JPH06206066A - 浄水剤およびこれを用いる水処理具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 活性炭、コーラルサンドおよびアスコルビン
酸またはその塩を含有する浄水剤およびこの浄水剤を透
水性袋体に充填してなる水処理具。 【効果】 本発明浄水剤によれば、効果的に水道水等飲
料水中の異臭源と発癌性物質であるトリハロメタンを除
去することができるので、飲料水の浄水手段として極め
て有利なものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、浄水剤およびこれを用
いる水処理具に関し、更に詳細には、水道水等の飲料水
の異臭を除去し、水のうまみ成分であるミネラルを添加
することのできる浄水剤およびこれを用いる水処理具に
関する。

【０００２】

【従来の技術】都市近郊の湖沼や河川は、都市化の進展
に伴ない、生活排水や工場排水の流入量が増え、りんや
窒素等の富栄養性塩が増加し、各種の藻類等の繁殖によ
り水質の悪化が進行している。

【０００３】水道水は、その水源として多くの場合、河
川水や湖沼水を利用しているが、これらの河川や湖沼の
水質が悪化した場合は、殺菌や消毒のための塩素を大量
に使用することになり、カルキ臭として残存する原因と
なっている。

【０００４】また、藻類等の繁殖が甚だしい場合には、
塩素殺菌にも係わらず処理水中にカビ臭が残る場合もあ
った。 このカビ臭は、マンション、ビル等で一旦水を
タンクにくみあげる場合には、水道水に問題がなくても
同様に発生していた。

【０００５】更に最近では、水中の有機物が大量に使用
される塩素により塩素化され、発癌性物質であるトリハ
ロメタンの生成も報告されている。

【０００６】このような水道水を始めとする飲料水か
ら、カルキ臭、カビ臭やトリハロメタンを除去する方法
は、すでに数多く報告されている。

【０００７】例えば、特開平１−２８１１９３号では、
コーラルサンドとアスコルビン酸を用いた浄水剤が開示
されており、優れた脱臭効果を得たことが報告されてい
る。

【０００８】しかし、その明細書の実施例を見るかぎり
では、これのみで完全に脱臭できておらず、植物抽出成
分の助けによって初めて完全な脱臭が可能となってい
る。

【０００９】また、水の浄化に広く用いられている活性
炭を用いて水道水の脱臭とトリハロメタンの除去も試み
られているが、この場合、完全に臭気およびトリハロメ
タンを除去するためには多量の活性炭を必要とする欠点
があった。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】上記実情から、簡単に
カルキ臭やカビ臭等の異臭を除き、また、発癌性成分で
あるトリハロメタンを除去して安全な飲料水を提供する
方法の開発が求められていた。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、活性炭に
よる水道水中の臭気およびトリハロメタンの除去機構に
関し、鋭意研究を行った結果、塩素や重金属が存在する
場合は、塩素や重金属が優先的に活性炭に吸着し、カビ
臭やトリハロメタンの吸着を妨害するため、多量の活性
炭が必要となっていることを知った。

【００１２】そして、活性炭とこれより塩素や重金属に
対する吸着能の高い物質とを浄水剤中に共存させれば、
活性炭はその本来の機能を発揮し、カビ臭やトリハロメ
タンを効果的に吸着、除去することを見出し、本発明を
完成した。

【００１３】すなわち本発明は、活性炭、コーラルサン
ドおよびアスコルビン酸またはその塩を含有する浄水剤
並びにこれを用いる水処理具を提供するものである。

【００１４】本発明において使用される活性炭として
は、粉末活性炭および造粒活性炭の何れを用いても良い
が、使用のし易さから、造粒活性炭、特に粒径１０〜１
００メッシュ程度の粒状活性炭を用いることが好まし
い。

【００１５】また、コーラルサンドは、造礁サンゴをそ
のまま、またはこれを加熱活性して調製されるもので、
その主成分は炭酸カルシウムであるが、生体であるサン
ゴに由来する多くの微孔を有する。このコーラルサンド
の形状としては、粒状、粉状のいずれのものであっても
良い。

【００１６】更に、アスコルビン酸としては、アスコル
ビン酸のＬ−体、Ｄ−体のいずれであっても良く、また
その塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金
属塩が好適に用いられる。

【００１７】本発明の浄水剤を調製するには、上記の活
性炭、コーラルサンドおよびアスコルビン酸またはその
塩を組合せ、混合すれば良い。

【００１８】本発明浄水剤のための配合割合の例として
は、活性炭２〜８０重量％（以下、「％」で示す）、コ
ーラルサンド１８〜９７％、アスコルビン酸またはその
塩０.１〜２％が挙げられ、特に、活性炭４〜４０％、
コーラルサンド５５.５〜９５％、アスコルビン酸また
はその塩０.５〜１.５％の配合割合であることが好まし
い。

【００１９】本発明の浄水剤は、上記組合せで十分に水
道水中の異臭やトリハロメタンを除去できるが、必要に
応じて他の任意成分を配合することを妨げるものではな
い。本発明の浄水剤に添加しうる任意成分の例として
は、亜硫酸塩、クエン酸塩、植物抽出成分、エリソルビ
ン酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が挙げられる。

【００２０】本発明の浄水剤は、大都市での通常の水道
水（平均塩素０.８ｐｐｍ含有）１リットルに対し、１
〜１０ｇ程度使用すれば良い。

【００２１】この浄水剤の使用方法としては、水道蛇口
に取り付けた浄水器中に添加しても良いが、この浄水剤
を透水性袋体に充填して水処理具となし、これでやかん
やポットに入れた水道水を処理しても良い。

【００２２】この水処理具を用いる場合、水中の塩素は
１０秒のうちに除去され、また、カビ臭やトリハロメタ
ンも６０分以内に除去されて、異臭のない飲料水を得る
ことが可能となる。

【００２３】

【作用】本発明浄水剤の作用は、前記したように、アス
コルビン酸が塩素を、またコーラルサンドが重金属を除
去して活性炭への吸着を防ぎ、活性炭本来の作用によっ
て水道水等のカビ臭およびトリハロメタンを効率良く除
去せしめるものである。また、コーラルサンドは、活性
炭に吸着される重金属に代わり、飲料水の味を良くする
ミネラル分を補充する作用も有する。

【００２４】

【実施例】次に実施例、比較例および試験例を挙げ、本
発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に
なんら制約されるものではない。

【００２５】実 施 例 １ ＰＰ・ＰＥ芯さや構造の繊維を用いて製造された目付２
０ｇ／ｍ²の不織布製袋に糸ひもとタッグを取付け、こ
の中に活性炭 ０.１６ｇ、アスコルビン酸ナトリウム
Ｏ.０４ｇおよびコーラルサンド ３ｇからなる浄水剤を
入れ、本発明の水処理具（本発明品）を得た。

【００２６】比 較 例 １ 実施例１の袋に活性炭 ０.１６ｇのみを入れ、比較品１
を得た。

【００２７】比 較 例 ２ 実施例１の袋にアスコルビン酸ナトリウム ０.０４ｇの
みを入れ、比較品２を得た。

【００２８】比 較 例 ３ 実施例１の袋にコーラルサンド ３.０ｇのみを入れ、比
較品３を得た。

【００２９】試 験 例 試験水（蒸留水１.０ｌに、カビ臭の主成分である２−
メチルイソボルネオ−ル、カルキ臭の原因となる次亜塩
素酸ナトリウムおよび代表的なトリハロメタンとしてク
ロロホルムを、それぞれの濃度が０.１ｐｐｂ、１ｐｐ
ｍ、１０ｐｐｂになる様に加える）を調製し、当該試験
水の臭気が本発明品および各比較品で除去できるかを試
験した。

【００３０】すなわち、上記試験水１.０ｌに本発明品
および比較品１〜３をそれぞれ投入し、６０分間放置し
た。 次いで、投入した各水処理具を取り出し、試験水
中のカビ臭、残留塩素濃度およびトリハロメタン濃度を
下記の方法で測定した。 この結果を表１に示す。

【００３１】（ 測定方法 ） カビ臭 ：Ｔ＆Ｔオルファクトメーター（第一産業
（株）製）を用い、臭覚感度の測定に合格したパネル１
０名を選定し、このパネルにより下記の評価基準でカビ
臭について評価を行ないその評点の平均値を評価とし
た。 カビ臭評価基準：０・・・全く臭わない １・・・やや臭う
２・・・かなり臭う

【００３２】残留塩素濃度：ｏ−トリジン比色法により
測定した。 トリハロメタン濃度：試験水をｎ−ヘキサンで抽出後、
ガスクロマトグラフ法により測定した。

【００３３】（ 結 果 ）

【００３４】この結果から明らかなように、本発明の浄
水剤によって初めて水道水の異臭およびトリハロメタン
が完全に除去できる。

【００３５】

【発明の効果】本発明浄水剤によれば、効果的に水道水
等飲料水中の異臭源と発癌性物質であるトリハロメタン
を除去することができるので、飲料水の浄水手段として
極めて有利なものである。 以 上

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 活性炭、コーラルサンドおよびアスコル
   ビン酸またはその塩を含有する浄水剤。
2. 【請求項２】 活性炭、コーラルサンドおよびアスコル
   ビン酸またはその塩を含有する浄水剤を透水性袋体に充
   填してなる水処理具。