JPH06216445A - レーザー発振装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 レーザー発振装置に係るもので、発振効率と
集光効率とを向上させるとともに、装置全体の小型化を
可能にする。 【構成】 同一光軸線上にロッドが複数配され、ロッド
と平行状態に励起ランプが配設され、ロッドと励起ラン
プとが内部に収納されるケーシングの端部にランプホル
ダーが配されるとともに、ランプホルダーに薄肉状側壁
が配される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、レーザー発振装置に係
り、特に、ロッド等の光軸線上の間隔を狭めるととも
に、ロッドとランプとの平行間隔を小さくして発振効率
及び集光効率を向上させる技術に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】Ｎｄ・ＹＡＧ等のロッドタイプの固体レ
ーザーにおいては、大出力化を図るために、図４に示す
ように、離間した位置で対向するリヤミラー１及び出力
ミラー２の間に、複数のレーザー光発生用ロッド（以
下、ロッドと略す）３を同一光軸線Ｂ上にカスケードに
配列することが行なわれる。

【０００３】また、図５に示すように、ロッド３の側方
には、励起光を発生させるアークランプ等の適宜数の励
起ランプ４が配され、該励起ランプ４の回りには、励起
光を反射してロッド３に集中照射するための反射筒５が
配されている。そして、複数のロッド３に、それぞれ励
起光を当てることによってレーザー光を発生させるとと
もに、両ミラー１，２の間で往復させ、発振状態とする
ものである。なお、図５において、符号６はロッドホル
ダー、７は電極、８はランプホルダーである。

【０００４】一方、レーザー発振装置では、励起エネル
ギーによって、ロッド３が加熱されてその温度が高くな
るために、熱膨張差の発生や内部応力による屈折率の変
化等に基づいて、光学的に凸レンズの性質を持つ熱レン
ズ効果と呼ばれる現象が起こり易い。このため、ロッド
３の間のレーザー光のパスと光軸線Ｂとの平行状態が崩
れ、レーザー発生用ロッド３の内部の発振に寄与する体
積、レーザー体積が減少する傾向を示して、発振効率が
低下し易くなる。

【０００５】従来、ロッド３の両端面３ａ、３ｂにあっ
ては、発振効率の低下を防止するために、熱レンズ効果
を見越して、例えば長さが１５２ｍｍ、直径が８ｍｍ程
度のロッド３の場合で、曲率半径が−２ｍないし−１ｍ
となるように、予め凹面加工を施しておいて、発振効率
を高めるようにしている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、図５に示した
従来例のレーザー発振装置であると、その起動初期に
は、ロッド３の温度が熱レンズ効果が生じる温度まで高
くなっていないため、ロッド３における端面の凹レンズ
効果が機能して、発生したレーザー光が外部に分散し易
く、発振状態に至るまでに大きな励起エネルギーを必要
としてそのしきい値が高くなり、起動性が損われる原因
となる。この起動性の改良、前述の発振効率及び集光効
率の向上を図るためには、ロッド−ロッド間距離Ｌ_R を
小さくすることや、ロッド−ランプ間距離を狭めること
が効率的である。そのためには、電極７及びランプホル
ダー８を短くすることや、ロッドホルダー６及びランプ
ホルダー８を短くすること等の技術的課題が残される。

【０００７】本発明は、これらの事情に鑑みてなされた
もので、発振効率を向上させること、集光効率を向
上させること、装置全体の小型化を可能とすること等
を目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】これらの課題を解決する
ために以下の提案をしている。同一光軸線上に、レーザ
ー光発生用ロッドが複数配され、レーザー光発生用ロッ
ドと平行状態に励起光を照射する励起ランプが配設され
るレーザー光発生用装置であって、レーザー光発生用ロ
ッドと励起ランプとが内部に収納されるケーシングと、
該ケーシングの端部に配され励起ランプのランプ電極部
を突出させた状態で覆うランプホルダーと、該ランプホ
ルダーに配されレーザー光発生用ロッドと対向する薄肉
状側壁とを具備する構成を採用している。そして、これ
らの構成に、ランプホルダーがセラミックス製である技
術と、ケーシングの外側面に窪部が配され、該窪部の対
向位置に、同一光軸線上に隣接するレーザー光発生用ロ
ッドに励起光を照射する励起ランプのランプホルダーの
薄肉状側壁が配設される技術とが付加される。

【０００９】

【作用】ランプホルダーがケーシングの端部から突出さ
せられており、ランプホルダーの薄肉状側壁がレーザー
光発生用ロッドと対向する位置に配されると、ロッドと
ランプとの平行間隔を小さくすることが可能となり集光
効率の向上に寄与する。ランプホルダーがセラミックス
製であると、ランプ電極部が電気絶縁物及び耐熱性材料
で囲まれ、励起ランプからの紫外線に対しての安定性が
向上する。ケーシングの窪部とランプホルダーの薄肉状
側壁とを位置合わせた状態で組み合わせると、ロッド間
隔が狭まり、レーザー発振距離の低減、レーザー光の拡
散や熱レンズ効果の影響が少なくなり、装置全体の小型
化が図られる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明に係るレーザー発振装置の一実
施例について、図１ないし図３を参照して説明する。な
お、図１及び図２にあって、符号１１はケーシング、１
２は反射面、１３はロッドホルダー、１４はランプホル
ダー、１５は窪部、１６は薄肉状側壁である。

【００１１】該一実施例では、図４例と同様に、同一の
光軸線Ｂ上に、複数のロッド３を直列接続状態に配置し
ているが、これらに以下の技術が付加される。

【００１２】前記ケーシング１１は、ステンレス鋼等の
金属材料やセラミックス材料等によって、ロッド３とそ
の両側に離間した状態の一対の励起ランプ４とを収納す
るための中空部が形成されるとともに、その内面に、光
線の反射率を高めるための金コーティング等を施すか、
あるいは反射率の高い薄板を一体に貼付する等によっ
て、前述の反射筒の機能を有する反射面１２が一体に形
成される。また、ケーシング１１の外側面には、図２及
び図３に示すように、長手方向に沿って窪部１５が形成
される。

【００１３】前記ロッドホルダー１３は、図１に示すよ
うに、ケーシング１１の端部に対してランプホルダー１
４よりも突出量が著しく少なくなるように設定される。

【００１４】前記ランプホルダー１４は、図１に示すよ
うに、ケーシング１１の端部に対して、ランプ電極部
（電極）７が突出状態に配される場合に、ランプ電極部
７を覆った状態でケーシング１１の端部に一体に取り付
けられ、セラミックス製とされる。そして、ランプホル
ダー１４の側壁は、位置によって厚さが異なる設定がな
され、レーザー光発生用ロッド３と対向する部分にあっ
ては厚さを低減した薄肉状側壁１６とされ、その他の部
分にあっては厚さを増加させて強度を確保するようにし
ている。

【００１５】レーザー発振装置を組み付ける場合には、
図２及び図３に示すように、隣り合うケーシング１１の
向きを９０度ずらして、窪部１５に、同型のケーシング
１１から突出しているランプ電極部７及びランプホルダ
ー１４を配し、隣り合うロッドホルダー１３を近接状態
とすると、同一の光軸線Ｂ上にレーザー光発生用ロッド
３がカスケード配列された状態となる。

【００１６】このような構造であると、隣り合うランプ
ホルダー１４が長手方向に配列されることがなく相互に
干渉しないので、ロッドホルダー１３を短くした分がレ
ーザー光発生用ロッド３の間隔の減少に直接結びつくも
のとなる。

【００１７】ロッド３の間隔が小さくなると、起動初期
のようにロッド３の温度が比較的低く、端面の凹レンズ
効果の影響よりも大きい場合は、隣接するロッド３の端
面から外れるレーザー光量が少なくなり、励起光エネル
ギーの発振開始しきい値が下がるものとなる。そして、
レーザー光の分散が抑制されるために、発振効率が向上
する。

【００１８】定常運転時のように、端面の凹レンズ効果
の影響よりも、熱レンズ効果の影響が大きくなった場合
には、レーザー光が絞られてレーザー体積が小さくなり
易いが、ロッド３の間隔が小さくなる分だけ、レーザー
体積の減少による影響が軽減され、発振効率が向上して
高い出力が得られるものとなる。

【００１９】また、凹レンズ効果が影響している場合の
レーザー光の分散抑制、熱レンズ効果が影響している場
合のレーザー体積の減少抑制が働くと、入出力特性の直
線性（つまり、入力した励起光エネルギー量とレーザー
光出力とが比例関係等によって増減する場合の対応性）
が改良され、レーザー光の出力量の調整が容易になる。

【００２０】ランプホルダー１４に薄肉状側壁１６が配
されていると、窪部１５との対向寸法に余裕が生じるた
めに、ロッド３と励起ランプ４との平行間隔を小さくす
ることによる集光効率の向上が図られる。その場合にあ
って、ランプホルダー１４がセラミックス製であると、
励起ランプ４からの紫外線に対しての材料的な安定性が
高くなり、薄肉状側壁１６の肉厚の低減時における寸法
的な制約が少なくなるために、薄肉状側壁１６と反対側
等の肉厚を考慮する等によって、ランプホルダー１４の
横断面形状の任意性が高まる。

【００２１】＜他の実施態様＞本発明にあっては、前述
した実施例に代えて、次の技術を採用することができ
る。 励起ランプ４の数を任意に設定すること。 隣接する励起ランプ４の位置についてランプ電極部７
及びランプホルダー１４が相互に干渉しない程度に、周
方向に任意角度で配設されること。 ロッド３がＮｄ，ＹＬＦ等の固体レーザーであるこ
と。 ロッド３を複数の任意数とすること。 ランプホルダー１４の外形を丸形等の任意形状とする
こと。

【００２２】

【発明の効果】本発明に係るレーザー発振装置によれ
ば、以下のような効果を奏する。 （１） 同一光軸線上にロッドが複数配され、ロッドと
平行状態に励起ランプが配設され、ロッドと励起ランプ
とが内部に収納されるケーシングの端部にランプホルダ
ーが配されるとともに、ランプホルダーに薄肉状側壁が
配されるものであるから、ロッドとランプとの平行間隔
の設定時の自由性が高まり、平行間隔を小さくして集光
効率を向上させることができる。 （２） ランプホルダーがセラミックス製であるため
に、ランプ電極部を電気絶縁することや耐熱性壁で覆う
ことが容易となり、励起ランプからの紫外線に対しての
耐久性を向上させ、安定性を得ることができる。 （３） ケーシングの外側面に窪部が配され、その対向
位置に、隣接するロッドに励起光を照射する励起ランプ
のランプホルダーの薄肉状側壁が配設されることによ
り、ロッドのカスケード配列を容易にするとともに、カ
スケード配列時にランプホルダーを周方向にずらして組
み合わせてロッドの相互間隔を小さくし、レーザー発振
時の起動性を向上させることができる。 （４） 上記により、熱レンズ効果に起因するレーザー
体積の減少を抑制し、高い発振効率を得てレーザー光出
力を増大させることができる。 （５） ロッド端部の凹面による凹レンズ効果が影響し
ている場合のレーザー光の分散抑制と、熱レンズ効果が
影響している場合のレーザー体積の減少抑制とによっ
て、入出力特性の直線性が改良され、レーザー光の出力
調整を容易にすることができる。 （６） 隣り合うランプホルダーが周方向にずれて、ロ
ッド間距離が小さくなることにより、装置全体の小型化
を達成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るレーザー発振装置の一実施例を示
す一部を省略した正断面図である。

【図２】本発明に係るレーザー発振装置の一実施例を示
す側面図である。

【図３】本発明に係るレーザー発振装置の一実施例を示
す斜視図である。

【図４】レーザー発振装置の結合構造例を示す正面図で
ある。

【図５】レーザー発振装置におけるロッドホルダー及び
ランプホルダーの部分の従来例を示す正断面図である。

【符号の説明】

１ リヤミラー ２ 出力ミラー ３ レーザー光発生用ロッド（ロッド） ３ａ 端面 ３ｂ 端面 ４ 励起ランプ ５ 反射筒 ６ ロッドホルダー ７ 電極（ランプ電極部） ８ ランプホルダー １１ ケーシング １２ 反射面 １３ ロッドホルダー １４ ランプホルダー １５ 窪部 １６ 薄肉状側壁 Ｂ 光軸線

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松坂 文夫 東京都江東区豊洲三丁目１番15号 石川島 播磨重工業株式会社東二テクニカルセンタ ー内 (72)発明者 西見 昭浩 東京都江東区豊洲三丁目１番15号 石川島 播磨重工業株式会社東二テクニカルセンタ ー内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 同一光軸線上に、レーザー光発生用ロッ
   ドが複数配され、レーザー光発生用ロッドと平行状態に
   励起光を照射する励起ランプが配設されるレーザー光発
   生用装置であって、レーザー光発生用ロッドと励起ラン
   プとが内部に収納されるケーシングと、該ケーシングの
   端部に配され励起ランプのランプ電極部を突出させた状
   態で覆うランプホルダーと、該ランプホルダーに配され
   レーザー光発生用ロッドと対向する薄肉状側壁とを具備
   することを特徴とするレーザー発振装置。
2. 【請求項２】 ランプホルダーがセラミックス製であ
   ることを特徴とする請求項１記載のレーザー発振装置。
3. 【請求項３】 ケーシングの外側面に窪部が配され、
   該窪部の対向位置に、同一光軸線上に隣接するレーザー
   光発生用ロッドに励起光を照射する励起ランプのランプ
   ホルダーの薄肉状側壁が配設されることを特徴とする請
   求項１または２記載のレーザー発振装置。