JPH06217738A - 切れ目入り練製品及びその製造装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 すり身シ−ト５を多数列にカットする回転カ
ッタ−６と、前記カットにより生成される細幅シ−ト１
０を搬送する多数列の細幅コンベアであって、それぞれ
の前端部が少し宛前後方向にずれている段差コンベア９
と、段差コンベア９から垂下してくる細幅シ−ト１０を
中央に寄せて通過させる溝を備えた整列積層ロ−ラ−１
３と、整列積層ロ−ラ−１３を経て積層された積層シ−
ト１０ａの搬送手段上に下降して積層シ−ト１０ａに切
れ目を入れるカッティング装置とから成る。 【効果】 製品の切れ目は外側面及び下面に薄皮を残し
て内側に形成されるので、繊維状物がバラけて製品の外
形を損なうことがなく、実際のカニ足肉に近い食感が得
られる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は魚肉のすり身等を主原料
とした練製品であって、多数の切れ目が入れられること
により、繊維状のカニ足肉の如き様相を呈する切れ目入
り練製品、及び、その製造装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】実際のカニ足肉においては、繊維状にな
った肉が外皮から中心の軟骨に向かって斜めに延びてお
り、軟骨を引き抜くと、繊維状の肉は外側がつながって
いて内側は離れてバラバラの状態となっている。魚のす
り身を用い、このカニ足肉に近い食感と様相の製品を提
供する試みが従来よりなされている。かかる製品を提供
するものとして、実開昭６２−１６２９３号公報や実開
平２−１４５０８９号公報に記載されたもの等が知られ
ているが、これらの製品における切れ目は、いずれも製
品の外側面から内側に向けて刻設されていて、製品は中
心部がつながった状態となっている。そのため、食感が
異なるだけでなく、外側面において繊維状物にまとまり
がなくバラけが生じやすい。これを防ぐためには、別途
被覆処理が必要となる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の切れ目入り練製品における切れ目は外側面から内側に
向けて入れられるので、実際のカニ足肉とは食感がかけ
離れているだけでなく、形成される繊維状物端が外表面
に露出することになり、そのために繊維状物端がバラけ
やすい。このバラけを防止するために従来は被覆を施し
ていたが、その分手間がかかり、コスト高とならざるを
得なかった。そこで本発明は、上記バラけが生ずるおそ
れがなく、製造効率がよくて廉価にて供給でき、しかも
実際のカニ足肉に近い食感の切れ目入り練製品及びその
製造装置を提供することを課題とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、魚肉のすり身
等を主原料とする細幅で薄手のすり身シ−トを多数積層
した積層シ−トに、鋭角のＶ形の切れ目を、外側に薄皮
を残し且つ最下段のシ−トの途中まで、定間隔置きに多
数刻設して成る切れ目入り練製品、並びに、魚肉のすり
身等を主原料とする薄手のすり身シ−トを多数列にカッ
トする回転切刃を設けた回転カッタ−と、前記カットに
より生成される細幅シ−トを搬送する多数列の細幅コン
ベアであって、それぞれの前端部が少し宛前後方向にず
れている段差コンベアと、前記段差コンベアの前方下方
中央部に配置され、前記段差コンベアから垂下してくる
細幅シ−トを中央に寄せて通過させる溝を備えた整列積
層ロ−ラ−と、前記整列積層ロ−ラ−を経て積層された
積層シ−トの搬送手段上に下降し、前記積層シ−トに切
れ目を入れるＶ型の刃を多数備えたカッティング装置と
から成る切れ目入り練製品の製造装置、を以て上記課題
を解決した。

【０００５】

【作 用】本発明に係る練製品は、切れ目刻設に際して
外側に薄皮が残され、これが繊維状物を包囲して保型作
用を発揮し、繊維状物のバラけによる製品の型崩れを防
止する。本発明に係る装置においては、すり身シ−トは
回転カッタ−によって進行方向にカットされて多数列の
細幅シ−トが生成される。各細幅シ−トは段差コンベア
によって搬送され、その先端部から前後方向にずれて垂
下し、続いて整列積層ロ−ラ−を通過することにより中
央部に寄せられ、積層される。そして、積層シ−トは、
カッティング装置を通過することによりＶ形の切れ目を
刻設される。

【０００６】

【実施例】本発明の好ましい実施例を添付図面に依拠し
て説明する。図１は本発明に係る練製品の外観例を示す
もので、すり身シ−トを積層して成る練製品１に上方か
ら鋭角の切れ目２が密に刻設されている。

【０００７】練製品１は、例えばスケトウタラ等の魚肉
に適宜澱粉、食塩、調味料、卵白等を加えてすり潰した
すり身を主原料とする。これをカニ風味に仕上げるに
は、すり身にカニ等の甲殻類の屑肉をフレ−ク状にして
混入したり、その甲殻をペ−スト状にすり潰して３〜５
％程度すり身に混ぜ合わせたりすればよい。また、カニ
のフレ−バ−やカルシウム等をすり身に添加することと
してもよい。実際には、冷凍すり身を擂潰機にかけ、擂
潰塩摺りして調理されることが多い。

【０００８】切れ目２の角度は１５°〜２０°位が適当
である。切れ目２の鋭角部は完全なＶ字状であってもよ
いが、通例図３に示すように、対向する一方の切れ目２
ａに対し他方の切れ目２ｂの先端部を先行させ、従来の
製品とは逆に中心部か切り離されるようにする。また、
切れ目２ａと切れ目２ｂの先端を付けない部分２ｃを適
宜間隔置きに設けることとしてもよい。切れ目２の外端
は、練製品１の外側面に突き抜けないよう外皮３（例え
ば、０．２ｍｍ）を残す。また、切れ目２の下端は最下
層のシ−トの途中で止め、下に突き抜けないようにす
る。従って、切れ目２の刻設によって形成される繊維状
物は、この薄い外皮３及び最下層のシ−トを介してつな
がり、製品の全体形状が保持される。

【０００９】図４は本発明に係る練製品の他の実施例を
示すもので、最上層のシ−ト４を左右に延長し、積層シ
−トの側面を被覆可能にしたものである。図示した実施
例では、各シ−トの幅を異ならしめることにより断面蒲
鉾型に成形してある。

【００１０】図５は本発明に係る練製品１の製造装置の
構成例を示す概略図であり、図６乃至図１０は、各部の
詳細を示す図である。図中５はすり身シ−トで、厚さ１
〜２ｍｍ程度に圧延されて搬送されてくる。６は定間隔
置きに回転切刃７を並設した回転カッタ−で、搬送され
てくるすり身シ−ト５に進行方向に筋を入れ、例えばす
り身シ−ト５を８列に切離する。８は回転カッタ−６の
受けロ−ルである。

【００１１】９は、上記切離された例えば８列の細幅シ
−ト１０を、それぞれ前後にずらして垂下させる段差コ
ンベアである。段差コンベア９は、それぞれ長さが異な
る例えば８列の細幅コンベア１１で構成されている。各
細幅コンベア１１は後端が揃えられていて、同軸により
回転駆動され、前端はそれぞれ少し宛前後にずれてい
る。従って、各細幅コンベア１１により搬送されてくる
細幅シ−ト１０は、細幅コンベア１１から離れて垂下す
る位置が前後に少し宛ずれることになる（図６、図７参
照）。１２はテンションロ−ラ−である。

【００１２】段差コンベア９の前端部下方には、一対の
整列積層ロ−ラ−１３、１３が配備される。即ち、架台
１４の中程にベアリングホルダ−１５が設置され、この
ベアリングホルダ−１５に整列積層ロ−ラ−１３、１３
のロ−ラ−軸１６が挿通され、そこにおいて軸支され
る。各ロ−ラ−軸１６には互いに噛合するギア１７が取
付けられ、また、一方のロ−ラ−軸１６には、回転動力
を受け入れる入力ギア１８が取付けられる。

【００１３】整列積層ロ−ラ−１３には、細幅シ−ト１
０を受け入れる溝１９が、細幅シ−ト１０に対応する数
（図示した例では８）設けられる。上記段差コンベア９
から垂下する細幅シ−ト１０は、予め、一番手前側（図
７において右側）のものが一番手前側の溝１９に挿入さ
れ、次段の細幅シ−ト１０が次の溝１９に挿入されると
いうようにして、全シ−トが順にそれぞれ別個の溝１９
に挿入される。この整列積層ロ−ラ−１３は段差コンベ
ア９の下方中央部に設置されるため、そこを通過するこ
とにより各細幅シ−ト１０は中央に寄せられ、且つ、積
層状態にされる（図７、８参照）。

【００１４】生成された積層シ−ト１０ａは、搬送コン
ベア２０によりカッティング部２１に送られる。カッテ
ィング部２１は、ベ−ス２２と、ベ−ス２２上に設置さ
れるガイド２３又は縦型ベルトコンベアと、ベ−ス２２
上に立設された一対のリニアシャフト２４、２４と、リ
ニアシャフト２４、２４に二段に取り付けられた刃取り
付板２５、並びに、刃摺抜け用スリットを形成したスリ
ット板２６とから成る。

【００１５】刃取付板２５には、図３に示すようなＶ字
形に配置した多数の刃２７が固定される。Ｖ字形は普
通、２枚の刃２７により形成される。各刃２７は上部に
左右に張り出すストッパ−２７ａを有しており、このス
トッパ−２７ａが刃押え板２８、２９により上下から押
さえ止められることにより、刃取付板２５に固定され
る。刃取付板２５は、リニアブシュ３０を介し、リニア
シャフト２４、２４に沿って上下動可能となっている。
また刃取付板２５には一対のスプリング纒装ボルト３１
が固定され、各スプリング纒装ボルト３１には、上部を
スプリングブシュ３２に包持されたスプリング３３が纒
装される。スプリングブシュ３２は、スプリング纒装ボ
ルト３１に対し上下動可能となっている。

【００１６】スリット板２６はリニアブシュ３４を介し
てリニアシャフト２４、２４に上下動可能に支持されて
おり、上記スプリング纒装ボルト３１の下端がそれに固
定され、且つ、スプリング３３の下面が当接する。ま
た、スリット板２６には、刃２７が摺り抜ける平面Ｖ形
のスリット３５が形成される。スリット３５形成部の下
面には、通例、後述するガイド２３の立上り壁３９の間
隔に相当する幅の押圧部３５ａが突設される。スリット
板２６のスプリング纒装ボルト３１取付部の裏面にはス
プリング保持孔３６、３６が凹設され、そこに、ベ−ス
２２上に立設されたスプリング支持杆３７、３７に支持
されたスプリング３８、３８の上端部が挿入される。

【００１７】ガイド２３は積層シ−ト１０ａの進行方向
に延びる立上り壁３９を対置して成り、その間を搬送コ
ンベア２０によって搬送される積層シ−ト１０ａが通過
する。ガイド２３の代わりに、搬送コンベア２０の両側
に縦型のベルトコンベアを対設することとしてもよい。
その場合積層シ−ト１０ａは、両側面と下面にベルトが
密着して搬送されることとなる。その場合、縦型ベルト
コンベアの積層シ−ト当接側を、刃２７による切れ目入
れ作業中、内方向にエアシリンダ−やカム等の手段によ
り移動可能にして、積層シ−ト１０ａを両側から押圧さ
せることとしてもよい。そうすることにより、一層きれ
いな切れ目を切刻することが可能となる。

【００１８】上記構成の本装置においては、すり身シ−
ト５は先ず回転カッタ−６を通過することにより、所定
数の細幅シ−ト１０にカットされる。各細幅シ−ト１０
は段差コンベア９に乗って搬送され、そこから垂下する
際にそれぞれ少し宛前後に分離される。その後細幅シ−
ト１０は、整列積層ロ−ラ−１３、１３間に通されるこ
とにより外側のものが中心に寄せられ、一列に積層され
た積層シ−ト１０ａが形成される。

【００１９】次いで積層シ−ト１０ａはカッティング部
２１に送られ、刃２７の下を通過する際にＶ形の切れ目
２を切刻される。即ち、刃取付板２５が図示せぬカム等
による押下力を受けると、スプリング３３の押上力に抗
して下降し、スプリング３３を介してスリット板２６を
押下する。それによりスリット板２６も下降するが、押
圧部３５ａが積層シ−ト１０ａに当接することにより下
降を停止し、その後、更に刃取付板２５が下降するに至
り、刃２７がスリット板２６のスリット３５から出て、
積層シ−ト１０ａを切刻する。

【００２０】刃取付板２５に対する押圧状態が解除され
ると、刃取付板２５及びスリット板２６はそれぞれスプ
リング３３、３８の作用で元の位置に復帰する。言うま
でもないことであるが、積層シ−ト１０ａの移送速度
（間欠的であってもよい）と、刃２７による切刻動作は
呼応させる。なお、切れ目を入れた積層シ−ト１０ａは
その後適宜長さに切断されるが、更に必要に応じ、所望
形状に型押し成形することとしてもよい。

【００２１】

【発明の効果】本発明は上述した通りであって、本発明
に係る練製品においては切れ目は外側面及び下面に薄皮
を残して内側に形成されるので、繊維状物がバラけて製
品の外形を損なうことがなく、実際のカニ足肉に近い食
感が得られ、また、装置に係る発明においては、上記製
品を自動的に効率よく量産でき、廉価にて供給し得る効
果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係る練製品の一実施例の斜視図であ
る。

【図２】 図１に示す練製品の縦断面図である。

【図３】 本発明に係る練製品の一実施例の平面図であ
る。

【図４】 本発明に係る練製品の他の実施例の縦断面図
である。

【図５】 本発明に係る装置の概略構成図である。

【図６】 本発明に係る装置の実施例を示す平面図であ
る。

【図７】 本発明に係る装置の正面図である。

【図８】 本発明に係る装置の側面図である。

【図９】 本発明に係る装置におけるカッティング部の
正面図である。

【図10】 本発明に係る装置におけるカッティング部の
縦断面図である。

【符号の説明】

５ すり身シ−ト ６ 回転カッタ− ９ 段差コンベア １０ 細幅シ−ト １０ａ 積層シ−ト １３ 整列積層ロ−ラ− ２０ 搬送コンベア ２１ カッティング装置

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 魚肉のすり身等を主原料とする細幅で薄
   手のすり身シ−トを多数積層した積層シ−トに、鋭角の
   Ｖ形の切れ目を、外側に薄皮を残し且つ最下段のシ−ト
   の途中まで、定間隔置きに多数刻設して成る切れ目入り
   練製品。
2. 【請求項２】 積層シ−トの最上層のシ−トの幅を広く
   して積層シ−トの両側面を被覆し、必要に応じて蒲鉾型
   その他適宜形状に成形した請求項１記載の切れ目入り練
   製品。
3. 【請求項３】 魚肉のすり身等を主原料とする薄手のす
   り身シ−トを多数列にカットする回転切刃を設けた回転
   カッタ−と、前記カットにより生成される細幅シ−トを
   搬送する多数列の細幅コンベアであって、それぞれの前
   端部が少し宛前後方向にずれている段差コンベアと、前
   記段差コンベアの前方下方中央部に配置され、前記段差
   コンベアから垂下してくる細幅シ−トを中央に寄せて通
   過させる溝を備えた整列積層ロ−ラ−と、前記整列積層
   ロ−ラ−を経て積層された積層シ−トの搬送手段上に下
   降し、前記積層シ−トに切れ目を入れるＶ型の刃を多数
   備えたカッティング装置とから成る切れ目入り練製品の
   製造装置。