JPH062095U - スクラップ連続装入式アーク炉 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は溶解期におけるアークからスクラッ
プへの輻射熱の伝達効率を高めるとともに上部電極の損
耗量を低くおさえ、さらにはスクラップの予熱効率を高
めて高温予熱を可能とするスクラップ連続装入式アーク
炉を提供するものである。 【構成】 炉蓋上方に複数の筒状スクラップ貯留部を設
け、当該貯留部の中央に上部電極を配置し、搬送装置に
より搬送されたスクラップはいったん当該貯留部に貯め
られ連続して炉内に供給される如くなし、一方当該貯留
部の上方に排ガスダクトを設けた構造としている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、金属材料の溶解、溶融金属の精錬等に使用されるスクラップ連続 装入式アーク炉に関する。

【０００２】

【従来の技術】

金属材料の溶解、溶融金属の精錬等に使用される電気炉へのスクラップ装入は 、通常、スクラップバケットによるバッチ装入を行なうものが多く、このためス クラップ投入時の炉蓋開閉時間が必要となり生産性が低下し、また炉蓋開閉時に 炉内の熱を炉外に放散するためエネルギー効率面からもスクラップを連続して装 入するアーク炉の実用化が期待されている。

【０００３】 そこで、炉蓋を開けることなくスクラップを炉内に装入する方法として各種の 提案が行なわれている。たとえば、特公昭６１−５０２８９９号公報においては 、炉体の炉壁部にスクラップを連続して装入するための投入口を設け、スクラッ プは排ガスダクト内に設置した搬送装置で排ガスによる予熱をしながら炉内に装 入するという構造を有したアーク炉が開示されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

前記アーク炉では、スクラップは炉内炉壁近傍の一ヶ所に片寄って装入され、 堆積するため、アークからの輻射熱を効果的にスクラップに伝達することができ ず、同時に溶解期、昇熱期を通じてほぼ一定して溶融金属面と上部電極の間にア ークが発生するため、炉内へ挿入された上部電極の広範囲の部分が、長時間にわ たって高温雰囲気にさらされ、電極の損耗が多くなるという欠点を有していた。

【０００５】 一方、排ガスによるスクラップの予熱においては、排ガスダクト内に設置され る搬送装置上でスクラップが予熱されるため、排ガスの通過面積に比べスクラッ プの占める割合が低いことから熱効率が低く、またスクラップの融着等の問題よ り、高温に予熱することが難しいという欠点を有していた。

【０００６】 本考案はこのような現状に鑑み、溶解期におけるアークからスクラップへの輻 射熱の伝達効率を高めるとともに、上部電極の損耗量を低くおさえ、さらにはス クラップの予熱効率を高めて高温予熱を可能とするスクラップ連続装入式アーク 炉を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は前記課題を解決するものであって、金属材料の溶解、溶融金属の精錬 等に使用されるスクラップ連続装入式アーク炉において、炉蓋上方に複数の筒状 スクラップ貯留部を設け、該貯留部に連続的にスクラップを搬送せしめる搬送装 置を設け、前記貯留部間の中央に上部電極を配置し、さらに前記貯留部の上方に 排ガスダクトを設けたことを特徴とする。

【０００８】

【作用】

本考案においては、炉蓋上方の複数のスクラップ貯留部より連続して炉内にス クラップが供給されることから、溶解期の大部分の時間において、上部電極から のアークはスクラップに囲まれており、アークからスクラップへの輻射伝熱効率 が高くなる。また、この間上部電極の炉内への挿入長さが短くてすむことから炉 内の高温雰囲気に曝される部分が少なく、その結果、電極の損耗を低くおさえる ことが可能となる。

【０００９】 一方、炉の排ガスは炉蓋上方のスクラップ貯留部に充填されたスクラップの間 を通り排出されるため、スクラップの予熱が効果的に行われるとともに、融着等 の問題も生じないため高温予熱が可能となる。

【００１０】

【実施例】

本考案による実施例を図により示す。図１は本考案に係わるスクラップ連続装 入式アーク炉の炉体縦断面図である。炉蓋１の上方には、この例では２ヶ所にス クラップ貯留部２が設けられ、その中間部に上部電極３が配置される。各スクラ ップ貯留部２の上方には、排ガスダクト４、およびスクラップ搬送装置５が各々 設置される。

【００１１】 搬送装置５により装入されたスクラップ６は貯留部２に一旦貯められる。溶解 が進み、炉内のスクラップレベルが下がるとそれに追従して貯留部２よりスクラ ップが供給されるため、上部電極のレベルはほぼ一定に維持され、アークは溶解 期を通じ大部分の間スクラップに囲まれる状態となり、アークの輻射熱が効果的 にスクラップに伝達される。また、排ガスは炉直上のスクラップ貯留部２を上昇 し排ガスダクト４に排出されるが、この間スクラップ６に効果的に熱を伝える。

【００１２】

【考案の効果】

本考案のスクラップ連続装入式アーク炉においては、ほぼ溶解全期にわたって アークがスクラップに囲まれる状況となるため、アークの輻射熱を効果的にスク ラップに伝達することができ、熱効率の高い溶解が実現できる。また溶解期にお ける上部電極の炉内への挿入長さを短縮できることから、電極の損耗量を低くお さえることができる。

【００１３】 一方、搬送装置上での予熱に比べ、充填層でのスクラップ予熱となることから 熱効率が高く、さらにはスクラップ貯留部は炉内と連通していることからスクラ ップの融着等の問題がなく、スクラップの高温予熱ができる。これらにより操業 コストの削減が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のスクラップ連続装入式アーク炉の炉体
縦断面図

【符号の説明】

１ 炉蓋 ２ スクラップ貯留部 ３ 上部電極 ４ 排ガスダクト ５ スクラップ搬送装置 ６ スクラップ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属材料の溶解、溶融金属の精錬等に使
   用されるスクラップ連続装入式アーク炉において、炉蓋
   上方に複数の筒状スクラップ貯留部を設け、該貯留部に
   連続的にスクラップを搬送せしめる搬送装置を設け、前
   記貯留部間の中央に上部電極を配置し、さらに前記貯留
   部の上方に排ガスダクトを設けたことを特徴とするスク
   ラップ連続装入式アーク炉。