JP3247334B2 - 熱映像による構造物変状診断システム及び診断方法 - Google Patents

熱映像による構造物変状診断システム及び診断方法

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JP3247334B2 JP05790698A JP5790698A JP3247334B2 JP 3247334 B2 JP3247334 B2 JP 3247334B2 JP 05790698 A JP05790698 A JP 05790698A JP 5790698 A JP5790698 A JP 5790698A JP 3247334 B2 JP3247334 B2 JP 3247334B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、構造物表面の熱映
像を観測して構造物の変状を診断する熱映像による構造
物変状診断システムに関する。
【0002】
【従来の技術】構造物内部の剥離等の診断は、従来は目
視による外観検査や、ハンマー等による打診検査が中心
であった。外観検査は内部の変状が構造物表面の状況に
影響する場合があることに基づき、その状況を目視で把
握することにより内部変状の有無を確認する方法であ
る。また、打診検査は、内部に変状がある場合、その表
面をハンマー等でたたいたときに発せられる音が健全部
と異なることに基づき、対象構造物全面を隈なく打診し
て異常音を発する箇所を変状部として抽出するものであ
る。
【0003】このような外観検査や打診検査の方法は、
従来より実務で採用されてきているが、人力を前提とし
ているため、次のような課題があった。 外観検査はあくまで表面状況の目視による検査である
ため、表面に表れない内部変状の把握には対応できな
い。 打診調査では内部変状の探査が可能であるが、接触で
隈なく打診する必要があることから、足場の確保や調査
作業に膨大な人手を要し、調査費の低減を阻害してい
る。 いずれの調査も人間の判断が介在するため、客観性、
統一性に欠ける。さらに判断に熟練を要するため、作業
者の確保が困難という問題を生じている。 これらの打診・目視調査に変わる手法として、非接触で
広範囲にわたる面的な調査が可能な、熱映像による診断
手法が利用されている。図9は構造物背後の変状と温度
分布の関係を説明するための図であり、構造物内部に変
状が存在する場合、それにより健全部との間に見かけ上
熱容量の差が生じ、構造物表面の温度が異なる変化パタ
ーンを示す。例えば空洞が存在する場合は構造物表面が
「熱しやすく冷めやすい」特性を示し、ある時間帯には
健全部との間に温度差を生じる。したがって、熱映像を
用いて適切な時間帯に構造物表面の温度分布を計測する
ことにより、変状分布を把握することが可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図10は構造物方位の
影響を説明するための図であり、春季での各時刻におけ
る構造物方位の健全部と異常部との温度差を示してい
る。熱映像を用いた構造物診断は、とくに建物診断の分
野ではこれまでに用いられた例も多い(例えば鉄道土木
1986−5 309〜312頁、コンクリート工学年
次論文報告集,Vol.14,No.1,1992 7
39〜744頁参照)。しかし、構造物温度は、図10
に示すように変状以外の条件(環境条件や構造物自体の
状況等)によっても様々な変化を示すため、統一的かつ
客観的な診断基準(例えばどのような条件で何℃であれ
ば変状とみなすか)は確立されていない。したがって、
診断は現場技術者の経験に基づく感覚的な判断に頼って
いるのが実状である。また、観測条件によっては熱映像
の適用が不可能になる場合も存在するが、その条件も明
確となっていない。このため、誤判断を引き起こす例も
多く、熱映像による診断手法自体の信頼性低下を招く原
因ともなっている。
【0005】客観的な診断基準の確立に際して、構造物
表面での熱収支をモデル化し、条件別の温度分布を定量
的に把握することが考えられる。実際に、このような熱
収支解析モデルが検討された例(例えば日本機械学会論
文集(B編)60巻573号1994−5 238〜2
44頁参照)もみられるが、あくまで特定条件での現象
を再現したものであり、様々な条件の温度変化の把握に
対応できる実用的かつ汎用的なものとはなっていない。
また、モデルの構成やパラメータの設定も、簡略化され
ていたり欠けている項目があるため、実際の屋外環境下
に存在する構造物の温度分布把握に、十分対応できるも
のにはなっていない。さらに、熱収支解析結果を実際の
構造物診断に生かす手法は検討されていない。
【0006】一方、一般に橋梁、のり面、建物等のコン
クリート構造物は、その背後や内部に空隙等の変状を抱
えている場合も多い。これらの変状は表面的には確認で
きず高所に位置する例もあることから、接触して調査を
行なうことが困難を伴う場合も多い。また、これらの構
造物は一般に規模が大きく調査対象面積も大きくなりや
すいため、点的、線的な調査や構造物破壊を伴う手法で
は、効率面や調査もれの面で大きな課題がある。したが
って、このような構造物の変状診断を行なう上で、非破
壊・非接触で面的・効率的で客観的、かつ正確な調査が
可能な変状診断手法の確立が望まれている。
【0007】本発明は、上記課題を解決するものであっ
て、非破壊・非接触で面的な調査が可能な熱映像を用
い、そのデータから変状判定を行う上での基準となる熱
収支解析モデルを組み合わせ、構造物の変状診断を効率
的かつ客観的、正確に行えるようにするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】そのために本発明は、構
造物表面の熱映像を観測して構造物の変状を診断する熱
映像による構造物変状診断システムであって、熱収支解
析モデルに構造物の状況や環境条件に関するデータと内
部変状の状況に関するデータとを与えて内部変状の有無
やその内容を変えた条件に対応した構造物表面温度の変
化を解析予測する熱収支解析手段と、構造物表面の熱映
像を観測し画像データを採取する熱映像観測手段と、前
記熱収支解析手段により解析予測されたデータを診断基
準データとして前記熱映像観測手段により採取された画
像データと比較し構造物の変状を診断する診断手段とを
備えたことを特徴とするものである。
【0009】また、前記構造物の状況や環境条件に関す
るデータには、少なくとも構造物の状況、日射条件、及
び外気との熱伝達に関する情報を含み、前記内部変状の
状況に関するデータには、少なくとも変状部の規模およ
び位置の情報を含むことを特徴とし、前記診断手段は、
変状部と健全部の温度差が大きくなる環境条件で観測さ
れた熱映像に対して熱収支解析手段による予測値に基づ
き、変状部と健全部の区分を行い変状の内容を区分する
しきい値を設定して観測された熱映像に領域区分処理を
行い、あるいは2時期の熱映像の差演算または比演算を
行い予測値との比較を行い、あるいは多時期の熱映像に
よる表面温度の時系列変化パターンを用いて予測値と実
測値とのパターンマッチングを行うことを特徴とするも
のである。
【0010】構造物表面の熱映像を観測して構造物の変
状を診断する熱映像による構造物変状診断方法では、熱
収支解析モデルに構造物の状況や環境条件に関するデー
タと内部変状の状況に関するデータとを与えて内部変状
の有無やその内容を変えた条件に対応した構造物表面温
度の変化を解析予測し、構造物表面の熱映像を観測した
画像データと比較し構造物の変状を診断することを特徴
とし、熱収支解析モデルに想定環境条件を与えた予備解
析を行い、実際の観測・調査を行う上での適正条件を設
定することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しつつ説明する。図1は本発明に係る熱映像によ
る構造物変状診断システムの実施の形態を示す図、図2
は本発明に係る熱映像による構造物変状診断システムに
よる変状診断手法の概要を説明するための図である。図
中、11は環境要素データ、12は変状要素データ、1
3は熱収支解析部、14は診断基準データ、15は熱映
像観測装置、16は観測画像データ、17は診断処理部
を示す。
【0012】図1において、環境要素データ11は、構
造物の状況や環境条件(気温、日射等)に関するデータ
であり、構造物の形状(内部構造)、材料の熱特性、表
面の分光特性などの構造物自体の状況に関する環境要
素、日射の入射角や日射エネルギー、影の分布などの構
造物表面温度に影響の大きい日射条件に関する環境要
素、さらに、外気との熱伝達、表面からの熱輻射のよう
な日射以外の表面熱収支に関する環境要素のデータであ
る。変状要素データ12は、内部変状の状況に関するデ
ータであり、変状部の熱特性、構造物との熱伝達、構造
物との熱輻射などの変状部の物性に関する要素、平面形
状や断面形状、深さなどの変状部の規模および位置に関
する要素のデータである。熱収支解析部13は、熱収支
解析モデルに環境要素データ11及び変状要素データ1
2を与え、内部変状の有無やその内容を変えた条件に対
応した構造物表面温度の時系列変化を解析予測するもの
であり、その解析予測したデータが診断基準データ14
である。熱映像観測装置15は、例えば赤外線カメラを
用いた構造物表面の熱映像を観測するものであり、観測
画像データ16は、その観測により採取された画像デー
タである。診断処理部17は、観測画像データ16とマ
ッチングする診断基準データ14を検索して構造物の変
状診断を行うものである。変状診断では、構造物の変状
等の各種条件を変えて予測される複数ケースの構造物表
面温度の予測値を基準とし、適切な条件、時系列に観測
される熱映像による構造物表面温度の実測値を予測値と
比較し、最も良く整合するケースを選定することにより
変状の有無およびその状況を予測し、変状の状況として
採用する。
【0013】熱映像による構造物表面温度の実測値から
変状診断を行うには、変状が存在しない場合と、さまざ
まな条件の変状が存在する場合の構造物表面温度(構造
物表面の時系列温度変化予測データ)を正確に推定する
必要があり、これに影響する環境要素および変状要素
(予測すべき変数)を図2に示すように熱収支解析モデ
ルに組み込んでいる。熱収支解析モデルは、有限要素法
による熱伝導解析を基本とし、特に、構造物温度に大き
く影響する日射条件と変状部での熱収支の扱いに関し
て、モデルの精密化が図られている。また、観測に先立
ち各時期において想定される環境条件を与えた場合のモ
デル計算値14から、熱映像の観測に適切な条件、ある
いは適用不可能な条件を見出し、これらを観測計画の立
案にフイードバックすることもできる。そして、熱映像
観測装置15により実測した温度分布の観測画像16か
ら構造物表面の時系列温度変化の実測データ16′を生
成して時系列温度変化の予測データとの比較により診断
を行い、変状分布の診断結果を出力する。
【0014】次に、環境要素及び変状要素について詳述
する。図3は熱収支解析モデルの構成要素を説明するた
めの図である。まず、環境要素は、図3に示すような構
造物自体の状況(環境要素1)や、構造物が存在する屋
外環境(環境要素2、3)を表すものである。とくに屋
外環境は時間的、季節的な変化が大きく、また、構造物
表面温度に大きく影響する。したがって、各種変状条件
に応じた構造物表面温度を精度良く推定する上で、モデ
ルへの正確な組み込みが重要となる要素である。環境要
素を構成する各項目の内容は次のようなものである。
【0015】(1)構造物の状況 構造物自体の状況に関する環境要素として、形状(内
部構造)、材料の熱特性、表面の分光特性があげら
れる。
【0016】形状(内部構造) 構造物の形状やその内部構造を表す要素である。具体的
には、設計図面や現地計測、一部破壊検査等により調査
対象範囲の表面形状および内部構造を把握し、それに基
づき構造物の有限要素モデルを構築する。この有限要素
モデルは、熱収支解析モデルの基礎となる。
【0017】材料の熱特性 構造物を構成する材料の熱特性を表すパラメータであ
る。構造物内部での熱流束を算出する上で必要となる。
熱伝導係数(W/m・K)、比熱(J/kg・K)、密
度(kg/m3 )から構成される。これらの値として
は、既往文献で示されている一般的な値や、構造物より
採取するサンプルに対して実測により求めた値を採用す
ることができる。
【0018】表面の分光特性 構造物表面は各々固有の分光反射率(吸収率)を持って
いる。通常のコンクリート表面であれば波長依存性は少
ないが、特別な材料を用いている場合や着色を施してい
る場合等は、到達する日射の分光特性(別途算出)との
関係で入射エネルギー量に影響を与える場合がある。し
たがって、必要に応じて構造物表面の分光反射率をパラ
メータとして与える。この値としては、既往文献で示さ
れている一般的な値や、構造物表面を実測した値を与え
る。
【0019】(2)日射条件 とくに構造物表面温度に影響が大きい環境要素として、
日射による入射エネルギーがあげられる。その大小を左
右する日射条件を構成する要素として、日射の入射
角、成分別日射エネルギー、波長帯別日射エネルギ
ー、影の分布があげられる。
【0020】日射の入射角 太陽方位およぴ高度、構造物方位により決まる要素で、
入射エネルギー量に大きく影響する。太陽方位および高
度は、地球の公転および自転をモデル化した式により、
各時刻について算出する。次に、その角度と構造物方位
から、太陽光線が構造物表面に入射する角度を算出す
る。この入射角を用いて、実測により得られる、あるい
は標準的に想定される日射エネルギー(基本的に直達成
分のみ)を補正し、実際の構造物表面に入射するエネル
ギー量を算出する。
【0021】成分別日射エネルギー 日射エネルギーは、直達成分および散乱成分(天空光)
から構成される。実際の量としては直達成分の方がかな
り大きいが、直達成分が無い領域(例えば北向き面)や
少ない時間帯(例えば夕方)では天空光が支配的となる
こと、直達成分(指向性あり)のみ入射角補正が必要で
あることから、その成分分離が必要となる。想定データ
を用いて事前予測を行う場合は、直達成分、散乱成分と
も、既往文献等で示されているデータ値や既存大気散乱
モデル(LOWTRAN等)による算定値を組み込む。
また、実測日射量(水平面)を使用して診断基準データ
を構築する湯合は、既往文献等で示されている散乱成分
を実測日射量より減じて直達成分を算出し、モデルに組
み込む。なお、この算出は天候や構造物方位等を考慮
し、必要に応じて行う。
【0022】波長帯別日射エネルギー 日射エネルギーは元々の太陽光線が波長依存性を持って
いること、大気による吸収の影響でさらに詳細な波長依
存性を持っていることから、前述のように対象物表面の
分光特性(材質、色調等)によっては入射エネルギーの
算出に影響する。また、波長帯別の日射エネルギーは天
候や大気状態(霞の状況等)により影響を受ける。この
ため、天候に応じて日射の分光特性を把握することが必
要となる。日射の分光特性の把握に際しては、前述の成
分別日射エネルギーの把握と同様、既存大気散乱モデル
(LOWTRAN等)による算定値を組み込む。また、
現場で分光照度を実測し、その値をモデルに組み込むこ
とも可能である。この値と前述の構造物表面の分光特性
を用いて、実際に入射するエネルギー量が算出される。
なお、この処理は構造物表面の色調や材質を考慮し、必
要に応じて行う。
【0023】影の分布 構造物はその表面に周辺の建物や構造物の影が存在する
場合も多い。影の存在する範囲は直逹日射量がなくなる
ため、周辺に比べて入射エネルギー量が極端に少なくな
るので、その補正が不可欠となる。想定データを用いて
事前予測を行う場合、対象構造物および周囲の構造物を
データ化し、日影解析により影の分布の時系列変化を把
握する。また、熱映像の観測時に可視光センサ(ビデオ
カメラ等)で同一範囲の影の分布を把握し、その時系列
変化を日照条件としてモデルに組み込むことにより、影
が存在する範囲でも正確な温度変化を把握することが可
能となる。
【0024】(3)日射以外の表面熱収支 屋外に存在する構造物表面での熱収支は、前述のように
日照によるものが大きいが、外気との熱伝達など、その
他いくつかの関連する要素が存在する。その要素とし
て、外気との熱伝達、表面からの熱輻射があげられ
る。
【0025】外気との熱伝達 構造物表面は外気と接するため、そこに温度差が存在す
る場合に対流熱伝達により熱収支が生じる。想定あるい
は実測により得られる外気温データと、モデル計算から
得られる構造物表面温度の差分をとり、熱伝達係数(W
/m2 ・K)を掛けることによりエネルギー収支を算定
する。なお、熱伝達係数は風速に影響されるため、必要
に応じて既往文献等で示されている値を組み込み補正す
る。また、この熱収支を求めるため、気温(必要に応じ
て風速)の時系列変化データが必要であり、既往文献等
による想定データまたは現場実測データを組み込む。
【0026】表面からの熱輻射 絶対零度より温度の高い全ての物体は、表面から電磁波
としてエネルギーを放射している。熱輻射は構造物の側
からみればエネルギーのロスを表し、構造物表面温度に
影響するため、熱収支解析モデルの要素として組み込む
必要がある。熱輻射は構造物表面温度の4乗に放射率と
ステファン・ボルツマン定数を掛けて算出する。なお、
放射率は構造物の材質や表面状態により異なるので、既
往文献等に示されている値や現場測定による値を組み込
む。
【0027】変状要素は、図3に示すように変状の内容
(変状要素1)と変状部の規模および位置(変状要素
2)を表すものであり、本発明で実際に予測すべき「変
状の状況」に関する変数である。想定される変状の内容
から、この要素を変更して各条件の変状に対応した構造
物表面温度の時系列変化予測を行い、熱映像による実測
温度との比較により最も良く整合する条件を診断結果と
して採用する。変状要素を構成する各項目の内容は次の
ようなものである。
【0028】(1)変状の内容(変状部の物性) 構造物の変状はさまざまなものが考えられるが、ここで
は、基本的に構造物内部に存在する、熱特性の違いを生
じる変状(例えば表層剥離や充填不良による空隙)を想
定する。変状の内容が既知であれば、その内容に応じた
パラメータを固定的に与える。また、それが未知で診断
したい項目であれば、想定される変状内容に応じた複数
のパラメータを与え、各条件に応じた表面温度変化を予
測する。変状の内容を構成する要素として、変状部の
熱特性、構造物との熱伝達、構造物との熱輻射があ
げられる。
【0029】変状部の熱特性 変状部は構造物本体と熱特性が異なり、表面温度分布に
その影響が表れる。この温度を正確に把握するために、
変状部の熱特性を与えて熱収支解析を行うことが必要と
なる。健全部と同様、変状部の充填物質(空隙であれば
空気、湧水であれば水等)の熱伝導係数(W/m・
K)、比熱(J/kg・K)、密度(kg/m3 )を組み
込む。これらの値は、既往文献で示されている一般的な
値や、構造物より採取するサンプルに対して実測により
求めた値を採用する。
【0030】構造物との熱伝達 変状部は構造物本体と境界で接するため、構造物表面と
外気間同様、そこに温度差が存在する場合に熱伝達によ
り熱収支が生じる。モデル計算から得られる構造物本体
と変状部温度の差分をとり、熱伝達係数(W/m2
K)を掛けることによりエネルギー収支を算定する。な
お、熱伝達係数は変状内容および変状規模に影響される
ため、既往文献等で示されている値を組み込み補正す
る。
【0031】構造物との熱輻射 構造物本体と外気間同様、構造物本体と変状部間(ある
いは変状部を通した)の熱輻射によるエネルギー収支
を、熱収支解析モデルの要素として組み込む必要があ
る。構造物本体および変状部からの熱輻射を該当部位温
度の4乗に放射率とステファン・ボルツマン定数を掛け
て算出し、熱収支を把握する。なお、放射率は構造物本
体や変状部の状態により異なるので、それに応じて既往
文献等に示されている値を組み込む。
【0032】(2)変状部の規模および位置 変状部の規模や位置は、変状部の見かけの熱容量、ひい
ては表面温度分布に影響する。これらの条件が既知であ
れば、その値を固定的に熱収支解析モデルのパラメータ
として与える。一方、変状部の規模や位置が未知な対象
については、これらは推定したい診断項目でもある。し
たがって、これを複数設定して構造物本体の有限要素モ
デルに組み込み、各ケースに応じた表面温度変化を予測
し、診断基準として活用することも必要となる。この要
素は水平規模、垂直規模、深度から構成される。
【0033】水平規模(平面形状) 構造物表面に対して、水平方向の広がりを表す要素であ
る。通常は簡略化のため、長方形で近似する。
【0034】垂直規模(断面形状) 構造物表面に対して、垂直方向(探さ方向)の広がりを
表す要素である。水平規榎と同様、通常は長方形で近似
する。したがって、水平形状とあわせて、変状部形状は
通常は直方体で近似する。
【0035】深度 構造物表面から変状部に至るまでの、垂直方向の距離
(変状部の深さ)を表す要素である。
【0036】次に、変状診断手法について詳述する。図
4は本発明に係る熱映像による構造物変状診断システム
の診断手法を説明するための図、図5は単一時期の熱映
像を用いる手法の例を説明するための図、図6は2時期
の熱映像を用いる手法の例を説明するための図、図7は
多時期(時系列観測)の熱映像を用いる手法の例を説明
するための図である。本発明に係る熱映像による構造物
変状診断システムによる変状診断手法は、図4に示すよ
うに環境要素と変状要素を与えた熱収支解析モデルによ
り複数の変状条件に対応した構造物表面温度の時系列変
化予測値を求め、その予測値と、熱映像による実測値と
を比較し、パターンマッチング等により最も良く整合す
る変状条件を診断結果とする逆解析手法を基本としてい
る。予測値と実測値の比較に関しては、対象構造物の条
件(温度分布に影響する変状以外のノイズ成分の大小)
に応じて、図5〜図7に示すような手法が選択される。
【0037】(1)単一時期の熱映像を用いる手法 ノイズ成分が少なく、構造物表面の温度分布が変状分布
のみに影響される条件では、図5に示すように単一時期
の熱映像により変状診断を行うことが可能となる。この
手法では、熱収支解析モデルで変状部と健全部の温度差
が最も大きくなる環境条件(時間帯等)を把握し、その
条件で観測された熱映像に対して判別を行う。判別に際
しては、熱収支解析モデルによる予測値に基づき、変状
部と健全部を区分する、あるいは変状の内容を区分する
しきい値を設定し、観測された熱映像に領域区分処理を
行う。
【0038】(2)2時期の熱映像を用いる手法 対象構造物表面に全体的な温度勾配が存在するなど、系
統的で少ない数のノイズ成分が含まれている場合には、
図6に示すように2時期の熱映像の差演算または比演算
結果を用いてその影響を除去する。この手法において
も、単一時期の場合と同様適切な環境条件を把握し、そ
の条件下で観測された2時期の熱映像を用いた演算結果
に対して、熱収支解析モデルでの予測値を基準に判定を
行う。
【0039】(3)多時期(時系列観測)の熱映像を用
いる手法 内部構造や表面状況に起因する、複雑かつ多数のノイズ
成分が複合的に存在し、単一あるいは2時期の演算処理
では正しい判別が困難な場合には、図7に示すように多
時期の熱映像による表面温度の時系列変化パターンを用
いる必要がある。この手法では、熱収支解析モデルによ
り、各変状条件に応じた時系列温度変化パターンを求
め、温度値または温度変化率について実測値との変化パ
ターンの比較を行い、変状範囲の判別を行う。判別に際
しては、実測値と各ケースの予測値間の類似度を多変量
解析等により求め、最も整合するケースを診断結果とし
て採用する。
【0040】次に、本発明に係る熱映像による構造物変
状診断システムによる診断の流れを説明する。図8は構
造物変状診断システムによる診断の流れを説明するため
の図である。本発明に係る熱映像による構造物変状診断
システムによる診断では、まず熱収支解析モデルに想定
環境条件を与えた予備解析を行い、実際の観測・調査を
行う上での適正条件を設定する。次に、実際に熱映像と
環境条件の観測を行い、熱収支解析モデルにより変状の
有無・内容・規模等の条件を変えた複数ケースの時系列
表面温度を実測環境条件を用いて予測し、熱映像による
実測温度と比較し、最も整合するケースを選定すること
により変状の有無および内容を推定する、所謂逆解析手
法を採用している。診断の流れの詳細は次のとおりであ
る。 (1)構造物現況の把握 まず、図8に示すように観測、解析に先立ち、現地予察
または資料調査により構造物の立地条件(環境条件)や
構造物自体の状況(内部構造や想定される変状の概略状
況等)を把握する(ステップS11)。
【0041】(2)構造物の有限要素モデル作製 次に、構造物現況の把握結果に基づき、熱収支解析モデ
ルの基本となる、調査対象構造物の形状および想定され
る代表的な内部変状等の内部構造を表す有限要素モデル
を作成して、設計図等から表面形状および内部形状デー
タを作成し、適切なサイズの要素に分割する(ステップ
S12)。
【0042】(3)環境条件及び各種パラメータの想定 観測が想定される構造物の方位および季節等を考慮し、
日照条件や気温等の環境条件を想定データとして与え
(ステップS13)、構造物本体および変状部の熱特性
パラメータや、構造物表面及び変状部との接点での境界
条件パラメータに関して、想定される代表的な値を与え
る(ステップS14)。
【0043】(4)熱収支予備解析による温度変化予測 熱収支解析モデルに想定条件を与えて予備解析を行い
(ステップS15)、変状部および健全部の時系列温度
変化を予測する。この結果と対象構造物の温度分布に対
するノイズ成分の多少を考慮し、実際の観測・調査のた
めの適切な環境条件を把握し、観測計画等を設定する
(ステップS16)。つまり、図5で説明した単一時期
の熱映像を用いる手法による診断が適切か、図6で説明
した2時期の熱映像を用いる手法による診断が適切か、
図7で説明した多時期の熱映像を用いる手法による診断
が適切かを評価して、適切な観測時期、時刻等の評価を
あわせて観測計画等を設定する。
【0044】(5)熱映像および環境条件の観測実施 予備解析の結果、設定された観測計画に基づき、熱映像
および環境条件(気温、日射量等)の時系列観測を行う
(ステップS17)。
【0045】(6)実測データに基づく温度変化予測 熱収支解析モデルに、熱映像観測時の環境条件(日照、
気温等)に関する実測データを与え、想定される各種変
状条件(変状の有無、その内容等)に対応する時系列温
度変化を予測する(ステップS18)。
【0046】(7)判別処理の実施 温度変化の予測データに基づき、前述の診断手法を用い
て、熱映像による表面温度の実測データに対して判別処
理を行い、変状分布の診断結果を得る(ステップS1
9)。
【0047】なお、本発明は、上記実施の形態に限定さ
れるものではなく、種々の変形が可能である。例えば上
記実施の形態では、環境要素を構造物の状況、日射条
件、日射以外の表面熱収支に区分し、変状要素を変状の
内容、変状部の規模および位置に区分したが、それぞれ
の区分において温度予測に与える影響度合いの大小に応
じて取捨選択してもよい。
【0048】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、熱収支解析モデルにより得られる構造物表面
温度の変化の予測値と、実際に熱映像観測により得られ
る構造物表面温度の変化の実測値を比較し、逆解析的に
変状分布を把握する診断手法を採用したので、従来のシ
ステムや手法と比較して次のような効果が得られる。
【0049】 熱収支解析モデルの高度化 構造物表面温度は、既に述べたように様々な条件に影響
されるが、従来手法ではその組み込みが十分ではなく、
屋外に存在する実際の構造物に対応することは困難であ
ったが、本発明では、これらの構造物表面温度に関係す
る各種パラメータを網羅するとともに、とくに影響の大
きい日射条件と変状部での熱収支を精密にモデル化し組
み込むので、屋外の構造物表面の正確な温度分布・変化
パターン推定が可能な熱収支解析モデルを導入すること
ができる。
【0050】 熱収支解析モデルを基準とした定量的
・客観的な診断が可能 従来手法では、熱映像に対する診断を定性的な判断に頼
っていたため、診断結果の定量性・客観性に欠け、誤診
断を招く場合があったが、本発明では、熱映像診断の基
準として熱収支解析モデルによる推定温度を組み込み、
推定温度と実測温度の比較を行うので、定量的・客観的
な診断が可能となる。
【0051】 熱収支解析モデルによる熱映像観測条
件の適正化 従来手法では、適切な観測条件(手法の適用限界)に関
して、実際の屋外環境を想定した検討が成されていない
ため、不適切な条件での観測データを用いることがあ
り、誤診断を生ずる結果を招いていたが、本発明では、
熱収支解析モデルに想定される様々な条件(環境条件
等)を与えて温度変化を推定し、観測に適切な条件(あ
るいは適用不可能な条件)を見出すことができるので、
観測計画の立案にフイードバックすることができ、これ
により、適切な条件での観測データを得ることが可能に
なり、誤診断の低減、ひいては診断精度の向上が図れ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る熱映像による構造物変状診断シ
ステムの実施の形態を示す図である。
【図2】 本発明に係る熱映像による構造物変状診断シ
ステムによる変状診断手法の概要を説明するための図で
ある。
【図3】 熱収支解析モデルの構成要素を説明するため
の図である。
【図4】 本発明に係る熱映像による構造物変状診断シ
ステムの診断手法を説明するための図である。
【図5】 単一時期の熱映像を用いる手法の例を説明す
るための図である。
【図6】 2時期の熱映像を用いる手法の例を説明する
ための図である。
【図7】 多時期(時系列観測)の熱映像を用いる手法
の例を説明するための図である。
【図8】 構造物変状診断システムによる診断の流れを
説明するための図である。
【図9】 構造物背後の変状と温度分布の関係を説明す
るための図である。
【図10】 構造物方位の影響を説明するための図であ
る。
【符号の説明】
11…環境要素データ、12…変状要素データ、13…
熱収支解析部、14…診断基準データ、15…熱映像観
測装置、16…観測画像データ、17…診断処理部

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造物表面の熱映像を観測して構造物の
    変状を診断する熱映像による構造物変状診断システムで
    あって、熱収支解析モデルに構造物の状況や環境条件に
    関するデータと内部変状の状況に関するデータとを与え
    て内部変状の有無やその内容を変えた条件に対応した構
    造物表面温度の変化を解析予測する熱収支解析手段と、
    構造物表面の熱映像を観測し画像データを採取する熱映
    像観測手段と、前記熱収支解析手段により解析予測され
    たデータを診断基準データとして前記熱映像観測手段に
    より採取された画像データと比較し構造物の変状を診断
    する診断手段とを備えたことを特徴とする熱映像による
    構造物変状診断システム。
  2. 【請求項2】 前記構造物の状況や環境条件に関するデ
    ータには、少なくとも構造物の状況、日射条件、及び外
    気との熱伝達に関する情報を含むことを特徴とする請求
    項1記載の熱映像による構造物変状診断システム。
  3. 【請求項3】 前記内部変状の状況に関するデータに
    は、少なくとも変状部の規模および位置の情報を含むこ
    とを特徴とする請求項1記載の熱映像による構造物変状
    診断システム。
  4. 【請求項4】 前記診断手段は、変状部と健全部の温度
    差が大きくなる環境条件で観測された熱映像に対して熱
    収支解析手段による予測値に基づき、変状部と健全部の
    区分を行い変状の内容を区分するしきい値を設定して観
    測された熱映像に領域区分処理を行うことを特徴とする
    請求項1記載の熱映像による構造物変状診断システム。
  5. 【請求項5】 前記診断手段は、2時期の熱映像の差演
    算または比演算を行い予測値との比較を行うことを特徴
    とする請求項1記載の熱映像による構造物変状診断シス
    テム。
  6. 【請求項6】 前記診断手段は、多時期の熱映像による
    表面温度の時系列変化パターンを用いて予測値と実測値
    とのパターンマッチングを行うことを特徴とする請求項
    1記載の熱映像による構造物変状診断システム。
  7. 【請求項7】 構造物表面の熱映像を観測して構造物の
    変状を診断する熱映像による構造物変状診断方法であっ
    て、熱収支解析モデルに構造物の状況や環境条件に関す
    るデータと内部変状の状況に関するデータとを与えて内
    部変状の有無やその内容を変えた条件に対応した構造物
    表面温度の変化を解析予測し、構造物表面の熱映像を観
    測した画像データと比較し構造物の変状を診断すること
    を特徴とする熱映像による構造物変状診断方法。
  8. 【請求項8】 前記熱収支解析モデルに想定環境条件を
    与えた予備解析を行い、実際の観測・調査を行う上での
    適正条件を設定することを特徴とする請求項7記載の熱
    映像による構造物変状診断方法。
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