JPH06207299A - 平版印刷版用支持体の陽極酸化装置 - Google Patents

平版印刷版用支持体の陽極酸化装置

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JPH06207299A
JPH06207299A JP29420491A JP29420491A JPH06207299A JP H06207299 A JPH06207299 A JP H06207299A JP 29420491 A JP29420491 A JP 29420491A JP 29420491 A JP29420491 A JP 29420491A JP H06207299 A JPH06207299 A JP H06207299A
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JP
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electrode
strip
anodizing
electrolytic solution
aluminum product
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JP29420491A
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Hiroo Kubota
洋夫 久保田
Nagayoshi Kaneko
修芳 金子
Akio Uesugi
彰男 上杉
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】平版印刷版用支持体の陽極酸化装置において、
帯状物の側端部に酸化皮膜量が増加しすぎたり、焼け故
障が発生することなく、電流密度を上げることができる
ようにする。 【構成】符号11は陽極酸化槽で、この陽極酸化槽11内
に、帯状物の搬送方向に切断した断面形状が円弧状の電
極12が設けられている。電極12の上方にはアルミニウム
製品18を搬送する支持ローラ15が設けられている。電極
12の巾は、アルミニウム製品18の巾の略1/2となってい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、平版印刷版用支持体の
製造方法に関するものであり、特にアルミニウムまたは
その合金製の機械的、化学的又は電気化学的方法で粗面
化処理された平版印刷版用支持体を陽極酸化処理する装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、平版印刷版に使用されるアルミ
ニウム支持体は、親水性及び保水性に優れていることが
要求され、そのために機械的、化学的又は電気化学的な
方法で表面に微細な凹凸を形成して粗面化処理されてい
る。さらに、この粗面化処理された表面の機械的強度及
び保水性を向上させるために、表面を陽極酸化処理する
ことも一般に行われている。
【0003】従来、平版印刷版用支持体の陽極酸化処理
は、特開昭48−26638号、特公昭58−24517号、特開昭47
−18739号各公報等で開示されている陽極酸化処理方法
で行われており、この方法は、いわゆる液中給電方式と
呼ばれている。この液中給電方式による陽極酸化処理装
置としては、例えば、図11に示す装置があった。図11に
示す陽極酸化処理装置は、アルミニウム製品1を負に帯
電するための給電部2、その負に帯電したアルミニウム
製品1を陽極酸化処理するための陽極酸化処理部3およ
び給電部2と陽極酸化処理部3との液中間での電流の短
絡を防止するための中間部4の三つの部分によって構成
されている。そして、給電部2と陽極酸化処理部3に
は、給電電極5と電解電極6がそれぞれ電解液中に配設
され、これらの給電電極5と電解電極6は直流電源7を
介して接続されている。
【0004】また、上記電解電極6は、図12に示すよう
に、アルミニウム製品1の巾より大きく形成されてい
る。
【0005】このような陽極酸化処理装置においては、
直流電源7からの電流は、給電部2で給電電極5から電
解液を介してアルミニウム製品1に流れ、その電流がア
ルミニウム製品1内を陽極酸化処理部3へ流れる。これ
により、陽極酸化処理部においてアルミニウム製品1の
表面に陽極酸化皮膜が生成される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、平版印刷版
用支持体の製造ラインにおいては、平版印刷版製品のサ
イズが非常に多様であるので、通常、被処理物であるア
ルミニウム製品も多様な巾のものが用いられている。
【0007】そこで、従来、上述した図12に示すよう
に、電解電極の巾をアルミニウム製品の最大巾よりも広
くして、多様な全てのアルミニウム製品に対応できるよ
うにしていた。
【0008】したがって、陽極酸化処理部においてはア
ルミニウム製品の側端部に電流が集中し、両側端部にお
ける酸化皮膜量が中央部に比べて増大するものであっ
た。このような現象は、供給電流量が小さい場合は余り
問題にならないが、生産性向上のために処理ラインを高
速化させたり、品質性能を向上させるために陽極酸化皮
膜量を増加させる場合には、アルミニウム製品の側端部
における酸化皮膜量の増大が著しくなり、品質上の許容
限界を越えたり、局所的な反応の集中により所謂焼け故
障が発生するものであった。したがって、高電流密度化
ができず処理ラインの高速化、陽極酸化皮膜量の増加等
を行うことができなかった。また、高電流密度化ができ
ないところから、設備が大きく、かつ設備費も高くなる
ものであった。
【0009】本発明は、以上の問題点を解決し、帯状物
の側端部に悪影響を与えることなく、処理ラインの高速
化、陽極酸化皮膜量の増加等を行うことができるととも
に、設備のコンパクト化等もできる平版印刷版用支持体
の陽極酸化装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するためになされたもので、本発明の平版印刷版用支持
体の陽極酸化装置は、電解液と、該電解液中に設けられ
た電極とを有し、電解液中に長尺のアルミニウム又はそ
の合金製の帯状物を走行させて帯状物を陽極酸化する装
置において、電極の巾が帯状物の巾より短かいことを特
徴として構成されている。この電極の巾は、帯状物の
巾、帯状物と電極との距離等によって、適宜最適な長さ
に設定される。例えば、帯状物の巾が1000mm、帯状物と
電極との距離が20mmの場合、300〜900mmの範囲が好まし
く、500〜800mmの範囲が特に好ましい。
【0011】また、本発明の平版印刷版用支持体の陽極
酸化装置は、電解液と、該電解液中に設けられた電極と
を有し、電解液中に長尺のアルミニウム又はその合金製
の帯状物を走行させて帯状物を陽極酸化する装置におい
て、電極と帯状物との間であって、少なくとも帯状物に
対向しないが電極に対向する位置に絶縁部材を設けるこ
とを特徴として構成されている。この絶縁部材は、電極
と帯状物の間であって、少なくとも帯状物に対向しない
が電極に対向する位置に設けられる。すなわち、絶縁部
材が最小の場合、絶縁部材の内側の側端が帯状物の側端
と一致するものであり、それ以外の場合、絶縁部材の内
側の側端が、帯状物の側端より内側に位置しているもの
である。この絶縁部材の内側の側端の位置は、帯状物の
巾、電極の巾、帯状物と電極の距離等により適宜決定さ
れ、例えば、帯状物の側端から200mmの範囲が好まし
い。絶縁部材の内側側端が帯状物の側端より外側にある
と、帯状物の側端部への電流の集中を有効に抑制するこ
とができず、絶縁部材の内側側端が帯状物の側端から内
側に向かって200mmより内側にあると、帯状物の側端部
における陽極酸化皮膜量が通常より減少する。
【0012】このような絶縁部材として、電極の表面に
設けられ、帯状物の巾方向において側端部より中央部の
方が開口率が大きい電極カバーを用いることができる。
この絶縁カバーは、開口部が穿設されており、この開口
部の開口率が中央部の方が大きくなっている。例えば、
開口部を円形としたとき、中央部は径を大きく側端部は
径を小さくしたり、中央部側を底辺そして側端部側を頂
点とするような二等辺三角形としたりする。
【0013】さらに、本発明の平版印刷版用支持体の陽
極酸化装置は、電解液と、該電解液中に設けられた電極
とを有し、電解液中に長尺のアルミニウム又はその合金
製の帯状物を走行させて帯状物を陽極酸化する装置にお
いて、電極の有効面積が、帯状物の巾方向において側端
部より中央部の方が大きいことを特徴として構成されて
いる。電極の有効面積を帯状物の巾方向において側端部
より中央部の方を大きくするには、例えば電極の側端部
を連続する三角形、四角形、円弧状等に形成したり、電
極全体に開口部を穿設し、その開口部を側端に行くに従
って小さくしたりする。
【0014】さらにまた、本発明の平版印刷版用支持体
の陽極酸化装置は、電解液と、該電解液中に設けられた
電極とを有し、電解液中に長尺のアルミニウム又はその
合金製の帯状物を走行させて帯状物を陽極酸化する装置
において、電極が、帯状物の巾方向において側端に行く
に従って帯状物との距離が長くなるように形成されてい
ることを特徴として構成されている。すなわち、この電
極は、その断面形状において、中央に行くに従って帯状
物方向に突出した形状に形成されている。この突出した
形状は、連続的であっても、非連続的であってもよく、
例えば、連続的に変化する形状としては、円弧状、二等
辺三角形状、放物線状等があり、非連続的に変化する形
状としては、階段状がある。
【0015】本発明の陽極酸化装置は、従来用いられて
いる公知の陽極酸化装置(フラット型)に適用すること
ができるが、帯状物を支持する支持ローラーと、該支持
ローラーの上流または下流の少なくとも一方に設けられ
た帯状物と接触する給電ローラーと、前記支持ローラー
の外周面に沿って設置された略同心円状の電極とを有す
る装置(ラジアル型)に適用することが以下の点で好ま
しい。
【0016】すなわち、支持ローラーを用いない装置
は、電解液中で生ずる電圧ロスが無視できないほど大き
なものであった。つまり、給電部及び陽極酸化処理部に
おいて、アルミニウム製品と電極の距離が短いと、アル
ミニウム製品のばたつきや不安定な搬送によるアルミニ
ウム製品の電極への接触により、傷つきやスパーク等の
品質故障が発生する場合がある。したがって、これらの
品質故障を防止するためには、アルミニウム製品と電極
の距離を大きくしなければならず、通常、50mm以上の距
離を取る必要があった。その結果、電解液中で生ずる電
圧ロスが大きいものとなっていた。
【0017】また、従来の装置は、アルミニウム製品の
両面が電解液に漬かっているので、陽極酸化処理を施さ
ない反対側の面にも電流が回り込んで酸化皮膜を生成さ
せる。したがって、片面処理製品を製造する場合には、
アルミニウム製品の反対側の面への電流の回り込みを防
止するための手段、例えば特開昭57−47894号公報に開
示されているような特別な手段を設ける必要があった。
【0018】すなわち、従来の陽極酸化処理では以下に
示す問題点があった。第1に、陽極酸化処理ラインの高
速化、陽極酸化皮膜量の増加等を安価に行えなかった。
すなわち、生産性を向上させるために陽極酸化処理ライ
ンを高速化する際や、品質性能を向上させるために陽極
酸化皮膜量を増加させる際には、供給電流量を上げなけ
ればならず、供給電流量を上げるとアルミニウム製品内
でのオーム損による電圧降下が増加する。したがって、
電源の電解電圧を増大させることが必要となってくる。
【0019】このように電解電圧を増加させると供給電
力量が増大するので、ランニングコストが増加し、か
つ、電源能力を大きくする必要があるので設備コストも
増加することになった。また、電解電圧が大きくなるこ
とから、給電電極と電解電極の間におけるアルミニウム
製品内のジュール熱の発生量が大きくなるので、アルミ
ニウム製品および電解液を定常の規定温度にまで冷却す
るための冷却費も増加することになる。以上のように、
従来の装置で電解処理ラインの高速化等を図ろうとする
と、極めて高価になるものであった。
【0020】第2に、薄いアルミニウム製品では、陽極
酸化処理ラインの高速化等が困難であった。すなわち、
給電部と陽極酸化処理部の間の中間部では、供給される
全電流がアルミニウム製品に流れるため、供給電流量が
大きい場合、厚さの薄いアルミニウム製品は必要以上に
発熱し、溶断した。したがって、薄いアルミニウム製品
の場合は、供給電流量に限界があり、陽極酸化処理ライ
ンの高速化、陽極酸化皮膜量の増加等を行うことは困難
であった。
【0021】そこで、支持ローラーの両側に給電ローラ
ーを設けると、帯状物への電流の供給が上流側給電ロー
ラーを介す部分と下流側給電ローラーを介す部分との2
つのルートで行われるので、従来に比べて1/2の電流量
でよくなる。
【0022】したがって、ラインの高速化等に際し、従
来に比して供給電力が少なくてすみ、工程中の発熱量も
低減するので冷却負荷が小さくなり、工程に要するコス
トが激減する。また、電源電圧の昇圧能力の大きなもの
を使用する必要がないので、コンパクトで設備費の少な
くてすむ電源設備とすることができる。さらに、薄物の
アルミニウム製品の場合でも、アルミニウム製品が溶断
することが無く、安定した陽極酸化処理を行うことがで
きる。
【0023】また、給電ローラーが接触するのは、帯状
物の被処理面(陽極酸化皮膜の生成面)であっても反対
面(陽極酸化皮膜の生成されない面)であってもよい
が、反対面であることが好ましい。何故なら、帯状物の
被処理面は、陽極酸化処理以前の工程で粗面化処理され
ているため表面に微小な凹凸が存在する。したがって、
被処理面に給電ローラーを接触させて給電した場合、帯
状物と給電ローラーの接触が不均一になって接触部に電
流が集中し、帯状物の表面にスパーク故障などの品質故
障が発生する場合があり、この品質故障は、高速、高効
率処理のために電流値を増大させた場合に特に発生し易
くなる。また、給電ローラーを帯状物の被処理面に接触
させると、給電ローラーを支持ローラーの下流側に配置
した場合、支持ローラーの下流側では酸化皮膜を通して
給電が行なわれることになり、傷つき故障発生の原因と
なるばかりでなく、電圧ロスにもつながる。以上のよう
に、給電ローラーを帯状物の被処理面の反対側の面に接
触させることにより、上述した欠点を防止でき、高速、
高皮膜量処理においても品質の優れた安定した処理が可
能になる。
【0024】支持ローラーは、帯状物を一方の面のみ電
解液に浸漬した状態で搬送させるもので、駆動源が設け
られてそれ自身が回転するものであっても、フリーに設
けられ単に回転自在なだけであってもよい。
【0025】電極は、支持ローラーと同心円状に設けら
れるのが好ましく、支持ローラーと電極の間隙は1〜40
mmの範囲にあることが好ましい。
【0026】帯状物は、純アルミニウム又はアルミニウ
ム合金で形成されており、このアルミニウム合金として
は、例えば、珪素、鉄、銅、マンガン、マグネシウム、
クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケルなどの金属とのアル
ミニウム合金がある。帯状物の厚みは、一般に、0.1〜
0.5mmの範囲である。
【0027】電解液としては、例えば、硫酸、燐酸、シ
ュウ酸又はそれらの塩の水溶液、あるいはそれらの混合
液があるが、所望の品質を得るために最適なものを選べ
ばよい。電解液の濃度、温度も自由に選択できる。
【0028】電源波形としては、直流の場合が一般的で
あるが、他にも交流波形や交直重畳波形など所望の品質
を得るために最適なものを選択できる。
【0029】陽極酸化時の電流密度は、自由に選択でき
る。例えば、処理時間中常に一定値としてもよいし、次
第に電流密度を上げていくようにしてもよい。
【0030】本発明の陽極酸化処理の前段階において、
通常、粗面化処理が施されている。この粗面化処理は、
アルミニウム支持体の保水性及びその上に塗設される感
光材料との密着性を向上させるためのもので、機械的粗
面化法、化学的粗面化法、電気化学的粗面化法又はそれ
らを組み合わせた方法により行われる。
【0031】機械的粗面化法としては、例えば、ワイヤ
ーブラシングレイニング法、ブラシグレイニング法、サ
ンドブラスト法、ボールグレイニング法がある。化学的
粗面化法としては、例えば、選択的に表面を溶解させる
方法がある。電気化学的粗面化法としては、例えば、硝
酸、塩酸及びその混合液を電解液として用いる方法があ
る。さらに、これらに硝酸アルミニウム、塩化アルミニ
ウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸マン
ガン、塩化マンガン、硝酸鉄、塩化鉄などの塩類を添加
してもよい。また、塩化ナトリウムや硝酸ナトリウムな
どの中性塩水溶液も用いられる。
【0032】また、粗面化処理した後陽極酸化処理前
に、必要に応じてアルカリエッチング処理、中和処理、
デスマット処理などが適宜選択、複合して実施すること
ができる。
【0033】また、以上のような装置を1ユニットとし
て2つ以上の複数のユニットを長手方向に連結させ、複
数回上述した同様の陽極酸化処理を繰り返してもよい。
【0034】帯状物を陽極酸化処理した後、必要により
特開平1−150583号公報記載の封孔処理、特開昭60−14
9491号公報記載の親水化処理、米国特許3181461号明細
書記載のアルカリ金属シリケート水溶液処理、米国特許
3860426号明細書記載の水溶性金属塩を含む親水性セル
ロースの下塗り層塗設などを適宜選択して実施できる。
【0035】本発明による平版印刷版用支持体は、その
表面に感光層を設けて感光性平版印刷版とすることがで
きる。この感光層の組成物としては、ジアゾ樹脂からな
るもの、o-キノンジアジゾ化合物からなるもの、感光性
アジド化合物からなるもの、光重合性組成物、分子中に
不飽和二重結合を有する感光性樹脂からなる組成物等が
ある。
【0036】
【作用】本発明では、電極の巾を帯状物の巾より短くし
たり、電極と帯状物との間であって少なくとも帯状物に
対向しないが電極に対向する位置に絶縁部材を設けた
り、電極の有効面積を帯状物の巾方向において側端部よ
り中央部の方を大きくしたり、帯状物の側端部に対向す
る電極を遠くしたりすることにより、帯状物の側端部に
流れ込む電流を抑制する。
【0037】
【実施例】本発明の平版印刷版用支持体の陽極酸化装置
の一実施例を図1及び図2に基づいて説明する。
【0038】図1は、平版印刷版用支持体の陽極酸化装
置の帯状物の搬送方向に接断した断面図、図2は、図1
中A−A線端面図である。図1において、符号11は陽極
酸化槽で、この陽極酸化槽11内に、帯状物の搬送方向に
切断した断面形状が円弧状の電極12が設けられている。
この電極12の一方の端部上方には電解液流入口13が設け
られ、この電解液流入口13から電解液14が陽極酸化槽11
内に充填されている。
【0039】電極12の上方には、僅かな距離を隔てて同
心円状の周面を持つ支持ローラー15が電解液14に略下半
分が浸漬した状態で回転自在に配設されている。この支
持ローラー15の両側には、上流側給電ローラー16及び下
流側給電ローラー17が回転自在に設けられ、これら給電
ローラー16、17は電源(図示せず)を介して電極12に接
続されている。そして、帯状物としてのアルミニウム製
品18が、支持ローラー15に巻きつけられるとともに、給
電ローラー16、17に巻付けられている。
【0040】また、電極12は、図2に示すように、巾が
アルミニウム製品18の巾の略1/2で、かつアルミニウム
製品18の中央部の対向して配置されている。したがっ
て、アルミニウム製品18の側端部に対向する部分には、
電極12が存在しないようになっている。
【0041】以上のような陽極酸化装置でアルミニウム
製品を陽極酸化する方法について説明する。
【0042】まず、アルミニウム製品18の陽極酸化しよ
うとする方の面を給電ローラー16、17に接触させた状態
で支持ローラー15にも密着させ、支持ローラー15を回転
させてアルミニウム製品18を搬送させ、かつ、電源をO
Nして電流を供給する。この給電された電流は、給電ロ
ーラー16、17からアルミニウム製品18に流れ、さらに、
アルミニウム製品18内をそれぞれ図中最下端部に流れ、
そして、電解液14を介して電極12に流れ込み、アルミニ
ウム製品18の露出面に陽極酸化皮膜が形成される。
【0043】このとき、アルミニウム製品18の側端部に
おける電流密度の増加が抑制されるので、陽極酸化皮膜
量を適度な範囲内にすることができ、かつ焼け故障が発
生することも無い。また、アルミニウム製品18を傷つけ
ることなくアルミニウム製品18と電極12の距離を短くで
き、かつアルミニウム製品18を流れる電流が半減するの
で、電解電圧を減少させることができる。さらに、上述
したようにアルミニウム製品18を流れる電流が半減する
ので、薄いアルミニウム製品18を高速で処理しても溶断
することがない。
【0044】本発明の平版印刷版用支持体の陽極酸化装
置の他の実施例を図3及び図4に基づいて説明する。
【0045】図3は、平版印刷版用支持体の陽極酸化装
置の帯状物の搬送方向に切断した断面模式図、図4は、
図3中B−B線端面図である。これらの図に示す陽極酸
化装置は、支持ローラー15と電極12との間に同心円状の
絶縁部材19が設けられ、この絶縁部材19は陽極酸化槽11
の両側壁に固定され、その先端が帯状物の側端より内側
に位置している。その他の構成は、図1に示す陽極酸化
装置と同様である。
【0046】図5及び図6は、電極の表面に帯状物の巾
方向において側端部より中央部の方が開口率が大きい絶
縁カバーを設けた例の部分平面図である。
【0047】図5に示す例は、電極12は従来と同一であ
るが、この電極12の中央の一部分を残して上表面に絶縁
カバー21が固着されている。
【0048】この絶縁カバー21は、円形の開口22が多数
穿設され−即ち、その開口22において電極12が露出して
いる、その開口22の大きさは中央部側へ行くにつれて大
きくなっている。したがって、電極12は中央部に行くに
つれて露出面積が大きくなっている。
【0049】図6に示す例も、電極12は従来と同一であ
るが、電極12の側端部に絶縁カバー21が固着されてい
る。この絶縁カバー21は、中央部側において二等辺三角
形状の切欠き23が一定間隔で穿設されている。したがっ
て、電極12の側端部は中央部より露出面積が小さくなっ
ている。
【0050】図7は、電極の有効面積を帯状物の巾方向
において側端部より中央部の方が大きい例の部分平面図
である。この図に示す電極12は、両側端部において長方
形状の切欠き20が一定間隔で穿設されている。
【0051】図8から図10までは、電極を帯状物の巾方
向において側端に行くに従って帯状物との距離が長くな
るように形成されている例の部分端面図である。
【0052】図8に示す陽極酸化装置は、電極12の中央
部上方に突出した直方体状の凸部12aが形成され、この
凸部12aの巾はアルミニウム製品18の略半分に形成され
ている。したがって、アルミニウム製品18の電極12との
距離は、中央部において近く、側端部において遠くなっ
ている。
【0053】図9に示す陽極酸化装置は、電極12が中央
部において一番高く、かつ両側端に行くに従って階段状
に低くなるような段部12b、12c、12d、12eで形成さ
れている。
【0054】図10に示す陽極酸化装置は、電極12の上面
が円弧状の円弧面12fとなっている。したがって、アル
ミニウム製品18と電極12との距離は、中央部から側端に
いくに従って連続的に長くなっている。
【0055】次に、図1及び図2の陽極酸化装置と従来
の陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理した実験結果に付
いて説明する。 陽極酸化処理する帯状物;長尺のJIS 1050アルミニウム
の帯板状製品(厚み0.15mm、幅1000mm)をライン搬送速
度50m/分で以下の処理を行なった。まず、パミスー水懸
濁液を研磨剤として回転ナイロンブラシで表面を砂目立
てした。この時の表面粗さ(中心線平均粗さ)は0.5μ
mであった。水洗後、70℃の10%苛性ソーダ水溶液中で
アルミニウムの溶解量が6g/m2になるようにエッチング
した。水洗後、30%硝酸水溶液中で中和し、再び水洗を
行なった。その後、0.7%硝酸水溶液中で陽極時電圧13
ボルト、陰極時電圧6ボルトの矩形波交番波形を用いて
(特開昭52−77702号公報実施例に記載の電源波形)20
秒間電解粗面化を行ない、20%硫酸水溶液中で表面を洗
浄した後、水洗した。
【0056】実施例1 上記アルミニウム製品を、図1及び図2に示す陽極酸化
処理装置を用い、電解液として20%の硫酸水溶液、ライ
ン搬送速度50m/分、電解電圧27V、供給電力900kw、電
流密度25A/dm2で陽極酸化処理した。また、アルミニウ
ム製品の巾は、1000mm、電極の巾は、600mm、アルミニ
ウム製品と電極の距離は、20mmであった。
【0057】その結果、膜厚1.5μmの酸化皮膜が良好
に形成され、焼け故障等も発生せず良好な品質であっ
た。また、支持ローラー出口でのアルミニウム製品の表
面温度は50℃であり、長時間経過しても安定的に陽極酸
化処理が行われた。
【0058】実施例2 電流密度を50A/dm2とした他は実施例1と同様の条件で
陽極酸化処理を行ったが、実施例1と同様な結果を得
た。
【0059】実施例3 ライン搬送速度を100m/分とした他は実施例1と同様の
条件で陽極酸化処理を行ったが、実施例1と同様な結果
を得た。
【0060】比較例1 上記アルミニウム製品を、図11及び図12に示す陽極酸化
処理装置を用い、電解液として20%の硫酸水溶液、ライ
ン搬送速度50m/分、電解電圧120V、供給電力5000kw、
電流密度25A/dm2で陽極酸化処理した。また、アルミニ
ウム製品の巾は、1000mm、電極の巾は、1600mm、アルミ
ニウム製品と電極の距離は、100mmであった。
【0061】その結果、アルミニウム製品の側端部に焼
け故障が発生し、中間部でのアルミニウム製品の表面温
度は120℃であり、処理開始後約1分間でアルミニウム
製品が溶断し、処理を継続することができなかった。
【0062】図3及び図4に示す陽極酸化装置と従来の
陽極酸化装置とを用いて陽極酸化処理した実験結果に付
いて説明する。陽極酸化処理する帯状物は実施例1、2
及び3と同一である。
【0063】実施例4 上記アルミニウム製品を、図3及び図4に示す陽極酸化
処理装置を用い、電解液として20%の硫酸水溶液、ライ
ン搬送速度50m/分、電解電圧27V、供給電力900kwで陽
極酸化処理した。なお、アルミニウム製品19の巾は1000
mm、電極の巾は1600mm、そして絶縁部材の16の内側側端
は、アルミニウム製品の側端から100mmに位置するよう
にした。
【0064】その結果、膜厚1.5μmの酸化皮膜が良好
に形成され、アルミニウム製品の側端部に焼け故障等も
発生しなかった。また、支持ローラー出口でのアルミニ
ウム製品の表面温度は50℃であり、長時間経過しても安
定的に陽極酸化処理が行われた。また、支持ローラーと
電極の間隔は20mmであり、アルミニウム製品の酸化皮膜
が形成される面と反対の面には酸化皮膜は形成されてい
なかった。
【0065】実施例5 ライン搬送速度を100m/分とした他は実施例4と同様の
条件で陽極酸化処理を行ったが、実施例4と同様な結果
を得た。
【0066】実施例6 電流密度を50A/dm2とした他は、実施例4と同様の条件
で陽極酸化処理を行ったが、実施例4と同様な結果を得
た。
【0067】比較例2 上記アルミニウム製品を、図11に示す陽極酸化処理装置
を用い、電解液として20%の硫酸水溶液、ライン搬送速
度50m/分、電解電圧120V、供給電力5000kwで陽極酸化
処理した。なお、アルミニウム製品の巾は1000mm、電極
の巾は1600mmであった。
【0068】その結果、アルミニウム製品の側端部で焼
け故障が発生し、また中間部でのアルミニウム製品の表
面温度は120℃であり、処理開始後約1分間でアルミニ
ウム製品が溶断し、処理を継続することができなかっ
た。また、アルミニウム製品と電解電極の間隔は100mm
であり、アルミニウム製品の酸化皮膜が形成される面と
反対の面にも酸化皮膜が形成されていた。
【0069】図7及び図5に示す電極の陽極酸化装置と
従来の図12に示す電極の陽極酸化装置とを用いて陽極酸
化処理した実験結果に付いて説明する。陽極酸化処理す
る帯状物は、実施例1、2及び3と同一である。
【0070】実施例7 上記アルミニウム製品を、図7に示す電極の陽極酸化装
置を用い、電解液として20%の硫酸水溶液、電解液の温
度30℃、電流密度25A/dm2で、60秒間陽極酸化処理し
た。
【0071】実施例8 図5に示す電極を用いた他は、実施例7と同一である。
【0072】従来例1 図12に示す従来の電極を用いた他は、実施例7と同一で
ある。結果を表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
【発明の効果】本発明は、電流密度を上げても帯状物の
側端部で酸化皮膜量が増加し過ぎたり焼け故障が発生す
ることがないので、処理ラインを高速化でき、かつ陽極
酸化皮膜量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による平版印刷版用支持体の陽極酸化装
置の一実施例の帯状物の搬送方向に切断した断面模式
図。
【図2】本発明による平版印刷版用支持体の陽極酸化装
置の一実施例の帯状物の巾方向に切断した部分端面図。
【図3】本発明による平版印刷版用支持体の陽極酸化装
置の他の実施例の帯状物の搬送方向に切断した部分端面
図。
【図4】本発明による平版印刷版用支持体の陽極酸化装
置の他の実施例の帯状物の巾方向に切断した部分端面
図。
【図5】本発明による平版印刷版用支持体の陽極酸化装
置の電極部分の部分平面図。
【図6】本発明による平版印刷版用支持体の陽極酸化装
置の電極部分の部分平面図。
【図7】本発明による平版印刷版用支持体の陽極酸化装
置の電極部分の部分平面図。
【図8】本発明による平版印刷版用支持体の陽極酸化装
置の他の実施例の帯状物の巾方向に切断した部分断面
図。
【図9】本発明による平版印刷版用支持体の陽極酸化装
置の他の実施例の帯状物の巾方向に切断した部分断面
図。
【図10】本発明による平版印刷版用支持体の陽極酸化装
置の他の実施例の帯状物の巾方向に切断した部分断面
図。
【図11】従来の平版印刷版用支持体の陽極酸化装置の帯
状物の搬送方向に切断した断面図。
【図12】従来の平版印刷版用支持体の陽極酸化装置の電
極の部分平面図。
【符号の説明】
12…電極 14…電解液 15…支持ローラー 18…アルミニウム製品(帯状物) 19…絶縁部材 20、23…切欠き 21…絶縁カバー 22…開口
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年4月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 平版印刷版用支持体の陽極酸化装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、平版印刷版用支持体の
製造方法に関するものであり、特にアルミニウムまたは
その合金製の機械的、化学的又は電気化学的方法で粗面
化処理された平版印刷版用支持体を陽極酸化処理する装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、平版印刷版に使用されるアルミ
ニウム支持体は、親水性及び保水性に優れていることが
要求され、そのために機械的、化学的又は電気化学的な
方法で表面に微細な凹凸を形成して粗面化処理されてい
る。さらに、この粗面化処理された表面の機械的強度及
び保水性を向上させるために、表面を陽極酸化処理する
ことも一般に行われている。
【0003】従来、平版印刷版用支持体の陽極酸化処理
は、特開昭48−26638号、特公昭58−24517号、特開昭47
−18739号各公報等で開示されている陽極酸化処理方法
で行われており、この方法は、いわゆる液中給電方式と
呼ばれている。この液中給電方式による陽極酸化処理装
置としては、例えば、図11に示す装置があった。図11に
示す陽極酸化処理装置は、アルミニウム製品1を負に帯
電するための給電部2、その負に帯電したアルミニウム
製品1を陽極酸化処理するための陽極酸化処理部3およ
び給電部2と陽極酸化処理部3との液中間での電流の短
絡を防止するための中間部4の三つの部分によって構成
されている。そして、給電部2と陽極酸化処理部3に
は、給電電極5と電解電極6がそれぞれ電解液中に配設
され、これらの給電電極5と電解電極6は直流電源7を
介して接続されている。また、上記電解電極6は、図12
に示すように、アルミニウム製品1の巾より大きく形成
されている。
【0004】このような陽極酸化処理装置においては、
直流電源7からの電流は、給電部2で給電電極5から電
解液を介してアルミニウム製品1に流れ、その電流がア
ルミニウム製品1内を陽極酸化処理部3へ流れる。これ
により、陽極酸化処理部においてアルミニウム製品1の
表面に陽極酸化皮膜が生成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、平版印刷版
用支持体の製造ラインにおいては、平版印刷版製品のサ
イズが非常に多様であるので、通常、被処理物であるア
ルミニウム製品も多様な巾のものが用いられている。そ
こで、従来、上述した図12に示すように、電解電極の巾
をアルミニウム製品の最大巾よりも広くして、多様な全
てのアルミニウム製品に対応できるようにしていた。
【0006】したがって、陽極酸化処理部においてはア
ルミニウム製品の側端部に電流が集中し、両側端部にお
ける酸化皮膜量が中央部に比べて増大するものであっ
た。このような現象は、供給電流量が小さい場合は余り
問題にならないが、生産性向上のために処理ラインを高
速化させたり、品質性能を向上させるために陽極酸化皮
膜量を増加させる場合には、アルミニウム製品の側端部
における酸化皮膜量の増大が著しくなり、品質上の許容
限界を越えたり、局所的な反応の集中により所謂焼け故
障が発生するものであった。したがって、高電流密度化
ができず処理ラインの高速化、陽極酸化皮膜量の増加等
を行うことができなかった。また、高電流密度化ができ
ないところから、設備が大きく、かつ設備費も高くなる
ものであった。
【0007】本発明は、以上の問題点を解決し、帯状物
の側端部に悪影響を与えることなく、処理ラインの高速
化、陽極酸化皮膜量の増加等を行うことができるととも
に、設備のコンパクト化等もできる平版印刷版用支持体
の陽極酸化装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するためになされたもので、本発明の平版印刷版用支持
体の陽極酸化装置は、電解液と、該電解液中に設けられ
た電極とを有し、電解液中に長尺のアルミニウム又はそ
の合金製の帯状物を走行させて帯状物を陽極酸化する装
置において、電極の巾が帯状物の巾より短かいことを特
徴として構成されている。この電極の巾は、帯状物の
巾、帯状物と電極との距離等によって、適宜最適な長さ
に設定される。例えば、帯状物の巾が1000mm、帯状物と
電極との距離が20mmの場合、300〜900mmの範囲が好まし
く、500〜800mmの範囲が特に好ましい。
【0009】また、本発明の平版印刷版用支持体の陽極
酸化装置は、電解液と、該電解液中に設けられた電極と
を有し、電解液中に長尺のアルミニウム又はその合金製
の帯状物を走行させて帯状物を陽極酸化する装置におい
て、電極と帯状物との間であって、少なくとも帯状物に
対向しないが電極に対向する位置に絶縁部材を設けるこ
とを特徴として構成されている。この絶縁部材は、電極
と帯状物の間であって、少なくとも帯状物に対向しない
が電極に対向する位置に設けられる。すなわち、絶縁部
材が最小の場合、絶縁部材の内側の側端が帯状物の側端
と一致するものであり、それ以外の場合、絶縁部材の内
側の側端が、帯状物の側端より内側に位置しているもの
である。この絶縁部材の内側の側端の位置は、帯状物の
巾、電極の巾、帯状物と電極の距離等により適宜決定さ
れ、例えば、帯状物の側端から200mmの範囲が好まし
い。絶縁部材の内側側端が帯状物の側端より外側にある
と、帯状物の側端部への電流の集中を有効に抑制するこ
とができず、絶縁部材の内側側端が帯状物の側端から内
側に向かって200mmより内側にあると、帯状物の側端部
における陽極酸化皮膜量が通常より減少する。
【0010】このような絶縁部材として、電極の表面に
設けられ、帯状物の巾方向において側端部より中央部の
方が開口率が大きい電極カバーを用いることができる。
この絶縁カバーは、開口部が穿設されており、この開口
部の開口率が中央部の方が大きくなっている。例えば、
開口部を円形としたとき、中央部は径を大きく側端部は
径を小さくしたり、中央部側を底辺そして側端部側を頂
点とするような二等辺三角形としたりする。また、この
ような絶縁カバーは、帯状物の巾方向において側端部に
対向する位置より少なくとも10mm内側の部分までその開
口率がゼロであることがより好ましい。また、絶縁カバ
ーは、帯状物の巾方向全体にわたって一枚の板状の構造
としても良いし、巾方向中央部で二分割した構造として
も良い。さらに、帯状物の巾に応じて絶縁カバーの巾方
向の設定位置が手動又は自動で変更できるような構造と
しても良い。
【0011】さらに、本発明の平版印刷版用支持体の陽
極酸化装置は、電解液と、該電解液中に設けられた電極
とを有し、電解液中に長尺のアルミニウム又はその合金
製の帯状物を走行させて帯状物を陽極酸化する装置にお
いて、電極の有効面積が、帯状物の巾方向において側端
部より中央部の方が大きいことを特徴として構成されて
いる。電極の有効面積を帯状物の巾方向において側端部
より中央部の方を大きくするには、例えば電極の側端部
を連続する三角形、四角形、円弧状等に形成したり、電
極全体に開口部を穿設し、その開口部を側端に行くに従
って小さくしたりする。
【0012】さらにまた、本発明の平版印刷版用支持体
の陽極酸化装置は、電解液と、該電解液中に設けられた
電極とを有し、電解液中に長尺のアルミニウム又はその
合金製の帯状物を走行させて帯状物を陽極酸化する装置
において、電極が、帯状物の巾方向において側端に行く
に従って帯状物との距離が長くなるように形成されてい
ることを特徴として構成されている。すなわち、この電
極は、その断面形状において、中央に行くに従って帯状
物方向に突出した形状に形成されている。この突出した
形状は、連続的であっても、非連続的であってもよく、
例えば、連続的に変化する形状としては、円弧状、二等
辺三角形状、放物線状等があり、非連続的に変化する形
状としては、階段状がある。
【0013】本発明の陽極酸化装置は、従来用いられて
いる公知の陽極酸化装置(フラット型)に適用すること
ができるが、帯状物を支持する支持ローラーと、該支持
ローラーの上流または下流の少なくとも一方に設けられ
た帯状物と接触する給電ローラーと、前記支持ローラー
の外周面に沿って設置された略同心円状の電極とを有す
る装置(ラジアル型)に適用することが以下の点で好ま
しい。
【0014】すなわち、支持ローラーを用いない装置
は、電解液中で生ずる電圧ロスが無視できないほど大き
なものであった。つまり、給電部及び陽極酸化処理部に
おいて、アルミニウム製品と電極の距離が短いと、アル
ミニウム製品のばたつきや不安定な搬送によるアルミニ
ウム製品の電極への接触により、傷つきやスパーク等の
品質故障が発生する場合がある。したがって、これらの
品質故障を防止するためには、アルミニウム製品と電極
の距離を大きくしなければならず、通常、50mm以上の距
離を取る必要があった。その結果、電解液中で生ずる電
圧ロスが大きいものとなっていた。
【0015】また、従来の装置は、アルミニウム製品の
両面が電解液に漬かっているので、陽極酸化処理を施さ
ない反対側の面にも電流が回り込んで酸化皮膜を生成さ
せる。したがって、片面処理製品を製造する場合には、
アルミニウム製品の反対側の面への電流の回り込みを防
止するための手段、例えば特開昭57−47894号公報に開
示されているような特別な手段を設ける必要があった。
【0016】すなわち、従来の陽極酸化処理では以下に
示す問題点があった。第1に、陽極酸化処理ラインの高
速化、陽極酸化皮膜量の増加等を安価に行えなかった。
すなわち、生産性を向上させるために陽極酸化処理ライ
ンを高速化する際や、品質性能を向上させるために陽極
酸化皮膜量を増加させる際には、供給電流量を上げなけ
ればならず、供給電流量を上げるとアルミニウム製品内
でのオーム損による電圧降下が増加する。したがって、
電源の電解電圧を増大させることが必要となってくる。
このように電解電圧を増加させると供給電力量が増大す
るので、ランニングコストが増加し、かつ、電源能力を
大きくする必要があるので設備コストも増加することに
なった。また、電解電圧が大きくなることから、給電電
極と電解電極の間におけるアルミニウム製品内のジュー
ル熱の発生量が大きくなるので、アルミニウム製品およ
び電解液を定常の規定温度にまで冷却するための冷却費
も増加することになる。以上のように、従来の装置で電
解処理ラインの高速化等を図ろうとすると、極めて高価
になるものであった。
【0017】第2に、薄いアルミニウム製品では、陽極
酸化処理ラインの高速化等が困難であった。すなわち、
給電部と陽極酸化処理部の間の中間部では、供給される
全電流がアルミニウム製品に流れるため、供給電流量が
大きい場合、厚さの薄いアルミニウム製品は必要以上に
発熱し、溶断した。したがって、薄いアルミニウム製品
の場合は、供給電流量に限界があり、陽極酸化処理ライ
ンの高速化、陽極酸化皮膜量の増加等を行うことは困難
であった。そこで、支持ローラーの両側に給電ローラー
を設けると、帯状物への電流の供給が上流側給電ローラ
ーを介す部分と下流側給電ローラーを介す部分との2つ
のルートで行われるので、従来に比べて1/2の電流量で
よくなる。
【0018】したがって、ラインの高速化等に際し、従
来に比して供給電力が少なくてすみ、工程中の発熱量も
低減するので冷却負荷が小さくなり、工程に要するコス
トが激減する。また、電源電圧の昇圧能力の大きなもの
を使用する必要がないので、コンパクトで設備費の少な
くてすむ電源設備とすることができる。さらに、薄物の
アルミニウム製品の場合でも、アルミニウム製品が溶断
することが無く、安定した陽極酸化処理を行うことがで
きる。
【0019】また、給電ローラーが接触するのは、帯状
物の被処理面(陽極酸化皮膜の生成面)であっても反対
面(陽極酸化皮膜の生成されない面)であってもよい
が、反対面であることが好ましい。何故なら、帯状物の
被処理面は、陽極酸化処理以前の工程で粗面化処理され
ているため表面に微小な凹凸が存在する。したがって、
被処理面に給電ローラーを接触させて給電した場合、帯
状物と給電ローラーの接触が不均一になって接触部に電
流が集中し、帯状物の表面にスパーク故障などの品質故
障が発生する場合があり、この品質故障は、高速、高効
率処理のために電流値を増大させた場合に特に発生し易
くなる。また、給電ローラーを帯状物の被処理面に接触
させると、給電ローラーを支持ローラーの下流側に配置
した場合、支持ローラーの下流側では酸化皮膜を通して
給電が行なわれることになり、傷つき故障発生の原因と
なるばかりでなく、電圧ロスにもつながる。以上のよう
に、給電ローラーを帯状物の被処理面の反対側の面に接
触させることにより、上述した欠点を防止でき、高速、
高皮膜量処理においても品質の優れた安定した処理が可
能になる。
【0020】支持ローラーは、帯状物を一方の面のみ電
解液に浸漬した状態で搬送させるもので、駆動源が設け
られてそれ自身が回転するものであっても、フリーに設
けられ単に回転自在なだけであってもよい。電極は、支
持ローラーと同心円状に設けられるのが好ましく、支持
ローラーと電極の間隙は1〜40mmの範囲にあることが好
ましい。
【0021】帯状物は、純アルミニウム又はアルミニウ
ム合金で形成されており、このアルミニウム合金として
は、例えば、珪素、鉄、銅、マンガン、マグネシウム、
クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケルなどの金属とのアル
ミニウム合金がある。帯状物の厚みは、一般に、0.1〜
0.5mmの範囲である。
【0022】電解液としては、例えば、硫酸、燐酸、シ
ュウ酸又はそれらの塩の水溶液、あるいはそれらの混合
液があるが、所望の品質を得るために最適なものを選べ
ばよい。電解液の濃度、温度も自由に選択できる。電源
波形としては、直流の場合が一般的であるが、他にも交
流波形や交直重畳波形など所望の品質を得るために最適
なものを選択できる。陽極酸化時の電流密度は、自由に
選択できる。例えば、処理時間中常に一定値としてもよ
いし、次第に電流密度を上げていくようにしてもよい。
【0023】本発明の陽極酸化処理の前段階において、
通常、粗面化処理が施されている。この粗面化処理は、
アルミニウム支持体の保水性及びその上に塗設される感
光材料との密着性を向上させるためのもので、機械的粗
面化法、化学的粗面化法、電気化学的粗面化法又はそれ
らを組み合わせた方法により行われる。
【0024】機械的粗面化法としては、例えば、ワイヤ
ーブラシングレイニング法、ブラシグレイニング法、サ
ンドブラスト法、ボールグレイニング法がある。化学的
粗面化法としては、例えば、選択的に表面を溶解させる
方法がある。電気化学的粗面化法としては、例えば、硝
酸、塩酸及びその混合液を電解液として用いる方法があ
る。さらに、これらに硝酸アルミニウム、塩化アルミニ
ウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸マン
ガン、塩化マンガン、硝酸鉄、塩化鉄などの塩類を添加
してもよい。また、塩化ナトリウムや硝酸ナトリウムな
どの中性塩水溶液も用いられる。
【0025】また、粗面化処理した後陽極酸化処理前
に、必要に応じてアルカリエッチング処理、中和処理、
デスマット処理などが適宜選択、複合して実施すること
ができる。また、以上のような装置を1ユニットとして
2つ以上の複数のユニットを長手方向に連結させ、複数
回上述した同様の陽極酸化処理を繰り返してもよい。
【0026】帯状物を陽極酸化処理した後、必要により
特開平1−150583号公報記載の封孔処理、特開昭60−14
9491号公報記載の親水化処理、米国特許3181461号明細
書記載のアルカリ金属シリケート水溶液処理、米国特許
3860426号明細書記載の水溶性金属塩を含む親水性セル
ロースの下塗り層塗設などを適宜選択して実施できる。
【0027】本発明による平版印刷版用支持体は、その
表面に感光層を設けて感光性平版印刷版とすることがで
きる。この感光層の組成物としては、ジアゾ樹脂からな
るもの、o-キノンジアジゾ化合物からなるもの、感光性
アジド化合物からなるもの、光重合性組成物、分子中に
不飽和二重結合を有する感光性樹脂からなる組成物等が
ある。
【0028】
【作用】本発明では、電極の巾を帯状物の巾より短くし
たり、電極と帯状物との間であって少なくとも帯状物に
対向しないが電極に対向する位置に絶縁部材を設けた
り、電極の有効面積を帯状物の巾方向において側端部よ
り中央部の方を大きくしたり、帯状物の側端部に対向す
る電極を遠くしたりすることにより、帯状物の側端部に
流れ込む電流を抑制する。
【0029】
【実施例】本発明の平版印刷版用支持体の陽極酸化装置
の一実施例を図1及び図2に基づいて説明する。図1
は、平版印刷版用支持体の陽極酸化装置の帯状物の搬送
方向に接断した断面図、図2は、図1中A−A線端面図
である。図1において、符号11は陽極酸化槽で、この陽
極酸化槽11内に、帯状物の搬送方向に切断した断面形状
が円弧状の電極12が設けられている。この電極12の一方
の端部上方には電解液流入口13が設けられ、この電解液
流入口13から電解液14が陽極酸化槽11内に充填されてい
る。電極12の上方には、僅かな距離を隔てて同心円状の
周面を持つ支持ローラー15が電解液14に略下半分が浸漬
した状態で回転自在に配設されている。この支持ローラ
ー15の両側には、上流側給電ローラー16及び下流側給電
ローラー17が回転自在に設けられ、これら給電ローラー
16、17は電源(図示せず)を介して電極12に接続されて
いる。そして、帯状物としてのアルミニウム製品18が、
支持ローラー15に巻きつけられるとともに、給電ローラ
ー16、17に巻付けられている。また、電極12は、図2に
示すように、巾がアルミニウム製品18の巾の略1/2で、
かつアルミニウム製品18の中央部の対向して配置されて
いる。したがって、アルミニウム製品18の側端部に対向
する部分には、電極12が存在しないようになっている。
【0030】以上のような陽極酸化装置でアルミニウム
製品を陽極酸化する方法について説明する。まず、アル
ミニウム製品18の陽極酸化しようとする方の面を給電ロ
ーラー16、17に接触させた状態で支持ローラー15にも密
着させ、支持ローラー15を回転させてアルミニウム製品
18を搬送させ、かつ、電源をONして電流を供給する。
この給電された電流は、給電ローラー16、17からアルミ
ニウム製品18に流れ、さらに、アルミニウム製品18内を
それぞれ図中最下端部に流れ、そして、電解液14を介し
て電極12に流れ込み、アルミニウム製品18の露出面に陽
極酸化皮膜が形成される。このとき、アルミニウム製品
18の側端部における電流密度の増加が抑制されるので、
陽極酸化皮膜量を適度な範囲内にすることができ、かつ
焼け故障が発生することも無い。また、アルミニウム製
品18を傷つけることなくアルミニウム製品18と電極12の
距離を短くでき、かつアルミニウム製品18を流れる電流
が半減するので、電解電圧を減少させることができる。
さらに、上述したようにアルミニウム製品18を流れる電
流が半減するので、薄いアルミニウム製品18を高速で処
理しても溶断することがない。
【0031】本発明の平版印刷版用支持体の陽極酸化装
置の他の実施例を図3及び図4に基づいて説明する。図
3は、平版印刷版用支持体の陽極酸化装置の帯状物の搬
送方向に切断した断面模式図、図4は、図3中B−B線
端面図である。これらの図に示す陽極酸化装置は、支持
ローラー15と電極12との間に同心円状の絶縁部材19が設
けられ、この絶縁部材19は陽極酸化槽11の両側壁に固定
され、その先端が帯状物の側端より内側に位置してい
る。その他の構成は、図1に示す陽極酸化装置と同様で
ある。
【0032】図5及び図6は、電極の表面に帯状物の巾
方向において側端部より中央部の方が開口率が大きい絶
縁カバーを設けた例の部分平面図である。図5に示す例
は、電極12は従来と同一であるが、この電極12の中央の
一部分を残して上表面に絶縁カバー21が固着されてい
る。この絶縁カバー21は、円形の開口22が多数穿設され
−即ち、その開口22において電極12が露出している、そ
の開口22の大きさは中央部側へ行くにつれて大きくなっ
ている。したがって、電極12は中央部に行くにつれて露
出面積が大きくなっている。図6に示す例も、電極12は
従来と同一であるが、電極12の側端部に絶縁カバー21が
固着されている。この絶縁カバー21は、中央部側におい
て二等辺三角形状の切欠き23が一定間隔で穿設されてい
る。したがって、電極12の側端部は中央部より露出面積
が小さくなっている。
【0033】図7は、電極の有効面積を帯状物の巾方向
において側端部より中央部の方が大きい例の部分平面図
である。この図に示す電極12は、両側端部において長方
形状の切欠き20が一定間隔で穿設されている。
【0034】図8から図10までは、電極を帯状物の巾方
向において側端に行くに従って帯状物との距離が長くな
るように形成されている例の部分端面図である。図8に
示す陽極酸化装置は、電極12の中央部上方に突出した直
方体状の凸部12aが形成され、この凸部12aの巾はアル
ミニウム製品18の略半分に形成されている。したがっ
て、アルミニウム製品18の電極12との距離は、中央部に
おいて近く、側端部において遠くなっている。図9に示
す陽極酸化装置は、電極12が中央部において一番高く、
かつ両側端に行くに従って階段状に低くなるような段部
12b、12c、12d、12eで形成されている。図10に示す
陽極酸化装置は、電極12の上面が円弧状の円弧面12fと
なっている。したがって、アルミニウム製品18と電極12
との距離は、中央部から側端にいくに従って連続的に長
くなっている。
【0035】本発明の平版印刷版用支持体の陽極酸化装
置の別の実施例を図13及び図14に基づいて説明する。図
13は、平版印刷版用支持体の陽極酸化装置の帯状物の搬
送方向に切断した断面模式図。図14は、図13中C−C線
端面図である。これらの図に示す陽極酸化装置は、絶縁
部材からなる絶縁カバー21が電解電極6の表面に設けら
れている。その他の構成は、図11に示した陽極酸化装置
と同様である。この絶縁カバー21は、電解電極6の中央
部の一部分を残して設置されている。絶縁カバー21に
は、円形の開口22が多数穿設され、その開口22において
電解電極6が露出しており、開口22の大きさは中央部側
へ行くにつれて大きくなっている。帯状物1の巾方向側
端部及びその内側に対向する位置の絶縁カバー21には、
開口22が全く存在しない部分が設けられており、この部
分の開口率はゼロとなっている。図15に示す例も電解電
極6の表面に絶縁カバー21が設けられている。この絶縁
カバー21は、中央部側において二等辺三角形状の切欠き
23が一定間隔で穿設されている。この例でも帯状物1の
巾方向側端部及びその内側に対向する位置の絶縁カバー
21には、切欠き23が存在しない部分、すなわち、開口率
がゼロの部分が設けられている。
【0036】次に、図1及び図2の陽極酸化装置と従来
の陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理した実験結果に付
いて説明する。 陽極酸化処理する帯状物;長尺のJIS 1050アルミニウム
の帯板状製品(厚み0.15mm、幅1000mm)をライン搬送速
度50m/分で以下の処理を行なった。まず、パミスー水懸
濁液を研磨剤として回転ナイロンブラシで表面を砂目立
てした。この時の表面粗さ(中心線平均粗さ)は0.5μ
mであった。水洗後、70℃の10%苛性ソーダ水溶液中で
アルミニウムの溶解量が6g/m2になるようにエッチング
した。水洗後、30%硝酸水溶液中で中和し、再び水洗を
行なった。その後、0.7%硝酸水溶液中で陽極時電圧13
ボルト、陰極時電圧6ボルトの矩形波交番波形を用いて
(特開昭52−77702号公報実施例に記載の電源波形)20
秒間電解粗面化を行ない、20%硫酸水溶液中で表面を洗
浄した後、水洗した。
【0037】実施例1 上記アルミニウム製品を、図1及び図2に示す陽極酸化
処理装置を用い、電解液として20%の硫酸水溶液、ライ
ン搬送速度50m/分、電解電圧27V、供給電力900kw、電
流密度25A/dm2で陽極酸化処理した。また、アルミニウ
ム製品の巾は、1000mm、電極の巾は、600mm、アルミニ
ウム製品と電極の距離は、20mmであった。その結果、膜
厚1.5μmの酸化皮膜が良好に形成され、焼け故障等も
発生せず良好な品質であった。また、支持ローラー出口
でのアルミニウム製品の表面温度は50℃であり、長時間
経過しても安定的に陽極酸化処理が行われた。
【0038】実施例2 電流密度を50A/dm2とした他は実施例1と同様の条件で
陽極酸化処理を行ったが、実施例1と同様な結果を得
た。
【0039】実施例3 ライン搬送速度を100m/分とした他は実施例1と同様の
条件で陽極酸化処理を行ったが、実施例1と同様な結果
を得た。
【0040】比較例1 上記アルミニウム製品を、図11及び図12に示す陽極酸化
処理装置を用い、電解液として20%の硫酸水溶液、ライ
ン搬送速度50m/分、電解電圧120V、供給電力5000kw、
電流密度25A/dm2で陽極酸化処理した。また、アルミニ
ウム製品の巾は、1000mm、電極の巾は、1600mm、アルミ
ニウム製品と電極の距離は、100mmであった。その結
果、アルミニウム製品の側端部に焼け故障が発生し、中
間部でのアルミニウム製品の表面温度は120℃であり、
処理開始後約1分間でアルミニウム製品が溶断し、処理
を継続することができなかった。図3及び図4に示す陽
極酸化装置と従来の陽極酸化装置とを用いて陽極酸化処
理した実験結果に付いて説明する。陽極酸化処理する帯
状物は実施例1、2及び3と同一である。
【0041】実施例4 上記アルミニウム製品を、図3及び図4に示す陽極酸化
処理装置を用い、電解液として20%の硫酸水溶液、ライ
ン搬送速度50m/分、電解電圧27V、供給電力900kwで陽
極酸化処理した。なお、アルミニウム製品19の巾は1000
mm、電極の巾は1600mm、そして絶縁部材の16の内側側端
は、アルミニウム製品の側端から100mmに位置するよう
にした。その結果、膜厚1.5μmの酸化皮膜が良好に形
成され、アルミニウム製品の側端部に焼け故障等も発生
しなかった。また、支持ローラー出口でのアルミニウム
製品の表面温度は50℃であり、長時間経過しても安定的
に陽極酸化処理が行われた。また、支持ローラーと電極
の間隔は20mmであり、アルミニウム製品の酸化皮膜が形
成される面と反対の面には酸化皮膜は形成されていなか
った。
【0042】実施例5 ライン搬送速度を100m/分とした他は実施例4と同様の
条件で陽極酸化処理を行ったが、実施例4と同様な結果
を得た。
【0043】実施例6 電流密度を50A/dm2とした他は、実施例4と同様の条件
で陽極酸化処理を行ったが、実施例4と同様な結果を得
た。
【0044】比較例2 上記アルミニウム製品を、図11に示す陽極酸化処理装置
を用い、電解液として20%の硫酸水溶液、ライン搬送速
度50m/分、電解電圧120V、供給電力5000kwで陽極酸化
処理した。なお、アルミニウム製品の巾は1000mm、電極
の巾は1600mmであった。その結果、アルミニウム製品の
側端部で焼け故障が発生し、また中間部でのアルミニウ
ム製品の表面温度は120℃であり、処理開始後約1分間
でアルミニウム製品が溶断し、処理を継続することがで
きなかった。また、アルミニウム製品と電解電極の間隔
は100mmであり、アルミニウム製品の酸化皮膜が形成さ
れる面と反対の面にも酸化皮膜が形成されていた。図7
及び図5に示す電極の陽極酸化装置と従来の図12に示す
電極の陽極酸化装置とを用いて陽極酸化処理した実験結
果に付いて説明する。陽極酸化処理する帯状物は、実施
例1、2及び3と同一である。
【0045】実施例7 上記アルミニウム製品を、図7に示す電極の陽極酸化装
置を用い、電解液として20%の硫酸水溶液、電解液の温
度30℃、電流密度25A/dm2で、60秒間陽極酸化処理し
た。
【0046】実施例8 図5に示す電極を用いた他は、実施例7と同一である。
【0047】従来例1 図12に示す従来の電極を用いた他は、実施例7と同一で
ある。結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】図14及び図15に示す電極の陽極酸化装置
と、従来の図12に示す電極の陽極酸化装置とを用いて陽
極酸化処理した実験結果に付いて説明する。
【0050】実施例9 実施例1と同一のアルミニウム製品を、図14に示す電極
の陽極酸化装置を用い、電解液として20%の硫酸水溶
液、電解液の温度30℃、電流密度40A/dm2で30秒間陽極
酸化処理した。その結果、アルミニウム製品の側端部へ
の酸化皮膜の集中がなく、焼け故障の発生のない良好な
製品が得られた。
【0051】実施例10 図15に示す電極を用いた他は、実施例9と同一である。
その結果、実施例9と同様の結果が得られた。
【0052】従来例2 図12に示す電極を用いた他は、実施例9と同一である。
その結果、アルミニウム製品の側端部への酸化皮膜の集
中が見られ、また焼け故障が発生した。
【0053】
【発明の効果】本発明は、電流密度を上げても帯状物の
側端部で酸化皮膜量が増加し過ぎたり焼け故障が発生す
ることがないので、処理ラインを高速化でき、かつ陽極
酸化皮膜量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による平版印刷版用支持体の陽極酸化
装置の一実施例の帯状物の搬送方向に切断した断面模式
図。
【図2】 本発明による平版印刷版用支持体の陽極酸化
装置の一実施例の帯状物の巾方向に切断した部分端面
図。
【図3】 本発明による平版印刷版用支持体の陽極酸化
装置の他の実施例の帯状物の搬送方向に切断した部分端
面図。
【図4】 本発明による平版印刷版用支持体の陽極酸化
装置の他の実施例の帯状物の巾方向に切断した部分端面
図。
【図5】 本発明による平版印刷版用支持体の陽極酸化
装置の電極部分の部分平面図。
【図6】 本発明による平版印刷版用支持体の陽極酸化
装置の電極部分の部分平面図。
【図7】 本発明による平版印刷版用支持体の陽極酸化
装置の電極部分の部分平面図。
【図8】 本発明による平版印刷版用支持体の陽極酸化
装置の他の実施例の帯状物の巾方向に切断した部分断面
図。
【図9】 本発明による平版印刷版用支持体の陽極酸化
装置の他の実施例の帯状物の巾方向に切断した部分断面
図。
【図10】 本発明による平版印刷版用支持体の陽極酸化
装置の他の実施例の帯状物の巾方向に切断した部分断面
図。
【図11】 従来の平版印刷版用支持体の陽極酸化装置の
帯状物の搬送方向に切断した断面図。
【図12】 従来の平版印刷版用支持体の陽極酸化装置の
電極の部分平面図。
【図13】 本発明による平版印刷版用支持体の陽極酸化
装置の他の実施例の帯状物の搬送方向に切断した断面模
式図。
【図14】 本発明による平版印刷版用支持体の陽極酸化
装置の電極部分の部分平面図。
【図15】 本発明による平版印刷版用支持体の陽極酸化
装置の電極部分の部分平面図。
【符号の説明】 12…電極 14…電解液 15…支持ローラー 18…アルミニウム製品(帯状物) 19…絶縁部材 20、23…切欠き 21…絶縁カバー 22…開口 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年4月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図13
【補正方法】追加
【補正内容】
【図13】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図14
【補正方法】追加
【補正内容】
【図14】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図15
【補正方法】追加
【補正内容】
【図15】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解液と、該電解液中に設けられた電極
    とを有し、電解液中に長尺のアルミニウム又はその合金
    製の帯状物を走行させて帯状物を陽極酸化する装置にお
    いて、電極の巾が帯状物の巾より短かいことを特徴とす
    る平版印刷版用支持体の陽極酸化装置
  2. 【請求項2】 電解液と、該電解液中に設けられた電極
    とを有し、電解液中に長尺のアルミニウム又はその合金
    製の帯状物を走行させて帯状物を陽極酸化する装置にお
    いて、電極と帯状物との間であって、少なくとも帯状物
    に対向しないが電極に対向する位置に絶縁部材を設ける
    ことを特徴とする平版印刷版用支持体の陽極酸化装置
  3. 【請求項3】 絶縁部材が、電極の表面に設けられ、帯
    状物の巾方向において側端部より中央部の方が開口率が
    大きい電極カバーである請求項2に記載の平版印刷版用
    支持体の陽極酸化装置
  4. 【請求項4】 電解液と、該電解液中に設けられた電極
    とを有し、電解液中に長尺のアルミニウム又はその合金
    製の帯状物を走行させて帯状物を陽極酸化する装置にお
    いて、電極の有効面積が、帯状物の巾方向において側端
    部より中央部の方が大きいことを特徴とする平版印刷版
    用支持体の陽極酸化装置
  5. 【請求項5】 電解液と、該電解液中に設けられた電極
    とを有し、電解液中に長尺のアルミニウム又はその合金
    製の帯状物を走行させて帯状物を陽極酸化する装置にお
    いて、電極が、帯状物の巾方向において側端に行くに従
    って帯状物との距離が長くなるように形成されているこ
    とを特徴とする平版印刷版用支持体の陽極酸化装置
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