JPH06212237A - 高強度極細線用高炭素鋼の製造方法 - Google Patents

高強度極細線用高炭素鋼の製造方法

Info

Publication number
JPH06212237A
JPH06212237A JP50A JP318893A JPH06212237A JP H06212237 A JPH06212237 A JP H06212237A JP 50 A JP50 A JP 50A JP 318893 A JP318893 A JP 318893A JP H06212237 A JPH06212237 A JP H06212237A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molten steel
cao
sio
slag
steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP50A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3282865B2 (ja
Inventor
Seiji Nabeshima
誠司 鍋島
San Nakato
參 中戸
Seiji Taguchi
整司 田口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=11550432&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JPH06212237(A) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Kawasaki Steel Corp filed Critical Kawasaki Steel Corp
Priority to JP00318893A priority Critical patent/JP3282865B2/ja
Publication of JPH06212237A publication Critical patent/JPH06212237A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3282865B2 publication Critical patent/JP3282865B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】非延性の介在物が少なく、全酸素量が低く、鋳
片中心部の偏析がない、伸延性に優れた高強度極細線用
高炭素鋼の鋳片を製造する。 【構成】脱酸並びに成分調整を行った溶鋼にCaO−S
iO2 −Al23 系フラックスを加え、不活性雰囲気
内にてArガスを吹き込み撹拌精錬を行うに際し、撹拌
精錬後の溶鋼中Al量、Mn/Si及びスラグ組成、並
びに使用する耐火物組成を特定し、得られた溶鋼を連続
鋳造し、鋳片内部が凝固を完了する前に連続的に鍛圧加
工し、鋳片中心部の炭素の偏析率が0.80〜1.0
5、全酸素量が25ppm以下の鋳片とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非延性の介在物が少
く、全酸素量が低く、鋳片中心部の偏析がない、伸延性
に優れた高強度極細線用高炭素鋼の製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】自動車用タイヤコード等に使用されてい
る高炭素鋼線材は、直径約5.5mmまで熱間圧延し、
その後、パテンティングを施しながら数回の冷間引抜加
工(伸線加工)を行い、最終的に直径0.15mmの極
細線まで伸線される。この伸線加工時に、鋼中に伸延し
にくい硬質な非金属介在物が存在していると断線の原因
となる。このため、伸線加工時に断線の原因とならない
よう鋼中の介在物を微細化するために、脱酸生成物の形
態を熱間圧延時に延性の良好な組成であるAl23
SiO2 −MnOの3元系状態図のスペサータイト領域
に制御する必要があった。
【0003】このように、脱酸生成物の形態をAl2
3 −SiO2 −MnOの3元系状態図のスペサータイト
領域に制御する方法として精錬時の溶鋼内のAl,S
i,Mn量を制御する方法が提案されている(特公昭5
4−7252号公報)。また、溶鋼中に添加する合金鉄
中のAl量を溶鋼1ton当り10〜50gに規制する
ことによってスペサータイト領域の介在物に制御する方
法(特公昭52−17490号公報)、それに加えて、
Mn/Si>1.7に規制し制御する方法(特公昭57
−22969号公報)が提案されている。
【0004】上記の方法では、Al量が規制され精錬中
の溶鋼の脱酸は添加されたMn,Siで行われるため、
脱酸後の溶鋼中の溶存酸素量は高く鋳片の清浄性が悪化
する問題がある。近年、タイヤコードの極細線化と高強
度化の一層の進行により、介在物の軟質化だけでなく、
介在物量,酸素量の低減が要求されるようになり、介在
物の組成制御のみでは不十分となっている。また組成制
御についても、スペサータイト領域の介在物になるよう
にAl量を規制はしているが、脱酸前の溶鋼中の溶存酸
素量の差によるAl23 生成量のばらつきや、Al溶
解時の局部的なAlの濃化により、精錬中、鋳造中に生
成する介在物の形態がばらつく問題がある。
【0005】溶鋼の脱酸方法の改善方法としては、真空
アーク脱ガス装置にてCaO−SiO2 系スラグ、フラ
ックスを用い、溶鋼中に添加されるAl総量を10g/
ton以下に規制する方法(特公昭63−18646号
公報)、使用する耐火物を非Al23 系にする方法
(特開昭62−203647号公報)が提案されてい
る。
【0006】上記のように真空アーク脱ガス装置を用い
て処理を行うと、低酸素化は可能であるが、真空処理中
に溶鋼中の炭素の脱酸力がAlの脱酸力より強まり、こ
のため、耐火物、スラグ等に含まれるAl23 が炭素
により還元され、溶鋼中の溶存Al濃度が増加する。こ
の溶存Alは処理後の温度低下により鋳造中に酸素と結
びついて再びAl23 となり、鋳片中に非延性な介在
物として残留する問題がある。たとえ、非Al23
の耐火物を用いても、転炉スラグの混入や、合金鉄中の
Alによるスラグ中のAl23 の存在は不可避であ
り、このため溶鋼中のAl量を低位にすることは難し
い。
【0007】また、他の溶鋼の脱酸方法の改善方法とし
て、Arガス吹込みによる取鍋精錬法において、酸素の
混入を規制し、高融点のCaC2 等を含む還元性スラグ
に、滓化促進のため低融点のアルカリ金属の弗化物、酸
化物、アルカリ土類金属の弗化物を5〜30重量%(以
下単に%と記す)添加した合成スラグを用いて脱酸した
後、Mg、Ca、Ti、Al、Zrを適量添加して、延
性の良好な介在物に制御する方法(特開昭53−761
96号公報)や、Al量完全規制の下(5g/溶鋼to
n)でCaO含有フラックスを吹込んで予備脱酸した
後、Ca、Mg又は希土類元素を微量吹き込んで延性の
良好な介在物に制御する方法(特公昭57−35234
号公報)が提案されている。
【0008】上記の方法では、介在物の形態制御に使用
する脱酸元素の活性度が極めて高く、脱酸元素の添加量
が介在物の形態に大きく影響するため、延性の良好な介
在物に安定して制御することが困難である。また、予備
脱酸に使用するCaC2 等を含む還元性スラグやCaO
含有フラックスは、巻込まれたり、吹込まれた際に完全
には浮上できず、その後の脱酸生成物と凝集、合体しな
ければ硬質な介在物になる問題がある。
【0009】また、溶鋼の酸素量の低減方法として、溶
鋼中のAl総量を溶鋼ton当り10g以下にし、炉外
精錬時のスラグ組成をCaO−SiO2 −Al23
で、(CaO/SiO2 )≧1.5、(FeO+Mn
O)≦3%とすると共に、介在物の組成制御の点から、
CaO量の増加につれスラグ中のAl23 が還元され
鋼中のAl濃度が高まり、鋳造時に生成する介在物のA
23 量が増え硬質化するのを防ぐため、スラグ中の
Al23 量の上限として、3.0≧(CaO/SiO
2 )≧1.5のときAl23 ≧16%−4(CaO/
SiO2 )%、(CaO/SiO2 )>3.0のときA
23 ≦4%とし、かつ、精錬後溶鋼中のAl総量を
10g/ton(溶鋼)以下にすることが提案されてい
る(特開昭60−184617号公報)。
【0010】上記の方法によれば、スラグが(CaO/
SiO2 )≧1.5とスラグasio2が低いため、溶鋼の
酸素量は低下し、また、スラグ中のAl23 量を(C
aO/SiO2 )の上昇にともない上限を低下させてい
るため、溶鋼中のAl濃度の上昇は抑えられ、Al2
3 濃度の高い介在物の生成は防止できる。しかし、スラ
グ中のCaO量が高く、SiO2 、Al23 量が低い
ため、スラグの融点が上昇し滓化性が悪く、精錬中のス
ラグ−溶鋼間の反応が十分には進行しない。また、スラ
グが精錬中に溶鋼内に巻込まれ、浮上できず鋳片内に取
込まれ介在物となった場合、介在物はCaO量が高く非
延性で硬質になる問題がある。スラグの滓化性を良くす
るため、CaF2 等の弗化物を混合することが考えられ
るが、弗化物を混合すると耐火物の溶損が増加し、耐火
物が非延性で硬質な介在物として鋼中に混入する問題が
ある。
【0011】また、溶鋼中のAl総量を溶鋼トン当り
0.010kg以下にし、アーク加熱式取鍋精錬設備に
より、スラグ組成を(CaO/SiO2 )=0.7〜
0.9、Al23 ≦10%として処理を行ったのち、
連続鋳造設備にて鋳型内及び凝固末期で電磁撹拌しなが
ら連続鋳造を行う方法が提案されている(特開平4−1
10413号公報)。
【0012】上記の方法では、溶鋼中のAl量を規制
し、また、スラグ組成を(CaO/SiO2 )=0.7
〜0.9とasio2を小さくし、Al23 ≦10%とa
Al2o3の上限を決め、溶鋼中のAl量を非常に低位に保
つことにより、Al23 濃度の高い介在物の生成を防
止している。しかし、やはり、スラグのasio2が大きい
ため鋼中の酸素量は高く、また、溶鋼中のAl量が低す
ぎる場合、脱酸生成物のSiO2 濃度は高くなり、介在
物は延性が悪く、熱延後に多量に微小な介在物が残存す
る問題がある。
【0013】これら鋼中の酸素量、非延性で硬質な介在
物、介在物個数の問題の他に、鋳片の中心部の成分偏析
の問題がある。特に炭素濃度の高い、高強度で極細線ま
で伸線される鋳片においては、中心偏析により延性が著
しく悪化し、伸線時の断線につながる。中心偏析は、鋳
片の最終凝固部となる厚み中心部で、C,P,S等の溶
鋼成分が濃化して正偏析となって現れるもので、従来の
連続鋳造法では避け難い品質欠陥のひとつであった。こ
のような連続鋳造により得られる鋳片の中心偏析を軽減
する技術としては、溶鋼の過熱度を低下させたり鋳型内
溶鋼へ線材片を添加したりして等軸晶からなる凝固組織
を鋳片内に形成する方法、鋳型内溶鋼やストランド内溶
鋼を電磁撹拌することにより等軸晶を得る方法が広く普
及している。しかし、これらの方法は、いずれも等軸晶
からなる凝固組織を得ることで溶質の微細分散化を図り
中心偏析を軽減しようとするものであるが、それぞれ一
長一短があり、広く普及しているとはいえ偏析改善効果
は必ずしも十分ではない。特開平4−110413号公
報では連続鋳造設備にて鋳型内及び凝固末期で電磁撹拌
しながら連続鋳造を行う方法が提案されているが、中心
偏析率は1.05を越え、炭素濃度の高い極細線まで伸
線される素材においては不十分なものである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
問題点の解決を図ったもので、非延性の介在物が少な
く、全酸素量が低く、鋳片中心部の偏析がない、伸延性
に優れた高強度極細線用高炭素鋼を製造することを目的
とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、重量組成で、
C:0.7〜1.0%、Si:0.15〜0.35%、
Mn:0.3〜0.9%を含む高炭素鋼の製造方法にお
いて、溶銑予備処理を施しP:<0.020%、S:<
0.020%に低減した溶銑を転炉にて吹錬し、出鋼時
にSi,Mnを含む合金を添加して脱酸並びに成分調整
を行った溶鋼に、CaO−SiO2 −Al23 系のフ
ラックスを加え不活性雰囲気内にてArガスを吹込み撹
拌精錬処理を行う際に、 a:撹拌精錬処理後の溶鋼中のAl量が5g/ton以
下であること。
【0016】b:撹拌精錬処理後の溶鋼中のMn/Si
が1.7以上であること。 c:撹拌精錬処理後のスラグ組成が 0.9≦(CaO/SiO2 )≦1.5 …(1) 9−5(CaO/SiO2 )≦Al23 (%) ≦17−7(CaO/SiO2 ) …(2) であること。
【0017】d:撹拌精錬処理時に非Al23 系耐火
物を内張りした取鍋を使用すること。 として撹拌精錬処理し、その後、得られた溶鋼を直ちに
連続鋳造し、鋳片内部が凝固を完了する前の段階で連続
的に鍛圧加工し、得られた鋳片の中心部の炭素の偏析率
が0.80〜1.05、全酸素量が25ppm以下の鋳
片を製造することにより、熱間圧延後、冷間引抜伸線加
工で断線することなく直径0.15mmの極細線まで伸
線化することを可能とするものである。なお、偏析率と
は(鋳片中心部の濃度)/(周辺部の濃度)である。
【0018】
【作用】本発明における、C:0.7〜1.0%、S
i:0.15〜0.35%、Mn:0.3〜0.9%、
P:<0.020%、S:0.020%を含有する鋼材
は、自動車用タイヤコード等に使用される高強度極細線
用の高炭素鋼として好適なものである。
【0019】前述したように、非延性の硬質な介在物は
第1にAl23 系介在物である。そのため、脱酸生成
物としてAl23 系介在物を生成させないためには、
鋼中のAl濃度を低減させておくことが前提条件とな
る。そのためには、特公昭63−18646号公報、特
開昭60−184617号公報、特開平4−11041
3号公報で提案しているように、溶鋼中に混入するAl
総量を規制する必要があり、このため、本発明では5g
/ton以下にする必要がある。Alの混入源として脱
酸材であるFe−Si、Fe−Mn等の合金は高純度
(Al<0.01%)のものを用いるのがよく、また、
耐火物としてAl23 質のものは避ける必要がある。
【0020】このように、溶鋼中のAl濃度が低い場合
は、溶鋼中はCO脱酸平衡、Si脱酸平衡となるため酸
素濃度が高くなり、酸素量として50ppm以上にな
る。そこで、溶鋼の酸素濃度を低下させる方法として、
スラグ中のasio2を下げてスラグ−溶鋼スラグ反応によ
り鋼中の酸素量を低下させる方法を試みた。CaO−S
iO2 −Al23 系スラグでは、CaO/SiO2
大きくすることによりa sio2は小さくなる。図1に、精
錬処理後スラグの(CaO/SiO2 )と連続鋳造後の
酸素量の関係を示す。鋳片の酸素量は(CaO/SiO
2 )を大きくするとともに低下する。鋳片での酸素量を
25ppm以下にするには(CaO/SiO2 )を0.
9以上にする必要があることがわかった。
【0021】多種のスラグ組成による実験結果より、精
錬中のスラグ組成は溶鋼中の酸素量に影響を与えるだけ
でなく、鋼中の介在物組成、介在物個数にも影響を与え
ることがわかった。図2に示すように、精錬処理後スラ
グの(CaO/SiO2 )を増加させると、直径5.5
mmに熱間圧延された線材中の3μm以上のAl2 3
系介在物(Al23 濃度>50%)の個数は増加し、
その増加傾向はスラグ中のAl23 濃度が高いほど大
きいことが分かった。なお、介在物指数とは線材断面で
の単位面積当たりの3μm以上の介在物個数である。
【0022】精錬処理後のスラグの(CaO/SiO
2 )を増加させるとスラグ中のasio2は低下し、その結
果、下式の(3)式のように、スラグ中のAl23
Siにより還元され、溶鋼中のAl濃度が増加するa
sio2が低く、スラグ中のAl2 3 濃度が高い程その傾
向は強い。このため、脱酸生成物としてAl23 濃度
の高い介在物が生成し、介在物の熱間圧延時の延性が低
下するため、直径5.5mmに熱間圧延された線材中の
3μm以上の介在物の個数は増加することになる。
【0023】 Al23 +3/2Si=2Al+3/2SiO2 …(3) よって、非延性のAl23 系介在物がほとんど生成し
ないスラグ中のAl23 量の上限を下式(4)のよう
に決めた。 Al23 (%)≦17−7(CaO/SiO2 ) …(4) また、図3に示すように、精錬処理後スラグの(CaO
/SiO2 )を低下させると、直径5.5mmに熱間圧
延された線材中の3μm以上のSiO2 系介在物(Si
2 濃度>80%)の個数が増加し、その増加傾向はス
ラグ中のAl23 濃度が低いほど大きいことがわかっ
た。特に(CaO/SiO2 )を0.9未満にすると鋼
中酸素量が増加するため、SiO2 系介在物の個数は著
しく増加する。
【0024】精錬処理後のスラグの(CaO/SiO
2 )を低下させるとスラグ中のasio2は増加し、その結
果、(3)式のようにはスラグ中のAl23 がSiに
より還元されないため、溶鋼中のAl濃度は低位のまま
となる。スラグ中のAl23濃度が低いほどその傾向
は強い。このため、脱酸生成物としてSiO2 濃度の高
い介在物が生成し、介在物の熱間圧延時の延性が低下す
るため、直径5.5mmに熱間圧延された線材中の3μ
m以上の介在物の個数は増加することになる。
【0025】よって、非延性のSiO2 系介在物がほと
んど生成しないスラグ中のAl2 3 量の下限を下式
(5)のように決めた。 9−5(CaO/SiO2 )≦Al23 (%) …(5) 図4に示すように、精錬処理後のスラグの(CaO/S
iO2 )を増加させると、直径5.5mmに熱間圧延さ
れた線材中の3μm以上のCaO系介在物(CaO濃度
>50%)の個数は増加し、特に(CaO/SiO2
が1.5を越えるとCaO系介在物の個数は著しく増加
することがわかった。
【0026】精錬処理中にスラグが溶鋼中に巻込まれ、
浮上せずに鋳片内に残存した場合、精錬処理後のスラグ
の(CaO/SiO2 )が高いと、CaO濃度の高い介
在物となり、介在物の熱間圧延時の延性が低下するた
め、直径5.5mmに熱間圧延された線材中の3μm以
上の介在物の個数は増加することになる。よって、スラ
グは溶鋼中に巻込まれ鋳片内に残存しても熱間圧延時に
延性があるように、スラグ中のCaO/SiO2 1.5
以下と決めた。
【0027】なお、溶鋼中のMn/Siを1.7以上と
したのは、1.7未満ではSiO2濃度の高い介在物が
急増し伸線性を阻害するためである。一方、本発明では
連続鋳造工程において、鋳片内部が凝固を完了する前の
段階で連続的に鍛圧加工を行う連続鍛圧法を適用し、得
られた鋳片の中心部の炭素の偏析率が0.80〜1.0
5にすることが必要である。連続鍛圧法は広範囲の濃化
溶鋼の移動を阻止して中心偏析を有利に防止するもの
で、連続鋳造用の鋳型より引抜いた鋳片を連続鋳造する
に当り、鋳片内部が凝固を完了する前の段階であって、
固相率が0.5〜0.9を示す位置でδ/d≧0.5
(ここに、δ:鍛圧加工による総圧下量(mm)、d:
鍛圧位置における未凝固厚み(mm))を満足する圧下
を施すものである。この方法によれば、内部割れや著し
い負偏析の発生なしに中心偏析を容易に軽減し、偏析率
を0.80〜1.05にすることができる。図5に本発
明の精錬方法を施した後、連続鋳造工程における連続鍛
圧の有無による鋳片中心部の炭素偏析率の変化と、その
線材を直径0.15mmまで伸線した際の断線指数の関
係を示す。断線指数とは製品単位重量当たりの断線回数
である。連続鍛圧を行うことにより偏析率を1.05以
下にすると断線指数を著しく軽減することがわかった。
なお、製品の強度を確保するため、偏析率を0.80以
上とする。
【0028】以上のように、本発明は主要な条件を限定
した各工程を組合せることにより、はじめて極細線まで
伸線性が優れている鋳片を生産することができる。
【0029】
【実施例】溶銑予備処理によりP:<0.020%、
S:<0.020%に低減した溶銑を複合吹錬転炉にて
180ton吹錬し、出鋼時にAl含有量の少ない
(0.01%以下)Fe−Si合金を500kg、Fe
−Mn合金を1000kg添加して脱酸並びに成分調整
を行った。溶鋼はAl23 を含有してない耐火物を使
用した取鍋に受鋼した。耐火物のスラグラインはマグネ
シア・カーボンレンガ、その他の壁、敷にはジルコン流
し込み材を用いた。除滓後、CaO−SiO2 −Al2
3 系のフラックス2000kgを加え、不活性雰囲気
内にてArガスを吹込み撹拌精錬処理を行った。その
後、この溶鋼を連続鋳造設備にて鋳造し、鋳片の中心部
の炭素濃度を測定した。この鋳片は熱間圧延にて直径
5.5mmまで圧延され、線材中の3μm以上の非金属
介在物個数を測定し、引き続き伸線加工して直径0.2
5、0.20、0.15mmの最終製品にした。
【0030】表1〜表8に、実施例と比較例の精錬処理
後の溶鋼組成、精錬処理後のスラグの(CaO/SiO
2 )及びAl23 濃度、直径5.5mm線材中の3μ
m以上の形態別介在物個数指数、連続鋳造後の酸素量、
連続鍛圧の有無、鋳片のCの中心偏析率及び最終製品径
まで伸線した時の断線指数を示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
【表5】
【0036】
【表6】
【0037】
【表7】
【0038】
【表8】
【0039】図6に精錬処理後スラグ中(CaO/Si
2 )及びAl23 濃度と直径5.5mmの線材中の
3μm以上の合計介在物個数指数の関係を、図7に精錬
処理後スラグ中(CaO/SiO2 )及びAl23
度と直径0.25mmの最終製品径まで伸線した時の断
線指数の関係を、図8に精錬処理後スラグ中(CaO/
SiO2 )及びAl23 濃度と直径0.20mmの最
終製品径まで伸線した時の断線指数の関係を、図9に精
処理後スラグ中(CaO/SiO2 )及びAl 23
度と直径0.15mmの最終製品径まで伸線した時の断
線指数の関係を示す。
【0040】本発明のスラグ組成では、直径5.5mm
の線材中の3μm以上の合計介在物個数指数は10以下
と非常に低位となる。また、鋳片酸素量が低く、中心偏
析のない線材を製造することが可能となる。その結果、
伸線過程での断線も皆無にすることができ、特に直径
0.15mmの極細線まで伸線する際にその効果は著し
く現れる。
【0041】
【発明の効果】本発明により、非延性の介在物が少な
く、全酸素量が低く、鋳片中心部の偏析がない、伸延性
に優れた高強度極細線用高炭素鋼を容易に製造すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】精錬処理後スラグの(CaO/SiO2 )及び
Al23 濃度と、連続鋳造後の酸素量の関係を示した
グラフである。
【図2】精錬処理後スラグの(CaO/SiO2 )及び
Al23 濃度と、直径5.5mmに熱間圧延された線
材中の3μm以上のAl23 系介在物(Al23
度>50%)の個数の関係を示したグラフである。
【図3】精錬処理後スラグの(CaO/SiO2 )及び
Al23 濃度と、直径5.5mmに熱間圧延された線
材中の3μm以上のSiO2 系介在物(SiO2 濃度>
80%)の個数の関係を示したグラフである。
【図4】精錬処理後スラグの(CaO/SiO2 )及び
Al23 濃度と、直径5.5mmに熱間圧延された線
材中の3μm以上のCaO系介在物(CaO濃度>50
%)の個数の関係を示したグラフである。
【図5】本発明の精錬方法を施した後の連続鋳造工程に
おける連続鍛圧の有無による鋳片中心部のCの偏析率の
変化と、その線材を直径0.15mmまで伸線した際の
断線指数の関係を示したグラフである。
【図6】精錬処理後スラグ中(CaO/SiO2 )及び
Al23 濃度と、直径5.5mmの線材中の3μm以
上の合計介在物個数指数の関係を示したグラフである。
【図7】精錬処理後スラグ中(CaO/SiO2 )及び
Al23 濃度と、直径0.25mmの最終製品径まで
伸線した時の断線指数の関係を示したグラフである。
【図8】精錬処理後スラグ中(CaO/SiO2 )及び
Al23 濃度と、直径0.20mmの最終製品径まで
伸線した時の断線指数の関係を示したグラフである。
【図9】精錬処理後スラグ中(CaO/SiO2 )及び
Al23 濃度と、直径0.15mmの最終製品径まで
伸線した時の断線指数の関係を示したグラフである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量組成で、C:0.7〜1.0%、S
    i:0.15〜0.35%、Mn:0.3〜0.9%を
    含む高炭素鋼の製造方法において、溶銑予備処理を施し
    P:<0.020%、S:<0.020%に低減した溶
    銑を転炉にて吹錬し、出鋼時にSi,Mnを含む合金を
    添加して脱酸並びに成分調整を行った溶鋼に、CaO−
    SiO2 −Al23 系のフラックスを加え不活性雰囲
    気内にてArガスを吹込み撹拌精錬処理を行う際に、 a:撹拌精錬処理後の溶鋼中のAl量が5g/ton以
    下であること。 b:撹拌精錬処理後の溶鋼中のMn/Siが1.7以上
    であること。 c:撹拌精錬処理後のスラグ組成が 0.9≦(CaO/SiO2 )≦1.5 9−5(CaO/SiO2 )≦Al23 (%) ≦17−7(CaO/SiO2 ) であること。 d:撹拌精錬処理時に非Al23 系耐火物を内張りし
    た取鍋を使用すること。 として撹拌精錬処理し、その後、得られた溶鋼を直ちに
    連続鋳造し、鋳片内部が凝固を完了する前の段階で連続
    的に鍛圧加工し、得られた鋳片の中心部の炭素の偏析率
    が0.80〜1.05、全酸素量が25ppm以下の鋳
    片とすることを特徴とする高強度極細線用高炭素鋼の製
    造方法。
JP00318893A 1993-01-12 1993-01-12 高強度極細線用高炭素鋼の製造方法 Expired - Fee Related JP3282865B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP00318893A JP3282865B2 (ja) 1993-01-12 1993-01-12 高強度極細線用高炭素鋼の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP00318893A JP3282865B2 (ja) 1993-01-12 1993-01-12 高強度極細線用高炭素鋼の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06212237A true JPH06212237A (ja) 1994-08-02
JP3282865B2 JP3282865B2 (ja) 2002-05-20

Family

ID=11550432

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP00318893A Expired - Fee Related JP3282865B2 (ja) 1993-01-12 1993-01-12 高強度極細線用高炭素鋼の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3282865B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007114100A1 (ja) * 2006-03-30 2007-10-11 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho 伸線性と疲労特性に優れた高炭素鋼線材用鋼の製造方法
CN109234487A (zh) * 2018-09-25 2019-01-18 湖南华菱湘潭钢铁有限公司 一种海底管线钢x65mo的生产方法
JP2022549385A (ja) * 2019-09-26 2022-11-24 インスティテュート オブ リサーチ オブ アイロン アンド スティール, ジィァンスー プロビンス/シャー-スティール, カンパニー リミテッド (シーエヌ) 超高強度スチールコード用線材及びその製造方法
CN115786645A (zh) * 2022-12-07 2023-03-14 芜湖新兴铸管有限责任公司 一种10b21钢精炼渣系及10b21钢的冶炼方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007114100A1 (ja) * 2006-03-30 2007-10-11 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho 伸線性と疲労特性に優れた高炭素鋼線材用鋼の製造方法
KR101022068B1 (ko) * 2006-03-30 2011-03-17 가부시키가이샤 고베 세이코쇼 신선성과 피로 특성이 우수한 고탄소강 선재용 강의 제조 방법
CN109234487A (zh) * 2018-09-25 2019-01-18 湖南华菱湘潭钢铁有限公司 一种海底管线钢x65mo的生产方法
JP2022549385A (ja) * 2019-09-26 2022-11-24 インスティテュート オブ リサーチ オブ アイロン アンド スティール, ジィァンスー プロビンス/シャー-スティール, カンパニー リミテッド (シーエヌ) 超高強度スチールコード用線材及びその製造方法
CN115786645A (zh) * 2022-12-07 2023-03-14 芜湖新兴铸管有限责任公司 一种10b21钢精炼渣系及10b21钢的冶炼方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3282865B2 (ja) 2002-05-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101787179B1 (ko) 고 알루미늄 저 규소 초고순도의 페라이트 스테인리스 강의 제련방법
JP2575827B2 (ja) 清浄度に優れた連続鋳造用極低炭素鋼の製造方法
JP3550924B2 (ja) 高炭素鋼線材の製造方法および同線材
US4286984A (en) Compositions and methods of production of alloy for treatment of liquid metals
CN111500919A (zh) 高洁净度高钛低碳钢的生产方法
CN111155024B (zh) 一种帘线钢超低熔点塑性夹杂物控制方法
JP3994456B2 (ja) 伸線性及び清浄度に優れた線材用鋼の製造方法
JP3282865B2 (ja) 高強度極細線用高炭素鋼の製造方法
US3990887A (en) Cold working steel bar and wire rod produced by continuous casting
JP3510989B2 (ja) ステンレス鋼の精錬に用いるSi合金鉄およびステンレス鋼の精錬方法
JP3473388B2 (ja) ステンレス溶鋼の精錬方法
JP3536461B2 (ja) 伸線加工性及び耐時効性に優れた高炭素鋼線材
JPS6157372B2 (ja)
JPH07103416B2 (ja) 高炭素鋼線材の製造方法
JP3928264B2 (ja) 含クロム鋼の溶製方法
JP4055252B2 (ja) 含クロム鋼の溶製方法
JPH0464767B2 (ja)
RU2044060C1 (ru) Способ производства ванадийсодержащей рельсовой стали
KR900007443B1 (ko) 용강의 흡질방지방법
JPH10102132A (ja) 溶鋼の脱酸方法
JPH0225966B2 (ja)
JP4279947B2 (ja) 溶鋼のMg処理方法
JPH1068011A (ja) 酸化物分散鋼の製造方法
KR20010038889A (ko) 경강선재 용강의 전로출강시 탈산방법
CN115522136A (zh) 一种通过稀土镧铁微合金化控制碳锰钢晶体组织的方法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20020212

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees