JPH06201625A - 欠陥調査装置および欠陥調査方法 - Google Patents

欠陥調査装置および欠陥調査方法

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JPH06201625A
JPH06201625A JP28772192A JP28772192A JPH06201625A JP H06201625 A JPH06201625 A JP H06201625A JP 28772192 A JP28772192 A JP 28772192A JP 28772192 A JP28772192 A JP 28772192A JP H06201625 A JPH06201625 A JP H06201625A
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temperature
section
surface temperature
average
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 太陽光の照射の影響にかかわらず、壁面の剥
離部分、すなわち対象物の欠陥の位置を正確に認識する
ことができる欠陥調査装置および欠陥調査方法の提供を
目的とする。 【構成】 壁面の一部が浮き上がり、剥離現象が生じて
いる箇所は正常部分に比べて高温になっている。また、
太陽の反射光が照射されている部分も高温になる。この
表面温度を赤外線センサーで測定し、t時間経過後に再
度、測定する。そして、一回目と二回目との温度変化を
求める。これにより、高温箇所が移動していることが判
れば、その部分は太陽光の反射光に起因する高温箇所で
あると判断でき、正確に剥離部分を検知できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、欠陥調査装置および欠
陥調査方法に関し、特に太陽光の照射の影響にかかわら
ず、対象物の欠陥の位置を正確に認識することができる
技術に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、建築物の劣化や、水分、熱応力
などの影響により、建物の外壁の一部が浮き上がって剥
離現象が生じることがある。このような剥離による欠陥
を放置しておくと壁面の一部が落下してしまうおそれが
ある。このため、外壁に剥離現象が生じていないかを調
査する必要がある。この外壁検査としては、まず打診等
による接触式検査がある。しかし、この接触式検査では
足場等の設備が必要であり、検査に手間が係るという問
題がある。
【0003】このため、赤外線センサーによる検査装置
を用いた非接触式検査が行われている。これは、赤外線
センサーによって外壁の表面温度を測定し、その温度分
布に基づいて剥離部分を検知するものである。
【0004】すなわち、剥離現象は外壁の浮き上がりに
よって生じるので、剥離部分には壁内に空気層が形成さ
れている。したがって、例えば剥離部分の壁面が太陽光
によって加熱された場合、熱伝導が空気層によって遮断
され、外壁表面に熱量が保持される。このため、剥離部
分の表面温度は正常部分の表面温度に比べて高温にな
る。
【0005】このように、剥離部分と正常部分とでは表
面温度に差が生じる。したがって、赤外線センサーを用
いて外壁の表面温度を測定し、壁面の温度分布を調べれ
ば、剥離部分と正常部分とを区別することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の壁面検査には次
のような問題があった。上述のように、従来の赤外線セ
ンサーを用いた検査装置は外壁の表面温度を測定し、そ
の温度分布に基づいて壁面の剥離部分を検知しようとい
うものである。
【0007】ところが、検査対象の壁面に他の物体から
の太陽反射光が照射されていることがある。例えば、太
陽光が近隣の建物に反射しその反射光が照射される場合
や、検査対象の壁面自体に凹凸がありここで太陽光が反
射して壁面の一部に反射光が照射される場合がある。こ
のような場合、反射光の照射部分は他の壁面部分に比べ
て高温になる。したがって、壁面の表面温度を測定し温
度分布を調べたとき、反射光に起因して高温になってい
る部分を剥離部分であると誤認識してしまうおそれがあ
る。
【0008】このような太陽光反射による高温部分は、
従来、解析技術者が経験に基づいて判別していた。した
がって、解析技術者の熟練度によって検査精度が大きく
左右され、確実、正確な検査を行うことができないとい
う問題があった。
【0009】そこで、本発明は太陽光の照射の影響にか
かわらず、壁面の剥離部分、すなわち対象物の欠陥の位
置を正確に認識することができる欠陥調査装置および欠
陥調査方法の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る欠陥調査
装置は、対象物の表面温度を測定する温度測定部であっ
て、対象物の表面を複数の区分に二次元分解し、各区分
ごとの第一表面温度を測定した後、所定の待機時間が経
過した時点で各区分ごとの第二表面温度を測定する温度
測定部、前記第一表面温度および前記第二表面温度に基
づいて、各区分ごとの表面温度変化を演算する表面温度
変化演算部、各区分ごとの前記表面温度変化に基づい
て、平均温度変化を演算する平均温度変化演算部、前記
平均温度変化と、各区分ごとの前記表面温度変化とを比
較して、平均温度変化に対する各区分ごとの相対温度変
化を演算する相対温度変化演算部、各区分ごとの前記相
対温度変化を表示する表示部、を備えたことを特徴とし
ている。
【0011】請求項2に係る欠陥調査装置は、請求項1
の欠陥調査装置において、表示部は、各区分ごとの相対
温度変化を、複数の色彩によって表示する、ことを特徴
としている。
【0012】請求項3に係る欠陥調査装置は、請求項1
または請求項2の欠陥調査装置において、表示部には、
各区分ごとの表面温度も表示される、ことを特徴として
いる。
【0013】請求項4に係る欠陥調査方法は、対象物の
表面を複数の区分に二次元分解し、各区分ごとの第一表
面温度を測定するステップ、前記第一表面温度を測定し
た後、所定の待機時間が経過した時点で、各区分ごとの
第二表面温度を測定するステップ、前記第一表面温度お
よび前記第二表面温度に基づいて、各区分ごとの表面温
度変化を演算するステップ、各区分ごとの前記表面温度
変化に基づいて、平均温度変化を演算するステップ、前
記平均温度変化と、各区分ごとの前記表面温度変化とを
比較して、平均温度変化に対する各区分ごとの相対温度
変化を演算するステップ、各区分ごとの前記相対温度変
化に基づいて対象物の欠陥を判別するステップ、を備え
たことを特徴としている。
【0014】請求項5に係る欠陥調査方法は、請求項4
の欠陥調査方法において、対象物の欠陥の判別は、各区
分ごとの相対温度変化および各区分ごとの表面温度に基
づいて行う、ことを特徴としている。
【0015】
【作用】請求項1に係る欠陥調査装置においては、温度
測定部は、対象物の表面を複数の区分に二次元分解し、
各区分ごとの第一表面温度を測定した後、所定の待機時
間が経過した時点で各区分ごとの第二表面温度を測定す
る。また、表面温度変化演算部は、これら第一表面温度
および第二表面温度に基づいて、各区分ごとの表面温度
変化を演算する。
【0016】このように、第一表面温度および第二表面
温度を測定し、各区分ごとの表面温度変化を求める。し
たがって、待機時間の経過にともない、対象物の表面上
で太陽光の照射位置が移動した箇所を知ることができ、
対象物の欠陥に起因して測定された温度と、太陽光の照
射に基づいて測定された温度とを区別することができ
る。
【0017】また、各区分ごとの表面温度変化は平均温
度変化演算部に取り込まれ、それぞれの表面温度変化の
平均温度変化が演算される。そして、相対温度変化演算
部は、平均温度変化と、各区分ごとの表面温度変化とを
比較して、平均温度変化に対する各区分ごとの相対温度
変化を演算する。こうして求められた相対温度変化は、
各区分ごとに表示部において表示される。
【0018】したがって、各区分ごとの相対温度変化を
視覚的に認識することができ、対象物の欠陥に起因して
測定された温度箇所と、太陽光の照射に基づいて測定さ
れた温度箇所とを明瞭に知ることが可能になる。
【0019】請求項2に係る欠陥調査装置においては、
表示部は、各区分ごとの相対温度変化を、複数の色彩に
よって表示する。
【0020】したがって、各区分ごとの相対温度変化を
一層容易に認識することができる。請求項3に係る欠陥
調査装置においては、表示部には、各区分ごとの表面温
度も表示される。
【0021】したがって、各区分ごとの相対温度変化、
および各区分ごとの表面温度の双方に基づき、対象物の
欠陥判別を行うことができる。
【0022】請求項4に係る欠陥調査方法においては、
まず、対象物の表面を複数の区分に二次元分解し、各区
分ごとの第一表面温度を測定する。そして、この第一表
面温度を測定した後、所定の待機時間が経過した時点
で、各区分ごとの第二表面温度を測定する。次に、これ
ら第一表面温度および第二表面温度に基づいて、各区分
ごとの表面温度変化を演算する。
【0023】このように、第一表面温度および第二表面
温度を測定し、各区分ごとの表面温度変化を求める。し
たがって、待機時間の経過にともない、対象物の表面上
で太陽光の照射位置が移動した箇所を知ることができ、
対象物の欠陥に起因して測定された温度と、太陽光の照
射に基づいて測定された温度とを区別することができ
る。
【0024】また、各区分ごとの前記表面温度変化に基
づいて平均温度変化を演算し、この平均温度変化と、各
区分ごとの表面温度変化とを比較して、平均温度変化に
対する各区分ごとの相対温度変化を演算する。そして、
各区分ごとの相対温度変化を表示する。
【0025】したがって、各区分ごとの相対温度変化を
視覚的に認識することができ、対象物の欠陥に起因して
測定された温度箇所と、太陽光の照射に基づいて測定さ
れた温度箇所とを明瞭に知ることが可能になる。
【0026】請求項5に係る欠陥調査方法においては、
対象物の欠陥の判別は、各区分ごとの相対温度変化およ
び各区分ごとの表面温度に基づいて行う。
【0027】したがって、各区分ごとの相対温度変化、
および各区分ごとの表面温度の双方に基づき、総合的な
判断によって対象物の欠陥を判別することができる。
【0028】
【実施例】
<本実施例の概略>本発明に係る欠陥調査装置および欠
陥調査方法の一実施例を、壁面の剥離検査を例に説明す
る。建築物の劣化や、水分、熱応力などの影響により、
建物の外壁の一部が浮き上がって剥離現象が生じること
がある。このような剥離部分を赤外線センサーを用いて
検知する。すなわち、剥離現象は外壁の浮き上がりによ
って生じるので、剥離部分には壁内に空気層が形成され
ている。このため、壁面の剥離部分と正常部分とでは、
その表面温度に差異が生じることになり、表面温度の分
布に基づいて剥離部分を識別することができる。
【0029】本実施例においては、検査の対象物となる
壁面の第一表面温度を測定した後、所定の待機時間経過
後に第二表面温度を測定する。そして、この第一表面温
度と第二表面温度とに基づいて表面温度変化を求め、壁
面の剥離部分を認識する。すなわち、壁面の表面温度
を、所定の時間的間隔をおいて2度測定することによ
り、その間に移動する太陽光の照射位置を判別する。こ
うして、太陽光の影響を回避し、壁面の剥離部分を正確
に検知しようとするものである。
【0030】以下にその検査装置および検査方法の詳細
を示す。まず、図1に基づいて、本実施例に係る剥離検
査装置の構成を説明する。カメラヘッド2内には走査回
路21、集光部22、検出回路23、増幅回路24、同
期回路25および内部温度センサ26が設けられてい
る。一方、プロセッサ部4はカメラヘッドインターフェ
イス41、メモリ42および表示処理回路43を備えて
おり、これらはMPU44によって制御される。なお、
表示処理回路43の処理に基づき、モニタ6に所定の表
示が行われる。
【0031】次に、図3、図4の具体例および図2のフ
ローチャートに基づいて検査の概要を説明する。今、仮
に図3に示すように建物の壁面10に、剥離部分(ア)
が生じているとする。上述のように、この剥離部分
(ア)内には空気層が形成されており、空気層によって
熱量が表面部に保持されて、剥離部分(ア)表面は壁面
10の正常部分に比べて高温になる。また、この壁面1
0には、近隣の建物の窓ガラスから、太陽光の反射光が
照射されているとする。太陽反射光は、反射光照射部分
(カ)に照射されている。反射光の加熱によって、この
反射光照射部分(カ)も壁面10の他の部分に比べて高
温になる。
【0032】剥離検査を行う場合、壁面10に向けてカ
メラヘッド2(図1)を設置し、壁面10の表面温度を
測定する。この表面温度の測定は、壁面10を二次元分
解した各測定点(区分)ごとに行う。すなわち、図5に
示すように、カメラヘッド2の画像内において、壁面1
0を複数の測定点P1からPnまでに分解し、各測定点
の表面温度を測定する。
【0033】まず、壁面10の各測定点の表面温度を測
の第一回目の測定処理を行う(図2、ステップS2)。
この場合、ノイズを排除し正確な表面温度を検知するた
め、連続して複数回、測定を行う。以下に具体的な測定
処理動作を説明する。図1に示すように、壁面10から
の光線L1はカメラヘッド2内の走査回路21に受光さ
れる。この走査回路21は、壁面10の測定点P1から
Pnまでに対応する走査処理を行い、各測定点からの光
線L1を取り込む。なお、走査回路21は同期回路25
からの信号に基づいて各測定点の光線L1を取り込む。
【0034】走査回路21を通じて取り込まれた光線L
1は集光部22で集光され、さらに検出回路23に取り
込まれる。そして、光線L1中から赤外線が抽出され、
電気信号に変換されて増幅回路24に与えられる。増幅
回路24はこの電気信号を増幅し、赤外線映像信号とし
てプロセッサ部4に向けて出力する。
【0035】赤外線映像信号はプロセッサ部4内のカメ
ラヘッドインターフェイス41に取り込まれる。カメラ
ヘッドインターフェイス41には、同期回路25からの
同期信号も与えられている。カメラヘッドインターフェ
イス41はこの同期信号によって、取り込まれた赤外線
映像信号がどの測定点に対応する信号であるかを認識す
る。なお、カメラヘッドインターフェイス41には、カ
メラヘッド2内の温度を測定する内部温度センサ26か
ら補正信号が与えられており、赤外線映像信号に対する
補正が行われる。
【0036】カメラヘッドインターフェイス41が出力
する赤外線映像信号はメモリ42に取り込まれ、測定点
に対応するアドレスに記憶される。こうして各測定点P
1からPn(図5)までの表面温度が測定されメモリ4
2に記憶される。図3に示す剥離部分(ア)、反射光照
射部分(カ)に対応する測定点は、他の測定点に比べて
高温が測定され、記憶されている。なお、上述のように
ノイズを排除するため、各測定点について複数回の測定
処理が繰り返し行われる。
【0037】第一回目の測定処理(図2、ステップS
2)終了後、t時間(待機時間)、例えば5分間、経過
するのを待つ(ステップS4)。5分経過後、図3Aに
示す壁面10の状態が、図3Bのように変化したとす
る。つまり、t時間の経過によって、近隣の建物からの
太陽光の反射位置が、反射光照射部分(カ)から(キ)
に移動している。建物の位置関係によって、通常、短時
間でも太陽光の反射位置の移動は顕著に表われる。t時
間経過後、上記第一回目と同様の動作を実行し第二回目
の測定処理を行う(ステップS6)。なお、第二回目の
測定も各測定点について複数回、連続して測定する。
【0038】次にMPU44(図1)は、複数の第一回
目の測定温度(ステップS2)を各測定点ごとに平均化
し(ステップS8)、これを第一表面温度としてメモリ
42に記憶する。また、第二回目の測定温度(ステップ
S6)についても各測定点ごとに平均化し(ステップS
10)、第二表面温度として記憶する。こうして各測定
点ごとの第一表面温度、およびt時間経過後の第二表面
温度を求める。
【0039】この後、第二表面温度から第一表面温度を
減算し、各測定点ごとの表面温度変化を演算する(ステ
ップS12)。すなわち、各測定点の表面温度が、t時
間の間にどれだけ変化したかを求める。そして、この各
測定点の表面温度変化を平均化して平均温度変化を演算
する(ステップS13)。
【0040】MPU44(図1)は、表示処理回路43
を通じ、モニタ6にステップS12で求めた各測定点の
表面温度変化をヒストグラム表示するとともに、ステッ
プS13で求めた平均温度変化を表示する(ステップS
14)。そして、この表示に基づいて平均温度変化量範
囲を決定し入力する(ステップS16)。平均温度変化
量範囲は、ステップS13で求めた平均温度変化の測定
誤差を考慮し、例えば「2度」の幅を設定して平均値と
するものである。
【0041】平均温度変化量範囲が入力された後、この
平均温度変化量範囲に対する、各測定点ごとの相対温度
変化を演算する(ステップS18)。具体的には、各測
定点の表面温度変化から平均温度変化量範囲を減算し、
それぞれの測定点の相対温度変化を求める。
【0042】したがって、他の測定点に比べて著しく温
度が上昇した測定点、つまり平均温度変化量範囲を越え
る程の表面温度変化が生じた測定点では、プラスの値の
相対温度変化が算出される。なお、平均温度変化量範囲
が負の値として設定されている場合(壁面全体の温度が
下降したような場合)で、それほど大きく温度が下降し
なかった測定点についても、相対的にプラスの値の相対
温度変化が算出されることになる。
【0043】また、他の測定点に比べて著しく温度が下
降した測定点、つまり平均温度変化量範囲を下回る表面
温度変化が生じた測定点では、マイナスの値の相対温度
変化が算出される。なお、平均温度変化量範囲が正の値
として設定されている場合(壁面全体の温度が上昇した
ような場合)で、それほど大きく温度が上昇しなかった
測定点についても、相対的にマイナスの値の相対温度変
化が算出されることになる。
【0044】なお、平均温度変化量範囲内の表面温度変
化については、相対温度変化を「0」とする。すなわ
ち、このような表面温度変化は、壁面全体の中で平均的
な温度変化に止まるものだからである。
【0045】次に、各測定点ごとの相対温度変化を、各
々プラス、マイナス、0の値に3値化処理する(ステッ
プS20)。そして、各値に色彩を付与し、モニタ6に
表示する(ステップS22)。例えば、プラスの相対温
度変化の測定点に対しては赤色、マイナスの相対温度変
化の測定点に対しては青色、相対温度変化が0の測定点
については透明の表示を行う。なお、赤外線センサーの
測定能力の限界との関係上、表面温度変化が明確でない
測定点については、さらに他の色彩、例えば紫色を付与
して解析不可能箇所として表示してもよい。
【0046】図3A、Bに示す壁面の表面温度を測定し
た場合、ステップS22のモニタ表示は、図4Aのよう
になる。図4Aのモニタ表示中、表示部H1は青色で示
されており、この部分はt時間の間に相対温度変化がマ
イナスであることを表わしている。また、表示部H2は
赤色で示されており、この部分はt時間の間に相対温度
変化がプラスであることを表わしている。
【0047】すなわち、図3Aの壁面10の状態から、
t時間経過後は太陽光の反射光が移動し、図3Bに示す
ように反射光照射部分が(カ)から(キ)に移動してい
る。このため、反射光照射部分(カ)に対応する測定点
では相対温度変化がマイナスになり、逆に反射光照射部
分(キ)に対応する測定点では相対温度変化がプラスに
なる。このため、図4Aのようなモニタ表示が行われ
る。なお、図3A、Bにおける剥離部分(ア)の位置
は、t時間の経過にかかわらず移動しない。このため、
剥離部分(ア)に対応する測定点では、他の正常部分と
同様に相対温度変化は0であり、モニタ6には透明とい
して色彩表示は行われない(図4A参照)。モニタ6に
は図4Aに示すような表示とともに、壁面10の絶対温
度も表示されるようになっている(図4B参照)。この
表示も例えばカラーバー等を用いて色彩表示を行う。こ
こではステップS2、S8で測定した第一表面温度を絶
対温度として表示している。
【0048】このようにモニタ6には、図4A、Bのよ
うな表示が行われる。解析者はこのモニタ表示を見て壁
面10の剥離箇所を判断する。剥離箇所は上述のように
高温であるので、まず壁面の絶対温度(図4B)に基づ
き、表示H3、H4の部分に剥離現象が生じている可能
性があると判断できる。しかし、ここで図4Aの表示を
見れば、表示H4(図4B)に対応する部分が、t時間
の経過によって移動していることが判る。したがって、
表示H4の部分には剥離現象が生じているのではなく、
太陽光の反射に起因して高温になっていると判断でき
る。
【0049】以上のようにして、壁面10には表示H3
に対応する位置に剥離現象が生じていることを検知でき
る。すなわち、太陽光の照射の影響にかかわらず、剥離
部分の位置を正確に認識することが可能になる。なお、
図4Bの絶対温度の表示として、第一表面温度ではなく
第二表面温度(図3B)を用いてもよい。
【0050】上記実施例においては、図1に示すカメラ
ヘッド部2およびプロセッサ部4が、測定処理から解析
処理を行いモニタ6に解析結果を表示している。しかし
図6の他の実施例に示すように、解析処理は別途、解析
装置80が行うようにしてもよい。この解析装置80と
しては例えばパーソナルコンピュータが用いられ、MP
U81、ハードディスク82を備えている。また、キー
ボード83、マウス84によって入力操作が行われる。
【0051】図6に示す実施例においては、カメラヘッ
ド部2およびプロセッサ部4が図2のステップS8まで
の測定処理を行う。そして、プロセッサ部4のメモリ4
2に記憶されている測定データが、フロッピーディスク
86を介して解析装置80に取り込まれる。なお、この
際フロッピーディスク86を用いずに、オンラインを通
じてデータを取り込んでもよい。与えられた測定データ
に基づいて、解析装置80はステップS10からS20
までの処理を実行する(図2)。そして、モニタ85
に、図4A、Bが表示される。
【0052】<本実施例の具体的詳細> 1.緒論 建築物の外壁は様々の要因、例えば日射や風雨による経
年劣化や、水分、熱応力等による、剥離現象が発生し、
劣化の進行、または地震等の大きな外力が構造躯体に生
じた場合、外壁仕上げ材が、剥離・剥落が発生し、建築
物の景観を損うにとどまらず、落下物により人的被害に
まで及ぶ事となる。このような事態に及ぶまでに、その
外壁を補修されることが望まれるが、その補修箇所の位
置を確定することを主な目的として、外壁の調査方法が
存在する。建築物の外壁診断における非破壊調査方法の
一つに赤外線を用いた調査方法があるが、この方法は非
接触で実施できるため調査時において足場等が不用であ
り、記録が残せ、温度を平面でとらえることにより面積
計算が容易で、調査費用も比較的安価で実施可能であ
る。しかし、この調査方法は外的要因を受けやすく、そ
のために精度の低下や誤診等を招く。
【0053】実際に、調査の段階で特に問題になってい
たのが太陽の反射光であって、測定物がタイル等の放射
率の低い材料であれば、特に太陽光を反射して測定箇所
の正しい温度測定が不可能になる。
【0054】また近接の建物のガラス等からの反射光が
測定面に当って、実際の温度より高温に温度が測定され
ることとなる。
【0055】赤外線を用いた外壁診断では正常部と剥離
部での熱特性の違いにより温度差が生じることを利用し
たものであるが、今回の研究の目的は誤診の主な原因の
一つである反射についての対策として、反射箇所の位置
を相対温度変化量を用いて確定する方法の提案を行うも
のである。
【0056】1.1反射について 反射とは、測定しようとする対象物に太陽光などが当り
正確な測定が行えなくなる現象で、調査精度の低下、誤
診等を招き、外的要因の最も悪影響を及ぼすものの一つ
である。測定面のある箇所が高温部であったとき、その
箇所が剥離によって高温部になったのか、反射により高
温部となったのかの判断は、解析する技術者の判断に委
ねられる。また、反射と一口にいっても、その特徴から
何種類かに分類できる。以下に示す分類は本論文中にお
いて、内容の簡略化のため、おのおの命名し用いる。
【0057】反射という現象の説明を含めて、以下に列
記してみる。まず考えられるのが、調査対象物以外の物
体が太陽光を反射して、調査建物の一部の温度を上昇さ
せる場合が考えられる。これと同じ様な例で、対象物に
凹凸があり、太陽光を自身に反射する場合もある。
【0058】また、調査対象物自体が光沢を持ってお
り、その部分を赤外線センサーで温度を調べると、それ
自体の熱量以外に周囲の熱量も反射して、その熱量も加
算されて、正確な温度測定が行われない。極端な場合、
調査対象外の物体が太陽光を反射して調査対象物に当
り、その箇所の温度が上昇して、またその箇所が光沢が
あって反射してきた熱を反射して赤外線センサーまで届
く場合もある。上記のような現象すべて含めて、反射と
総称しているが、明らかに性質が異なり、その対策も異
なる。
【0059】ここで、性質別に反射を分類する。赤外線
センサーで測定した場合と、実際の温度とが異なること
がある。これは、その測定面が反射して自身の熱量と周
囲の熱が加算されるために、実際の温度と異なる現象に
なる。特に放射率の低い物質ほどよく反射するので、こ
のような対象物を測定するときは、このことに注意しな
ければならない。このような反射を”直接反射”とす
る。
【0060】ある熱が直接反射して測定面に当ってその
部分が他の部分より高温になることがある。このような
反射を”間接反射”とする。また、反射の熱源が太陽で
あるかどうかで、太陽光反射型熱源、非太陽光反射型熱
源とする。
【0061】1.2相対温度変化量について 同一箇所を時間を分けて測定して得られた温度分布は、
ほぼ同じ様な状況でも測定誤差が含まれ、ほとんどの場
合、完全に一致しない。だがこの場合、各点の温度変化
量は測定点が多いため、ほぼ正規分布にしたがう。この
様な状況下で測定誤差を差し引いても、平均温度変化に
従わない箇所についての考察する。
【0062】本論文では反射箇所の確定方法等の説明を
行うために相対温度変化量を定めた。
【0063】これは、その箇所のある時間経過後の温度
変化から、その測定面全ての温度変化量の平均値との差
である。
【0064】その他に、ある測定点の時間経過後の温度
差を温度変化量、センサーでとらえられる測定面含まれ
る測定点全ての温度変化量の平均値を平均温度変化量と
する。
【0065】すなわち、赤外線センサーは平面の温度を
測定するので測定点は二次元となり(図7)初期温度を
anとして、ある時間経過後の温度をbnとするとき、
温度変化量 dT、平均温度変化量adT、相対温度変
化量 rdTn は以下の式で表せられる。
【0066】
【数1】
【0067】この相対温度変化量は、その箇所の周囲温
度からの影響の敏感性を示し、また時間経過後のある測
定点の温度変化の差分であり、その間におこった現象を
記録したものとなる。
【0068】 1.3 太陽光反射型熱源による直接反射箇所について 平均温度変化がマイナスのとき相対温度変化がマイナス
の箇所が太陽光直接反射箇所であると推測される。なぜ
なら、平均温度変化量がマイナスであるということは、
周囲の温度が降下した状況であって、この温度降下の主
な原因が太陽熱の放射量が減少したために起こった現象
であると考えられる。
【0069】この理由として、温度降下を起こす現象と
しては低温の外気で測定面が冷却される場合が考えられ
るが、測定間隔が狭い場合、熱伝導率の相違を考えて
も、極端に各点において温度変化に差が現われるとは考
えられない。ここで、赤外線センサーで測定している温
度は、測定物の温度そのものではなく、大気で減衰を受
けた対象物からの放射量と、周囲環境からの対象物体に
反射し大気によって減衰されたもの、及び大気からの放
射量から成っている(式(4)参照)。
【0070】
【数2】
【0071】大気による影響は測定距離と温度に関係す
るが、通常の状況では大気の透過率を1として考え、大
気による影響を無視する。そうすると、計測されている
温度は対象物の放射量と周囲環境からの反射となる。こ
のとき、各点の相対温度変化量が示すものは周囲環境か
らの反射光の変化に他ならない。放射率が1でない以
上、必ず反射熱は測定温度に含まれ、ほとんどの反射熱
は太陽光であり、測定面全体が平均的に温度降下した場
合あきらかに太陽光が雲等により、放射熱が減少したと
考えられ、平均降下温度より温度が降下した箇所は、周
囲より余分に太陽光を受けていた箇所と考えられ、その
ような箇所は太陽光反射型熱源による直接反射箇所であ
る。
【0072】2 相対温度変化量4値化画像処理 2.1 内容 相対温度変化量を4値に変換して、各々に色を割り当て
画像として出力する。(表1参照)
【0073】
【表1】
【0074】このとき不確定温度帯については条件付き
で処理し、断定できない場合は解析不可能箇所として処
理する。このときの条件として、オーバーフローした温
度帯から温度降下した場合、その温度降下量は単純計算
値以上降下したと判断する。この場合、平均温度変化量
の範囲の最小値が単純計算温度降下量より大きい場合の
み採用し、アンダーフローした温度帯から温度上昇した
場合は、オーバーフローした場合の処理の逆の処理を行
う。
【0075】測定装置の性能上の制約のため、このよう
な処理を行わなければ、まったく意味のない結果にな
り、また、平均温度変化量は測定誤差も考慮しなければ
ならない。
【0076】このとき、温度変化量は測定点が多いため
(25600箇所)その分布は正規分布に従うものと
し、信頼度についてはデータにより、まちまちなので一
概に何%以上等と断定できないが、最瀕値を中心にいろ
いろと、実際に処理してみると自ずと平均温度変化量の
信頼度が限定できる。温度変化の平均値の範囲を狭くし
過ぎると、赤と青の点が画面上に入り乱れることにな
り、反対に広くし過ぎると変化点が表われなくなる。
【0077】ただし、分散値が小さいときや、ほとんど
変化していない画像同士を処理した場合、平均温度変化
量をどの様に操作しても変化点が表われない場合も、も
ちろんある。
【0078】既存のデータをこの様な処理をしてみたと
ころ、平均温度変化量が1゜C以上無ければ、ほとんど
意味のない結果しか得られなかった。今のところ、この
処理の基準になるようなものが無いので、いろいろパラ
メーターを替えて試すほかない。
【0079】 2.2 既存データの相対温度変化量4値化画像処理 これまでの調査方法は同一箇所を数回測定して平均化を
行っていたので、ある意味ではこの処理を行なうのに都
合が良かった。
【0080】しかし、調査の効率上、測定間隔が非常に
狭いので最初の画像と、最後の画像を比較しても、ほと
んど変化していない場合が多く、余り意味のないと思わ
れる画像ばかり得られたが、いくつかは処理を施した効
果が得られた。
【0081】主な効果として、 ・日陰と、日の当たっている箇所の境界を判断できる。
【0082】・反射率の相違から材料の区別ができる。
【0083】・赤外線センサーと測定面の間の他の物質
の通過の判断が可能 上記、判断根拠を以下に述べる。
【0084】 (1)日陰と、その当たっている箇所の境界判断根拠 この方法の判断根拠は、日陰と日の当たっている箇所の
境界線上で以下のような状況になる。 日陰の箇所は太
陽の移動により同様に移動する。その為に以前、普通に
太陽光が当たっていた箇所が日陰に入り急激に温度が降
下する。これは、測定対象物自体の温度が日陰という太
陽光の当らない箇所に入ったために温度が下がったとは
考えにくい。当然、時間経過によりこの様な現象は起こ
り得るが、短時間では考えにくいので、おそらく反射光
の影響であると考えられる。明らかに、日陰と日の当る
箇所とでは反射熱量が異なる。
【0085】いずれにせよ、この様な箇所では他の箇所
より温度降下が著しい。換言すれば、相対温度変化量が
負である。また、形状的に日陰との境界であるので直線
的にこの様な点が存在するのが特徴である。
【0086】 (2)反射率の相違から材料の区別の判断根拠 この判別方法は、シビアな材料の区別が出来るわけでは
ない。また、明らかに反射率が異なる材料同士しか判断
出来ない。また、外部仕上げの色等でも放射率が異なる
ので、色の判別もある程度出来る。
【0087】熱画像上では認識しがたく、位置確認のた
め必要な物、例えば目地等を認識する手段としては、有
用である。反射率が明らかに異なる場合、太陽光の変化
の反応の度合いが異なる。その反応の度合いの相違が相
対温度変化量として現れる。その形状は、ほぼ対象物と
同型であり、特異物なら、その形状から対象物を推測す
るのは、ある程度可能である。
【0088】(3)赤外線センサーと測定面の間の他の
物質の通過判断根拠 赤外線センサーと測定面の間の他の物質が通過すること
は可能性として十分考えられ、測定中に鳥、人間が通過
した事例が多々ある。通過物はたいてい測定面と明らか
に温度分布が違うので、ある程度元画像で判断出来るが
通過物が小さい場合、通過物の距離が遠い場合、判別が
困難であったが、今回のこの方法で判断が可能となっ
た。勿論、どのような条件でも判断出来る訳では無く、
通過物が時間を経過後の(この場合は通過物が移動した
後の)熱画像が2枚以上必要である。
【0089】判断根拠として、高温(低温)の熱源が移
動して、以前その熱源が存在した箇所では、移動後はそ
の箇所に熱源が存在しないので、温度が降下(上昇)
し、移動後に熱源が存在している箇所は、以前熱源が存
在していなかったので温度が上昇(降下)する。
【0090】実際、このような複数データを相対温度変
化量4値化画像処理を行うと、ほぼ同型の赤と青の対が
存在する。これらは明らかに、高温(低温)の熱源が移
動した状況を示している。これにより、通過物の判断が
可能となった。
【0091】そこで、この方法を太陽光反射型熱源によ
る間接反射箇所に同様に展開すると、この反射箇所を確
定出来る筈である。以下に、この方法の説明と立証方
法、実験結果を述べる。
【0092】3.相対温度変化量を用いた太陽光反射型
熱源による間接反射箇所確定方法 3.1 概要 調査対象建物以外の物体が太陽光を反射して当該建物に
通常以上の熱量を当てて、その事により測定箇所の温度
に、この反射による熱量が加算され、測定箇所が必要以
上に加熱し、それが原因調査物件は一様な熱量を受ける
ことが出来なくなり、誤診の原因になる。この様な箇所
を割り出すための方法。
【0093】太陽光反射型熱源による直接反射光が調査
対象物に長時間、大熱量もしくは、対象物の熱伝導率が
高い場合に起こるのが、本テーマの太陽反射型熱源によ
る間接反射である。
【0094】3.2 原理 この方法は、通常の高温部と太陽光反射型熱源で加熱さ
れた高温部との特性の違いを利用した物である。その大
きな違いである、太陽は移動する点に着目して太陽光の
移動に伴って 反射光も移動する現象を利用したもので
ある。この反射光は測定建物温度より明らかに高温であ
る。この高温箇所が太陽の移動と共に移動する。
【0095】そこで、赤外線センサーと測定面の間に他
の物質の通過判断根拠で展開した、高温熱源(反射箇
所)が移動して、以前その熱源が存在した箇所では、移
動後はその箇所に熱源が存在しないので、温度が降下
し、移動後に熱源が存在している箇所は、以前熱源が存
在していなかったので温度が上昇し、このような複数デ
ータを相対温度変化量4値化画像処理を行うと、ほぼ同
型の赤と青の対が存在する事となる。
【0096】これは明らかに、高温熱源が移動した状況
を示し、その箇所が反射箇所であると推測出来る。そこ
でこの理論を立証するために、以下の実験を行なった。
【0097】3.3 実験方法 実験対象物は、明らかに目視で太陽光反射型熱源による
反射が確認出来る建物を選び、測定を行い、下記の設定
で実験を行った。
【0098】設定 1:15分連続測定、パラメーター
固定、30秒間隔で記録。
【0099】パラメーター設定条件 Low Temp
25、Senc 0.5。
【0100】設定 2:15分連続測定、パラメーター
固定、30秒間隔で記録。
【0101】パラメーター設定条件 Low Temp
27、Senc 0.3。
【0102】注意事項として、測定対象物の温度がオー
バーフローやアンダーフローをしないように留意した。
【0103】ここで使用した赤外線センサーには、日本
アビオニクス(株)製、TVS3000シリーズを使用し
た。
【0104】この装置は256×100の画素による情
報量から構成されており、それぞれに16階調の温度区
分帯が設定されて、その範囲を、Sencで設定する。
【0105】その温度区分の各々に対し色を割り当て、
二次元の熱画像として出力する。色と温度の関係を示す
方法としてカラーバーがあり、その右端部(ホワイト)
に高温部、左端部(パープル)に低温部を表示して二次
元の熱画像として出力される。
【0106】このとき最低温度帯(Low Temp)
には、それ以下の温度も含まれ(アンダーフロー)また
最高温度帯には、その温度以上の温度も含まれることと
なる(オーバーフロー)。
【0107】解析装置には、プラネット(株)製、ISA
AC Ver1.0を用いた。なお、図8にこのISA
ACの処理過程を示す。
【0108】ISAACは、パーソナル・コンピュータ
で作動するソフトウェアで今回の実験のために開発した
ものであるが、まだ機能的に十分でないので、今後バー
ジョン・アップする予定である。
【0109】
【表2】
【0110】4.実健結果及び考察 結果は予想通りであった。明らかに熱源が移動している
ことが判別でき、その箇所が目視により確認していた太
陽光反射型熱源による間接反射箇所と一致した。
【0111】また、この結果をみると、縦に並んだ反射
箇所の移動量は、ほぼ同じであり、これは太陽が移動し
ても反射光は縦方向には影響が無いからであり、右にい
くほど移動量が大きいのも反射角度から考えると納得が
いく。
【0112】今回の実験で全ての反射箇所判別に必要な
時間は、8分以上必要であったが、もちろんこの時間は
反射角度により左右される。また、広範囲な反射につい
ては顕著に結果がでないと思われるが、実際問題として
今回のようなピンスポット形の反射が特に誤診を招きや
すく、広範囲に反射している場合はそれほど問題にはな
らない。
【0113】この方法の最大の問題点は計測に時間がか
かることである。
【0114】今回の実験のように1箇所だけの測定なら
ば15分もかからないが、たいていの調査対象物は各面
(東西南北)に10〜20枚に及ぶことも稀でない。
【0115】このペースで調査すると各面に1日かかる
ことにもなりかねない。そこで、この問題を解決するた
め、測定間隔の空白な時間を有効に利用し、待ち時間の
間に他の箇所を測定してゆき、また元の位置に戻すとい
う行程を繰り返す。
【0116】しかし、画像処理の方法が測定各点の温度
変化を利用しているので、測定点が狂うと全く意味がな
くなってしまう。
【0117】正確にセンサーの位置を元に戻せない場
合、得られた画像をコンピュータで画像変換処理を行
い、同一平面上で平行移動で重ね合わせを行うという方
法が考えられる。
【0118】5.結論 本研究では、今まで解析を行う技術者の主観的な判断で
行われていた反射箇所の確定、または可視光線を伴わな
い熱のみの反射箇所の確定に客観的な方法が相対温度変
化量を用いることで可能となり、その方法を提案した。
【0119】また、その他の現象の解析にも相対温度変
化量を用いた方法が利用できることも明らかとなった。
本研究は以下のような現象の判別を可能とするものであ
った。
【0120】・日陰と日の当たっている箇所の境界の判
断 ・反射率の相違から材料の区別 ・赤外線センサーと測定面の間での物質の通過判断 ・太陽光反射型熱源による直接反射箇所 ・太陽光反射型熱源による間接反射箇所 また、この方法は他の現象にも応用できると思われ、特
に剥離部分の温度上昇率と汚れ等の反射率の高い部分、
または体積等による熱量の相違から同じ高温部であって
も、そのなかの剥離部分の確定が可能であると思われ、
今後この方面の研究を行う予定である。
【0121】
【発明の効果】請求項1に係る欠陥調査装置において
は、温度測定部は、対象物の表面を複数の区分に二次元
分解し、各区分ごとの第一表面温度を測定した後、所定
の待機時間が経過した時点で各区分ごとの第二表面温度
を測定する。また、表面温度変化演算部は、これら第一
表面温度および第二表面温度に基づいて、各区分ごとの
表面温度変化を演算する。
【0122】このように、第一表面温度および第二表面
温度を測定し、各区分ごとの表面温度変化を求める。す
なわち、待機時間の経過にともない、対象物の表面上で
太陽光の照射位置が移動した箇所を知ることができ、対
象物の欠陥に起因して測定された温度と、太陽光の照射
に基づいて測定された温度とを区別することができる。
【0123】また、各区分ごとの表面温度変化は平均温
度変化演算部に取り込まれ、それぞれの表面温度変化の
平均温度変化が演算される。そして、相対温度変化演算
部は、平均温度変化と、各区分ごとの表面温度変化とを
比較して、平均温度変化に対する各区分ごとの相対温度
変化を演算する。こうして求められた相対温度変化は、
各区分ごとに表示部において表示される。
【0124】すなわち、各区分ごとの相対温度変化を視
覚的に認識することができ、対象物の欠陥に起因して測
定された温度箇所と、太陽光の照射に基づいて測定され
た温度箇所とを明瞭に知ることが可能になる。
【0125】したがって、太陽光の照射の影響にかかわ
らず、対象物の欠陥の位置を正確に認識することができ
る。
【0126】請求項2に係る欠陥調査装置においては、
表示部は、各区分ごとの相対温度変化を、複数の色彩に
よって表示する。すなわち、各区分ごとの相対温度変化
を一層容易に認識することができる。
【0127】したがって、対象物の欠陥の位置をさらに
正確に認識することができる。
【0128】請求項3に係る欠陥調査装置においては、
表示部には、各区分ごとの表面温度も表示される。すな
わち、各区分ごとの相対温度変化、および各区分ごとの
表面温度の双方に基づき、対象物の欠陥判別を行うこと
ができる。
【0129】したがって、より的確に対象物の欠陥の位
置を認識することが可能になる。
【0130】請求項4に係る欠陥調査方法においては、
まず、対象物の表面を複数の区分に二次元分解し、各区
分ごとの第一表面温度を測定する。そして、この第一表
面温度を測定した後、所定の待機時間が経過した時点
で、各区分ごとの第二表面温度を測定する。次に、これ
ら第一表面温度および第二表面温度に基づいて、各区分
ごとの表面温度変化を演算する。
【0131】このように、第一表面温度および第二表面
温度を測定し、各区分ごとの表面温度変化を求める。す
なわち、待機時間の経過にともない、対象物の表面上で
太陽光の照射位置が移動した箇所を知ることができ、対
象物の欠陥に起因して測定された温度と、太陽光の照射
に基づいて測定された温度とを区別することができる。
【0132】また、各区分ごとの前記表面温度変化に基
づいて平均温度変化を演算し、この平均温度変化と、各
区分ごとの表面温度変化とを比較して、平均温度変化に
対する各区分ごとの相対温度変化を演算する。そして、
各区分ごとの相対温度変化を表示する。
【0133】すなわち、各区分ごとの相対温度変化を視
覚的に認識することができ、対象物の欠陥に起因して測
定された温度箇所と、太陽光の照射に基づいて測定され
た温度箇所とを明瞭に知ることが可能になる。
【0134】したがって、太陽光の照射の影響にかかわ
らず、対象物の欠陥の位置を正確に認識することができ
る請求項5に係る欠陥調査方法においては、対象物の欠
陥の判別は、各区分ごとの相対温度変化および各区分ご
との表面温度に基づいて行う。すなわち、各区分ごとの
相対温度変化、および各区分ごとの表面温度の双方に基
づき、総合的な判断によって対象物の欠陥を判別するこ
とができる。
【0135】したがって、より的確に対象物の欠陥の位
置を認識することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る欠陥調査装置の一実施例である剥
離検査装置のブロック図である。
【図2】図1に示す剥離検査装置の処理動作を示すフロ
ーチャートである。
【図3】壁面に生じた剥離部分および太陽反射光の照射
位置を示す図である。
【図4】図1に示すモニタへの表示内容を示す図であ
る。
【図5】測定画像における各測定点を示す図である。
【図6】本発明に係る欠陥調査装置の他の実施例である
剥離検査装置のブロック図である。
【図7】測定画像における各測定点の二次元配置を示す
図である。
【図8】解析装置として用いたISAACの処理過程を
示す図である。
【符号の説明】
2・・・・・カメラヘッド 4・・・・・プロセッサ部 6・・・・・モニタ 10・・・・・壁面 42・・・・・メモリ 44・・・・・MPU

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】対象物の表面温度を測定する温度測定部で
    あって、対象物の表面を複数の区分に二次元分解し、各
    区分ごとの第一表面温度を測定した後、所定の待機時間
    が経過した時点で各区分ごとの第二表面温度を測定する
    温度測定部、 前記第一表面温度および前記第二表面温度に基づいて、
    各区分ごとの表面温度変化を演算する表面温度変化演算
    部、 各区分ごとの前記表面温度変化に基づいて、平均温度変
    化を演算する平均温度変化演算部、 前記平均温度変化と、各区分ごとの前記表面温度変化と
    を比較して、平均温度変化に対する各区分ごとの相対温
    度変化を演算する相対温度変化演算部、 各区分ごとの前記相対温度変化を表示する表示部、 を備えたことを特徴とする欠陥調査装置。
  2. 【請求項2】請求項1の欠陥調査装置において、 表示部は、各区分ごとの相対温度変化を、複数の色彩に
    よって表示する、 ことを特徴とする欠陥調査装置。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2の欠陥調査装置に
    おいて、 表示部には、各区分ごとの表面温度も表示される、 ことを特徴とする欠陥調査装置。
  4. 【請求項4】対象物の表面を複数の区分に二次元分解
    し、各区分ごとの第一表面温度を測定するステップ、 前記第一表面温度を測定した後、所定の待機時間が経過
    した時点で、各区分ごとの第二表面温度を測定するステ
    ップ、 前記第一表面温度および前記第二表面温度に基づいて、
    各区分ごとの表面温度変化を演算するステップ、 各区分ごとの前記表面温度変化に基づいて、平均温度変
    化を演算するステップ、 前記平均温度変化と、各区分ごとの前記表面温度変化と
    を比較して、平均温度変化に対する各区分ごとの相対温
    度変化を演算するステップ、 各区分ごとの前記相対温度変化に基づいて対象物の欠陥
    を判別するステップ、 を備えたことを特徴とする欠陥調査方法。
  5. 【請求項5】請求項4の欠陥調査方法において、 対象物の欠陥の判別は、各区分ごとの相対温度変化およ
    び各区分ごとの表面温度に基づいて行う、 ことを特徴とする欠陥調査方法。
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