JPH06209794A - フィブリノゲンの定量方法 - Google Patents

フィブリノゲンの定量方法

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JPH06209794A
JPH06209794A JP664693A JP664693A JPH06209794A JP H06209794 A JPH06209794 A JP H06209794A JP 664693 A JP664693 A JP 664693A JP 664693 A JP664693 A JP 664693A JP H06209794 A JPH06209794 A JP H06209794A
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fibrinogen
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JP664693A
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Takafumi Yamada
隆文 山田
Kenji Kunai
健志 九内
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 トロンビン活性を有する蛋白、及び磁性粒子
を含有してなるフィブリノゲン定量乾燥試薬を用いて粘
度の経時変化によりフィブリノゲンを定量する方法にお
いて、予め既知濃度検体を用いて反応系の粘度が最小を
示すときから任意の所定時間までの初期粘度上昇速度と
該粘度上昇速度に対応した測定定量性を示す判定範囲と
を決定しておき、その後未知濃度の検体と前記フィブリ
ノゲン定量乾燥試薬を混合し、得られる初期粘度上昇速
度に対応した判定範囲の粘度上昇速度を測定することに
よりフィブリノゲン量を定量することを特徴とするフィ
ブリノゲンの定量方法。 【効果】 本発明の定量方法を用いることにより、フィ
ブリノゲン濃度を精度良く定量でき、且つ定量可能な範
囲も広く設定できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フィブリノゲンの定量
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フィブリノゲンの定量は、出血性疾患や
血栓線溶系の異常の診断、治療効果モニターに重要であ
る。また、この定量は、血液凝固能の正常・異常を検査
する活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)や
プロトロンビン時間(PT)と共に広く測定される検査
項目の1つである。
【0003】フィブリノゲンの測定方法は、大別すると
溶液状の試薬を用いる方法とトロンビンを含有した乾燥
試薬を用いる方法の2種類がある。
【0004】前者の方法としては、トロンビン時間法、
重量法、塩析法、抗フィブリノゲン抗体を用いる方法、
ラテックス粒子を用いる凝集法などが知られている。凝
固活性をもつフィブリノゲンの定量、測定値のバラツ
キ、方法の簡素化などの面から、これらのうちトロンビ
ン時間法が一般的に使用されている。この方法は、Cl
auss(Clauss A,Gerinungsph
ysiologisheSchneiomethode
Zur Bestimung des Fibrin
ogens,Acta Hemat,17,237,1
957)によって見いだされた。この方法を以下に示
す。
【0005】フィブリノゲンは、トロンビンの触媒作用
によってフィブリンに転換しフィブリン塊となる。この
過程において、フィブリン塊の形成時間は、フィブリノ
ゲン濃度に逆比例する。この方法は、このことを利用し
ている。実際には、血漿(希釈血漿)に一定量のトロン
ビンを加え、フィブリン塊の形成時間から濃度を求め
る。フィブリン塊の形成時間は、トロンビン試薬を添加
してから凝固終点までの時間である。この終点を見いだ
す方法としては、透過光の減衰を検知する光学的方法や
粘度上昇を検知する方法がとられている。
【0006】一方、後者の方法は、非常に簡便で新規な
凝固アッセイ方法として特表平3−504076号公報
に記載されている。この測定方法に用いられるトロンビ
ンを含有した乾燥試薬は、任意のトロンビン試薬溶液お
よびプラスミノゲン試薬溶液とを混合し、さらにこの混
合溶液に磁性粒子を添加して反応スライドに一定量分注
し、その後、凍結乾燥したものである。この乾燥試薬を
用いた測定方法は、乾燥試薬を任意の反応保持手段上に
置き、一定量の血漿を添加する。血漿添加後、振動磁場
と静止磁場の組合せをかけ、乾燥試薬中に含有される磁
性粒子を運動させ、磁性粒子の運動シグナルを光学的に
検知するところに特徴がある。この運動シグナルの上
昇、下降が系内の粘度と相関することを利用し、フィブ
リノゲン濃度およびプラスミノゲン活性化因子濃度を同
時に測定できることを示唆している。フィブリノゲンの
濃度については、血漿を添加して直後に現れる磁性粒子
の運動シグナルの負の傾斜に比例するとしている。しか
し、実際、このように血漿添加直後における磁性粒子の
運動シグナルの負の傾斜から、直接、解析する方法で
は、正確にフィブリノゲンを定量することが出来ないこ
とを本発明者らは確認した。
【0007】尚、上記公報には該乾燥試薬を用いたフィ
ブリノゲンの定量方法に関して、上記以外の具体的な技
術的手段やその効果についての説明は何らなされていな
い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、フィブリノ
ゲン濃度を精度良く定量でき、その定量範囲も広くとれ
る定量法を見いだすことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく研究を重ねた結果、判定範囲を巧みに規定
し、その判定範囲における粘度上昇速度からフィブリノ
ゲン濃度を求めることにより、精度良く、定量範囲も広
くなるフィブリノゲン定量法を見いだし、本発明を完成
するに至った。
【0010】フィブリノゲン定量乾燥試薬を用いてフィ
ブリノゲンを定量する場合、乾燥試薬の組成や測定装置
の特性が変わると得られるシグナル形状が異なるため判
定範囲を一定に設定すると定量範囲が狭くなるなどの問
題が生じる。また、濃度の異なる種々の検体に対して常
に判定範囲をある領域に固定するとフィブリノゲンを定
量することができない濃度の検体がでてくる。例えば、
その領域を試薬溶解直後に設定した場合、特に低濃度の
検体では定量性のある領域が試薬溶解後からある時間が
経過した位置に存在するのが一般的なため定量できず、
反してその領域を試薬溶解後からある時間が経過した位
置に設定した場合、前記した場合とは逆に高濃度の検体
では定量性のある領域が試薬溶解直後にあるため定量で
きない。更に、その判定範囲の幅を固定した場合も同様
な不具合が生じ、広範囲での正確な定量ができない。
【0011】そこで、判定範囲は、乾燥試薬の組成や測
定装置の特性および検体のフィブリノゲン濃度に合わ
せ、同時再現性が良好となり、精度良く定量でき、また
定量範囲が広くなるように、初期粘度上昇速度や粘度最
小時間に対応して個々に判定範囲、具体的には判定開始
時期や判定範囲の長さを変える必要がある。
【0012】本発明では、トロンビン活性を有する蛋
白、及び磁性粒子を含有してなるフィブリノゲン定量乾
燥試薬を用いて粘度の経時変化によりフィブリノゲンを
定量する方法において、予め既知濃度の検体を用いて反
応系の粘度が最小を示すときから任意の所定時間までの
初期粘度上昇速度と該粘度上昇速度に対応した測定定量
性を示す判定範囲とを決定しておき、その後、未知濃度
の検体を前記フィブリノゲン定量乾燥試薬に添加し、得
られる初期粘度上昇速度に対応した判定範囲の粘度上昇
速度を測定することによりフィブリノゲンを定量するこ
とができる。
【0013】本発明で用いる乾燥試薬中の各成分の添加
量や活性量については、後述する図1の反応スライドに
25μl分注して乾燥した場合で、以下例示する。
【0014】本発明でいうトロンビン活性を有する蛋白
は、フィブリノゲンをフィブリンに転換する触媒能を有
する蛋白である。この蛋白として牛由来のトロンビン、
ヒト由来のトロンビン、トロンビン様活性を有するヘビ
毒蛋白等が知られているが、その由来は限定されない。
トロンビン活性量は、特に限定されないが通常0.05
NIHU以上で選べばよいが、0.5〜1.5NIHU
の範囲が好適である。該トロンビン活性を有する蛋白
は、凍結乾燥品として一般に販売され容易に入手できる
のでこれを用いるのが簡便である。
【0015】本発明でいう磁性粒子は、特に限定されな
い。例えば、鉄、コバルト、ニッケルなどの金属粒子、
四酸化三鉄や二酸化クロムのような酸化物の微粒子が挙
げられる。粒子径および粒子の使用量は、特に限定され
ないが、通常、平均粒子経は0.01〜10μm、好ま
しくは0.1〜3μmであり、粒子の使用量は2×10
-6〜2×10-4g、好ましくは2×10-5〜1.2×1
-4gである。
【0016】本発明に使用するフィブリノゲン定量乾燥
試薬の製造方法は、特に限定されない。例えば、特表平
3−504076号公報で示された製造方法に準じて製
造できる。詳しくは、トロンビン活性を有する蛋白を任
意の緩衝液に溶解し、次に、該溶解液に磁性粒子を、更
に必要に応じて添加剤を添加して最終溶液とした後、該
最終溶液を任意の反応スライドに一定量分注し,乾燥す
る方法が採用できる。
【0017】本発明のフィブリノゲン定量乾燥試薬は、
上記の通り、必須成分のトロンビン活性を有する蛋白及
び磁性粒子の他に、試薬の溶解性、同時再現性を向上さ
せるためにアミノ酸またはその塩、もしくは糖類等を添
加する事が好ましい態様である。
【0018】これらのアミノ酸またはその塩として具体
的には、グルタミン酸、グルタミン酸ナトリウム、アス
パラギン酸、アスパラギン酸ナトリウム、グリシン、グ
リシン塩酸塩、リジン、リジン塩酸塩などが挙げられ
る。糖類としては、単糖類、多糖類が挙げられ、単糖類
としてはグルコース、フルクトース、多糖類としてはシ
ョ糖、乳糖、デキストリン等が挙げられる。乾燥試薬に
含まれるこれら添加剤の量は0.02〜1mgの範囲で
選べばよいが、好ましくは0.2〜0.8mgである。
【0019】また、最終溶液の調製に使用される緩衝液
は、pH6.0〜pH8.0の範囲で緩衝作用を示すも
のであれば特に限定されない。例示すれば、20mMH
EPES緩衝液(pH7.35)または20mMリン酸
緩衝液(pH7.4)等が好適なものとして挙げられ
る。
【0020】本発明でいう粘度の経時変化は、フィブリ
ンの産出による反応系の粘度変化である。この粘度の経
時変化の測定は、光学的、力学的手段など任意の方法で
とらえて、シグナルが得られるものであれば特に限定さ
れない。例えば、血液凝固の乾燥試薬用の測定装置とし
て商品名CG01〔(株)A&T販売〕や商品名COA
G−1〔和光純薬工業(株)〕が市販されており、利用
できる。これらの測定装置による反応系の粘度の経時変
化の測定方法を以下に示す。
【0021】これらの測定装置で用いる乾燥試薬を保持
した反応スライドの構造を図1に示す。図中のaの部分
に乾燥試薬が保持されている。また、点線で囲んだ部分
は検体添加口や空気抜き口を含む主要部分である。この
主要部分の構成を示したものが図2である。ポリエステ
ル製の板b,c,dを貼り合わせたもので板dは白色で
あるがbは透明無色である。
【0022】これらの測定装置では、反応スライド内の
粘度上昇を磁性粒子の運動シグナルの減衰として光学的
にモニターできる。即ち、該測定装置の測定原理は装置
内の反応保持手段上に置き、次いで該乾燥試薬に一定量
の検体を添加し、その直後に振動磁場と静止磁場の組合
せをかけ、試薬中に含有されている磁性粒子を運動させ
て、その磁性粒子の運動を光学的にモニターして運動シ
グナルを得るというものである。得られたシグナル波形
を図3に示す。図3の縦軸は、シグナル強度(単位:カ
ウント)を示す。これは磁性粒子の運動をモニターして
得られる散乱光の変化量を微分して得られる値である。
このシグナル強度の値が大きいほど反応系の粘度が小さ
く、シグナル強度の値が小さいほど反応系の粘度が大き
いことを示している。この波形において検体を添加して
から、いったん粘度が減少し、その後粘度が上昇するこ
とが分かる。これは乾燥試薬が検体に溶解するにつれて
粘度が減少しその後反応が進んで粘度が上昇することに
起因している。
【0023】本発明でいう反応系の粘度が最小を示すと
きの時間について、図3のシグナル波形を例に以下に示
す。測定装置CG01やCOAG1では、系内の粘度変
化を反映した図3に示す様なシグナル波形が得られる。
次に、このシグナル強度の対数をとる。この得られた波
形を対数シグナル波形と呼ぶ。例えば図4に示す様な対
数シグナル波形が得られる。図3、図4中の横軸は検体
を添加してからの時間を示す。縦軸は、それぞれシグナ
ル強度、シグナル強度の対数を示す。このシグナル波
形、対数シグナル波形においてシグナル強度やシグナル
強度の対数の値が小さいほど粘度が大きいことを示して
いる。即ち、反応系の粘度が最小を示すときとは、図
3、図4の例では、各々シグナル強度、シグナル強度の
対数が最大となるときである。
【0024】本発明でいう初期粘度上昇速度について、
図4を例として以下に示す。この場合、初期粘度上昇速
度は、図4中に示す対数シグナル波形中のA,Bを用い
て式 初期粘度上昇速度(%)=(B/A)×100 で表わされる。従って、上記式で表される初期粘度上昇
速度(%)は、その値が小さいほど粘度上昇速度が大き
いことを意味する。ここで示すAは、各測定におけるシ
グナル強度の対数の最大値であり、これは、反応系の粘
度が最小を示すときのシグナル強度の対数の値に相当す
る。またBは、反応系の粘度が最小を示すときから任意
の所定時間Cが経過した時のシグナル強度の対数の値で
ある。図中に示す時間幅Cは特に限定されず任意の値を
決めればよいが、好ましくは定量精度が上がるなどの点
から12秒前後の値を用いるとよい。
【0025】本発明では、判定範囲の粘度上昇速度を測
定することにより、フィブリノゲンを定量することがで
きる。判定範囲の粘度上昇速度は、同じく図4を例にす
れば判定範囲における単位時間当りのシグナル強度の対
数の変化量で表される。その判定範囲の粘度上昇速度
は、フィブリノゲン濃度に対応している。即ち、血中も
しくは血漿中のフィブリノゲン濃度が高いほど、判定範
囲の粘度上昇速度は大きい。
【0026】上記判定範囲は、予め既知濃度の各種検体
を用いて初期粘度上昇速度に対応させて連続的あるいは
段階的に決定しておく。連続的に判定範囲を決定する場
合を図4に基づいて以下説明する。
【0027】その決定方法は、濃度が既知の各種検体を
用いて対数シグナル波形を求め、次いでこの曲線から、
試薬が溶解した後から即ち反応系の粘度が最小を示すと
きから反応が終結して反応系の粘度が一定となるまでに
存在する直線領域および上記初期粘度上昇速度を求め
る。この直線領域がフィブリノゲン濃度を最も正確に反
映するものである。この様にして求めた直線領域の開始
点(開始時間)と終了点(終了時間)を初期粘度上昇速
度に対応させて図にプロットした後、直線領域中から、
即ち開始点と終了点の間から初期粘度上昇速度が小さい
ほど判定範囲の開始点を遅く逆に初期粘度上昇速度が大
きいほど判定範囲の開始点を早く、且つ判定範囲の時間
を初期粘度上昇速度が小さいほどできるだけ長くなるよ
うに、各初期粘度上昇速度毎に判定範囲を決定する。こ
のようにすることによりノイズなどの影響を受けにくく
判定範囲の粘度上昇速度を精度良く求めることができ
る。以上のようにして決めた判定範囲の開始点と終了点
の各値を結んで連続した線、好ましくは曲線とし、両連
続線に挟まれる範囲を判定範囲とする。
【0028】上記の方法に従って決定した初期粘度上昇
速度に応じた連続した判定範囲の例を図8に示す。図中
の横軸は、初期粘度上昇速度(%)を示し、縦軸は系内
の粘度が最小を示すときからの時間を示す。図中の斜線
部分が対数シグナル波形の直線領域を基にして決定され
た判定範囲である。
【0029】更に詳しく説明すると、初期粘度上昇速度
(%)が95%の時の判定範囲は、粘度が最小を示す時
から2.5秒後から7.5秒後までの5.0秒間とな
り、96%の時の判定範囲は、粘度が最小を示す時から
7.0秒後から14.0秒後までの7.0秒間となり、
97%の時の判定範囲は、粘度が最小を示す時から7.
5秒後から15.0秒後までの7.5秒間となり、98
%の時の判定範囲は、粘度が最小を示す時から8.0秒
後から18.0秒後までの10.0秒間となり、99%
の時の判定範囲は、粘度が最小を示す時から16.0秒
後から35.0秒後までの19.0秒間となり、99.
1%以上の時の判定範囲は、粘度が最小を示す時から1
7.5秒後から38.5秒後までの21.0秒間とな
る。
【0030】また段階的に判定範囲を設定する場合、そ
の決定方法は、上述の方法と同様にして、試薬が溶解し
た後から即ち反応系の粘度が最小を示すときから反応が
終結して反応系の粘度が一定となるまでに存在する直線
領域および初期粘度上昇速度を求め、求めた直線領域中
のオーバーラップする範囲を基にして初期粘度上昇速度
に対応させて段階的に範囲を決定し、この範囲を判定範
囲とする。なお、初期粘度上昇速度を各段階に区切る基
準は対応する直線領域により適宜決定されるものであり
一定したものではない。例えば、先に定義された初期粘
度上昇速度(%)が95%未満の場合、判定範囲として
粘度が最小を示す時から2.5秒後から7.5秒後まで
の5秒間を設定し、また初期粘度上昇速度(%)が95
%以上であり、かつ99.1%未満の場合には、判定範
囲として粘度が最小を示す時から7.5秒後から15秒
後までの7.5秒間を設定し、更に初期粘度上昇速度
(%)が99.1%以上の場合には、判定範囲として粘
度が最小を示す時から17.5秒後から35秒後までの
17.5秒間を設定することができる。
【0031】このような初期粘度上昇速度に連続的また
は段階的に対応した判定範囲は、使用する装置、試薬組
成等によって左右されるので、予めフィブリノゲン濃度
が既知のモデル血漿を用いて測定を行い決定しておく必
要がある。
【0032】判定範囲の粘度上昇速度からフィブリノゲ
ンを定量するには、フィブリノゲン濃度の判明している
複数の検体について、その判定範囲の粘度上昇速度を求
め、これらから判定範囲の粘度上昇速度とフィブリノゲ
ン濃度についての検量線を予め作成して求める方法が一
般的である。即ち、フィブリノゲン濃度が未知の検体に
ついて、判定範囲の粘度上昇速度を測定すると、該検量
線からフィブリノゲン濃度に換算することができる。
【0033】具体的な応用例を示すと、判定範囲の上
限、下限を示す図8の上線、下線の曲線は、コンピュー
ターを用いて関数フィティングを行い、判定範囲の上
限、下限を初期粘度上昇速度の関数として扱う。即ち、
初期粘度上昇速度から相当する判定範囲を求めることが
できる。次いで検体を測定すると初期粘度上昇速度が計
算され、得られる初期粘度上昇速度の値から判定範囲が
求められ、更に、判定範囲の粘度上昇速度が計算されて
予め求めておいた検量線に従って測定と同時にフィブリ
ノゲン濃度を求めることができる。
【0034】また、他の発明では、トロンビン活性を有
する蛋白、及び磁性粒子を含有してなるフィブリノゲン
定量乾燥試薬を用いて粘度の経時変化によりフィブリノ
ゲンを定量する方法において、予め既知濃度の検体を用
いて検体を添加してから反応系の粘度が最小を示すとき
までの粘度最小時間と該粘度最小時間に対応した測定定
量性を示す判定範囲とを決定しておき、その後、未知濃
度の検体を前記フィブリノゲン定量乾燥試薬に添加し、
得られる粘度最小時間に対応した判定範囲の粘度上昇速
度を測定することによりフィブリノゲンを定量すること
ができる。
【0035】反応系の粘度が最小を示すときおよび判定
範囲の粘度上昇速度の定義については、前記した通りで
ある。
【0036】本発明では、検体を添加してから反応系の
粘度が最小を示すときまでの粘度最小時間をもとに判定
範囲を決定することに特徴がある。
【0037】即ち、判定範囲は、粘度最小時間に対応さ
せて連続的あるいは段階的に決定しておく。判定範囲を
粘度最小時間をもとに連続的に決定する場合を図4に基
づいて以下説明する。
【0038】その決定方法は、濃度が既知の各種検体を
用いて、対数シグナル波形を求め、次いでこの曲線か
ら、試薬が溶解した後から即ち反応系の粘度が最小を示
すときから反応が終結して反応系の粘度が一定となるま
でに存在する直線領域および上記初期粘度上昇速度を求
める。この直線領域がフィブリノゲン濃度を最も正確に
反映するものである。この様にして求めた直線領域の開
始点(開始時間)と終了点(終了時間)を粘度最小時間
に対応させて図にプロットした後、直線領域中から、即
ち開始点と終了点の間から粘度最小時間が長いほど判定
範囲の開始点を遅く逆に粘度最小時間が短いほど判定範
囲の開始点を早く、且つ粘度最小時間が長い程判定範囲
の時間をできるだけ長くなるように各粘度最小時間毎に
判定範囲を決定する。このようにすることによりノイズ
などの影響を受けにくく判定範囲の粘度上昇速度を精度
良く求めることができる。以上のようにして決めた判定
範囲の開始点と終了点の各値を結んで連続した線、好ま
しくは曲線とし、両連続線に挟まれる範囲を判定範囲と
する。
【0039】また段階的に判定範囲を設定する場合、そ
の決定方法は、上述の方法と同様にして試薬が溶解した
後から即ち反応系の粘度が最小を示すときから反応が終
結して反応系の粘度が一定となるまでに存在する直線領
域および粘度最小時間を求め、求めた直線領域中のオー
バーラップする範囲を基にして粘度最小時間に対応させ
て段階的に範囲を決定し、この範囲を判定範囲とする。
なお、粘度最小時間を各段階に区切る基準は対応する直
線領域により適宜決定されるものであり一定したもので
はない。
【0040】例えば、実施例1に示すごとく、粘度最小
時間が測定開始後5秒未満の場合、判定範囲として粘度
最小時間から2.5秒後から7.5秒後までの5秒間を
設定し、また、粘度最小時間が測定開始後5秒以上15
秒未満の場合、判定範囲として粘度最小時間から7.5
秒後から15秒後までの7.5秒間を設定し、また、粘
度最小時間が測定開始後15秒以上の場合、判定範囲と
して粘度最小時間から17.5秒後から35秒後までの
17.5秒間を設定することができる。
【0041】判定範囲の粘度上昇速度からフィブリノゲ
ンを定量するには、フィブリノゲン濃度の判明している
複数の検体について、その判定範囲の粘度上昇速度を求
め、これから判定範囲の粘度上昇速度とフィブリノゲン
濃度についての検量線を作成して求める方法が一般的で
ある。即ち、フィブリノゲン濃度が未知の検体につい
て、判定範囲の粘度上昇速度を測定すると、該検量線か
らフィブリノゲン濃度に換算することができる。
【0042】更に、他の発明では、トロンビン活性を有
する蛋白、及び磁性粒子を含有してなるフィブリノゲン
定量乾燥試薬を用いて粘度の経時変化によりフィブリノ
ゲンを定量する方法において、予め反応系の粘度がその
最小値に対して20/19倍から2倍に上昇する範囲か
ら任意に所定の判定範囲を決定しておき、その後、未知
濃度の検体を前記フィブリノゲン定量乾燥試薬に添加
し、該判定範囲の粘度上昇速度を測定することによりフ
ィブリノゲンを定量することができる。
【0043】粘度の上昇倍率について前記血液凝固乾燥
試薬用の測定装置を利用する場合で説明すると、この測
定系では、反応スライド内の粘度に反比例する磁性粒子
の運動シグナルの経時変化が得られる。ここで、粘度が
最小となる運動シグナルのシグナル強度をX、反応系の
粘度が上昇してある粘度に達した点のシグナル強度をY
とすると、この時点の粘度は、粘度の最小値に対してX
/Y倍上昇することになる。つまり、粘度が最小となる
運動シグナルのシグナル強度に対して、Y/X×100
(%)となる点が、粘度がX/Y倍上昇する点に相当す
る。例えば、反応系の粘度がその最小値の20/19倍
になる点は、粘度が最小となる磁性粒子の運動シグナル
のシグナル強度に対して95%の点に相当する。
【0044】本発明では、反応系の粘度がその最小値に
対して20/19倍から2倍に上昇する範囲の中で、任
意の2点を設定し、その2点間の範囲(時間)を判定範
囲として決定する。好ましくは、10/9倍から10/
7倍の間を判定範囲とすると同時再現性が向上するなど
の点でよい。この2点間の時間は、この範囲内であれば
特に限定されないが、好ましくは定量精度が上がるなど
の点から2秒間以上とするとよい。
【0045】ところで、反応系の粘度がその最小値に対
して20/19倍以下の範囲を用いて判定範囲とすると
全濃度領域で直線性が不十分であり、特に高濃度のフィ
ブリノゲンは全く定量できない。また、2倍以上に上昇
する範囲を用いて判定範囲とすると低濃度領域は測定で
きなく高濃度領域は測定誤差が大きいという問題を生じ
る。従って、反応系の粘度がその最小値に対して20/
19倍から2倍に上昇する範囲の中で、判定範囲を設定
する必要がある。
【0046】判定範囲の粘度上昇速度からフィブリノゲ
ンを定量するには、フィブリノゲン濃度の判明している
複数の検体について、その判定範囲の粘度上昇速度を求
め、これから判定範囲の粘度上昇速度とフィブリノゲン
濃度についての検量線を作成して求める方法が一般的で
ある。即ち、フィブリノゲン濃度が未知の検体につい
て、判定範囲の粘度上昇速度を測定すると、該検量線か
らフィブリノゲン濃度に換算することができる。
【0047】
【発明の効果】本発明の定量方法を用いることにより、
フィブリノゲン濃度を精度良く定量でき、且つ定量可能
な範囲も広く設定できる。
【0048】
【実施例】本発明の実施例を以下に示すが、本発明はこ
れらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0049】実施例1 乾燥試薬の調製方法を示す。まず、市販のトロンビン試
薬(デイド社製)に純水を加えて、100NIHU/m
lのトロンビン溶液を作製し、該水溶液と3.0%L−
グルタミン酸ナトリウム一水和物を含有した30mMH
EPES緩衝液(PH7.35)とを1:2に混合し、
さらに該混合液に最終濃度5mg/mlになるように磁
性粒子を添加混合して、凍結乾燥試薬用最終溶液を作製
する。次に、該最終溶液25μlを図1に示す反応スラ
イドに分注する。さらに、該反応スライドを液体窒素で
瞬間凍結し、凍結後、真空状態で−30℃から20℃ま
で8時間かけて直線的に上昇させる凍結乾燥法を使用し
て作製した。
【0050】この乾燥試薬に以下に示すように調製した
フィブリノゲン濃度50〜800mg/dlの希釈血漿
を25μl添加し、前記した乾燥試薬用の測定装置CG
01[(株)A&T販売]を使用し測定を行い、シグナ
ルを得た。
【0051】希釈血漿は以下のように調製した。高濃度
フィブリノゲン溶液(コスモバイオ社/FIB1)と正
常血漿(ジョージキング社製)を任意の割合で混合して
フィブリノゲン濃度が1100mg/dlの血漿を調製
した。その後、この血漿とフィブリノゲン欠乏血漿(ジ
ョージキング社)とを任意の割合で混合しフィブリノゲ
ン濃度800、600、400、300、200、15
0、100、50mg/dlの、8種類の血漿を調製し
た。調製した8種類の血漿をオーレン・ベロナール緩衝
液(シグマ社製)でそれぞれ20倍に希釈し、それぞれ
の希釈血漿を得た。
【0052】測定から得られたシグナル強度からシグナ
ル強度の対数を計算し、検体を添加してから反応系の粘
度が最小を示す時間(以下、ptと省略することがあ
る)を求めた。次に、各対数シグナル波形においてフィ
ブリノゲン濃度を反映すると考えられる直線領域を探
し、この領域内に判定範囲が含まれるようにptを場合
分けし、表1に示すように判定範囲を決めた。表1に示
す判定範囲における粘度上昇速度を計算した。
【0053】
【表1】
【0054】判定範囲の粘度上昇速度は、判定範囲の開
始点から終了点までの間のシグナル強度の対数の値の変
化を、その間の秒数で除した値であり、判定範囲の単位
時間当りの変化割合である。
【0055】次に、得られた判定範囲の粘度上昇速度と
フィブリノゲン濃度との関係を調べた。その結果を図5
に示す。横軸は、フィブリノゲン濃度を示し、縦軸は、
判定範囲の粘度上昇速度を示す。図中の点はそれぞれ5
回の測定の平均値である。この図から、8種類の希釈血
漿について、判定範囲の粘度上昇速度とフィブリノゲン
濃度との間に直線関係が得られることが判明した。その
直線の相関係数は0.99978であり、非常に良い相
関が得られた。このように濃度50〜800mg/dl
の範囲で、判定範囲の粘度上昇速度とフィブリノゲン量
との関係を示す検量線を作成することができた。
【0056】実施例2 ヒト血漿20検体について、実施例1と同じフィブリノ
ゲン乾燥試薬、実施例1と同じ希釈方法及び測定方法に
より、判定範囲の粘度上昇速度を測定した。本実験によ
り得られた各検体の判定範囲の粘度上昇速度を、実施例
1で作成した検量線をもとに、フィブリノゲン濃度に換
算した。
【0057】次に同じ検体について、従来法によりフィ
ブリノゲン値を求め、本実験で得られたフィブリノゲン
値との相関を調べた。溶液状試薬を用いる従来法を使用
してのフィブリノゲンの定量は、試薬をデータファイ・
フィブリノゲン(デイド社製)とし、測定装置をKC−
10(アメルング社製)とし、データファイ・フィブリ
ノゲンに添付されている能書に従って行った。
【0058】図6にその結果を示す。この図の横軸は、
従来法により求めたフィブリノゲン濃度を示し、縦軸
は、本実験から求めたフィブリノゲン濃度を示す。この
結果から、相関係数は、0.98966となり、従来法
とよい相関を示した。
【0059】実施例3 実施例1の測定により得られたデータについて、初期粘
度上昇速度を求めた。
【0060】初期粘度上昇速度の測定開始点は反応系の
粘度が最小となるときであり、終了点はその12秒後で
ある。本実施例における初期粘度上昇速度は、開始点と
終了点のシグナル強度の対数の値の割合(%)で計算し
た(図4参照)。
【0061】次に、対数シグナル波形が直線となる領域
をさがし、この領域内に判定範囲が含まれるように初期
粘度上昇速度を場合分けし、表2に示すように判定範囲
を決めた。表2に示す判定範囲における粘度上昇速度を
実施例1と同じ方法により計算した。
【0062】
【表2】
【0063】その判定範囲の粘度上昇速度と、既知のフ
ィブリノゲン濃度との関係を図7に示す。横軸は、フィ
ブリノゲン濃度を示し、縦軸は、判定範囲の粘度上昇速
度を示す。図中の点はそれぞれ5回の測定の平均値であ
る。この図から判定範囲の粘度上昇速度と既知のフィブ
リノゲン濃度との間に直線関係が得られ、その直線の相
関係数は0.99997であり、非常に良い相関が得ら
れた。このように濃度50〜800mg/dlの範囲で
検量線が作成可能であり、このことから初期粘度上昇速
度をもとに決定された判定範囲の粘度上昇速度からフィ
ブリノゲン量が決定できることが判明した。
【0064】実施例4 実施例1の測定により得られた各濃度のデータについ
て、初期粘度上昇速度を求めた。初期粘度上昇速度の計
算方法は、実施例3と同じである。この初期粘度上昇速
度に対応する判定範囲は、試薬が溶解した後から、即
ち、反応系の粘度が最小を示すときから、反応が終結し
て反応系の粘度が一定となるまでに存在する直線領域を
求め、各初期粘度上昇速度に対応する直線領域中の任意
の範囲を初期粘度上昇速度が小さく[図4に定義された
初期粘度上昇速度(%)は大きく]なればなるほどその
範囲も広く決定する。このように決めた範囲の開始点
(上限)と終了点(下限)の各値を結んで連続曲線と
し、両連続曲線に挟まれる範囲を判定範囲とする。この
ように求めた判定範囲を図8に示した。図8を基に初期
粘度上昇速度からその速度に対応する判定範囲を求める
ことができる。図中の横軸は、先に定義された初期粘度
上昇速度(%)を示し、縦軸は反応系の粘度が最小を示
すとき(pt)からの時間を示す。それぞれの初期粘度
上昇速度に対応する判定範囲は図中の下線から上線まで
の範囲で表される。この図から読み取れる初期粘度上昇
速度に相当する判定範囲の例を表3に示す。
【0065】
【表3】
【0066】判定範囲の粘度上昇速度を実施例3と同様
にして求め、その判定範囲の粘度上昇速度と、既知のフ
ィブリノゲン濃度との関係を図9に示す。横軸は、フィ
ブリノゲン濃度を示し、縦軸は、判定範囲の粘度上昇速
度を示す。図中の点はそれぞれ5回の測定の平均値であ
る。この図から判定範囲の粘度上昇速度と既知のフィブ
リノゲン濃度との間に直線関係が得られ、その直線の相
関係数は0.99994であり、非常に良い相関が得ら
れた。このように濃度50〜800mg/dlの範囲で
検量線が作成可能であり、このことから反応系の粘度が
最小となるときをもとに決定された判定範囲の粘度上昇
速度から、フィブリノゲン量が決定できることが判明し
た。
【0067】実施例5 実施例1で得られたシグナル強度の対数波形のデータに
ついて、ptのシグナル強度の70%(粘度上昇10/
7倍)となる点を判定範囲の開始点とし、ptのシグナ
ル強度の50%(粘度上昇2倍)となる点を判定範囲の
終了点とし、この範囲の粘度上昇速度を求めた。判定範
囲の粘度上昇速度は実施例1と同じ方法により計算し
た。次に、この値とフィブリノゲン値との関係を調べ
た。その結果を図10に示す。横軸は、フィブリノゲン
濃度を示し、縦軸は、判定範囲の粘度上昇速度を示す。
図中の点はそれぞれ5回の測定の平均値である。この図
から判定範囲の粘度上昇速度と測定したフィブリノゲン
濃度の間に直線関係が得られ、その直線の相関係数は
0.99951であり、非常に良い相関が得られた。こ
の結果から濃度50〜800mg/dlの範囲で、フィ
ブリノゲンを精度良く定量することが可能であることが
判明した。
【0068】比較例1 実施例1で得られたシグナル強度の対数波形のデータに
ついて、ptのシグナル強度の55%(粘度上昇20/
11倍)となる点を判定範囲の開始点とし、ptのシグ
ナル強度の45%(粘度上昇20/9倍)となる点を判
定範囲の終了点とし、この範囲の粘度上昇速度を求め
た。判定範囲の粘度上昇速度は実施例1と同じ方法によ
り計算した。次に、この値とフィブリノゲン値との関係
を調べた。その結果を図11に示す。横軸は、フィブリ
ノゲン濃度を示し、縦軸は、判定範囲の粘度上昇速度を
示す。図中の点はそれぞれ5回の測定の平均値である。
この図からフィブリノゲン濃度が高濃度領域(400〜
800mg/dl)では、その濃度にほぼ比例して判定
範囲の粘度上昇速度も大きくなっていることが分かる。
但し、粘度上昇速度の変化量が小さいので定量誤差が大
きくなる。一方、低濃度領域では、特に200mg/d
lより低い濃度においては粘度が20/9倍まで上昇せ
ず粘度上昇速度の測定が不可能であり、200〜400
mg/dlの濃度では測定はできたがフィブリノゲンの
定量はできいないことが判明した。以上の結果から、低
濃度領域(400mg/dl未満)では定量不可能であ
ることがわかる。
【0069】比較例2 実施例1で得られたシグナル強度の対数波形のデータに
ついて、ptのシグナル強度の100%(粘度上昇1
倍)となる点を判定範囲の開始点とし、ptのシグナル
強度の90%(粘度上昇10/9倍)となる点を判定範
囲の終了点とし、この範囲の粘度上昇速度を求めた。判
定範囲の粘度上昇速度は実施例1と同じ方法により計算
した。次に、この値とフィブリノゲン値との関係を調べ
た。その結果を図12に示す。横軸は、フィブリノゲン
濃度を示し、縦軸は、判定範囲の粘度上昇速度を示す。
図中の点はそれぞれ5回の測定の平均値である。この図
からフィブリノゲン濃度が300mg/dl未満の低濃
度領域では、その濃度にほぼ比例して判定範囲の粘度上
昇速度も大きくなっているがばらつきが大きいことが分
かる。一方、300mg/dlより高い濃度では、検量
線の直線性が得られずフィブリノゲンの定量できないこ
とが判明した。以上の結果から、実質的に全濃度領域
で、特に高濃度領域(300mg/dl以上)では定量
不可能であることがわかる。
【0070】比較例3 特表平3−504076号公報に記載されている方法に
したがって初期の傾斜からの定量を試みた。測定により
得られたシグナルは、実施例1と同じものである。図1
3に示すように初期の負の傾斜として反応系の粘度が最
小を示す時間から5秒間のシグナル変化量を求め、1秒
間当りの変化量で表した。即ち、初期の負の傾斜は、図
中に示すA,Bを用いて式(A−B)/5で表せる値で
ある。この値とフィブリノゲン濃度との関係を図14に
示す。図中の縦軸は初期の負の傾斜を示し、横軸はフィ
ブリノゲン濃度を示す。
【0071】この図から、特表平3−504076号公
報に記載されている負の傾斜からフィブリノゲン濃度を
定量する方法では、検体中の正確なフィブリノゲンを定
量することが困難であることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 反応スライドの全体図である。
【図2】 図1の反応スライドの主要部分の構成図であ
る。
【図3】 検体を添加して得られるシグナル波形であ
り、横軸は検体を添加してからの時間を示し、縦軸は、
シグナル強度を示す。
【図4】 対数シグナル波形であり、横軸は検体を添加
してからの時間を示し、縦軸は、シグナル強度の対数を
示す。
【図5】 反応系の粘度が最小を示す時間から判定範囲
を決定し得られるフィブリノゲン定量曲線(検量線)で
あり、横軸は、フィブリノゲン濃度を示し、縦軸は、判
定範囲の粘度上昇速度を示す。
【図6】 本発明の方法でのフィブリノゲン定量値と従
来法でのフィブリノゲン定量値の相関図であり、横軸
は、従来法により求めたフィブリノゲン濃度を示し、縦
軸は、本実験から求めたフィブリノゲン濃度を示す。
【図7】 初期粘度上昇速度から判定範囲を段階的に決
定して得られるフィブリノゲン定量曲線(検量線)であ
り、横軸は、フィブリノゲン濃度を示し、縦軸は、判定
範囲の粘度上昇速度を示す。
【図8】 初期粘度上昇速度から判定範囲を連続的に決
定するときの判定範囲決定曲線であり、横軸は、図4に
定義された初期粘度上昇速度を示し、縦軸は反応系の粘
度が最小を示す時間(pt)からの時間を示す。
【図9】 初期粘度上昇速度から判定範囲を連続的に決
定して得られるフィブリノゲン定量曲線(検量線)であ
り、横軸は、フィブリノゲン濃度を示し、縦軸は、判定
範囲の粘度上昇速度を示す。
【図10】 粘度の最小シグナル強度に対して70%〜
50%のシグナル強度間を判定範囲として得られるフィ
ブリノゲン定量曲線(検量線)であり、横軸は、フィブ
リノゲン濃度を示し、縦軸は、判定範囲の粘度上昇速度
を示す。
【図11】 粘度の最小シグナル強度に対して45%〜
55%のシグナル強度間を判定範囲として得られるフィ
ブリノゲン定量曲線(検量線)であり、横軸は、フィブ
リノゲン濃度を示し、縦軸は、判定範囲の粘度上昇速度
を示す。
【図12】 粘度の最小シグナル強度に対して100%
〜90%のシグナル強度間を判定範囲として得られるフ
ィブリノゲン定量曲線(検量線)であり、横軸は、フィ
ブリノゲン濃度を示し、縦軸は、判定範囲の粘度上昇速
度を示す。
【図13】 比較例3で得られるシグナル波形と負の傾
斜を示す。
【図14】 図13のシグナル波形おける負の傾斜とフ
ィブリノゲン濃度の関係を示したものである。
【付号の説明】
a 試薬充填部 b 透明樹脂板 c 透明樹脂板 d 白色樹脂板

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トロンビン活性を有する蛋白及び磁性粒
    子を含有してなるフィブリノゲン定量乾燥試薬を用いて
    粘度の経時変化によりフィブリノゲンを定量する方法に
    おいて、予め既知濃度の検体を用いて反応系の粘度が最
    小を示すときから任意の所定時間までの初期粘度上昇速
    度と該粘度上昇速度に対応した測定定量性を示す判定範
    囲とを決定しておき、その後未知濃度の検体を前記フィ
    ブリノゲン定量乾燥試薬に添加し、得られる初期粘度上
    昇速度に対応した判定範囲の粘度上昇速度を測定するこ
    とによりフィブリノゲンを定量することを特徴とするフ
    ィブリノゲンの定量方法。
  2. 【請求項2】 トロンビン活性を有する蛋白及び磁性粒
    子を含有してなるフィブリノゲン定量乾燥試薬を用いて
    粘度の経時変化によりフィブリノゲンを定量する方法に
    おいて、予め既知濃度の検体を用いて検体を添加してか
    ら反応系の粘度が最小を示すときまでの粘度最小時間と
    該粘度最小時間に対応した測定定量性を示す判定範囲と
    を決定しておき、その後未知濃度の検体を前記フィブリ
    ノゲン定量乾燥試薬に添加し、得られる粘度最小時間に
    対応した判定範囲の粘度上昇速度を測定することにより
    フィブリノゲンを定量することを特徴とするフィブリノ
    ゲンの定量方法。
  3. 【請求項3】 トロンビン活性を有する蛋白及び磁性粒
    子を含有してなるフィブリノゲン定量乾燥試薬を用いて
    粘度の経時変化によりフィブリノゲンを定量する方法に
    おいて、予め反応系の粘度がその最小値に対して20/
    19倍から2倍に上昇する範囲から任意に所定の判定範
    囲を決定しておき、その後未知濃度の検体を前記フィブ
    リノゲン定量乾燥試薬に添加し、該判定範囲の粘度上昇
    速度を測定することによりフィブリノゲンを定量するこ
    とを特徴とするフィブリノゲンの定量方法。
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