JPH06201281A - 非ループ型蛇行細管ヒートパイプ - Google Patents

非ループ型蛇行細管ヒートパイプ

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JPH06201281A
JPH06201281A JP4361977A JP36197792A JPH06201281A JP H06201281 A JPH06201281 A JP H06201281A JP 4361977 A JP4361977 A JP 4361977A JP 36197792 A JP36197792 A JP 36197792A JP H06201281 A JPH06201281 A JP H06201281A
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thin tube
heat pipe
heat
surge tank
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Abstract

(57)【要約】 [目的] 非ループ型蛇行細管ヒートパイプに於て、そ
の端末ターンの不活発な作動状態を他のターン同様に作
動するよう改善したり、またその断熱部が長い為熱輸送
能力が低下している場合やその放熱部が過冷却状態にな
っている為作動が困難になっている場合などの断熱部及
び放熱部における作動液の作動を活性化せしめて、その
性能を改善する。 [構成] コンテナの所定の部分に温度制御手段を有す
る小型サージタンクを配設し、ヒートパイプの作動中は
サージタンクの温度をヒートパイプの適用温度領域の上
限より高く、作動液の臨界温度より低い温度に制御し
た。 [効果] 作動液の軸方向振動によりサージタンク内に
断続的に圧入される作動液は瞬時に圧力ガスになってコ
ンテナ内に断続的に噴出し、作動液の振動を増幅せしめ
る。これにより作動液の作動が十分に活性化され所期の
目的は完全に果たすことが出来た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は細管ヒートパイプの構造
に関するもので、特に非ループ型蛇行細管ヒートパイプ
の性能改善の為の新規な構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来構造の非ループ型蛇行細管ヒートパ
イプは長尺の細管コンテナが受熱部と放熱部の間を蛇行
往復するよう構成されてあり、受熱部に於ける作動液の
核沸騰により発生する作動液の軸方向振動により、受熱
部から放熱部に向かって熱量を輸送するもので、その熱
輸送の原理は特開平4−251189(マイクロヒート
パイプ)に詳述されてある。
【0003】図4はそのような従来構造の非ループ型蛇
行細管ヒートパイプを示し図5はその部分拡大断面図で
ある。図において1は長尺蛇行細管ヒートパイプの蛇行
細管コンテナであって破線により囲まれた受熱部Hと破
線によってか囲まれた放熱部Cの間を往復蛇行して形成
されてある。受熱部Hと放熱部Cの間は断熱部Aによっ
て連結されてある。2は作動液で2−1は細管コンテナ
内を閉塞した状態で移動する作動液の液滴、2−2は作
動液の蒸気泡である。作動液2は無数の蒸気泡2−2の
群によって分割され表面張力により管内を閉塞する無数
の液滴2−1となっている。蒸気泡2−2は加熱手段H
−1による加熱によって受熱部H内に生じる核沸騰によ
り発生する。蒸気泡2−2が受熱部にて発生するときに
管内には圧力波が発生する。この圧力波により全ての蒸
気泡2−2は振動的に膨張収縮して自ら軸方向に振動を
発生するとともに閉塞液滴2−1にも軸方向振動を発生
せしめる。
【0004】また全ての蒸気泡2−2は受熱部H内で順
次発生する新しい蒸気泡2−2により、軸方向に振動し
ながら断熱部A内を放熱部に向かって推進せしめられ、
放熱部C内において順次冷却され凝縮して消滅する。こ
の場合の推進は蒸気泡2−2のみの推進であって作動液
の閉塞液滴2−1は軸方向に振動するのみで循環するこ
とはない。閉塞液滴2−1の群は細管コンテナ内壁面に
出来る作動液の境界層により全て流通自在に連結されて
いるから、閉塞液滴2−1は蒸気泡2−2の移動及び軸
方向振動をを妨げることなく、自在に変形しながら自ら
も軸方向に振動する。その状態は図5における各部分の
蒸気泡2−2の大きさによって示されてある。矢印は作
動液の軸方向振動の状態を示しその長さは振動の激しさ
を示す。蛇行細管コンテナの端末に近付くと矢印は短く
なり振動が弱まっていることを示している。
【0005】作動液の軸方向振動は特開平4−2511
89に記載の理論に従って熱量を高温側から低温側に向
かって活発に輸送する。その性能は画期的なものであっ
て、高能率な熱輸送であるだけでなく、通常の使用状態
では如何なる適用姿勢でも有効に作動するという特徴が
ある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述のように非ループ
型蛇行細管ヒートパイプの性能は優れたものではあるが
以下に示すような問題点があった。
【0007】(イ)端末に近いターンの細管コンテナの
熱輸送能力が低い。 非ループ型蛇行細管ヒートパイプの性能は各ターン部毎
の受熱部Hで発生する核沸騰により生じる圧力波が相互
に助け合ってその振動の強さ及び振幅を増幅して性能を
大幅に向上させる。各ターンの受熱部Hで発生する圧力
波が他のターンの受熱部Hで発生する圧力波と相互に助
け合うターン数は非ループ型蛇行細管コンテナ1の遠く
離れたターンに至るまで及ぶもので殆ど細管コンテナの
全ターンに亙る。従って非ループ型蛇行細管ヒートパイ
プの性能は蛇行ターン数が多いほど加速的に高性能にな
る。
【0008】また各ターンの受熱部Hで発生し、各ター
ンの作動液2を多数の閉塞液滴2−1に分割し、コンテ
ナ内に多数配分される蒸気泡2−2も他のターンの内圧
の影響を受け、その圧縮性により各ターンの蒸気泡2−
2が相互に助け合って夫々の膨張率及び圧縮率を増大せ
しめ、それにより作動液の軸方向振動の振幅が増大し熱
輸送性能が向上する。
【0009】然し端末に近いターンに於ては相互に助け
合うターン数が少なく、特に端末ターン1−1において
は最も相互作用の大きな隣接ターンの片側のターンが存
在しないので熱輸送能力が激減することになる。
【0010】(ロ)ターン数が少ない場合は性能が大幅
に低下し、適用姿勢による熱輸送能力の変化が激しくな
る。特にターン数が2〜6ターン程度の場合はボトムヒ
ートモードの場合の熱輸送能力は良好ではあるが、トッ
プヒートモードでは殆ど作動不可能になる。その原因は
(イ)項に於ける端末ターンの性能低下と同じ理由であ
って相互に助け合うターン数が不足な為である。
【0011】(ハ)非ループ型蛇行細管ヒートパイプの
受熱部Hと放熱部Cを連結する断熱部Aが長尺である場
合は熱輸送性能が低下する。これは断熱部Aに於ける管
内圧力損失の増加による圧力波の減衰、及び断熱部Aに
於けるコンテナ温度の降下によって蒸気泡2−2の一部
が凝縮しその数が減少することの2要因の相乗作用によ
り作動液の軸方向振動が減衰することによる。
【0012】(ニ)強制対流放熱の場合、冷媒流体が低
温に過ぎると放熱部Cが過冷状態になり作動が困難にな
る場合がある。これは凝縮により放熱部細管群内に蒸気
泡2−2が無くなり、放熱部Cに於ける管内圧力損失が
増大し作動液の軸方向振動の発生が困難になることに起
因するものと考えられる。
【0013】(ホ)電磁コイル応用の場合の如く非ルー
プ型蛇行細管コンテナ1が多数ターンの螺旋状に形成さ
れ、螺旋の中心軸が垂直に保持されてある非ループ型細
管ヒートパイプである場合、長時間の作動停止の後の再
起動時の性能が不安定になることがある。このような状
態は、長時間の停止に因りコンテナ温度が低下し蒸気泡
2−2が凝縮し、液相リッチになった作動液の大部分が
コンテナの低水位部分に移動し、細管コンテナの低位置
に集中され細管コンテナの高水位の部分の作動液が殆ど
失われた場合に発生する。即ちこのようにして作動液の
閉塞液滴2−1と蒸気泡2−2の細管内に於ける配分状
態がが極めて不均一となった場合には熱輸送能力の熱入
力依存性が失われ性能が不安定になる。
【0014】このような状態の非ループ型蛇行細管ヒー
トパイプに急激に大きな熱入力が負荷せしめられた場合
は、細管ヒートパイプが暴走状態となり受熱部温度が制
御不能な状態に急上昇することがある。このような状態
の解決策としては比較的低熱入力で時間をかけて作動さ
せ、コンテナ内の作動液の閉塞液滴2−1と蒸気泡2−
2の配分を均一化させることによりヒートパイプの作動
を正常化させることが出来る。然しヒートパイプが適用
される放熱装置には急激な熱入力を与える必要がある装
置があり、このような装置には上述のような状態が発生
する細管ヒートパイプは使用不能であり、そのような状
態の発生を防止する事は解決すべき課題の一つである。
【0015】(ヘ)トップヒートモードに於て長時間停
止後再び起動することが不可能となる場合がある。この
原因も(ホ)項と同じ様に作動液の殆どが放熱部である
低水位部分に下降して、受熱部に作動液がなくなり、作
動液に軸方向振動を発生させる為の核沸騰が起こらなく
なることによる。
【0016】
【課題を解決する為の手段】課題を解決する為の手段の
基本的な考え方としては非ループ型蛇行細管ヒートパイ
プの細管コンテナの所定の部分に小型のサージタンクを
配設し、このサージタンクの温度は作動液の臨界温度よ
り低い温度で且つこの細管ヒートパイプの適用温度領域
の上限温度より高い温度に制御されてあるよう構成す
る。そのように構成された細管ヒートパイプは、サージ
タンク内のガスの圧縮性により作動液の軸方向振動を容
易ならしめる、サージタンクで作動液の蒸気泡を発生せ
しめこの蒸気泡を放熱部コンテナまたは断熱部コンテナ
に補給して放熱部内または断熱部内の作動液の軸方向振
動の発生を助ける、サージタンク内に作動液の一部を備
蓄し再起動時の起動に必要な作動液の一部を補給する、
等の作用を発揮する。
【0017】サージタンクを小型にする理由は、サージ
タンクが大き過ぎると作動液の軸方向振動が吸収されて
かえって細管ヒートパイプの性能が低下することによ
る。実験の結果では適切な小型サージタンクの大きさの
一例としては内径4mmの細管コンテナの場合内径8m
m長さ5〜10mm程度の小型タンクを使用した場合に
良好な効果が得られた。
【0018】
【実施例】
第1実施例 図1は本発明の非ループ型蛇行細管ヒートパイプの第1
実施例を示す説明図であって一部断面略図である。この
実施例の特徴とするところはは非ループ型蛇行細管コン
テナ1の端末ターン1−1の端末部に小型サージタンク
3が配設されてある点である。この配設位置は端末に近
接した位置であっても良い。小型サージタンク3は蛇行
細管コンテナ1の端末部と細い内径の連結細管5によっ
て連結されてある。また小型サージタンク3は温度制御
手段4に依って作動液の臨界温度より低い温度で且つ細
管ヒートパイプの適用温度領域の上限温度より高い温度
に制御されてある。従ってサージタンク内に侵入した作
動液は液相のままでは存在することが出来ないので、小
型サージタンク3の中は常に作動液の蒸気2−3に依っ
て充満充填されてある。
【0019】このように構成されてある第1実施例の非
ループ型蛇行細管ヒートパイプに於ては、小型サージタ
ンク3内の作動液蒸気2−3の圧縮性に依り、細管ヒー
トパイプの端末コンテナ1−1は他のターンの蒸気泡2
−2に依る圧縮性の補助を受けたと同様に、作動液が活
発に軸方向振動を発生し、他のターン部と同様に十分に
熱輸送が行われるようになる。このようにして従来熱輸
送能力の殆どが失われていた両端末ターンのコンテナ1
−1、1−2が活発に作動するようになると、各ターン
のコンテナ間の相互補助作用により、そのコンテナに隣
接するコンテナもその作動が更に活発になり、順次全タ
ーンのコンテナにも波及して非ループ型蛇行細管ヒート
パイプ全体の性能が大幅に向上するに至る。実際例とし
て外形3mm内径2mmの細管を使用して、長さ400
mm毎にターンを繰り返す40ターンの非ループ型蛇行
細管ヒートパイプを構成し、その両端末に小型サージタ
ンクを配設して本実施例を適用したところ、熱輸送能力
が20%も改善された例が得られている。
【0020】本実施例はターン数の少ない非ループ型蛇
行細管ヒートパイプの性能改善には極めて効果がある。
実際例として外形3mm内径2mmの細管を使用して、
長さ400mm毎にターンを繰り返す6ターンの非ルー
プ型蛇行細管ヒートパイプを構成し、その両端末に小型
サージタンクを配設して本実施例を適用したところ、全
く失われていたトップヒートモードにおける熱輸送能力
は完全に回復し、如何なる適用姿勢でも性能に変化のな
い本来の特性を回復することが出来た。またその熱輸送
能力は2倍に改善された。
【0021】上述の如き軸方向振動の増幅に依る性能改
善作用は以下のようにして行なわれる。蒸気泡2−2の
数及び量がが大幅に減少し液相リッチになった蛇行細管
コンテナ1の端末ターン1−1内の作動液2は、前述の
ごとき理由からその軸方向振動は不活発にはなるが多少
の軸方向振動を継続的に発生している。また受熱部Hで
発生した蒸気泡2−2による圧力波は十分な強さで伝播
されている。この圧力波と作動液の軸方向振動により小
型サージタンク3内には連結細管5を介して断続的に作
動液が圧入される。小型サージタンク3内は温度制御手
段4によって十分に加熱されてあるから断続的に圧入さ
れた作動液2は瞬時に強力な内圧の蒸気2−3となり、
蛇行細管コンテナ1の端末ターン1−1内の作動液2に
断続的な且つ強力な推力を与え、その軸方向振動を増幅
せしめて活発化せしめる。
【0022】図4、図1にはこの状態が示されてあり、
図4の端末細管コンテナの放熱部に於ては作動液の振動
が微弱なため作動液は完全に冷却されて蒸気泡2−2は
殆ど凝縮し消滅している。これに対して本実施例の図1
の場合は、端末細管コンテナの放熱部内に於ては、サー
ジタンクから噴出した蒸気泡2−2が点在して他の細管
コンテナンの放熱部と同様な状態に保持されてあり作動
液の活発な軸方向振動が保証されている。
【0023】図1に於てサージタンク3の端末ターン1
−1に対する配設位置はその先端になっているが、先端
に近接した部分に配設されてあっても良い。また連結細
管5のサージタンク3に対する取り付け位置はサージタ
ンクの底部に限定されるものではなく、如何なる位置に
取りつけられてあっても良い。更にサージタンク3の配
設位置が非ループ型蛇行細管ヒートパイプに於ける水位
的に最上位である場合は、サージタンク3の内部には作
動液の蒸気2−3より比重が小さく且つ不活性の非凝縮
性ガスが充填されてあっても本1実施例と同じ原理で全
く同様の作用効果を発揮させることが出来る。
【0024】第2実施例 図2は本発明の第2実施例を示す説明図であって、その
構成は小型サージタンク3の配設個数は複数であり、そ
れらの配設個所は非ループ型蛇行細管コンテナ1の細管
コンテナ群の所定の複数の細管コンテナであり、夫々の
配設位置は細管コンテナの放熱部Cであるか、若しくは
受熱部Hと放熱部Cを連結している断熱部Aであるかの
何れかであり、夫々の小型サージタンク3には温度制御
手段4が設けられてあることを特徴としている。
【0025】図に於て3−1は放熱部に取り付けられた
小型サージタンク、3−2放熱部の曲管部に取り付けら
れた小型サージタンク、3−3は断熱部に取り付けられ
た小型サージタンク、3−4は端末ターンの断熱部に取
り付けられた小型サージタンクである。これらは夫々に
取り付けの例を示したもので、これらの全てを同時に取
りつけることを意味しているものではない。各小型サー
ジタンクには温度制御手段4が設けられてあり、十分に
高い温度に温度制御されてある点は第1実施例と同様で
ある。
【0026】各小型サージタンク3の作用は第1実施例
の図1に示す作用と同様であって、作動液2の軸方向振
動及び受熱部Hに於ける核沸騰により発生する圧力波に
よって、作動液2が断続的にサージタンク3内に侵入
し、この作動液2は瞬時に圧力蒸気となって、放熱部内
または断熱部内に断続的に噴出して蒸気泡2−2を形成
する。この蒸気泡の断続的噴出は作動液の軸方向振動を
誘発せしめ、放熱部内及び断熱部内に於ける本来の作動
液の軸方向振動を補助し増幅せしめる。
【0027】本実施例は以上の如き作用を発揮するか
ら、主として非ループ型蛇行細管ヒートパイプの受熱部
Hと放熱部Cを連結する断熱部Aの長さが長尺な場合の
性能低下の対応手段とし実施例される。
【0028】本実施例の以上の如き作用は放熱部Cの過
冷却による性能低下の対応手段としても大きな効果を発
揮させることが出来る。即ち放熱部Cに断続的に供給さ
れる蒸気泡2−2は熱エネルギーをも供給することにな
るから、過冷却状態の放熱部Cに熱量と蒸気泡2−2を
供給し、放熱部Cを過冷却状態から脱せしめ、作動液の
軸方向振動を活発ならしめ、良好な熱輸送を可能ならし
める。
【0029】ループ型細管ヒートパイプは特開昭63−
318493に記載の如く電磁コイルとして応用するこ
とが出来る。その改善特許である特開平4−25118
9(マイクロヒートパイプ)の分野に属する非ループ型
蛇行細管ヒートパイプも当然の事として電磁コイルとし
て極めて有効に応用することが出来る。本発明の本実施
例及び第1実施例はそのような電磁コイル応用の中でも
特に極低温用電磁コイルに適用して大きな効果を発揮す
ることが出来る。
【0030】例えば高温超電導材料による超電導マグネ
ットを構成する場合に、超電導マグネットワイヤとして
純銅細管の周囲に高温超電導層を形成し更にその外周に
純銅層を形成した構造が考えられる。このような超電導
マグネットワイヤにより電磁コイルを形成し、コイルを
形成する純銅細管の両端に近接した部分または所定の部
分に小型サージタンク3を配設し、液体窒素を封入して
作動液とし、本発明にかかる非ループ型蛇行細管ヒート
パイプとして構成する。
【0031】このような非ループ型蛇行細管ヒートパイ
プ応用の超電導電磁コイルは本実施例または第1実施例
に説明した如き本発明の作用により、活発な細管ヒート
パイプとして作動し、その一部分を放熱部として70K
前後まで冷却するだけの簡易な手段で、コイルのすべて
の部分が極低温に冷却され、高温超電導条件に容易に到
達させることが出来る。即ちコイル全体を液体ヘリウム
容器や液体窒素容器中でそれらの冷媒に浸せきして冷却
したり、強力な極低音用ポンプを用いて液体ヘリウムや
液体窒素を循環せしめて冷却する、従来の超電導マグネ
ットに比較して冷媒消費量を大幅に減少させることが出
来る、装置を全体的に大幅に小型化することが出来る、
一切の機械的循環装置を必要としないから装置の信頼性
が大幅に向上するなどの大きな利点が有る。
【0032】然しこのような細管ヒートパイプ式超電導
マグネットのすべての問題点として、極低温用細管ヒー
トパイプに封入される極低温用作動液はすべて臨界温度
が低いので、何らかの理由で細管ヒートパイプの温度が
上昇する場合作動液の臨界温度を越えて上昇する確率が
高い、また運転停止時の細管ヒートパイプの温度は必然
的に作動液の臨界温度を越えて上昇するなどの問題点が
有る。このような場合には作動液蒸気の圧縮性が失わ
れ、コンテナ内圧が激しく上昇し、コンテナが破損した
り甚だしい場合は超電導コイル全体が圧潰破損する場合
も考えられる。
【0033】この問題点は小型サージタンクの温度を超
電導コイルの適用温度の上限よりややや高い程度の温度
で且つ作動液の臨界温度より十分に低い温度に制御して
おくことにより解決される。即ち小型サージタンク内の
作動液蒸気の圧縮性は、臨界温度に達し圧縮性を失った
超電導コイル内の作動液蒸気の熱膨張を吸収してその内
圧上昇を緩和せしめ、コンテナ及び超電導コイルの破損
を防止する。実際例としては、液体窒素を作動液とする
極低温用非ループ型細管ヒートパイプの適用領域は70
K〜110Kとした場合、液体窒素の臨界温度は125
Kであるが、サージタンク温度を115Kに保持するこ
とにより、非常の場合の温度上昇に対して、また作動停
止時の温度上昇に対して、コンテナ及び超電導コイルの
破損を防止することが出来る。
【0034】小型サージタンクを作動液温度が臨界温度
に達した場合の破損防止構造として適用することが出来
るのは極低温分野のみに限定されるものではない。常温
分野に於ても作動液の臨界温度が低い場合には臨界温度
近い温度で細管ヒートパイプを使用せざるをえない場合
があり、このような場合にも同様コンテナの破損防止構
造として適用することが出来る。
【0035】第3実施例 本実施例は図3の説明図に示す如く、非ループ型蛇行細
管ヒートパイプのコンテナ1と小型サージタンク3を連
結する連結細管5の、小型サージタンク3に対する取り
付け位置は、サージタンク3の頂部と底部の中間位置で
あり小型サージタンク3には温度制御手段4が設けられ
てあることを特徴としている。
【0036】このように構成されてある非ループ型蛇行
細管ヒートパイプに於て長時間の作動停止に際しては、
先立って小型サージタンク3の温度が蛇行細管コンテナ
1の温度より低温になるよう温度制御手段4−1を操作
する。小型サージタンク3の熱容量が蛇行細管コンテ1
の熱容量に比べて十分に小さな場合は小型サージタンク
の方がコンテナより先に低温になるから特に温度制御の
必要はない。このようにして作動を停止せしめると、非
ループ型蛇行細管ヒートパイプの温度降下に際して作動
液の蒸気は系全体の中の低温部に移動して凝縮する性質
があるから小型サージタンク3の中には液相作動液が蓄
積される。この作動液蓄積量を増加させる為第3実施例
に於ては小型サージタンクは他の実施例よりは大型にな
っている。図3に於ける2は液相作動液であって連結細
管5とサージタンク3の取り付け部3−1の水位以下に
蓄積される。
【0037】この状態の非ループ型蛇行細管ヒートパイ
プは長時間の作動停止により放熱部分及び断熱部が作動
液不足状態になっている場合であっても、サージタンク
の加熱により作動液を噴出せしめて放熱部に作動液を補
充することが出来るので、再起動が容易になる。再起動
後のサージタンクは第1、第2実施例と同様に作動す
る。
【0038】図3に於てサージタンクの配設位置は端末
細管コンテナの端末になっているが蛇行細管コンテナの
放熱部及び断熱部の如何なる位置であっても良い。また
単数である必要もなく複数であっても良く、再起動性能
を改善する効果としてはその数は多い程よい。
【0039】非ループ型蛇行細管ヒートパイプの長時間
の作動停止後の再軌道の困難さを防止する他の簡便な手
段として、本発明の第2実施例をそのまま適用して実施
することも出来る。その場合は複数のサージタンクの温
度を長時間の作動停止期間中も継続して蒸気泡発生に必
要な程度の温度に保持せしめる。これにより断熱部及び
放熱部内には再起動に必要な量の蒸気泡が維持され、作
動液の沈下も防止することが出来る。然しこの手段は作
動停止中にも有る程度の電力消費が避けられない点は若
干の問題点として残される。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明の非ループ型
蛇行細管ヒートパイプは、非ループ型蛇行細管コンテナ
の所定の位置に、所定の温度に保持されてある小型のサ
ージタンクが連結細管を介して配設されてある構造とす
ることにより以下の如き各種の効果を発揮することが出
来る。小型サージタンクを両側の端末ターンの端末に配
設することにより端末ターンの作動は活発になり、それ
により他のターンの作動も活発になり、熱輸送性能は2
0%も向上した。同様に実施した小ターン数のものは熱
輸送性能が2倍にも向上した。小型サージタンクを断熱
部及び放熱部に配設した場合も同様な効果が発揮され
た。複数の小型サージタンクを配設することにより、断
熱部が長尺なことに因り活発な作動が困難な蛇行細管ヒ
ートパイプも通常の作動が可能になった。小型サージタ
ンクを配設することにより、再起動が困難な構造の蛇行
細管ヒートパイプも小型サージタンクからの作動液補給
により再起動が容易になった。小型サージタンク内の作
動液蒸気の圧縮性はコンテナ温度が臨界温度を越えた場
合におけるコンテナ破損防止の安全装置としても作用す
る。
【0041】このように小型サージタンクの装着は、タ
ンク内作動液蒸気の圧縮性の作用、蒸気泡供給作用、液
相作動液供給作用等により非ループ型蛇行細管ヒートパ
イプの問題点の全てを解決する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例を断面略図で示した説明図
である。
【図2】本発明の第2実施例を平面図で示した説明図で
ある。
【図3】本発明の第3実施例を断面略図で示した説明図
である。
【図4】従来の非ループ型蛇行細管ヒートパイプの説明
図である。
【図5】従来の非ループ型蛇行細管ヒートパイプの作動
状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 非ループ型蛇行細管コンテナ 1−1 端末ターン 1−2 端末ターン 2 作動液 2−1 作動液の閉塞液滴 2−2 作動液の蒸気泡 2−3 作動液蒸気 3 小型サージタンク 4 温度制御手段 5 連結細管 H 受熱部 H−1 加熱手段 A 断熱部 C 放熱部 C−1 冷却手段

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長尺の細管コンテナが受熱部と放熱部の
    間を多数回の蛇行を繰り返して往復するように構成され
    てあり、作動液の振動により受熱部から放熱部に向かっ
    て熱量を輸送する構造の非ループ型蛇行細管ヒートパイ
    プに於て、非ループ型蛇行細管コンテナの所定の位置に
    小型のサージタンクが連結細管を介して配設されてあ
    り、ヒートパイプの作動時のサージタンクの温度は作動
    液の臨界温度より低い温度で且つこの細管ヒートパイプ
    の適用温度領域の上限温度より高い温度に制御されてあ
    ることを特徴とする非ループ型蛇行細管ヒートパイプ。
  2. 【請求項2】 非ループ型蛇行細管ヒートパイプに於け
    る小型サージタンクの配設位置は、非ループ型蛇行細管
    コンテナの端末か、端末に近接した位置の何れかであ
    り、サージタンクには温度制御手段が配設されてあるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の非ループ型蛇行細管ヒ
    ートパイプ。
  3. 【請求項3】 非ループ型蛇行細管ヒートパイプに於け
    る小型サージタンクの配設個数は複数であり、それらの
    配設個所は放熱部における細管コンテナ群の中の所定の
    複数の細管コンテナであり、夫々の配設位置は細管コン
    テナの放熱部であるか、若しくは受熱部と放熱部を連結
    している断熱部であるかの何れかであり、夫々の小型サ
    ージタンクには温度制御手段が設けられてあることを特
    徴とする請求項1に記載の非ループ型蛇行細管ヒートパ
    イプ。
  4. 【請求項4】 非ループ型蛇行細管ヒートパイプと小型
    サージタンクを連結する連結細管の、小型サージタンク
    に対する取り付け位置は、サージタンクの頂部と底部の
    中間位置であり小型サージタンクには温度制御手段が設
    けられてあることを特徴とする請求項1に記載の非ルー
    プ型蛇行細管ヒートパイプ。
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