JPH06207176A - 攪拌加温凝集法及び液晶とそれを使用した積層体 - Google Patents

攪拌加温凝集法及び液晶とそれを使用した積層体

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JPH06207176A
JPH06207176A JP4361963A JP36196392A JPH06207176A JP H06207176 A JPH06207176 A JP H06207176A JP 4361963 A JP4361963 A JP 4361963A JP 36196392 A JP36196392 A JP 36196392A JP H06207176 A JPH06207176 A JP H06207176A
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JP
Japan
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liquid crystal
aqueous solution
linear homopolysaccharide
derivative
water
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JP4361963A
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Inventor
Haruo Watanabe
晴男 渡辺
Tsutomu Yamada
勤 山田
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AFUINITEII KK
Original Assignee
AFUINITEII KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 [目的] 優れた呈色と透明性をもちかつ気泡のない液
晶を簡便に生産できる方法を確立し、さらにこの液晶を
利用した積層体を提供するものである。 [構成] 線状ホモ多糖類誘導体を水溶媒に溶解してラ
イオトロピック型のコレステリック液晶にする製造方法
において、少なくとも一度は攪拌により均一な白濁分散
状態をもたせて水溶液の加温により線状ホモ多糖類誘導
体を凝集沈降させて相分離した過剰の水を除去しててラ
イオトロピック型のコレステリック液晶とする。この液
晶を基板に挟み、外周を封止して透明性の高い液晶積層
体とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた液晶特性と気泡
をもたないライオトロピック型のコレステリック液晶及
びその液晶を積層した積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶はネマティック、スメクティ
ックおよびコレスティックの3種が存在しひろく研究開
発されてきた。そのなかでコレスティック液晶は、螺旋
状分子配列により可視光線を選択的に反射して虹色の干
渉色を示し、かつこの呈色は温度依存により可逆変化す
ることが知られている。またこの液晶にも、加熱により
個体から液晶に相変化するサーモトロピック型液晶と溶
媒との混合により液晶相をとるライオトロピック型液晶
とがある。
【0003】ここでは、薄型ディスプレイに利用されて
いるネマティック液晶や示温材料に用いられているサー
モトロピック型のコレスティック液晶ではなく、溶媒効
果からなるライオトロピック型のコレステリック液晶に
関する。また高分子系のものとしては線状ホモ多糖類誘
導体(例えは゛ヒドロキシプロピルセルロース)を高濃
度に溶解した液晶およびポリアミノ酸エステル類(例え
ば、ポリーγーベンジルーLーグルタメート)を特定溶
媒に溶解した液晶等がある。このライオトロピック型の
高分子系コレステリック液晶は、そのような液晶の存在
が基礎的に知られている程度であり、また干渉色である
呈色(紫、藍、青、緑、黄、橙および赤色)に関しても
その呈色が温度により可逆的に変化し、呈色する温度域
は濃度、分子量および溶媒の種類に依存することが知ら
れている程度である。
【0004】そこで本発明者らは、一般の有機溶媒(例
えば、アセトン、エタノール、プロピレングリコール
等)では起きない水溶媒の特異性、すなわち疎水結合に
注目して、線状ホモ多糖類誘導体と水溶媒からなるライ
オトロピック型のコレステリック液晶を多面的に検討し
て、優れた呈色と透明性をもちかつ気泡のない液晶を簡
便に生産できる方法とその液晶をもつ積層体と窓を提案
するにいたった。
【0005】はじめに、この液晶中に気泡を混入しない
方法を検討した。なお、気泡をもつ液晶で積層体を作成
すると気泡は比重差により積層体内で移動をおこし、そ
の結果均一な液晶層に移動の跡にそって強く線状欠陥を
ひきおこした。また、本発明のような光学的、視覚的に
使用する分野では、気泡の存在は知命的なノイズとなり
あってはならないものである。さらに、加温されたとき
に気泡部に溶媒蒸気があつまり冷却とともに結露して、
気泡部の周囲の濃度がうすまりしみ状の呈色むらが発生
した。
【0006】しかし、線状ホモ多糖類誘導体を水溶媒に
溶解してなる高濃度水溶液であるこの液晶は、攪拌混合
法で溶解すると大小無数の気泡の混入がおこり、また高
粘度液のため自然放置では1ヶ月以上もかかり、この攪
拌混合法で気泡のない液晶を生産することは実用的に不
可能といえる。そこで本発明者らは、気泡を脱泡するた
めに従来から使用されている合理的な方法を検討してみ
た。例えば、減圧脱泡法、薄膜塗布法等で脱泡しやすく
してもこの液晶の粘度が高過ぎるために効果的でなく、
また表面皮膜ができ脱泡を困難にするとともにこの皮膜
が、むらとして残った。つぎに、非液晶状態である低い
濃度の低粘度水溶液にして自然脱泡後、水を蒸発させて
液晶状態をとる濃度までに表面皮膜の発生を防ぎながら
濃縮させる方法は、時間が非常にかかり実用的に不可能
であり、また被膜もやはり問題になった。また、一般的
にも低沸点溶媒からなる高濃度溶液の合理的な脱泡方法
はないとされている。そこで本発明者らは、この液晶が
線状ホモ多糖類誘導体と水溶媒からなることに注目して
鋭意検討した結果、攪拌混合法より液晶特性がより優れ
かつ気泡のない状態で簡便に生産ができる本発明の製造
方法にいたった。さらに、この液晶を積層して呈色と透
明性の優れた積層体を提供できることにいたった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】解決しようとする課題
は、線状ホモ多糖類誘導体と水溶媒からなる高濃度水溶
液のライオトロピック型のコレステリック液晶におい
て、優れた呈色と透明性をもちかつ気泡のない液晶を簡
便に生産できる方法を確立し、さらにこの液晶を利用し
た積層体を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の問題点
を解決するためになされたものであり、線状ホモ多糖類
誘導体を水溶媒に溶解してライオトロピック型のコレス
テリック液晶にする製造方法において、線状ホモ多糖類
誘導体と水溶媒からなる等方性水溶液を少なくとも1回
は攪拌して加温により凝集した白濁状態を分散させてか
ら線状ホモ多糖類誘導体を凝集沈降させて相分離させて
から過剰の上水を除去してライオトロピック型のコレス
テリック液晶とすることを特徴とする製造方法及び線状
ホモ多糖類誘導体を水溶媒に溶解してなるライオトロピ
ック型のコレステリック液晶において、線状ホモ多糖類
誘導体と水溶媒からなる等方性水溶液を少なくとも1回
は攪拌して加温により凝集した白濁状態を分散させてか
ら線状ホモ多糖類誘導体を凝集沈降させて相分離させて
から過剰の上水を除去してなることを特徴とするライオ
トロピック型のコレステリック液晶と線状ホモ多糖類誘
導体と水溶媒からなるライオトロピック型のコレステリ
ック液晶が基板に積層されてなり少なくとも基板の一部
が透明である積層体において、線状ホモ多糖類誘導体と
水溶媒からなる等方性水溶液を少なくとも1回は攪拌し
て加温により凝集した白濁状態を分散させてから線状ホ
モ多糖類誘導体を凝集沈降させて相分離させてから過剰
の上水を除去してなるライオトロピック型のコレステリ
ック液晶を積層してなることを特徴とする積層体を提供
するものである。
【0009】本発明に使用する線状ホモ多糖類誘導体と
水溶媒からなる水溶液は、約50%以下の濃度では等方
性水溶液を示し、さらに分子量にもよるが20%以下の
濃度では容易に自然脱泡できかつ均一に溶解した。この
等方性水溶液は、50℃以上、好ましくは60℃以上に
加温されると線状ホモ多糖類誘導体の分子間に疎水結合
力が急激に強まり白濁した微小なランダム凝集体の状態
になり凝集沈降して相分離をおこした。この凝集体は、
温度が高いほど、また加温時間が長いほどまた塩濃度が
高いほど、凝集が強まりその沈降体積はより収縮し高濃
度状態になった。つぎに相分離した上層の水を除去し、
凝集体のみを室温にもどすと可視光線を選択反射して呈
色するライオトロピック型のコレステリック液晶をえ
た。なお、ここでいう水溶媒とは、純水、水道水及び水
溶性添加物が溶けている水等であり広い意味で使用して
いる。
【0010】この凝集沈降は、特に限定されることなく
水溶性電解質(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウ
ム、塩化リチウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、
塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ベンゼンスルホン
酸トナトリウム、1−ヘキサンスルホン酸トナトリウム
等)を水溶液に添加すると添加量におうじて凝集形成温
度が低下していき、50℃以下の室温でも白濁凝集をお
こして凝集体になった。相分離した上層の水を除去し室
温にもどすと、凝集体は水溶性電解質を含む液晶となっ
た。この液晶は、水溶性電解質のイオン効果により呈色
する液晶状態から白濁した凝集状態へ変わる相転移温度
が、水溶性電解質をもたない液晶に比較して低温側へシ
フトをおこした。このシフト温度の程度は、水溶媒にお
ける水溶性電界質の濃度で制御でき、この方法で液晶の
白濁開始温度を自由に設定できかつ容易に室温温度域ま
で相転移温度を下げることができた。水溶媒として、純
水に添加する水溶性電解質の量は、10重量%以下程度
でよく、好ましくは0.1〜5重量%程度がよい。この
ことは、自然環境の温度により呈色の変化だけをする積
層体だけでなく、さらに省エネルギー、室内環境の面に
も有効であり、例えば、35℃で相転移する液晶を板ガ
ラス(例えば、熱線吸収ガラス等)間に積層して窓に使
用した場合、特に夏期の西日等の直射日光が選択的に窓
ガラスにあたると、日射吸収により照射部の窓ガラスが
選択的に加温されその結果、照射部のみ選択的に白濁し
て遮光をおこし防眩できた。この遮光の特長は、照射が
強いほど照射面の温度も上昇しより濃く白濁するために
遮光性も強まり防眩効果を満たすことができた。また、
この液晶は、高粘度のため対流はおきず、直射日光の強
さ、照射面の移動等による環境の変化により自然に自動
的に変化をした。このことは、照射部のみを選択的にか
つ自動的に遮光変化する理想的なブラインドをもつ窓を
提供することになる。また、説明するまでもなく透明導
電膜付き板ガラスを基板に使用した積層体は、透明−不
透明を電気的に発熱を制御できるので、窓に用いると環
境に依存することなく室内外を限定することなく電子カ
ーテン付き窓を提供できる。さらなる応用として、例え
ば、白濁した窓を映像投影用のスクリーン、ホトカップ
ラーを窓にセットして室内の異常高温による積層体の白
濁変化をとらえる火災報知センサー等も考えられ広く利
用可能である。
【0011】なお、この凝集沈降は、水に溶解する化合
物なら紫外線吸収剤(例えば、2−ヒドロキシ−4−メ
トキシ−ベンゾフェノン−5−スルホン酸等)、防腐剤
(例えば、エタノール、プロピレングリコール、等)等
の低分子や水溶性高分子(例えば、ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングコール、ポリアクリル酸ナトリ
ウム等)を添加でき凝集体形成のときにこれら化合物を
取り込むことができた。このことは、液晶の改質に広く
利用できる。
【0012】この加温により白濁状態にして凝集沈降さ
せて液晶にする製造方法は、本発明者らによりすでに見
出されているが、液晶中に気泡の残存に関して問題があ
り、凝集沈降法によりえた液晶中に気泡の持込を押さえ
込む方法を鋭意検討した結果、本発明に至った。特に水
溶媒の塩濃度が濃くなるほど単純に加温して凝集沈降さ
せるのみでは、気泡の持込を無視できなくなった。本発
明は、線状ホモ多糖類誘導体と水溶媒からなる水溶液を
加温すると、この水溶液に溶存していた気体(例えば、
空気、窒素ガス等)の遊離が線状ホモ多糖類誘導体の凝
集沈降と同時におきて多数の小さな気泡を結果的に液晶
中に残した。そこで、本発明者らは、加温時すなわち多
数の小さな気泡が発生状態でありかつ白濁状態でもある
時に攪拌を入れることにより、液晶中に気泡の持込を押
さえられることを見出した。これは、白濁状態では線状
ホモ多糖類誘導体が微小凝集体の分散状態であるため、
その水溶液の粘度が急激に低下してどろどろした状態か
らさらさらした状態になるために、気体の遊離により発
生した多数の小さな気泡は攪拌効果により合体および浮
上等を容易にして脱気泡を促進できた。さらに、この攪
拌は、凝集体に包まれた気泡を再分散状態にすることに
より脱離させる効果もあり非常に有効である。なお、攪
拌時にはいる大きい気泡は、当然残ることはない。ま
た、この水溶液の濃度は、薄くなれば粘度はさがるが水
溶媒の割合が大きくなりその分気泡の発生も多くなり、
また凝集のための容積も大きくする欠点もあり、この濃
度を特に薄くして粘度を下げる必要はない。
【0013】この攪拌は、特に特殊な攪拌である必要は
なく凝集体を再分散状態にできればよい。攪拌回数は、
一度だけでなく凝集分散を数回繰り返してもよい。例え
ば、白濁して凝集沈降が少し進行したあたりで攪拌して
分散状態にしてから加温放置する方法、上記の方法を数
度繰り返す方法、攪拌分散状態後に加温放置して分離し
てきた上水を吸い取り除去してから再攪拌分散させて加
温放置する方法、攪拌分散状態後に加温放置して分離し
てきた上水を吸い取り除去してからほぼ同温度の脱気処
理した水溶媒を加え再攪拌分散させて加温放置する方
法、攪拌して分散状態になっても攪拌を継続させてから
加温放置する方法、攪拌して分散状態にした後に減圧脱
気処理してから加温放置する方法、攪拌して分散状態に
して攪拌を継続させながら減圧脱気処理してから加温放
置する方法、白濁分散状態にある水溶液に積極的に空気
の大気泡を低部からバブリング攪拌して発生した小気泡
を吸着脱気処理してから加温放置する方法、大気泡を窒
素ガスにして溶存ガスを不活性ガスに置換をもしてしま
う方法等がある。また、放置して凝集沈降させる代わり
に遠心分離により短時間で凝集させてもよい。さらに、
一度遠心分離して上水を吸い取り除去してから加温放置
してより凝集させて濃度を高めてもよい。なおこの攪拌
は、凝集沈降に偏りをもたらすことなく低部に均等に沈
降させる効果もある。白濁状態で加温放置する温度は、
水溶媒が純水(例えば、薬局方の精製水等)では95℃
程度の沸点近傍の温度でもよく、塩濃度か高くなるにつ
れて線状ホモ多糖類誘導体の凝集も強まるため温度も低
くしていくとよく、再分散状態を攪拌で取り易くなると
同時に気泡の発生量も温度が低いほうが少なく本目的に
好ましい。この凝集力は、温度が高いほど、分子量が大
きいぼど、水溶媒の塩濃度が高いほど、強くなり凝集沈
降する時間も短くなった。塩を添加した水溶媒では、凝
集温度に達してから10分間から50時間程度の放置で
液晶になる凝集体をえた。塩の添加なしでは、遠心分離
を利用すると好ましい。なお、加温のみによる急激な凝
集体形成は均一化によくなく、ステップ昇温加温や凝集
温度を低くしてある程度時間をかけて凝集させて液晶に
なる濃度にするとよい。なお、この攪拌処理をしても
0.1mm以下に超微小気泡が少し残るときがあるが、
超微小であるために無視でき、また液晶中に気泡が溶解
して消える場合もあり問題にはならない。
【0014】さらに、この加温状態にある白濁した凝集
体は、非液晶状態であり容器の壁に粘着することなく壁
を滑るようにして取り出せかつ非液晶状態のため粘度も
低い特長が有った。この特長は、ハンドリングで気泡が
混入することを防止するのに非常に大切であった。例え
ば、この非粘着性は、水溶液を加温して連続的に凝集体
を低部へ沈降させ、ポンプ(例えば、スネイクポンプ、
ギヤーポンプ等)で低部から連続的に引き出し、さらに
必要に応じて濃度を均一にするためにスタティックミキ
サー等を通し、その後スリットから押し出し連続的に次
工程へ供給するのに有効であった。この次工程では、押
し出された凝集体の表面乾燥を防止するために飽和蒸気
または水溶媒中のもとで、基板に気泡を巻き込むことな
く凝集体をセットしその上から対向基板を凝集体に接触
させてから辺部をゴム板で漏れを防ぎつつ加圧すること
により容易に気泡なく積層することができた。ようする
に、白濁した凝集体の状態をとれば、低粘度のため積層
工程にも有用であり、特に大型基板による積層にはこの
低粘度特性は重要であった。一般的には、白濁した凝集
体を基板に挟み加圧展開し、特に限定されないが10n
mから2m程度の厚みにすればよい。また、例えば、中
空をもつガラス管、隙間をもつ変形積層体等の隙間に白
濁した凝集体を加圧注入して積層体にすることもできた
が、液晶状態では粘度が高く不可能であった。積層体の
品質においても、この白濁した凝集体は、等方性であり
液晶を加圧展開したときに現われる流動配向も非常に小
さくモノドメイン状態の液晶をもつ積層体をえるこたが
できた。この方法は、特に配向処理等を必要とせずモノ
ドメイン状態をえるのに非常に簡便でかつ大きな効果が
あった。なお、当然であるが室温の液晶状態で低部より
液晶を引き出し、室温でも気泡を巻き込むことなく積層
することはできた。
【0015】さらに重要なことは、本発明による液晶の
積層体は、液晶特性の本質にあたる呈色の彩度、すなわ
ち色の純度に直接関係する光散乱の選択性が非常によく
なり、単純な混合法でえた液晶より澄んだ輝く呈色を示
した。そこで線状ホモ多糖類の例として安定でかつ安価
なセルロースを選び、このセルロースに酸化プロピレン
を反応させて得られるヒドロキシプロピルセルロースを
選択するが特にこれに限定されるものでなく、水との混
合により液晶状態をとる線状ホモ多糖類誘導体であれば
よくそれもセルロース誘導体が安定性の面より好まし
い。ヒドロキシプロピルセルロースと水からなるライオ
トロピック型のコレステリック液晶は、耐久性、鮮明な
呈色、十分な白濁凝集による遮光性等を示すと共にほぼ
無毒であり安全性の面からも重要といえる。線状ホモ多
糖類誘導体の代表例としてヒドロキシプロピルセルロー
ス(平均重合度が175、2%水溶液の20℃における
粘度が8.5cps、ヒドロキシプロピル基が62.4
%)を選び、このヒドロキシプロピルセルロースと水溶
媒として0.1重量%水溶液からなる液晶を板ガラス間
に積層して日本分光の円二色性分散計J−720型を使
用して可視光線の選択散乱の状態を室温で測定した。そ
の結果、本発明の凝集沈降法による液晶の積層体の半波
値は17nmである。その値は、単純な混合法による液
晶の積層体の半波値(35nm)の2分の1以下であ
り、本発明による積層体の選択散乱の特性が優れている
のが明確に分かる。その結果、本発明の積層体は可視光
線を高彩度の反射光と透明度の高い透過光に分割し、澄
んだ輝く呈色と透明度の高い透明性を示した。その結
果、本発明による液晶を使用した積層体を窓にした場
合、昼間室内より外の明るい景色を見ると特にぼけたり
曇ったりすることは無く良好な透視性がえられ、従来の
単純な混合法ではえられないものであった。また、明る
い室外からこの窓をみると澄んだ輝く呈色を示した。こ
の理由は、凝集沈降法による液晶は低粘度の薄い水溶液
から分子凝集を形成させたために分子配列秩序が均一に
なり、欠陥のないモノドメインを形成しているためと考
えられる。
【0016】積層体の形状は、自由に選択できまた大き
さも特に限定されるものではなく内部を一部直視できる
透明部をもてばよい。基板は、ガラス、樹脂、金属、セ
ラミックス等特に限定されることなく利用できる。ま
た、必要におうじてスペーサーで液晶層の厚みを制御し
てもよい。スペーサーは、透明でかつその比重と屈折率
を液晶に合わせるとより好ましい。積層体の製法として
は、飽和水蒸気の雰囲気のもとで凝集体を基板間に挟み
加圧して目的の厚みにプレスすると、乾燥被膜を作るこ
となく均一な績層体をえた。その結果、気泡の混入なし
に液晶を基板間に簡便にかつ確実に積層することができ
た。その後、外周をふきとり、シール剤(例えば、粘着
剤付きアルミテープ等)で外周封止をすればよい。さら
に、水の蒸発をおさえるために外周を完全に封止するに
は、外周4辺を室温硬化型の耐熱樹脂をもつコの字型の
金属枠でシール密着するとよい。なお、この積層体は、
窓、テーブル、広告灯、タイル、浴槽、湯飲み等広く利
用できる。
【0017】特に、この積層体を窓に使用することによ
り優れた窓が得られることになる。この窓としては、通
常の建物の窓、自動車、鉄道車両等の車両、航空機、エ
レベーター等の輸送機の窓等がある。もちろん、この窓
は広い意味であり、窓の付いたドア、間仕切り等をはじ
め、全面が透明なガラスドア、衝立、壁のようなものも
含まれる。
【0018】なお、本発明の主体は、線状ホモ多糖類誘
導体と水溶媒からなる高濃度水溶液のライオトロピック
型のコレステリック液晶において、優れた呈色と透明性
をもちかつ気泡のない液晶を簡便に生産する方法とその
液晶を利用した積層体にあるので液晶系の説明は省略す
る。ここでは、線状ホモ多糖類誘導体の代表例としてセ
ルロースに酸化プロピレンを反応させて得られるヒドロ
キシプロピルセルロースを選択したが特にこれに限定さ
れるものでない。なお、ヒドロキシプロピル基の割合が
高くなるにつれて凝集沈降もし易くなった。また、ヒド
ロキシプロピルセルロースの分子量が小さくなると凝集
性も小さくなる傾向があり、それを防ぐには塩の添加が
効果的である。ヒドロキシプロピルセルロースは、セル
ロースの主鎖骨格にヒドロキシプロピル基がエーテル結
合されており耐候性、耐熱性ともに非常に強く窓等の直
射日光のあたる環境条件のきつい場所の利用にも可能で
あり、かつ毒性がなく安全性の面からも重要といえ広く
民生品に利用できる。
【0019】
【実施例】
実施例1 ヒドロキシプロピルセルロース(平均重合度が175、
2%水溶液の20℃における粘度が8.5cps、ヒド
ロキシプロピル基が62.4%)50重量部に0.1重
量%塩化ナトリウム水溶媒250重量部を加え十分に攪
拌混合し均一な水溶液とした。この水溶液を内径30m
mのサンプル管に20mlとり、80℃の雰囲気に20
分間放置してヒドロキシプロピルセルロースを液面より
3mm程度沈降した状態で攪拌棒で十分に攪拌して均一
に白濁した分散水溶液とした。その後、80℃の雰囲気
に26時間放置して沈降させて白濁凝集層と上水層に分
離させた。この上水を除去し室温にもどして気泡のない
ライオトロピック型のコレステリック液晶をえた。この
液晶を0.2mm厚で板ガラス間に積層して日本分光の
円二色性分散計J−720型を使用して可視光線の選択
散乱の状態を室温で測定した結果、この積層体の選択散
乱スペクトルの半波値は17nmであった。
【0020】
【実施例】
実施例2 実施例1と同様に均一に白濁した分散水溶液とした。そ
の後、80℃の雰囲気に2時間放置して凝集沈降した白
濁層と上水層がほぼ半々程度の状態で毎分3000回転
で6分間遠心分離にかけてすみやかに沈降させ上水を除
去して均一な気泡のないライオトロピック型のコレステ
リック液晶を簡便にえた。その選択散乱スペクトルの半
波値も同様な結果をえた。
【0021】
【実施例】
実施例3 参考例として攪拌操作のみをしないで実施例1と実施例
2をおこなった結果、その選択散乱スペクトルの半波値
は同様な結果をえが、直径0.1から0.3mm程度の
容易に視認できる小さな気泡が液晶層全体にほぼ均等に
無数に残存する状態であった。
【0022】
【実施例】
実施例4 実施例1と同様なヒドロキシプロピルセルロース50重
量部を純水(薬局方の精製水)250重量部に均一に溶
解して水溶液にした。この水溶液を内径30mmのサン
プル管に20mlとり、96℃の雰囲気に1時間放置し
たあと十分に攪拌して均一に白濁した分散水溶液とし
た。その後、96℃の雰囲気に8時間放置して凝集沈降
した白濁層と上水層がほぼ1対2程度の状態で毎分30
00回転で6分間遠心分離にかけてすみやかに沈降させ
上水を除去したが、まだ液晶の濃度まで凝集が不十分で
あり室温から再度96℃の雰囲気に12時間放置して凝
集をすすめて上水を分離させ除去して同様に良好なライ
オトロピック型のコレステリック液晶をえた。
【0023】
【実施例】
実施例5 ヒドロキシプロピルセルロース(平均重合度が175、
2%水溶液の20℃における粘度が8.5cps、ヒド
ロキシプロピル基が62.4%)50重量部に3重量%
塩化ナトリウム水溶媒250重量部を加え十分に攪拌混
合し均一な水溶液とした。この水溶液を内径30mmの
サンプル管に20mlとり、55℃の雰囲気に1時間放
置してから分離した水溶媒を吸い取ったあと脱気してあ
る同温度の3重量%塩化ナトリウム水溶液をその同量加
え十分に攪拌して均一に白濁した分散水溶液としてから
約720mmHgの減圧のもとで脱泡させて、さらに6
0℃で2時間凝集沈降させた後に、上水を除去して気泡
のないライオトロピック型のコレステリック液晶をえ
た。
【0024】
【実施例】
実施例6 ヒドロキシプロピルセルロース(平均重合度が96、2
%水溶液の20℃における粘度が2.5cps、ヒドロ
キシプロピル基が61.6%)20重量部に3重量%塩
化ナトリウム水溶媒100重量部この水溶液を内径30
mmのサンプル管に20mlとり、70℃の雰囲気に2
0分間放置して白濁凝集水溶液とした状態で攪拌棒で十
分に攪拌して均一に白濁した分散水溶液とした。再度1
0分後に再攪拌して分散水溶液にした後、70℃の雰囲
気に40時間放置して沈降させて白濁凝集層と上水層に
分離させた。この上水を除去し室温にもどして気泡のな
い良好なライオトロピック型のコレステリック液晶をえ
た。
【0025】
【実施例】
実施例7 70℃の塩化ナトリウム水溶液に1m角の6mm厚ガラ
ス板を浸けて、その基板の上に実施例1と同様の方法で
えた白濁凝集層を上澄み液とともに流し込み、その上に
対向基板として1m角の6mm厚ガラス板に5cmピッ
チで0.2mm径のビーズ(実施例1と同様なヒドロキ
シプロピルセルロース水溶液を利用して乾燥固定した)
をスペーサーとしてもつ基板を重ねるとともに各辺の両
端を水の逃げ口として5mm程度あけてゴム板をあて、
辺部からの凝集体漏れを防ぎつつ、4ヶ所の角から低粘
度である水を優先的にガラス基板間から排出させて全面
に等方性の凝集体を加圧展開して0.2mm厚の液晶層
を気泡混入なく形成できた。その後、この積層体を室温
まで自然放冷して外周をふき乾燥した。さらに、外周4
辺を室温硬化型のエポキシ樹脂をもつコの字型のアルミ
枠で封止した。その結果、濃度差からくる呈色模様を示
し、かつ気泡がない透明性の高い1m角の積層体をえ
た。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、線状ホモ
多糖類誘導体と水溶媒からなる高濃度水溶液のライオト
ロピック型のコレステリック液晶において、優れた呈色
と透明性をもちかつ気泡のない液晶を簡便に生産できる
方法をえた。本発明の液晶をもつ積層体は、可視光線を
高彩度の反射光と透明度の高い透過光に分割し、澄んだ
輝く呈色と透明度の高い透明性を示した。その結果、本
発明による液晶を使用した積層体を窓にした場合、昼間
室内より外の明るい景色を見ると特にぼけたり曇ったり
することは無く良好な透視性がえられ、逆に明るい室外
からこの窓をみると澄んだ輝く呈色を示した。また、直
射日光の照射面のみ選択的に白濁して自動的に遮光変化
する理想的なブラインドをもつ窓も提供できた。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G02F 1/13 500 9225−2K

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 線状ホモ多糖類誘導体を水溶媒に溶解し
    てライオトロピック型のコレステリック液晶にする製造
    方法において、線状ホモ多糖類誘導体と水溶媒からなる
    等方性水溶液を少なくとも1回は攪拌して加温により凝
    集した白濁状態を分散させてから線状ホモ多糖類誘導体
    を凝集沈降させて相分離させてから過剰の上水を除去し
    てライオトロピック型のコレステリック液晶とすること
    を特徴とする製造方法。
  2. 【請求項2】 白濁状態で攪拌後又は攪拌しながら減圧
    脱気してから凝集沈降させることを特徴とする請求項1
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 凝集沈降の相分離を遠心分離によること
    を特徴とする請求項1または請求項2の製造方法。
  4. 【請求項4】 凝集沈降した凝集体を下層部から連続的
    に取り出して上水を除去することを特徴とする請求項1
    または請求項2の製造方法。
  5. 【請求項5】 線状ホモ多糖類誘導体を水溶媒に溶解し
    てなるライオトロピック型のコレステリック液晶におい
    て、線状ホモ多糖類誘導体と水溶媒からなる等方性水溶
    液を少なくとも1回は攪拌して加温により凝集した白濁
    状態を均一に分散させてから線状ホモ多糖類誘導体を凝
    集沈降させて相分離させてから過剰の上水を除去してな
    ることを特徴とするライオトロピック型のコレステリッ
    ク液晶。
  6. 【請求項6】 線状ホモ多糖類誘導体と水溶媒からなる
    ライオトロピック型のコレステリック液晶が基板に積層
    されてなり少なくとも基板の一部が透明である積層体に
    おいて、線状ホモ多糖類誘導体と水溶媒からなる等方性
    水溶液を少なくとも1回は攪拌して加温により凝集した
    白濁状態を均一に分散させてから線状ホモ多糖類誘導体
    を凝集沈降させて相分離させてから過剰の上水を除去し
    てなるライオトロピック型のコレステリック液晶を積層
    してなることを特徴とする積層体。
JP4361963A 1992-12-11 1992-12-11 攪拌加温凝集法及び液晶とそれを使用した積層体 Pending JPH06207176A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012511595A (ja) * 2008-12-11 2012-05-24 エフピーイノベイションズ パターンを組み込んだ虹色固体ナノ結晶セルロースフィルム及びその製造方法

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JP2012511595A (ja) * 2008-12-11 2012-05-24 エフピーイノベイションズ パターンを組み込んだ虹色固体ナノ結晶セルロースフィルム及びその製造方法

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