部を形成する拘束棒を、屈曲した一本の棒から
   形成し、該拘束棒は固定台の前方縁で固定されているこ
   とを特徴とする請求項２に記載の動物用固定装置。