JPH06210866A - インクペン用圧力制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 バブル発生器(18)に隣接して毛管部材(22,2
4)を設けることにより、インクペン(10)の背圧が維持さ
れる。ペンの向きとは無関係に、毛管部材はある量のイ
ンクを、バブル発生器により画定されたオリフィス(20)
に隣接して保持する。このある量のインクは、オリフィ
スに形成される液体シールを供給するように働く。イン
クペン内の背圧がその最大レベルまで増大すると、オリ
フィス内の液体シールは克服され、周囲大気のバブルが
タンク(12)内に流入して背圧を下げる。背圧が所望の点
まで戻ると、毛管部材に捉えられたインクはオリフィス
内に入り、オリフィスを再度シールする。 【効果】 背圧をプリントヘッドの作動範囲内に好適に
維持することができ、また背圧の制御はペンの向きに関
係なく確実に、かつ一貫性をもって行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はインクジェットプリンタ
用のインクペンに関し、より詳しくは、インクペンのタ
ンク内の圧力を制御するための装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】インクジェットプリンタは、信頼性のあ
る効率的な印刷装置として確立されてきている。一般
に、インクジェットプリンタにおいては、印刷表面に対
して移動されるプリントヘッドが用いられる。制御シス
テムが、この移動するプリントヘッドを適切な位置にお
いて付勢し、プリントヘッドが印刷表面上に対してイン
ク液滴を吐出、即ち噴射して、所望のイメージ及び文字
を形成するようにさせる。この種のプリンタは典型的に
は、インクを貯蔵するためのタンクとして役立ち、必要
に応じてプリントヘッドにインクを供給する手段を提供
するインクペンを有する。

【０００３】プリントヘッドからインクを吐出させるた
めには、一般的に２つの方式が用いられている。第１の
ものはサーマルバブル（熱気泡）方式であり、第２のも
のはピエゾ（圧電気）方式である。これらの何れの方式
を用いているプリントヘッドも、典型的には、複数個の
オリフィスを含み、各々のオリフィスは関連するチャン
バを有している。動作に際しては、インクは入口を経て
チャンバへと供給される。付勢されると、インクはチャ
ンバからオリフィスを通って、印刷表面上へと押し出
し、即ち噴射される。サーマルバブル型のプリントヘッ
ドにおいては、チャンバ内のインクは、典型的には薄膜
抵抗により、加熱又は気化される。インクの気化に起因
する急激な膨張により、ある量のインクがオリフィスを
通ってチャンバから押し出される。ピエゾ型のプリント
ヘッドにおいては、圧電素子がチャンバ内に圧力波を生
じ、それにより、ある量のインクがオリフィスを通って
吐出される。

【０００４】サーマルバブル及びピエゾ方式のプリント
ヘッドは両方とも、オリフィスからインクを噴出するた
めの、信頼性のある効率的な手段を提供するが、何れの
タイプのプリントヘッドも一般には、プリントヘッドが
付勢されていない場合に、オリフィスを介してのインク
の自由流動を防止する機構を備えていない。このような
状態が生ずると、インクは印刷表面上に制御不可能に漏
出し又は垂れ流れ、望ましくないインクのしみを生ずる
ことがある。加えて、漏出したインクがプリントヘッド
に溜まり、プリントヘッドの適切な動作を損なう可能性
もある。

【０００５】これらの問題点を緩和するために、多くの
インクジェットプリンタにおいては、僅かな負圧又は背
圧をかけて、インクをインクペンからプリントヘッドへ
供給している。本明細書で用いるところでは、正の背圧
とは、プリントヘッドのオリフィスを囲む周囲圧力より
も低い、インクペン内の圧力を意味する。

【０００６】効率的であるためには、背圧は所望の作動
範囲内に維持されなければならない。即ち背圧は、オリ
フィスを通るインクの望ましくない自由流動が生ずるの
を阻止できる程度に、十分大きなものでなければならな
い。同時に背圧は、付勢された場合にプリントヘッドが
背圧を克服し、一貫性のある予測可能な様式でインクを
吐出できる程度に、十分小さなものでなければならな
い。これらの拘束条件に適合し、インクジェットプリン
タを最適状態で作動させるためには、かなり一定の、予
測可能な背圧が維持されなければならない。

【０００７】インクペンの背圧は、周囲圧力又は内部圧
力のいずれかの変化に影響される。例えば、航空機輸送
の場合のように、インクペンの所在場所の高度が大きく
なれば、周囲圧力はかなり低下しうる。これに応じてイ
ンクペンの背圧が増大されない限り、周囲圧力の水準は
背圧の水準以下に降下し、インクはプリントヘッドから
漏出しがちである。加えて、インクペンタンク内のイン
クが減少されるにつれて、インクペン内の背圧も増大す
る傾向がある。これを補償するための何らかの機構を備
えなければ、背圧はプリントヘッドの作動範囲を超過
し、インクペンは動作不能になってしまう。温度変化
も、インクペン内のインク及び空気の収縮又は膨張を引
き起こし、それによって背圧に影響を及ぼす。インクジ
ェットプリンタの一貫性のある、故障のない作動を保証
するためには、これら全ての要因について配慮しなけれ
ばならない。

【０００８】或るタイプのインクペンにおいては、これ
らの問題を解決するために、可変容積タンクが用いられ
る。例えばタンクは、収縮又は膨張可能な可撓性材料か
らなることができる。代替的に、タンクはスリーブとピ
ストンからなる構造を有するか、或いは内部アキュムレ
ータとして、膨張可能な袋を用いることができる。この
タイプのインクペンにおいては、消費、熱変化その他に
よってタンク内のインクの容積が変化するにつれて、タ
ンクの容積も変化する。この種の装置は、それまでのイ
ンクペンよりも大幅に改良されているが、ある種の欠点
を抱えている。例えば、この種の装置は、必ずしも一定
の背圧を供給するとは限らない。むしろ、容積が自由に
変化可能なタンクは、タンクの内部圧力を周囲圧力に等
しく、即ち背圧ゼロに維持する傾向がある。この問題を
克服するために、多くの可変容積タンクにおいては、常
に容積を増大させる方向にタンクを付勢するために、例
えばバネのような弾性部材が使用されている。このよう
にして、所望の背圧が生成される。

【０００９】可変容積タンクは本来的に、タンク寸法に
上限及び下限を有するものであるから、この種のタンク
は一般に、インクペンがほぼ満杯又はほぼ空の場合に最
も低効率である。例えば、可変容積タンクを備えた新品
のインクペンの容量一杯にインクを満たした場合、タン
クは背圧の変化に応答してそれ以上膨張することができ
ない。その結果、背圧の変化によってタンク内の流体容
積が膨張した場合には、ある量のインクがプリントヘッ
ドを介して押し出される可能性がある。これを補償する
ために、多くの場合、新品のペンはインクで完全には満
たされない。より重要なことは、可変容積タンクの最小
容積は、典型的にはゼロより大きいということである。
ペンがインクの枯渇状態に近づき、タンクがこの最小容
量まで収縮するに際して、それ以上のインクの消費は背
圧をプリントヘッドの作動範囲を越えて上昇させる。そ
の結果、使用不能なある量のインクが、使い捨てられる
各々のペン内に残存することのなる。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】この問題をある程度解
決するために、インクペンによっては「バブル発生器」
が組み込まれる。バブル発生器とは、タンクの内部と周
囲大気との間での流体連通を可能にするために、インク
ペンのインクタンクに形成されたオリフィスである。こ
のオリフィスは、インクの毛管現象によって、通常は少
量のインクがオリフィス内に液体シールとして保持され
るような寸法を有している。オリフィスの幾何学的構造
は、背圧がプリントヘッドの作動範囲の限界に接近した
場合に、背圧がインクの毛管現象に打ち勝って液体シー
ルが破れるようになっている。この場合に周囲の空気は
「バブル（気泡）となって」タンク内に入り、背圧を低
下させる。背圧が降下した場合に、タンクからのインク
がオリフィスに再び入り、液体シールを復元させれば理
想的である。

【００１１】しかしながら、シールが破れ、しかもオリ
フィスがインクの液面レベル下に沈んでいない場合に
は、シールを復元するためのインクが無く、背圧が失わ
れる可能性がある。加えて、インクの液面レベルが降下
するか、或いはオリフィスがタンク内のインク液面より
も上にくるような姿勢にペンが保持された場合には、液
体シールは弱くなり、時間が経過するにつれて密封が破
れてしまう可能性がある。こうなると、周囲の空気がタ
ンク内に自由に流れ込み、背圧が除去されて、インクペ
ンがインクを垂れ流す可能性がある。

【００１２】従って、本発明の課題は、背圧をプリント
ヘッドの作動範囲内に維持するための機構を備えたイン
クペンを提供することにある。

【００１３】本発明の別の課題は、ペンからインクを効
率的に抽出することを可能とし、また背圧が作動範囲を
超過したために印刷を停止したインクペンと共に廃棄さ
れる使用不可能なインクの量を最小限にする、インクペ
ン内の圧力を調整するための機構を提供することにあ
る。

【００１４】本発明の他の課題は、ペンの向きに関係な
く確実に、かつ一貫性をもって作動する、インクペン内
の圧力を調整するための機構を提供することにある。

【００１５】本発明のさらに別の課題は、製造を容易か
つ安価に行うことができ、複雑な部品を殆ど持たないイ
ンクペン用の圧力調整機構を提供することにある。

【００１６】

【課題を解決するための手段】本発明の１つの態様に基
づくインクペンは、ある供給量のインクを保持するため
のタンクを有する。このタンクには、タンクと、例えば
周囲の大気のような補給流体との間の流体連通を可能に
するオリフィスが備えられている。毛管部材が、ペンの
向き又はタンク内のインク液面レベルとは無関係に、オ
リフィスの付近にある量のインクを保持するように位置
決めされる。タンク内に保持された量のインクは、オリ
フィスを密封し、しかも、タンク内の圧力を調整するた
めにバブルがシールを通過することを可能にするような
液体シールを提供するものである。

【００１７】本発明の他の目的及び態様は、本技術分野
における当業者には、本発明の詳細な説明から明らかと
なるであろうが、この詳細な説明は本発明を限定するも
のではなく、例示として示されるに過ぎないものであ
る。

【００１８】

【実施例】本発明の好ましい実施例によるインクペン
を、図１で符号10によって示す。このインクペン10は、
ある供給量のインク14を蓄えるためのタンク12を有す
る。このタンクは、文字及びイメージを形成するため印
刷表面上にインク液滴を吐出するプリントヘッド16と流
体連通している。インクがプリントヘッドを介して垂れ
流れることを防止するために、タンク内のインクには初
期背圧がかけられている。

【００１９】背圧を所望の範囲内に維持するために、タ
ンク12には、タンクの内部と、例えば周囲の大気のよう
な補給流体との間の流体連通を可能にするバブル発生器
18が備えられている。背圧が所望範囲内にある場合に
は、バブル発生器はある量のインクによってシールされ
ている。しかしながら、背圧が所望範囲を越えた場合に
は、背圧は液体シールの毛管力に打ち勝ち、図示の実施
例では周囲の空気である補給流体がタンク内へとバブル
として送り込まれることが可能となり、背圧は減少され
る。背圧が適切なレベルに戻ると、液体シールは復元さ
れ、補給流体がそれ以上入ることを妨げる。

【００２０】図３に示されているように、バブル発生器
18は、管状のボス22と、このボス内に同心に設けられた
球体24からなる。球体24の外径はボス22の内径よりも小
さく、環状のオリフィス20（図４参照）が形成される。
図示の実施例においては、球体はボスの内部周辺に形成
された多数の潰れリブ26によって、ボス内に保持されて
いる。このようにして、球体24はボス22内に容易に圧入
可能であり、潰れリブ26により所定位置に堅固に保持す
ることができる。ボスの内壁から離した位置に球体を保
持することを助けるために、付加的な隆起リブ28もまた
備えられる。代替的な好ましい実施例においては、６つ
の隆起リブ部が備えられ、潰れリブは設けられない。隆
起リブは、圧入によりボス内に球体を保持するために必
要な締めしろをもたらし、またボスの内壁との間に必要
な間隙を提供するような寸法となっている。

【００２１】球体24は、ボス22内にある量のインクを保
持するための毛管部材として役立つ。結果として、ペン
の向きが、ボスがタンクのインク内に沈まないようにな
ってしまっている場合であっても、ある量のインクがボ
ス内に捉えられている。球体の湾曲した表面により、球
体の外側表面とボスの内壁との間隙は、オリフィスの部
分において最も小さく、オリフィスからの距離が増すに
つれて大きくなる。この構造的な幾何学的特徴と、イン
クの毛管現象とにより、捉えられたインクは、ギャップ
の最も小さい部分であるオリフィスに向かって常時押し
やられ、強固なシールがもたらされる。

【００２２】捉えられた量のインクが大気に長期間暴露
され、その結果乾燥又は固化することを防ぐために、バ
ブル発生器には、気化障壁として役立つ入口ラビリンス
（迷路）30が備えられる。図１及び図２に最も明瞭に示
されているこの入口ラビリンスは、周囲の空気が、捉え
られているインクと接触迄に通過しなければならない通
路である。入口ラビリンスの発端部31はボスに開口し、
末端部33は周囲の空気に開口している。入口ラビリンス
は全長にわたって、大気及びタンクの両者から密封され
ている。その結果、入口ラビリンス内の湿度は、発端部
31における約100％から、末端部33におけるほぼ大気の
湿度まで、その長さに沿って変化する。この湿度勾配
は、捉えられたインクと周囲の大気との直接的な接触を
遮蔽し、捉えられたインクが乾燥又は固化することを防
ぐのに役立つ。

【００２３】入口のラビリンスは、半円形の断面を持つ
通路である。入口ラビリンスの断面積対長さの比率は、
入口ラビリンス内の空気の量が、対流による質量の移動
を効果的に阻止するようなものでなければならない。拡
散的な蒸気の喪失は、入口ラビリンス全体を通じての分
圧勾配によって行われる。フィックの拡散法則に示され
ているように、これらの拡散蒸気損失は、入口ラビリン
スの断面積に比例し、入口ラビリンスの長さに反比例す
る。どのような特定の実施例についても、入口ラビリン
スの適切な寸法は、当業者により経験的に決定され得る
ものである。

【００２４】図２及び図３に示されているように、図示
の実施例における入口ラビリンスは、タンク12の外側表
面に直接に成型されたトラフ（細長い溝）32である。タ
ンクにはカバー34が取着されていて、トラフ32をその両
端部の間で密閉している。トラフ32の末端部33において
カバーを貫通する孔36は、トラフと周囲の大気との間で
の流体連通をもたらす。トラフの回路状の形状はスペー
スを節約させ、カバーの寸法を小さくさせる。

【００２５】入口ラビリンス30はまた、溢流受けとして
も役立つ。ペンが例えば温度変化又は高度変化のような
環境変化を受けた場合、タンク内の流体容積はタンクの
容量以上に膨張するが、過剰のインクはバブル発生器を
介してタンクから流出し、入口ラビリンス30に流入する
ことができる。その後、環境条件が正常に戻るか、或い
はタンクのインクが使い果たされた場合には、かかる過
剰のインクはタンク内に再度流入することができる。

【００２６】入口ラビリンス内の過剰のインクがタンク
内に完全に再流入することを確実にするためには、入口
ラビリンスの最大断面寸法を十分に小さくし、入口ラビ
リンスの全長に沿う全ての個所において、インクが入口
ラビリンスを横断する完全なメニスカスを形成すること
を可能にすることが好ましい。そうでない場合には、少
量のインク又はインクのビード（小球滴）が入口ラビリ
ンス内に取り残される可能性がある。図示の実施例の場
合、入口ラビリンスの最大断面寸法は約0.89mmである。

【００２７】図示のインクペンの有効性は、最高許容限
度を越える背圧では液体シールが道を空け、また最低許
容限度以上の背圧では液体シールが再生されることを確
実ならしめるように、オリフィス20、ボス22及び球体24
が適切に寸法決定されることに依存する。インクペンの
種々の構成要素の正確な寸法は、例えば、材料の表面エ
ネルギー、インクの密度及び表面張力、所望とされる背
圧の範囲、及びオリフィスの形状などのような、多数の
要因に依存している。これらの要因が判明すれば、適正
寸法は当業者により容易に算出可能であり、或いは経験
的に決定可能である。

【００２８】図示の実施例において、背圧の所望範囲
は、水柱10cmから16cmであり、使用されたインクの密度
は約１g／cm³、表面張力は約60.2ダイン／cmであった。
約3.18mmの直径を有するステンレス鋼製の球体と、3.34
mmから3.39mmまでの内径を有するポリスルホン製のボス
を使用すると、満足な結果が得られることが判明してい
る。勿論、本発明の各々の特定の実施例は、それぞれの
特定のパラメータに応じて異なった寸法となり得るもの
である。

【００２９】図５及び図６に示す、本発明の代替実施例
によるバブル発生器は、インクペンのタンク12の内側に
取り付けられた基板40を有する。この基板40には、アー
チ形のトラフ42及び凹部46が備えられている。カバープ
レート44が凹部46内に嵌合し、トラフ42を覆っている。
カバープレート44は、アーチ形トラフの頂点の真上に、
オリフィス48を備えている。トラフの一方の端部は、タ
ンク内部のインクに開口しており、もう一方の端部は、
開口部50を介して周囲の大気に通じている。その結果、
インクは毛管力によってトラフ内に引き込まれ、オリフ
ィス48の下側に液体シールを形成する。

【００３０】インクペンの向きとは関係なく、トラフ内
には、毛管力によってある量のインクが捉えられる。ト
ラフがアーチ形をしていることにより、トラフの断面積
はオリフィスに隣接するアーチの頂点において最小とな
る。このような幾何学的構成とインクの毛管現象との組
み合わせにより、捉えられているインクはアーチの頂点
に向かって、従ってオリフィスに向かって押しやられ、
強固で頑丈なシールが維持される。トラフの寸法は、背
圧がプリントヘッドの作動範囲を超過した場合に、周囲
の空気によって液体シールがトラフの上方に押しやら
れ、周囲の空気がバブルとなってオリフィスを介してタ
ンク内に入り、背圧を低下させることができるようなも
のとされている。背圧が所望範囲に戻るにつれて、イン
クは毛管現象によってトラフ内に移動し、オリフィスを
再びシールする。

【００３１】図示の実施例において、例えば球体又はア
ーチ形トラフのような曲面を持つ毛管部材は、ある量の
インクをオリフィスに向かって押しやるために用いられ
ている。しかしながら他の実施例においても、毛管部材
が曲面を持つ必要がある訳ではない。例えば、ボス内に
同心に配置された円筒体（シリンダ）又は平坦なトラフ
を用いても、オリフィスに隣接してある量のインクを捉
えることができる。

【００３２】図７及び図８に示すさらに別の実施例にお
いては、繊維質あるいは多孔性の材料53によって、バブ
ル発生器51と毛管タンク57との間にインクの通路が形成
される。繊維質又は多孔性材料を使用する目的は、オリ
フィス52及び54を通って流入するバブル発生器の補給流
体が、毛管タンク57内に逃げ込み、毛管タンク57内のイ
ンク供給量を使い果たすのを防止することにある。オリ
フィス54の寸法は、オリフィス54内の毛管力が毛管タン
ク57内の毛管力よりも強力となり、毛管力によってタン
クの液体を繊維質材料を経てオリフィス内に引き込み、
液体シールを補充するようなものとされている。これら
のオリフィス及び毛管タンクの適切な寸法は、当業者が
決定可能である。

【００３３】以上の詳細な説明は、本発明の実施例につ
いて説明することのみを目的とするものであり、いかな
る意味においても、本発明の範囲を制限するものと解釈
されてはならない。特許請求の範囲に規定された本発明
の範囲及びその均等物から逸脱することなしに、本発明
に多数の付加、代替その他の修正を施すことが可能であ
ることは明らかである。

【００３４】

【発明の効果】以上の如く本発明によれば、背圧をプリ
ントヘッドの作動範囲内に好適に維持することができ
る。よって背圧が作動範囲を超過したために使用不能と
なるインクの量を最小限にでき、インクを最後まで効率
的に使用することが可能となる。また毛管部材の使用に
より、背圧の制御はペンの向きに関係なく確実に、かつ
一貫性をもって行うことができる。この圧力製造機構は
構造が複雑でなく、製造を容易かつ安価に行うことがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の１つの実施例に基づくインクペンの部
分展開底部斜視図である。

【図２】図１のインクペンの底面図である。

【図３】図２の３−３線に沿って取った断面図である。

【図４】図１に示す実施例のバブル発生器及び毛管部材
の底面図である。

【図５】本発明に基づくバブル発生器及び毛管部材の別
の実施例の側部断面図である。

【図６】図５に示す実施例の側面図である。

【図７】本発明に基づくバブル発生器及び毛管部材の別
の実施例の側部断面図である。

【図８】図７の実施例の展開斜視図である。

【符号の説明】

１０ インクペン １２ タンク １４ インク １６ プリントヘッド １８，５１ バブル発生器 ２０，４８，５２，５４ オリフィス ２２ ボス ２４ 球体 ３０ 入口ラビリンス ３２，４２ トラフ ３６，５６ 孔

フロントページの続き (72)発明者 マーク・エル・マッカーティ アメリカ合衆国オレゴン州97330コーヴァ リス，ノースウエスト・ボックスウッド・ ドライヴ・3827 (72)発明者 ローウェル・ビー・マクダニエル アメリカ合衆国オレゴン州97330コーヴァ リス，ノースウエスト・マウンテン・ヴュ ー・ドライヴ・7225 (72)発明者 ジョン・エム・アルテンドルフ アメリカ合衆国オレゴン州97330コーヴァ リス，チヌック・ドライヴ・2375 (72)発明者 ジョセフ・ビー・エリオット アメリカ合衆国オレゴン州97333コーヴァ リス，サウスイースト・クリスタル・サー クル・1978 (72)発明者 ブルース・カウガー アメリカ合衆国オレゴン州97330コーヴァ リス，ヘルム・ドライヴ・37194

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 インクジェットプリンタ用のペンであっ
   て、 タンクの内部とある容積の補充流体との間の流体連通を
   可能にすべく形成されたオリフィスを有する、インク保
   持用のタンクと、 前記オリフィスに近接して配置された毛管部材とからな
   り、前記毛管部材が前記オリフィスに隣接してある量の
   液体を保持するよう構成され、それによって前記ある量
   の液体の一部が前記オリフィス内へと引き込まれ、前記
   オリフィスをシールすることを特徴とするペン。